JP5029238B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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本発明は有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法に関するものであり、詳しくは、凸版印刷法を利用して作製した有機エレクトロルミネッセンス素子のディスプレイにおける表示不良を改善する有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法に関するものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は、陽極と陰極との間に有機発光層が挟持された構造をもつ発光素子で、電圧の印加により陽極から正孔、陰極から電子が注入され、この正孔と電子の対が有機発光層表面あるいは内部で再結合することによって発生したエネルギーを光として取り出す素子である。発光層に有機物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子は古くから研究されていたが発光効率の問題で実用化が進展しなかった。これに対し、1987年にC.W.Tangにより有機発光層を発光層と正孔輸送層の2層に分けた積層構造の有機エレクトロルミネッセンス素子が提案され、低電圧で高効率の発光が確認され(非特許文献1等参照)、それ以降有機エレクトロルミネッセンス素子に関する研究が盛んに行われている。
有機EL素子の発光層に用いられる有機材料は、低分子の材料と高分子の材料とに分類されている。発光層の形成方法は材料によって異なり、低分子材料は主に蒸着法で成膜させる方法が用いられ、高分子材料は溶剤に溶解あるいは分散させて基板上に塗布する方法が行われている。また、有機EL素子をフルカラー化するために発光層をパターニングする手段としては、低分子系材料を用いる場合は、所望の画素形状に応じたパターンが形成されたマスクを用いて、異なる発光色の発光材料を所望の画素に対応した部分に蒸着し形成する方法が行われている。この方法は所望の形状に薄膜を均一に形成するには優れた方法であるが、マスクの精度の点から蒸着される基板が大型になると、パターンの形成が困難になるという問題点がある。
一方、高分子系材料を用いる場合は、主にインクジェット法によるパターン形成と、印刷によるパターン形成方法が提案されている。例えば、特許文献1(特開平10−12377号公報)に開示されているインクジェット法は、インクジェットノズルから溶剤に溶かした発光層材料を基板上に噴出させ、基板上で乾燥させることで所望のパターンを得る方法である。
しかしながら、ノズルから噴出されたインク液滴は球状をしている為、基板上に着弾する際にインクが円形状に広がり、形成したパターンの形状が直線性に欠ける、あるいは着弾精度が悪くパターンの直線性が得られないという問題点がある。これに対し、例えば、特許文献2(特開2002−305077号公報)では、予め基板上にフォトリソグラフィなどを用いて、撥インク性のある材料でバンクを形成し、そこにインク液滴を着弾させることで、バンク形状に応じてインクがはじき、直線性のパターンが得られるという方法が開示されている。しかし、はじいたインクが画素内に戻るときに画素内部でインクが盛り上がり、画素内の有機発光層の膜厚にばらつきができてしまうという問題が残る。
そこで、低分子有機発光材料にかえて、有機高分子発光材料を溶剤に溶解あるいは分散させてインキ化し、このインキを印刷法によりパターニングする方法が提案され、具体的には凸版印刷による方法、反転印刷による方法、スクリーン印刷による方法などが提案されている。特に凸版印刷はパターン形成精度、膜厚均一性などに優れ、印刷法による有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法として適している。
凸版印刷法による有機エレクトロルミネッセンス素子の作製において、有機高分子発光材料は溶剤に溶解あるいは分散させてインキ化され、アニロックスロールと呼ばれる微細な正方あるいは六方格子のマトリクス状に配列された均一で規則的な凹孔を有するロール面に塗布される。さらにドクターブレードによって表面の余分なインキをかきとることで、アニロックスロールの単位面積あたりのインキの塗布量を均一にする。ついで、画素の形状に応じた凸版にアニロックス上のインキを転写させる。最後にこの凸版上のインキを基板上に転写することで有機エレクトロルミネッセンス素子の有機発光層が形成される。
しかしながら凸版印刷法によって有機発光層を形成する場合、所望の画素パターンを形成した凸版にインキを供給するためのアニロックスロールとドクターブレードは印刷プロセス中常時こすれあっているためにアニロックスロールあるいはドクターブレードの摩耗が発生し、摩耗によって発生した異物がインキ中に混入して印刷された有機発光層の膜中に取り込まれる。この有機発光層中に取り込まれた異物は素子発光時にショートや非発光点(ダークスポット)あるいは画素の他の部分よりも強く光ってしまう点(ブライトスポット)の原因となり、異物の量が多いと画素が点灯しなくなってしまう。
特開平10−12377号公報 特開2002−305077号公報 C.W.Tang、S.A.VanSlyke、Applied Physics Letters、51巻、913頁、1987年
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は凸版印刷法によって有機発光層を設けた有機エレクトロルミネッセンス素子の発光不良を改善することにある。
本発明者は前記の課題を克服するために鋭意検討を行った結果、本発明を得るに至った。
本発明は、基板上に少なくとも、発光領域を有する1層以上の有機発光層と、前記有機発光層に正孔を注入する陽極と、前記有機発光層に電子を注入する陰極とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機発光層のうち少なくとも1層が凸版印刷法によって形成されており、前記凸版印刷法によって形成された有機発光層の金属あるいは金属化合物の濃度が100ppm以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する(以下、第1形態ともいう)。
また本発明は、前記金属あるいは金属化合物が、凸版印刷法におけるアニロックスロールおよび前記アニロックスロール上の不要なインキを除去するためのドクターブレードに由来するものであることを特徴とする前記の有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する(以下、第2形態ともいう)。
また本発明は、前記金属および金属化合物に含まれる金属元素が、クロム、鉄、ニッケルおよびコバルトからなる群から選ばれ、前記濃度はこれらの元素からなる金属あるいは金属化合物の濃度の合計であることを特徴とする前記の有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する
また本発明は、基板上に、発光領域を有する1層以上の有機発光層を形成する工程と、前記有機発光層に正孔を注入する陽極を形成する工程と、前記有機発光層に電子を注入する陰極を形成する工程とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、前記有機発光層の少なくとも1層が、凸版印刷法によって形成され、前記凸版印刷法に使用されるアニロックスロールのビッカース硬度をHa、前記アニロックスロール上の不要なインキを除去するためのドクターブレードのビッカース硬度をHbとした場合、以下の関係を満たすとともに、前記凸版印刷法によって形成された有機発光層の金属あるいは金属化合物の濃度が100ppm以下であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供する(以下、第3形態ともいう)。
Ha>Hb≧700Hv
また本発明は、前記アニロックスロールとドクターブレードとが接触する箇所におけるアニロックスロールの接線面のうちの回転方向上流とドクターブレードがなす角が5〜75゜の鋭角であることを特徴とする前記の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供する(以下、第4形態ともいう)。
本発明によれば、凸版印刷法によって有機発光層を設けた有機エレクトロルミネッセンス素子の発光不良が改善される。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は凸版印刷法による有機エレクトロルミネッセンス素子の製造工程の一例を説明するための図である。
図1において、有機発光層を形成するための発光材料を溶媒に溶解させたインキ(以下発光層インキ)を満たしたインキつぼ11に一定量に規制されたインキを供給するための微細で均一な凹パターンを形成したアニロックスロール12の表面の一部を浸す。アニロックスロール12の表面に形成されている微細で均一な凹パターンは通常正方や菱形あるいは六方格子のマトリクス状に配列されたものが一般的だが、アニロックスロール由来のモアレが発生する場合は不規則な凹孔(ただし単位面積あたりの孔の合計体積(セル容積)は一定)が形成されているものを用いることもある。また凹パターンの大きさは通常単位長さあたりのマトリクスのライン数の値で表され線数と呼ばれる。また、線数が大きいほどアニロックス上の凹パターンは小さくなりセル容積は減少する。
インキつぼを通過したアニロックスロール12の表面には発光層インキが塗布され、次いでアニロックスロール12上の余分な発光層インキはアニロックスロールの接線とある一定角度で接するドクターブレード13によって掻き落とされ、セル容積によって適切に規制されたインキ量の均一な液膜になる。適正量の発光層インキが乗ったアニロックスロール12は、版胴16の表面に巻かれた所望のパターンが形成された凸版14に押し当てられ発光層インキは一定の割合で凸版表面に移動する。続いて凸版表面の発光層インキ17は基板15に押し当てられて、基板15側に発光層インキが転写され、乾燥させることで有機発光層のパターンが基板15上に形成される。
しかしながら凸版印刷装置内部では回転するアニロックスロール12とドクターブレード13は常時こすれあっているために、アニロックスロールあるいはドクターブレードの摩耗が発生する。そのため摩耗によって発生した異物がインキ中に混入して印刷された有機発光層の膜中に取り込まれる。この有機発光層中に取り込まれた異物は素子発光時にショートや非発光点(ダークスポット)あるいは画素の他の部分よりも強く光ってしまう点(ブライトスポット)の原因となり、異物の量が多いと画素が点灯しなくなってしまうことがあった。
特にアニロックスロールはその性質上表面に無数の微細な凹面が存在しており、粗面とみなすことができる。一般的に粗面との摩擦による摩耗は平滑面同士の摩擦による摩耗よりも大きくなるためアニロックスロールのセルはなるべく細かく平滑な(線数が多い)方が好ましいが、線数が大きすぎるとセル容積が不足して、得られるパターンの膜厚が不足する。そのため均一な有機発光層の印刷膜を得るためにはアニロックスロールの線数は六角形(ハニカム)の場合1インチあたり300線乃至900線が適切である。
なお、摩耗によってアニロックスロールあるいはドクターブレードから発生した金属あるいは金属微粒子の異物を除去するためにインキつぼ11内部の発光層インキを循環ろ過して異物を除去しても良い。また発生した異物が磁性を持つものであれば印刷装置内部に磁石によって異物を捕集する機構を設置し、この機構によって異物を除去することも可能である。
それでも発生する異物のうち微小ものやイオン化しているものはろ過などによっても完全には発光層インキから取り除くことが出来ず印刷によって形成された発光層パターンの内部に取り込まれてしまう。
また、異物の対策として印刷に用いる発光層インキを頻繁に新液に交換することで発光層インキの異物の濃度を高めないようにすることが最も好ましくはあるが、この場合、液の交換に手間がかかるばかりか、高価な有機発光層材料が溶解しているインキのロスが大きくなってしまう。
そこで本発明者は凸版印刷法による有機エレクトロルミネッセンス素子の製造において、印刷装置のアニロックスロールおよびドクターブレードの硬度や接触角度、および有機発光層中の異物の濃度と有機エレクトロルミネッセンス素子の表示不良との関係に注目して鋭意検討を重ねた結果本発明に至った。
第1形態および第2形態において、凸版印刷法によって作成された有機エレクトロルミネッセンス素子のうち少なくとも凸版印刷法によって形成された有機発光層は層中に含まれる金属あるいは金属化合物の異物の濃度が100ppm以下となるように定義される。特に凸版印刷工程に用いる装置の中でアニロックスロールおよびドクターロールは常に擦れあっているために摩耗が発生しやすく、金属あるいは金属化合物の異物の主な発生源となる。第1形態および第2形態の要件を満たすことにより、凸版印刷法で作成した有機エレクトロルミネッセンス素子の画素の表示不良は改善される。
なお、有機エレクトロルミネッセンス素子の画素表示不良にはいくつかのモードがあるが、発光不良部分の外観から分類すると以下のものが挙げられる。ダークスポットと呼ばれる表示不良は発光面中に発生する微小な非発光点であり、場合によっては時間と共にそのサイズが大きくなることもある。また、画素の他の部分よりも強く光ってしまう点(ブライトスポット)は有機発光層の膜厚の局所的な変化やITOなどの透明電極の突起が原因と考えられている不良で電流リークなどを伴っていることもある。さらに混入している異物のサイズが大きく、また異物に導電性があると有機エレクトロルミネッセンス素子の陰極と陽極がショートしてしまうこともある。
本発明の第3形態において、アニロックスロール12およびドクターブレード13について、アニロックスロールのビッカース硬度をHa、ドクターブレードのビッカース硬度をHbとした場合、以下の関係を満たすのがよい。
Ha>Hb≧700Hv
即ちアニロックスロールのビッカース硬度に対してドクターブレードのビッカース硬度を低く設定しつつ、且つビッカース硬度(Hv)を700Hv以上とすることでアニロックスロールの損傷を抑え、かつドクターブレードの摩耗を最小限にすることが出来る。ドクターブレードのビッカース硬度に対してアニロックスロールのビッカース硬度が低い場合、こすれ合わせによってより摩耗しやすいのはアニロックスロールの方になる。アニロックスロールはもともと凹凸面があってエッジ部分で欠けやすい上に、摩耗によって欠けが発生した場合、ドクターブレードよりも高価かつ交換に手間を要するため、その摩耗は避けなければならない。また本発明においてドクターブレードの硬度はアニロックスロールの硬度よりも低く定義されるため、こすれあって摩耗が発生するのはドクターブレードの方になるが、本発明で定義されるようにビッカース硬度を700Hv以上とすることで摩耗は殆ど発生せず、発光層インキへの異物の混入を抑えられ、また、ドクターブレードは比較的交換が容易で安価なため、摩耗が発生する前に、若しくは仮に異物が発生してもすぐに、新品のドクターブレードに交換することが可能である。
また上記式を満たすために適切なアニロックスロールおよびドクターブレードの具体的な材質について以下に示す。アニロックスロールは印刷幅及び印刷長に応じた鉄芯を作成し研磨を行った後、表面層を形成、必要な線数の凹孔を彫刻し、最後に表面を研磨して完成する。この場合、アニロックスロールのHvを定義するのは表面層の材質および形成方法であるが、一般的にはハードクロムめっき層を形成後機械的に彫刻してアニロックスの凹孔を形成する方法が行われている。また金属酸化物、炭化物、窒化物などのセラミックス材料を鉄芯に溶射することで表面層を形成し、この表面層にレーザー彫刻を行うことでアニロックスの凹孔を形成することも出来る。いずれの方法でも本発明で定義するビッカース硬度700Hv以上を得ることが可能である。
また、ドクターブレードは一般的にはSK材と呼ばれる炭素工具鋼やスウェーデン鋼と呼ばれる鉄材の薄板が広く用いられているが、防錆性を高めるためにSUS420などのマルテンサイト系ステンレス鋼や、さらに耐腐食性を得るためにSUS301などのオーステナイト系ステンレス鋼なども用いられている。これらの材質を印刷幅に応じてカットし、表面を均一に研磨したものがドクターブレードに用いられる。さらにドクタリングの均一性を高める、あるいは刃の寿命を延ばすために刃先の部分にテーパーあるいは段付などの形状加工を施すことも行われている。ドクターブレードの板厚は0.1mm乃至0.3mm程度のものが広く用いられている。板厚が0.1mmよりも薄いとドクターブレードの剛性が弱すぎてアニロックスロールへの適切な押圧が得られなくなり、0.3mmより厚いとドクターブレードへの加工が困難になる場合が多い。しかしながら、これらの材質で作成されたドクターブレードはいずれもビッカース硬度が400Hv乃至600Hvであり、本発明の第3形態において不適切である。
本発明の第3形態を満たすようなドクターブレードの材質としては上記鋼材あるいはステンレス材の表面に複合ニッケルめっきを施したもの、あるいは金属酸化物、炭化物、窒化物などのセラミックス材料を溶射してコーティングしたものを挙げることが出来る。
複合めっきはめっきによって形成される金属マトリクス中に1種類以上の微粒子を共析させてめっき膜を複合材にしたものであり、一般的にめっきのマトリクス金属はニッケルで、めっき浴は無電解あるいは電解ニッケルめっきの浴に微粒子を分散させたものが用いられる。ニッケルめっき浴に分散させる微粒子としては炭化ケイ素などのセラミックやPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの樹脂微粒子がある。炭化ケイ素はそれ自体が高硬度でニッケルの硬度と合わせてドクターブレードの硬度を高めることが可能である。一方、PTFE微粒子はそれ自体に硬度は無いが、PTFEの潤滑性によって摩擦の抵抗を減らし、結果として通常のニッケルめっきよりも耐摩耗性を高めることが出来る。これら微粒子のマトリックス中への含有率は特に定義されないが、含有率が低すぎると複合粒子の効果は薄く、高すぎるとマトリクスの密着力が弱くなってしまい基材から剥離しやすくなる。含有率は粒子の種類や粒径によって適切な値に調整される。まためっき膜の膜厚は10乃至20μmのものが広く用いられている。めっき膜がこれよりも薄いとめっき膜中の微粒子が露出しすぎて剥離しやすくなり、厚すぎるとめっき膜の応力でめっき膜自体が剥がれやすくなる。また、めっき膜と基材との密着性を向上させる目的で基材に既知の表面処理加工を施すことも行うことができる。
ニッケル複合めっきによってドクターブレードのビッカース硬度は700Hv以上を得ることが可能であり、特に炭化ケイ素の複合めっきでは900Hv以上の高硬度を得ることも出来る。
また複合めっきの他に、鋼材あるいはステンレス基材に金属酸化物、炭化物、窒化物などのセラミックス材料を溶射してコーティングしたものを本発明に用いるドクターブレードとすることも可能である。溶射するセラミック材料としては炭化タングステン/コバルト複合膜、炭化タングステン/コバルト−クロム合金複合膜、酸化ニッケル膜、酸化アルミニウム膜などを挙げることができる。これらの溶射皮膜はビッカース硬度が950Hv以上と非常に高硬度で本発明の第3形態に適している。
本発明の第4形態においてアニロックスロール12とドクターブレード13が接触する箇所におけるアニロックスの接線面のうちの回転方向上流とドクターブレードがなす角(図1中のθ)は5〜75゜の鋭角と定義される。アニロックスロール12とドクターブレード13がなす角θが75°を大きく超える(鈍角になる)場合、ドクターブレードの押当て圧を高くしてもドクターブレードの撓みは大きくはならないがアニロックスロールの進行方向とドクターブレードの刃先が対向するため、刃先とアニロックスロールの凹孔の輪郭(土手と呼ばれる)が衝突することになり、摩耗が発生しやすい。
またθが垂直に近い場合、ドクターブレードをアニロックスロールに押し当てる際にドクターブレードの撓みを利用することが出来ないため、アニロックスロール軸方向で均一な押当て圧を得ることが困難である。本発明の第4形態が定義するようにθを5〜75゜の鋭角とすることでドクターブレードをアニロックスロールに押し当てる際にドクターブレードの撓みによって均一な押当て圧を得ることができる。また、θが5°未満である場合、押当て圧を加えたときのドクターブレードの撓みによってとアニロックスロールの接触面積が大きくなりすぎ、均一な押当て圧を得られず、印刷膜にムラが発生する。
さらに好ましいθは、15〜65°である。
また、アニロックスロールおよびドクターブレードから発生する金属および金属化合物は印刷された有機発光層中の濃度と表示不良とが密接な関係を持つことが本発明によって明らかにされ、特にドクターブレードの基材である鋼材あるいはステンレス材の成分であるクロム、鉄、ニッケル、コバルトの濃度との相関が最も重要である。印刷法によって形成された有機発光層中の金属および金属化合物の濃度は原子吸光分析(AAS:Atomic Absorption Spectrometry)によって定量することが可能である。また上記金属元素が複数検出された場合、その合計の濃度が表示不良に相関している。またこの場合の金属は単体金属の微粒子、合金状態での微粒子、イオン状態の金属、酸化物などの金属化合物として検出される。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
[ビッカース硬度]
ドクターブレードおよびアニロックスロールのビッカース硬度は以下の条件で測定した。
フィッシャー・インスツルメンツ社製:フィッシャースコープ HM2000
試験荷重:200mN、測定箇所3箇所の平均を取ってビッカース硬度とした。
[有機発光層中の金属および金属化合物の測定]
有機発光層形成用材料であるPPV(ポリパラフェニレンビニレン)を溶解して作製した発光層インキを本明細書記載の凸版印刷機でITO基板上に印刷し、乾燥させたところでトルエンを基板にかけ流してインクを再溶解させて回収し、得られた回収液の溶媒を揮発させて不揮発分を得た。この不揮発分について原子吸光分析(パーキンエルマー社:SIMAA6000)で分析し、発光層インキ固形分中の金属元素濃度を定量した。
[有機エレクトロルミネッセンス素子の作成]
また別のITO基板上にはあらかじめPEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシフェニレン/ポリスチレンスルホン酸)水溶液を50nmの乾燥膜厚になるようにスピンコートしたものに上記印刷機で発光層を印刷して乾燥させ膜厚60nmの印刷発光層を形成した。ついでこの基板に真空蒸着によりカルシウム(5nm)、アルミニウム(150nm)の順で陰極を蒸着し、さらに封止を行うことで有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
アニロックスロールとドクターブレードの材質、印刷条件、得られた印刷発光層膜および作成した素子の外観評価の結果、および発光層インキのAAS分析結果(鉄、クロム、ニッケル、コバルト元素を定量)を表1に示す。
[実験条件の詳細]
アニロックスロールとドクターブレードについては印刷・転写時において100mm毎秒の周速でドクタリングを行っている。また待機時(基板のロード・アンロード時、アライメント時などの印刷・転写を行っていない時間帯)については乾燥防止のために20mm毎秒の周速でドクタリングを行っている。印刷工程において印刷・転写時と待機時の時間が占める割合(ドクタリングの周速100mm毎時の駆動速度と20mm毎時の駆動速度が占める割合)を一定時間の平均に直すと凡そ1:9である。また本発明の印刷機に使用しているアニロックスロールは表面がセラミック溶射(酸化クロム)加工されたもので各種線数のハニカムのレーザー彫刻を行ってあり、ビッカース硬度は1100Hvである。
[作成した素子の評価の詳細]
印刷結果については、発光層インキの印刷が終わった状態で基板を紫外線ランプで発光層の蛍光のパターンを目視確認した。○はムラが無い状態、×は印刷パターンにムラがみられた状態、△はややムラが見られる状態である。また、パネル発光状態の確認については、印刷ムラ確認の基板とは別の基板に発光層を印刷した後、蒸着・封止を行ってパネル化し、電極を接続して発光させた状態でダークスポット(DS)、ブライトスポット(BS)、ショートの有無を確認した。なお、印刷ムラが見られるものについてはパネル化評価を行っていない。なお表1中、あて角とは図1におけるθである。
Figure 0005029238
本発明では、有機発光層の金属あるいは金属化合物の濃度が100ppm以下であるので、表示不良を改善することができ、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いたディスプレイ用途等に有用である。
凸版印刷法による有機エレクトロルミネッセンス素子の製造工程の一例を説明するための図である。
符号の説明
11・・・インキつぼ、12・・・アニロックスロール、13・・・ドクター、14・・・印刷版(凸版)、15・・・基板、16・・・版胴、17・・・凸版表面の発光層インキ。

Claims (1)

  1. 基板上に、発光領域を有する1層以上の有機発光層を形成する工程と、前記有機発光層に正孔を注入する陽極を形成する工程と、前記有機発光層に電子を注入する陰極を形成する工程とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、前記有機発光層の少なくとも1層が、凸版印刷法によって形成され、前記凸版印刷法に使用されるアニロックスロールのビッカース硬度をHa、前記アニロックスロール上の不要なインキを除去するためのドクターブレードのビッカース硬度をHbとした場合、以下の関係を満たすとともに、前記凸版印刷法によって形成された有機発光層の金属あるいは金属化合物の濃度が100ppm以下であり、前記アニロックスロールとドクターブレードとが接触する箇所におけるアニロックスロールの接線面のうちの回転方向上流とドクターブレードがなす角が15〜65゜の鋭角であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
    Ha>Hb≧700Hv
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