JP5025648B2 - 進行型とデノボ型とを識別することによる神経膠腫の診断方法 - Google Patents

進行型とデノボ型とを識別することによる神経膠腫の診断方法 Download PDF

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Description

本発明は、ほ乳類、好ましくはヒト被験者、における多形膠芽腫の種類を同定する方法に関する。
本発明は、より詳しくは、ほ乳類、好ましくはヒト被験者、における進行型の神経膠腫を特定するためのキットに関する。
本発明は、より詳しくは、ほ乳類、好ましくはヒト被験者、における第一次性の多形膠芽腫と第二次性の多形膠芽腫とを識別するためのキットに関する。
神経膠腫は、最も一般的な第一次性の脳腫瘍であり、100000人に約12人の頻度で発生する(Landisら、1999年)。広汎性の星状細胞腫は、悪性度が増加する順に、度数の低い広汎性のもの(DA;II度)、未分化型のもの(AA;III度)および多形膠芽腫(IV度;GBM)に分類される(WHOの分類による)(Mischelら、2001年)。これまでのところ、こうした分類は、腫瘍の組織病理学的な特徴の観察に基づいてなされており、主観的であり一定しないことが時々ある。GBMは悪性の神経膠腫のうちの80%超を構成しており(DeAngelisら、2001年)、GBM患者の平均寿命は一年未満である。残念ながら、外科手術、放射線療法および化学療法を含むこれまでの治療では、これら不治の腫瘍の自然生長を食い止めることができておらず、GBM患者の予後はこの30年間ほとんど好転していない(Davisら、1998年)。新規な診断および治療の方針を見出すためには、神経膠の腫瘍形成に到る生物学的経路を深く理解しなければならないことは明らかである。
星状細胞腫の発達は、他の癌腫と同様、一連の遺伝子変異の蓄積に付随することが知られている(Naganeら、1997年)。星状細胞腫の形成過程および発達過程は、一般的な分子生物学的手法を用いて星状細胞腫の発達に関与する多数の遺伝子を同定することによって理解が進んでいる(LouisとGusella、1995年)。これらの腫瘍では、表皮成長因子の受容体(EGFR)の頻繁な増幅(Hillら、1999年;BrockおよびBower、1997年)、血小板由来成長因子の受容体(PDGFR)(Hermansonら、1992年;Hermansonら、1996年;Maxwellら、1990年;Westermarkら、1995年;Flemingら、1992年)、cdk4遺伝子を保有する染色体12q領域の増幅(Naganeら、1997年;Hillら、1999年)ならびに染色体1p、9p、10番、17p、19qおよび22qにおける変異が認められることが多い。そして、度数の低い星状細胞腫および進行型の星状細胞腫において、染色体17pの変異に付随するように腫瘍抑圧遺伝子p53が変異することが認められた(Maherら、2001年;Phatakら、2002年)。染色体9pに存在するcdk抑制因子p16 INK4aの不活性化は、散発性の星状細胞腫において非常に一般的であり、度数の高い神経膠腫の50〜70%、GBM細胞株の90%において生じる(Jamesら、1991年;Olopadeら、1992年)。第10番染色体におけるLOHは、GBMにおける最も頻繁な変異の一つであり、PTEN/MMAC遺伝子の欠損に付随する(Hillら、1999年;Liら、1997年)。
GBMには次の2つの種類がある:年配の患者(平均年齢:55歳)において臨床疾患の徴候が通常みられず臨床歴3ヶ月未満で発現する、侵襲性の高い攻撃的な腫瘍である、第一次性GBM(デノボ型);若年の患者(平均年齢:40歳)において通常みられ、広汎性の星状細胞腫(WHOの度数II)または未分化型の星状細胞腫(WHOの度数III)から悪性へと進行することによって、ゆっくりと発達する、第二次性GBM(進行型)。これら2つのGBMの間では損傷遺伝子がいくらか相違することが知られているが、当該2種類のGBMが臨床的、遺伝学的および生物学的に近似した特徴を有していることを考慮すると、こうした相違は、識別マーカーとして利用するには不十分である(Kleihuesら、2002年)。とはいえ、将来開発されるであろう新規の療法に対し、こうしたサブタイプが異なった反応を示すことはあり得る(KleihuesとOhgaki、1999年)。
これまで、癌腫の分類は、主に、腫瘍細胞の形態学的な外観に基づいてなされてきた。しかし、これには、組織病理学的に近似した外観を有する腫瘍がまったく異なった臨床経過をたどり得ると共に治療に対し異なる応答を示し得ることから、ゆゆしき限界がある。例えば、組織病理学的な外観に基づき、IV度の星状細胞腫とIII度の星状細胞腫とを確実に識別することができない。
脳腫瘍の免疫表現型解析によって、例えば希星状細胞腫と悪性の星状細胞腫とを識別すること、また例えば度数の高い星状細胞腫と度数の低い星状細胞腫とを識別することといった、診断の明確化および高精度化がなされている。しかし、タンパク質の発現(GFAP、ビメンチン、シナプトフィジン、ネスチン)の相違は、治療法の改善には寄与しない。現時点で利用可能なマーカーによって、度数の低い星状細胞腫から度数の高い星状細胞腫への移行を予測することは難しい(De Girolamiら、1994年)。
現時点で使用されているこれらのおよびその他の分子マーカーでは、GBMのサブタイプを確実に同定することができない。p53遺伝子の変異は、II/III度の星状細胞腫および第二次性の膠芽腫の約50%に付随するものの、第一次性の膠芽腫の10〜20%にしか観測されないことが報告されている(Campomenosiら、1996年;Watanabeら、1997年;Schmidtら、2002年)。GBMの分類に頻繁に使用される別のマーカーである表皮成長因子の受容体(EGFR)も、あらゆる第一次性GBMの症例の40%でしか増幅されないことが知られており、第二次性GBMにおいてはほとんど報告がない(Frederickら、2000年)。
このため、現状の組織病理学的手法では、低い悪性度から進行する第二次性GBMを、進行型のGBMと容易に識別できない。
神経膠腫に関してこうした知見があるものの、星状細胞腫の発達に対する知見は不十分であり、GBM患者の予後を好転することはできない。星状細胞腫における種々の遺伝子の発現パタンおよびそれらの下流にある遺伝子産物に関するもっと包括的で体系的な知見があれば、新規な診断および治療の指標が得られるであろう。こうした目的から、星状細胞腫の遺伝子発現情報についての研究成果がいくつか報告されている(Liauら、2000年;Sallinenら、2000年;Rickmanら、2001年;Ljubimovaら、2001年;Watsonら、2001年;Tanwarら、2002年;Fathallah-Shaykhら、2002年;Nuttら、20003年;Wangら、2003年;Godardら、2003年)。
病原性の異なる種類の腫瘍に対する治療様式は、効率が最大化すると共に患者への毒性が最小化するように方向付けることが望ましい(Golubら、1999年;Kudohら、2000年)。これまで、癌腫の分類は、主に、腫瘍細胞の形態学的な外観に基づいてなされてきた。しかし、これには、組織病理学的に近似した外観を有する腫瘍がまったく異なった臨床経過をたどり得ると共に治療に対し異なる応答を示し得ることから、ゆゆしき限界がある。例えば、組織病理学的な外観に基づき、IV度の星状細胞腫とIII度の星状細胞腫とを確実に識別することはできない。
脳腫瘍の免疫表現型解析によって、例えば希星状細胞腫と悪性の星状細胞腫とを識別すること、また例えば度数の高い星状細胞腫と度数の低い星状細胞腫とを識別することといった、診断の明確化および高精度化がなされている。しかし、タンパク質の発現(GFAP、ビメンチン、シナプトフィジン、ネスチン)の相違は、治療法の改善には寄与しない。現時点で利用可能なマーカーによって、度数の低い星状細胞腫から度数の高い星状細胞腫への移行を予測することは難しい(De Girolamiら、1994年)。
Tewsらは、種々の癌腫関連マーカーによる免疫組織化学的検出法では、第一次性および第二次性の膠芽腫ならびに腫瘍前駆体の間の発現パタンに有意差がないこと;膠芽腫の進行を通じたまたは悪性度に相関した、一定した個別の発現パタンもないこと、を報告した(TewsとNissen、1998-1999年)。白血病の分類予測は、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現情報の観測に基づいてなされてきた(Golubら、1999年)。
膠芽腫の分類にこれまで利用されてきた、遺伝子発現情報に基づく分類予測では、治療プログラムを最適化できない。現時点で使用されている分子マーカーでは、GBMのサブタイプを確実に同定することができない。p53遺伝子の変異は、II/III度の星状細胞腫および第二次性の膠芽腫の約50%に付随するものの、第一次性の膠芽腫の10〜20%にしか観測されないことが報告されている(Campomenosiら、1996年;Watanabeら、1997年;Schmidtら、2002年)。GBMの分類に頻繁に使用される別のマーカーである表皮成長因子の受容体(EGFR)も、あらゆる第一次性GBMの症例の40%でしか増幅されないことが知られており、第二次性GBMにおいてはほとんど報告がない(Frederickら、2000年)。これらのマーカーを単独でまたは組み合わせて使用しても、膠芽腫を進行型およびデノボ型に確実に分類することはできない。腫瘍の度数は、細胞核の抗原であるKi-67に対するモノクローナル抗体MIB-1を用いてする、腫瘍の増殖性に関する免疫組織化学的検出法を用いて決定されることが多い(Schifferら、1997年;Diら、1997年)。このように、現状の組織病理学的手法によっては、低い悪性度から進行する第二次性GBMとデノボ型GBMとを容易に識別することはできない。それゆえ、多形膠芽腫のサブタイプを予測でき、これにより適切な治療を施すことができる手法が必要である。本発明は、これらのおよびそれ以上の利点をもたらすものである。
発明の目的
本発明の主目的は、ほ乳類、好ましくはヒト被験者、における多形膠芽腫の種類を同定する方法の提供にある。
本発明の別の目的は、ほ乳類、好ましくはヒト被験者、における進行型の神経膠腫を特定するためのキットの提供にある。
さらに、本発明の目的は、ほ乳類、好ましくはヒト被験者、における第一次性の多形膠芽腫と第二次性の多形膠芽腫とを識別するためのキットの提供にある。
発明の要旨
本発明は、ヒト被験者における多形膠芽腫の種類の同定を補助するインビトロの方法であって、
ヒト被験者から得た脳腫瘍細胞の検査試料と、公知の正常脳腫瘍細胞から得たコントロール試料とにおける、アクセス番号NM_004316であり配列番号3であるAchaete-scute complex-like 1(ASCL1)、アクセス番号NM_005524であり配列番号1であるHairy and Enhancer of Split 1(HES1)、アクセス番号NM_018645であり配列番号5であるHairy and Enhancer of Split 6(HES6)およびアクセス番号NM_005618であり配列番号21であるDelta-like 1(DLL1)である遺伝子の個々の発現レベルを決定し、
前記検査試料における前記遺伝子ASCL1、HES1、HES6およびDLL1の発現レベルを比較し、
前記サンプルにおける前記遺伝子ASCL1、HES6およびDLL1の発現レベルの増加および前記遺伝子HES1の発現レベルの減少により第二次性の多形膠芽腫の存在を指摘する、方法に関する。
本発明は、ほ乳類、好ましくはヒト被験者、から得た脳腫瘍細胞の検査試料と、公知の正常脳腫瘍細胞から得たコントロール試料とにおける、アクセス番号NM_004316のAchaete-scute complex-like 1(ASCL1)、アクセス番号NM_0055246のHairy and Enhancer of Split 1(HES1)、アクセス番号NM_018645のHairy and Enhancer of Split 6(HES6)およびアクセス番号NM_005618のDelta-like 1(DLL1)といった、ノッチシグナリング経路から選ばれる遺伝子の1つまたは組合せの発現レベルの決定を含む、ほ乳類、好ましくはヒト被験者、における多形膠芽腫の種類を同定する方法であって、検査試料を得たほ乳類、好ましくはヒト被験者、における第一次性の多形膠芽腫の存在を、Achaete-scute complex-like 1、Hairy and Enhancer of Split 6およびDelta-like 1の発現レベルがコントロール試料に比べて検査試料において高いことによって指摘し、検査試料を得たほ乳類、好ましくはヒト被験者、における第二次性の多形膠芽腫の存在を、Hairy and Enhancer of Split 1の発現レベルがコントロール試料に比べて検査試料において低いことによって指摘する、ほ乳類、好ましくはヒト被験者、における多形膠芽腫の種類を同定する方法を提供する。
本発明の実施形態の一例では、in situ ハイブリダイゼーション、RT-PCR解析などの核酸検出法においてオリゴヌクレオチドを用いて遺伝子のRNA転写物のレベルを調べることによって、または免疫組織化学、ウエスタンブロット解析などのタンパク質検出法において抗体を用いて遺伝子のそれぞれのタンパク質のレベルを調べることによって、遺伝子の発現レベルを決定する。
本発明の実施形態の別例では、遺伝子と、EGFR、p53、Ki-67などからなる群から選ばれる公知のマーカーとを組み合わせて使用することによって、第二次性の多形膠芽腫の存在を同定する。
さらに、本発明は、ほ乳類、好ましくはヒト被験者、における進行型の神経膠腫を特定するためのキットであって、Achaete-scute complex-like 1、Hairy and Enhancer of Split 1、Hairy and Enhancer of Split 6およびDelta-like 1といった、ノッチシグナリング経路の遺伝子の組合せの存在または欠如を特異的に検出できる試薬と;ほ乳類、好ましくはヒト被験者、における進行型の神経膠腫を特定するための当該キットについての、使用説明書と、を含むキットを提供する。
本発明の実施形態の一例では、使用される試薬が、アクセス番号NM_005524であり配列番号1であるノッチシグナリング経路のhairy and enhancer of split 1(HES)遺伝子のmRNAに相補的な、配列番号14のプローブと、アクセス番号NM_004316であり配列番号3であるノッチシグナリング経路のachaete-scute complex-like 1(ASCL1)遺伝子のmRNAに相補的な、配列番号11のプローブと、アクセス番号NM_018645であり配列番号5であるノッチシグナリング経路のhairy and enhancer of split 6(HES6)遺伝子のmRNAに相補的な、配列番号17のプローブと、アクセス番号NM_005618であるノッチシグナリング経路のdelta-like 1(DLL1)遺伝子のmRNAに相補的な、配列番号20のプローブと、を含む群から選ばれる核酸プローブを含む。
本発明の実施形態の別例では、使用される試薬が、アクセス番号NM_004316のAchaete-scute complex-like 1(ASCL1)、アクセス番号NM_0055246のHairy and Enhancer of Split 1(HES1)、アクセス番号NM_018645のHairy and Enhancer of Split 6(HES6)およびアクセス番号NM_005618のDelta-like 1(DLL1)を含む群から選ばれるノッチシグナリング経路の遺伝子によってコードされたタンパク質に特異的に結合する抗体を含む。
また、本発明は、ほ乳類、好ましくはヒト被験者、における第一次性の多形膠芽腫と第二次性の多形膠芽腫とを識別するためのキットであって、Achaete-scute complex-like 1、Hairy and Enhancer of Split 1、Hairy and Enhancer of Split 6およびDelta-like 1といった遺伝子の組合せの存在または欠如を特異的に検出できる試薬と;ほ乳類、好ましくはヒト被験者、における第二次性の多形膠芽腫を特定するための当該キットについての、使用説明書と、を含むキットを提供する。
本発明の実施形態の一例では、使用される試薬が、アクセス番号NM_005524であり配列番号1であるノッチシグナリング経路のhairy and enhancer of split 1(HES)遺伝子のmRNAに相補的な、配列番号14のプローブと、アクセス番号NM_004316であり配列番号3であるノッチシグナリング経路のachaete-scute complex-like 1(ASCL1)遺伝子のmRNAに相補的な、配列番号11のプローブと、アクセス番号NM_018645であり配列番号5であるノッチシグナリング経路のhairy and enhancer of split 6(HES6)遺伝子のmRNAに相補的な、配列番号17のプローブと、アクセス番号NM_005618であるノッチシグナリング経路のdelta-like 1(DLL1)遺伝子のmRNAに相補的な、配列番号20のプローブと、を含む群から選ばれる核酸プローブを含む。
本発明の実施形態の別例では、試薬が、アクセス番号NM_004316のAchaete-scute complex-like 1(ASCL1)、アクセス番号NM_0055246のHairy and Enhancer of Split 1(HES1)、アクセス番号NM_018645のHairy and Enhancer of Split 6(HES6)およびアクセス番号NM_005618のDelta-like 1(DLL1)を含む群から選ばれるノッチシグナリング経路の遺伝子によってコードされたタンパク質に特異的に結合する抗体を含む。
神経膠腫は、あらゆる悪性の神経膠の腫瘍、すなわち、変性神経膠細胞に由来した腫瘍、を含む。神経膠細胞は、神経膠(例えば、星状膠細胞または希突起神経膠細胞)における形態学的特徴、生理学的特徴および/ならびに例えば星状神経膠のマーカーである線維性酸性タンパク質(GFAP)または希突起神経膠のマーカーであるO4の発現のような免疫学的特徴といった、神経膠細胞の種類に関連した特徴を1つ以上有する細胞を含む。神経膠腫は、II度の星状細胞腫、III度である未分化型の星状細胞腫、希突起神経膠腫の構成を有する星状細胞腫、希突起神経膠腫および多形膠芽腫(GBM;IV度の星状細胞腫)を含む。
本発明の方法は、ほ乳類、好ましくはヒト被験者に由来し、当該ほ乳類の、好ましくは当該ヒトの核酸またはタンパク質を含有した体組織を採取すること、またはその他の手法によって取得することと、そこからAchaete-scute complex-like 1、Hairy and Enhancer of Split 1、Hairy and Enhancer of Split 6およびDelta-like 1といったノッチシグナリング経路における遺伝子の組合せの過剰発現または欠如を定量的または半定量的に検出することと、を含む。当該検出は、タンパク質の測定手段またはRNAやcDNAといった特定の核酸の測定手段によるものを含む。遺伝子の特徴的な発現パタンは、異なる種類の神経膠腫の存在を診断するために有用である。
試料は、ほ乳類の、好ましくはヒト被験者の体から直接、採取することが好ましい。試料採取に好適な物質は、血液、リンパ液または血漿、髄液を含み、脳組織から得られる細胞質の物質であるその他の生検材料も含む。細胞質の物質は、組織、圧搾された組織液(例えばリンパ液または血漿)または組織洗液などといった、ほ乳類の細胞、好ましくはヒトの細胞を含有した、あらゆる試料を含む。採取できる組織試料は、脳から得られる細胞含有物質を含む。当該物質は、正常脳組織、腫瘍組織、腫瘍の隣接組織、および/または脳部位から得た血漿を含む。
本発明の方法では、組織試料は、タンパク質および/またはmRNAの種類を互いに明確に識別できる状態で複数種のタンパク質およびmRNAが発現している細胞を含むことが好ましい。試料の“取得”と“採取”とは、本明細書において互換可能な用語であり、自然位からの抽出・外科的切除・脱徐や、組織試料または凝集物、堆積物、沈殿物、上清、濾過物、吸引物もしくはこれら以外の画分の吸引・回収・採集および/または移送を含むものである。組織試料を得るためには、例えば公知の生検方法が有用である。当該生検方法は、経皮生検法、腹腔鏡検査法、外科切除法、組織切屑法および綿棒回集法を含み、ステント、カテーテル、内視鏡、針、外科切除およびその他の公知の手段による採集方法を含む。ほ乳類の、好ましくはヒト被験者の頭蓋骨の内側から試料を得るには、例えば核磁気共鳴画像(MRI)誘導定位術が一般に使用される。ただ、その他の方法を使用してもよい。
試料は、ほ乳類の、好ましくはヒトの培養細胞、培養細胞抽出液に由来したものであってもよいし、その他の標本に由来する、検体に間接的に由来したものであってもよいし、検体から直接的に得た物質に由来したものであってもよい。試料は、検出方法(例えば、核酸の増幅および/もしくは解析、または免疫化学検出)を適用するまで、急速凍結法または緩慢凍結法(controlled freezing regime)といった、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)、トレハロース、グリセロールまたはプロパンジオール・スクロースのような凍結防止剤の存在下においてする、核酸やタンパク質の検出および/または解析が可能な状態を維持できる公知の保存方法によって、保存しておいてもよい。試料は、上記の遺伝子の解析および検出のためにする当該遺伝子に特異的な核酸の増幅を目的とした、またはそれぞれのタンパク質の検出を目的とした、保存の前または後に集めてもよい。
試料は、直ちに、または一晩の冷蔵もしくは冷凍、希釈、フェノール・クロロホルム抽出もしくはその他の手法による前処理によって種々の増幅反応を抑制しうる因子を除去した状態で、使用する。その後、試料における上記のタンパク質またはメッセンジャーリボ核酸(mRNA)の発現レベルを、定量または半定量する。
上記の遺伝子に特異的である、mRNAを含むポリヌクレオチドは、公知のヌクレオチド配列に対する塩基配列の類似性または相同性によって決定する。塩基配列の相同性は、(NCBI;www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)のGenBankデータベースのような、PowerBLAST、QBLAST、PSI-BLAST、PHI-BLAST、gapped BLAST、ungapped BLAST、またはベイラー医科大学のサーバーを利用する“整列(Align)”プログラム(www.hgsc.bcm.tmc.edu/seq_data)といった、コンピュータ化されたアルゴリズムを使用したゲノムデータベースにおける塩基配列類似検索を実施することによって決定する(Altchulら、1997年;Zhang およびMadden、1997年;Maddenら、1996年;Altschulら、1990年)。
上記の遺伝子に特異的である、mRNA配列を含むポリヌクレオチド配列は、5以上30以下の連続ヌクレオチド長、さらに6以上15以下の連続ヌクレオチド長、特に7以上10以下の連続ヌクレオチド長、を有することが好ましい。上記の遺伝子のいずれにも特異的であるmRNAは、当該遺伝子またはその断片の機能をコードするヌクレオチド配列を含有したものであってもよいし、スプライシング変異体であってもよい。
上記の遺伝子に特異的なmRNAもしくはそれらによるタンパク質の発現レベルの、または本発明が対象にするその他のタンパク質もしくはmRNAの発現レベルの定量的または半定量的な検出は、公知の定量的または半定量的な発現量測定方法によって実施できる。“定量的な”検出方法によれば、基準値に対する発現量または発現レベルを表す絶対値が得られる。当該量または当該レベルは、通常、タンパク質の質量、核酸の質量、細胞の数または質量、体重などによって正規化した活量、さらにはモル数および質量である。なお、この定量値または絶対値は、時間でさらに正規化した状態、すなわち速度としての発現レベルであってもよい。“半定量的な”検出方法によれば、単位を有しない相対値であって、発現量または発現レベルを表す相対値、例えば、正常組織のようなコントロール試料における発現または“ハウスキーピング”遺伝子の発現に対する、検査試料における発現の割合が得られる。定量的または半定量的な検出方法としては、当業者に周知なその他の方法も使用できる。
本発明の方法によれば、上記の遺伝子によってコードされたタンパク質の発現レベルを、上記の遺伝子による産物に対するポリクローナル抗体、モノクローナル抗体または抗体断片を用いてする、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、免疫蛍光抗体法(IFA)、免疫電気泳動法、免疫クロマトグラフィ分析法または免疫組織化学染色法といった免疫化学的手法によって検出することもできる。上記のタンパク質を標的とする抗体または抗体断片は、市販されており、公知の方法によって作成することもできる。
同様に、本発明の方法において対象とするその他のタンパク質の発現レベルも、上述した公知の免疫化学的手法によって検出できる。これらのタンパク質としては、次のものには限定されないが、Achaete-scute complex-like 1、Hairy and Enhancer of Split 1、Hairy and Enhancer of Split 6およびDelta-like 1が挙げられる。
mRNAの発現レベルの定量的または半定量的な検出は、RNAまたはcDNAの状態においてする種々の核酸増幅(例えば、特定の核酸分節の増幅)方法によって、つまりは増幅後のRNAまたはcDNAの増幅産物の測定によって、実施することが特に好ましい。RNAまたはcDNAの最終増幅産物は、次のものには限定されないが、濃度測定、蛍光検出またはその他の適切な生化学的もしくは物理学的な分析システムといった、公知の手段によって測定する。混入したゲノムDNAの増幅によって偽陽性が生じることを回避するためには、試料中のゲノムDNAからmRNAを増幅前に抽出または分離しておき、試料の画分に残存している核酸を増幅することが好ましい。
神経膠腫を含む種々の悪性腫瘍を度数で分類する組織病理学的手法が知られている(Cotranら、1994年;Daumas-Duportら、1988年)。
従来の組織病理学的方法では第一次性および第二次性のGBMを識別できないことが多かったが、本発明の方法を用いれば、これらの種類を容易に識別できる。第二次性GBMにおいては、通常、Achaete-scute complex-like 1、Hairy and Enhancer of Split 6およびDelta-like 1からなる群から選ばれる遺伝子の1つまたは組合せが過剰発現しており、第一次性GBMにおいては、通常、Hairy and Enhancer of Split 1からなる群から選ばれる遺伝子の1つまたは組合せが過剰発現しているためである(図1を参照のこと)。ここに示すように、第1の群は、新生する攻撃性の強い種類(第一次性GBM)を含んでおり、第2の群は、低い度数の状態から発達する攻撃性の弱い種類(第二次性GBM)を含んでいる。
上述した本発明の方法は、例示に過ぎず、全てを網羅したものではない。本発明におけるこれらの特徴部分を利用することによって、神経膠腫の患者に対する個別の診断および治療の方針をより適切に定めることができ、患者の生存についての予後を改善できる。
ASCL1は、神経内分泌癌、甲状腺髄様癌(MTC)および小細胞肺癌(SCLC)において高度に発現することが知られている(Ballら、1993年)。本発明者らは、ASCL1が、II度である広汎性の星状細胞腫の大部分(85.71%;7例中6例)、III度である未分化型の星状細胞腫の大部分(90%;10例中9例)および第二次性GBMの大部分(87.5%;8例中7例)において上方制御されることを見出した(図1A)。しかし、第一次性GBMにおいては、ASCL1の上方制御は試料の33.33%(12例中4例)でのみ観察された(図1A)。ASCL1の転写物の増加も、II度である広汎性の星状細胞腫(図2D)、III度である未分化型の星状細胞腫(図2F)および第二次性GBM(図2H)におけるASCL1に対する核染色の増加と、免疫組織化学的な相関があった。これらの試料のほとんどにおいては、進行型の星状細胞腫であることを特徴づけるp53の変異を示すp53に対する核染色が増加していたが、EGFRに対する染色はなかった(表1)。第一次性GBMは、予想通り、ASCL1に対する、検出可能な染色はなかった(図2J)。この腫瘍では、EGFRがそのほとんどにおいて過剰発現していたが、p53の免疫反応が実験例中で最も少なかった(表1)。正常脳切片では、ASCL1(図2)、p53およびEGFR(データ非提示)に対する免疫反応はなかった。表1に、ここで使用した種々の星状細胞腫試料についての、種々のマーカーに対する染色パタンおよび臨床パラメータの詳細を示す。ASCL1の上方制御が第二次性GBMのほとんどにおいて観察されるものの第一次性GBMにおいては観察されないことから、ASCL1ステータスは、第一次性GBMから第二次性GBMを識別するマーカーとして使用できる。p53遺伝子における変異は、II/III度の星状細胞腫および第二次性の膠芽腫の約50%に付随するものの、第一次性の膠芽腫の10〜20%にしか観測されない(Campomenosiら、1996年;Watanabeら、1997年;Schmidtら、2002年)。GBMの分類に頻繁に使用される別のマーカーである表皮成長因子の受容体(EGFR)の増幅は、第一次性GBMの40%で見られるものの、第二次性GBMにおいてはほとんどない(Frederickら、2000年)。これらの結果は、ASCL1の発現が、第二次性GBMからの第一次性GBMの識別に使用できることを示唆している。また、これらの結果から、第二次性GBMからの第一次性GBMの識別に、ASCL1、p53およびEGFRの免疫組織化学的染色を併用することも想定できる。
また、ASCL1の上方制御は、II度である広汎性の星状細胞腫、III度である未分化型の星状細胞腫および第二次性GBMにおいてはノッチシグナリングの抑制に付随して見られるものの、第一次性GBMにおいては見られず、こうした分子の変化によって進行型の星状細胞腫を特徴付け得ることが示唆された。正常星状神経膠細胞から低度の星状細胞腫が発達して未分化型の星状細胞腫へと、さらには第二次性GBMへと進行する間における、ノッチシグナリング経路の制御についての証拠を次に提示する。
中枢神経系(CNS)の発達過程において、一般的な前駆体細胞である神経幹細胞は、増殖した後、脳における主要な3種類の細胞:神経細胞、星状膠細胞および希突起神経膠細胞、に分化する(Qianら、2000年)。種類の異なる脳細胞への多分化能性の神経幹細胞の分化に関与する分子メカニズムは、いくつか知られている。神経膠の分化は、neurogenin1/2、およびachaete-scute complex-like 1(ASCL1)のマウスホモログであるMASH1のような、神経原性bHLH転写調節因子によって抑制されることが知られている(Furukawaら、2000年;Nietoら、2001年;Novitchら、2001年;Satowら、2001年;Sunら、2001年;Zhouら、2000年)。星状膠細胞の分化は、白血病抑制因子(LIF)によって、JAK-STATシグナリング経路を介して促進される(Joheら、1996年;Bonniら、1997年)。ノッチシグナリングは、種々の器官における、神経組織を含むいくつかの組織の分化において重要な役割を果たすことが知られている(Ghysenら、1993;Artavanis-Tsakonasら、1995年および1999年)。ノッチシグナリングは、神経の分化および希突起神経膠の分化を抑制するものではあるが、近年、末梢神経堤幹細胞において外套神経膠細胞の分化を主導し、成体の海馬NSCにおいて星状膠細胞の分化を促進することが報告されている(Morrisonら、2000年;Tanigakiら、2001年)。
本発明者らは、II度である広汎性の星状細胞腫、III度である未分化型の星状細胞腫および第二次性GBMの大部分においてASCL1が上方制御されるという結果が得られたことから、星状膠細胞から広汎性の星状細胞腫(II度)が発達する間、そして未分化型の星状細胞腫(III度)およびそれに続く第二次性GBMへの進行に適した環境が提供されるように、ノッチシグナリングが抑制され得ると仮定した。この仮説を検証するために、同様の試料において種々のノッチ経路遺伝子のレベルを解析した。Delta1、Jagged1およびJagged2を含むノッチリガンドの結合は、ノッチタンパク質の複合体の切断および活性化を引き起こす(Artavanis-Tsakonasら、1999年;Weinmasterら、1997年)。分離および活性化されたノッチのCOOH末端断片は、核内に移行し、そこで転写調節因子CBF1(RBPjK)と相互作用することによって、Hairy and enhancer of Split 1(HES1)を含む標的遺伝子をトランス活性化する(Artavanis-Tsakonasら、1999年;Weinmaster、1997年)。これを考慮し、本発明者は、試料におけるHES1のレベルを調べた。本発明者による実験では、II/III度の星状細胞腫の52.94%(17例中9例)(II度である試料では7例中3例、III度である試料では10例中6例)において、そして第二次性GBMの85.7%(7例中6例)において、ASCL1の転写抑制因子であるノッチ標的遺伝子HES1の転写物レベルが、正常脳組織におけるレベルと同程度またはそれ未満であった(図1B)。しかし、第一次性GBMの試料の大部分においては、HES1の発現が増加していた(75%のものが、正常なものに比べて1.5倍以上の転写物を有していた;12例中9例)(図1B)。
HES遺伝子ファミリーの別例であるHES6は、HES1を機能阻害し、ASCL1のようなbHLH因子をHES1による抑制から解放することが知られている(Baeら、2000年;GibertとSimpson、2003年)。HES6は、HES1に事実上結合し、その転写抑制能を消失させる。本発明者による実験では、II度の広汎性の星状細胞腫の試料の大部分(71.43%;7例中5例)、III度である未分化型の星状細胞腫の試料の大部分(66.67%;9例中6例)そして第二次性GBMの試料の大部分(71.43%;7例中5例)において、HES6の転写物レベルが数倍増加していた(図1C)。しかし、第一次性GBMおいては、HES6の転写物レベルは増加していなかった。この発現レベルは、試料の大部分(75%、12例中9例)において、正常試料と同様の範囲にあった(図1C)。したがって、HES1を抑制し得るHES6のレベルが高いことによって、II/III度の星状細胞腫および第二次性GBMの大部分でASCL1の発現が誘導されたと考えることもできる。
Delta1、Jagged1およびJagged2を含むノッチリガンドの結合は、ノッチタンパク質の複合体の切断および活性化を引き起こす(Artavanis-Tsakonasら、1999年;Weinmasterら、1997年)。分離および活性化されたノッチのCOOH末端断片は、核内に移行し、そこで転写調節因子CBF1(RBPjK)と相互作用することによって、Hairy and enhancer of Split 1(HES1)を含む標的遺伝子をトランス活性化する(Artavanis-Tsakonasら、1999年;Weinmaster、1997年)。これを考慮し、本発明者は、星状細胞腫の試料におけるノッチリガンドDelta1(Delta-like 1;DLL1)の発現レベルを調べた。II度の広汎性の星状細胞腫に帰属する試料の大部分(71.43%;7例中5例)、III度である未分化型の星状細胞腫に帰属する試料の大部分(100%;10例中10例)そして第二次性GBMに帰属する試料の大部分(85.71%;7例中6例)において、Delta1の転写物レベルが非常に高かった(図1D)。しかし、第一次性GBMの試料の大部分(91.67%;12例中11例)においては、Delta1の転写物レベルに変化はなかった(図1D)。Delta1のレベルが、ASCL1が過剰発現している星状細胞腫の試料において高いことは、ASCL1によってDelta1が転写的に活性化されるという知見(Heitzlerら、1996年)によって説明できる。Delta1の発現は、MASH1の制御下において見られる(Postら、2000年)。MASH1をノックアウトすると、肺におけるDelta1の発現が完全になくなる(Apelqvistら、1999年)。同様に、MASH1の変異体では、Delta1の転写物の発現がない(Casarosaら、1999年)。ノッチリガンドDelta1のレベルが増加すると、ノッチシグナリング経路が活性化されると考えられる。他方、試料におけるノッチ標的遺伝子HES1が非誘導レベルにあると共にASCL1のレベルが非常に高いと、ノッチシグナリングが抑制されると考えられる。ノッチリガンド活性はフリンジによるノッチ受容体の糖修飾によって調節されることが知られているので(HaltiwangerとStanley、2002年)、本発明者は、進行型の星状細胞腫においてノッチリガンドDelta1が過剰発現しているにもかかわらず当該腫瘍でノッチシグナリングが抑制されることを、フリンジタンパク質の制御に基づいて説明できると考えている。本発明者は、解析により、試料の大部分において、ルナティックフリンジ、ラジカルフリンジおよびマニックフリンジの発現レベルに有意な変化がなく、進行型の星状細胞腫の発達過程においてノッチリガンドの抑制にフリンジ分子が寄与しない可能性があることを見出した(データ非提示)。ノッチリガンドであるDelta1およびJagged1は神経前駆体の小胞体およびゴルジ体にノッチタンパク質を細胞内ヘテロ複合体として隔離し、これによってノッチシグナリングの有効量が引き下がるという報告がある(Sakamotoら、2002年)。
このため、ノッチリガンドの過剰発現は、ノッチ経路を活性化するというよりは、細胞内にリガンド・受容体の自立的な結合体を形成することによってノッチシグナリングを抑制すると考えられている。そうすると、これらの結果は、広汎性の星状細胞腫の発達過程の初期においてノッチシグナリングが抑制され、これによるASCL1の増加によって、未分化型の星状細胞腫、さらには第二次性GBMへの進行が促進されることを示唆している。そして、本発明者によるデータは、第一次性GBMにおいてノッチ経路が活性化した状態にあることを示しており、第一次性GBMの発達過程においてノッチ経路は寄与しない可能性があることを示唆している。
本発明者は、第二次性GBMへと最終的に進行する広汎性の星状細胞腫の発達過程における、ノッチシグナリング経路の抑制についての種々の証拠を提示する。第1に、II/III度の星状細胞腫および第二次性GBMの大部分において、ASCL1転写物のレベルが有意に高いことを見出した。ノッチシグナリングは、Hairy and Enhancer of Split(HES)遺伝子のトランス活性化を誘導し、その転写メカニズムによってASCL1の発現を抑制する(Chenら、1997年)。HES1-/-マウスでも同様の制御があり、ASCL1のレベルが増加する(Itoら、2000年)。CNSにおいて神経細胞に分化するか神経膠に分化するかの決定には、マウスatoホモログであるMash1およびMash3が重要な役割を果たすことが知られており、Mash1およびMash3の下方制御が神経膠への分化をトリガーするメカニズムの一つである可能性がある(Tomitaら、2000年)。このため、ASCL1のレベルが増加したことは、進行型の星状細胞腫においてノッチシグナリングが抑制されたことを示唆する。第2に、ASCL1の発現を抑制する因子であるノッチ標的HES1の転写物レベルは、II/III度の星状細胞腫および第二次性GBMの大部分において、正常脳試料と同程度であった。第3に、ノッチシグナリングの顕性不活性型抑制因子であるHES6の転写物レベルは、II/III度の星状細胞腫および第二次性GBMの大部分において数倍増加していた。HES6は、HES1の顕性不活性型抑制因子であり、HES1に結合してその転写抑制能を消失させることによってHES1を機能阻害する(Baeら、2000年;GibertとSimpson、2003年)。最後に、II/III度の星状細胞腫および第二次性GBMに帰属する分析した試料のほとんどにおいて、Delta1転写物のレベルが高いことを見出した。Delta1のレベルが増加した理由は、ASCL1によってDelta1が転写的に活性化されるという知見(Heitzlerら、1996年)によって説明できる。Delta1の発現は、MASH1の制御下において見られる(Postら、2000年)。MASH1をノックアウトすると、肺におけるDelta1の発現が完全になくなる(Apelqvistら、1999年)。同様に、MASH1の変異体では、Delta1の転写物の発現がない(Casarosaら、1999年)。ノッチリガンドであるDelta1のレベルが高いと、細胞内にノッチ・Delta1の自立的な結合体が形成され、ノッチシグナリングが抑制され得る(Sakamotoら、2002年)。このように、本発明者によるデータは、進行型の星状細胞腫の発達過程において、ノッチシグナリングが下方制御されることを明示している。
本発明者によるデータは、ノッチシグナリングの抑制が、進行型である第二次性GBMにおいてのみ生じ、新生する第一次性GBMにおいては生じない証拠も提示する。ASCL1のレベルは、II/III度の星状細胞腫および第二次性GBMの大部分では上方制御されるものの、第一次性GBMの大部分では変化がない。ASCL1の発現レベルは、ノッチシグナリングに関連するその他の遺伝子の発現レベルと相関がある。
本発明者は、ノッチシグナリングが、星状神経膠細胞において腫瘍の抑圧因子または成長抑制因子の役割を果たしているとする仮説を提唱した。ほ乳類、好ましくはヒト、のNotch1は、そもそも急性リンパ球性白血病(T-ALL)の癌遺伝子として単離されたものではあるが(Ellisenら、1991年)、異なる組織から発達した癌において特有の役割を果たすと考えられてきた。例えば、ノッチシグナルは、T細胞前駆体(Ellisenら、1991年)および子宮頸部上皮(Nairら、2003年)においては発癌性を有するものの、ケラチン合成細胞における腫瘍の発達を抑圧する(Rangarajanら、2001年;Nicolasら、2003年)。ノッチシグナリングは神経幹細胞の星状神経膠細胞への分化を促進するので(Qianら、2000年)、正常な星状神経膠細胞においてノッチの発現は発癌性というよりも抑制性に働くようである。
II/III度の星状細胞腫および第二次性GBMの大部分において、HES6が上方制御されることも興味深い。前胸部、肺および腎臓に由来するほ乳類、好ましくはヒト、の原発腫瘍においてHES6が過剰発現することが知られており、HES6の過剰発現が発癌性に働き得ることが示唆されている(Swearingenら、2003年)。HES6は、肺癌、乳癌、前立腺癌および卵巣癌といった一般的な腺癌において増幅される領域として知られる染色体2q37に位置する(Mitelmanら、2002年)。HES1の活性を抑制するというHES6の性質はノッチシグナリングが特定の組織において腫瘍を抑圧する役割を果たす場合に顕著になることがあり(Rangarajanら、2001年;Nicolasら、2003年)、HES1は乳腺癌細胞において腫瘍抑圧因子として働くことが知られている(Stromら、2000年;Mullerら、2002年)。そうすると、本発明者によるデータは、ノッチシグナリングが、星状神経膠細胞において腫瘍抑圧因子として働くと共に、度数の低い星状細胞腫の発達過程の初期に抑制されることによって、未分化型の星状細胞腫へ、さらには第二次性GBMへと発達するために適切な環境が提供され得ることを示唆する。
以降の実施例は、本発明の一例を示すものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
実施例1
組織の採取
インド国バンガロールのスリ・サティア・サイ高等医科学研究所およびマニパル病院において外科手術を受けた患者から、外科的切除の際に、神経膠腫の試料組織を採取した。難治性癲癇の外科手術を受けた患者から、非腫瘍性の脳組織(側頭葉)の試料によって構成されるコントロール試料を採取した。ここでは、異なる悪性度を有する全部で37個の神経膠腫の試料を使用した。組織を二等分し、一方の半片を、液体窒素中で急速冷凍し、RNAを分離するときまで−80℃で保存した。他方の半片は、ホルマリン中に固定し、さらにはパラフィン切片を得る処理をし、組織病理学的な悪性度と神経膠腫の種類とを同定するためにこれらを使用した。
実施例2
RNAの分離
TRIzol法(インビトロジェン、米国)とRNeasyミディキット(キアゲン)とを組み合わせ、メーカーの使用説明書に従い、凍結組織から総RNAを抽出した。試料RNAを、分光光度計を用いた吸光度測定によって量を測定すると共に、量的および質的な保証を得るためにMOPS-ホルムアルデヒドのゲル上に視覚化した。
実施例3
定量RT-PCR
所定の遺伝子の発現レベルを、2段階法を用いて相対定量した:第1段階では、高容量型cDNAアーカイブキット(ABIプリズム)を用い、異なる試料組織に由来するRNAからcDNAを産生させた。その後、次に示す遺伝子特異的プライマーセットと、DyNAmo HS SYBR Green qPCRキット(フィンザイムス、フィンランド国)とを用い、当該cDNAをテンプレートにしたリアルタイム定量PCRを実施した:
ASCL1_順方向:5’CTCAACTTCAGCGGCTTTGG3’
ASCL1_逆方向:5’GCTCGCCGGTCTCATCCTAC3’
HES1_順方向:5’ATGGAGAAAAATTCCTCGTCCC3’
HES1_逆方向:5’TTCAGAGCATCCAAAATCAGTGT3’
HES6_順方向:5’CCTTGGTGACCAATGCCAG3’
HES6_逆方向:5’CCTGCAAGCCATCCATCAG3’
DLL1_順方向:5’TCCTGATGACCTCGCAACAGA3’
DLL1_逆方向:5’ACACACGAAGCGGTAGGAGT3’
エービーアイ・プリズム7000/7900(アプライド・バイオシステムズ)配列検出システム内でPCR反応を進行させた。データは、Pfafflにより提案され、有効度の補正を含む相対定量モデル(Pfaffl、2001年)によって解析した。全ての測定を2回実施し、それぞれのqRT-PCRプライマーセットにつき、解析に使用するcDNAプールの連続希釈物を用いて得た標準曲線に基づいて反応効率を評価した。内部コントロールとしては、発現レベルが変化しないことがマイクロアレイによるこれまでの実験によって知られているリボソームタンパクL35aを使用した。異なる4人の癲癇患者から得た正常脳組織試料をリファレンスとして使用した。遺伝子の発現量の増加または減少は、リファレンスにおける平均発現量の2倍以上であるときを有意とした。いくつかの例では、半定量的エンドポイントRT-PCRによってデータを得た。
実施例4
免疫組織化学
腫瘍およびコントロールの組織から得たパラフィン切片(5□m)を、クロムミョウバンで被覆されたスライド上にならべた状態で、ストレプトアビジン−ビオチン複合体を用いた免疫組織化学や次に示すモノローナル抗体(Mab)/ポリクローナル抗体を用いた免疫ペルオキシダーゼ法に供した:MIB-1(Ki-67モノクローナル抗体、DAKO、デンマーク国;1:50);p53(DO-1、オンコジーン;1:100);EGFR(オンコジーン、1:25);ASCL1(ポリクローナル、シグマ;1:50)。5μmのパラフィン切片を、ごく簡単に、キシレン中で脱パラフィンし、段階的な濃度を有する一連のアルコール中で脱水し、さらにTrisバッファー(50mM、pH7.6)中で15分間リンスした。その後、クエン酸ナトリウムバッファー(10mM、pH6.0)中で切片を700ワットで15〜20分間マイクロ波処理し、パラフィン切片から抗原性物質を回収した。EGFR染色するためには、0.05%のトリプシンによって、37℃で30分間、切片を前処理した。いずれの切片も、Trisバッファーによる洗浄に続き、内在性のペルオキシダーゼを封じるためにメタノールおよび3%の過酸化水素で処理した。バックグラウンド染色を抑制するために、粉乳(3%)またはウシ血清アルブミンを30分間使用した。続いて、一次抗体を加えて2時間経過した後、連関するストレプトアビジン−ビオチン化二次抗体(ユニバーサルLSAB、DAKO)を加えて、切片を培養した。3’3−ジアミノベンジジン(シグマ)を色原性基質として使用した。
p53およびEGFRの過剰発現を事前に特定した脳腫瘍試料をポジティブコントロールとして使用した。ASCL1については、顕著な上方制御がRT-PCRによって確認された腫瘍試料をポジティブコントロールとして使用した。一次抗体が除去された状態にあるネガティブコントロールのスライドを、それぞれのスライドのバッチと共に使用した。MIB-1およびp53の免疫染色については、核のみが染色されたものをポジティブとみなした。なお、ポジティブな試料はEGFRによって細胞質および細胞膜が染色される。
ASCL1の免疫染色については、核染色のみをポジティブシグナルとした。核染色された腫瘍細胞が5%を超えるとき、腫瘍がASCL1ポジティブであるとした。p53およびEGFRについても、免疫陽性の腫瘍細胞が5%未満である標本を、ネガティブであるとスコア付けした。MIB-1標識インデックス(LI)を、少なくとも1000個の腫瘍細胞に基づき算出し、染色された最大領域における核染色された腫瘍細胞の割合として表示した。
星状細胞腫を正確に等級付けるためにMIB-1 LIを使用した。II度の星状細胞腫についての平均閾値LIは2.14%±1.042であり;III度である未分化型の星状細胞腫では7.68%±1.786であり;GBMでは19.6%±7.578であった。これらは、WHOによる等級付けのスキームに従って得られる平均値に概ね対応する(Kleihuesら、2000年)
患者の臨床診断、p53の発現およびEGFRの発現を考慮しつつ、第一次性または第二次性としてGBMを分類した。第一次性GBM患者の平均年齢は50.6歳であり、症状の平均持続期間は2.7ヶ月であった。いずれの腫瘍においても、高度に多形な、組織病理学的特徴および“壊死領域”の形跡が認められた。いずれの例においても免疫組織化学による均質的なEGFR染色が認められ、5例においてはさらにp53が発現していた。第二次性GBMについては、患者の平均年齢は33.8歳であり、症状の平均持続期間は5.3ヶ月であった。いずれの例においてもp53の免疫反応が一様に認められ、2例においてはさらにEGFRが過剰に発現していた。8例中5例において、II度またはIII度の星状細胞腫から進行していることが組織学的に認められた。
効果
本発明の主要な効果は次である:この方法は、症状が現れる前および現れた後のいずれにおいても有用であり、さらには抗ガン治療の効果をモニターするためにも適用できる。本発明は、進行型とデノボ型という2種類の多形膠芽腫を識別するために有用な方法を提供する。
図1は、星状細胞腫において差次的に調節されたノッチ経路遺伝子の散布図であり:ASCL1(A)、HES1(B)、HES6(C)、およびDLL1(D)につき、リアルタイム定量PCR解析によって得た遺伝子発現の割合がLog2換算でプロットされている。それぞれのドットは、1つの試料に由来したデータを示す。遺伝子発現の変化は、正常脳試料における平均の発現量の2倍以上、ただしHES1の場合は1.5倍以上、である場合、有意とした。変化率の閾値を鎖線で示す。 図2は、免疫組織化学的に検出した、進行型の星状細胞腫におけるASCL1の過剰発現を示す。正常脳(AおよびB)、II度である広汎性の星状細胞腫(CおよびD)、III度である未分化型の星状細胞腫(EおよびF)、第二次性GBM(GおよびH)および第一次性GBM(IおよびJ)の切片を、H&E(A、C、E、GおよびI)によって、また、ASCL1(B、D、F、HおよびJ)を対象にして、染色したものである。
なお、II度である広汎性の星状細胞腫、III度である未分化型の星状細胞腫、第二次性GBMはASCL1染色に陽性であるが、第一次性GBMはそうでない。

Claims (3)

  1. ヒト被験者における多形膠芽腫の種類の同定を補助するインビトロの方法であって、
    ヒト被験者から得た脳腫瘍細胞の検査試料と、公知の正常脳腫瘍細胞から得たコントロール試料とにおける、アクセス番号NM_004316であり配列番号3であるAchaete-scute complex-like 1(ASCL1)、アクセス番号NM_005524であり配列番号1であるHairy and Enhancer of Split 1(HES1)、アクセス番号NM_018645であり配列番号5であるHairy and Enhancer of Split 6(HES6)およびアクセス番号NM_005618であり配列番号21であるDelta-like 1(DLL1)である遺伝子それぞれの発現レベルを決定し、
    前記検査試料における前記遺伝子ASCL1、HES1、HES6およびDLL1の発現レベルを比較し、
    前記サンプルにおける前記遺伝子ASCL1、HES6およびDLL1の発現レベルの増加および前記遺伝子HES1の発現レベルの減少により第二次性の多形膠芽腫の存在を指摘する、方法。
  2. insitu ハイブリダイゼーション、RT-PCR解析などの核酸検出法においてオリゴヌクレオチドを用いて前記遺伝子のRNA転写物のレベルを調べることによって、または免疫組織化学およびウエスタンブロット解析といったタンパク質検出法において抗体を用いて前記遺伝子のそれぞれのタンパク質のレベルを調べることによって、前記遺伝子の発現レベルを決定する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記遺伝子と、EGFR、p53、Ki-67を含む群から選ばれる公知のマーカーとを組み合わせて使用することによって、第二次性の多形膠芽腫の存在を同定する、請求項1に記載の方法。
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