以下に本発明の具体的な実施例を説明する。
<実施例1>
図1は、本実施例に係る内燃機関の制御装置を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、ガソリンを燃料とする火花点火式の内燃機関(ガソリンエンジン)である。
内燃機関1のシリンダヘッド2には、燃焼室3に連通する吸気ポート4と排気ポート5とが各々設けられている。シリンダヘッド2には、吸気ポート4を開閉する吸気弁6と、排気ポート5を開閉する排気弁7とが設けられている。
吸気弁6には、当該吸気弁6の開閉特性を変更する可変動弁機構が設けられている。この可変動弁機構として、吸気弁6の開閉特性である開弁期間(バルブ作用角)の変更を行う吸気弁バルブ作用角可変機構8と、吸気弁6の開閉特性である開閉時期(バルブタイミング)の変更を行う吸気弁バルブタイミング可変機構9とを備えている。
本実施例における吸気弁バルブ作用角可変機構8は、吸気弁6のリフト量と共にバルブ作用角を2段階に変更する機構である。ここでは、吸気弁6のリフト量及びバルブ作用角が小さい方を小作用角、吸気弁6のリフト量及びバルブ作用角が大きい方を大作用角という。
なお、本実施例では、吸気弁バルブ作用角可変機構8は、吸気弁6のリフト量と共にバルブ作用角を2段階に変更するだけの機構であったが、本発明としては、バルブ作用角を少なくとも2段階に変更できればよく、例えば、バルブ作用角を2段階以上の3段階などに変更できるものにも適用できるし、バルブ作用角を連続的に変更できるものでもバルブ作用角を瞬間的に大きさの離れた作用角に変更する場合に適用できる。
一方、本実施例における吸気弁バルブタイミング可変機構9は、吸気弁6のバルブ作用角を一定に維持したまま吸気弁6の開閉タイミングを連続的に変更する機構である。
シリンダヘッド2には、燃焼室3内にて火花を発生する点火プラグ10と、燃焼室3内へ燃料を噴射する筒内燃料噴射弁11とが設けられている。
シリンダヘッド2には、吸気ポート4に連通する吸気管12と、排気ポート5に連通する排気管13とが接続されている。吸気管12には、エアフローメータ14が設けられている。
エアフローメータ14は、電子制御ユニット(ECU)15と電気的に接続され、該エアフローメータ14の出力信号がECU15に入力されるようになっている。ECU15には、エアフローメータ14に加え、内燃機関1に取り付けられた水温センサ16及びクランクポジションセンサ17などの各種センサが電気的に接続されている。
ECU15は、各種センサの出力信号に基づいて、吸気弁バルブ作用角可変機構8、吸気弁バルブタイミング可変機構9、点火プラグ10、及び筒内燃料噴射弁11を電気的に制御することが可能になっている。
次に、本実施例における吸気弁バルブ作用角可変機構8の制御について説明する。図2は、本実施例における内燃機関1の運転状態に応じた吸気弁のバルブ作用角の使用領域を例示した概略図である。図2の横軸は内燃機関1の機関回転数NEを表し、縦軸は内燃機関1の機関負荷を表している。
図2において、内燃機関1の運転状態が低負荷・低回転の領域では、吸入空気量が少なくてすむので、吸気弁6のバルブ作用角に小作用角が選択される。吸気弁6のバルブ作用角が小作用角であることで、吸気管12に設けられるスロットル弁開度の上昇を図ると共にポンプ損失の低減を図っている。内燃機関1の運転状態が高負荷及び/又は高回転の領域では、吸入空気量が多く必要なので、吸気弁6のバルブ作用角に大作用角が選択される。
このように、吸気弁バルブ作用角可変機構8を用いて吸気弁6のバルブ作用角を小作用角と大作用角とに切り替えるようにしている。
ところで、例えば内燃機関1の運転状態が低負荷・低回転の領域から高負荷領域及び/又は高回転領域へ移行する場合には、吸気弁バルブ作用角可変機構8により、吸気弁6のバルブ作用角は小作用角から大作用角に瞬間的に切り替わる。また、内燃機関1の運転状態が高負荷領域及び/又は高回転領域から低負荷・低回転の領域へ移行する場合には、吸気弁バルブ作用角可変機構8により、吸気弁6のバルブ作用角は大作用角から小作用角に瞬間的に切り替わる。
そして、例えば吸気弁6のバルブ作用角が小作用角から大作用角に瞬間的に切り替わる場合には、吸入空気量が切り替え後に急激に増加し、トルクショックが生じてしまう。ま
た、吸気弁6のバルブ作用角が大作用角から小作用角に瞬間的に切り替わる場合には、吸入空気量が切り替え後に急激に減少し、トルクショックが生じてしまう。これらのように吸気弁6のバルブ作用角を瞬間的に切り替える場合には、吸入空気量が瞬間的に急激に変化するため、トルクショックが生じてしまう。
そこで、本実施例では、上記のように吸気弁6のバルブ作用角を切り替える場合に、吸気弁バルブタイミング可変機構9により、吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期(IVC)が略同一となるバルブタイミングに制御するようにした。
図3は、一例として、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替える場合の説明図である。図3に示すように、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替える場合には、吸気弁6のバルブ作用角が大作用角となった吸気弁6のバルブタイミングを、吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一となるバルブタイミングにしている。
なお、図3とは逆に、吸気弁6のバルブ作用角を大作用角から小作用角に切り替える場合であっても、吸気弁6のバルブ作用角が小作用角となった吸気弁6のバルブタイミングを、吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一となるバルブタイミングにしている。
これによると、吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングとなる。ここで、内燃機関1の吸入特性は吸気弁6の閉弁時期が支配的である。よって、吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングであると、吸気弁6のバルブ作用角にかかわらず、吸入空気量がほぼ一致する。したがって、吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸入空気量がほぼ一致し、吸入空気量が急激に変化しないため、吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後のトルク変化はほぼなくなり、吸気弁6のバルブ作用角切り替え時のトルクショックを抑制できる。
次に、本実施例による吸気弁バルブ作用角切り替え制御ルーチンについて説明する。図4は、本実施例による吸気弁バルブ作用角切り替え制御ルーチンを示したフローチャートである。本ルーチンは、所定の時間毎に繰り返し実行される。
ステップS101では、ECU15は、内燃機関1の運転状態から吸気弁6のバルブ作用角の切り替えが必要か否か判別する。
具体的には、内燃機関1の運転状態が低負荷・低回転の領域から高負荷領域及び/又は高回転領域へ移行する場合、或いは内燃機関1の運転状態が高負荷領域及び/又は高回転領域から低負荷・低回転の領域へ移行する場合に、吸気弁6のバルブ作用角の切り替えが必要と判断する。
ステップS101において吸気弁6のバルブ作用角の切り替えが必要と肯定判定された場合には、ステップS102へ移行する。ステップS101において吸気弁6のバルブ作用角の切り替えが必要ないと否定判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。
ステップS102では、ECU15は、吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前における吸気弁6の閉弁時期(IVC)を算出する。
ステップS103では、ECU15は、吸気弁6のバルブ作用角の切り替え後における目標作用角から、吸気弁6のバルブ作用角の切り替え後における吸気弁6の閉弁時期(I
VC)を、ステップS102で算出した吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前における吸気弁の閉弁時期(IVC)に略同一とさせるバルブタイミングに変更するために要求される位相変更量を算出する。
ステップS104では、ECU15は、吸気弁バルブ作用角可変機構8により吸気弁6のバルブ作用角を切り替えると共に、吸気弁バルブタイミング可変機構9によりステップS103で算出した位相変更量だけ吸気弁6のバルブタイミングを変更する。
ステップS104の処理の後、本ルーチンを一旦終了する。
以上の制御ルーチンを実行することにより、吸気弁6のバルブ作用角切り替え時のトルクショックを抑制できる。
<実施例2>
次に、実施例2について説明する。ここでは、上述した実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
本実施例における吸気弁バルブ作用角可変機構8は、上記実施例1と同様に、吸気弁6のリフト量と共にバルブ作用角を小作用角及び大作用角の2段階に変更する機構であるが、異なるカムプロフィールを有する2つのカムA,B(不図示)を切り替えることで、バルブ作用角を切り替える場合に限定される。
すなわち、本実施例における吸気弁バルブ作用角可変機構8は、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角及び大作用角の2段階に切り替えるための2つのカムA,Bを有する。カムAが小作用角用のカムであり、カムBが大作用角用のカムである。また、本実施例における吸気弁バルブタイミング可変機構9は、2つのカムA,Bそれぞれにおいて独立して吸気弁の開閉タイミングを連続的に変更可能となっている。
なお、本実施例では、吸気弁6のバルブ作用角を2段階に切り替えるので、2つのカムA,Bを有する構成であるが、本発明としては、バルブ作用角を変更する数に応じてその数のカムを有する構成であってもよい。
吸気弁6のバルブ作用角を切り替える際に、吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一となるバルブタイミングに制御する場合において、吸気弁6のバルブ作用角を切り替える瞬間に吸気弁6のバルブタイミングを変更すると、このバルブタイミングの変更に時間がかかってしまう場合がある。バルブタイミングの変更に時間がかかってしまうと、吸気弁6のバルブ作用角を切り替える前後で吸入空気量に急激な変化が生じてしまう。そうすると、吸気弁6のバルブ作用角切り替え時にトルクショックが生じてしまうおそれがある。
そこで、本実施例では、2つのカムA,Bの内一方のカムが動作中に、待機中の他方のカムによる吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6の閉弁時期が動作中の一方のカムによる吸気弁6の閉弁時期と略同一となるバルブタイミングに合わせておく。
図5は、一例として、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替える場合の説明図である。図5に示すように、小作用角用のカムAが動作中に、待機中の大作用角用のカムBによる吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6の閉弁時期が小作用角用のカムAによる吸気弁6の閉弁時期と略同一となるバルブタイミングに合わせてある。このため、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替える場合には、大作用角用のカムBによる吸気弁のバルブタイミングを切り替えの瞬間には動かさなくてよく、吸気
弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一となるバルブタイミングにタイムラグなしに設定できる。
なお、図5とは逆に、吸気弁6のバルブ作用角を大作用角から小作用角に切り替える場合であっても、大作用角用のカムBが動作中に、待機中の小作用角用のカムAによる吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6の閉弁時期が大作用角用のカムBによる吸気弁6の閉弁時期と略同一となるバルブタイミングに合わせている。
これによると、吸気弁6のバルブ作用角を切り替える場合には、動作中の一方のカムから待機中の他方のカムへ吸気弁6を動作させるカムが切り替わる。ここで、予め待機中の他方のカムによる吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁の閉弁時期が一方のカムによる吸気弁6の閉弁時期と略同一となるバルブタイミングに合わせてある。よって、吸気弁6のバルブ作用角を切り替える際には、他方のカムによる吸気弁6のバルブタイミングを切り替える瞬間に変更する必要がない。よって、他方のカムによる吸気弁6のバルブタイミングを切り替えの瞬間に変更するのに時間がかかってしまうために吸気弁6のバルブ作用角を切り替える前後で吸入空気量に急激な変化が生じてしまうことがない。したがって、吸気弁6のバルブ作用角切り替え時のトルクショックをより抑制できる。
次に、本実施例による吸気弁バルブ作用角切り替え制御ルーチンについて説明する。図6は、本実施例による吸気弁バルブ作用角切り替え制御ルーチンを示したフローチャートである。本ルーチンは、所定の時間毎に繰り返し実行される。
ステップS201では、ECU15は、動作中の一方のカムによる吸気弁6の閉弁時期(IVC)を算出する。
ステップS202では、ECU15は、待機中の他方のカムによる吸気弁6の閉弁時期を、動作中の一方のカムによる吸気弁6の閉弁時期に合わせる。
具体的には、待機中の他方のカムの目標作用角から、他方のカムによる吸気弁6の閉弁時期を、ステップS201で算出した一方のカムによる吸気弁の閉弁時期に略同一とさせるバルブタイミングに変更するために要求される位相変更量を算出する。そして、他方のカムに設けられた吸気弁バルブタイミング可変機構9によりこの算出した位相変更量だけ他方のカムによる吸気弁6のバルブタイミングを変更し、動作中の一方のカムによる吸気弁6の閉弁時期と、待機中の他方のカムによる吸気弁6の閉弁時期とを、一致させておく。
ステップS203では、ECU15は、内燃機関1の運転状態から吸気弁6のバルブ作用角の切り替えが必要か否か判別する。
ステップS203において吸気弁6のバルブ作用角の切り替えが必要と肯定判定された場合には、ステップS204へ移行する。ステップS203において吸気弁6のバルブ作用角の切り替えが必要ないと否定判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。
ステップS204では、ECU15は、吸気弁バルブ作用角可変機構8により吸気弁6のバルブ作用角を動作中の一方のカムによる吸気弁6のバルブ作用角から待機中の他方のカムによる吸気弁6のバルブ作用角へ切り替える。
ステップS204の処理の後、本ルーチンを一旦終了する。
以上の制御ルーチンを実行することにより、吸気弁6のバルブ作用角切り替え時のトル
クショックを抑制できる。
<実施例3>
次に、実施例3について説明する。ここでは、上述した実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
上記実施例1のように吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングとなっていても、吸気弁6の閉弁時期によっては吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸入空気量にずれが生じる場合がある。
図7は吸気弁6のバルブ作用角が小作用角の場合及び大作用角の場合において、吸気弁6の閉弁時期が変化した際における吸入空気量の変化を示す図である。実線が大作用角の場合における吸入空気量の変化を示し、破線が小作用角の場合における吸入空気量の変化を示している。図7に示すように、内燃機関1の運転状態、特に機関回転数及び機関負荷から定まる基準閉弁時期においては、吸気弁6のバルブ作用角が小作用角の場合と大作用角の場合とで吸入空気量が一致する。しかし、吸気弁6の閉弁時期が基準閉弁時期よりも早閉じ、すなわち基準閉弁時期よりも吸気上死点側に進角して閉弁してしまうと、吸気弁6のバルブ作用角が大作用角の場合が、小作用角の場合に比して吸入空気量が多くなる。一方、吸気弁6の閉弁時期が基準閉弁時期よりも遅閉じ、すなわち基準閉弁時期よりも圧縮上死点側に遅角して閉弁してしまうと、吸気弁6のバルブ作用角が小作用角の場合が大作用角の場合に比して吸入空気量が多くなる。
吸気弁6の閉弁時期が基準閉弁時期よりも早閉じの場合には、吸気弁6のバルブ作用角に比例するリフトカーブに応じて吸入空気量が定まる。図8は吸気弁6の閉弁時期が基準閉弁時期よりも早閉じの場合におけるリフトカーブ及び吸入空気量を示す図である。図8上段に示すように、吸気弁6のバルブ作用角が大作用角の場合には実線で示すリフトカーブが小作用角の場合の破線で示すリフトカーブに比して大きくなる。よって、図8下段に示すように、吸入空気量も吸気弁6のバルブ作用角が大作用角の場合の実線で示す吸入空気量が小作用角の場合の破線で示す吸入空気量よりも多くなる。
また、吸気弁6の閉弁時期が基準閉弁時期よりも遅閉じの場合には、内燃機関1の燃焼室3内へ一旦供給された吸気が吸気系へ戻される吸気の吹き返しが発生する。吸気の吹き返し量は、吸気弁6のバルブ作用角に比例するリフトカーブに応じて定まる。図9は吸気弁6の閉弁時期が基準閉弁時期よりも遅閉じの場合におけるリフトカーブ及び吸入空気量を示す図である。図9上段に示すように、吸気弁6のバルブ作用角が大作用角の場合には実線で示すリフトカーブが小作用角の場合の破線で示すリフトカーブに比して大きくなる。よって、図9下段に示すように、吸気の吹き返し量が吸気弁6のバルブ作用角が大作用角の場合が小作用角の場合よりも多くなるため、吸入空気量は吸気弁6のバルブ作用角が小作用角の場合の破線で示す吸入空気量が大作用角の場合の実線で示す吸入空気量よりも多くなる。
ここで、吸気弁6の基準閉弁時期とは、内燃機関1の運転状態、特に機関回転数及び機関負荷から定まるものであり、吸気弁6のバルブ作用角が小作用角の場合と大作用角の場合とで吸入空気量が一致するタイミングであり、吸気圧が低い程、或いは、機関回転数が高い程、基準閉弁時期は圧縮上死点寄りとなる。また、吸気弁6のバルブ作用角が小作用角の場合には、吸気圧が低い程、或いは、機関回転数が高い程、十分な吸気や吸気の吹き返しがし難くなる。
上述のように、吸気弁6の閉弁時期によっては、吸気弁6のバルブ作用角が小作用角の場合と大作用角の場合とで、吸入空気量にずれが生じる。よって、吸気弁6のバルブ作用
角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングとなっていても、吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸入空気量にずれが生じてしまう。この吸入空気量のずれは吸気弁6のバルブ作用角切り替え時のトルクショックを生じさせてしまう。
そこで、本実施例では、吸気弁6のバルブ作用角を切り替えると共に吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングに制御するときに、吸気弁バルブタイミング可変機構9により吸気弁6のバルブタイミングを制御することにより、吸気弁6のバルブ作用角を切り替えた後の吸気弁6の閉弁時期を、吸気弁6のバルブ作用角を切り替える前の吸気弁6の閉弁時期及び内燃機関1の運転状態によって定まる基準閉弁時期に応じて補正するようにした。
具体的な補正としては、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えると共に吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一となるバルブタイミングに制御する際に、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替える前の吸気弁6の閉弁時期が内燃機関1の運転状態から定まる基準閉弁時期から離れる場合には、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えた後の吸気弁6の閉弁時期を進角補正する。
また、吸気弁6のバルブ作用角を大作用角から小作用角に切り替えると共に吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一となるバルブタイミングに制御する際に、吸気弁6のバルブ作用角を大作用角から小作用角に切り替える前の吸気弁6の閉弁時期が内燃機関1の運転状態から定まる基準閉弁時期から離れる場合には、吸気弁6のバルブ作用角を大作用角から小作用角に切り替えた後の吸気弁6の閉弁時期を遅角補正する。
図10は吸気弁6の閉弁時期が基準閉弁時期よりも早閉じで、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えると共に吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一となるバルブタイミングに制御するときを示しており、図10(a)は補正しない場合の説明図であり、図10(b)は補正する場合の説明図である。図10(a)に示すように、補正しなければ、吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングとなっていても、切り替え後の吸入空気量が切り替え前の吸入空気量よりも多くなる。これに対し、図10(b)に示すように、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えた後の吸気弁6の閉弁時期を進角補正すると、切り替え後の吸入空気量を減少させ、切り替え前後の吸入空気量をほぼ一致させることができる。
図11は吸気弁6の閉弁時期が基準閉弁時期よりも遅閉じで、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えると共に吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一となるバルブタイミングに制御するときを示しており、図11(a)は補正しない場合の説明図であり、図11(b)は補正する場合の説明図である。図11(a)に示すように、補正しなければ、吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングとなっていても、吸気の吹き返し量の違いから切り替え後の吸入空気量が切り替え前の吸入空気量よりも少なくなる。これに対し、図11(b)に示すように、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えた後の吸気弁6の閉弁時期を進角補正すると、切り替え後の吸気の吹き返し量を減少させて切り替え後の吸入空気量を増加させ、切り替え前後の吸入空気量をほぼ一致させることができる。
図12は吸気弁6の閉弁時期が基準閉弁時期よりも早閉じで、吸気弁6のバルブ作用角を大作用角から小作用角に切り替えると共に吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバ
ルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一となるバルブタイミングに制御するときを示しており、図12(a)は補正しない場合の説明図であり、図12(b)は補正する場合の説明図である。図12(a)に示すように、補正しなければ、吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングとなっていても、切り替え後の吸入空気量が切り替え前の吸入空気量よりも少なくなる。これに対し、図12(b)に示すように、吸気弁6のバルブ作用角を大作用角から小作用角に切り替えた後の吸気弁6の閉弁時期を遅角補正すると、切り替え後の吸入空気量を増加させ、切り替え前後の吸入空気量をほぼ一致させることができる。
図13は吸気弁6の閉弁時期が基準閉弁時期よりも遅閉じで、吸気弁6のバルブ作用角を大作用角から小作用角に切り替えると共に吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一となるバルブタイミングに制御するときを示しており、図13(a)は補正しない場合の説明図であり、図13(b)は補正する場合の説明図である。図13(a)に示すように、補正しなければ、吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングとなっていても、吸気の吹き返し量の違いから切り替え後の吸入空気量が切り替え前の吸入空気量よりも多くなる。これに対し、図13(b)に示すように、吸気弁6のバルブ作用角を大作用角から小作用角に切り替えた後の吸気弁6の閉弁時期を遅角補正すると、切り替え後の吸気の吹き返し量を増加させて切り替え後の吸入空気量を減少させ、切り替え前後の吸入空気量をほぼ一致させることができる。
以上のように、吸気弁6のバルブ作用角を切り替えた後の吸気弁6の閉弁時期を補正することで、吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸入空気量にずれが生じることを抑制できる。したがって、吸気弁6のバルブ作用角切り替え時のトルクショックをより抑制できる。
次に、本実施例による吸気弁バルブ作用角切り替え制御ルーチンについて説明する。図14は、本実施例による吸気弁バルブ作用角切り替え制御ルーチンを示したフローチャートである。本ルーチンは、所定の時間毎に繰り返し実行される。なお、本ルーチンは、図4に示すルーチンとステップS301〜S303が異なるものであるので、その異なる部分のみ説明する。
ステップS103に引き続くステップS301では、ECU15は、内燃機関1の機関回転数及び機関負荷に基づき、吸気弁6の基準閉弁時期を算出する。
ステップS302では、ECU15は、ステップS102で算出した吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前における吸気弁6の閉弁時期(IVC)と、ステップS301で算出した吸気弁6の基準閉弁時期と、を、予め実験などにより求められたマップに取り込むことで、吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後における吸入空気量をほぼ一致させるための進角量や遅角量といった補正量を算出する。
ステップS303では、ECU15は、吸気弁バルブ作用角可変機構8により吸気弁6のバルブ作用角を切り替えると共に、吸気弁バルブタイミング可変機構9によりステップS103で算出した位相変更量にステップS302で算出した補正量を補正して吸気弁6のバルブタイミングを変更する。
以上の制御ルーチンを実行することにより、吸気弁のバルブ作用角切り替え時のトルクショックをより抑制できる。
<実施例4>
次に、実施例4について説明する。ここでは、上述した実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
本実施例では、図1に示すように、排気弁7にも当該排気弁7の開閉特性を変更する可変動弁機構が設けられている。この可変動弁機構として、排気弁7の開閉特性である開閉時期(バルブタイミング)の変更を行う排気弁バルブタイミング可変機構18を備えている。本実施例における排気弁バルブタイミング可変機構18は、排気弁7のバルブ作用角を一定に維持したまま排気弁7の開閉タイミングを連続的に変更する機構である。
図15は吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えると共に吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングとするバルブタイミングに制御する際に、排気弁7のバルブタイミングを変更しない場合を示す説明図である。図15に示すように、排気弁7のバルブタイミングを変更しない場合には、吸気弁6のバルブ作用角切り替え後に、吸気弁6の開弁期間と排気弁7の開弁期間が重なる吸排気弁のバルブオーバーラップ(O/L)が増加してしまう。吸排気弁のバルブオーバーラップが増加すると、内燃機関1の燃焼室3を含む筒内に残留する燃焼ガス或いは一旦筒内から排気ポート5へ排出されて再度筒内へ戻される燃焼ガス、いわゆる内部EGRガスが増加してしまう。内部EGRガスが増加すると、燃焼が悪化し、燃焼悪化に起因する燃費低下が生じてしまう。
そこで、本実施例では、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えると共に吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングとなるバルブタイミングに制御するときに、排気弁バルブタイミング可変機構18により、排気弁7のバルブタイミングを排気弁7の閉弁時期を進角させて吸排気弁のバルブオーバーラップを内部EGRガスが規定量以下となるように減少させるバルブタイミングに制御するようにした。
ここで、内部EGRガスの規定量とは、内部EGRガスがそれ以下の量であると燃焼を悪化させず、燃焼悪化に起因する燃費低下を抑制できる量である。
図16は排気弁7の閉弁時期を進角させて吸排気弁のバルブオーバーラップを減少させるように排気弁7のバルブタイミングを変更する場合を示す説明図である。図16に示すように、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替える際には、吸気弁6のバルブ作用角が大作用角となった吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一となるバルブタイミングにすると共に、切り替え後の排気弁7のバルブタイミングを排気弁7の閉弁時期を進角させて吸排気弁のバルブオーバーラップを零にさせるバルブタイミングにしている。図16では、一例として、内部EGRガスが最も減少して零になる吸排気弁のバルブオーバーラップを零にするよう排気弁7のバルブタイミングを制御している。しかし、本実施例としてはこれに限られず、上記した規定量以下に内部EGRガスを減少させることができるよう吸排気弁のバルブオーバーラップを減少させることができればよい。
これによると、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えると共に吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングとするバルブタイミングに制御するときに、排気弁7のバルブタイミングを排気弁7の閉弁時期を進角させて吸排気弁のバルブオーバーラップを減少させるバルブタイミングに制御するので、切り替え後の吸排気弁のバルブオーバーラップが減少し、内部EGRガスを減少させることができる。したがって、内部EGRガスが増加して燃焼が悪化することを抑制でき、燃焼悪化に起因する燃費低下を抑制できる。
次に、本実施例による吸気弁バルブ作用角切り替え制御ルーチンについて説明する。図17は、本実施例による吸気弁バルブ作用角切り替え制御ルーチンを示したフローチャートである。本ルーチンは、所定の時間毎に繰り返し実行される。
ステップS401では、ECU15は、内燃機関1の運転状態から吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えが必要か否か判別する。
具体的には、内燃機関1の運転状態が低負荷・低回転の領域から高負荷領域及び/又は高回転領域へ移行する場合に、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えが必要と判断する。
ステップS401において吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えが必要と肯定判定された場合には、ステップS402へ移行する。ステップS401において吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えが必要ないと否定判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。
ステップS402では、ECU15は、吸気弁6のバルブ作用角が切り替え前の小作用角の場合における吸気弁6の閉弁時期(IVC)を算出する。
ステップS403では、ECU15は、吸気弁6のバルブ作用角が切り替え後の大作用角の場合における目標作用角から、吸気弁6のバルブ作用角が切り替え後の大作用角の場合における吸気弁6の閉弁時期(IVC)を、ステップS402で算出した吸気弁6のバルブ作用角が切り替え前の小作用角の場合における吸気弁6の閉弁時期(IVC)に略同一とさせるバルブタイミングに変更するために要求される吸気弁6のバルブタイミングの位相変更量を算出する。
ステップS404では、ECU15は、ステップS403で算出した吸気弁6のバルブタイミングの位相変更量から、排気弁7の閉弁時期(EVC)を進角させて吸排気弁のバルブオーバーラップを内部EGRガスが規定量以下となるように減少させるために要求される排気弁7のバルブタイミングの位相変更量を算出する。
ステップS405では、ECU15は、吸気弁バルブ作用角可変機構8により吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替え、吸気弁バルブタイミング可変機構9によりステップS403で算出した位相変更量だけ吸気弁6のバルブタイミングを変更させ、排気弁バルブタイミング可変機構18によりステップS404で算出した位相変更量だけ排気弁7のバルブタイミングを変更する。
ステップS405の処理の後、本ルーチンを一旦終了する。
以上の制御ルーチンを実行することにより、吸気弁6のバルブ作用角切り替え時のトルクショックを抑制できると共に、燃焼悪化に起因する燃費低下を抑制できる。
<実施例5>
次に、実施例5について説明する。ここでは、上述した実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
上記実施例4のように、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えると共に吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングとするバルブタイミングに制御するときに、排気弁7のバルブタイミングを排気弁7の閉弁時期を進角させて吸排気弁のバルブオーバーラップを
内部EGRガスが規定量以下となるように減少させるバルブタイミングに制御すると、排気弁7の開弁時期(EVO)が早くなる。排気弁7の開弁時期が早くなると、燃焼による発生熱エネルギを仕事に使う量が減少し、仕事量減少に起因する燃費低下が生じてしまう。
図18は内燃機関1の機関回転数と内燃機関1の筒内に生じるガス乱れとの関係を示す図である。図18に示すように、内燃機関1の機関回転数が高くなる程、内燃機関1のピストン速度が速まり筒内により強いガス乱れができる。筒内の強いガス乱れは、筒内のガスを混合し易くするため、筒内に内部EGRガスが増加しても燃焼が悪化し難い。すなわち、内燃機関1の機関回転数が高くなる程、燃焼悪化に起因する燃費低下を抑制できる効果を得ながらも内部EGRガスをより導入することができる。
図19は内燃機関1の機関負荷と内燃機関1の筒内温度との関係を示す図である。図19に示すように、内燃機関1の機関負荷が高い程、吸入空気量が多くなり、多くの空気が圧縮されるため、筒内温度が上昇する。筒内温度が上昇していると、内燃機関1の筒内に内部EGRガスが増加しても燃焼が悪化し難い。すなわち、内燃機関1の機関負荷が高くなる程、燃焼悪化に起因する燃費低下を抑制できる効果を得ながらも内部EGRガスをより導入することができる。
そこで、本実施例では、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替え、吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングとするバルブタイミングに制御し、排気弁7のバルブタイミングを排気弁7の閉弁時期を進角させて吸排気弁のバルブオーバーラップを内部EGRガスが規定量以下となるように減少させるバルブタイミングに制御するときに、排気弁バルブタイミング可変機構18により排気弁7のバルブタイミングを制御することにより、内燃機関1の機関回転数が高い程、或いは、内燃機関1の機関負荷が高い程、排気弁7の閉弁時期を遅角補正するようにした。
これによると、排気弁7の閉弁時期を遅角補正するので、排気弁7の開弁時期が遅くなり、燃焼による発生熱エネルギを仕事に使う量が増加し、仕事量減少に起因する燃費低下が抑制できる。
また、排気弁7の閉弁時期を遅角補正すると、内燃機関1の筒内へ導入される内部EGRガスが増加するが、内燃機関1の機関回転数が高い程強いガス乱れの影響により燃焼が悪化し難く、内燃機関1の機関負荷が高い程筒内温度が上昇するため燃焼が悪化し難く、燃焼悪化に起因する燃費低下をも抑制できる。
次に、本実施例による吸気弁バルブ作用角切り替え制御ルーチンについて説明する。図20は、本実施例による吸気弁バルブ作用角切り替え制御ルーチンを示したフローチャートである。本ルーチンは、所定の時間毎に繰り返し実行される。なお、本ルーチンは、図17に示すルーチンとステップS501及びS502が異なるものであるので、その異なる部分のみ説明する。
ステップS404に引き続くステップS501では、ECU15は、内燃機関1の機関回転数及び機関負荷に基づき算出される導入可能な内部EGRガスを増加させるために要求される排気弁7の閉弁時期を遅角補正する排気弁7のバルブタイミングの補正量を算出する。
ステップS502では、ECU15は、吸気弁バルブ作用角可変機構8により吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替え、吸気弁バルブタイミング可変機構9
によりステップS403で算出した位相変更量だけ吸気弁6のバルブタイミングを変更させ、排気弁バルブタイミング可変機構18によりステップS404で算出した位相変更量にステップS501で算出した補正量を補正して排気弁7のバルブタイミングを変更する。
以上の制御ルーチンを実行することにより、吸気弁6のバルブ作用角切り替え時のトルクショックを抑制できると共に、燃焼悪化及び仕事量減少に起因する燃費低下を抑制できる。
<実施例6>
次に、実施例6について説明する。ここでは、上述した実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
本実施例では、図1に示すように、内燃機関1の気筒には、筒内圧力を検出する筒内圧力センサ19が設けられている。また、吸気管12には、吸気温度を検出する吸気温度センサ20が設けられている。筒内圧力センサ19及び吸気温度センサ20は、ECU15と電気的に接続され、それらの出力信号がECU15に入力されるようになっている。
上記実施例4,5のように、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えると共に吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングとするバルブタイミングに制御するときに、排気弁7のバルブタイミングを変更していても、内燃機関1の燃焼が悪化する場合には、排気弁7のバルブタイミングを進角しすぎていたり、排気弁のバルブタイミングの進角が不足していたりする。
内燃機関1の燃焼が悪化する要因として吸気温度が低すぎる場合には、筒内温度が低下し、燃焼が悪化する。また、内燃機関1の燃焼が悪化する要因として吸気温度が高すぎる場合には、筒内温度が過度に上昇して自己着火してしまい、燃焼が悪化する。
そこで、本実施例では、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替え、吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングとするバルブタイミングに制御し、排気弁7のバルブタイミングを排気弁7の閉弁時期を進角させて吸排気弁のバルブオーバーラップを内部EGRガスが規定量以下となるように減少させる、又はそれに加えて内燃機関1の機関回転数が高い程、或いは、内燃機関1の機関負荷が高い程、排気弁7の閉弁時期を遅角補正するバルブタイミングに制御するときに、排気弁バルブタイミング可変機構18により排気弁7のバルブタイミングを制御することにより、内燃機関1の燃焼が悪化した要因に応じて排気弁7の閉弁時期を補正するようにした。
具体的な補正としては、排気弁7のバルブタイミングを目標値に変更した後に内燃機関の燃焼が悪化しており、その要因として吸気温度が低すぎて燃焼が悪化している場合には、排気弁7の閉弁時期を遅角補正する。また、その要因として吸気温度が高すぎて燃焼が悪化している場合には、排気弁7の閉弁時期を進角補正する。
これによると、吸気温度が低すぎて燃焼が悪化している場合に排気弁7の閉弁時期を遅角補正するので、内燃機関1の筒内へ導入される高温の内部EGRガスを増加させて筒内温度を上昇させ、燃焼を良好にできる。また、吸気温度が高すぎて燃焼が悪化している場合に排気弁7の閉弁時期を進角補正するので、内燃機関1の筒内へ導入される高温の内部EGRガスを減少させて筒内温度が過度に上昇して自己着火することを抑制し、燃焼を良好にできる。
次に、本実施例による吸気弁バルブ作用角切り替え制御ルーチンについて説明する。図21は、本実施例による吸気弁バルブ作用角切り替え制御ルーチンを示したフローチャートである。本ルーチンは、所定の時間毎に繰り返し実行される。なお、本ルーチンは、図20に示すルーチンとステップS601〜S604が異なるものであるので、その異なる部分のみ説明する。
ステップS502においてステップS404で算出した位相変更量にステップS501で算出した補正量を補正して排気弁7のバルブタイミングを変更した値が目標値である。
ステップS502に引き続くステップS601では、ECU15は、筒内圧力センサ19が検出する筒内圧力が目標筒内圧力より低いか否かを判別する。目標筒内圧力は、内燃機関1の燃焼が良好状態か悪化状態か判断するための閾値であり、筒内圧力が目標筒内圧力以上であると燃焼が良好であると判断でき、筒内圧力が目標筒内圧力よりも低いと燃焼が悪化していると判断できる。
ステップS601において筒内圧力が目標筒内圧力より低いと肯定判定された場合には、ステップS602へ移行する。ステップS601において筒内圧力が目標筒内圧力以上であると否定判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。
ステップS602では、ECU15は、吸気温度センサ20が検出する吸気温度が所定温度以下か否かを判別する。所定温度は、一般的な外気温に設定される。吸気温度が所定温度以下であると、吸気温度が低すぎると判断でき、吸気温度が所定温度より高いと、吸気温度が高すぎると判断できる。
ステップS602において吸気温度が所定温度以下と肯定判定された場合には、ステップS603へ移行する。ステップS602において吸気温度が所定温度よりも高いと否定判定された場合には、ステップS604へ移行する。
ステップS603では、ECU15は、内燃機関1の筒内へ導入される高温の内部EGRガスを増加させて筒内温度を上昇させ燃焼を良好にするために要求される排気弁7のバルブタイミングの遅角補正量を算出し、排気弁バルブタイミング可変機構18により当該遅角補正量だけ排気弁7のバルブタイミングを遅角補正する。
ステップS604では、ECU15は、内燃機関1の筒内へ導入される高温の内部EGRガスを減少させて筒内温度が過度に上昇して自己着火することを抑制し燃焼を良好にするために要求される排気弁7のバルブタイミングの進角補正量を算出し、排気弁バルブタイミング可変機構18により当該進角補正量だけ排気弁7のバルブタイミングを進角補正する。
以上の制御ルーチンを実行することにより、吸気弁6のバルブ作用角切り替え時のトルクショックを抑制できると共に、燃焼悪化を抑制できる。
なお、図21に示すルーチンは、図20に示すルーチンのステップS502以降にステップS601〜S604が加えられたものであったが、本発明はこれに限られず、例えば、図17に示すルーチンのステップS405以降にステップS601〜S604が加えられるものであってもよい。
<実施例7>
次に、実施例7について説明する。ここでは、上述した実施例と異なる構成について説
明し、同様の構成については説明を省略する。
図1に示すように、内燃機関1の排気管13には、排気を浄化するための三元触媒などの触媒を担持した触媒コンバータ21が配置されている。
また、触媒コンバータ21の直下流の排気管13には、触媒コンバータ21内の触媒温度を検出する触媒温度センサ22が設けられている。触媒温度センサ22は、ECU15と電気的に接続され、その出力信号がECU15に入力されるようになっている。
一般に内燃機関1の冷間始動時には、触媒を活性させるために触媒の暖機が行われる。触媒の暖機は、内燃機関1で仕事に使われなかったエネルギである排気熱を触媒に供給して行われている。排気エミッションの低減のため、触媒を早期に暖機することが望まれている。
ここで、上記実施例4のように、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えると共に吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングとするバルブタイミングに制御するときに、排気弁7のバルブタイミングを排気弁7の閉弁時期を進角させて吸排気弁のバルブオーバーラップを内部EGRガスが規定量以下となるように減少させるバルブタイミングに制御すると、排気弁7の開弁時期が早くなる。排気弁7の開弁時期が早くなると、燃焼による発生熱エネルギを仕事に使う量が減少し、排気温度が上昇する。つまり、触媒コンバータ21内の触媒へ供給できる排気の熱量が増加するので、触媒を早期に暖機できる。
そこで、本実施例では、触媒の暖機時であって、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えると共に吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングとなるバルブタイミングに制御するときに、排気弁バルブタイミング可変機構18により、排気弁7のバルブタイミングを排気弁7の閉弁時期を進角させて吸排気弁のバルブオーバーラップを零とするバルブタイミングに制御するようにした。
これによると、吸排気弁のバルブオーバーラップを零とするまで排気弁7の閉弁時期を進角させることで、排気弁7の開弁時期を最も早くし、燃焼による発生熱エネルギを仕事に使う量を最も減少させ、排気温度を最も上昇させて触媒の早期暖機が良好にできるようにしている。
ここで、本実施例では、排気弁7のバルブタイミングを吸排気弁のバルブオーバーラップを零とするバルブタイミングに制御するようにしたが、本発明としてはこれに限られず、触媒へ供給できる排気の熱量が増加するように、排気弁7のバルブタイミングを排気弁7の閉弁時期を進角させて吸排気弁のバルブオーバーラップを減少させるバルブタイミングに制御するものであってもよい。
次に、本実施例による吸気弁バルブ作用角切り替え制御ルーチンについて説明する。図22は、本実施例による吸気弁バルブ作用角切り替え制御ルーチンを示したフローチャートである。本ルーチンは、所定の時間毎に繰り返し実行される。なお、本ルーチンは、図20に示すルーチンとステップS701〜S703が異なるものであるので、その異なる部分のみ説明する。
ステップS403に引き続くステップS701では、ECU15は、触媒の暖機中であるか否かを判別する。触媒の暖機中であるか否かは、触媒温度センサ22が検出する触媒の温度が活性温度よりも低い場合に触媒の暖機中と判断し、触媒の温度が活性温度に達し
ていた場合に触媒の暖機はなされていないと判断する。
ステップS701において触媒の暖機中であると肯定判定された場合には、ステップS702へ移行する。ステップS701において触媒の暖機中ではないと否定判定された場合には、ステップS404へ移行する。ステップS404以降は図20に示すルーチンと同一である。
ステップS702では、ECU15は、ステップS403で算出した吸気弁のバルブタイミングの位相変更量から、排気弁7の閉弁時期を進角させて吸排気弁のバルブオーバーラップを零にするために要求される排気弁7のバルブタイミングの位相変更量を算出する。
ステップS703では、ECU15は、吸気弁バルブ作用角可変機構8により吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替え、吸気弁バルブタイミング可変機構9によりステップS403で算出した位相変更量だけ吸気弁6のバルブタイミングを変更させ、排気弁バルブタイミング可変機構18によりステップS702で算出した位相変更量だけ排気弁7のバルブタイミングを変更する。
以上の制御ルーチンを実行することにより、吸気弁6のバルブ作用角切り替え時のトルクショックを抑制できると共に、触媒を早期に暖機できる。
<実施例8>
次に、実施例8について説明する。ここでは、上述した実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
上記実施例7では、触媒の暖機中であっても吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えることが行われない場合には、排気温度の上昇が早期に行われないため触媒を暖機完了するまでに時間がかかる場合がある。本実施例では、触媒の暖機中である場合には吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えることを強制的に行うことで、排気温度の上昇を早期に行わせて触媒を早期に暖機する。
本実施例では、触媒の暖機中に、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えることが所定時間行われない場合には、当該切り替えを強制的に行い、それと共に吸気弁6のバルブタイミングを吸気弁6のバルブ作用角の切り替え前後で吸気弁6の閉弁時期が略同一のタイミングとなるバルブタイミングに制御し、排気弁7のバルブタイミングを排気弁7の閉弁時期を進角させて吸排気弁のバルブオーバーラップを零とするバルブタイミングに制御するようにした。
これによると、触媒の暖機中に、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えることが強制的に行われ、その際に排気弁7のバルブタイミングを吸排気弁のバルブオーバーラップを零とするバルブタイミングに変更し排気温度を最も上昇させて触媒の早期暖機がより早くできるようにしている。
次に、本実施例による吸気弁バルブ作用角切り替え制御ルーチンについて説明する。図23は、本実施例による吸気弁バルブ作用角切り替え制御ルーチンを示したフローチャートである。本ルーチンは、所定の時間毎に繰り返し実行される。なお、本ルーチンは、図22に示すルーチンとステップS801〜S803が異なるものであるので、その異なる部分のみ説明する。
ステップS801では、ECU15は、内燃機関1の運転状態から吸気弁6のバルブ作
用角を小作用角から大作用角に切り替える条件が満たされているか否か判別する。
ステップS801において吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替える条件が満たされていると肯定判定された場合には、ステップS802へ移行する。ステップS801において吸気弁のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替える条件が満たされていないと否定判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。
ステップS802では、ECU15は、触媒の暖機中であるか否かを判別する。
ステップS802において触媒の暖機中であると肯定判定された場合には、ステップS803へ移行する。ステップS802において触媒の暖機中ではないと否定判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。
ステップS803では、ECU15は、繰り返される本ルーチンにおいてステップS801の肯定判定が初めになされてから所定時間経過したか否かを判別する。すなわち、切り替える条件が満たされているにもかかわらず、吸気弁6のバルブ作用角を小作用角から大作用角に切り替えることが所定時間行われていないか否かを判別する。所定時間は、触媒を早期に暖機するために必要な時間に設定される。
ステップS803において所定時間経過したと肯定判定された場合には、ステップS402へ移行する。ステップS803において所定時間経過していないと否定判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。ステップS402以降は図22に示すルーチンで説明したスッテップS402、S403、S702、及びS703を処理する。
以上の制御ルーチンを実行することにより、吸気弁のバルブ作用角切り替え時のトルクショックを抑制できると共に、触媒をより早期に暖機できる。
本発明に係る内燃機関の制御装置は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもよい。