JP5026683B2 - ガス分解剤 - Google Patents

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本発明は、ガス分解剤として使用され得る、ユニットセルに酸素活性化金属錯体を内包するゼオライトに関する。
これまで健康にとって有害或いは人間が不快と感じるガス類の対策としては、(1)香料などマスキングによるもの、(2)活性炭など物理的吸着によるもの、(3)種々の化学物質による化学反応によるものなどがあった。しかし、いずれの方法も効果は一過性であり、持続的に効果を得るためには、剤の交換などのメンテナンスが必要であった。
健康にとって有害或いは人間が不快と感じるガス類を分解する効果を、日常生活する環境で持続的に発揮する剤としては、常温において分解(触媒)作用があるものが好適である。例えば、特許文献1には、有害ガス除去剤として酸化チタン系光触媒を使用することが提案されている。しかし、酸化チタン系光触媒は、受ける光エネルギーによって活性酸素を発生させてガス成分を分解するため、ガス分解効果を持続的に得るためには、例えば紫外光などの光を常に照射することが必要である。
一方、特許文献2〜4には、金属フタロシアニン錯体をゼオライトなどの担体の表面に吸着させてガス分解剤として使用することが開示されている。これらは、フタロシアニンが有するホルムアルデヒド等のガスに対する分解性能を利用したものであるが、種々の金属結合状態にあるフタロシアニンが共存しており、十分な分解反応を起こすことができなかった。よって、更に高いガス分解性能を有するガス分解剤が求められていた。
特開平11−169727号公報 特開平5−277167号公報 特開2002−321912号公報 特開2003−202145号公報
そこで、本発明は、健康にとって有害或いは人間が不快と感じるガス類を常温で持続的に分解することができるガス分解剤を提供することを目的とする。
上記目的を達成する手段は、以下の通りである。
[1]金属と酸素活性化金属錯体とを含むゼオライトであるガス分解剤であって、
前記酸素活性化金属錯体は、前記ゼオライトが有するユニットセルに内包されていることを特徴とするガス分解剤
[2]前記酸素活性化金属錯体は、フタロシアニン金属錯体、ビス(サリチリデン)−オルトーフェニレンジアミジナト金属錯体および環状テトラピロール化合物を配位子とする金属錯体からなる群から選ばれる少なくとも一種である[1]に記載のガス分解剤
[3]前記ゼオライトは、ユニットセル内に0.1〜35質量%の酸素活性化金属錯体を内包する、[1]または[2]に記載のガス分解剤
[4]前記ゼオライトがX型ゼオライトまたはY型ゼオライトである[1]〜[3]のいずれかに記載のガス分解剤
[5]前記ゼオライトに含まれる金属は、銀、銅、亜鉛、白金、およびパラジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のガス分解剤
[6]前記酸素活性化金属錯体に含まれる金属が、コバルト、鉄、マンガン、ルテニウム、チタン、バナジウム、ニッケル、銅およびセリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種である[1]〜[5]のいずれかに記載のガス分解剤
本発明によれば、VOCなど有機溶媒類や硫化水素、トリメチルアミン、酢酸、ホルムアルデヒド、ノネナール、イソ吉草酸、インドールなど悪臭ガスの種々の有害ガスを持続的に分解することができる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明のガス分解剤であるゼオライトは、金属と酸素活性化金属錯体とを含むゼオライトであって、前記酸素活性化金属錯体は、前記ゼオライトが有するユニットセルに内包されていることを特徴とする。
ゼオライトは、イオン交換可能な陽イオンを含む、多孔質の結晶性アルミノケイ酸塩である。なお、本発明におけるゼオライトには、従来より知られている結晶性アルミノケイ酸塩のほか、同様な結晶構造を有するメタロケイ酸塩、リン酸塩系多孔質結晶も含まれる。これら類似結晶構造を有する化学物質については2000年7月発行の書籍「ゼオライトの科学と工学」(小野嘉夫、八嶋建明著、講談社刊)に詳細な説明がされている。
前記ゼオライトは、金属と酸素活性化金属錯体とを含み、前記酸素活性化金属錯体は、ゼオライトが有するユニットセルに内包されている。ここで、「ユニットセル」は、ゼオライト骨格構造における構造組成単位と定義される。また、本発明において、「酸素活性化金属触媒」は、分子状酸素等をヒドロキシラジカル、スーパーオキシド等の活性化した状態にして酸化反応を生じさせ得る金属触媒をいう。
ユニットセル内に酸素活性化金属錯体を含む前記ゼオライトには、一定の金属結合状態にある酸素活性化金属触媒が一定量存在している。これにより、目的ガスに対する高い活性状態を維持することができ、非常に高いガス分解性能を得ることができる。
前記ゼオライトは、ユニットセル内に0.1〜35質量%の酸素活性化金属錯体を内包することが好ましく、1.0〜8.0質量%の酸素活性化金属錯体を内包することが更に好ましい。上記範囲内の量で酸素活性化金属錯体を内包することにより、高いガス分解能を得ることができる。特に、前記ゼオライトは、一つのユニットセルに一分子の酸素活性化金属錯体を内包することが、分解するガス種との化学反応性が高く好ましい。
ゼオライトに酸素活性化金属錯体が含まれることは、元素分析法によって確認することができる。
元素分析により、ユニットセルに酸素活性化金属錯体を内包するゼオライトの炭素量および窒素量を測定すると、酸素活性化金属触媒の理論的な炭素/窒素のモル比と同程度のモル比が算出される。これにより、ゼオライトに酸素活性化金属錯体が含まれることを確認することができる。また、ゼオライト中の酸素活性化金属錯体の内包量は、元素分析によって測定された、酸素活性化金属錯体を構成する窒素量および炭素量と、酸素活性化金属錯体内包ゼオライト量から算出することができる。
更に、ゼオライト中の酸素活性化金属錯体の存在状態は、ガス吸着法によって確認することができる。
ゼオライトのユニットセルの大きさは、0.3〜1.8nm程度であり、このサイズは空気中の酸素分子の大きさ(約0.3nm)や窒素分子の大きさ(約0.4nm)と同程度である。よって、ある条件下で、ユニットセル内に酸素活性化金属錯体を内含しないゼオライトに酸素分子または窒素分子を吸着させると、ゼオライトの表面だけではなく、ユニットセル内部にも酸素分子または窒素分子が吸着され、その吸着量から、ゼオライトの比表面積(単位質量当たりの表面積:単位m3/g)を算出することができる。なお、ここでの表面積とは、ゼオライトの表面だけでなく、ユニットセル内の表面も含む。この測定法によって、同じ条件で、酸素活性化金属錯体を内包しないゼオライトと内含するゼオライトの比表面積を測定すると、酸素活性化金属錯体を内包しないゼオライトでは、ユニットセル内の表面を含む値となる。一方、酸素活性化金属錯体を内包するゼオライトは、ユニットセル内に酸素活性化金属錯体が存在するため、酸素分子が入れず、吸着量がその分少なくなる。この差異によって、ゼオライトのユニットセル内に酸素活性化金属錯体が内包されていることを確認することができる。
本発明におけるゼオライトの具体的構造としては、X、Y型ゼオライト、グメリナイト、β型ゼオライト、モルデナイト、オフレタイト、EMT、SAPO−37、ベリロリン酸塩Xなどの構造細孔入口が12の原子である大細孔のもの、クローバライトなどの構造細孔入口が14以上の原子である超大細孔のもの、フェリエライト、ヒューランダイト、ウェイネベアイトなどの構造細孔入口が10の原子である中細孔のもの、アナルシム、チャバサイト、エリオナイト、A型ゼオライトなどの構造細孔入口が8以下の原子である小細孔のものが挙げられる。中でも、X、Y型ゼオライト、EMT、SAPO−37、ベリロリン酸塩Xは、内部細孔の大きさが直径1.3nmで、その入口部が直径0.7nmとなっており、1つのユニットセルに1分子の酸素活性化金属錯体を内包するために好ましい構造である。
特に、ゼオライト骨格内部のガスを分解しやすい位置に酸素活性化金属錯体が内包されたゼオライトを容易に合成できるという観点からは、X、Y型ゼオライトが好ましい。
本発明において、ゼオライトに含まれる金属としては、銀、銅、亜鉛、白金、パラジウム、アルミニウム、インジウム、スズ、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウムやリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、ランタン、セリウムなどの希土類金属が挙げられる。ゼオライトに含まれる金属は、目的ガスとの化学反応性の強さを考慮して選択することができる。前記ゼオライトには、銀、銅、亜鉛、白金、パラジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属が含まれることが好ましい。ゼオライトに含まれる金属と目的ガスとの化学反応性が高いほど、高いガス集約性が得られるため、ガス分解効率を高めることができる。
本発明において、ゼオライトに所望の金属を含有させる方法としては、ユニットセル中に酸素活性化金属錯体を内包しない製造段階で、イオン交換により原料ゼオライトに所望の金属を担持させる方法、および、ユニットセル中に酸素活性化金属錯体を内包させた後に、イオン交換により二次的に担持させる方法のいずれも用いることができる。前記イオン交換は、所望のイオンを含む溶液中にゼオライトを浸漬し、例えば室温で所定時間攪拌することによって行うことができる。ゼオライトに含有させる所望の金属の量は、反応させるゼオライトと所望の金属イオンを含む溶液のイオン量とによって制御することができる。ガス分解性の観点から、前記ゼオライトに含有させる所望の金属の量は、0.01〜10.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5.0質量%である。
ゼオライトが有するユニットセルに内包される酸素活性化金属触媒としては、フタロシアニン金属錯体、ビス(サリチリデン)−オルトーフェニレンジアミジナト金属錯体、環状テトラピロール化合物を配位子とする金属錯体、環状ポリアミン、ポリフォスフィン、ポリチオエーテル、ポリエーテルおよびそれらに含有する元素を窒素、イオウ、リン、または酸素に換えた環状化合物を配位子とする錯体、窒素、リン、硫黄および酸素原子を起点とする二脚型三座配位子ジエチレントリアミンおよび三脚型四座配位子トリスピリジルメチルアミン、NTA、トリエタノールアミンなどを配位子とする錯体、環状テトラピロール化合物を配位子とする錯体、ビス(サリチリデン)-オルト-フェニレンジアミナト錯体、ビス(サリチリデン)エチレンジアミナト錯体、ビス(サリチリデン)プロピレンジアミナト錯体、ビス(サリチリデン)シクロヘキサンジミナト錯体、ビス(1-メチル-3-オキソブチリデン)エチレンジアミナト錯体 、ヒスチジン、ロイシンなどアミノ酸、2,2'-ビピリジン、1,10-フェナントロリン、1-メチル-1,3-ブタンジオンを配位子とする錯体を挙げることができる。中でも、触媒能力や化合物自体の化学的安定性が高いため、前記酸素活性化金属触媒は、フタロシアニン金属錯体、ビス(サリチリデン)−オルトーフェニレンジアミジナト金属錯体および環状テトラピロール化合物を配位子とする金属錯体からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、特にフタロシアニン金属錯体であることが好ましい。
本発明において、ゼオライトのユニットセルに内包させるフタロシアニン金属錯体としては、例えば、下記一般式によって表されるフタロシアニン金属錯体を挙げることができる。
Figure 0005026683
上記一般式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、カルボキシルアミド基、ニトリル基、水酸基、アルコキシル基、フェノキシル基、スルホン酸基、スルホン酸アミド基である。R1〜R4は、それぞれ、ゼオライトのユニットセルの大きさを考慮して選択することができる。前記ゼオライトのユニットセルに内含させるフタロシアニン金属錯体としては、R1〜R4がすべて水素であるものが好ましい。R1〜R4がすべて水素であるフタロシアニン金属錯体は、一分子の大きさがゼオライトのユニットセルの大きさとほぼ一致しているため、ユニットセル内で安定した形で存在できる。よって、ユニットセル内にこのタイプのフタロシアニン金属錯体を内包させれば、高いガス分解能を有するゼオライトを得ることができる。
本発明において、酸素活性化金属錯体に含まれる金属(上記一般式で表わされるフタロシアニン金属錯体の場合、上記一般式中のM)としては、コバルト、鉄、マンガン、ルテニウム、チタン、バナジウム、ニッケル、銅およびセリウムを挙げることができる。中でも、コバルト、鉄、マンガン、ルテニウムが、合成のしやすさや酸素活性化金属錯体としての分解するガス種との化学反応性が高い点から好ましい。酸素活性化金属錯体中の金属量は、0.01〜10.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜2.0重量%である。なお、フタロシアニン金属錯体の場合、触媒中の金属量は一定であり、フタロシアニン:金属は、モル単位で等量(1:1)となる。
ゼオライトのユニットセル内に酸素活性化金属触媒を内包させる方法としては、ゼオライトと酸素活性化金属触媒前駆体とを封管中で加熱する方法、溶液中で加熱還流する方法等を挙げることができる。
以下に、上記一般式中のR1〜R4がすべて水素であるフタロシアニン金属錯体を使用する場合を例に取り、ゼオライトのユニットセル内にフタロシアニン金属錯体を内包させる方法を説明する。
イオン交換によって所望の金属を担持させたゼオライト、または、イオン交換前のゼオライトを、1,2−ジシアノベンゼンと混合した後に、例えば封管中で、例えば200〜300℃で4〜12時間加熱することによって、ユニットセル内にフタロシアニン金属錯体を内包したゼオライトを得ることができる。ここで、ゼオライトのユニットセルに内包されるフタロシアニン金属錯体の量は、ゼオライトと1,2−ジシアノベンゼンの混合比率を調整することにより制御することができる。また、封管中に所望のカチオンを存在させることにより(例えば、所望のカチオンを担持した原料ゼオライトを用いることにより)、所望の金属を含有するフタロシアニン金属錯体をユニットセル内に形成することができる。
金属担持ゼオライトと1,2−ジシアノベンゼンの混合比(質量比)は、ゼオライト:1,2−ジシアノベンゼン=1:0.7〜1:1.8であることが好ましい。好ましい反応条件は、200℃で4〜7時間であり、特に好ましくは200℃で4〜6時間である。なお、1,2−ジシアノベンゼンは、市販品として入手可能である。
上記反応後、ゼオライトを有機溶媒で洗浄することが好ましい。これにより、未反応の1,2−ジシアノベンゼンや副生成物とゼオライト骨格構造外に形成されたフタロシアニン金属錯体を除去して、フタロシアニン金属錯体の活性とゼオライト吸着能力を維持することができる。洗浄に使用する有機溶媒としては、アセトン、メタノール、ピリジンが好ましく、洗浄液の温度は各溶媒の沸点近辺であることが好ましい。
なお、先に示した一般式中のR1〜R4のすべてが水素であるフタロシアニン金属錯体以外のフタロシアニン金属錯体を、ゼオライトのユニットセルに内包させる場合は、対応する置換基を有する置換ジシアノベンゼンを使用して、上記と同様の操作を行えばよい。
以上の説明では、ゼオライトのユニットセルに、酸素活性化金属触媒としてフタロシアニン金属錯体を内包する場合を例にとり説明したが、フタロシアニン金属錯体以外の酸素活性化金属触媒を使用する場合でも、上記方法に準じてユニットセル内に触媒を内包させることができる。
本発明において、前記ゼオライトは、ガス分解剤として使用される。本発明において、ガス分解剤とは、VOCなど有機溶媒類や硫化水素、トリメチルアミン、酢酸、ホルムアルデヒド、ノネナール、イソ吉草酸、インドール、メルカプタン類、チオエーテルなど悪臭や有害性のある化学物質成分を持続的に分解できるものをいう。VOCとしては、シックハウス症候群、シックスクール症候群などの影響を及ぼす可能性の高いホルムアルデヒド、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、スチレンモノマー、パラジクロロベンゼンなどを挙げることができる。
更に、前記ゼオライトは、酸化触媒として使用することもできる。具体的には、例えばアミン類を酸化することにより洗浄剤として利用可能なN-オキサイドを安価に大量に合成する触媒などとして使用できる。前記ゼオライトを酸化触媒として使用して反応を行う場合には、公知の方法で触媒反応を行うことができ、触媒使用量は適宜設定することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明する。
[実施例1]
ガス分解剤(フタロシアニン金属錯体内包ゼオライト(Na担持型)の調製
コバルトを1質量%担持したゼオライト100gを250℃で3時間乾燥させ、1,2−ジシアノベンゼン100gを混合した後に、ガラスチューブに封管し、200℃で6時間加熱した。放冷後、得られた固体をアセトンにより48時間、メタノールにより48時間、ピリジンにより120時間、アセトンにより24時間、ソックスレー抽出器で洗浄して、未反応の1,2−ジシアノベンゼンや、副生成物と空孔外に形成されたコバルト−フタロシアニン金属錯体を除去した。洗浄した固体を5質量%硝酸ナトリウム水溶液に入れ、12時間室温で攪拌することで、ゼオライト骨格中にフタロシアニン金属錯体とならずに残留したコバルトをナトリウムイオンで交換して取り除き、100℃で一晩乾燥させて、コバルト−フタロシアニン金属錯体内包Na担持ゼオライトを得た。上記ゼオライトのナトリウム担持量を蛍光X線測定によって確認したところ、1質量%であった。フタロシアニン金属錯体中のコバルトの量を蛍光X線測定により確認したところ、1.3質量%であった。
[実施例2]
ガス分解剤(フタロシアニン金属錯体内包ゼオライト(Ag担持型)の調製
実施例1で得たコバルト−フタロシアニン金属錯体内包ゼオライト10gを硝酸銀0.30gを水100mlに溶解した液に入れ、一晩攪拌した。固体を濾別し、水100ml、アセトン20mlでロート上で洗浄後、100℃で一晩乾燥させてコバルト−フタロシアニン金属錯体内包ゼオライトの1質量%銀イオン交換体を得た。ゼオライトの銀イオン担持量は、蛍光X線測定によって確認した。フタロシアニン金属錯体中のコバルトの量を蛍光X線測定により確認したところ、0.9質量%であった。
[実施例3]
ガス分解剤(フタロシアニン金属錯体内包ゼオライト(Cu担持型)の調製
実施例1で得たコバルト−フタロシアニン金属錯体内包ゼオライト10gを硝酸銅(II)(4水和物)0.28gを水100mlに溶解した液に入れ、一晩攪拌した。固体を濾別し、水100ml、アセトン20mlでロート上で洗浄後、100℃で一晩乾燥させてコバルト−フタロシアニン金属錯体内包ゼオライトの1質量%銅イオン交換体を得た。ゼオライトの銅イオン担持量は、蛍光X線測定によって確認した。フタロシアニン金属錯体中のコバルトの量を蛍光X線測定により確認したところ、1.0質量%であった。
[実施例4]
ガス分解剤(フタロシアニン金属錯体内包ゼオライト(Zn担持型)の調製
実施例1で得たコバルト−フタロシアニン金属錯体内包ゼオライト10gを硝酸亜鉛(6水和物)0.32gを水100mlに溶解した液に入れ、一晩攪拌した。固体を濾別し、水100ml、アセトン20mlでロート上で洗浄後、100℃で一晩乾燥させてコバルト−フタロシアニン金属錯体内包ゼオライトの1質量%亜鉛イオン交換体を得た。ゼオライトの亜鉛イオン担持量は、蛍光X線測定によって確認した。フタロシアニン金属錯体中のコバルトの量を蛍光X線測定により確認したところ、1.0質量%であった。
[比較例1]
コバルト−フタロシアニン金属錯体の調製
1,2−ジシアノベンゼン100gを、ガラスチューブに封管し、200℃で6時間加熱した。放冷後、得られた固体をアセトンで48時間、メタノールで48時間、ピリジンで120時間、アセトンで24時間ソックスレー抽出器で洗浄して未反応の1,2−ジシアノベンゼンや副生成物を取り除き、コバルト−フタロシアニン金属錯体を得た。
[比較例2]
表面にコバルト−フタロシアニン錯塩を吸着したゼオライトの調製
ゼオライトを、フタロシアニンのアルコール溶液に浸漬し、これを100℃で乾燥させた後、更に0.5Nの塩化コバルトの溶液(アルコール+水)に再び浸漬した後に、150℃で乾燥させ、コバルト−フタロシアニン金属錯体を表面に吸着したゼオライトを調製した。
[フタロシアニン金属錯体の存在状態の確認]
(1)ガス吸着法
柴田化学器械工業製BET式比表面積測定装置P−700を使用して、実施例1〜4および比較例2で調製したゼオライト、ならびに、X型ゼオライト(未処理品)の酸素ガス吸着量から比表面積を算出した。結果を表1に示す。
Figure 0005026683
X型ゼオライトのユニットセルの大きさは0.3〜1.8nm程度であり、このサイズは酸素分子(約0.3nm)と同程度である。ユニットセル内にフタロシアニン金属錯体を含まないゼオライトに酸素ガスを吸着させると、ゼオライトの表面だけではなくユニットセル内部にも酸素分子が吸着される。そのため、比較例2および未処理のX型ゼオライトでは、600m2/g台の数値であった。一方、実施例1〜4では、ゼオライトのユニットセルにフタロシアニンが内含されているので、酸素ガスを吸着できないため、140〜150m2/g台の数値を示した。以上の結果の差異から、実施例1〜4で得られたゼオライトには、ユニットセル内にフタロシアニン金属錯体が内包されていることが確認できた。
(2)元素分析法
実施例1で得られたゼオライトについて、パーキンエルマー社製元素分析装置2400−IIにて、炭素量と窒素量のモル単位の割合を測定したところ、炭素が2.30%、窒素が0.57%であった。フタロシアニンの理論的な炭素/窒素のモル比が4.0に対して、測定値から計算した比率は、実施例1で得られたゼオライトでは、4.03であった。これにより、実施例1で得られたゼオライトにフタロシアニン金属錯体が含まれていることが確認できた。実施例2〜4で得られたゼオライトについても、同様の方法で、ゼオライトにフタロシアニン金属錯体が含まれていることを確認した。また、元素分析の測定値から、実施例1〜4で得られたゼオライト中のフタロシアニン金属錯体内包量を算出したところ、いずれも3.3質量%であった。
[ガス分解試験]
インドール20g/l、ノネナール10g/lのエタノール溶液を調製し、それぞれ70μlをガス調製容器に添加し、7lの初期ガスを用意した。このガスを2時間放置した後、6lのテドラーバックに試料1gとともに充填し、3時間後のガス濃度をガスクロマトグラフ/マススペクトル測定装置によって測定し、ピーク面積により、初期ガスの濃度に対する減少率を算出した。100%とは、対象ガスが検出されず、すべて分解されたことを意味する。
表2および表3からわかるように、実施例1〜4のゼオライトは、比較例1(フタロシアニン金属錯体)および比較例2(フタロシアニン金属錯体が表面に吸着されたゼオライト)と比べて、顕著に優れたガス分解能を有していた。
Figure 0005026683
Figure 0005026683
[実施例5]
ガス分解剤(ビス(サリチリデン)−オルト−フェニレンジアミナト金属錯体内包ゼオライト(Ag担持型)の調製
コバルトを1質量%担持したゼオライト100gを250℃で3時間乾燥させた後、オルト−フェニレンジアミン50gを溶解させた乾燥エタノール1Lに加え、1時間、加熱・還流した。一旦加熱を中止し、サリチルアルデヒド110gを懸濁液に加えた後、再び加熱して2時間還流した。懸濁液を濾過して得られた固体をジクロロメタンにより48時間、アセトンにより24時間、ソックスレー抽出器で洗浄して、未反応のオルト−フェニレンジアミンやサリチルアルデヒド、空孔外に形成されたコバルト−ビス(サリチリデン)−オルト−フェニレンジアミナト錯体を除去した。洗浄した固体を5質量%硝酸ナトリウム水溶液に入れ、12時間室温で攪拌することで、ゼオライト骨格内にビス(サリチリデン)−オルト−フェニレンジアミナト錯体とならずに残留したコバルトイオンをナトリウムイオンで交換して取り除き、100℃で一晩乾燥させて、コバルト−ビス(サリチリデン)−オルト−フェニレンジアミナト錯体内包Na担持ゼオライトを得た。
このコバルト−ビス(サリチリデン)−オルト−フェニレンジアミナト錯体内包Na担持ゼオライト10gを硝酸銀0.30gを水100mlに溶解した液に入れ、一晩攪拌した。固体を濾別し、水100mlでロート上で洗浄後、100℃で一晩乾燥してコバルト−ビス(サリチリデン)−オルト−フェニレンジアミナト錯体内包ゼオライトの1質量%銀イオン交換体を得た。ゼオライトの銀イオン担持量は蛍光X線測定によって確認した。ビス(サリチリデン)−オルト−フェニレンジアミナト錯体として担持されているコバルトの量を蛍光X線測定により確認したところ、0.8質量%であった。
実施例5で得たコバルト−ビス(サリチリデン)−オルト−フェニレンジアミナト錯体内包Ag担持ゼオライトのガス分解試験を、ガスとしてインドールを用いて上記と同様の方法で行った。インドール減少率は、0時間で0%、1時間で86%、3時間で100%であり、優れたガス分解能を有することが確認された。
本発明のガス分解剤は、健康にとって有害或いは人間が不快と感じるガス類を分解・除去するために用いることができる。本発明のガス分解剤、例えば、壁材、床材、天井材などの建材、椅子、机、ベット、タンスなどの家具、自動車や電車などの車両内部の材料に練りこんだり、塗料に混合して建材などに塗布して用いることができる

Claims (6)

  1. 金属と酸素活性化金属錯体とを含むゼオライトであるガス分解剤であって、
    前記酸素活性化金属錯体は、前記ゼオライトが有するユニットセルに内包されていることを特徴とするガス分解剤
  2. 前記酸素活性化金属錯体は、フタロシアニン金属錯体、ビス(サリチリデン)−オルトーフェニレンジアミジナト金属錯体および環状テトラピロール化合物を配位子とする金属錯体からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載のガス分解剤
  3. 前記ゼオライトは、ユニットセル内に0.1〜35質量%の酸素活性化金属錯体を内包する、請求項1または2に記載のガス分解剤
  4. 前記ゼオライトがX型ゼオライトまたはY型ゼオライトである請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス分解剤
  5. 前記ゼオライトに含まれる金属は、銀、銅、亜鉛、白金、およびパラジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス分解剤
  6. 前記酸素活性化金属錯体に含まれる金属が、コバルト、鉄、マンガン、ルテニウム、チタン、バナジウム、ニッケル、銅およびセリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス分解剤
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