以下、本発明にかかる撮像装置を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1の撮像装置の内部構成例を示す中央縦断側面図である。本実施の形態1のカメラ本体1は、撮影レンズ2が着脱可能な一眼レフレックス式デジタルカメラである。このカメラ本体1は、下記の各構成部材を収容するカメラ外装3と、カメラ外装3に固定支持され、光軸Oに沿った中央開口部4aを有するカメラ構造体4と、撮影レンズ2の鏡筒が着脱されるボディ側マウント部5を備える。また、カメラ構造体(例えば、ミラーボックス)4の中央開口部4aの後方に光軸O上に沿って配置される構成部材として、クイックリターンミラー6と、フォーカルプレーン式シャッタ7と、撮像ユニット8とを備える。さらに、カメラ構造体4の上側に固定支持され、光学ファインダ装置を構成する部材としてフォーカスマット9と、ペンタプリズム10と、接眼レンズ11とを備える。さらに、カメラ外装3の背面側のモニタ表示窓12の内側に液晶モニタ13を備える。
撮影レンズ2は、例えば、ズーム用レンズ2aと、例えば公知のオートフォーカス機能やローパスフィルタ機能や像面収差補正機能等を有する単数または複数の回折型液晶レンズ2bと、レンズ群2cとからなる。また、カメラ構造体4は、撮像ユニット8等を支持する枠体であって、軽量化・低コスト化が可能で熱伝導率の高い(熱伝導率が2W/m・K以上)素材として球状黒鉛や炭素繊維などのフィラーが混入されたPC樹脂(ポリカーボネート樹脂)やPPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)により構成されている。ボディ側マウント5は、カメラ構造体4の前面に当て付けた状態で固定される。シャッ
タ7は、光軸O上であって、クイックリターンミラー6の後方位置に配される。
図2は、撮像ユニット8周りの構成例を示す概略正面図であり、図3は、図2のA矢視図であり、図4は、その一部の弾性支持部材周りの構成例を示す正面図および平面図である。撮像ユニット8は、撮像素子81を備える。撮像素子81は、撮影レンズ2の光軸O上に光電変換面を光軸Oと直交させて配設されて撮影レンズ2を透過し自己の光電変換面上に照射された光に対応した画像信号を得るためのものである。本実施の形態では、撮像素子81として例えばCCDが用いられているが、CMOSセンサ等であってもよい。なお、撮像素子81の前面側は、密閉状態の保護ガラス82により保護されている。また、
撮像素子81は、パッケージ外形83によって覆われて背面側が撮像素子支持板84に固定されている。また、特に図示しないが、撮像素子81の光電変換面側には、撮影レンズ2を透過して照射される被写体光束から高周波成分を取り除くためのローパスフィルタを配設させてもよい。
ここで、撮像素子支持板84は、カメラ構造体4と同様に、熱伝導率の高い(熱伝導率が2W/m・K以上)素材として球状黒鉛や炭素繊維などのフィラーが混入されたPC樹脂やPPS樹脂により形成されて放熱性を有するものである。この撮像素子支持板84の撮像素子81に対応する背面部側(段差部84aの凹部)には、絶縁シート85を介して、プリント基板86がねじ87により固定されて、接続端子81aによって半田接続されて実装されている。このプリント基板86の背面側には、接続端子81aによって半田接続されたフレキシブルプリント基板(FPC基板)88も設けられている。ここで、撮像素子支持板84の永久磁石接合面上に熱伝導性の高いグラファイトシートや潜熱蓄熱材シート、あるいは樹脂発泡部材を積層するようにしてもよい。
ここで、カメラ構造体4には、撮像素子81が搭載された撮像素子支持板84を、光軸Oに直交するXY平面からなる2次元方向に移動可能に支持する固定部材19が取付けられている。この固定部材19は、カメラ構造体4と同様に、熱伝導率の高い(熱伝導率が2W/m・K以上)素材として球状黒鉛や炭素繊維などのフィラーが充填されたPC樹脂やPPS樹脂により形成されている。この固定部材19の背面側には、撮像素子支持板84の背面側の全面に対峙する支持板18が固定されている。
また、本実施の形態1の一眼レフレックス式デジタルカメラは、撮像素子81が搭載された撮像素子支持板84を固定部材(例えば、カメラ本体のフレームや外装部内板など)19に対して光軸Oに直交するXY平面からなる2次元方向に移動可能に支持する弾性支持部材20を備える。図2では、便宜上、単なる矩形状に簡略化して示す弾性支持部材20は、撮像素子支持板84のX軸方向の両側2箇所に設けられ、固定部材19に対して位置決めピン21で位置決めされつつ止めねじ22により固定されている。
ここで、弾性支持部材20は、図4に示すように、固定部材19側に固定される固定部20aと、中間連結部20bと、撮像素子支持板84内の一部に埋め込み固定される連結部20cと、固定部20aと中間連結部20bとの間をY軸方向に連結する2本の平行な支持片20dと、中間連結部20bと連結部20cとの間をX軸方向に連結する2本の平行な支持片20eとからなる。支持片20d,20eの両端部にはそれぞれ変形しやすくするためのヒンジ20f,20gが形成されている。このような弾性支持部材20は、カメラ構造体4と同様に、熱伝導率の高い(熱伝導率が2W/m・K以上)素材として球状
黒鉛や炭素繊維などのフィラーが充填されたPC樹脂やPPS樹脂などの合成樹脂材料からなり、図4(b)に示すように、各部20a,20b,20cや各片20d,20eを板状物から一体に形成したものである。弾性支持部材20の材料としては、特に、熱伝導率が20W/m・Kなる出光興産社製の高熱伝導率のPPS樹脂(Tech−Onニュース,2004/10/21参照)が好ましい。
さらに、本実施の形態1の一眼レフレックス式デジタルカメラは、撮像素子81が搭載された撮像素子支持板84を光軸Oに直交するXY平面からなる2次元方向に変位移動させる駆動機構である撮像ユニット変位機構30を備える。この撮像ユニット変位機構30は、背面側に磁性材34a,31aが接合されたX軸駆動用プリントコイル34およびY軸駆動用プリントコイル31と、背面側に磁性材35a,32aが接合された永久磁石35,32とを駆動源である直流リニアモータとして備える電磁駆動方式のものである。X軸駆動用プリントコイル34およびY軸駆動用プリントコイル31は、支持板18の前面
側のプリント基板86を避ける所定位置に配設された四角形状のものである。永久磁石35,32は、撮像素子支持板84上にX軸およびY軸駆動用プリントコイル34、31に対向させて搭載されたものである。
ここで、背面側に磁性材35aが接合された永久磁石35は、厚さ方向(光軸方向)に磁化されたもので、横長の長方形状に形成されたX軸駆動用プリントコイル34に対向する永久磁石35は、N極とS極がX軸方向に並ぶように境界線35bを持つ分極着磁で背面接合されている。さらに、背面側に磁性材32aが接合された永久磁石32は、厚さ方向(光軸方向)に磁化されたもので、縦長の長方形状に形成されたY軸駆動用プリントコイル31に対向する永久磁石32は、N極とS極がY軸方向に並ぶように境界線32bを持つ分極着磁で接合されている。
なお、X軸駆動用プリントコイル34およびY軸駆動用プリントコイル31が接合された支持板18は、これらコイル34,31を冷却するためにアルミニウム合金などの金属板を使用することも可能である。この場合、熱伝導率の高い材料からなる固定部材19の熱をこの支持板18に熱伝導させないため、固定部材19と支持板18との間には図示しない断熱部材を介在させることが好ましい。また、プリント基板86側と支持板18側のコイル34,31等とはFPC基板88によって接続されている。ここで、FPC基板88のプリント基板86側は半田付けにより固定的接続とされ、支持板18側には図示しない雌コネクタが設けられ、FPC基板88の他端側が取り外し可能に接続されている。
このような構成において、後述する角速度センサにより当該一眼レフレックス式デジタルカメラの手ブレが検出された場合、検出されたその角速度に基づいて撮像素子81を所望の位置へ変位移動させるように撮像ユニット変位機構30を駆動させる。例えば、撮像素子支持板84上に配置されて厚さ方向にN極またはS極を有する異極接合された永久磁石32の磁束内に鉛直方向のY軸駆動用プリントコイル31に通電されると、撮像素子支持板84はY軸方向に移動する。このとき、弾性支持部材20において、固定部20aと中間連結部20bとの間を連結する支持片20dは変位せず、支持片20eが中間連結部20b側を固定端として連結部20c側がY軸方向に変位する。ここで、剛性を有する2本の平行な支持片20eは、両端がヒンジ20g構造となっており、平行四辺形状態を維持して変位するため、連結部20c側となる撮像素子支持板84、したがって撮像素子81はY軸方向に変位する。
同様に、撮像素子支持板84上に配置されて厚さ方向にN極またはS極を有する異極接合された永久磁石35の磁束内に鉛直方向のX軸駆動用プリントコイル34に通電されると、撮像素子支持板84はX軸方向に移動する。このとき、弾性支持部材20において、連結部20cと中間連結部20bとの間を連結する支持片20eは変位せず、支持片20dが固定部20a側を固定端として中間連結部20b側がX軸方向に変位する。ここで、剛性を有する2本の平行な支持片20dは、両端がヒンジ20f構造となっており、平行四辺形状態を維持して変位するため、中間連結部20b側となる撮像素子支持板84、したがって撮像素子81はX軸方向に変位する。この際、撮像素子支持板84の位置を検出する位置検出センサを用いる。位置検出センサは図示されていないが、一般的には撮像素子支持板84上に厚さ方向に磁化された永久磁石を配置し、固定部材側にはX軸およびY軸検出用ホール素子を配置(永久磁石に対向した位置に固着)して撮像素子支持板84の位置変動を感知する。
このようにして、撮影に際して、当該一眼レフレックス式デジタルカメラに手ブレが発生した場合、撮像ユニット変位機構30を駆動させて撮像素子支持板84をXY平面内で2次元方向に変位移動させることで、撮像素子81の受光面における画像のブレを補正することができる。なお、撮像ユニット変位機構30は、電磁駆動モータを駆動源とする電磁駆動方式に限らず、圧電素子駆動モータや屈曲振動モータを駆動源として駆動する方式であってもよい。また、コイル31,34と永久磁石32,35との配置は、逆とし、コイル31,34を可動側、永久磁石32,35を固定側に配置させるようにしてもよい。
なお、カメラ本体1内において、撮像ユニット8の背面側には、支持板18が撮像駆動回路基板として設けられている。この支持板18(撮像駆動回路基板)は、後述するCPUや、撮像素子81を高速駆動するTG(タイミングジェネレータ)ICチップまたはAFE(アナログ・フロント・エンド)ICチップ等を実装したもので、プリント基板86側とはFPC基板88を介して接続されている。また、撮像素子81の背面側の温度を検出する温度センサ(Timg)26が設けられている。温度センサ26は、永久磁石32,35と対向する支持板18の表面上に配置するとさらによい。ホール素子に内蔵された温度センサを有する場合には省略できる。
また、本実施の形態1では、弾性支持部材20の固定部20aは、固定部材19に熱的に結合されているとともに、金属箔や銅あるいは金メッキをした金属材料の拠り線からなる熱伝導線42と熱的に結合されている。図5は、弾性支持部材20の固定部20aと熱結合された熱伝導線42の熱結合先を模式的に示す説明図である。熱伝導線42は、固定部20aにおいて複数本に分岐されている。その一系統の熱伝導線42aは、適宜配線経路を経て、当該一眼レフレックス式デジタルカメラのカメラ外装3の一部である外装前カバー3aに熱結合されている。あるいは、外装カバーが合成樹脂の場合には外装の内側に
接合またはネジで固定された銅板などの熱拡散板(外装部内板という)に熱結合されている。
また、他の一系統の熱伝導線42bは、適宜配線経路を経て、液晶モニタ13を覆う熱拡散板である金属板製のシールド板51を加熱部材として熱結合されている。さらに、さらに他の一系統の熱伝導線42cは、適宜配線経路を経て、バッテリ52を収納する熱伝導率部材からなる電池収納室53を加熱部材として熱結合されている。さらに他の一系統の熱伝導線42dは、適宜配線経路を経て、液晶レンズ2b側に熱結合されている。
なお、図5において、支持板(撮像駆動回路基板)18上に実装されたCPU54等の発熱源に対しては、熱伝導率の高い絶縁シート55及び吸熱ヒートパイプ56が設けられ、ヒートパイプ57、ベローズ管58や図示されていない金属線、金属箔等を介してカメラ外装3の外装後カバー3bに熱結合されている。
また、液晶表示装置の液晶モニタ13、バッテリ52、液晶レンズ2bに対するそれぞれの熱伝導線42b,42c,42dの配線経路上の途中には、弾性支持部材20側との熱結合を断続するためのスイッチ(SWdisp)7b,(SWbat)70c,(SWlens)70dが介在されている。スイッチ70b,70cは、支持板(撮像駆動回路基板)18上に実装され、スイッチ70dは、レンズ鏡枠上に設けられた回路基板71上に実装されている。これらスイッチ70b,70c,70dは、同一構造からなるが、ここでは、例えばスイッチ70dの例で説明する。
図6は、スイッチ70dの構造および断続の様子を示す概略縦断側面図である。このスイッチ70dは、概略的には、回路基板71上に配置された形状記憶合金、バイモルフの撓みを利用した少なくとも複数の電磁駆動型感温スイッチ(サーモスタット)からなる。すなわち、スイッチ70dは、温度に応じて可動接点72を固定接点73に対して開閉するサーモスタット74をベースとし、可動接点72と一体に配置された永久磁石75と、永久磁石75に隣接させて固定接点73側に配置されて通電により永久磁石75を変位させる駆動コイル76とを備える電磁駆動型感温スイッチからなる。
図6(a)は、液晶レンズ2bが内蔵されたレンズ鏡枠が所定温度以下(例えば、10℃以下)の状態下で撮像素子支持板84が所定位置において、弾性支持部材20側から液晶レンズ2b周りに設けられた熱伝導部材64aに熱伝導されている様子を示している。第1の固定導体77は、弾性支持部材20側の熱伝導線42dが接続される第1の端子77aを有する。第1の固定導体77は、側面的に見て略逆コの字形状に形成され、その上段部77bには固定接点73が接合されている。同様に、第2の固定導体78は、液晶レンズ2bの熱伝導部材64a側に巻回された熱伝導線42dが接続される第2の端子78
aを有する。第2の固定導体78は、側面的に見て略コの字形状に形成され、その上段部78bには弾性導体板74aの一端が固定されている。弾性導体板74aの他端には、固定接点73と接触可能な位置に可動接点72が接合されている。弾性導体板74aに形成された爪部74b間には、所定の温度を超えると形状の曲率符号を変えるバイメタル材74cが保持され、弾性導体板74aとともにサーモスタット74を構成している。このバイメタル材74cの温度変化により、基本的に、固定接点73と可動接点72が接触または離間した状態となり、熱結合を断続する。なお、第1,第2の固定導体77,78は、
電気的に絶縁された合成樹脂材料を用いた基体79に組み込まれて、互いに絶縁状態で固着されている。
ここで、基体79には弾性導体板74aの中間部に対向させて凹部79aが形成されており、この凹部79a内には、上方から見てロの字形状に積層させた扁平な駆動コイル76が接合されている。この駆動コイル76は、磁性材76aと磁性材76a周りに巻回した固定コイル76bとからなる。また、基体79の凹部79a内において、駆動コイル76に対して弾性導体板74aの長手方向に隣接する位置には、永久磁石75が結合部材75a、接着剤75bにより弾性導体板74aに固定されて吊下する状態で設けられている。この永久磁石75は、弾性導体板74aの長手方向にN極、S極が位置するように磁化
されている。
図6(b)は、弾性支持部材20側から既に熱伝導されて液晶レンズ2b側の温度が所定温度以上(例えば、25〜30℃)となった状態で、電磁駆動により、可動接点72を固定接点73から強制的に離間させ、熱が伝導されない状態を示している。すなわち、図6(b)において、固定コイル76bに図中、左側から右側に流れるように電流を流すと、駆動コイル76の電磁駆動の作用により永久磁石75は上方に変位する。よって、永久磁石75が一体に固定された弾性導体板74aも上方に強制的に押し上げられる。ここで、バイメタル材74cが冷却されると、図6(a)に示す元の位置に戻ろうとするが、電磁駆動によって図6(b)に示す位置で保持されたままとなる(スイッチオフ状態)。よって、液晶レンズ2bの温度が常温程度に上昇した後、弾性支持部材20側の温度が上昇しても液晶レンズ2b側に対する熱結合が強制的に遮断されるため、必要以上の温度上昇による液晶レンズ2bの性能劣化を招くことはない。
このような動作は、液晶モニタ13に対するスイッチ70bや、バッテリ52に対するスイッチ70cの場合も同様である。
つづいて、このような構成要素を含む本実施の形態の一眼レフレックス式デジタルカメラの電装制御系の構成について説明する。図7は、本実施の形態の一眼レフレックス式デジタルカメラの電装制御系の構成例を示すブロック図である。まず、カメラ全体の制御を司るシステムコントローラ100を備える。システムコントローラ100は、CPU54と、複数の回路ブロック、例えば画像処理回路101、圧縮伸張回路102、画像認識回路103、外部メモリIF回路104、汎用I/O回路105、割り込み制御回路106、タイマカウンタ107、A/Dコンバータ108等により構成されている。CPU54と各回路ブロック101〜108とは制御ラインやバスラインで接続されている。
画像処理回路101は、撮像素子81で撮像されて撮像素子IF回路110から取り込んだ画像データに対してγ補正、色変換、画素変換、ホワイトバランス処理等の所定の画像処理を施す。圧縮伸張回路102は、画像処理回路101で画像処理された画像データの圧縮処理やメモリカード111から読み出された圧縮画像データの伸張処理を行う。画像認識回路103は、撮像素子81で撮像された画像データから所定の画像認識アルゴリズムを用いて被写体である人物の顔の特徴点を検出する際に必要な画像処理アルゴリズム
を実行する。
また、外部メモリIF回路104は、メモリカード111、SDRAM112、FlashRom113とシステムコントローラ100内部のデータバスとのブリッジ機能を果す。FlashRom113には、全体の動作を制御するための制御プログラム、制御パラメータ等が記録されている。システムコントローラ100は、CPU54がFlashRom113に格納されている制御プログラムを読み出して実行することにより、カメラの動作を制御する。SDRAM112は、撮像素子IF回路110を介して得られた画像データの一時格納用や、システムコントローラ100のワークエリアとして用いられる。
メモリカード111は、半導体の不揮発性メモリや小型HDD等の着脱可能な記録媒体である。
汎用I/O回路105は、システムコントローラ100に接続されたカメラ操作スイッチ114の読込み端子、周辺回路を制御する制御信号の出力端子として用いられる。割り込み制御回路106は、カメラ操作スイッチ114による割り込み信号、タイマカウンタ107による割り込み信号などを生成する。タイマカウンタ107は、クロックをカウントしてシステム制御に必要なタイミング信号を発生させる。A/Dコンバータ108は、カメラが備える温度センサ(Timg)26、(Tdisp)115、(Tbat)116、(Tlens)117等の各種センサの検出出力をA/D変換する。
撮像ユニット8中に設けられたCCD等からなる撮像素子81は、撮影レンズ2により結像された被写体像をアナログ電気信号に光電変換する。撮像素子IF回路110は、撮像素子81を駆動するタイミングパルスを生成し、撮像素子81が光電変換したアナログ電気信号を読み出し、A/D変換して画像データとしてシステムコントローラ100へ転送する。
温度センサ(Timg)26、(Tdisp)115、(Tbat)116、(Tlens)117は、温度検出回路118とともに温度検出手段を構成する。温度センサとしては、温度に応じて抵抗値が変化する素子や、半導体温度センサを用いればよい。温度センサ(Timg)26は、前述したように、撮像素子81の近傍背面に配設されて撮像素子81の温度を検出するためのものである。温度センサ(Tdisp)115は、カメラ背面側に設けられた液晶モニタ13の温度を検出するためのものである。温度センサ(Tbat)116は、カメラ内蔵のバッテリ52の温度を検出するためのものである。温度
センサ(Tlens)117は、撮影レンズ2中に含まれる液晶レンズ2bの温度を検出するためのものである。
また、撮像ユニット変位機構30は、撮像ユニット8を保持した撮像素子支持板84を撮影レンズ2の光軸Oに垂直なXY平面内で2次元的に変位させるためのものであり、駆動源として電磁駆動モータなるアクチュエータを備えている。アクチュエータ駆動回路120は、このアクチュエータに対して駆動信号を出力する。システムコントローラ100は、カメラに生じたブレに応じて撮像ユニット8(撮像素子支持板84)を変位させることで画像が劣化することを防止する、いわゆる手ブレ補正動作を実行できる。カメラに生じたブレは、ジャイロスコープを利用した角速度センサ121aと、この角速度センサ1
21aの出力を増幅する角速度検出回路121とによって検出される。システムコントローラ100は、角速度検出回路121の出力に基づきアクチュエータ駆動回路120に対してブレ補正動作のための制御信号を出力する。
撮像ユニット8の前面(被写体側)に設けられて撮像素子81の露光時間を制御するシャッタ7は、シャッタ制御回路122から出力される制御信号に応じて開閉動作が制御される。システムコントローラ100は、露光時間に応じてシャッタ制御回路122を制御する。クイックリターンミラー6は、撮影レンズ2の光束を撮像素子81と観察光学系(ペンタプリズム10と接眼レンズ11)とへ導くためのビームスプリッタである。クイックリターンミラー6の中央部には、サブミラー6aが支持される。クイックリターンミラー6の中央部は半透明であり、この半透明部を通過した光はサブミラー6aで反射してAFセンサ125へ導かれる。クイックリターンミラー6は、ミラー変位機構123によって撮影レンズ2の光路中(ダウン位置)と光路外(アップ位置)との位置を選択的に取り得る。ミラー駆動回路124は、ミラー変位機構123中のアクチュエータに対して駆動信号を送る。クイックリターンミラー6がダウン位置にあり、サブミラー6aが光路中にあるときは、撮影レンズ2の光束は、AFセンサ125へ導かれる。したがって、システムコントローラ100は、AFセンサ125の出力からデフォーカス量(ピントのずれ量)を求める場合には、サブミラー6aを光路中に設定する。そして、撮影動作を行う場合は、サブミラー6aを光路外へ退避させる。このAFセンサ125としては、例えば周知の位相差方式のAFセンサが用いられる。
また、電源回路(DC/DCコンバータ)126は、バッテリ52の電圧をシステムコントローラ100とその周辺回路に必要な駆動電圧に変換して供給する。電力分配は、システムコントローラ100の指令に基づき制御される。液晶モニタ駆動回路127は、液晶モニタ13を駆動する。液晶モニタ13は、液晶モニタ駆動回路127からの駆動信号に応じてライブビュー動作時の画像データを表示したり、各種メニュー等を表示する。カメラ操作スイッチ114は、カメラを操作するためのスイッチであり、レリーズSW、モード設定SW、ファインダモード選択SW、パワーSW等を含む。
撮影レンズ2は、レンズ制御コントローラ130によって制御される。レンズ制御コントローラ130は、システムコントローラ100に対して通信ラインによって接続され、システムコントローラ100からの指令に応じて所定の制御動作を実行する。変倍機構131は、撮影レンズ2中のズーム用レンズ2aの焦点距離を変化させるズーム動作を行わせるための機構である。焦点調整機構132は、撮影レンズ2中のフォーカス用レンズ2cの結像位置を変化させるための機構である。それぞれの機構131,132に設けられたモータに対する駆動信号は、レンズモータ駆動回路133から供給される。レンズ制御
コントローラ130は、レンズモータ駆動回路133を制御することで撮影レンズ2のズーム動作と焦点調整動作とを行う。液晶駆動回路134は、撮影レンズ2中の液晶レンズ2bを駆動するための回路である。
弾性支持部材20は、撮像素子81から生じた熱を効率的に放熱させたり、低温時に熱を有効に活用するために、撮像ユニット8の近傍に固定配置されている。そして、弾性支持部材20は、撮像ユニット8中の撮像素子支持板84を介して撮像素子81と熱結合し、撮像素子81で発生した熱が伝達されるように構成されている。
撮像素子81から弾性支持部材20に伝達された熱は、固定部材19に伝達される他、前述したように、熱伝導線42a〜42dを介して外装前カバー3aの他、液晶モニタ13用のシールド板51、バッテリ52用の電池収納室53、液晶レンズ2b用の熱伝導部材64aへ伝達可能に構成されている。ここで、熱伝導線42b〜42dの配線経路上には、熱の伝達を断続するスイッチ(SWdisp)70b,(SWbat)70c,(SWlens)70dが介在されている。これらのスイッチ70b〜70dは、熱伝達遮断SW回路128によって電気的にオン・オフ状態を変更できる。システムコントローラ1
00は、温度センサ26,115〜117の出力に応じて、熱伝達遮断SW回路128によってスイッチ70b〜70dのオン・オフを制御して加熱が必要な部材に撮像素子81の熱を伝達させる。
このような構成において、撮像素子81の温度は、ライブビュー動作または連続的な撮影動作によって上昇し、冷却動作(放熱対策)が必要となる。ここで、撮像素子81が発熱した場合、その熱は撮像素子支持板84、弾性支持部材20、固定部材19、或いは、熱伝導線42aを熱伝導して外装前カバー3aへ伝達され、空気中に逃げる。これにより、撮像素子81の放熱が行われる。この際、弾性支持部材20は、熱伝導率の高いPPS樹脂等からなるので、撮像素子81側に発生した熱を効率よく固定側に放出させることができる。このような放熱効果は、撮像ユニット変位機構30によって撮像素子81がXY
平面内で2次元的に変位する場合であっても維持される。
一方、本実施の形態1では、初期化動作の実行後、カメラの動作中に低温対策動作を周期的に実行させることもできる。この低温対策動作では、低温になると動作性能が低下する、あるいは、動作できない動作ユニット(本実施の形態の場合、液晶モニタ13、バッテリ52、液晶レンズ2b)の温度を検出して、必要に応じて(例えば、10℃以下の場合)、撮像素子81から発生する熱を利用してこれらの動作ユニットを加熱し動作可能にするものである。すなわち、液晶モニタ13やバッテリ52や液晶レンズ2bの温度を測定し、低温環境にあり、加熱が必要であれば、撮像素子81をダミー駆動させて発熱源と
して利用し、撮像素子81の熱をこれらの液晶モニタ13やバッテリ52や液晶レンズ2bに伝熱させて温めることである。
例えば、液晶モニタ13にあっては、一般に、液晶は温度が低下すると応答速度が遅くなり、ライブビュー表示に適さなくなるため、加熱の必要がある。そこで、温度センサ115から取得した液晶モニタ13の温度が予め設定された閾値温度よりも低い場合、スイッチ(SWdisp)70bをオン状態に設定することで、熱伝導線42bによる熱伝導を有効とさせる。そして、撮像素子81をダミー駆動させて発熱させることで加熱動作を開始させる。ダミー駆動される撮像素子81に発生した熱が、撮像素子支持板84、弾性支持部材20、熱伝導線42b、スイッチ70bを介してシールド板51に伝達され、液
晶モニタ13が加熱される。そして、温度センサ115から取得した温度が予め設定された閾値温度に達したら、スイッチ(SWdisp)70bをオフ状態に設定することで、熱伝導線42bによる熱伝導を強制的に遮断させる。
液晶レンズ2bの温度が低い場合も、動作させるには適さず、加熱の必要があるが、液晶モニタ13の場合と同様に撮像素子81のダミー駆動とスイッチ(SWlens)70dのオン/オフ制御によって加熱することができる。バッテリ52の温度が低い場合も、一般に、バッテリ52の出力電圧が低下し、動作させるには適さないため、加熱の必要があるが、液晶モニタ13の場合と同様に撮像素子81のダミー駆動とスイッチ(SWbat)70cのオン/オフ制御によって加熱することができる。
このように、本実施の形態によれば、撮像素子81の温度が所定温度以上に上昇した場合には、撮像素子81の熱を熱伝導率の高いPPS樹脂材料等からなる弾性支持部材20、熱伝導線42aを介して外装前カバー3aへ伝熱させて効率よく放熱させることができる。そのためにも、バッテリ駆動を要するペルチェ素子等の冷却素子を用いることなく、簡単な構成で撮像素子81の放熱を効果的に行うことができる。
また、液晶モニタ13、バッテリ52、液晶レンズ2b等のように、温度が所定温度以下の場合には、撮像素子81をダミー駆動させることで、撮像素子81を発熱源として利用しこの熱を弾性支持部材20、熱伝導線42b〜42dを介して液晶モニタ13、バッテリ52、液晶レンズ2bへ伝熱させて加熱させることもできる。そのためにも、バッテリ駆動を要するヒータ等の特別な加熱素子を用いることなく、簡単な制御で低温環境下では動作が制限される液晶モニタ13、バッテリ52、液晶レンズ2bの加熱を効果的に行うことができる。
なお、フィラーが充填されたPPS樹脂材料などの熱伝導率の高い材料を用いた可動部(撮像素子支持板84)の複数の永久磁石35,32が配置された面を第1面とし、支持板18の複数のコイル34,31が配置された面を第2面とすると、第1面と第2面とは、所定距離離れて対向する。ここで、これら第1面と第2面とに、それぞれセラミックシートを接合(第1面および第2面にセラミックをスパッタリングやコーティングにより形成してもよい)すると、撮像素子81で発生した熱は、可動部本体をなす撮像素子支持板84からセラミックシートに熱伝導された後、対向するセラミックシート間で、赤外線放
射および赤外線吸収がなされ、放熱効果を高めることができる。
或いは、撮像素子支持板84側の第1面に、発泡樹脂シート、またはシボやフィン加工樹脂シート、或いは、パラフィンカプセル剤が含有された蓄熱樹脂シートやグラファイトシートとセラミックシートとが積層された熱伝導シートを接合させてもよい。この場合、第2面側は、表面に黒アルマイト処理されたアルミニウムやマグネシウム合金のシャーシとする。
このようにして、可動部(撮像素子支持板84)の放熱面積を大きくすることで、可動部の熱容量(撮像素子81の熱を吸収できる容量)を増加させることができ、撮像素子81の放熱を促進させ、可動部が大型化しないという利点がある。
なお、本発明は、撮影レンズとして、像面補正のための液晶レンズをレンズ群中に含むインナフォーカス用ズームレンズの場合にも適用可能である。図8は、変形例としてズームレンズのレンズ鏡筒の沈胴状態における光軸上の構成例を示す縦断側面図であり、図9は、ズームレンズのレンズ鏡筒のテレ状態における光軸上の構成例を示す縦断側面図であり、図10は、液晶レンズを含む第2のレンズ群の構成例を一部切り欠いて示す概略側面図である。なお、ズームレンズ系の光軸は、図中、“O”で示す。また、光軸Oの被写体側を前方、結像側を後方とし、ズームレンズ系の光軸Oに直交する平面のうち、左右方向
をX軸方向とし、上下方向をY軸方向とする。
変形例にかかるこのレンズ鏡筒201は、光軸方向の長さが伸長した状態でズーミングおよびフォーカシングを行う撮影可能状態と、非撮影の沈胴状態とに切換え可能なズームレンズ系のレンズ鏡筒である。このレンズ鏡筒201は、図9に示すように、カメラ本体等に固定支持される円筒状の固定枠202と、固定枠202の背面に固定して装着される撮像素子支持板212と、この撮像素子支持板212の背面に固着される撮像素子取付板213と、撮像素子支持板212に支持される光学フィルタ215と、撮像素子取付板213に支持される保護ガラスを含む撮像素子214とを備える。
また、レンズ鏡筒201は、固定枠202に光軸方向に進退可能に支持された直進枠203と,固定枠202に回転可能に支持され、かつ、光軸方向に進退移動するカム筒205と、固定枠202により回転規制されてカム筒205および第2のレンズ群枠206を直進させるガイド用キー209と、カム筒206に支持されて光軸方向に進退移動する第1のレンズ群枠204と、カム筒205に支持されて光軸方向に進退移動する第2のレンズ群枠206と、第2のレンズ群枠206に保持されて進退移動するシャッタ枠207と、撮像素子支持板212に固定支持された第3のレンズ枠208とを備える。
さらに、レンズ鏡筒201は、撮像素子214の前方に向けて順に配されるズームレンズ系であって、第1のレンズ群枠204に保持された第1のレンズ群221と、第2のレンズ群枠206に保持された液晶レンズ230を含む第2のレンズ群222と、第3のレンズ枠208に保持された第3のレンズ223とを備える。
ここで、直進枠203は、固定枠202の直進溝に嵌入するガイド突部を介して回転規制された状態でカム筒205と光軸方向に一体の状態で進退駆動される。第1のレンズ群枠204の前面部には、第1のレンズ群221の前面に位置し、開口部211aを有する飾り板211が固着され、飾り板211の内側に開口部211aを開閉可能なレンズバリア225が配されている。シャッタ枠207は、第2のレンズ群枠206とともに光軸方向に進退移動し、前面側に開閉駆動されるシャッタ羽根224を内蔵している。第3のレンズ枠208は、第3のレンズ223を保持しており、第2のレンズ群枠206と光学フィルタ215および撮像素子214の間に介在した状態で位置固定されている。なお、第3のレンズ223には、液体レンズや液晶レンズを用いてもよい。
また、図示しないが、シャッタ207や第2のレンズ群222の液晶レンズ224を駆動するための駆動信号は、FPC基板で送られる。この場合、FPC基板は、撮像素子支持板212が配置されたプリント基板に接続され、このプリント基板には駆動信号が供給される端子ピンが撮像素子支持板212から露出するように構成されている。
ここで、液晶レンズ230は、図10に示すように、撮影すべき被写体からの入射光を妨げることなく、ズーム操作による第2のレンズ群枠206の動きを妨げることのない位置で、平行平面ガラス61a,61bに挟まれた液晶素子であり、フレネルレンズまたは回折格子62a,62bと被写体側と撮像面側に対してそれぞれ対称な形状をした配向膜が形成されたネマチック液晶材料による中間レンズ層63を設けてなる。中間レンズ層63に電圧を印加するために、平行平面ガラス61a側の配向膜と平行平面ガラス61b側の配向膜には透明な電極が形成されている。このような液晶レンズ224は、一般的に、
オートフォーカスや像面補正が可能であることが知られている。液晶材料は、シール材により内部空間が密封されている。そして、両側の透明電極を通じてネマチック液晶に印加する電圧値を調整することで、焦点調整や像面補正を行う。
そして、この変形例の場合も、低温時に液晶レンズ230を加熱するために、熱伝導線42dに熱結合させて設けられている。ここで、変形例では、液晶レンズ230が第2のレンズ群枠206とともに可動的に設けられているため、熱伝導率(削除)部材64aの外周面に形成された螺旋溝65には熱伝導線42eが巻回され、この熱伝導線42eの一端には熱伝導率の良好な材料からなるコイルばね231の一端側が熱結合され、コイルばね231の他端側は撮像素子支持板211に接合されて保持されているとともに熱伝導線42fが熱結合されている。この熱伝導線42fは、撮像素子支持板211に固定された
接続端子232を介して熱伝導線42dに熱結合されている。
このような熱伝導線42e(弾性支持部材20)側と液晶レンズ230の熱伝導部材64a側との間の熱伝導機構により、第2のレンズ群枠206が光軸方向に進退移動する図9に示すようなテレ状態においても追従可能となる。
なお、特に図示しないが、透明な平行平面ガラス61a,61bの内部にオイルと流体の電解液を混入し、平行平面ガラス61a,61bの外側に絶縁体と透明電極を形成し、流体の電解液に電圧を印加し、電解液とオイルとの境界の形状面が変化することで、焦点距離が変化する液体レンズに置換えることも可能である。また、他の実施例として、撮像素子214または光学フィルタ215上または、その間に、液晶レンズを配置し、被写体からの斜め入射光が液晶レンズに入射する際に、印加電圧に応じて屈折させ、撮像素子214に集光することもできる。この場合には撮像素子214に液晶レンズが近接するため、熱伝導体42eは不要となる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2にかかる撮像装置について説明する。図11は、本実施の形態2にかかる撮像装置中に組み込まれる撮像ユニット周りの構成例を示す分解斜視図である。
まず、本実施の形態2の一眼レフレックス式デジタルカメラは、撮像素子301(撮像素子81に相当する)の背面側を支持する撮像素子支持板302を備えている。この撮像素子支持板302は、カメラ構造体と同様に、熱伝導率の高い(熱伝導率が2W/m・K以上)素材として球状黒鉛や炭素繊維などのフィラーが充填されたPC樹脂やPPS樹脂により形成されて放熱性を有するものである。この撮像素子支持板302の撮像素子81に対応する背面部分には、図示しないプリント基板が固定されており、撮像素子301の駆動端子ないしは信号端子がこのプリント基板に対して半田付け接続されている。さらに、プリント基板の接続端子からFPC基板303へと接続されている。
また、撮像素子支持板302において撮像素子301の周囲には、2個の位置決めピン304と2個の取付孔305とが設けられている。そして、上面側からローパスフィルタ306の挿入可能な開口307aが形成されて撮像素子301を覆う保持枠307が設けられている。すなわち、保持枠307の下部側は撮像素子支持板302上で撮像素子301を覆うように矩形状に開口したもので、位置決めピン304で位置決めしつつ、下側からねじで取付孔305にねじ止めすることにより、撮像素子301を覆う状態で撮像素子支持板302に固定される。ここで、この保持枠307も、熱伝導率の高い(熱伝導率が
2W/m・K以上)素材として球状黒鉛や炭素繊維などのフィラーが充填されたPC樹脂やPPS樹脂により形成されて放熱性を有するものである。さらに、保持枠307のX軸方向における一側面には、位置決めピン308がX軸方向に向けて立設されている。
また、撮像素子支持板302の背面側には、所定位置に固定配置された固定部材310が設けられている。この固定部材310上の撮像素子301に対応する領域を避けた所定位置には、N極とS極との異極で接合された2個の永久磁石311,312が磁性材311a,312aを介して設けられている。撮像素子支持板301上にあっては、永久磁石311に対応する位置に配設させた磁性材311aとの磁気回路内にインサート成形したX軸用駆動コイル313が設けられ、その上面には磁性材314が埋め込まれている。同様に、永久磁石312に対応する位置に配設させた磁性材312aとの磁気回路内にインサート成形したY軸用駆動コイル315が設けられ、その上面には磁性材316が埋め込まれている。このようにして、撮像素子301が搭載された撮像素子支持板302を光軸Oに直交するXY平面からなる2次元方向に変位移動させる駆動機構である電磁駆動方式の撮像ユニット変位機構317が構成されている。なお、コイル313,315と永久磁石311,312との配置は、逆とし、永久磁石311,312を可動側、コイル313,315を固定側に配置させるようにしてもよい。
また、固定部材310に固定された第1の固定側支持板331と、この第1の固定側支持板331上に位置決めピン332に対応する位置決め孔333で位置決めされ、孔334を通してねじ孔335にねじをねじ込むことにより固定される第2の固定側支持板336とを、位置決めピン308側の一側面に備える。第1の固定側支持板331には、金属線等の熱伝導線を配設するための溝337や、ねじ孔338が形成されている。また、これら第1の固定側支持板331と第2の固定側支持板336は、ともに、熱伝導率の高い(熱伝導率が2W/m・K以上)素材として球状黒鉛や炭素繊維などのフィラーが充填さ
れたPC樹脂やPPS樹脂により形成されて放熱性を有するものである。なお、これら第1の固定側支持板331と第2の固定側支持板336は、一体成形してもよい。
また、本実施の形態2の一眼レフレックス式デジタルカメラは、撮像素子301が搭載された撮像素子支持板302を固定部材310に対して光軸Oに直交するXY平面からなる2次元方向に移動可能に支持する弾性支持部材340を備える。この弾性支持部材340は、保持枠307(撮像素子支持板302)に固定される保持支持枠341と、中間支持枠342と、保持支持枠341と中間支持枠342との間をY軸方向に連結しX軸方向に変位可能な2枚の平行な板ばね343と、中間支持枠342と第2の固定側支持板336との間をX軸方向に連結しY軸方向に変位可能な2枚の平行な板ばね344とからなる。
ここで、保持支持枠341は、保持枠307に対して位置決めピン308に対応する位置決め孔345によって位置決めされつつ、孔336を通して保持枠307側の図示しないねじ孔にねじをねじ込むことにより保持枠341の一側面に接するように固定される。また、弾性支持部材340の構成は以下である。保持支持枠341および中間支持枠342は、ともに、熱伝導率の高い(熱伝導率が2W/m・K以上)素材として球状黒鉛や炭素繊維などのフィラーが充填されたPC樹脂やPPS樹脂により形成されて放熱性を有するものである。また、板ばね343,344は、ベリリウム鋼やステンレス鋼材などの金属からなる。
このような構成において、撮像ユニット変位機構317を駆動することで、例えばX軸用駆動コイル313に電圧を印加すると、固定部材310側に配置されたN極およびS極の異極接合の永久磁石311とこの永久磁石311に対向する磁性材311a,314からなる磁気回路内のX軸用駆動コイル313に電流が流れ、撮像素子301を含む保持枠307が撮像素子支持板302とともにX軸方向に移動する。この際、第2の固定側支持板336と中間支持枠342との間を連結する板ばね344は変位せず、板ばね343が中間支持枠342側を固定端として保持支持枠341側がX軸方向に変位する。ここで、
2枚の板ばね343は、同一量変形するため、保持支持枠341側に連結された保持枠307、したがって撮像素子81はX軸方向に変位する。
同様に、例えばY軸用駆動コイル315に電圧を印加すると、固定部材310側に配置されたN極およびS極の異極接合の永久磁石312この永久磁石312に対向する磁性材312a,316からなる磁気回路内のY軸用駆動コイル315に電流が流れ、撮像素子301を含む保持枠307が撮像素子支持板302とともにY軸方向に移動する。この際、保持支持枠341と中間支持枠342との間を連結する板ばね343は変位せず、板ばね344が第2の固定側支持板336側を固定端として中間支持枠342側がY軸方向に変位する。ここで、2枚の板ばね344は、同一量変形するため、保持支持枠341側に
連結された保持枠307、したがって撮像素子81はY軸方向に変位する。この際、撮像素子支持板84の位置を検出する位置検出センサを用いる。位置検出センサは図示されていないが、一般的には撮像素子支持板84上にX軸およびY軸検出用ホール素子を配置し、固定部材側には厚さ方向に磁化された新たに永久磁石を配置(ホール素子に対向した位置に固着)して撮像素子支持板84の位置変動を感知する。
一方、撮像素子301の駆動に伴い、この撮像素子301から発生した熱は、撮像素子支持板302、保持枠307、保持支持枠341、板ばね343、中間支持枠342、板ばね344、第2の固定側支持板336、第1の固定側支持板331へと流れ、第1の固定側支持板331に熱結合させた金属線等の熱伝導線を介してカメラ外装の一部である外装前カバー等に逃がすことができる。本実施の形態2の場合、熱経路を結ぶ各部品(撮像素子支持板302、保持枠307、保持支持枠341、板ばね343、中間支持枠342、板ばね344、第2の固定側支持板336、第1の固定側支持板331)間の接触面積を大きくとることができ、素早く熱を外部に放出させることができる。
なお、フィラーが充填されたPPS樹脂材料などの熱伝導率の高い材料を用いた可動部(撮像素子支持板302)の複数のコイル314,316が配置された面を第1面とし、固定部材310の複数の永久磁石311,312が配置された面を第2面とすると、第1面と第2面とは、所定距離離れて対向する。ここで、これら第1面と第2面とに、それぞれセラミックシートを接合(第1面および第2面にセラミックをスパッタリングやコーティングにより形成してもよい)すると、撮像素子301で発生した熱は、可動部本体をなす撮像素子支持板302からセラミックシートに伝導した後、対向するセラミックシート
間で、赤外線放射および赤外線吸収がなされ、放熱効果を高めることができる。
或いは、撮像素子支持板302側の第1面に、発泡樹脂シート、またはシボやフィン加工樹脂シート、或いは、パラフィンカプセル剤が含有された蓄熱樹脂シートやグラファイトシートとセラミックシートとが積層された熱伝導シートを接合させてもよい。この場合、第2面側は、表面に黒アルマイト処理されたアルミニウムやマグネシウム合金のシャーシとする。
このようにして、可動部(撮像素子支持板302)の放熱面積を大きくすることで、可動部の熱容量(撮像素子301の熱を吸収できる容量)を増加させることができ、撮像素子301の放熱を促進させ、可動部が大型化しないという利点がある。
さらに、図4に示す弾性支持部材20では成形技術による撮像素子支持板84と弾性支持部材20との一体成形化が可能である説明をしたが、支持片20eの板厚の断面積が小さいために熱伝導が悪く、熱遮断しやすい。また、材質がナイロンより硬く破損しやすい場合などは、図12に示すように弾性支持部材20に熱伝導性の高く、UV硬化性のシリコンゲル剤等からなるダンピング材20hで接合する弾性支持部材20の構造にすると耐久性が高く、熱伝導性が弾性支持部材20の途中で劣化しない構造となる。
具体的には、図12に示すように、撮像素子81の背面側である撮像素子支持板84と一体化された連結部20cに屋根型の三角断面の平坦部を有し、この平坦部の先端には、連結部20cに形成したV溝20c1に接触するダンピング材20h(熱伝導性の高い減衰部材)が設けられている。本実施の形態では、固定部材19と固定部20aや中間連結部20bを固定する際、撮像素子支持部材84側の連結部20cに形成されたV溝20c1と弾性支持部材20側の支持片20d,20eの先端であるヒンジ20f、20gとの間に僅かな隙間δ(例えば、0.2〜1.0mm)が生じるようにしてある。例えば、UV硬化のゲル等からなるダンピング材20hを隙間δに充填した後、硬化させて一体化を行う。
また、図11に示す板バネ343,344にダンピング機能を持たせた板バネ30について説明する。図13に示すように、ダンピング機能を適用されたバネ30には、コの字状のスリット(エッチング加工した溝)30fを形成することによって、バネ30の両側を対称形状に構成する。ダンピング材50は、ダンピング特性を有する粘弾性材料であれば、任意のものを適用することが可能である。例えば、ブチルゴムに代えてフッ素ゴム等を適用することもできる。また、アクリル系高分子で形成された両面粘着シート上にアルミ等の金属板又はポリエステル樹脂製の薄板状シートからなるダンピング材50を屈曲部30dに対して貼り付けてもよい。
また、アクリル系やシリコーン系のゲル、シリコーングリス等を屈曲部30dに塗布し、必要に応じて硬化させたものをダンピング材50としてもよい。さらに、屈曲部30dの周辺にダンピング材50を充填可能な充填部を設けて、この充填部内にダンピング材50及び屈曲部30dを位置付けてもよい。また、上述した変形例では、屈曲部30dの周辺にのみダンピング材50を被覆させていたが、これに限らず、例えばバネ30の全体にダンピング材50を被覆させてもよい。このような構成によれば、高いダンピング効果を実現することが可能となる。さらに、弾性支持部材の熱容量(撮像素子81の熱を吸収できる容量)を増加させることができ、撮像素子81の放熱を促進させ、可動部が大型化しないという利点がある。
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変形が可能である。例えば、撮像装置としてはレンズ交換可能な一眼レフレックス式デジタルカメラに限らず、例えばコンパクト型のデジタルカメラや、撮影機能を有する携帯電話、携帯情報端末、ノート型パーソナルコンピュタ、電子医療機器等であっても同様に適用することができる。
また、この種のカメラにあっては、CCDデバイスの備える画素数より高い画素数で撮影する画素ずらし法という手法がある。例えば、普通に撮影した画像と,撮像素子を載せた可動部が1/2画素ずつ斜めに変位させて撮影した2枚の画像を連続撮影し、シャッタースピードが半分とする技術である。このように、画素ずらしのために撮像素子を光軸に直交する2次元方向に変位移動させる場合にも、本発明は適用可能である。