図1は、本発明の一実施形態に係る無線伝送システムの構成例を示す概略図である。本実施形態に係る無線伝送システム(以下、本システムという)は、ソース機器1と複数のシンク機器2a,2b,・・・(以下、いずれも「シンク機器2」として説明する)とで構成される。
ソース機器1は、映像及び/又は音声を含むAVデータをマルチキャスト無線伝送により出力する機器である。シンク機器2は、ソース機器1からそのAVデータを受信可能に構成されている。つまり、シンク機器2は、ソース機器1からマルチキャスト無線伝送されたAVデータを受信するAV受信部を備える。さらに、シンク機器2は、AV受信部で受信したAVデータの中からシンク機器2自身に向けて送信されたAVデータを抽出して再生する再生部を備える。
なお、AV受信部は、マルチキャスト無線伝送されたAVデータを受信して、そのシンク機器2の再生部で再生対象となっているデータ(シンク機器2の機能、例えば音声出力機能及び/又は映像表示機能に対応するデータ)を抽出する。この抽出の一部を再生部が担ってもよい。一般的に、多チャンネルの音声データは、全チャンネルについての音声ストリームとして配信(伝送)され、どこに配置する用途の音声出力機器であっても、配信された音声ストリームをAVデータ(例えば映像ストリームも含む)から抽出し、さらにその音声ストリームから再生対象となっているチャンネルの音声データを抽出して、再生を行うことが多い。最も単純な左右2チャンネルの場合で説明すると、右スピーカであっても左スピーカ用の音声データの取得も行い、その後、右用の音声データだけ抽出して再生することになる。
さらに、シンク機器2は、機器情報受信部を備える。この機器情報受信部は、ソース機器1内で管理されたシンク機器情報の一部又は全部を無線で受信する。一部のみ受信するとはそのシンク機器2にとって必要な情報だけ受信することを意味し、全部受信する場合には受信後、必要な情報を抽出すればよい。受信方法に関し、例えば、マルチキャスト又はユニキャストで定期的に、或いはいずれかのシンク機器情報が変化したタイミングにおいてシンク機器情報を無線伝送するようにソース機器1を構成しておき、シンク機器2をそのシンク機器情報を無線で受信するように構成しておけばよい。若しくは、ソース機器1への無線データ通信により(つまりシンク機器2側からソース機器1に対して無線通信で定期的に要求して)シンク機器情報を受信するように、シンク機器2及びソース機器1を構成しておいてもよい。なお、機器情報受信部は、AV受信部と一部の機能を共有して構成してもよい。
上記シンク機器情報は、シンク機器2自身を含む複数のシンク機器2を識別するための識別情報と、各シンク機器2の種別を示す種別情報と、各シンク機器の無線接続状態(無線接続状況)を示す状態情報と、を関連付けた情報である。
本システムにおいて、ソース機器1における識別情報、種別情報、状態情報の付与や取得の処理方法は問わない。例えば、本システムの機器構成を予め定めたものとするのであれば、識別情報や種別情報は予め登録しておいてもよい。また、汎用性を鑑みて、種別情報は無線接続時に無線通信でシンク機器2側から得て、識別情報は種別情報を得た順番に連番を割り当てるなどしてもよい。状態情報は、ソース機器1が定期的に各シンク機器2と無線データ通信を行い、全てのシンク機器2のうち応答が返ってこないシンク機器2を未接続(切断)と判別すればよい。若しくは、シンク機器2側でマルチキャスト伝送AVデータの受信状態(受信レベル)を検出(判別)し、その結果をソース機器1側に無線で送るようにしておき、ソース機器1は受信レベルの検出結果が受信できないシンク機器2を未接続と判別するなどしてもよい。また、あらかじめ再生障害の発生を予見して対応するために、データの受信レベル、データのエラーレート、受信データの信号のSNRなどの受信状態、或いはシンク機器が省電力モードの状態、モバイル機器であればバッテリーの残量、音声分離・合成部27の負荷率などの無線以外で再生の障害の要因となる機器の動作状態を状態情報としてもよい。
また、このシンク機器情報は、各情報を関連付けたものをリスト化したシンクリストとして格納しておくなどすればよい。なお、種別情報は識別情報に含める、例えば種別情報が解釈できるような識別情報を付すなど、情報の格納形態はどのようなものであってもよい。また、種別情報を上記シンク機器情報の一部に含めた例を挙げたが、種別情報自体をソース機器1で管理しないような形態も本システムに含まれるシンク機器2の種類や数によっては採用できる。
このように、本システムでは、ソース機器1は、マルチキャスト伝送している複数のシンク機器2の無線接続状態を含む情報をリスト化した情報(シンクリスト)を管理する。機器情報受信部は、そのシンクリストの一部又は全部を能動的に読み出すか受動的に得ることが可能となっているため、ソース機器1に繋がっている他のシンク機器2の状態を把握(判別)するための手段と言える。
このように、本発明のシンク機器2では、ソース機器1からマルチキャスト無線伝送により伝送されたAVデータを再生するに際し、同じソース機器1からのAVデータを再生する他のシンク機器の無線接続状態を判別して把握することが可能になる。
このようにして把握した他のシンク機器の無線接続状態は、一部のシンク機器が切断したときのような中途半端な視聴環境を回避又は回復(修正)させるために用いることができる。
このような回避又は修正のために、再生部は、機器情報受信部で受信した他のシンク機器についての状態情報に応じた再生制御を行う。接続されていた全てのシンク機器2の個々の特性(機能)とその中から切断されたシンク機器2の特性(機能)とに応じて、切断されたシンク機器2の機能を補うように、上記再生部が再生制御を行う。例えば、他のシンク機器についての状態情報を機器情報受信部で受信した結果、他のいずれかのシンク機器2の状態情報が無線切断状態を示していた場合に、中途半端な視聴環境の回避又は修正のために無線接続状態のシンク機器での出力停止を補完するかその出力停止に合わせるように、現在の再生制御を変更する。一方、他のシンク機器全ての状態情報が無線通信中(感度良好)であることを示していた場合には、現在の再生制御をそのまま継続する。
最も単純な例を挙げると、音楽プレーヤ(ソース機器)と左右のスピーカ(シンク機器)とで構成されるシステムにおいて、右スピーカが左のスピーカとの通信が切断されたことを音楽プレーヤ内のシンクリストに基づき検知したとき、右スピーカは通常の右スピーカ用の音声データだけでなく左スピーカ用の音声データを合成して再生するか、右スピーカ用の音声データの音量を上げて再生する。
このように、シンク機器2(例えばシンク機器2a)において状態情報に応じた再生制御を行うことで、ソース機器1からマルチキャスト無線伝送により伝送されたAVデータを再生するに際し、同じソース機器1からのAVデータを再生する他のシンク機器2(例えばシンク機器2a以外のシンク機器)の無線接続状態に応じた再生を行うことが可能になる。
なお、本システムでは、再生制御の制御権がソース機器1側にあるのではない。ソース機器1側に制御権をもたせると、複数のシンク機器2の機能を全て把握しておく必要があり、ソース機器1の制御が複雑になるだけでなく、後々追加接続されるシンク機器2の機能も事前にソース機器1側に実装しておく必要があり、実際の製品に搭載することは難しい。また、ソース機器1の販売を行った企業が、シンク機器2の開発を行う他企業に対し、ソース機器1が持つシンク機器2のシンクリストを外部公開する必要が生じる。本システムでは、そのような問題も生じることがない。但し、ブルーレイなどの映像再生機器を持つテレビ、若しくはリモコンからの制御信号を直接受信する機能を備えたソース機器など、ソース機器がシンク機器の機能も含む実装は考えられる。
以下、ソース機器1、シンク機器2についての具体的な一構成例を挙げながら、再生部が行う状態情報に応じた再生制御の様々な例を説明する。
図2は、図1の無線伝送システムにおけるソース機器の一構成例を示す機能ブロック図である。また、図3は、図2のソース機器において管理されるシンクリストの一例を示す図、図4は、図2のソース機器からシンク機器に対してマルチキャスト伝送されるフレームのフォーマットの一例を示す図、図5は、図2のソース機器とシンク機器との間でユニキャスト伝送されるフレームのフォーマットの一例を示す図である。
図2で例示するソース機器1は、シンクリスト管理部11、映像音声生成部12、無線通信制御部13、送信データ合成部14、受信信号データ復調部15、送信データ信号変調部16、アナログ信号処理部17、及びアンテナ18を備える。
映像音声生成部12は、映像・音声データを生成する。ソース機器1が放送受信アンテナ又は放送受信ケーブルに接続されたチューナ部を有するSTB(Set Top Box)やレコーダ等である場合には、映像音声生成部12は受信した放送信号を復調、復号などを行う構成とすればよい。また、ソース機器1がレコーダやプレーヤ等である場合には、映像音声生成部12は例えば記録先から映像・音声データを読み出して必要に応じて復号などを行う構成とすればよい。
映像音声生成部12は、無線通信制御部13を経由してシンク機器2からのコントロールデータ(再生、一時停止等の制御コマンドなど)を受け取り、それに対応する動作を行う。なお、制御コマンドとしては、シンク機器2がTVなどの場合、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)規格におけるCEC(Consumer Electronics Control)コマンドを元にTVから送信されたコマンドであってもよい。
無線通信制御部13は、無線通信の制御を行う。無線通信制御部13は、無線通信に関する通信管理データの生成・送信や受信・判定を行い、ネットワーク構成、無線通信を形成するための処理・制御を行う。また、無線通信制御部13は、確実に転送する必要があるコントロールデータの送信管理(再送処理の管理等)も行う。
シンクリスト管理部11は、シンク機器2のリストであるシンクリストを格納し管理する。例えば、無線通信制御部13から各シンク機器2の通信状態を示す情報を取得し、各シンク機器2の無線接続状態をシンクリストとして保持する。また、シンクリスト管理部11は、各シンク機器2に配信するシンクリストの一部又は全部を無線通信制御部13に提供する。
図3で例示するシンクリスト11aは、識別情報、種別情報、状態情報のそれぞれのデータ項目例として、シンク機器識別ID、シンク機器種別(テレビ、モニタ、オーディオアンプ、Lchスピーカ、Rchスピーカなど)、無線接続状態(良好/切断)を保持している。
送信データ合成部14は、映像・音声データと無線通信制御部13から受け取ったコントロールデータ及び通信管理データとを合成し、送信データ信号変調部16に渡す。送信データ信号変調部16は、送信データに変調処理を施し、送信デジタル波形信号を生成し、アナログ信号処理部17に渡す。アナログ信号処理部17は、デジタル波形信号とアナログ波形信号との相互変換を行う。アンテナ18は、各シンク機器2との間で電波の送受信を行う。また、受信信号データ復調部15は、アナログ信号処理部17よりA/D変換された受信デジタル波形信号から、コントロールデータ、通信管理データを復調し、無線通信制御部13に渡す。
図4で例示する伝送フレーム40は、映像・音声伝送用として、アンテナ18からマルチキャスト伝送されるフレーム(マルチキャストデータパケットのフレーム)である。伝送フレーム40は、フレーム識別情報41、ストリーム識別情報42、送信元アドレス43、順序番号情報44、及び送信データ45、といったフィールドで構成される。送信データ45には、シンクリストコントロール1〜n、誤り検出符号、映像・音声データが含まれる。
フレーム識別情報41は、データの種別を指定する情報である。ここで説明する例(図4、後述の図5及び図14)では、3種類のデータしか存在しないため、フレーム識別情報41により3種類の区別ができれば十分であるが、一般的に、例えば無線LANでは、制御の目的(データ通信、マネージメント、帯域予約、Acknowledgementなど)に従って識別情報が区別される。
ストリーム識別情報42は、映像・音声データを識別するための識別情報である。一つのソース機器1が複数のストリームを流す場合に有用である。送信元アドレス43は、送信元であるソース機器1のアドレスを示している。順序番号情報44は、再送処理がある通信の場合には重複を判定するために、再送処理が無い場合でも受信機(シンク機器2)が番号が飛んだことを検出するために、それぞれ用いることができるが、フレームフォーマットに含めなくても問題ない。
シンクリスト・コントロール1〜nは、シンクリストの各シンク機器識別ID(1〜n)に対応して、シンク機器種別及び無線接続状態と、一斉に各シンク機器2を制御するための制御コマンドとを含んでいる。各シンク機器2側では、このシンクリストのうち、他のシンク機器2の無線接続状態に応じて再生制御が変更になるシンク機器2(再生制御が変更になる種別のシンク機器2)についての状態情報(無線接続状態)を抽出すればよい。なお、この制御コマンド及びそれを用いた処理例については後述する。
誤り検出符号は、CRC(Cyclic Redundancy Check)など、送信データに誤りが無いか否かを判定するためのデータである。映像・音声データは、映像のデータと音声のデータとを含んでいる。各シンク機器2側では、このうち再生に必要なデータ、例えば音声データを抽出すればよい。
図5で例示する伝送フレーム50は、コントロールデータ及び通信制御データの伝送用として、ソース機器1から又はシンク機器2から、ユニキャスト伝送されるフレーム(ユニキャストデータパケットのフレーム)である。伝送フレーム50は、フレーム識別情報51、受信先アドレス52、送信元アドレス53、順序番号情報54、コントロール・状態情報・通信制御データ55、及び誤り検出符号56、といったフィールドで構成される。
フレーム識別情報51、送信元アドレス53、順序番号情報54、誤り検出符号56については、図4の伝送フレーム40で説明した通りである。伝送フレーム50はユニキャスト伝送のフレームであり、再送があり得るので、順序番号情報54は必要である。受信先アドレス52は、受信する側の端末(送信側がソース機器1ならシンク機器2、送信側がシンク機器2ならソース機器1)のアドレスを示している。コントロール・状態情報・通信制御データ55は、コントロールデータ、ソース機器1に通知するシンク機器2自身の無線接続状態の情報(シンク機器2が送信側となる場合)、及び通信制御データ(ネットワーク形成などの管理を行っている場合には通信制御データが必要)を含んでいる。
図6は、図1の無線伝送システムにおけるシンク機器の一構成例を示す機能ブロック図で、図7は、図6のシンク機器において設定されている動作テーブルの一例を示す図である。
図6で例示するシンク機器2は、アンテナ21、アナログ信号処理部22、受信信号データ復調部23、送信データ信号変調部24、受信データ分離部25、無線通信制御部26、音声分離・合成部27、シンク動作制御部28、設定情報格納部29、音声出力部30、及び操作入力部31を備える。上記AV受信部は各要素21、22、23、24、27、28などで例示でき、上記機器情報受信部は21〜23、25、26、28などで例示でき、各要素上記再生部は各要素27〜30などで例示できる。
アンテナ21は、ソース機器1との間で電波の送受信を行う。アナログ信号処理部22は、デジタル波形信号とアナログ波形信号との相互変換を行う。受信信号データ復調部23は、アナログ信号処理部22によりA/D変換された受信デジタル波形信号から、受信データを復調し、受信データ分離部25に渡す。受信データ分離部25は、受信データから映像・音声データと、コントロールデータ及び通信管理データとを分離し、映像・音声データを音声分離・合成部27へ渡し、コントロールデータ及び通信管理データを無線通信制御部26へ渡す。
無線通信制御部26は、無線通信の制御を行う。無線通信制御部26は、無線通信に関する通信管理データの生成・送信や受信・判定を行い、ネットワーク構成、無線通信を形成するための処理・制御を行う。また、無線通信制御部26は、確実に転送する必要があるコントロールデータの送信管理(再送処理の管理等)も行う。また、状態情報をソース機器1に送る構成の場合、無線通信制御部26は、ソース機器1でシンクリストに登録するシンク機器2自身の通信状態の情報を生成し、無線送信する。
音声分離・合成部27は、音声・映像データから、自身の役割(スピーカのL/R、リア/フロント等)に対応したデータを取り出し、音声出力部30に渡す。音声分離・合成部27は、後述するシンク動作制御部28の指示に従って、音声合成や音量調整等を行う。
音声出力部30は、音声出力を行う。ここでは、シンク機器2として音声再生機器を挙げているが、シンク機器2は、モニタのように映像再生機器である場合には音声出力部30の代わりに映像出力部(映像表示部)を備え、TVのように映像音声再生機器である場合には音声出力部30と共に映像出力部(映像表示部)を備える。
操作入力部31は、ユーザなどからのコントロールデータ(再生、一時停止等の制御コマンドなど)を受け取る。なお、制御コマンドとしては、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)規格におけるCEC(Consumer Electronics Control)コマンドを元にソース機器1から送信されたコマンドであってもよい。
送信データ信号変調部24は、コントロールデータ、通信管理データに変調処理を行い、送信デジタル波形信号を生成し、アナログ信号処理部22に渡し、アンテナ21を介して電波を送信させる。
シンク動作制御部28は、シンクリストの一部又は全部としてソース機器1から受信したシンク機器種別及びその無線接続状態と、それに対応した動作として予め設定されている設定情報と、操作入力部31からの(及び後述のシンクリスト内制御コマンドとして受信した)コントロールデータとに従って、シンク機器2自身の動作を指示する。設定情報格納部29は、シンク機器2自身の役割と上記の対応動作とその対応動作を行う条件とを格納する。
この動作は、例えば、図7で例示するような動作テーブル29aとして格納しておいてもよい。動作テーブル29aは、本システムが、ソース機器1としてのチューナ機器、シンク機器2としてのモニタ又はTV、右用スピーカ機器、左用スピーカ機器、オーディオアンプを具備した無線ホームシアターシステムである場合であって、且つ、左用スピーカ機器の設定情報格納部29で記憶されている動作テーブルの例である。なお、オーディオアンプは、フロントスピーカとして単体で設けるか、或いはそれに有線接続した別のスピーカ機器と共に設けるなどしておく。無論、左用スピーカ機器以外のシンク機器は、通常、そのシンク機器の動作に対応した動作テーブル29aとは異なる動作テーブルをその設定情報格納部29に保持しておけばよい。また、異なる動作テーブルを設定せず、全てのシンク機器の動作を網羅する記述をした共通の動作テーブルを全てのシンク機器が設定して、設定情報格納部のシンク機器自身の役割の情報に応じて対応する動作が決定されるようにように、動作テーブルを構成することも考えられる。
左用スピーカ機器のシンク動作制御部28は、切断時に自身の動作の変更を伴うシンク機器(左用スピーカ機器自身以外のシンク機器)の種別を動作テーブル29aから判別し、シンクリストからその種別の無線接続状態を得て、切断されたシンク機器に応じて動作テーブル29aで定められた動作を実行するよう各部を制御する。また、動作テーブル29aに優先順位を付しておくか優先順位の高いものから記述しておき、その優先順位に基づき判定・再生制御を行っていってもよい。
この例では、モニタ又はTV(モニタ+センタスピーカ)が切断されている場合には、他のモニタも切断されている場合に限って、音声出力を停止するよう制御する。モニタ・TVが切断されていないときには、右用スピーカ機器が切断されているかを判定し、切断されているのであれば、右スピーカ用の音声と自身で通常再生している左スピーカ用の音声とを合成して音声出力する。このとき、1つのスピーカで同じ音量レベルではカバーしきれないので、音量レベルも上げるとよい。同様に、モニタ・TVが切断されていないときには、オーディオアンプが切断されているかを判定し、切断されているのであれば、音量レベルも上げて再生する(このとき、右用スピーカ機器も同様の制御で音量レベルを上げることになる)。オーディオアンプが切断の場合にも、オーディオアンプ用の音声と自身で通常再生している左スピーカ用の音声とを合成して音声出力するような動作設定であってもよい。
左用スピーカ機器における右用スピーカ機器の切断時の再生制御で例示したように、再生部は、種別情報及び状態情報に応じた再生制御として、機器情報受信部で受信した他のシンク機器についての種別情報及び状態情報に応じて、再生対象として抽出するAVデータを追加し、再生を実行することが好ましい。
また、左用スピーカ機器における右用スピーカ機器の切断時の再生制御で例示したように、上記再生部は、種別情報及び状態情報に応じた再生制御として、機器情報受信部で受信した他のシンク機器2についての種別情報及び状態情報に応じて、再生対象のAVデータの再生方法を調整する。ここで再生方法とは、他のシンク機器2の切断により狂いが生じた、再生レベル(出力レベル、この例では音量レベル)や再生バランスを指す。再生バランスの調整のためには、上述したように再生対象として抽出するAVデータを追加を行うことが好ましい。
また、左用スピーカ機器におけるモニタ・TVの切断時の再生制御で例示したように、上記再生部は、種別情報及び状態情報に応じた再生制御として、機器情報受信部で受信した他のシンク機器2についての種別情報及び状態情報に応じて、再生を停止することが好ましい。この停止は、上述したように再生方法の調整や再生対象として抽出するAVデータの追加と併用できるが、シンク機器2自身の種類(映像用/音声用)に応じて、切断したソース機器2が同じ種類の機器(種別情報で判定できる)であれば停止を行わず、異なる種類の機器全てであれば停止を優先させるとよい。
なお、一部のシンク機器2が無線接続状態となり、上記停止が働いて全てのシンク機器2が再生無しとなるような場合には、ソース機器1側でもAVデータのマルチキャスト無線伝送を停止し、所定時間後に伝送再開を行うようにしてもよい。
また、上述の例及び後述する他の例では、基本的に、上記再生部で種別情報及び状態情報に応じた再生制御を行うことを前提に説明しているが、種別情報は参照しなくても用いなくてもよい。例えば、音楽プレーヤなどでは全てのシンク機器がスピーカ機器やアンプ機器などで限定されるため、シンクリストを受信できるということは自身は通信できておりシンクリストの中に切断があれば他のシンク機器が切断していることが把握できるため、問題なく状態情報に応じた再生制御(例えば単純に音量レベルを上げるなど)が可能である。
図8は、図1の無線伝送システムの構築例を示す図で、図9は、図8の無線伝送システムにおけるフロント左スピーカの動作例を説明するためのフロー図である。図8のシステムは、チューナ71と、モニタ72(ID:0001)、フロント左用のスピーカ機器73(ID:0002)、フロント右用のスピーカ機器74(ID:0003)、リア左用のスピーカ機器75(ID:0004)、リア右用のスピーカ機器76(ID:0005)、及びオーディオアンプ78(ID:0006)でなるシンク機器群と、から構築されている。全てのシンク機器が通信良好の場合、スピーカ機器73〜76、オーディオアンプ78でサラウンドシステムを構成できている。なお、上記IDはシンクリスト中のシンク機器識別IDに対応していることを指す。
このシステムにおいて、電波障害によりサラウンドスピーカの1つ、例えばフロント右用スピーカ機器74とチューナ71との無線伝送が切断されてしまった場合、他のサラウンドスピーカ機器73、75、76、78は、ソース機器1のシンクリストからフロント右用スピーカ機器74の無線切断状態を把握し、フロント右用スピーカ機器74の不在を補填するように、自動的に音声バランス、音量レベルを調整する。
フロント左用(フロント左用チャンネルの音声再生用)のスピーカ機器73での動作例を主に説明するが、他のシンク機器もその機器の機能に合わせた動作を同様に行う。以下の制御は、スピーカ機器73において図6のシンク動作制御部28が設定情報格納部29を参照しながら主に実行する。
まず、フロント左用スピーカ機器73は、ソース機器1から、図7の動作テーブル29aのような動作テーブルから、切断時の動作が規定してある種別のシンク機器の状態情報を取得する(ステップS1)。このシステムの場合、フロント左用スピーカ機器73内の動作テーブルには、動作テーブル29aのモニタ及びオーディアンプに関する動作と、フロント右用スピーカ機器(機器74であるが特に機器73でそれを記録しておく必要はなくシンクリストの種別情報から判断できる。以下同様。)が切断時にそれ用のチャンネルの音声と合成して音量レベルを上げる動作と、リア左用スピーカ機器(機器75に対応)が切断時にそれ用のチャンネルの音声と合成して音量レベルを上げる動作とが規定されているものとする。なお、リア右用スピーカ機器(機器76に対応)が切断時の動作については規定していないものとする。
ステップS1に続き、スピーカ機器73は、モニタ72が切断されたか否かを判定し(ステップS2)、YESであれば音声出力を停止し(ステップS3)、NOであればステップS6へ進む。スピーカ機器73は、ステップS3に続きシンクリスト取得タイミングを待ってモニタ72の接続が回復(復帰)したか否かを判定し(ステップS4)、復帰を待って音声出力を再開する(ステップS5)。ステップS2〜S5の処理により、電波障害によって映像が止まり音声だけが出力され続けるような中途半端な視聴環境にならないようにすることができる。
ステップS5に続き、スピーカ機器73は、フロント右用スピーカ機器74が切断されたか否かを判定し(ステップS6)、YESの場合のみ、本来のフロント左チャンネルの音声にスピーカ機器74用のフロント右チャンネルの音声を合成し、さらに音量レベルを上げて再生する(ステップS7)。続いて、リア左用スピーカ機器75について同様の動作を行う(ステップS8,S9)。続いて、スピーカ機器73は、オーディオアンプ78が切断されたか否かを判定し(ステップS10)、YESの場合のみ、本来のフロント左チャンネルの音声について音量レベルを上げて再生を行う(ステップS11)。
このように、AVデータに多チャンネルの音声データを含み、シンク機器としては、所定のチャンネルの音声データを再生部で音声出力する音声出力機器(スピーカ機器又はアンプ機器又はモニタに付属のスピーカ機器)を含むシステムの場合、上記再生部は、再生制御として、機器情報受信部で受信した他の音声出力機器であるシンク機器についての状態情報及びチャンネル情報に応じた再生制御を行うことが好ましい。このとき、種別情報には、各シンク機器のうち音声出力機器であるシンク機器については音声出力するチャンネルを示すチャンネル情報を含んでいるものとする。ステップS6〜S11の処理により、電波障害により音声バランスや音量レベルが極端に狂ってしまうようなことを防止することができる。そして、上述したステップS1〜S11の処理は、基本的にシンクリスト取得タイミング毎に実行すればよい。なお、スピーカ機器74及び75の切断からの復帰についての判断及び処理については説明を省略している。
図10は、図1の無線伝送システムの他の構築例を示す図で、図11は、図10の無線伝送システムにおけるTVの動作例を説明するためのフロー図である。図10のシステムは、図8のシステムにおけるモニタ72の代わりにTV77(ID:0001)が設けられたものである。TV77は、モニタ77aとセンタスピーカ77bとを有する。このうち、センタスピーカ77bは無効に設定されているものとする。全てのシンク機器が通信良好の場合、スピーカ機器73〜76、オーディオアンプ78でサラウンドシステムを構成できている。
このシステムにおいて、電波障害によりオーディオアンプ78とチューナ71との無線伝送が切断されてしまった場合、他のサラウンドスピーカ機器73〜76は、ソース機器1のシンクリストからオーディオアンプ78の無線切断状態を把握し、その不在を補填するように、自動的に音声バランス、音量レベルを調整すればよい。但し、このような制御については図8及び図9で説明した通りである。ここでは、センタスピーカ77bのみでオーディオアンプ78の不在を補填するような制御例を説明する。以下の制御は、TV77において図6のシンク動作制御部28が設定情報格納部29を参照しながら主に実行する。
まず、TV77は、ソース機器1から、図7の動作テーブル29aのような動作テーブルから、切断時の動作が規定してある種別のシンク機器の状態情報を取得する(ステップS21)。このシステムの場合、TV77内の動作テーブルには、オーディアンプ(アンプ78に対応)に関する動作と、フロント左、フロント右、リア左、リア右用のスピーカ機器それぞれに対する動作が規定されているものとする。前者の動作は、オーディオアンプが切断時に主音声をセンタスピーカ77bから出力する動作とする。後者の動作は、オーディオアンプが切断時に切断すると切断したスピーカ機器の音声チャンネルを合成してセンタスピーカ77bから出力する動作とする。
ステップS21に続き、TV77は、オーディオアンプ78が切断されたか否かを判定し(ステップS22)、YESであればセンタスピーカ77bをONにして主音声を再生し(ステップS23)、NOであれば処理を終了する。ステップS21〜S23の処理により、電波障害によりオーディオアンプ78とチューナ71の無線伝送が接続されてしまった場合、TV77はチューナ71のシンクリストからオーディオアンプの無線伝送状況を把握し、内蔵スピーカ(センタスピーカ77b)を自動的に有効にして、内蔵スピーカから音声出力する。これにより、電波障害により主音声が止まってしまうような中途半端な視聴環境にならないようにすることができる。
ステップS23に続き、TV77は、フロント左、フロント右、リア左、リア右用のスピーカ機器73〜76のいずれかが切断されているか否かを判定し(ステップS24)、主音声に切断されたスピーカ機器の音声チャンネルの音声を合成して、センタスピーカ77bから出力する(ステップS25)。
TV77は、ステップS25に続きシンクリスト取得タイミングを待ってオーディオアンプ78の接続が回復(復帰)したか否かを判定する(ステップS26)。TV77は、復帰した場合にはセンタスピーカ77bをOFFに戻し(ステップS27)、復帰していない場合にはステップS24へ戻る。このように、ステップS24,S25の処理はオーディオアンプ78の不在時のみの処理となる。そして、上述したステップS21〜S27の処理は、基本的にシンクリスト取得タイミング毎に実行すればよい。なお、スピーカ機器73〜76の切断からの復帰についての判断及び処理については説明を省略している。
図12は、図1の無線伝送システムの他の構築例を示す図である。また、図13は、図12の無線伝送システムにおいてソース機器で管理されるシンクリストの一例を示す図、図14は、図12の無線伝送システムにおいてソース機器から特定グループに属するシンク機器に対してマルチキャスト伝送されるフレームのフォーマットの一例を示す図である。
本例では、複数セットの視聴環境を1つのソース機器から提供するシステムについて説明する。図12で例示するシステムは、リビング8aに設置された、ソース機器であるチューナ71及びシンク機器73〜77と、寝室8bに設置されたシンク機器82〜86とで構成される。リビング8a側の各シンク機器73〜77は図8又は図10で説明した各機器であり、寝室8b側の各シンク機器82〜86はそれぞれ図8の72〜76に相当する機器である。
このように、複数セットの視聴環境を1つのソース機器1から提供するシステムの場合、シンク機器情報は、識別情報や状態情報(及び種別情報)にグループ識別情報が関連付けられていることが好ましい。換言すると、シンク機器で他のシンク機器の無線接続状態を判別可能なように、シンク機器情報は、複数のシンク機器を1グループとして複数グループ分、管理しておくことが好ましい。ここで、グループ識別情報とは、各シンク機器2が属するグループを識別するための情報である。図12でリビング8aと寝室8bとで分けているように、例えば、複数のサラウンドスピーカ(フロント左用チャンネル、センタ用チャンネル等)などのように複数で1つの機能を果たすようなシンク機器群を、1つのグループとして取り扱えばよい。
図13で例示するシンクリスト11bは、図3のシンクリスト11aと同様にシンクリスト管理部11で管理され、識別情報、種別情報、状態情報、グループ識別情報のそれぞれのデータ項目例として、シンク機器識別ID、シンク機器種別、無線接続状態、グループ識別IDを保持している。なお、図12中のグループIDは、図13のシンクリスト11bにおけるグループ識別IDに対応する機器のグループであることを示している。
このようなグループ識別IDを含めたシンクリスト11bは、図4の伝送フレーム40で伝送してもよいが、図14の伝送フレーム90で例示するように、特定グループ用のフレームで伝送することが好ましい。伝送フレーム90は、特定のグループに対する制御・リスト通知用として、マルチキャスト伝送されるフレームである。伝送フレーム90は、フレーム識別情報91、受信グループ識別情報92、送信元アドレス93、順序番号情報94、コントロール・シンクリスト・通信制御データ95、及び誤り検出符号96、といったフィールドで構成される。
フレーム識別情報91、送信元アドレス93、順序番号情報94、誤り検出符号96については、図4の伝送フレーム40で説明した通りである。受信グループ識別情報92は、受信するグループを指定する情報である。シンク機器はこれに基づき自身のグループと合致する場合にこの伝送フレーム90のそれ以降のフィールドを受信する。コントロール・シンクリスト・通信制御データ95は、コントロールデータ、シンクリスト(状態情報を含む)、及び通信制御データ(ネットワーク形成などの管理を行っている場合には通信制御データが必要)を含んでいる。このシンクリストは、その特定グループに属するシンク機器2についてのシンクリストである。
このようなシステムにおいても、再生部は、状態情報(及び種別情報、チャンネル情報)に応じた再生制御を行う。但し、このようなグループ分けしたシステムでは、例えばリビング8aと寝室8bとでそれぞれ別々の視聴環境となるため、再生部は、機器情報受信部で受信した同一グループに属する他のシンク機器についての状態情報(及び種別情報、チャンネル情報)に応じて、再生制御を行うことが好ましい。複数の異なる視聴環境において、それぞれ視聴環境毎にシンク機器が連動動作することで、一方の視聴環境の不具合が他方の視聴環境へも影響してしまうことを避けることができる。
図15は、図12の無線伝送システムにおける寝室に設置されたフロント左スピーカの動作例を説明するためのフロー図である。図15に基づき、グループ識別ID0002(寝室8b側)のフロント左用のスピーカ機器83での動作例を主に説明するが、同じグループに属する他のシンク機器もその機器の機能に合わせた動作を同様に行う。別のグループ(リビング8a側)に属する他のシンク機器はこのグループ(寝室8b側)のシンク機器とは独立して動作する。以下の制御は、スピーカ機器83において図6のシンク動作制御部28が設定情報格納部29を参照しながら主に実行する。
まず、フロント左用スピーカ機器83は、ソース機器1から、図7の動作テーブル29aのような動作テーブルから、切断時の動作が規定してある種別のシンク機器のうち、自身のグループ識別IDと同じシンク機器の状態情報を取得する(ステップS31)。このシステムの場合、フロント左用スピーカ機器83内の動作テーブルには、動作テーブル29aのモニタに関する動作と、フロント右用スピーカ機器(機器84に対応)が切断時にそれ用のチャンネルの音声と合成して音量レベルを上げる動作と、リア左用スピーカ機器(機器75に対応)が切断時にそれ用のチャンネルの音声と合成して音量レベルを上げる動作とが規定されているものとする。なお、異なるグループのシンク機器73〜77が切断時の動作については当然であるが、リア右用スピーカ機器(機器86に対応)が切断時の動作についても規定していないものとして説明する。
続いて、フロント左用スピーカ機器83は、図9のステップS2〜S9と同様の処理を行う(ステップS32〜S39)。但し、ステップS32,S34,S36,S38での切断の判定は自身と同じグループ識別ID(0002)に対する状態情報に基づき行うことになる。
次に、図4で説明した制御コマンドを採用した実施形態について図2、図3、図6、図7等を適宜参照しながら説明する。この制御コマンドは上述の例から分かるように採用しなくてもよいが、採用することで複数のシンク機器を1つのシンク機器(グループ分けしている場合には各グループ毎に1つのシンク機器)で制御することができる。
この形態における主(マスタ)のシンク機器2は、上記再生部で行った状態情報等に応じた再生制御と同時に他のシンク機器2(つまり従となるシンク機器2)で実行すべき再生制御に関する制御コマンドを生成し、ソース機器1に無線で送信する制御コマンド送信部を備える。設定情報格納部29に、状態情報等に応じた再生制御(例えば図7の動作テーブル29aの各動作)に関連付けて、各シンク機器種別に対応する制御コマンドを格納しておき、それを読み出すことで制御コマンドを生成すればよい。例えば動作テーブル29aの各動作の隣りに制御コマンドを記述しておけばよい。制御コマンドは、例えば「音量レベルを上げて再生」、「待機状態への移行」又は「待機状態からの復帰」など、実際に従(スレーブ)となるシンク機器2で実行すべき内容を示すコマンドである。この制御コマンド送信部は、図6の各要素21、22、24、26、28、29で例示できる。
この形態におけるソース機器1は、マスタシンク機器2の制御コマンド送信部で送信された制御コマンドを受信する受信部を備える。この受信部は、図2の各要素18、17、15、13などで例示できる。さらにソース機器1は、その受信部で受信した各シンク機器に対する制御コマンドを、シンク機器情報(シンクリスト)の一部として、識別情報に関連付けて登録するコマンド登録部を備える。このコマンド登録部は、図2のシンクリスト管理部11で例示できる。これにより、シンクリスト管理部11では、各スレーブシンク機器2に対する制御コマンドを含むシンクリストが管理できる。
無論、マスタシンク機器の制御コマンドの送信をスレーブシンク機器に直接無線で伝達する構成においては、無線接続状態がシステム内で全て良好であれば制御コマンドをシンクリストに含めない実装にしてもよい。但し、一般にスター型のネットワークにおいては、配置によりソース機器とシンク機器の間は通信状況は良くても、シンク間の通信は通信状況が良くないことがありえるため、スレーブシンク機器への制御コマンドの伝達は、本システムのようにシンク間で行うよりもソース機器を経由してマルチキャスト送信する方がより確実性がある。さらに本システムでは制御コマンドをソース機器がマルチキャスト送信するシンクリストに含めて登録していることにより、シンク機器は制御コマンドを任意のタイミングでシンクリストを受信することにより取得することが可能であるため、一度制御コマンドを含むマルチキャスト送信の受信を失敗した場合でも、それ以降においてシンクリストを取得することによりコマンドの実行が可能となる。これは「待機・起動状態」、「音量レベル」など状態を指定する制御コマンドにおいて有効である。なお、マスタシンク機器2の無線接続状態が切断となったときには、コマンド登録部は、例外的に、制御コマンドとして再生停止コマンドを登録するようにしてもよい。この再生停止コマンドに基づくスレーブシンク機器2の制御としては、図9のステップS3で説明したように再生停止すればよいだけである。これにより、マスタシンク機器2の切断時にも対応できる。
この形態におけるスレーブシンク機器2の再生部は、機器情報受信部で受信した制御コマンドに従って再生を実行すればよい。例えば、制御コマンドが音量レベルを上げるコマンドであれば、スレーブシンク機器2のうち音声出力機器はそれに従い音量レベルを上げればよい。特に、再生部は、状態情報等に応じた再生制御より、制御コマンドに従った再生を優先して実行することが好ましい。
また、上述した制御コマンドに関する形態は、シンク機器2についてグループ分けを行うか否かに拘わらず適用できる。特に、グループ分けしている場合にはグループ毎に制御コマンドが記憶できるため、グループ毎の制御が可能となる。
このように、マスタシンク機器(基本は1台)、スレーブシンク機器(1又は複数台)、及び、制御コマンドをシンクリストに保持するソース機器により、無線伝送システムを構築すると、マスタシンク機器でスレーブシンク機器の制御が可能となる。スレーブシンク機器は、上述した状態情報等に応じた再生制御を直接行わなくても、制御コマンドに従った再生制御を行うことで、同様のよりシステム全体を見たバランスのとれた制御が可能となる。
また、以上の各例では、スピーカ機器であれば右用スピーカ機器などと予め設置場所が指定されているようなシンク機器を挙げて説明したが、無線通信(ユニキャスト無線伝送)の設定時などに、ソース機器に各シンク機器の種別を登録できるようにしてもよい。
また、動作テーブルを設定されている状態からの動作を説明したが、シンク機器の起動時にソース機器及び他のシンク機器から無線通信を経由して取得する構成にしてもよい。