JP5040878B2 - スラリーの製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、焼結体を製造する原料となる高密度のスラリー、あるいは印刷用ペースト、塗布用ペーストの製造方法、及びその製造装置に関する。また、これを用いて製造されたスラリー、及びこのスラリーを成形した成形体を焼成して得られた焼結体に関する。
焼結体を得るためには、液中に原料粉末を分散させたスラリーを製造し、このスラリーを乾燥・造粒後、成形した成形体を高温で焼成することが必要になる。この成形体を得るためには一般には加圧成形等の方法が用いられるが、例えばスパッタリングターゲット等には特に大型の焼結体が用いられるため、大型の成形体を得ることが必要になる。こうした大型の成形体を得るために加圧成形を行う場合には、装置の大型化が必要となるため高コストとなる。このため、特に大型の焼結体を得るためには、多孔質の鋳型にスラリーを流し込み、スラリーから液体成分を除去して成形体を得る鋳込み成形という手法が用いられる。
ここで、鋳込み成形を用いて得られる焼結体を高密度とするためには、特許文献1に記載されるように、スラリーを高濃度(高い粉末濃度)とすることが必要であると同時に、その粘度を低くすることが必要である。ところが、スラリーを高濃度とした場合には一般に粘度は高くなるため、この条件に適合したスラリーを得ることは容易ではない。また、低い粘度のスラリーを製造した後で放置した場合に粘度が再び上昇することがない、いわゆる低チクソトロピー性も要求される。
このため、特許文献1においては、高濃度のスラリーに対して湿式ジェットミル処理を行うことによって、スラリー中の原料粉末の濃度を60vol%、粘度を40mPa・s以下でかつ低チクソトロピー性とすることができることが示された。湿式ジェットミル処理においては、液体であるスラリーが高圧で容器内に噴出され、液体同士あるいは液体と容器の内壁との衝突が起こり、粉末の分散が進むことによって、スラリーの粘度を低下させることができる。このスラリーを鋳込み成形に用いて、相対密度が65%以上の高密度の焼結体を得ることができた。
特開2006−248876号公報
しかしながら、特許文献1に記載のスラリーの製造方法においては、予め所定の粉末濃度をもったスラリーに対して湿式ジェットミル処理を行うことにより、その粘度を小さくしている。従って、粉末濃度の高いスラリーを製造するためには、予め原料粉末の濃度が高いスラリーを製造し、このスラリーに対して湿式ジェットミル処理を行うことが必要になる。この際に、原料粉末の粉末濃度が高すぎる場合には、スラリーの流動性が低すぎるため、湿式ジェットミル処理を行うことができない。すなわち、特許文献1に記載の技術は、流動性をもち、湿式ジェットミル処理ができる範囲の粉末濃度のスラリーに対してのみ適用できた。従って、例えば特許文献1の段落番号0039に記載されるように、アルミナの粉末濃度が70vol%であるスラリーに対しては適用ができなかった。また、粉末の粒径が小さくなるとさらに流動性が得られにくくなり、湿式ジェットミル処理ができる範囲の粉末濃度が低下した。
従って、特許文献1に記載の方法だけを用いても、高濃度であり、かつ鋳込み成形に使用できる低粘度のスラリーを得ることは困難であり、特に粉末の粒径が小さくなる程、鋳込み成形に使用できる低粘度のスラリーが得ることが困難になった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、溶媒中に、粉末濃度が予め設定された値となるべく粉末が混合・分散され、かつ粘度が予め設定された値以下となるべく調整されたスラリーの製造方法であって、前記溶媒と前記粉末とが予め設定された前記粉末濃度の値よりも小さな粉末濃度で混合されたスラリー前駆体を得る工程と、前工程で得たスラリー前駆体に予め設定された前記粉末濃度の値の粉末濃度に対応した量よりも少ない量の前記粉末を更に混合する混合工程と、前記混合工程後のスラリー前駆体を加圧して衝突ユニット内に噴出させることによって前記溶媒中で前記粉末を破砕・混合・分散させる湿式ジェットミル処理工程と、を具備し、前記湿式ジェットミル処理工程後のスラリー前駆体に対して更に前記混合工程と前記湿式ジェットミル処理工程とを前記粉末濃度が予め設定された前記粉末濃度の値となるまで繰り返して前記スラリーを製造し、更に、前記スラリーを加圧して前記衝突ユニット内に噴出させることによって前記溶媒中で前記スラリーの粘度を調整する粘度調整湿式ジェットミル処理工程を具備し、前記スラリーの粘度が予め設定された前記粘度の値以下となるまで前記粘度調整湿式ジェットミル処理工程を繰り返し行うことを特徴とするスラリーの製造方法に存する。
請求項2記載の発明の要旨は、前記予め設定された粉末濃度の値は80重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のスラリーの製造方法に存する。
請求項3記載の発明の要旨は、前記混合工程後のスラリー前駆体が、前記湿式ジェットミル処理工程において、10MPa以上の圧力に加圧されることを特徴とする請求項1又は2に記載のスラリーの製造方法に存する。
請求項4記載の発明の要旨は、予め設定された前記粘度の値は150mPa・s以下であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のスラリーの製造方法に存する。
請求項記載の発明の要旨は、前記粘度調整湿式ジェットミル処理工程において、前記スラリーは10MPa以上の圧力に加圧され、かつ前記粘度調整湿式ジェットミル処理工程は1回以上行われることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のスラリーの製造方法に存する。
請求項記載の発明の要旨は、前記粉末のBET比表面積は3m/g以上であることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のスラリーの製造方法に存する。
請求項記載の発明の要旨は、前記粉末は酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化バリウム、酸化チタン、窒化珪素、窒化アルミニウム、金、銀、銅、ニッケルのいずれかを主成分とすることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のスラリーの製造方法に存する。
請求項記載の発明の要旨は、前記溶媒は水、エタノール、ターピネオールのいずれかを主成分とすることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のスラリーの製造方法に存する。
請求項記載の発明の要旨は、溶媒中に、粉末濃度が予め設定された値となるべく粉末が混合・分散され、かつ粘度が予め設定された値以下となるべく調整されたスラリーの製造装置であって、前記溶媒、又は前記粉末が予め設定された前記粉末濃度の値よりも小さな濃度で前記溶媒中に混合されたスラリー前駆体に、予め設定された前記粉末濃度の値の粉末濃度に対応した量よりも小さな量の前記粉末を供給する粉末供給部と、前記溶媒又は前記スラリー前駆体を攪拌して混合する攪拌機を具備する混合槽と、前記混合後の前記溶媒又は前記スラリー前駆体を加圧して衝突ユニット内に噴出させることによって前記溶媒中で前記粉末を破砕・混合・分散させたスラリー前駆体を得る湿式ジェットミル処理を行う湿式ジェットミル処理部と、前記湿式ジェットミル処理後の前記スラリー前駆体を前記混合槽に導く循環部と、前記湿式ジェットミル処理後の前記スラリー前駆体における粘度を計測する計測部と、を具備することを特徴とするスラリー製造装置に存する。
請求項10記載の発明の要旨は、前記衝突ユニットは、加圧された前記溶媒又は前記スラリー前駆体を2流路に分岐させた後、ノズルより噴出させて前記溶媒又は前記スラリー前駆体同士を衝突させることを特徴とする請求項に記載のスラリー製造装置に存する。
請求項11記載の発明の要旨は、前記衝突ユニットは、前記加圧された前記溶媒又は前記スラリー前駆体を硬質ボールへ衝突させることを特徴とする請求項に記載のスラリー製造装置に存する。


本発明は以上のように構成されているので、高濃度であり、かつ鋳込み成形に使用できる低粘度のスラリーを得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明の実施の形態に係るスラリーの製造方法を行うための製造装置の構成を図1に示す。このスラリー製造装置10は、特許文献1に記載の湿式ジェットミル装置に、スラリー自身の製造(溶媒と粉末との混合)も行わせる構成としたものであり、予め設定された値の粉末濃度のスラリーを製造する。なお、ここでいうスラリーとは一般に焼結体を製造するために用いられることを前提にしたものである。しかしながら、後述するように、このスラリーの製造方法、製造装置は、やはり溶媒中に粉末が分散された構造をもつが、必ずしも焼結体を製造するために用いられるものではないペーストやインクを製造する場合にも有効である。従って、ここでいうスラリーには、広義にペースやインクも含むものとする。
ここでは、このスラリーにおける粉末濃度の設定値を80重量%以上とすることができる。このスラリー製造装置10においては、まず、溶媒をスラリー製造装置10で循環させておく。溶媒を混合槽11に入れ、攪拌機111で混合した後、溶媒は給液ポンプ13によって混合槽11から排出され、増圧機14で例えば10MPa以上の圧力に加圧されることによって、衝突ユニット(湿式ジェットミル処理部)15中に噴出される。噴出された溶媒は衝突ユニット15内にて液体同士として衝突する。この噴出の際の圧力は、圧力計16でモニターされる。溶媒は循環ポンプ(循環部)17によって衝突ユニット15から取り出され、再び混合槽11に導かれる。液体同士を衝突させる場合は正面対向よりも斜め対向とする方が噴出孔への跳ね返りを防止でき望ましい。この場合、図1に示されるように、加圧された溶媒は2流路に分岐された後、ノズルから噴出されてこの溶媒同士が衝突する構造となる。また、衝突ユニット15において、加圧された溶媒を硬質ボールへ衝突させることによって衝突させる構造としてもよい。この場合、硬質ボールへの衝突の際のボールに対する噴出孔の位置関係は、偏芯させたほうが硬質ボールの耐久性が向上し望ましい。
混合槽11において、溶媒と、粉末供給部12から供給される粉末が混合され、スラリー前駆体が形成され、攪拌機111により攪拌されて粉末が分散される。スラリー中の最終的な粉末濃度は80重量%よりも大きくすることができるが、粉末の混合は一度にこの量を混合するのではなく、少量ずつ複数回に分けて行う。すなわち、粉末の一度の混合量は、製造するべきスラリーにおいて予め設定された粉末濃度に対応する量よりも小さくする。従って、この状態でのスラリー前駆体は流動性があり、その後、湿式ジェットミル処理が行われることによりさらに良好な流動性がある状態とすることができる。
混合槽11で形成されたスラリー前駆体は、給液ポンプ13によって混合槽11から排出され、増圧機14で例えば10MPa以上の圧力に加圧されることによって、衝突ユニット(湿式ジェットミル処理部)15中に噴出される。噴出されたスラリー前駆体は衝突ユニット15内にて液体同士あるいは硬質ボールに衝突し、混合、分散が行われる(湿式ジェットミル処理)。この噴出の際の圧力は、圧力計16でモニターされ、これを調整することによって混合、分散の度合いが調整できる。一般に粉末濃度が高い場合にはスラリーの粘度が高くなり、特に粉末濃度が高い場合には、スラリーに流動性がなくなるために、特許文献1の段落番号0039に記載されるように、湿式ジェットミル処理自身を行うことができない。これに対して、このスラリー前駆体の粉末濃度はこの設定された粉末濃度よりも低いため、十分な流動性を有し、湿式ジェットミル処理を行うことができる。この湿式ジェットミル処理により、スラリー前駆体の粘度を、湿式ジェットミル処理前と比べて低くすることができる。
こうして粉末の混合、分散が進み、低粘度となったスラリー前駆体は、循環ポンプ(循環部)17によって衝突ユニット15から取り出され、再び混合槽11に導かれる。ここで、再び少量の粉末が混合された後に、上記と同様にして再度湿式ジェットミル処理が衝突ユニット15中で行われる。以上の処理が、所望の粉末濃度となるまで繰り返され、最終的にスラリー前駆体は所望の粉末濃度とされたスラリーとなる。
その後で、バルブ18を切り替えて、製造されたスラリーはスラリー槽19に導かれ、スラリーとして使用することができる。
以上の処理によって、所望の粉末濃度となったスラリーが得られるが、この時点でその粘度は必ずしも所望の値となってはいない。そこで、この場合にこのスラリーの粘度を所望の値、例えば150mPa・s以下とするためには、スラリーをスラリー槽19に導かずに循環させて混合槽11に戻し。このスラリーに対して粉末の混合を行わずに、上記の湿式ジェットミル処理を1回以上行えばよい。すなわち、混合槽11において、粉末を新たに混合しないこと以外は上記の通りにしてスラリーをこの製造装置10内で循環させ、衝突ユニット15内で湿式ジェットミル処理を行うことにより、スラリーの粘度を所望の値にする。この工程は、特許文献1に記載の製造方法と同様である。
所望の粉末濃度のスラリーとする工程、あるいは所望の粉末濃度のスラリーとする工程と所望の粉末濃度のスラリーを湿式ジェットミル処理する工程を組み合わせることにより、粉末粒径が小さくても、その粘度を150mPa・s以下とすることができ、かつ粉末濃度は80重量%以上とすることができる。
なお、スラリー前駆体又はスラリーの粉末濃度及び粘度は衝突ユニット15の後に設けられたスラリーモニター(計測部)20で計測することができる。ただし、粉末濃度は湿式ジェットミル処理によって変動することはなく、混合槽11における一度の混合量を予め設定しておけば、自動的に粉末濃度は決定されるため、これをモニターすることは特に必要ではない。これに対して、スラリー前駆体あるいはスラリーの粘度は実測することが好ましい。
ここで、溶媒としては、特許文献1に記載されたものと同様に、水、アルコール類、ケトン類、油類、アミン類等、通常焼結体の製造に用いられるスラリーにおいて用いられるものを使用することができる。
粉末としては、製造する焼結体に応じたものを使用することができる。例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛等の酸化物、窒化珪素等の窒化物、炭化珪素等の炭化物等、金属等、任意のものを用いることができる。一般的に、原料粉末のBET値が大きくなるほど高濃度スラリーを作製するのが困難になるが、本発明を用いればBET値3m/g以上の粉末を用いても80重量%以上の高濃度スラリーを作製できる。
このスラリー製造装置10による具体的なスラリーの製造方法のフローを図2に示す。まず、溶媒のみが混合槽11に投入され(S1)、前記の通りに衝突ユニット15において湿式ジェットミル処理が行われる(湿式ジェットミル処理工程:S2)。この段階では粉末は投入されていないが、この処理によって溶媒中の気泡が除去され、後で脱泡処理を行うことを省略することができるため、この処理を行うことが好ましい。
循環されて混合槽11に溶媒は戻ってくるが、この時点では粉末は混合されていないため(S3)、所定量の粉末が溶媒に混合され、スラリー前駆体となる(混合工程:S4)。このスラリー前駆体は再び衝突ユニット15に導かれて湿式ジェットミル処理(S2)が行われて再び混合槽11に戻る。以上の粉末濃度の確認(S3)、混合工程(S4)、湿式ジェットミル処理工程(S2)は粉末濃度が設定値になる(S3)まで繰り返され、所望の粉末濃度のスラリーが得られる。ただし、その粘度は必ずしも所定の値とはなっていない。
従って、その後、所望の粉末濃度となったスラリーに対しても同様に湿式ジェットミル処理(粘度調整湿式ジェットミル処理工程:S5)が行われ、同様に循環されて混合槽11に戻る。この時点でスラリーの粘度が設定値以下でなければ(S6)、再び混合槽11にスラリーは戻り、結局、粘度の確認(S6)、粘度調整湿式ジェットミル処理工程(S5)は粘度が設定値以下になる(S6)まで繰り返される。
粘度が設定値以下になったら(S6)、バルブ18を切り替えることによってスラリー前駆体はスラリー槽19に導かれ(S7)、以降は焼結体を鋳込み成形するためのスラリーとして用いられる。
本発明においては、所定の粉末濃度となったスラリーに対して湿式ジェットミル処理を行う前に、所定の粉末濃度に達していないスラリー前駆体に対して湿式ジェットミル処理を行い、徐々に粉末濃度を高めることによって、所定の粉末濃度のスラリーに対して湿式ジェットミル処理を行うだけではできなかった、高い粉末濃度と低粘度をもったスラリーを得ることができる。その後で更にこのスラリーを低粘度化するために、予め設定された値以下の粘度となるまで粘度調整用湿式ジェットミル処理工程を繰り返し行うことができる。
衝突ユニット15中で行われる湿式ジェットミル処理においては、増圧機14で例えば10MPa以上の高圧とされたスラリー前駆体(液体)が噴出され、液体同士、あるいは液体と硬質ボールのような衝突壁との衝突が行われることによって、乱流、剪断、キャビテーション効果により、粉末の破砕、混合、分散が進む。本発明においては、スラリー作製のためにボールミル混合のような粉砕媒体を用いた方法が行われず、硬質ボール同士の衝突もないため、粉砕媒体であるアルミナボール、窒化珪素ボール、ジルコニアボールなどからの不純物の混入がないことが特徴である。
従って、このスラリーを鋳込み成形に用い、その成形体を焼結することによって、高純度・高密度の焼結体を得ることができる。特に、大型の成形体を低コストで製造することのできる鋳込み成形を用いることができるため、大型の焼結体を低コストで得ることができる。従って、特に数10cm以上の大きさの焼結体が用いられるスパッタリングターゲット等の製造に適している。
なお、混合工程において混合される粉末の量は必ずしも毎回同等である必要はない。同様に、湿式ジェットミル処理工程あるいは粘度調整用湿式ジェットミル処理工程における圧力も毎回同等である必要もない。これらは、設定される粉末濃度や粘度の値に応じて適宜設定できる。
また、本発明のスラリーの製造方法、製造装置は、スラリーだけでなく、同様の性質が求められるペーストに対しても同様に用いられる。例えば、印刷用ペースト、塗布用ペーストにおいては、近年、ナノ粒子をペースト化する必要が生じている。しかしながら、ロールミルのみからなる方法でこのナノ粒子を分散した場合では十分に分散されないため、より分散性の良いペーストが望まれていた。ペーストにおいては、上記のスラリーのように150mPa・s以下の低い粘度は要求されないものの、例えば、不純物を混入させずに分散性を高めるという観点においても、前記の通り、本発明のスラリーの製造方法、製造装置は有効である。従って、ペーストに対しても有効に本願発明を適用することができる。インクジェット等に用いられるインクに対しても同様である。
以下、本発明の実施例について説明する。ただし、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。ここでは、複数の種類の粉末を複数の種類の溶媒に混合したスラリー、ペーストを製造した。この際、湿式ジェットミル処理工程におけるスラリーの圧力とその後の粘度、粘度調整湿式ジェットミル処理工程におけるスラリーの圧力とその適用回数及びその後の粘度を調べた。また、この処理後の粉体に含まれる不純物として、Al、Zr、Siの濃度を測定した結果を調べた。
実施例1〜20については、この粉体を用いて焼結体を製造し、得られた焼結体の相対密度を測定した。
比較例1、2、4は、スラリーの組成は実施例と同様にして、湿式ジェットミル処理工程、粘度調整湿式ジェットミル処理工程の代わりにボールミル処理を行ったものである。比較例3、5は、湿式ジェットミル処理工程の代わりにボールミル処理を行い、粘度調整湿式ジェットミル処理工程は実施例と同様に行ったものである。なお、比較例1、3、4、5においてボールミル処理で用いられた破砕媒体はアルミナボール、比較例2において用いられた破砕媒体はジルコニアボールである。
各粉末のBET比表面積は、BET法によって求めた単位質量当たりの表面積で、JISR1626に記載された方法によって求めた。
以上の実施例、比較例において用いられた粉末、溶媒、及び各パラメータ、及びこれによって最終的に得られたスラリー等、焼結体の特性を表1に示す。
Figure 0005040878
この結果より、実施例1〜20においては、スラリーにおける粉末濃度を80%以上と高くしながら、粘度を150mPa・s以下と小さくすることができた。このスラリーを用いて相対密度が95%以上の緻密な焼結体を得ることができた。
ペーストとして製造した実施例21〜24においても、90%の高濃度であり、粘度が500mPa・sであり分散性の高いものを製造することができた。更に、これらのペーストを用いてスクリーン印刷を行ったところ、ライン/スペースが20μm/20μmの良好な印刷特性を示した。
また、どの実施例においても、粉末の分散性は製造後においても変化なく良好であった。
比較例においては、始めにボールミル混合にてスラリーを作製した。BET値4m/g以上の粉末を用いた場合、粉末濃度が80%になると流動性のあるスラリーが得られず、湿式ジェットミルが適用できなかった。すなわち、粘度の低いスラリーは得られなかった(比較例1、2、4)。粉末濃度が75%の場合、湿式ジェットミルが適用できたが、最終的に得られた焼結体の密度が90%と低くなった(比較例3、5)。
また、ボールミル混合を適用すると、破砕媒体であるボールから不純物が混入した。前記の通り、比較例1、3、4、5ではアルミナボールが、比較例2ではジルコニアボールが使用された。比較例1、3は原料粉末がアルミナのためAlの混入量は不明であるが、Zr、Siが実施例よりも多く混入した。比較例2はボールからZrが120ppm混入した。比較例4、5では、ボールからのAlが140ppm混入した。このように比較例では用いられた破砕媒体の材料であるアルミナやジルコニア、窒化珪素からのAlやZr、Siの濃度が粉体中で高くなったのに対し、実施例においてはこれらの不純物濃度を低くすることができた。
本発明の実施の形態となるスラリー製造装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態となるスラリー製造方法を示すフローである。
符号の説明
10 スラリー製造装置
11 混合槽
12 粉末供給部
13 給液ポンプ
14 増圧機
15 衝突ユニット(湿式ジェットミル処理部)
16 圧力計
17 循環ポンプ(循環部)
18 バルブ
19 スラリー槽
20 スラリーモニター(計測部)
111 攪拌機

Claims (11)

  1. 溶媒中に、粉末濃度が予め設定された値となるべく粉末が混合・分散され、かつ粘度が予め設定された値以下となるべく調整されたスラリーの製造方法であって、
    前記溶媒と前記粉末とが予め設定された前記粉末濃度の値よりも小さな粉末濃度で混合されたスラリー前駆体を得る工程と、
    前工程で得たスラリー前駆体に予め設定された前記粉末濃度の値の粉末濃度に対応した量よりも少ない量の前記粉末を更に混合する混合工程と、
    前記混合工程後のスラリー前駆体を加圧して衝突ユニット内に噴出させることによって前記溶媒中で前記粉末を破砕・混合・分散させる湿式ジェットミル処理工程と、
    を具備し、
    前記湿式ジェットミル処理工程後のスラリー前駆体に対して更に前記混合工程と前記湿式ジェットミル処理工程とを前記粉末濃度が予め設定された前記粉末濃度の値となるまで繰り返して前記スラリーを製造し、
    更に、前記スラリーを加圧して前記衝突ユニット内に噴出させることによって前記溶媒中で前記スラリーの粘度を調整する粘度調整湿式ジェットミル処理工程を具備し、
    前記スラリーの粘度が予め設定された前記粘度の値以下となるまで前記粘度調整湿式ジェットミル処理工程を繰り返し行うことを特徴とするスラリーの製造方法。
  2. 予め設定された前記粉末濃度の値は80重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のスラリーの製造方法。
  3. 前記混合工程後のスラリー前駆体が、前記湿式ジェットミル処理工程において、10MPa以上の圧力に加圧されることを特徴とする請求項1又は2に記載のスラリーの製造方法。
  4. 予め設定された前記粘度の値は150mPa・s以下であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のスラリーの製造方法。
  5. 前記粘度調整湿式ジェットミル処理工程において、前記スラリーは10MPa以上の圧力に加圧され、かつ前記粘度調整湿式ジェットミル処理工程は1回以上行われることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のスラリーの製造方法。
  6. 前記粉末のBET比表面積は3m/g以上であることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のスラリーの製造方法。
  7. 前記粉末は酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化バリウム、酸化チタン、窒化珪素、窒化アルミニウム、金、銀、銅、ニッケルのいずれかを主成分とすることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のスラリーの製造方法。
  8. 前記溶媒は水、エタノール、ターピネオールのいずれかを主成分とすることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のスラリーの製造方法。
  9. 溶媒中に、粉末濃度が予め設定された値となるべく粉末が混合・分散され、かつ粘度が予め設定された値以下となるべく調整されたスラリーの製造装置であって、
    前記溶媒、又は前記粉末が予め設定された前記粉末濃度の値よりも小さな濃度で前記溶媒中に混合されたスラリー前駆体に、予め設定された前記粉末濃度の値の粉末濃度に対応した量よりも小さな量の前記粉末を供給する粉末供給部と、前記溶媒又は前記スラリー前駆体を攪拌して混合する攪拌機を具備する混合槽と、
    前記混合後の前記溶媒又は前記スラリー前駆体を加圧して衝突ユニット内に噴出させることによって前記溶媒中で前記粉末を破砕・混合・分散させたスラリー前駆体を得る湿式ジェットミル処理を行う湿式ジェットミル処理部と、
    前記湿式ジェットミル処理後の前記スラリー前駆体を前記混合槽に導く循環部と、
    前記湿式ジェットミル処理後の前記スラリー前駆体における粘度を計測する計測部と、
    を具備することを特徴とするスラリー製造装置。
  10. 前記衝突ユニットは、加圧された前記溶媒又は前記スラリー前駆体を2流路に分岐させた後、ノズルより噴出させて前記溶媒又は前記スラリー前駆体同士を衝突させることを特徴とする請求項に記載のスラリー製造装置。
  11. 前記衝突ユニットは、前記加圧された前記溶媒又は前記スラリー前駆体を硬質ボールへ衝突させることを特徴とする請求項に記載のスラリー製造装置。
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