JP5039111B2 - 血流解析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気共鳴イメージング(MRI)装置、X線CT装置、シングルフォトンECT(SPECT)装置、ポジトロンECT(PET)装置などの医用画像診断装置により得られた被検体の画像データから被検体の血流の動態を解析する血流解析装置に係り、とくに、トレーサと呼ばれる標識物質を被検体内の血流に与えて収集した時系列の連続した画像データを用いて簡便、迅速かつ的確に血流動態を測定することができる血流解析装置に関する。
従来、X線CT装置によるダイナミック解析(dynamic study)や磁気共鳴イメージング装置による susceptibility contrast MRI(DSC−MRI)では、一般に、例えば非特許文献1及び2にみられるように、静脈から造影剤を投与し、時系列画像データを収集して、その画像を元に解析して血流パラメータを数値化または画像化している。この解析に伴う手順の一例を図8のステップS1、S2,S3A,S4A又はS1、S2,S3B,S4Bに示す。
定量化を行うためには、肺循環や造影剤投与のばらつきをなくするために、組織に流入する動脈TIC:Ca(t)を入力関数として、測定した組織TIC: Ci(t)とのデコンボリューション(de-convolution)を行い、組織固有のresidue function:Ri(t)を求め、それより血流動態を表す指標である血流量:Flow(脳の場合、CBF)、平均通過時間:MTTや血液量:Volume(脳の場合、CBV)などのパラメータを算出している。
また、非特許文献3及び4にみられるように、組織TIC:Ci(t)の最大傾斜とCa(t)の最大値からflowを算出する最大傾斜(Maximum gradient)法がある。
一方、脳、腎臓、肺など左右対称の臓器では、通常一方のみが疾患により異常をきたす場合が多いが、その場合は疾患側と対応する健康側の臓器や部位、または疾患でも比較的安定した臓器の一部分との比較により診断することは現在までもよく行われてきている。比較には通常は健康側との比(健側比)や差(健側差)を用いるが、数値的に文献化したりする場合に限られており、画像化することは行われていない。逆に疾患データは健側比や健側差としてデータベースに蓄積されている場合が多い。
▲O▼stergaard L, Sorensen AG, Kwong KK, Weisskoff RM, Gyldensted C, Rosen BR. High resolution measurement of cerebral blood flow using intravascular tracer bolus passages, part II: experimental comparison and preliminary results. Magn Reson Med. 1996;36:726-736. ▲O▼stergaard L, Weisskoff RM, Chesler DA, Gyldensted C, Rosen BR. High resolution measurement of cerebral blood flow using intravascular tracer bolus passages, part I: mathematical approach and statistical analysis. Magn Reson Med. 1996;36:715-725. Radiology1998;209 85-93 Miles.K et al. British Journal of Radiology 1991;337:643-645
上述した従来の血流測定の原理と現状を、その問題点を含め文献的考察をしながら説明する。
(血流モデル)
図9に、血管造影剤を投与する血流モデルを示す。同図において、(case1)は、造影剤を血管モデにおける組織の直近の流入動脈へボーラス(bolus)注入した場合を示し、(case2)は、造影剤を肘静脈へ注入した場合を示す。
まず、血流のモデルを考えると、数学的には、
[数1]
Ci(t)= Ca(t)*Ri(t) =∫0 TCa(T-t) Ri(t)dt ……(1)
で表せる。ただしCa(t)は動脈TIC、Ci(t)は組織TIC、組織MTF:Ri(t)、*は畳み込み積分(convolution)を表す。
特にd(t)をdelta関数として、Ca(t)=d(t)のときは、
[数2]
Ci(t)=d(t)*Ri(t)=Ri(t) ……(2)
となる。すなわち、組織直近の動脈にbolus注入した場合「case1」では組織MTF:Ri(t)がそのままCi(t)となる。
従来のde-convolution法によるCBF,CBV,MTTの算出の場合、図8に示すように、Ca(t)とCi(t)からRi(t)を求め、Ri(t)より次の式で各パラメータを求める。
Figure 0005039111
この従来の算出法において、動脈TICを測定し当該動脈TICで組織TICを補正する場合と、動脈TICを測定しないで組織TICを解析する場合とがある。前者の場合、血流パラメータ絶対値が得られ、後者の場合(補正なし)、血流を反映する相対的な指標(個人差や肺機能の影響あり)が得られる。
図10には、TIC解析に用いられるガンマ関数を示す。同図において、各パラメータの意味は、
Figure 0005039111
なお、Ca(t)が各動脈間でdelay:Td(図12参照)のみの違いとした場合、Ri(t)にTdを含めてRi(t‐Td)とすれば、delayも表現できる。
Figure 0005039111
本来、対象組織の流入直近の動脈TIC:Ca(t)を測定しなければ真のMTTを算出できない。
肘静脈から注入した場合(case2)、肺循環により組織への流入の動脈TIC:Ca(t)が時間的に広がるため、「case1」に比べ、Ci(t),Cv(t)も共に広がる。肺から脳内に流入した後の脳動脈間における場所による差に関しては、もし流路の異なる動脈の合流がなければ、分岐するのみならば、単にdelayがあるのみで、幅はほぼ一定と考えられる。
なお、Ri(t)は血流のモデルによりいくつかの種類が考えられている。例えば、
Figure 0005039111
(組織MTTと重心時刻MT1の関係)
組織TICの1'st passの重心時刻:MT1を指標とした場合の問題点について考える。
Ca(t)及びCv(t)のMT1間時間にはRi(t)の形、すなわち血流モデルへの依存性はないが、Ci(t)のMT1には血流モデル依存性が生じてしまう。ちなみに組織TIC:Ci(t)、任意の動脈TIC:Ca(t)を測定したとして、各1'st passの重心を各々MT1i,MT1a、測定動脈から流入口までの遅れ時間をTd(図12参照)とすれば、
[数7]
MTT=a(MT1i-MT1a-Td) ……(7)
の関係にある。
ただし、“a”はモデルに依存する係数で、1<=a<=2の範囲をとると考えられる。血管内造影剤でplug flowならばbox-modelとなり、a=2、拡散性tracerならばexponential-modelとなり、a=1となる。
ちなみに静脈の重心時刻:MT1vとすると、
[数8]
MTT=MT1v-MT1a-Td … (8)
の関係にある。すなわち組織と静脈の重心の、毛細血管への流入口からの時刻には2倍の違いがあることになる(図10参照)なお、これは組織の応答関数をboxタイプとした場合のモデルに基づいている。
また、一般にTIC:C(t)の重心時刻MTTは、
[数9]
MTT=∫0 t C(t)dt /∫0 C(t)dt … (9)
により算出できる。
ところで、Zierler(文献:Meier P, Zierler. K et al. Journal of APPLIED PHYSIOLOGY Volume 6 June 1954, 731-744参照)の「組織からの流出部分、すなわち静脈でのTICの重心をMTTとする」、すなわち、
[数10]
MTT=MT1v …… (10)
というのは組織内の毛細血管床の入り口に造影剤を急激に注入した時点を0とした場合の定義(図9, case1)である。
実際の検査のように造影剤を肘静脈から注入した場合(図9、case2)は、例えば頚動脈でCa(t)を測定したとすれば、Tdが脳の支配血管に基づいて組織毎に異なり、また、入力となるCa(t)が肺循環を経る間に広がるために、Zierlerの式をそのままでは用いられない。
重心時刻に、静脈TICではモデル依存性はないが組織TICではモデル依存性はあるが、いずれにせよ定量化するには動脈TICの重心を求めなければならない。
(最大傾斜法によるCBF、CBVおよびMTTの算出)
(最大傾斜法の原理)
Figure 0005039111
この式において、静脈に流出する前の時刻、すなわち組織の平均通過時間より短ければ、すなわちt<MTTの場合、
[数12]
Cv(t)≒0 …… (12)
となり、Fickの式は、
[数13]
dCi(t)/dt=f*Ca(t) (t<MTT)…… (13)
となる。この式を更に時間で微分すると、
[数14]
d2Ci(t)/dt2=f*dCa(t)/dt …… (14)
を表される。
ところで、図11に示すように、Ci(t)が立ち上がりで最大の傾斜となる時刻: t=tmax.grad.では、
Figure 0005039111
この最大傾斜法にあっては、しかしながら、その仮定としてt=tmax.gradでは静脈に造影剤が流出していないということが前提であるので、入力関数のbolus注入(組織の入力動脈)の時間幅が長い場合、この仮定は成り立たなくなる。肺循環の不良な患者の場合、この仮定不成立を無視できない場合もあり得る。Ci(t)とCa(t)に遅れ時間があっても(図12参照)、Camaxは遅れ時間の影響は受けない。CBFをTICの最大傾斜で算出するので、遅れ時間の影響を考慮せずにMTTとCBVからCBFを算出する方法に比べ、遅れ時間の影響は小さい。
現状のX線CTなどで用いられているCa(t)を測定して組織の応答関数を求めるデコンボリューション(de-convolution)法も遅れ時間の影響は無視できていない。ケースバイケースで両者とも一長一短があると考えられる。
なお、dCi(tmax.grad)/dtの計算は、gamma-variate function(図10参照)で近似する場合、最初の変曲点として計算できる。
(まとめ)
以上のことから、DSC−MRIにおいては、動脈TIC:Ca(t)の正確な測定は指標としているdeltaR2*と造影剤濃度との線形性が証明されていないことや、高濃度ではノイズに埋もれてダイナミックレンジが確保できず、高精度の測定困難である。また、たとえ動脈TIC:Ca(t)を測定しても、これまでに報告されているデコンボリューション法の場合、支配組織に極力近位の動脈でないと測定部分からの組織へ到達するまでの遅れ時間(図12のTd参照)が十分補正されないことから、誤差を生じる。
また、最大傾斜法は、前者に比べて簡便ではあるが、動脈TIC:Ca(t)の測定が必要であり、Ca(t)の時間幅が組織のMTTに比べて短くなければならないなど仮定が多くなり、定量性には疑問視されている。
本発明は、上述した従来の血流解析法に伴う現状に鑑みてなされたもので、被検体の動脈TICを測定せずに、その血流動態を定量的に表す指標を提供することができる血流解析装置を提供することを、その主要な目的とする。
とくに、X線CT装置によるダイナミック解析など、他のモダリティから得られた画像にも適用可能であるが、主として、dynamic susceptibility contrast MRI(DSC−MRI)により得られた画像を用いて、動脈TICを測定せずに、血流動態を定量的に表す指標を提供することができる血流解析装置を提供することを、上述した主要な目的に従属する別の目的とする。
また、上述した主要な目的の達成に加え、上述した指標を用いた健側比や健側差の値を、関心領域の数値のみならず、積極的に装置側で画像化することができる血流解析装置を提供することを、さらに別の目的とする。
さらに、上述した主要な目的の達成に加え、治療に必要な情報を迅速に提供することができ、これにより診断から治療まで通して支援する機能を有する血流解析装置を提供することを、さらに別の目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明に係る血流解析装置は、被検体の血液中に標識物質を与えて前記被検体の所望部位を医用モダリティにより経時的に撮像して収集した時系列の画像のピクセル毎または関心領域毎の時間濃度曲線(Time Intensity Curve: TIC)を解析する血流解析装置において、前記被検体の測定された組織の時間濃度曲線(TIC:Ci(t))のみに基づいて組織固有の血流動態を表すパラメータを、前記組織の時間濃度曲線(TIC:Ci(t))の立ち上がり最大傾斜(US)と、基準部分の立ち上がり最大傾斜(USref)との比に基づく血流量(FLOWratio)として算出する算出手段と、前記算出手段による算出結果を視覚的に提示する視覚情報提示手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明は、被検体の血流に対する標識物質(トレーサ)を用いた血流パラメータの定量化法を実現する装置及び方法であって、動脈TICを測定せずに、血流パラメータを定量化する指標を提供するものである。本発明で用いる定量的な指標としては測定対象者のある基準部分または流体ファントムとの比や差を用いる。具体的には、a)組織TIC:Ci(t)の時間方向での重心時刻:MT1からMTTの差deltaMTTを算出する手法、b)最大傾斜(Maximum gradient)法に基づく最大傾きUSの比を用いる手法が提供される。もし、基準部分からのパラメータ、すなわちリファレンスについて、その絶対値が与えられれば、CBF,CBV,MTTもその絶対値に変換可能である。
本発明に係る血流パラメータの定量化によれば、動脈測定が不要なので、簡便に且つ迅速に定量化が可能となり、脳梗塞など緊急性を要する治療の場合に特に有効である。本発明に係る解析結果の値は、基本的には基準とする部分との比や差としての定量値である。このため、以下のような利点がある。つまり、多様なモダリティにより血流測定された結果は、これまでも比や差であることが多く、データベースとして蓄積されてきている。本発明においても、比や差の情報を得るので、上述のデータベースの記憶データを簡単に比較できる。また、基準とする部分が被測定患者内の組織であっても、血流模擬ファントムであっても、絶対値化できるパラメータ情報を与えることができれば、組織各部分の血流パラメータを絶対値に変換して、かかる絶対値をマッピングすることもできる。
得られた個々の対象患者の血流情報と蓄積されている疾患データベースとを有機的に装置側で関連性をもたせて情報提供することにより、診断のみならず治療まで迅速かつ的確に遂行可能にもなる。
世界的にも死因の第2、第3位を占める脳梗塞や心筋梗塞は、血流情報を最も必要とする疾患であり、他の生体情報や画像診断装置から出力される画像情報を的確に読み取って判断し迅速な治療を行うことが求められるが、本発明に係る血流解析装置により、それらの必要性に確実に応えることができる。
本発明の血流解析装置の一実施形態を示す概略構成ブロック図。 実施形態で実行可能な重心法に基づく血流パラメータの定量化処理を説明する概略フローチャート。 実施形態で実行可能な最大傾斜法に基づく血流パラメータの定量化処理を説明する概略フローチャート。 血流パラメータの定量化における絶対値算出に必要な対象パラメータの基準値の作成処理を説明する概略フローチャート。 実施形態で実行される表示及び解析結果の提示の処理を示す部分的なフローチャート。 実施形態で採用される表示例を示す図。 実施形態で採用される別の表示例を示す図。 従来のダイナミックスタディの解析処理を示す概略フローチャート。 ダイナミックスタディにおける血管モデルとTICの測定との関係を説明する図。 ダイナミックスタディにおけるガンマ関数フィッティングを説明する図。 最大傾斜法を説明する図。 従来の血流解析における健側と患側のTIC及びTIC関連のパラメータを説明する図。
以下、本発明の実施形態に係る血流解析装置を図面に基づいて説明する。
この血流解析装置は、磁気共鳴イメージング装置やX線CT装置などの医用モダリティにより、ダイナミックスタディ法に基づいて収集された画像データから血流動態に関する情報を得て表示する装置である。このため、血流解析装置は、かかる画像データを入手できる環境にあればよく、医用モダリティと一体に構成されていてもよいし、医用モダリティとは別体で構成されていてもよい。別体で構成される場合には、収集された画像データは記録媒体で又は通信手段を介して医用モダリティから血流解析装置に送られる。
図1に、本実施形態に係る血流解析装置の概要を示す。この血流解析装置10は、医用モダリティ11で収集された被検体Pのダイナミックスタディ法により撮像された画像データを、通信手段12(又は記録媒体)を介して受信する。
具体的には、血流解析装置10は、入出力用のインターフェース(I/F)20を備え、このインターフェース20に接続されたバス21に、演算処理用の演算プロセッサ22、データやプログラムなどの必要な情報を記憶する記憶装置23、24、オペレータが手動で所望の情報を入力する入力器25、及び画像を表示する表示器26を備えている。記憶装置23及び24のうち、一方の記憶装置23には、例えば通信手段12を介して送信されてきた画像データが格納される。もう一方の記憶装置24には、演算プロセッサ22で行われる血流解析の処理に必要なプログラムや固定データなどのデータが事前に格納されている。
演算プロセッサ22は、CPU22A及びメモリ22B、22Cを備え、このうち、メモリ22Bに記憶装置24から読み出したプログラムを記憶させ、このプログラムに基づいて以下に説明する血流解析の処理を実行可能になっている。もう一方のメモリ22Cは、CPU22Aの処理中に生じる一時的に記憶したいデータを一時記録できるようになっている。
なお、この血流解析装置10には、解析結果を書込み可能なデータベース(DB)30及び治療時に医師が使用する薬剤注入装置31に接続されている。薬剤注入装置31はカテーテル32を介して治療用の薬剤を被検体P内に投与できるようになっている。
以下、上述した血流解析装置10によって実行される血流解析の処理を説明する。説明の複雑化を避けるため、本実施形態に係る解析の概要、理論的説明から始めて処理、表示までを項目毎に説明する。
(1.解析の概要)
本実施形態で用いる血流動態の定量的な指標としては、測定対象者のある基準部分との比や差を用いる。具体的な方法は、a)組織TIC:Ci(t)の時間方向における重心時刻:MT1からMTTの差deltaMTTを算出する方法(重心法による演算法)、b)最大傾斜(Maximum gradient)法に基づく傾きUSの比を用いる方法(最大傾斜法による演算法)である。
以下に、従来から提案されている血流測定の原理をもとにして、本発明の方法のキーとなる、a)重心法による演算法、b)最大傾斜法による演算法を説明する。その後、それら演算の結果得られるデータを用いて、他のマップを作成する方法を説明する。さらに、仮に基準部分のCBF,CBV,MTTのパラメータのうち、少なくとも2種類の絶対値が与えられれば、CBV=MTT*CBFの関係より、3種類のパラメータは絶対値に変換可能であるということを利用して、基準部分の絶対値を用いて絶対値のマップを作成する方法をも説明する。
さらに、得られた血流パラメータは患者間、疾患間では医用モダリティを越えて比較に耐える定量値でもあるという事実がある。そこで、その血流パラメータを、データベースとして蓄積されたデータとの照合によりその時点の患者データの位置付けが明確にできるという、いわゆるCAD(Computer Aided Diagnosis)的な機能をも説明する。
(2.定量指標の算出)
本発明に係る、新たな動脈TICを用いないで算出する定量化指標である、重心法によるMTTの差:deltaMTTの算出、及び、最大傾斜法によるCBF、CBVおよびMTTの健側比についてそれぞれ説明する。2つ物理量のうち、CBVは共に共通で、MTTとCBFの算出方法が異なる。
(2.1 重心法によるMTTの差:deltaMTTの算出)
患側(患部側)と健側(健康部側)との真のCBVの比:CBVratio及びMTTの差:deltaMTTは、動脈測定をせずに算出できるということを最初に説明する。
TICパラメータについて、正常側には添え字hを付けて示す。つまり、
Figure 0005039111
組織血流モデルをbox-modelと仮定し、患側と健側のMTTの差をdeltaMTTとすると、
[数17]
deltaMTT=a(MT1Ei-MT1Eih) …… (16)
により健側と患側のMTTの差の絶対値が算出できる。
ただし、動脈TICは広がらない(半値幅が変わらない)と仮定する。動脈内では側副血行などで組織へ到達するまでの遅れ時間が変化しても、動脈間で合流などがなければ同じと考えられる。
ちなみMT1Eの健側比ではCa(t)の広がりが同一だとしてもキャンセルできないので絶対値にならないので注意を要する。さらにもし、動脈TICは健側と患側で同一(側副血行がない場合など、しかしこの仮定は梗塞例ではむずかしいかもしれない)と仮定できれば、ATで補正しない重心時刻の差から、
[数18]
deltaMTT=a (MT1i-MT1ih) …… (17)
により算出できる。
次に、真のCBVについては、患側と健側のCBVの比はACの比になる。
Figure 0005039111
動脈TICは途中で造影剤の漏れがなければ、遅延があっても時間積分は同一とみなしてよい。すなわち、
Figure 0005039111
<deltaMTTの導出>
真のMTTは、
Figure 0005039111
Figure 0005039111
Figure 0005039111
またもし、関心組織直近の入力動脈のTICに、健側と患側で遅れが同一とすれば、ATi=ATiとなるから、この場合は出現時間ATを考慮しなくてもよい、すなわち
[数24]
deltaMTT=a(MT1i-MT1ih) …… (20)
と表せる。
ここで前出のように、“a”はモデル依存性があり1<=a<=2の範囲をとるものと考えられるが、組織によって変動するものではなくほぼ一意に決定できる値であるものと考えられる。“a”を実験的にでも仮に一定値に決めれば、deltaMTTは算出可能である。
なおdelaMTTの算出にはMT1E,MT1の代わりに、近似的にTICが最大値を与える時刻であるpeak time: PT、又は、PTから出現時刻をひいたPTE(=PT−AT)を用いてもよい。MT1のかわりにPTE、PTを用いた場合、TICが左右対称形と近似できる場合の誤差は顕著ではなく、逆に再循環などに影響されず確実に求まるのに対し、MT1の場合は計算範囲に再循環の含まれ方が誤差を与える場合がありうるので、実用上はどちらでもよい。
PTを用いた場合の(19),(20)に対応する式は、
Figure 0005039111
(2.2 最大傾斜法によるCBF、CBVおよびMTTの健側比)
動脈TICを測定しなくても、最大傾斜法に基づく組織TICの最大傾斜値を用いてCBF、CBVおよびMTTの基準値との比を算出する方法を説明する。
Ca(t)は脳血管内で遅れ時間はあってもピーク値のCamaxはひとつの検査では同一と考えられるので同一検査での2箇所の比ならCamaxは消える。異なる検査間の差や患者の心肺機能による差はCamaxの大きさの差になる。よって、最大傾斜法により算出したCBFの健側比を考える。ただし、添え字hを健康側とする。
Figure 0005039111
DSC−PIはCT−PIに比べ造影剤量が少なくて済む(CT−PIの約20−50%程度)ので、ボーラス注入は細くすることが可能である。このため、本実施形態の手法において重要な仮定である、静脈に流出が無視できるという可能性は大きくなる。
また、別途次式によりCBV健側比、MTT健側比が算出できる。
CBV健側比は
Figure 0005039111
以上まとめると、組織TICのカーブパラメータのみを用いて、次式により、CBF,CBV,MTTの絶対値比を算出することができる。
Figure 0005039111
(3.基準部分の取り方)
基準部分は同一患者の小脳など血流障害の頻度が比較的少なく患者間で正常とみなせる確率の大きい部位一箇所でもいいし、脳のように左右対になっている臓器で通常は片半球が障害される場合が多い例では、正常側の対応する部分を基準部分にしてもよい。
本発明の方法で算出される値は、ある基準を設けそれとの比や差を用いた指標であるが定量値である。すなわち患者間、同一装置や異種装置の測定間での比較が可能な値である。またX線CT、SPECT,PETなどの他モダリティとの比較も可能な値である。結果はROIをとって数値的に出すだけでなく、全脳のマルチスライスでゲインやコイル感度などによる濃度むらはDSC−MRIではベース画像との比をとることで相殺される、すなわち、
[数29]
deltaR2*(n)=ln[Sbase/S(n)]), ( n=1,2,----N )
なので、あるスライス内または抽出した部分を基準として全脳におけるボクセル毎に、本発明で提案した比や差のマッピング可能である。
また、もし基準部分が個体差のない部位であれば、血流パラメータの絶対値も算出可能である(図2、図3のオプション機能参照)。なお基準部分は健側のどこにとってもよいが、小脳は脳梗塞などの病的な場合でも比較的安定している部位であるためよく用いられる。理想的には患者内の組織でなく血流の値が既知のファントムを同時に撮像しておき、そこの値を基準とするのが最適である。
基準となる部分のROIをマニュアルで設定してもよいが、またそれをダイナミック解析処理後のパラメータマップ上で設定してもよい。さらに、あらかじめ事前に撮像したT1W,T2W画像などの上で設定しておいてもよい。
パーフュージョン検査のEPIによるダイナミック収集前に事前に収集したT1W,T2Wなどで基準となる部分の領域を設定しておけば、空間分解能などの点で設定しやすい利点と同時に、ダイナミック収集から中断することなく自動で解析処理が流れ、最終的なマッピングまでスルーして流すことができる。またマニュアルでROIを設定するのでなく、自動抽出もし易くなる。
基準部分を健側に設定する場合について、健側が左右どちらかを症状などから予測できる場合もあるが、通常検査を実施する前は不明である。画像情報から医師または装置が自動的に抽出して判断する機能に関して説明する。解析対象の血流画像そのもの、または血流画像を撮像前に撮像したMRAの血管像から判定することができる。
血流画像そのものから判断する場合は、対象が脳血管障害に限られるが、健側は通常Flowが大きく、MTTは短いのでFlowを表すUSマップの左右平均をとり大きい側を健側とするか、PTやMT1マップの小さい側を健側とする。ACはいずれが大きいか不定なので使えない。方法に応じて解析対象のパラメータを使用すれば、すなわち、後述する図2の重心法ならばMT1マップまたはPTマップを、後述する図3の最大傾斜法ならばUSマップを使用すれば最小限の入力データで算出できる。MRAの血管像から判定する場合、左右いずれかの動脈が閉塞するとその先の血管は描出されないので、例えばMIP像で左右正中線から分離して平均値を求め大きい方が健側であるとの判断をする。または主要動脈の形態は既知であるから、脳ならば血管の上流側の内頚動脈から左右別々に末梢側へ探索をして、血管とみなせるある閾値以上の経路長を求めるなどすれば分枝毎の状態が把握でき、平均値よりは高精度に判定が可能である。
健側が左右どちらかを医師が判断し後段のソフトに情報を入力してもよいが、自動で判定して後段のソフトに与えればより高速化が図れる。いずれの場合も抽出した領域は解析対象の複数のパラメータで共通に用いる。MRAはTOF法でもPC法でもよく、はじめに撮像する位置決め用プラン像に使用すればその段階でも判断できる。図5に基準部分の領域内平均値算出部の詳細例を示す。
(4.解析処理フロー)
通常の動脈TICを測定せずに個々のROIまたはピクセル毎に組織TICのカーブ解析を行い、パラメータを算出しマッピングするソフトはすでに多く用いられている。この実施形態では、組織TICを解析して求めたマップを入力として定量化パラメータを算出し、マッピングするフローを2つの場合について、図2のステップS11〜S14、図3のステップS21〜S24にそれぞれ示す。この図2,3の処理は、演算プロセッサ22により、例えば選択的に実行される。
図2は、重心法に基づくdeltaMTTの算出と、血流パラメータMTT,CBV,及びCBFの絶対値の算出と示すもので、TIC解析の結果得られるAC、MT1Eのマップから求める。近似的には、重心時刻MT1Eの代わりに、そのATを考慮していないMT1や、ピーク時間のATを考慮したPTE又は考慮しないPTから求めるようにしてもよい。一方、図3は、最大傾斜法に基づく血流パラメータCBV、CBF、MTTの算出と、それらの絶対値の算出とを示すので、TIC解析の結果得られるAC、MT1のマップから求める。
本実施形態では、組織TICを解析して求めたマップを元に開始しているが、当然、データ収集から収集データの解析処理、提示、保管処理まで通して実行可能である。また、通常のダイナミック解析で蓄積してある血流マップをデータベース30などから呼び出して定量化処理を加えることも可能であるので、過去の資産を生かせる点でも意義が大きい。途中、処理が中断しないようにスルーした流れを作るには基準となるROIをとる場合、3項に示したように他パラメータ種の画像上でダイナミック収集前にとるか、途中でも自動処理すれば、流れを中断することはない。
また、図2のステップS12及び図3のステップS22では、基準部分の領域内の平均値(絶対値)が与えられる。この平均値を与える処理は、具体的には図4のステップS31(脳輪郭及び正中線の決定)、S32(健側の判定)、S33(基準部分の平均値算出)に示すように行なわれる。この平均値は、ROIでAC、MTIの各マップに設定するか、予め撮影前にT1W画像などで設定しておいて処理時に自動読出される。
このように、オプション機能として基準部分の絶対値を与えれば、各ROIやピクセルでのCBF,CBV,MTTの絶対値を算出するモード(絶対値算出機能)を設けることができる。基準部分の絶対値は通常、正常部分にとるので、すでにPET,SPECT、Xe-CT、Dynamic-CTなど他のモダリティなどにより、既に得られている年齢や性別での統計値をテーブルや関数などをデータとして予め格納しておき、検査対象の患者の年齢性別などの情報から算出して用いてもよい。なお、この絶対値の算出機能はオプションではなく、標準機能として搭載してもよい。
(5.統計解析処理と結果の表示)
上述した4項は定量的指標によるマッピングまでについてフローであるが、本項で説明する機能は定量化マップを元に、統計処理を行い、結果をグラフや画像(マップ)で表示し、最後に血流動態のデータベースに蓄積する機能である。この処理は、演算プロセッサ22により実行されるもので、その一部を図5に示す。
定量化された指標のマップや数値データがあれば、本発明の手法を用いないで得たものであればよく、独立した機能とみなしてもよい。
あらかじめ脳には血管毎の支配領域があるので、この支配領域を、a)ROIで分割する機能(図5、ステップS41)、b)分割したROI毎に平均値や分散を求める機能(ステップS42)、c)ある患者の分割した領域毎にグラフ上にプロットする機能(ステップS43)、及び、d)マップとして表示する機能(ステップS44)を備えることができる。また、これらの表示内容は、解析結果を示す数値データと共に、データベース30に保管される(ステップS45)。
a)のROI分割は、例えば2次元のスライスならば図6(a)のように行う。マルチスライスなら3次元的に行ってもよい。血流から分割する場合、脳では主要血管はMCA、ACA、PCAの3種類、左右ずつ対になって6本あるので、例えば6つの領域に分割できるが、さらに各血管で分枝があるのでさらに細分割してもよい。患者毎に変形があるので標準脳に変形してからテンプレートの分割パターンをオーバーラップさせれば、自動化が可能である。この場合、逆に標準脳で分割されているROI側を個々の患者に合わせて変形してもよい。
図7に結果の表示例として支配領域毎にカラー化したものを示す。同図は、血管支配領域毎の正常値との比をカラー表示するもので、各領域のリスクの度合いを数値と共にカラーで認識できる。カラーバーの1で示すカラーが正常値として表わされる。例えば、赤味を帯びた色合いになるほど、血流疾患が重度であることを表すなどの態様を採ることができる。統計的に求められる閾値を併せて表示することができる。なお、必ずしも支配領域毎に表示する態様に限られるものではなく、かかる表示をピクセル毎に行なってもよい。カラーバーのスケール値の刻み幅は、そのパラメータの統計上、とり得る最大値及び最小値を与えると、自動的に段階的に分割し直されるようにするとよい。
c)のグラフへのプロットは、2次元のグラフに2つのパラメータを縦軸、横軸でとり、ある個体の各支配領域のデータを平均値と標準偏差SDで示す。SDを表示するのはROI内の分布をみるためであり、大きい場合は支配領域内でばらつきが大きいので細分割してみるなど、読影者に再検討を促すことができる。この場合は2変量なので楕円となる。2変量は重心法の場合はdeltaMTTとCBVratio、最大傾斜法ではCBVratio vs. CBFratioになる。またオプション機能で絶対値を算出しているのであれば、絶対値同士でもよい。その場合、2つの方法でもCBV,CBF,MTTの3種類も求まるので、そのうちの2つでグラフ化すればよい。または3次元グラフにしてもよい。
図6(b)に、ある支配領域(この場合には、MCA領域)について、その領域の基準側との比により作成される、CBVratioとCBFratioの関係を示す2次元グラフの表示例を示す。このグラフは、支配領域毎に作成される。グラフ上の各ポイントは、CBVratioとCBFratioの平均値とROI内のSDとを楕円で示している。縦軸及び横軸のSDが異なるので、楕円となる。楕円でなくても十文字で示してもよい。1は各パラメータの正常値を意味する。その時点でプロットされたポイントが視認し易いように、例えば特定の色で表示させたり、フラッシュさせたりするようにすることが望ましい。CBFratio.th及びCBVratio.thは統計的に求められた臨床的に危険とされる閾値であり、1が正常値になる。また表示する値は正常値との差と正常値の比でもよく、この場合は0が正常値となる。サンプル数が増す毎にデータベースは充実してくる。
ここで血流パラメータについて、例えば2次元グラフで表す意義を補足説明する。
生体では、上流の動脈の閉塞や狭窄により下流側の動脈の血圧が低下すると、動脈は、その自動調節能を有している間は拡張し、流量を維持しようとする作用がある。すなわち、脳組織であれば、血圧が低下してMTTが延長すれば、血管を拡張させてCBVを増加させ、CBFを維持しようとする。例えば、CBVratio vs. CBFratioの2次元グラフで具体的に説明する。
Figure 0005039111
2つのパラメータがどのグラフ上でどの領域にあるかを観察することで、CBFのみではわからない情報が得られることになる。もちろん生体は閾値といってもデータ数の問題や測定精度の問題やまた個人差もあるので、2値論理的に決定されるものではない。また、パラメータの大きさの組み合わせから、予め臨床的な観点から統計的な計算によりグルーピングがグラフ上に表示されており、現在プロットされた患者の値と比較することで、患者がどういう状態にあるかを非専門家でも視覚的に理解できる。さらには血流パラメータのみならず、異種パラメータ、例えばMRIならば拡散係数ADCやMRAによる血管の流速なども、次元に含めると、さらに多角的な診断が可能になる。
(6.治療情報の提供および治療コントロール)
さらに画像やグラフで結果を提供するのみならず、治療に用いる薬剤の量などを得られた検査情報から算出し(図5、ステップS46)、医師に提供するか、及び/又は、カテーテル32を介して薬剤注入する薬剤注入装置30に直接入力することができる(ステップS47)。治療必要群と治療不要群にオーバーラップがあるので、それはどの程度の信頼度か色や数値で表せば治療の必要性の程度がわかる。治療・保存のどちらかの行為を選択しなければならない場合は、また各群のCBFとCBVの統計分布(平均とSD)が既知になればベイズの判定法などを用いて2値論理的にだしてもよい。また、治療する/しないの2値論理的な判定でなく、連続的な値であるCBFratio、 CBVratioの2つの関数で決定される値が大きいほど血栓溶解剤を多く投与するなど、薬剤の量に反映させてもよい。投与量の関数は例えば、
[数31]
血栓溶解剤投与量=function(CBVratio,CBFratio,年齢, 性別, 心拍数, 血圧)
などで表せる。
これらにより装置側で診断のみならず最後の治療方法の判定まで有機的にスルーして処理し、必要な情報を提示することができるので、血流情報は特に脳梗塞や心筋梗塞など緊急性の高い疾患に適用されるので極めて重要な機能となる。
(7.効果)
血流情報の臨床適用は、脳梗塞や心筋梗塞などのように緊急性が高い場合が多いが、本実施形態によれば、診断のみならず治療まで通して必要な情報を提示することができる。これには、本実施形態のように、血流情報を個体や検査方法に依存しない共通の尺度で表すことが重要である。
本実施形態の第1のポイントはデータベースとして共通の土俵で比較しうる質の高い情報にするための新たな指標を提案し、具体的な算出法を理論的裏付けをもって示したことである。従来の方法では単なる相対値(ここでは組織TICの面積:AC、重心時刻:MT1など)のままでは検査単位を越えた比較ができない、検査手技や心肺機能に依存した尺度なので比較はせいぜいその患者の経過のなかでしか使えないなど範囲がせまく普遍性がないものであった。
比や差を用いる方法で算出したパラメータは普遍的な値なので単一モダリティ内のひとつの検査法のみならず、MRI全体さらにはモダリティを越えたデータベースにできるのである。
本実施形態の第2のポイントでは従来の絶対値の定量化法に比べ、検査法としても動脈TICの測定が不要なので簡便になり、またDSC−MRI特有の問題だが、濃度との線形性やダイナミックレンジの問題で動脈TICの測定精度だせないので、たとえ測定しても遅延時間の問題などで精度を逆に悪化させる場合がありうるという問題も解決される。他のモダリティで絶対値でなく健側比や小脳比で蓄積されているデータベースとの比較もできる。
本実施形態の第3のポイントは、本手法は収集から診断、治療判定までひとつの検査としてスルーして完結させることもできるが、従来の方法によるデータを再利用して生き返られえることができることがまた優れた点である。
本実施形態の第4のポイントはそのデータと蓄積されたデータベースを用いて、比較しながら診断でき最終的な治療指針をも提供することである。
本実施形態が実現されれば、脳血流の専門家でないとマップのみではわからない場合でも、正常値との比や閾値との関係が直接わかるので脳血流に非専門の救急医や当直医でも判断を下すことが可能になる。これは時間を選ばない脳梗塞の救急患者などでは重要な機能となる。ひいては現在主要死因の第2、第3番目である脳梗塞や心筋梗塞の治療成績の向上に寄与することは疑う余地はない。
10 血流解析装置
11 医用モダリティ
12 通信手段
22 演算プロセッサ
22A CPU
23、24 記憶装置
25 入力器
26 表示器
30 データベース
31 薬剤注入装置
P 被検体

Claims (7)

  1. 被検体の血液中に標識物質を与えて前記被検体の所望部位を医用モダリティにより経時的に撮像して収集した時系列の画像のピクセル毎または関心領域毎の時間濃度曲線(Time Intensity Curve: TIC)を解析する血流解析装置において、
    前記被検体の測定された組織の時間濃度曲線(TIC:Ci(t))のみに基づいて組織固有の血流動態を表すパラメータを、前記組織の時間濃度曲線(TIC:Ci(t))の立ち上がり最大傾斜(US)と、基準部分の立ち上がり最大傾斜(USref)との比に基づく血流量(FLOWratio)として算出する算出手段と、
    前記算出手段による算出結果を視覚的に提示する視覚情報提示手段と、を備えたことを特徴とする血流解析装置。
  2. 前記画像のピクセル毎または関心領域毎に前記時間濃度曲線(Time Intensity Curve: TIC)の立ち上がり最大傾斜(USref)を算出して立ち上がり最大傾斜マップを生成する生成手段と、
    前記マップ上で前記基準部分を設定する設定手段と、をさらに備え、
    前記算出手段は、前記設定手段によって設定された前記基準部分を基に前記パラメータを算出することを特徴とする請求項1に記載の血流解析装置。
  3. 前記算出手段は、前記パラメータとして、前記組織の時間濃度曲線(TIC:Ci(t))のカーブ下面積(AC)と、前記基準部分におけるカーブ下面積(ACref)との比に基づく血液量(VOLUMEratio)、及び、MTTratio=VOLUMEratio/ FLOWratioの関係式に基づく平均通過時間(MTTratio)をそれぞれ算出する手段であることを特徴とする請求項1に記載の血流解析装置。
  4. 前記算出手段は、前記パラメータとして、前記組織の時間濃度曲線(TIC:Ci(t))の重心(MT1)の前記基準部分における重心(MT1ref)との差と、モデルに依存する係数(a)とに基づく平均通過時間(MTT)の差(deltaMTT)、及び、前記組織の時間濃度曲線(TIC:Ci(t))のカーブ下面積(AC)と前記基準部分におけるカーブ下面積(ACref)との比に基づく血液量(VOLUMEratio)をそれぞれ算出する手段であることを特徴とする請求項1に記載の血流解析装置。
  5. 前記算出手段は、前記基準部分における前記パラメータの定量値である絶対値が与えられたときに、前記算出手段により算出する前記パラメータの絶対値を前記ピクセル毎又は関心領域毎に算出可能な絶対値算出手段を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の血流解析装置。
  6. 前記血流解析装置は、前記医用モダリティと一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の血流解析装置。
  7. 前記医用モダリティは、X線CT装置又はsusceptibility contrast MRI(DSC−MRI)装置であることを特徴とする請求項6に記載の血流解析装置。
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