JP5021675B2 - 肥満治療用のコイル様胃内部材 - Google Patents

Description

本出願は、２００５年１２月２２日出願の米国仮特許出願第６０／７５３，２５２号に基づく優先権を主張し、同仮出願の全開示内容を参照としてここに援用する。

本発明は医療装置に関し、さらに詳細には、胃の貯留容積を小さくするために、又は胃の内壁に圧力を与えるために患者の胃内に留置され得る肥満治療用の装置に関する。

肥満は治療が難しい症状であるということはよく知られている。治療方法は多岐に及び、薬物、行動療法、運動などがあり、これらの方法の２つ又はそれ以上を含むような組み合わせ型のアプローチも多い。残念ながら、成果が長続きすることはまれであり、多くの患者は時間が経つと結局元の体重に戻ってしまう。そのため、肥満、特に病的肥満は、しばしば治癒不能な症状と考えられている。より侵襲性の高いアプローチは以前から利用可能であったし、それらは多くの患者で良好な成果を出してきた。このようなアプローチには、バイパス手術や胃形成術などの外科的な選択肢が含まれる。しかしながら、これらの処置には高い危険が伴い、従って、必ずしも大抵の患者にとって適切であるとは限らない。

１９８０年代の初頭、医師らは、胃の貯留容積を小さくし結果的に食物の収容能力を低下させるため胃の中にバルーンを留置する実験を開始した。バルーンは、胃の中に展開されると、満腹感を誘発し空腹感を減退させる。これらのバルーンは、典型的には筒形又は洋ナシ形であり、一般的に、大きさは２００〜５００ｍｌ又はそれ以上であり、シリコ−ン、ポリウレタン又はラテックスのようなエラストマーで作られ、空気、水、又は生理食塩水が充填されている。体重がやや減少することを示した研究もあるが、これらのバルーンの効果は３〜４週間後には減退する場合が多く、これはおそらく胃が徐々に拡張したか身体がバルーンの存在に順応したためであると考えられる。他のバルーンとしては、鼻腔から外に出る管を備え、これによってバルーンを周期的に萎ませたり膨らませたりして、通常の食物摂取を一層上手くシミュレートすることができるようにするものもある。しかしながら、膨らませるための管が鼻から出ていることの不都合は明白である。

肥満を治療する方法としてバルーンを使用した実験の結果は不確定であり、期待外れとなる頻度も高かった。試行例の中には、プラセボに対して有意な減量を示すことができなかったものや、バルーン留置術を低カロリー食と組み合わせなければ効果を発揮しなかったものもある。合併症も見られ、特に流体が充填されたバルーンでは、胃潰瘍や、萎んだバルーンによって引き起こされる小腸の閉塞などが観察された。また、バルーンが十二指腸への開口部を塞ぎ、あるいは開口部に留まる症例も記録されており、そのような症例では、バルーンは、胃の内容物が腸に移行して胃が空になるのを妨げる球弁のような作用をする。

上で論じた肥満を治療するための方法とは関係ないが、繊維、毛髪、綿毛状の材料などのようなある種の消化できない物が摂取され、時間の経過と共に胃の中で集まり、最終的に胃石と呼ばれる塊を形成することが分かっている。患者によっては、特に小児や精神障害がある患者では、胃石が、プラスチックや合成材料を摂取した結果として生じていることも多い。多くの場合、胃石は、消化不良、胃痛、又は嘔吐を引きこし、胃石がかなり大きく育ってしまった場合は特にそうである。また、胃石を有するようなある個体では、おそらくは胃の貯留容積の減少によって、体重が減少しやすいことが記録されている。胃石は、内視鏡的に、特にベゾトーマ（ｂｅｚｏｔｏｍｅ）又はベゾトリプター（ｂｅｚｏｔｒｉｐｔｏｒ）として知られている装置との併用により取り除くことができるが、胃石は、それも特に大きいものについては、しばしば外科処置が必要となる。
米国仮特許出願第６０／７５３，２５２号

患者の胃に容易に送達され、胃の大きさを縮小させるとともに胃の内壁に圧力を与えて満腹感を生むような胃内部材が必要とされている。

例示されるような、曲線軸を有する胃内部材を少なくとも１つ備える肥満治療器具、すなわち、耐消化性もしくは実質的に不消化性の材料からなる人工の胃石であって、哺乳類の胃内腔へ第１の形状で導入されるものによって、上述の課題は解決され、技術の進歩が達成される。前記胃内部材すなわち人工胃石は、典型的には、部分的に圧縮された形状で胃内腔へ挿入される。そうして次に、幽門部を通過して腸へ移動せず通常の活動時に胃の貯留部にとどまるのに十分に大きい第２の形状になるよう操作される、又は第２の形状をとることが可能になる。本発明は、胃内での体積が、例えばバルーンなどの既存の胃内部材よりも小さくても効果を発揮することができる。

本発明の一態様において、肥満治療器具は第１の形状から第２の形状へ拡張可能な胃内部材を備え、前記第１の形状は前記胃内部材を哺乳類の胃内腔に挿入可能とするのに十分に小さく、前記第２の形状は前記胃内装置が前記哺乳類の幽門部を通過することを防ぐのに十分に大きい。

本発明の別の態様において、肥満治療器具は、胃内装置の中心軸に沿ってかつ中心軸の周りに延在する曲線軸を有する胃内部材を備える。前記胃内部材の前記曲線軸は、前記中心軸から所定の距離又は変更可能な距離を隔てて配置されている。前記胃内部材は螺旋形）、へリックス（ｈｅｌｉｘ）形、コイル（ｃｏｉｌ）形、コルク栓抜き（コルクスクリュー）形、スプリング形及びループ形のいずれかから選択される形状を有する。

本発明の別の態様において、肥満治療器具は、近位端及び遠位端、ならびに前記近位端と前記遠位端との間に延びるルーメンを有する胃内部材を備え、該ルーメンは前記胃内部材を前記第２の形状まで膨張させるために用いられる。前記胃内部材は、前記ルーメンに連通する開口をさらに有してもよく、該開口は加圧ガス又は液体によって胃内部材のルーメンを膨張させるために用いられる。代替可能な実施形態において、胃内部材は、例えばニチノールなどの自己拡張金属を含んでもよい。

本発明の別の態様において、肥満治療装置は、前記胃内部材を胃内腔内に留置するための送達システムを有する。一実施形態において、１つ又は複数の胃内部材が送達チューブに取り付けられ、解放機構、例えば送達チューブの通路を通って延びているナイロン糸などによって拘束されている。その後、金属ワイヤ又はループが引き出され、糸を切断して胃内部材（群）を胃内腔へ解放する。その後、個々の胃内部材は、例えば導入された金属チューブ又は同様の装置によって押されたラバーパッチなどの装置で拘束される。

本発明のさらに別の態様において、肥満治療器具は、解放機構で拘束された複数の胃内部材を有することができ、前記複数の胃内部材は前記第１の形状で前記解放機構によって拘束されており、のちに胃内腔へ解放される。本発明のその他の送達システムは、胃内部材（群）を外側の送達カテーテルから押出すことを含むことができ、このことは一般的には、送達カテーテル通路内の押出し部材を使用して行う。その他の方法には、断裂可能もしくは溶解可能なフィルム又はシースによって胃内部材（群）を拘束することも含み、このことによって、上記の装置を圧縮された形状で展開し、その後、外被又はシースが施術者によって裂かれた際に胃内部材を拡張させることが可能になる。

本発明のさらに別の態様において、肥満治療器具は、第１の形状から第２の形状まで膨張可能な１つ又は複数の伸長部分を有する胃内部材を備えることができ、前記１つ又は複数の伸長部分は該部分を貫通するルーメンを有し、前記ルーメンは前記胃内部材に剛性を与える材料によって膨張される。

本発明のさらにまた別の態様において、肥満治療器具は、予め形成された螺旋コイルが部分的に圧縮された第１の形状で送達チューブに装填されてなる胃内部材を１つ又は複数備えることができ、このアセンブリは可撓性オーバーチューブを介して送達される。可撓性オーバーチューブは、近位端、遠位端と、胃内腔への送達のために前記第１の形状にある前記胃内部材を受容するようにされたルーメンとを有し、前記胃内部材の耐消化性材料は、胃内腔内にあるとき前記第２の形状へ拡張される。

本発明のさらに別の態様において、哺乳類の肥満治療方法は、ルーメン、近位端及び遠位端を有する送達チューブを提供するステップと、少なくとも１つの胃内部材を当該送達チューブの近位端と遠位端との間に装填するステップを含み、前記胃内部材は、哺乳類の胃内腔への導入を可能とするほど十分に小さい第１の形状に予め形成された螺旋コイルを有する。本方法は、胃内部材を備えた送達チューブを可撓性オーバーチューブのルーメン内に配置するステップ、及び、該可撓性オーバーチューブのルーメンを通して胃内部材を哺乳類の胃内腔へ進めるステップをさらに含む。本方法は、胃内部材が哺乳類の幽門部を通過することを防ぐのに十分に大きい第２の形状に胃内部材を拡張するステップをさらに含む。

上述及びその他の利点、ならびに本発明自体は、以下でさらに十分に説明する構造及び作用の詳細から明らかになるであろう。また、本発明のいくつかの実施態様は、肥満を治療するために使用される他の種類の胃内装置又は処置と共に使用することもできるものと理解されたい。

以下、添付の図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態を例として説明する。

図１〜２１に示す本発明の肥満治療器具１０は、１つ又は複数の胃内部材１１を有しており、各胃内部材は、哺乳類の患者の胃に送達され、かつ幽門部を通過せず胃内に滞留するような寸法及び形状に予め形成された螺旋コイル１５を成している曲線軸を有する。本明細書等において用いる、耐消化性及び不消化性という用語は、使用されている材料が、長期にわたって胃酸及び酵素あるいは胃系統の全般的な環境による分解作用に影響されず、したがって装置の意図する寿命の期間中は無傷のままであることを意味する。これは必ずしも、材料が経年により劣化しないという意味ではなく、医療技術及び胃病学的装置分野の当業者であれば、長期用の胃内部材として使用するのに適する材料の範囲を容易に理解するであろう。

選択されたポリエステル類、ポリウレタン類、ポリエチレン類、ポリアミド類、シリコン、又はその他の可能な材料を含め、多くの周知のプラスチックが、好適な性質を有している。哺乳類の毛髪は天然の胃石を形成することが分かっており、したがってこれも可能性のある材料である。しかしながら、ある種のポリアミドのような幾つかの材料は、時間経過に伴って拡張することが分かっており、このことは望ましくない特性となり得る。ほとんどの他の天然材料は、一般に酸及び酵素に対する耐性がずっと低く、したがって、短期留置が意図されているか望ましい場合を除いて、一般的には、長期にわたって機能させるには処理を施すことが必要になるか、耐性を有する材料と組み合わせる必要がある。

さらに、胃内部材１１は形状記憶材料、例えばニチノールなどから形成されていてもよい。さらに、前記形状記憶材料は、熱処理法を用いて所定の形状を維持できるポリマー材料を含んでよい。胃内部材１１を、該ポリマーのガラス転移温度を超える温度まで加熱し、所定の形状に成形することができる。胃内部材１１は、体内に埋め込まれた際に所定の形状から伸展又は変形する際に、所定の形状に戻る傾向がある。胃内部材１１は、例えば展開される間に、伸展又は変形され得る。使用され得る形状記憶ポリマーの例としては、例えばポリウレタン類、ポリノルボルネン類（ｐｏｌｙｎｏｒｂｏｒｅｎｅｓ）、スチレン‐ブタジエンコポリマー類、架橋ポリエチレン類、架橋ポリシクロオクテン類、ポリエーテル類、ポリアクリレート類、ポリアミド類、ポリシロキサン類、ポリエーテルアミド類、ポリエーテルエステル類、及びウレタン‐ブタジエンコポリマー類、ならびにこれらの組み合わせなどが挙げられる。

図１は単一の胃内部材１１を示し、該胃内部材１１は近位端１３及び遠位端１４を有し、この胃内部材１１は螺旋コイル１５を有する。この胃内部材１１は、胃内部材１１の近位端１３から遠位端１４に沿って配置された開口１６をさらに有する。開口１６は、胃内部材１１のルーメンに加圧ガスや液体を注入する又は膨張させるための一方向弁を収容し、それによって胃内部材１１を第２の形状へ拡張させる。また別に、胃内部材１１は自己拡張材料、例えばニチノールなどを含んでもよい。胃内部材１１は第１の形状から第２の形状へ膨張可能な１つ又は複数の伸長部分をさらに有してもよく、伸長部分は該部分それ自体を貫通するルーメンを有する。このルーメンは、胃内部材１１全体に剛性を与えるための材料によって膨張される。

好ましい実施形態において、胃内部材１１は、低密度ポリエチレンからなる耐消化性又は不消化性部材１２を有する。フッ化エチレンプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー（ｅｔｈｙｌｅｎｅ ｖｉｎｙｌ ａｃｅｔａｔｅ ｃｏｐｏｌｙｍｅｒ）、ナイロン、又は生体適合性かつ略食物の付着しない種類のポリマーも利用することができる。胃内部材１１は様々な材料、寸法、形及び径で利用可能であり、これらによって、胃６０における前進及び留置のときに様々な設計及び形状が生じる。

胃内部材１１の展開は、その実施形態の寸法、個数及び形状に応じて、何種類もの方法で達成することができる。胃６０の中に保持されるような肥満治療器具１０を作るためには２つ以上の胃内部材１１を連結して胃内部材の群又はセット４５を形成することが必要な場合もある。図２は、互いに牽引されて胃内腔に展開され得るように、各々に連結機構２６（例えばロープ（ｔｅｔｈｅｒ）２７）の取り付けられた２つの胃内部材１１を示す。例えばカテーテルや波形金属チューブなどの押出部材２９は、内視鏡を用いて胃内腔まで進められ、ロープ２７によりガイドされて、例えばラバーパッチなどの拘束要素２８を２つの胃内部材１１に対してきつく締める。その後ロープ２７を切断してもよく、それによって該部材群４５を胃内で自由に浮遊させることができる。この方法は、胃内部材１１をさらに連結し、より大きな部材群４５を形成するためにも用いることができる。いずれの実用的な個数の胃内部材１１も、上述の手法で連結され、あるいは、単独又は対で送達され、全ての胃内部材１１が胃内腔に送達された後に合わせて群とすることができる。

図３は送達システム５４を示し、胃内部材１１がプラスチックのオーバーチューブ１８上に装填され、シース５５により圧縮され、保持要素３４によって拘束されている。具体的には、胃内部材１１がオーバーチューブ１８の外側に装填され、シース５５によって拘束されている。シース５５は薄いプラスチック材料から形成されていてもよい。例示的な実施形態において、保持要素３４又はワイヤは、シース５５の上下でくくられており、これらを引いてシース５５の薄い材料を破き、オーバーチューブ１８上に装填された胃内部材１１を解放させることができる。解放機構２０はオーバーチューブ１８の通路５２に込められ、器具１０の近位端へ延びる。その他の種類の断裂可能なシース５５を使用してもよく、例えば、インディアナ州ブルーミントンのＣｏｏｋ社から入手可能なＣＯＯＫ（登録商標） ＰＥＥＬ−ＡＷＡＹ イントロデューサー シースなどがある。送達中の際には一般的にワイヤガイド１９が用いられ、オーバーチューブ１８の通路内に設置されて、オーバーチューブ１８の遠位端を患者の胃内へ誘導する。

図４に示されるように、オーバーチューブ１８は複数の孔２１を有し、それらの一組（例えば孔２２及び孔２３）が互いに所定の距離を隔てて配置されている。好ましくは、孔２２と孔２３とはオーバーチューブ１８の遠位部位に沿って約２ｃｍ離れて配置される。孔２２と２３とは、その他の距離をとって配置されていてもよい。胃内部材１１を拘束するために、保持要素３４は、例えばループ、フック、スネアなどの装置４２を用いて第１の孔２２から引き出される。保持要素３４は、図示されたワイヤループなどの解放機構２０を通して送り込まれ、その後、対向した孔２３から引き出される。胃内部材１１はその後オーバーチューブ１８上に設置され、保持要素３４が取付けられて、胃内部材１１が送達用の第１の形状になる。送達システム５４が胃内腔に導入されると、解放機構２０がオーバーチューブ１８を通って引き戻され、保持要素３４が１つずつ切断され、胃内部材１１が胃内腔に解放されて、胃を通り抜けないほど十分な体積をもつ第２の形状をとることができる。

図５は、本発明の胃内部材１１を送達するための送達チューブ４０を示す。送達チューブ４０は近位端４３、遠位端４４及びルーメン４５を有し、胃内部材１１は送達チューブ４０のルーメン４５に装填され、保持要素３４によって拘束されている。保持要素３４は胃内部材１１を、送達チューブ４０のルーメン４５に沿って器具１０の遠位端４４から近位端４３まで拘束している。必要な保持要素３４の個数は、器具１０に用いられる個々の胃内部材１１の寸法、長さ及び幅次第である。

図示の実施形態において、保持要素３４（図５を参照）は送達チューブ４５の本体に沿って等間隔に配置されて胃内部材１１を拘束している。しかしながら、当該技術分野における当業者であれば、保持要素３４を別の配置で使用する、又は全く使用しないような、その他の設計も利用できることを理解するであろう。

ヒトで試験した結果によって、本出願の図面に描かれている形状を修正してもよい。とはいえ、既に理解されているように、胃内部材１１の寸法形状、及び構造は相当に変更可能であり、なおかつ求められる成果を生み出すことができる。

図６〜２１に図示されているように、胃内部材の占める容積を増加させる、又は胃内部材の外周長を変更するために、様々な形を採用することができる。具体的には、様々な形のものが、患者の内腔に入ってから満腹感を与えることができる。胃内部材の形状を様々にすることで、患者の胃内腔に留置された後に互いに結合して容積を置き換えるような相補的な設計も可能である。様々な径を用いたその他の設計も利用可能であることは理解されるであろう。胃内部材は拡張可能な材料、低密度ポリエチレン又はその他の好適な材料からなることができる。胃内部材は一種類の特定の形状に限定されず、個別の用途に応じて様々な形状を備え得る。本構成要素の形状は、螺旋形、環形、円形、楕円形、正方形、三角形、長方形、五角形、六角形、星形又はその他好適なあらゆる形からなる群から選択することができる。

図６〜８は、胃内腔への送達後に第１の形状から第２の形状に拡張していく本発明の胃内部材１１を示す。胃内部材１１は胃内腔に送達されるまで保持要素３４と連結されている（図６）。その後で保持要素３４は胃内部材１１から取り除かれ、この胃内部材１１が第２の形状へ自己拡張する（図７）。また、胃内部材１１は加圧ガス又は液体を介して膨張されてもよい。この実施形態では、胃内部材１１が膨張されて胃６０の内形に適合し胃６０の壁との接触を保つような第２の形状へ胃内部材１１を拡張するために、胃内部材１１は自己拡張材料、例えばニチノールなどを含む（図８）。

また、装置１０は中心軸５２をあたえ、胃内部材１１は装置１０の中心軸５２に沿ってその周りに延在している曲線軸５０を有している。本明細書等で用いる「中心軸」の用語は、一般的に、装置の主軸（例えば装置の最長軸）に沿って、かつ装置の略横断面の重心を通って伸びる線として定義される。本明細書等で用いる「曲線軸」の用語は、略胃内部材１１の長さ方向に沿って、かつ胃内部材１１の横断面を通って伸びるものとして定義される。胃内部材１１の曲線軸５０は、中心軸５２から所定の距離又は変更可能な距離を隔てて配置されている。胃内部材１１は、螺旋形、へリックス形、コイル形、コルク栓抜き（コルクスクリュー）形、スプリング形及びループ形のいずれか１つを含むような形状を成すことができる。この実施形態においては、胃内部材１１において予め形成された螺旋コイル１５が胃６０の壁に関して軸方向に沿う形状を成す。

図９〜１０は胃内部材の別の実施形態を示し、ここで胃内部材１１１は予め形成された螺旋コイル１５を有し、螺旋コイル１５が胃１６０の壁に関して径方向の形状を成す。前記軸方向の形状と同様に、胃内部材１１は近位端１１３、遠位端１１４及び螺旋コイル１１５を有する。また、胃内部材１１１は低密度ポリエチレンからなる不消化性部材を含んでもよい。胃内部材１１１は加圧ガス又は液体を介して膨張されてもよく（図１０）、又は自己拡張材料を含んでもよい（図９）。

図１１〜１４は本発明の胃内部材２１１のさらに別の実施形態を示す。この実施形態において、胃内部材２１１は、例えばニチノールなどの自己拡張材料からなる複数のリブ２１５を備え、送達のための第１の形状に圧縮されている（図１１）。胃内部材２１１のリブ２１５は、胃２６０内へ展開される間は第１の形状で長さ方向に整列しており、次いで、第２の形状へ拡張する（図１２）。胃内部材２１１は近位端２１３及び遠位端２１４を含み、該遠位端２１４は送達中に胃内腔へ進められる。胃内部材２１１は、器具１０の外寸に応じて、カテーテルを主とした送達システム５４を用いて又は用いずに、第１の形状で送達される（図１３）。胃内部材２１１は、該胃内部材２１１が胃内腔に送達された時に胃２６０の胃内腔の中で拡張され、胃内腔において各リブ２１５が胃２６０の壁に係合する（図１４）。あるいは、胃内部材２１１はポリマー、又は胃内部材２１１の胃内腔における送達及び保護を促すその他の好適な材料で覆われていてもよい。胃内部材にはその他の形及び設計も含まれていてよく、例えば円形、長方形、六角形、楕円形又はその他の好適なあらゆる形が挙げられる。例えば、図１５〜１６は本発明の胃内部材３１１の別の実施形態を示し、胃内部材３１１は近位端３１３及び遠位端３１４を有し、複数のリブ３１５が近位端３１３と遠位端３１４との間に延びている（図１５）。この胃内部材３１１の形状によって、対応するリブ３１５を、送達中に近位端３１３と遠位端３１４との間で圧縮することが可能になる。胃内部材３１１の近位端３１３及び遠位端３１４はいずれも、送達及びそれに続く第２の形状への拡張後に、胃３６０の壁に係合する（図１６）。胃内部材３１１は２つのリブ３１５を備える。しかしながら、その他の設計では追加のリブ３１５を備えることができる。胃内部材３１１は器具１０の形状に応じて、胃壁に関して軸方向又は径方向に係合され得る。

図１７〜２１は本発明の胃内部材４１１のさらに別の実施形態を示す。この実施形態において、胃内部材４１１は近位端４１３及び遠位端４１４を有し、該近位端４１３は係止機構の雌部を備え、遠位端４１４は雄部を備えている（図１７）。係止機構は胃内部材４１１の近位端４１３と遠位端４１４とを接続して、このことによってバンドを形成するために用いられる（図１８）。

胃内部材４１１は図１９に示されるように、第１の形状で胃内腔へ送達される。胃内部材４１１は、近位端４１３と遠位端４１４とが未接続のままである第１の形状で送達される。胃内腔に送達されると、胃内部材４１１は該胃内部材の近位端が遠位端と接続されてバンドを形成する第２の形状へ拡張され、該バンドが胃４６０の壁に係合する（図２０）。図２０に図示されているように、胃内部材４１１は第１の形状で胃内腔へ送達される。

例示的な実施形態である胃内部材１１、１１１、２１１、３１１、４１１を、各装置の寸法、個数及び形状に応じて、あるいは医師の所望に従って、色々な方法で送達することができる。また、胃内部材を互いに連結してもよく、あるいは、単独又は対で送達を行って、全ての胃内部材が留置された後に合わせて群としてもよい。

図２１は胃内部材を患者の胃内腔へ送達するために用いられるオーバーチューブ６００を示す。オーバーチューブ６００は内視鏡と組み合わせて用いられ、胃内の送達標的部位への通路を確保する。オーバーチューブ６００が患者の胃内腔に配置されると、胃内部材は該オーバーチューブ６００を通って送られ、こうして胃内部材を患者の胃６６０に送達するために用いられる。胃内腔への所望の送達が完了すると、オーバーチューブ６００は取り除かれる。

オーバーチューブ６００は近位端６０４、遠位端６０２及びメインルーメン６０６を有する。いかなる構成のメインルーメン６０６も企図される。可撓性オーバーチューブ６００は図２２に図示された実施形態に示されるように、単一部材（ｓｉｎｇｌｅ−ｐｉｅｃｅ）の構造を有することができる。あるいは、複数のチューブを結束して可撓性オーバーチューブ６００を形成してもよい（図示していない）。オーバーチューブ６００は当技術分野で知られているあらゆる好適な材料から作製されていてよく、材料として、これらに限定はされないがポリエチレンエーテルケトン（ＰＥＥＫ）、ポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン及びナイロンなどが挙げられ、複層又は単層構造も含まれ、強化ワイヤ、編組ワイヤ（ｂｒａｉｄ ｗｉｒｅｓ）、コイル及び又はフィラメントも含むことができる。

メインルーメン６０６は、胃内部材や、例えば内視鏡などの好適な第２の装置を受容し通過できるように形成されている。メインルーメン６０６の寸法は、展開される胃内部材の寸法に応じて多岐にわたる。オーバーチューブ６００及び対応する胃内部材の寸法が与えられているが、これは単に例示を目的としたものであり、本発明を限定するものとして解釈されるよう意図してはいない。当業者であれば理解するように、胃内部材及び内視鏡はメインルーメン６０６を通って進められるので、メインルーメン６０６の寸法は、当該の胃内部材又は内視鏡のうちいずれか大きい方の寸法に関連する。当業者であれば、胃内部材の寸法は、胃内部材を構成する長さ、幅及び材料に関連するということを理解するであろう。このようにして、可撓性オーバーチューブ６００は胃内部材、内視鏡又はオーバーチューブ６００と共に使われるその他第２の装置の寸法に応じて各種大小の寸法を有し得る。したがって、寸法の異なるような、いかなるオーバーチューブ６００も、本発明の特許請求の範囲内に含まれると企図される。

ここまで様々な胃内部材及び送達装置の構造を説明してきたので、ここからは哺乳類における肥満治療方法について検討する。方法の一種類をここで説明する。オーバーチューブ６００（図２１）を患者の胃内腔に配置する。オーバーチューブ６００を図２１に示されるように配置した後に、少なくとも１つの胃内部材１１（図１）を、送達チューブ４０（図５）の近位端と遠位端との間にあるルーメン４５の中に装填する。胃内部材１１を、送達チューブ４０のルーメン４５に沿って保持要素３４で拘束する（図５）。胃内部材１１は予め形成された螺旋コイル、又は、哺乳類の胃内腔への導入を可能とするのに十分に小さい第１の形状に圧縮されるその他好適な形を有することができる。

上記少なくとも１つの胃内部材１１を送達チューブ４０のルーメン４５に装填した後に、オーバーチューブ６００を通して送達チューブ４０を進ませ、送達チューブ４０の遠位端が胃内腔に位置するまで進ませる。胃内部材１１は保持要素３４と連結されたままである。送達チューブ４０が胃内腔に配置された後に、保持要素３４を胃内部材１１から取り外し、胃内部材１１の第２の形状への自己拡張を可能にする（図７）。また、胃内部材１１のルーメンを介して胃内部材１１を膨張させ、胃６０の内壁に適合させてもよい（図８）。第２の形状は、胃内部材が当該哺乳類の幽門部を通過しないのに十分に大きい、予め形成された螺旋コイルを有する。

開示されていないような、又は、本発明の開示された実施形態に関する様々な要素の構造もしくは構成に付随するようなその他の詳細な点は、いずれも、開示されている性能を発揮するために必要な属性をそれらの要素が有している限り、本発明の利点を達成するために重大なこととは考えられない。構造に関するこれら及びその他の詳細を選択することは、本分野において有する知識が初歩的な者であっても、十分にその能力の範囲内で行えると考える。本発明の例示的な実施形態をかなり詳細に説明してきたのは、実施上、作用上の構造を開示して本発明を好都合に実施できるようにすることが目的である。ここに記載した各種設計は単に例示としてのみ意図されている。本発明の新規な特徴は、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、他の構造構成に組み込むことができる。

本発明の胃内部材の絵画図を示す。 本発明の胃内部材が一対で連結された後の絵画図を示す。 送達システムを伴った図１の実施形態の絵画図を示す。 図３の送達システムの断面図を示す。 胃内腔挿入のための送達チューブに装填された胃内部材を示す。 胃内腔への送達後、保持要素を伴って第１の形状にある本発明の胃内部材を示す。 胃内腔に送達後の、自己拡張型の本発明の胃内部材を示す。 胃内腔に送達後の、膨張可能な胃内部材を示す。 胃内腔に送達後の、自己拡張型の本発明の胃内部材のさらに別の実施形態を示す。 胃内腔に送達後の、膨張可能な本発明の胃内部材のさらに別の実施形態を示す。 本発明の胃内部材のさらに別の実施形態の絵画図を示す。 拡張された第２の形状にある図１１の胃内部材の絵画図を示す。 胃内腔への送達後の、第１の形状にある図１１の胃内部材の絵画図を示す。 胃内腔への送達後の、拡張された第２の形状にある図１３の胃内部材を示す。 本発明の胃内部材のさらに別の実施形態の絵画図を示す。 胃内腔への送達後の、拡張された第２の形状にある図１５の胃内部材を示す。 本発明の胃内部材のさらに別の実施形態の絵画図を示す。 拡張された第２の形状にある図１７の胃内部材を示す。 胃内腔への送達後の、第１の形状にある図１７の実施形態の絵画図を示す。 胃内腔への送達後の、第２の形状にある図１７の胃内部材を示す。 オーバーチューブの遠位端が胃の胃内腔に配置されるように、オーバーチューブが患者の口腔内に経食道的に配置された状態の部分横断面図を示す。

Claims (9)

1. 肥満治療用の胃内装置であって、
   第１の形状から第２の形状へ拡張可能な胃内部材を有し、前記第１の形状は前記胃内部材を哺乳類の胃内腔に挿入可能とするのに十分に小さく、前記第２の形状は前記胃内装置が前記哺乳類の幽門部を通過することを防ぐのに十分に大きく、
   前記胃内装置は中心軸を有し、
   前記胃内部材は、前記第２の形状において、当該胃内部材に沿って延び、前記胃内装置の前記中心軸に沿って該中心軸の周りに延在する曲線軸を有し、
   前記曲線軸と前記中心軸線との距離が、曲線軸の長さに沿って変化するようなものとされ、
   前記胃内部材は、近位端及び遠位端、ならびに該前記近位端と前記遠位端との間に延びるルーメン及び前記ルーメンに連通する、前記胃内部材を膨張させるために用いられる開口を有し、該ルーメンは前記胃内部材を前記第２の形状まで膨張させるために用いられる胃内装置。
2. 前記曲線軸と前記中心軸との距離が、当該胃内装置の両端よりも中央部分で大きくされている請求項１に記載の胃内装置。
3. 前記胃内部材は、螺旋形、へリックス形、コイル形、コルク栓抜き（コルクスクリュー）形、スプリング形及びループ形のうちの１つの形状を有する請求項１に記載の胃内装置。
4. 前記胃内部材は加圧ガス又は液体により膨張される請求項１乃至３のいずれかに記載の胃内装置。
5. 解放機構で拘束された複数の胃内部材を有し、前記複数の胃内部材は前記第１の形状で拘束される請求項１から４のいずれかに記載の胃内装置。
6. 前記複数の胃内部材は送達チューブを通して装填されるようになされており、前記送達チューブは、前記複数の胃内部材が各々、該送達チューブから前記胃内腔に送達され易くする請求項５に記載の胃内装置。
7. 近位端及び遠位端と、前記胃内腔へ送達されるための前記第１の形状にある前記胃内部材を受容するようにされたルーメンとを有するオーバーチューブをさらに有し、前記胃内部材は前記胃内腔内にあるとき前記第２の形状へ拡張される請求項１から６のいずれかに記載の胃内装置。
8. 前記胃内部材は、プラスチック、ナイロン、ポリエステル類、ポリウレタン類、ポリエチレン類、ポリアミド類、シリコン及び略食物の付着しない生体適合ポリマーからなる群より選択される一又は複数種類の要素を含む請求項１から７のいずれかに記載の胃内装置。
9. 前記胃内部材は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、フッ化エチレンプロピレン及びエチレン酢酸ビニルコポリマーからなる群より選択される一又は複数種類の要素を含む請求項１から７のいずれかに記載の胃内装置。

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