JP5021483B2 - ポリペプチドの選択方法 - Google Patents

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Description

本発明はポリペプチドドメインの選択に関する。
特に、本発明は1つまたは複数のTus DNA結合ドメイン、1つまたは複数のDNA結合部位および少なくとも1つのポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列を利用して、1以上のポリペプチドドメインを選択することに関する。
進化を行うには、遺伝子的多様性(核酸の多様性)を誘発し、それに続いて、有益な特性を生じる核酸を選択することが必要である。生物の核酸とコードされた遺伝子産物の活性とは、物理的に連関している(核酸はそれがコードする細胞内に閉じ込められている)ので、多数回の突然変異および選択により、適応度が増大し、生物の発展的生存が可能となる。in vitroで核酸またはタンパク質を迅速に進化させるための系では、核酸とコードされた遺伝子産物の活性とが連関していなければならず、かつ該遺伝子産物の活性が選択可能でなければならないという点で、このプロセスを分子レベルで模倣したものでなければならない。
分子生物学の最近の進歩のおかげで、いくつかの分子を、それらの特性に従って、それらをコードする核酸と共に選択できるようになった。選択した核酸は、その後、更なる分析または利用に供するためにクローン化するか、あるいは突然変異および選択を更に繰り返すために利用することができる。
これらの方法に共通する点は、核酸の大きなライブラリーを確立することである。所望の特性(活性)を有する分子は、コードされた遺伝子産物の所望の活性、具体的には、所望の生化学的または生物学的活性、例えば、結合活性などに対して選択を行う選択レジメに従って単離することができる。
ファージディスプレイ技術は、核酸とコードされた遺伝子産物の活性との間に本質的な連関を提供することによって、ディスプレイされたタンパク質の選択を可能にするビヒクルを提供するものとして、上手く利用されてきた(Smith, 1985、Bassら, 1990、McCaffertyら, 1990、レビューに関してはClacksonおよびWells, 1994を参照されたい)。繊維状ファージ粒子は、外部にタンパク質を有し内部にそれをコードする遺伝子エレメントを有する遺伝子ディスプレイパッケージとして作用する。核酸とコードされた遺伝子産物の活性との密接な関係は、細菌内のファージのアセンブリーの結果である。個々の細菌が多重感染するのは稀なので、ほとんどの場合、個々の細菌から産生されたファージは全て同一のヌクレオチド配列を有し、同一のタンパク質をディスプレイするであろう。
しかしながら、ファージディスプレイは、細菌中におけるin vivoでの核酸ライブラリーの形成に依存する。そのため、切除可能な繊維状ファージレプリコンを有するλファージベクターを利用する場合でさえ、ファージディスプレイ技術で得られるライブラリーサイズの実施上の制限は107〜1011のオーダーである。この技術は主に、結合活性を有する分子の選択に適用されてきた。触媒活性を有する少数のタンパク質もこの技術で単離されてきたが、所望の触媒活性についての直接的な選択はされず、トランジション状態の類似体への結合 (WiderstenおよびMannervik, 1995)または自殺型阻害剤との反応(Soumillionら, 1994、Jandaら, 1997)についての選択がなされた。
別の方法はプラスミドディスプレイと呼ばれ、この方法では、融合タンパク質が大腸菌の細胞質内で発現されてフォールディングされ、表現型-遺伝子型の相互連関性がこの融合タンパク質(ライブラリーの他のメンバーからまだ区画化されているうちに、コードするプラスミド上のDNA配列とin vivoで結合する)によってもたらされる。その後、タンパク質ライブラリーからのin vitro選択を行うことができ、特性付けまたはさらなる選択に先立って、タンパク質をコードするプラスミドDNAを再形質転換のために回収することができる。特異的なペプチドリガンドは、lacリプレッサーLaclのC末端に結合されたペプチドの大きなライブラリーを用いてアフィニティー選択を行うことにより、受容体への結合について選択されてきた(Cullら, 1992)。大腸菌に発現させると、このリプレッサータンパク質は、プラスミド上のlacオペレーター配列に結合することにより、コードするプラスミドにリガンドを物理的に連結させる。Speightら(2001)は、プラスミドディスプレイ法について記載しているが、この方法は、核因子κB p50ホモ二量体を、lacプロモーターの-10領域に存在する標的κB部位と結合するDNA結合タンパク質として使用する。形成されたタンパク質-DNA複合体は、安定性および特異性が改良されている。
完全にin vitroのポリソームディスプレイシステムについても報告されている(Mattheakisら, 1994)。このシステムでは、新生ポリペプチドが、それをコードするRNAにリボソームを介して物理的に結合される。
SELEX(systematic evolution of ligands by exponential enrichment)(TuerkおよびGold, 1990)と呼ばれることもあるin vitro RNA選択および進化 (Ellingtonおよびzostak, 1990)では、結合活性および化学的活性の両方について選択することができるが、核酸だけが対象となる。結合について選択する場合、固定化基質と共に核酸プールをインキュベートする。非結合体は洗浄除去し、次に結合体を放出させて増幅する。この全プロセスを反復ステップとして繰り返して、より良好な結合配列を富化する。また、この方法を適用して、触媒RNAおよびDNAを単離することができる(GreenおよびSzostak, 1992、レビューについてはChapmanおよびSzostak, 1994、Joyce, 1994、Gold ら, 1995、Moore, 1995を参照されたい)。
WO99/02671は、所望の活性を有する遺伝子産物をコードする1種以上の遺伝子エレメントを単離するin vitro選択法について記載している。この選択法は、遺伝子エレメントをマイクロカプセル中に区画化するステップ;マイクロカプセル内で遺伝子エレメントを発現させてその対応する遺伝子産物を産生させるステップ;および所望の活性を有する遺伝子産物を産生する遺伝子エレメントを選択するステップを含む。この発明は、反復突然変異誘発および該発明の方法の反復適用により、核酸のin vitro進化を可能にすることができる。
他の方法とは対照的に、WO99/02671は人工の「進化」系について記載している。該進化系は、核酸とタンパク質の両方を進化させて生化学的活性および生物学的活性の全領域(例えば、結合活性、触媒活性および調節活性)に影響を及ぼすことができ、しかもいくつかのプロセスを組み合わせて所望の産物または活性へと至らせることができる。
大きなタンパク質ライブラリーからin vitro選択するための前提条件は、所望の活性(例えば、特異性)を有するライブラリーのメンバーを同定できることである。しかしながら、選択したタンパク質を直接分析するためには、そのような実験で通常回収されるよりもずっと多量の物質を必要とする。この問題を解決できる1つの方法は、選択プロセスを通してコードする遺伝子とそのタンパク質との物理的結合を生じさせることを含み、そうすることで該タンパク質は、それをコードするDNAまたはRNAによって増幅させて特性付けることができる。
本発明は、ポリペプチドドメインをその結合活性を利用してin vitro選択するための改良された方法を提供することを目的とする。
本発明は、一部には、ポリペプチドドメインのin vitro選択のためにTusを利用できるという驚くべき知見に関する。
従って、本発明の第1態様は、1つまたは複数のTus DNA結合ドメイン、1つまたは複数のDNA結合部位および少なくとも1つのポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に関する。
このヌクレオチド配列を発現させると、Tus DNA結合ドメインと融合されたその個別のポリペプチドドメイン遺伝子産物が産生される。一旦発現されると、ポリペプチドドメイン遺伝子産物は、該遺伝子産物中のTus DNA結合ドメインとその個別のヌクレオチド配列のDNA結合部位(Terオペレーターなど)との結合を介して、その個別のヌクレオチド配列と結合するようになる。通常、本発明のヌクレオチド配列はマイクロカプセル内で発現される。その後、該ヌクレオチド配列を含むマイクロカプセルは、ポリペプチドドメイン、好ましくは所望の特性(例えば、特異性または親和性)を有するポリペプチドドメイン(例えば、抗体ドメイン)と結合したヌクレオチド配列が選択されるように、共通の区画にプールすることができる。
本発明のヌクレオチド配列を構築物またはベクター中にクローン化することにより、ヌクレオチド配列およびそのポリペプチドドメイン遺伝子産物を更に特性付けることができる。
従って、本発明の第2態様は、本発明の第1態様のヌクレオチド配列を含む構築物に関する。
本発明の第3態様は、本発明の第1態様のヌクレオチド配列を含むベクターに関する。
本発明の第4態様は、本発明の第2態様の構築物または本発明の第3態様のベクターを含む宿主細胞に関する。
本発明の第5態様は、本発明の第1態様のヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質に関する。
本発明の第6態様は、本発明の第1態様のヌクレオチド配列に、例えば1以上のDNA結合部位を介して、結合した本発明の第5態様のタンパク質を含んでなる、タンパク質-DNA複合体に関する。
ポリペプチド(例えば、抗体)ドメイン-Tus融合タンパク質を、その抗原結合活性に基づきうまく選択できるかどうかは、他の要因もあるが、タンパク質-DNA複合体の安定性にかかっている。エマルジョン破壊とそれに続くアフィニティー捕捉段階を通じて遺伝子型-表現型の相互連関性を維持するためには、融合タンパク質-DNA相互作用の解離速度が十分に低くなければならない。
本発明の第7態様は、本発明の第6態様のタンパク質-DNA複合体を調製する方法であって、以下のステップ:(a) 本発明の第1態様のヌクレオチド配列、本発明の第2態様の構築物または本発明の第3態様のベクターを準備すること;および(b) ヌクレオチド配列を発現させ、それに対応するタンパク質を産生させること;および(c) タンパク質-DNA複合体を形成させること、を含む前記方法に関する。
本発明の第8態様は、所望の特異性を有するポリペプチドドメインをコードする1以上のヌクレオチド配列を単離する方法であって、以下のステップ:(a) 本発明の第1態様のヌクレオチド配列、本発明の第2態様の構築物または本発明の第3態様のベクターを準備すること;(b) ヌクレオチド配列をマイクロカプセル内に区画化すること;(c) ヌクレオチド配列を発現させ、それに対応するポリペプチドドメインを産生させること;(d) マイクロカプセルを共通の区画にプールすること;および(e)所望の特異性を有するポリペプチドドメインを産生するヌクレオチド配列を選択すること、を含む前記方法に関する。
ポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列が発現されると、マイクロカプセル内ではそれに対応するポリペプチドドメイン遺伝子産物が産生され、その結果、該遺伝子産物がそれをコードするヌクレオチド配列と結合し、そうして形成された複合体を選択することができる。有利には、上記により、ヌクレオチド配列およびその結合した遺伝子産物を、ポリペプチドドメインの特異性を利用して選択することができる。
ヌクレオチド配列は、例えばポリペプチドドメインのヌクレオチド配列を、少なくとも2つの別反応を起こさせる条件にさらすために、少なくとも2つのステップを含むマルチステップ法により選択することができる。当業者には自明であろうが、最初のマイクロカプセル化ステップは、ポリペプチドドメインヌクレオチド配列の発現、すなわち転写、転写および/または翻訳、複製等を可能にする条件にしなければならない。かかる条件下では、特定のポリペプチドドメインの特異性を選択できないことがある。なぜならば、例えば、ポリペプチドドメインがこれらの条件下で活性でないかもしれないし、あるいは発現系が干渉性の活性を含むからである。
従って、選択されたポリペプチドドメインヌクレオチド配列は、本発明方法の全ステップまたは所定のステップのみを再適用することにより、反復的に繰り返されるステップで、後続の、おそらくはさらにストリンジェントな、選択ラウンドに供することができる。条件を適切に調整することにより、各選択ラウンド後に、さらに良好に最適化された特異性を有するポリペプチドドメイン遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を単離することができる。
ヌクレオチド配列およびそれによりコードされるポリペプチドドメインは、各ヌクレオチド配列および該ヌクレオチド配列によりコードされる対応する遺伝子産物を同一のマイクロカプセル内に閉じ込めることによって、結合される。この方法によれば、1つのマイクロカプセル内の遺伝子産物は、他のいかなるマイクロカプセルの変化も起こすことができない。
さらに、第1ラウンドの選択後に単離されたポリペプチドドメインヌクレオチド配列は、上記の本発明方法のステップを反復利用することにより選別を繰り返す前に、突然変異誘発に付すことができる。各ラウンドの突然変異誘発の後、ポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列の中には、遺伝子産物の特異性が向上するように改変を受けたものが存在するであろう。
本発明の第9態様は、ポリペプチドドメインを調製する方法であって、以下のステップ:(a)本発明の第1態様のヌクレオチド配列、本発明の第2態様の構築物または本発明の第3態様のベクターを準備すること;(b) ヌクレオチド配列を区画化すること;(c) ヌクレオチド配列を発現させて、それに対応する遺伝子産物を産生させること;(d) 所望の特異性を有するポリペプチドドメインを産生するヌクレオチド配列を選択すること;および(e)所望の特異性を有するポリペプチドドメインを発現させること、を含む前記方法に関する。
本発明の第10態様は、本発明の第7態様の方法により得られたまたは得ることができるタンパク質-DNA複合体に関する。
本発明の第11態様は、本発明の第8または第9態様の方法により得られたまたは得ることができるポリペプチドドメインに関する。
本発明の第12態様は、1つまたは複数のTus DNA結合ドメインおよび/または1つまたは複数のTer DNA結合部位の、ポリペプチドドメイン選択における使用に関する。
好ましくは、ポリペプチドドメインは抗体ドメインである。
好ましくは、抗体ドメインはVL、VH、またはラクダ科動物のVHHドメインである。
好ましくは、ヌクレオチド配列はタグ配列を含む。
好ましくは、ヌクレオチド配列の3’末端にタグ配列を含む。
好ましくは、タグ配列はHA、FLAGまたはc-Mycからなる群から選択される。
好ましくは、ポリペプチドドメインはTus DNA結合ドメインのN末端に、直接的または間接的に融合される。
好ましくは、Tus DNA結合ドメインは配列番号1または配列番号2に規定される配列を含むまたは該配列からなる。
好ましくは、ヌクレオチド配列は1以上のリンカーをさらに含む。
好ましくは、ヌクレオチド配列は1、2、または3個のDNA結合部位を含む。
好ましくは、1つまたは複数のDNA結合部位はTerオペレーターである。
好ましくは、TerオペレーターはTerBを含むまたはTerBからなる。
好ましくは、Terオペレーターは配列番号3または配列番号4に規定される配列を含むまたは該配列からなる。
好ましくは、抗体ドメインはVκである。
好ましくは、第8態様に記載の方法は、付加的なステップとして、(f) ポリペプチドドメインに1以上の突然変異を導入することをさらに含む。
好ましくは、第8態様に記載の方法は、ステップ(a)〜(e)の1以上を繰り返して反復することをさらに含む。
好ましくは、第8態様に記載の方法はポリペプチドドメインを増幅させることをさらに含む。
好ましくは、ポリペプチドドメインはアフィニティー精製により選択される。
好ましくは、ポリペプチドドメインはプロテインLを用いて選択される。
好ましくは、所望のポリペプチドドメイン遺伝子産物をコードしないポリペプチドドメインの選択的除去(アブレーション)により、ポリペプチドドメインを選択する。
ポリペプチドドメイン
本明細書において使用する場合、「ポリペプチドドメイン」という用語は、VHまたはVLドメイン等のポリペプチドドメインをコードする分子または分子構築物を示す。
好ましい実施形態において、ポリペプチドドメインは抗体ドメインである。
典型的な抗体は、4本のポリペプチド鎖、すなわち2本の「重」鎖と2本の「軽」鎖を含むマルチサブユニットのタンパク質である。重鎖は4つのドメインを有し、軽鎖は2つのドメインを有する。ドメインは全て、可変領域または定常領域のいずれかに分類される。
抗体の抗原結合ドメインは、2つの別個の領域、すなわち重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL:これはVκまたはVλでありうる)を含む。
抗原結合部位それ自体は、6個のポリペプチドループ、すなわちVHドメイン由来の3個(H1、H2およびH3)およびVLドメイン由来の3個(L1、L2およびL3)から形成される。
VH遺伝子は3つの遺伝子セグメントVH、DおよびJHの組換えにより作製される。ヒトでは、ハプロタイプにより、約51個の機能性VH セグメント(CookおよびTomlinson (1995) Immunol Today, 16: 237)、25個の機能性Dセグメント(Corbettら. (1997) J. Mol. Biol., 268: 69)、および6個の機能性JHセグメント(Ravetchら. (1981) Cell, 27: 583)が存在する。VHセグメントがVHドメインの第1および第2の抗原結合ループ(H1およびH2)を形成するポリペプチド鎖の領域をコードするのに対し、VH、DおよびJHセグメントは一緒になってVHドメインの第3の抗原結合ループ(H3)を形成する。
VL遺伝子は2つの遺伝子セグメントVLおよびJLの組換えにより作製される。ヒトでは、ハプロタイプにより、約40個の機能性Vκセグメント(SchableおよびZachau (1993) Biol. Chem. Hoppe-Seyler, 374: 1001)、31個の機能性Vλセグメント(Williamsら (1996) J. Mol. Biol., 264: 220、Kawasakiら. (1997) Genome Res., 7: 250)、5個の機能性Jκセグメント(Hieterら. (1982) J. Biol. Chem., 257: 1516)、および4個の機能性Jλセグメント(VasicekおよびLeder (1990) J. Exp. Med., 172: 609)が存在する。VLセグメントはVLドメインの第1および第2の抗原結合ループ(L1およびL2)を形成するポリペプチド鎖の領域をコードするのに対し、VLおよびJLセグメントは組み合わされてVLドメインの第3の抗原結合ループ(H3)を形成する。この一次レパートリーから選択される抗体は、ほぼ全ての抗原と少なくとも中程度の親和性で結合するのに十分に多様であると考えられる。高親和性の抗体は再配列された遺伝子の「親和性成熟」により得られるが、その場合には点突然変異を生じさせて、向上した結合に基づき免疫系により選択する。
ポリペプチドドメインは、ライブラリーの形態で提供され得る。
通常、抗体ドメインはライブラリーの形態で提供され、殆どの場合、多数の変異型抗体ドメインのスクリーニングが必要である。抗体ドメインのライブラリーは、次のものを含め、様々な方法で作製することができる。
天然に存在する抗体ドメインのプールは、ゲノムDNAまたはcDNAからクローン化することができる(Sambrookら, 1989)。例えば、免疫したまたは免疫してないドナー由来の抗体遺伝子のPCR増幅レパートリーにより作製されるファージ抗体ライブラリーは、機能性抗体フラグメントの非常に有効な供給源であることが判明している(Winterら, 1994、Hoogenboom, 1997)。抗体ドメインをコードする遺伝子のライブラリーはまた、ランダム化されたまたはドープされた(doped)合成オリゴヌクレオチドにより、遺伝子の全て(例えばSmith, 1985、ParmleyおよびSmith, 1988を参照)または遺伝子の一部(例えばLowmanら, 1991を参照)または遺伝子のプール(例えばNissimら, 1994を参照)をコードすることによって、作製することもできる。また、ライブラリーは抗体ドメインまたは抗体ドメインのプールに突然変異を様々な技法によりin vivoで「ランダム」に導入することによっても作製することができ、かかる技法には、大腸菌mutD5のような細菌の「突然変異誘発株」を用いる方法(Liao ら, 1986、Yamagishi ら, 1990、Lowら, 1996)、およびB-リンパ球の抗体超突然変異系を用いる方法(Yelamosら, 1995)などが含まれる。ランダム突然変異はまた、化学的突然変異原、および電離線またはUV照射を用いる方法(Friedberg ら, 1995を参照されたい)、または変異原性塩基類似体を組み込む方法(Freese, 1959、Zaccolo ら, 1996)により、in vivoおよびin vitroの両方で導入することもできる。このほか、「ランダム」突然変異は、例えばエラープローンポリメラーゼを用いることにより、重合中にin vitroで抗体ドメイン遺伝子に導入することもできる(Leung ら, 1989)。
さらなる多様性は、in vivo (Kowalczykowskiら, 1994を参照)またはin vitro (Stemmer, 1994a、Stemmer, 1994bを参照)のいずれかで相同的組換えをすることにより、導入することができる。
好ましくは、抗体ドメインはVHまたはVL抗体ドメインである。
抗体ドメインはラクダ科動物のVHHドメイン(すなわち、2本の重鎖からなるラクダ科動物抗体に由来するまたは由来しうるVドメイン)でありうる。
抗体ドメインは、VLまたはVκ単一ドメイン抗体(dAb)のようなモノクローナル抗体(mAb)の一部であり得る。dAbについては、Wardら (1989) Nature 341, p544-546に記載されている。
好ましくは、抗体VLドメインはVκである。
ポリペプチドドメインは、Tus DNA結合ドメインのN末端と直接的にまたは間接的に融合されうる。
これに関連して、「直接的に」という用語は、リンカーを介さずに、ポリペプチドドメインがTus DNA結合ドメインと融合されることを意味する。
これに関連して、「間接的に」という用語は、少なくとも1つのリンカーを介して、ポリペプチドドメインがTus DNA結合ドメインと融合されることを意味する。
好ましくは、ポリペプチドドメインは間接的にTus DNA結合ドメインのN末端と融合される。
通常、DNA結合部位はヌクレオチド配列の5’末端に配置されるであろう。
可変ドメインは多価リガンドを形成するように一緒に連結することさえでき、例えば、各VドメインのC末端にヒンジ領域を配置し、該ヒンジ領域中のシステイン間にジスルフィド結合を形成させることにより連結する。
DNA結合ドメイン
エマルジョンに基づくin vitro選択において遺伝子型-表現型の相互連関性をもたらすDNA結合ドメインは幾つかの基準を満たす必要がある。
DNA結合タンパク質は、in vitroで翻訳された混合物中で、高安定性のタンパク質-DNA複合体を形成する必要がある。これに関連して高安定性とは、遺伝子と該遺伝子がコードするタンパク質産物との間の遺伝子型-表現型の連関がエマルジョン破壊工程と所望の特性を有するタンパク質-DNA複合体のアフィニティー捕捉工程の全体を通して忠実に維持されるように、解離速度定数が極めて低いことを意味する。通常、遺伝子型-表現型の連関は許容できるレベルで少なくとも約10分間維持されるべきであり、このことは、解離速度定数が少なくとも10-3 s-1またはそれ以下の範囲でなければならないことを意味する。
DNA結合ドメインがポリペプチドドメインの結合特性を実質的に妨げないならば、好都合であろう。また、DNA結合ドメインが融合タンパク質の形態でDNA結合活性を(かりに失うとしても)限られた量だけ失うならば、好都合であろう。さらに、DNA結合タンパク質が、機能的に活性な形態の融合タンパク質中に(還元型または酸化型のいずれの)システイン残基も含まないならば、好都合でありうる。融合タンパク質の形態のDNA結合ドメインに含まれるシステイン残基は、ポリペプチド(例えば抗体)ドメインに含まれるシステイン残基のドメイン内酸化を妨害する可能性がある。さらに、in vitro発現に最適な酸化還元条件は、DNA結合ドメインにとっては最適でない場合がある。
多くの様々な種類のDNA結合タンパク質が、細菌から脊椎動物に至る範囲の種から同定されてきた。2001年7月の時点で、SWISS-PROTデータベース(リリース38)は、少なくとも1つのDNA結合ドメインを含む3238種の完全長配列を含んでいた。これら3238種の配列はさらに、22の構造的に関連があるファミリーに分類された(KarmirantzouおよびHamodrakas (2001))。前記DNA結合タンパク質の多くは、しばしばコグネイト結合部位をもつDNA断片と複合体形成させて、結合特性および三次元構造を含めて、非常に詳細に研究されてきた(Karmirantzou & Hamodrakas (2001))。例えば、最もよく研究された、Kd値がより低いDNA結合タンパク質の中に、アフリカツメガエル由来のTFIIIA (Millerら. 1985)やファージP22由来のArcリプレッサー(Raumannら (1994))のような亜鉛-フィンガータンパク質がある。
TFIIIAタイプの亜鉛フィンガードメインのコンセンサス配列は、Tyr/Phe-X-Cys-X24-Cys-X3-Phe-X5-Leu-X2-His-X3-5-His(Xは任意のアミノ酸を示す)である。一般に、タンパク質1個につき2個から最大37個の亜鉛フィンガードメインがあり、通常直列に並んでいる。各亜鉛フィンガーは自律的にフォールディングするミニドメインであり、安定性に関しては亜鉛イオンに依存する。典型的な亜鉛フィンガードメインの三次構造は、主にα-ヘリックスのドメインに対し押し込まれた逆平行βシートからなり、不変のシステインとヒスチジンが亜鉛イオンに配位し、3つの保存された疎水性残基がコアを形成している(ChooおよびKlug (1993))。しかしながら、Kd値が低いpM範囲にある、極めて高親和性の亜鉛フィンガータンパク質を設計して特性付けしたが、該タンパク質が機能的活性を保持するためには、5 mMのDTTの存在が必要となる(Mooreら (2001))。そのような強力な還元条件は、一本鎖抗体の例で実証されているとおり、in vitroでの抗体フラグメントの発現には適さない(RyabovaおよびDesplancq, ら (1997))。
P22バクテリオファージの野生型Arcリプレッサーは、転写因子のリボン-へリックス-へリックスファミリーのメンバーであり、ダイマー同士のダイマーとして半パリンドロームArcオペレーターと結合することにより、P22バクテリオファージの溶菌増殖中の転写を制御する。各Arcダイマーは逆平行βシートを利用して主溝の塩基を認識する。一方、このタンパク質表面の別の部分はダイマー-ダイマー相互作用に関与する。高濃度では、Arcリプレッサーは適度に安定したダイマーである。しかしながら、ナノモル以下の濃度(半値オペレーター結合が観察される)では、Arcダイマーは解離し、殆どの分子が変性したモノマーとして存在する。
一般に、この遺伝子エレメント上には2以上のDNA結合部位が存在し、融合タンパク質の多コピー数の結合が可能である。所定の遺伝子によりコードされるタンパク質分子のこのような増加は、抗体-抗原相互作用における結合力効果を生かすために使用することができる。というのは、DNAと結合したタンパク質分子の数が増加すると、DNA結合タンパク質と結合されたポリペプチドドメインの数も増加するからである。
驚くべきことに、Tus DNA結合ドメインは1以上のポリペプチドドメインを選択するために利用できることが見いだされた。
有利には、小さな非相互作用性のDNAスタッファー断片(stuffer fragment)がTus DNA結合ドメインとT7プロモーターとの間に挿入される。これにより、dAbのようなポリペプチドドメインを、得られたPCR産物のサイズにより、迅速に同定することが可能となる。
Tus DNA結合ドメイン
本明細書において使用する場合、「Tus DNA結合ドメイン」という用語は、Tus DNA結合タンパク質がTerオペレーターのようなDNA結合部位に結合するために必要なTus DNA結合タンパク質のドメインを意味する。Tus DNA結合タンパク質とDNA結合部位との結合は、エマルジョン破壊とそれに続くアフィニティー捕捉段階全体を通して、好ましくは少なくとも約1時間、維持されるであろう。
Tusタンパク質(大腸菌の複製終結部位と結合するタンパク質)は、大腸菌におけるDNAの複製を終結させるものであり、大きなβシート領域により連結されたアミノ末端およびカルボキシ末端の2つのα-へリックス束からなり、モノマーとしてDNAに結合する。TusファミリーのDNA結合領域は、アミノ末端ドメインとカルボキシ末端ドメインを連結する4つの逆平行βストランドから構成され、該タンパク質内に大きな中央の裂け目をつくる。DNAは、ドメイン間のβストランドが主溝中の塩基と接触して、この裂け目に結合する。DNA主鎖との接触はこのタンパク質全体によりもたらされる。βストランドは、溝中の塩基の縁に対してほぼ垂直に位置づけられ、シートの両面上の側鎖を露出しているアミノ酸からの接触が可能となる(Kamadaら (1996) Nature 383, p598-603)。
tus遺伝子はTerB部位のすぐ隣に位置する。Tus DNA結合タンパク質は、309個のアミノ酸(35.8キロダルトン)からなり、他のDNA結合タンパク質のへリックス-ターン-ヘリックス、亜鉛フィンガー、またはロイシンジッパーのモチーフとは明らかな相同性をもたない。Tusが結合すると、DnaJ3へリカーゼによるDNAの巻き戻しが妨げられることにより、Ter部位の2番目の塩基対でDNA複製が中止される。Tus DNA結合タンパク質の平衡結合定数(KD)は0.34 pMである。Tus-DNA複合体の半減期は約550分であり、解離速度定数は2.1〜7.7×10-5 s-1、結合速度定数は1.0〜1.4×10-8 M-1 s-1である(Gottliebら (1992) J. Biol. Chem. 267, p7434-7443、およびSkokotasら (1995) J Biol Chem. 29;270(52):30941-8)。
好ましくは、Tus DNA結合ドメインは、配列番号1または配列番号2に示される配列(J. Biol. Chem. (1989) 264 (35), 21031-21037に記載される)、あるいはその変異体、相同体、断片または誘導体を含むか、またはそのような配列からなる。
Tus DNA結合ドメインの配列は、結合の程度を調節するために改変(例えば、突然変異)させることができる。
従って、変異型のTus DNA結合ドメインも意図されるが、ただし、そのような変異体はTus DNA結合ドメイン活性を有し、好ましくは該変異型配列が誘導されたTus DNA結合ドメインと少なくとも同程度に生物学的に活性であることを条件とする。好ましくは、Tus DNA結合ドメインの配列を改変する場合には、その結合の程度を増大させる。
本発明のヌクレオチド配列には1つまたは複数のTus DNA結合ドメイン(例えば1、2または3以上のTus DNA結合ドメイン)が含まれ得る。好ましくは、本発明のヌクレオチド配列には1つのTus DNA結合ドメインが含まれる。
複数のTus DNA結合ドメインは、タンデムコピー数のTus DNA結合ドメインコード配列を、Tus DNA結合ドメインを接合する配列をコードする介在DNAと共に含む組換え遺伝子を設計することにより得ることができる。好ましくは、この配列は、1つのTus DNA結合ドメインモノマーのC末端を隣のTus DNA結合ドメインのN末端に接合するものである。
Tus DNA結合ドメインはリンカーによって接合されうる。
Tus DNA結合ドメインはT7プロモーター等のプロモーターに隣接していてもよい。
新規なDNA結合タンパク質を取得する方法は当技術分野ですでに開示されている。例えば、二本鎖DNAの所定のDNA配列と選択的に結合する新規DNA結合タンパク質がUS 5,096,815に開示されている。望ましい配列特異的なDNA結合特性を有する新規タンパク質を特定する変異型遺伝子は、DNA結合特性を有しないまたはDNA結合特性が望ましくないタンパク質を特定する密接に関連した遺伝子から分離される。
当業者は、そのような方法を利用して、新規Tusリプレッサー等の新規Tus DNA結合タンパク質を設計し得ることを理解するであろう。有利には、野生型または変異型DNA結合部位のような特定のDNA配列モチーフに結合する新規Tus DNA結合タンパク質が本発明では使用され得る。
Tus DNA結合ドメインの活性は、例えばGottliebら (1992) J. Biol. Chem. 267, p7434-7443に記載の方法のような、当技術分野の様々な方法により測定しうる。簡潔にいえば、一本鎖DNAへの結合についての分析は、ポリアクリルアミドゲルシフトアッセイで評価される。各鎖をT4 DNAキナーゼおよび[y-32P]ATPにより37℃で30分間標識する。次に、過剰なATPをサイズ排除カラムクロマトグラフィーで除去する。そして、標識したDNA 20 fmolをTusタンパク質とKG結合緩衝液中で最終容量20μlにて混合する。サンプルを30分間25℃でインキュベートし、この溶液に0.125 M EDTA、50%グリセロール、0.1%キシレンシアノール、および0.1%ブロモフェノールブルーを含む染色液 5μlを加える。サンプルを速やかにTE緩衝液(20 mM Tris-C1、pH 7.5、1 mM EDTA)を含む5%ポリアクリルアミドゲル上に移し、緩衝液を継続して循環させながら、15 V/cmで1.5時間電気泳動する。その後、ゲルを乾燥させ、フィルムへ感光させた。
DNA結合部位
「DNA結合部位」という用語は、Tus DNA-結合ドメインが結合することができるDNA配列を意味する。
好ましくは、DNA結合ドメインは高親和性で特異的に結合することができる。
好ましくは、「DNA結合部位」という用語は、Tus DNA-結合ドメインが結合するTerオペレーターを意味する。
様々なTerオペレーターが当技術分野では報告されており、例えば、TerA、TerB (Hillら (1987) PNAS 84, p1754-1758、deMassyら (1987) PNAS 84, 1759-1763)、TerC、TerD (Hidakaら (1988) Cell 55 p467-475、Francoisら (1989) Mol. Mirobiol. 3, 995-1002)、TerE(Hidakaら,(1991) J. Bacteriol. 173 p391-393)およびTerFが同定されている。このTer部位は23塩基対の配列からなり、この配列は他のDNA結合部位で共通して認められる2回転対称性がない。Ter部位は、他のレプリコン、例えばプラスミドR6KおよびRlOO (KolterおよびHelinski (1978) J. Mol. Biol. 124 p425-441、Bastiaら (1981) Gene 14 p81-89、HoriuchiおよびHidaka (1988) Cell 54, p515-523、Hillら (1988b) Cell 55 459-466)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)(Roeckleinら (1991) Res. Microbiol. 142, p169-176)、およびバチルス・スチリス(Bacillus shtilis)(WeissおよびWake (1984) J. Mol. Biol. 179, 745-750、Lewisら (1990) J. Mol. Biol. 214, p72-84)でも同定されている。
好ましくは、DNA結合部位はTerBオペレーターである。
好ましくは、DNA結合部位(1つまたは複数)は配列番号3もしくは配列番号4で示される配列、またはその変異体、相同体、断片もしくは誘導体を含む。
好ましくは、DNA結合部位(1つまたは複数)は配列番号3もしくは配列番号4で示される配列、またはその変異体、相同体、断片もしくは誘導体からなる。
一般に、Coskun-AriおよびHill TM (J Biol Chem. (1997) 17 272(42):26448-56)により記載されている、次の変異:
(a/n)gn(a/g)(t/n)gttgtaa(c/t)(t/g)a(a/n)(ここでn=a、t、cまたはg)
を含むヌクレオチド配列も作用するであろう。
ヌクレオチド配列は1、2または3個以上のDNA結合部位を含み得る。
好ましい実施形態において、ヌクレオチド配列は1、2または3個のDNA結合部位を含む。
3個のオペレーターを使用する場合、タンパク質-DNA複合体は5時間を超えて安定している。
さらに好ましい実施形態において、ヌクレオチド配列は1個のDNA結合部位を含む。したがって、この実施形態では、Tus DNA結合ドメインの結合は単量体性であり、単一のDNA結合部位に結合する。これは、単一のTus DNA結合ドメインの結合および単一のポリペプチドの選択を確実にする。このフォーマットの、例えばscArcと比べて有利な点は、この系が単量体性であることである。一方、scArc系は少なくとも二量体性であり、複数のオペレーターを使用する場合は、四量体性などである。単量体での提示が有利である。なぜならば、例えば、多くの抗原は多量体性であるので、scArcまたはファージを利用するような多量体様式でのdAbの提示は、様々な結合活性効果へと導き、そのため高親和性の結合体の単離を覆い隠してしまうからである。
通常、オペレーター部位間の距離は約19塩基対であろう。これは、DNAヘリックスの約1.5ヘリカルターンに相当する。
DNA結合部位(1つまたは複数)の配列は、Tus DNA結合ドメイン(1つまたは複数)への結合度を調節するために改変(例えば、突然変異)することができる。好ましくは、DNA結合部位の配列を改変する場合には、Tus DNA結合ドメインへの結合度を、未改変DNA結合部位と比べて、実質的に同一とするか、または増大させる。
タグ配列
本明細書において使用される場合、「タグ配列」という用語は、タンパク質の精製および/または単離を容易にするために付加される1以上の追加の配列を意味する。
タグ配列の例としては、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、6×His、GAL4 (DNA結合および/または転写活性化ドメイン)、β-ガラクトシダーゼ、C-mycモチーフ、抗FLAGタグまたはHAタグが挙げられる。融合タンパク質配列の分離を可能にするように、タグ配列と目的のタンパク質配列との間にタンパク質分解切断部位を導入することも好都合でありうる。
好ましくは、融合タンパク質は、そのタンパク質配列の活性を妨げないものとする。
有利には、免疫学的方法で容易に検出および精製することができるエピトープタグが用いられる。組換えDNA技術によりユニークなタグ配列をヌクレオチド配列へ付加させて、該タグペプチドに特異的な抗体により認識可能な融合タンパク質を形成させる。エピトープタグを付加することの大きな利点は、付加されるペプチド配列のサイズが小さく、通常3〜12アミノ酸であり、一般にタグ付けされたタンパク質の生物学的機能に何ら影響を及ぼさないことである。さらに、ほとんどの生化学的適用では、エピトープタグを使用すれば、研究対象の特定のタンパク質に対する抗体を作製する必要がなくなる。
好ましいタグ配列はHAタグであり、該タグはヒトインフルエンザウイルス血球凝集素タンパク質中に存在する9アミノ酸のペプチド配列(YPYDVPDYA)である。
HAタグは、本明細書に記載のとおり抗HA抗体によって認識される。HAタグは、タンパク質のアミノ末端、カルボキシ末端、または標的タンパク質配列中の様々な部位にうまく融合されてきた。さらに、HAでタグ付けされたタンパク質は、細菌、酵母、昆虫細胞、および哺乳類細胞中で発現させて、検出することができる。
好ましくは、タグ配列はヌクレオチド配列の3’末端に位置する。
任意で、ヌクレオチド配列の3’末端とタグ配列の間にリンカーを配置してもよい。
リンカー
好ましくは、リンカーはポリペプチドドメイン(1つまたは複数)とTus DNA結合ドメイン(1つまたは複数)を離隔する。
2以上のTus DNA結合ドメインが構築物に含まれる場合には、リンカーがTus DNA結合ドメイン同士を離隔してもよい。
リンカーの配列は、一本鎖抗原結合タンパク質の構築に用いるものに基づくことができる(Methods Enzymol. (1991) 203, 36-89)。通常、該配列は柔軟性および溶解性を最大となし、かつクローニングおよび遺伝子構築のための制限部位の導入を可能にするように選択されるであろう。そのような配列は、Biochemistry (1996) 35, 109-116に記載の方法を使用して設計することができ、そこに示された配列も含み得る。
リンカーは、任意のアミノ酸を含み得る。
リンカーは、配列(GnS)nを含むもの、または該配列から成るものであり得る。リンカーは、配列(Gn1S)n2を含むもの、または該配列から成るものであり、ここでn1は1〜3で、n2は1または2であり、好ましくは、n1は3で、n2は2である。リンカーは、配列(Gn1S)n2を含むもの、または該配列から成るものであり、ここでn1は1〜3で、n2は1〜7であり、好ましくは、n1は3で、n2は7である。
リンカーは配列(KEAn1)n2を含んでいてもよく、ここでn1は1〜3で、n2は1〜8であり、好ましくは、n1は3で、n2は8である。好ましくは、このリンカーは配列番号8または配列番号9に示した配列を含むか、または該配列から成る(PNAS (1987) 84, 8898-8902、Protein Engineering (2001), 14, 529-532)。
リンカーは、配列(AnGS)を含むもの、または該配列から成るものであってよく、ここでnは1〜3、好ましくは、nは3である。
当業者であれば、例えば、Biochemistry (1996) 35, 109-116に記載の方法を利用して他の好適なリンカー配列を設計し得ることを理解するであろう。
ヌクレオチド配列
本発明のヌクレオチド配列には、任意の核酸(例えば、DNA、RNAまたはその天然もしくは人工の任意の類縁体)が含まれ得る。
DNAやRNAは、ゲノム由来もしくは合成されたもの、または組換え体由来のもの(例えばcDNA)、またはそれらの組合せであり得る。
ヌクレオチド配列は、センス鎖またはアンチセンス鎖またはそれらの組合せであろうとなかろうと、二本鎖または一本鎖であり得る。ヌクレオチド配列は遺伝子であり得る。
好ましくは、ヌクレオチド配列は、DNA分子、RNA分子、もっぱら合成塩基からなるかまたは天然塩基と合成塩基の混合物からなる部分的もしくは全体的に人工的な核酸分子、ポリペプチドに連結された前記分子のいずれか1つ、および任意の他の分子群または構築物に連結された前記分子のいずれか1つからなる群から選択される。
1つまたは複数のTus DNA結合ドメイン、1つまたは複数のDNA結合部位、および少なくとも1つのポリペプチドドメイン、ならびに任意でタグおよび/またはリンカー配列、は機能的に連結される。
本明細書において使用される場合、「機能的に連結」という用語は、ヌクレオチド配列を発現産物(例えば、遺伝子産物)として発現させる関係で、該ヌクレオチド配列が互いに結合(例えば、連結)されている並置を意味する。
このヌクレオチド配列は、遺伝子産物の効率的な発現に必要とされるような、好適な調節配列、例えばプロモーター、エンハンサー、翻訳開始配列などを含むことができる。
ヌクレオチド配列はさらに、タンパク質、化学物質および化学基、固相支持体などを含む1以上の分子または構造体に、共有結合もしくは非共有結合で連結させることができる。
発現
本明細書において使用される場合、「発現」は、ヌクレオチド配列がその遺伝子産物に変換されることを意味するために、最も広い意味で使用される。
したがって、核酸がDNAである場合、発現はDNAのRNAへの転写を意味し、このRNAがタンパク質をコードする場合、発現は該RNAのタンパク質への翻訳も意味し得る。核酸がRNAである場合、発現はこのRNAのさらなるRNAコピーへの複製、RNAからDNAへの逆転写、および任意でこのDNAのさらなるRNA分子への転写、ならびに任意で、産生されたいずれかのRNA種のタンパク質への翻訳を意味し得る。
したがって、好ましくは、発現は転写、逆転写、複製および翻訳からなる群から選択される1以上のプロセスにより行われる。
こうして、ヌクレオチド配列の発現は、好ましくは本発明のマイクロカプセル内に含まれる、DNA、RNAもしくはタンパク質、あるいは非天然の塩基もしくはアミノ酸を含む核酸またはタンパク質(遺伝子産物)に向けられ、遺伝子産物がヌクレオチド配列と同一のマイクロカプセル内に保持されるようにする。
マイクロカプセル
本明細書において使用される場合、「マイクロカプセル」という用語は区画(コンパートメント)を意味し、該区画を定める境界が、ヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド(例えば、抗体)ドメインの特異性により該ヌクレオチド配列の選別を可能にする、本明細書に記載の分子メカニズムの構成成分の交換を制限する。
マイクロカプセルは、酵母、真菌または細菌細胞などの細胞であり得る。該細胞が細菌細胞である場合、それはスフェロプラストの形態であってよい。スフェロプラストは、当技術分野の様々な方法を用いて調製することができる。一例として、それらはペレット化した細胞をスクロースおよびリゾチームを含む緩衝液中に再懸濁させることにより調製される。
好ましくは、マイクロカプセルは人工物である。
好ましくは、本発明方法で使用されるマイクロカプセルは、非常に多くの数を製造することができ、それによりポリペプチドドメイン(例えば抗体ドメイン)のレパートリーをコードするヌクレオチド配列のライブラリーを区画化できるものである。
本発明のマイクロカプセルは、それらをうまく働かせるためには、適切な物理的性質をもたなければならない。
第1に、ヌクレオチド配列および遺伝子産物がマイクロカプセル間を拡散できないことを保証するために、各マイクロカプセルの内容物を周囲のマイクロカプセルの内容物から孤立させ、結果として、実験の時間スケールにわたりヌクレオチド配列および遺伝子産物がマイクロカプセル間でまったくまたはほとんど交換されないようにしなければならない。
第2に、マイクロカプセル1個あたり、ごく限られた数のヌクレオチド配列が存在するようにしなければならない。これにより、個々のヌクレオチド配列が他のヌクレオチド配列から孤立することが保証される。従って、ヌクレオチド配列と遺伝子産物との結びつきは、非常に特異的なものになるであろう。マイクロカプセル1個あたりのヌクレオチド配列の数を平均で1個以下にし、核酸とコードされた遺伝子産物の活性との連関をできる限り密にすると、濃縮倍率が最大になる。なぜなら、個々のヌクレオチド配列の遺伝子産物が、すべての他のヌクレオチド配列の産物から孤立すると考えられるからである。しかしながら、マイクロカプセル1個あたりヌクレオチド配列の数を平均で1個以下にするという理論上の最適条件を用いない場合でさえも、具体的には、マイクロカプセル1個あたり5、10、50、100、もしくは1000個、またはそれ以上のヌクレオチド配列の割合であっても、大きなライブラリーの選別に有益なこともある。異なるヌクレオチド配列分布を用いて更新されるカプセル化を含む後続ラウンドの選別により、ヌクレオチド配列のよりストリンジェントな選別が可能になるであろう。好ましくは、マイクロカプセル1個あたりのヌクレオチド配列の数は1個以下である。
第3に、マイクロカプセルの形成および組成は、ヌクレオチド配列の発現機構の機能および遺伝子産物の活性を阻害するものであってはならない。
従って、使用するマイクロカプセル化系はいずれも、これらの3つの要件を満足するものでなければならない。当業者には自明であろうが、適切な系(1つまたは複数)は、本発明の用途ごとに、その精確な必要事項に依存して変化する可能性がある。
多種多様なマイクロカプセル化法が利用可能であり(Benita, 1996を参照されたい)、これらを用いて、本発明に従って使用されるマイクロカプセルを作製することが可能である。実際には、200を超えるマイクロカプセル化法が文献中に記載されている(Finch, 1993)。
これらの具体例としては、脂質ベシクル(リポソーム)(New, 1990)および非イオン界面活性剤ベシクル(van Halら., 1996)のように膜で覆われた水性ベシクルが挙げられる。これらは、非共有結合でアセンブリーされた分子の単一または複数の二重層の閉じた膜のカプセルであり、各二重層は、水性区画によりその隣接二重層と分離している。リポソームの場合、膜は脂質分子から構成されており、これらの分子は、通常、リン脂質であるが、コレステロールのようなステロールを膜中に導入することも可能である(New, 1990)。RNAおよびDNA重合などの様々な酵素触媒生化学反応をリポソーム内で行うことができる(Chakrabartiら, 1994、Oberholzerら、1995a、Oberholzerら, 1995b、Waldeら, 1994、WichおよびLuisi, 1996)。
膜で覆われたベシクル系の場合、水性相の多くはベシクルの外側にあるため、区画化されていない。反応をマイクロカプセルに制限するためには、この連続水性相を取り去るかまたはその中の生物学的系を(例えば、DNaseまたはRNaseを用いて核酸を消化させることにより)阻害もしくは破壊しなければならない(Luisiら, 1987)。
酵素触媒生化学反応はまた、様々な他の方法により生成させたマイクロカプセル内でも行われてきた。多くの酵素は、AOT-イソオクタン-水の系(MengerおよびYamada, 1979)のような逆ミセル溶液中で活性である(BruおよびWalde, 1991、BruおよびWalde, 1993、Creaghら, 1993、Harberら, 1993、Kumarら, 1989、LuisiおよびB, 1987、MaoおよびWalde, 1991、Maoら, 1992、Perezら, 1992、Waldeら, 1994、Waldeら, 1993、Waldeら, 1988)。
マイクロカプセルは、界面重合および界面複合体形成により生成させることもできる(Whateley, 1996)。この種のマイクロカプセルは、硬質で非透過性の膜または半透過性の膜であることができる。セルロースニトレート膜、ポリアミド膜および脂質‐ポリアミド膜を境界とする半透過性のマイクロカプセルはいずれも、多酵素系を含む生化学反応を支持することができる(Chang, 1987、Chang, 1992、Lim, 1984)。非常にマイルドな条件下で形成することができるアルギネート/ポリリシンマイクロカプセル(LimおよびSun, 1980)も、非常に生体適合性が高いことが判明しており、例えば、生きた細胞および組織をカプセル化する有効な方法を提供してきた(Chang, 1992、Sunら, 1992)。
エマルジョンのようにコロイド系中の水性環境の相分割に基づく非膜性マイクロカプセル系を使用してもよい。
好ましくは、本発明のマイクロカプセルは、エマルジョン、すなわち、顕微鏡的サイズまたはコロイドサイズの液滴として一方の相を他方の相中に分散させてなる2つの不混和性液相の不均一系、から形成される(Becher, 1957、Sherman, 1968、Lissant, 1974、Lissant, 1984)。
エマルジョンは、不混和性液体の任意の好適な組合せから調製することが可能である。好ましくは、エマルジョンには、細かく分割された液滴の形態で存在する相(分散相、内相、または不連続相)としての水(生化学成分を含む)と、これらの液滴を懸濁させるマトリックス(非分散相、連続相、または外相)としての疎水性の不混和性液体(油)とが含まれる。このようなエマルジョンは、「油中水型」(W/O型)と呼ばれる。これには、生化学成分を含有する水性相全体が、離散した液滴中(内相)に区画化されるという利点がある。疎水性の油である外相には、一般に、生化学成分は含まれず、従って、不活性である。
1種以上の表面活性剤(界面活性剤)を添加することにより、エマルジョンを安定化させてもよい。こうした界面活性剤は、乳化剤と呼ばれ、水/油の界面に作用して相の分離を防止する(または、少なくとも遅らせる)。多くの油および多くの界面活性剤を、油中水型エマルジョンの生成に利用できる。最近まとめられたリストには、16,000種を超える界面活性剤が記載されており、そのうちの多くが乳化剤として使用される(AshおよびAsh, 1993)。好適な油としては、軽質ホワイト鉱油、ならびにソルビタンモノオレエート(Span 80(商標);ICI)およびt-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Triton X-100, Sigma)のような非イオン界面活性剤(Schick, 1966)が挙げられる。
また、アニオン界面活性剤の使用が有益なこともある。好適な界面活性剤としては、コール酸ナトリウムおよびタウロコール酸ナトリウムが挙げられる。特に好ましいのは、デオキシコール酸ナトリウムであり、好ましくは、0.5%w/v以下の濃度で使用される。このような界面活性剤を導入することにより、ヌクレオチド配列の発現および/または遺伝子産物の活性を向上させることができる場合もある。乳化されていない反応混合物に数種のアニオン界面活性剤を添加すると、翻訳が完全に阻害される。しかしながら、乳化中に、界面活性剤は水相から界面に移行し、活性は回復する。乳化される混合物にアニオン界面活性剤を添加することにより、区画化の後でのみ反応が進行するようにできる。
エマルジョンを形成するためには、一般に、機械的エネルギーを相に加えて一体化しなければならない。これを行う方法はいろいろ存在し、種々の機械的装置が利用される。具体的には、スターラー(磁気攪拌棒、プロペラおよびタービンスターラー、パドル装置、並びに泡立て器など)、ホモジナイザー(回転子‐固定子ホモジナイザー、高圧バルブホモジナイザー、およびジェットホモジナイザーなど)、コロイドミル、超音波装置および「膜乳化」装置が挙げられる(Becher, 1957、Dickinson, 1994)。
油中水型エマルジョン中に形成される水性マイクロカプセルは、一般に、安定であり、マイクロカプセル間でのヌクレオチド配列または遺伝子産物の交換は、たとえあったとしてもごくわすかである。更に、本発明者らは、エマルジョンマイクロカプセル中でいくつかの生化学反応が進行することを実証した。このほか、複雑な生化学的プロセス、特に、遺伝子転写および翻訳もまた、エマルジョンマイクロカプセル中で有効に機能する。数千リットルの工業規模までの全範囲にわたり様々な体積でエマルジョンを形成する技術が存在する(Becher, 1957、Sherman, 1968、Lissant, 1974、Lissant, 1984)。
好ましいマイクロカプセルサイズは、本発明に従って実施される任意の個々の選択プロセスの詳細な要件に依存して変化するであろう。いずれの場合にも、遺伝子産物の効率的な発現および反応性を達成するために、遺伝子ライブラリーサイズと、必要な濃縮度と、個々のマイクロカプセル中の成分の必要濃度との間に、最適バランスが存在するであろう。
発現のプロセスは、本発明により提供される個々のマイクロカプセル内で行われなければならない。in vitroでの転写および共役した転写‐翻訳はいずれも、サブナノモルのDNA濃度では効率が低くなる。各マイクロカプセル中にごく限られた数のDNA分子を存在させる必要があるため、これによって、利用可能なマイクロカプセルサイズの実用上の上限が決まる。好ましくは、マイクロカプセルの平均体積は、5.2×10-16 m3未満(直径10 μm未満の球状マイクロカプセルに相当する)、より好ましくは6.5×10-17 m3未満(5 μm)、更に好ましくは約4.2×10-18 m3未満(2μm)、理想的には約9×10-18 m3未満(2.6μm)である。
マイクロカプセル中の有効なDNAまたはRNA濃度は、当業者に周知の種々の方法により人為的に増大させることが可能である。こうした方法としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)のような体積排除薬剤を添加する方法、および様々な遺伝子増幅法、具体的には、E. coliなどの細菌(Roberts, 1969、BlattnerおよびDahlberg, 1972、Robertsら, 1975、Rosenbergら, 1975)、真核生物など(Weilら, 1979、Manleyら, 1983)、およびT7、T3、SP6などのバクテリオファージ(Meltonら, 1984)から得られるようなRNAポリメラーゼを用いた転写;ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Saikiら, 1988);Qβレプリカーゼ増幅(Mieleら, 1983、Cahillら, 1991; ChetverinおよびSpirin, 1995、Katanaevら, 1995);リガーゼ連鎖反応(LCR)(Landegrenら, 1988、Barany, 1991);ならびに自己持続性配列複製系(Fahyら, 1991)および鎖置換増幅(Walkerら, 1992)が挙げられる。エマルジョンおよびin vitroでの転写または共役した転写‐翻訳系が熱安定性を有する場合には、PCRおよびLCRのような熱サイクルを必要とする遺伝子増幅法でさえも使用可能である(例えば、共役した転写‐翻訳系は、Thermus aquaticusのような熱安定生物から作製可能である)。
有効局所核酸濃度を増大させることにより、より大きなマイクロカプセルを効果的に使用することができる。この場合、マイクロカプセル体積の好ましい実用上の上限は、約5.2×10-16 m3(直径10μmの球に相当する)である。
マイクロカプセルのサイズは、マイクロカプセル内で行う必要のある生化学反応の必要成分をすべて収容するのに十分な程度の大きさでなければならない。例えば、in vitroでの転写反応および共役した転写‐翻訳反応では、いずれも、約2 mMの全ヌクレオシド三リン酸濃度が必要である。
例えば、遺伝子を長さ500塩基の単一短鎖RNA分子に転写するためには、マイクロカプセル1個あたり少なくとも500個のヌクレオシド三リン酸分子が必要であろう(8.3×10-22 モル)。2 mM溶液を作製するためには、この数の分子が、体積4.17×10-19リットル(4.17×10-22 m3、これが球であれば直径は93 nmである)のマイクロカプセル内に包含されなければならない。
このほか、特に、転写を含む反応の場合には、転写を行うのに必要なリボソーム自体の直径が約20 nmであることに注目する必要がある。従って、マイクロカプセルの好ましい下限は、直径で約0.1μm(100 nm)である。
従って、マイクロカプセルの体積は、好ましくは、5.2×10-22 m3〜5.2×10-16 m3(球の直径0.1μm〜10μmに相当する)のオーダーであり、より好ましくは5.2×10-19 m3〜6.5×10-17 m3(1μm〜5μm)である。約2.6μmの球の直径が最も有利である。
区画の好ましい寸法(平均直径2.6μmの液滴)が、細菌の寸法(例えば、Escherichiaは1.1〜1.5×2.0〜6.0μmの桿菌であり、Azotobacterは、直径1.5〜2.0μmの卵形細胞である)とかなり類似しているのは偶然の一致ではない。その最も簡単な形式において、ダーウィン的進化は、「1遺伝子型1表現型」機構に基づいている。単一区画化遺伝子すなわちゲノムの濃度は、直径2μmの区画中の0.4 nMから直径5μmの区画中の25 pMまで低下する。原核生物の転写/翻訳系は、直径約1〜2μmの区画中で機能するまでに進化した。この場合、単一遺伝子の濃度は、ナノモル程度である。直径2.6μmの区画の場合、単一遺伝子の濃度は0.2 nMである。この遺伝子濃度は、効率的な転写を行うのに十分な程度に高い。このような体積中に区画化すると、遺伝子産物の単一分子だけが形成される場合でさえも、約0.2 nMの量で存在することが保証される。この濃度は、遺伝子産物がヌクレオチド配列自体を改変する活性をもたなければならない場合に重要となる。従って、マイクロカプセルの体積は、ヌクレオチド配列の転写および翻訳に対する要件だけでなく、本発明の方法において遺伝子産物に要求される改変活性についても考慮して選択しなければならない。
エマルジョンマイクロカプセルのサイズは、選択系の要件に応じてエマルジョンを形成すべく、使用する乳化条件を調節することにより、簡単に変化させることが可能である。最終的な限定因子はマイクロカプセルのサイズであるため、従って、単位体積あたりに存在可能なマイクロカプセルの数であるため、マイクロカプセルのサイズを大きくすればする程、所定のヌクレオチド配列ライブラリーをカプセル化するのに必要な体積も増大する。
マイクロカプセルのサイズは、転写/翻訳系の要件だけでなく、ヌクレオチド配列に対して使用される選択系の要件をも考慮して選択される。この場合、化学的改変系のような選択系の成分は、転写/翻訳には最適ではない反応体積および/または試薬濃度を必要とすることがある。本明細書中に記載されているように、このような要件は、二次的な再カプセル化ステップによって満たすことが可能であり、更に、転写/翻訳および選択を全体として最大化すべく、マイクロカプセルのサイズを選択することによって満たすことも可能である。例えば、本明細書中に記載されているように、最適なマイクロカプセルの体積および試薬の濃度を経験的に決定することが好ましい。
好ましくは、PCRを利用してライブラリーを構築し、突然変異を導入し、さらに選択した遺伝子エレメントを増幅させる。
単離/選別/選択
本明細書中では、「単離」、「選別」、および「選択」という用語、ならびにそれらの変形を使用する。
本発明に関して、「単離」とは、様々な特異性を有するポリペプチドドメインの集合体から、所望の特異性を有するポリペプチドドメインを分離するプロセスを意味する。
好ましい実施形態では、単離とは、ポリペプチドドメインを本質的に均質なレベルまで精製することを意味する。
ポリペプチドドメインの「選別」とは、所望のポリペプチドドメインを望ましからぬポリペプチドドメインから優先的に単離するプロセスを意味する。所望のポリペプチドドメインの単離に関連する場合には、「単離」および「選別」という用語は、等価である。本発明の方法を用いると、所望のヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列のプール(ライブラリーまたはレパートリー)から、所望のヌクレオチド配列を選別することができる。
「選択」は、特定の性質に対応するポリペプチドドメインを単離するプロセス(選別プロセスを含む)を指す場合に使用する。
非常に好ましい用途において、本発明の方法は、ポリペプチド(例えば、抗体)ドメインヌクレオチド配列のライブラリーの選別に有用である。それに応じて、本発明は、ポリペプチドドメイン(例えば、抗体ドメイン)のレパートリーをコードするヌクレオチド配列ライブラリーからポリペプチドドメインヌクレオチド配列を単離する方法を提供する。本明細書中では、当技術分野で慣用される意味に従って、「ライブラリー」、「レパートリー」および「プール」という用語を使用する。例えば、ヌクレオチド配列ライブラリーは、遺伝子産物のレパートリーをコードする。一般に、ライブラリーは、ヌクレオチド配列のプールから作成され、選別を容易にする性質を備えている。
in vitro進化方法
したがって、本発明のさらなる態様では、次のステップ:(a)本発明のライブラリーから1以上のポリペチドドメインを選択すること;(b)遺伝子産物のレパートリーをコードするヌクレオチド配列のさらなるライブラリーを作製するために、選択したポリペプチドドメイン(1つまたは複数)を突然変異させること;および(c)特異性を増強したポリペプチドドメインを取得するために、ステップ(a)および(b)を反復繰り返すこと、を含むin vitro進化方法が提供される。
突然変異は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等の当業者が精通している様々な方法を用いてヌクレオチド配列に導入することができる。選択ラウンドにおいてDNA配列の増幅に使用されるPCRは、例えば、点突然変異、欠失、挿入、および組換えを導入することが知られている。
好ましい態様では、本発明は臨床上または産業上有用なポリペプチドドメインの同定および単離を可能にする。本発明のさらなる態様では、本発明方法により単離した、取得したまたは取得可能なポリペプチドドメインが提供される。
好適なカプセル化条件を選択することが望ましい。スクリーニングするライブラリーの複雑さおよびサイズにもよるが、マイクロカプセル1個あたり1個または1個未満のヌクレオチド配列をカプセル化するように、カプセル化手順を設定することが有益であると考えられる。これにより、最大の分離能が得られるであろう。しかしながら、ライブラリーがより大きいおよび/またはより複雑である場合、これが実施不可能なこともある。この場合には、数個のヌクレオチド配列を一緒にカプセル化し、本発明の方法を繰り返し適用することによって、所望の活性の選別を達成することが好ましいこともある。カプセル化手順を組合せて使用することにより、所望の濃縮が得られることもある。
理論的研究から、作製されるヌクレオチド配列変異体の数が多くなるほど、所望の性質を有する分子が形成される可能性は高くなることが示唆される(このことが抗体のレパートリーにいかに適用されるかに関する解説については、PerelsonおよびOster, 1979を参照されたい)。または、最近、より大きいファージ‐抗体レパートリーを用いる方が、より小さいレパートリーを用いるよりも、確かに、より良好な結合親和性を有する抗体がより多く得られることが実際に確認された(Griffithsら, 1994)。微量の変異体を発生させ、これを選択できるようにするためには、大きなライブラリーサイズであることが望ましい。この場合、最適化された小さなマイクロカプセルを使用することが有益である。
上記のヌクレオチド配列のほかに、人工マイクロカプセルには、選別プロセスを行うのに必要な更なる成分が含まれるであろう。この系の他の成分としては、例えば、ヌクレオチド配列の転写および/または翻訳を行うのに必要な成分が挙げられるであろう。これらは、特定の系の要件に合わせて、次の物質:すなわち、好適な緩衝剤、すべての必要な成分を含有するin vitroでの転写/複製系および/またはin vitroでの翻訳系、酵素および補因子、RNAポリメラーゼ、ヌクレオチド、核酸(天然または合成)、転移RNA、リボソームおよびアミノ酸から選択され、改変遺伝子産物の選択を可能にする。
好適な緩衝剤は、その中で生体系の所望の成分のすべてが活性状態で存在する緩衝剤であり、従って、それぞれ特定の反応系の要件に依存するであろう。生物学的および/または化学的反応に好適な緩衝剤は、当技術分野で公知であり、種々の実験用テキスト(例えば、Sambrookら, 1989)に、処方が記されている。
in vitro翻訳系には、通常、細胞抽出物、代表的には、細菌(Zubay, 1973、Zubay, 1980、Lesleyら, 1991、Lesleyら, 1995)、ウサギ網状赤血球(PelhamおよびJackson, 1976)、または小麦胚芽(Andersonら, 1983)に由来する抽出物、が含まれるであろう。多くの好適な系は、共役した転写/翻訳の可能な系を含めて、(例えば、Promegaから)市販されている(細菌系ならびに網状赤血球および小麦胚芽TNT(商標)抽出物系はいずれもPromegaから市販されている)。使用するアミノ酸の混合物には、ライブラリー中で生成するタンパク質の数および種類をできるだけ増大させるように、必要であれば合成のアミノ酸が含まれていてもよい。これは、人為的なアミノ酸をtRNAに組み込み、これらのtRNAを用いて、選択すべきタンパク質の翻訳をin vitroで行うことによって、達成することができる(Ellmanら, 1991、Benner, 1994、Mendelら, 1995)。
好ましい実施形態において、in vitro転写反応は室温で1時間以内に実施される。
選択の各ラウンドの後、対象の分子をコードするヌクレオチド配列のプールの濃縮物を、非区画化in vitro転写/複製反応または共役した転写‐翻訳反応により、アッセイすることができる。選択されたプールを好適なプラスミドベクター中にクローン化し、個々のクローンからRNAまたは組換えタンパク質を産生させ、更なる精製およびアッセイに供する。
本発明は更に、本発明の方法により遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を選別した後で、ポリペプチドドメインを産生する方法に関する。簡単に述べれば、ヌクレオチド配列自体を従来の手段で直接発現させてポリペプチドドメインを産生させてもよい。しかしながら、当業者には自明であろうが、代替法を利用してもよい。例えば、ポリペプチドドメイン中に組み込まれた遺伝情報を好適な発現ベクター中に導入し、そこから発現させてもよい。
本発明はまた、本発明により同定されたポリペプチドドメインと相互作用することのできる化合物を同定するための、従来のスクリーニング法の使用について記載する。好ましい実施形態において、ポリペプチドドメインをコードする核酸をベクター中に組み込み、更に、好適な宿主細胞中に導入することにより、ポリペプチドドメインを発現する形質転換された細胞系を産生する。次に、ポリペプチドドメインの機能に影響を及ぼすことのできる薬剤の作用(1種または複数種)の再現性のある定性的および/または定量的分析を行うために、得られた細胞系を産生することができる。この場合、ポリペプチドドメインの機能を調節する化合物、特に、低分子量の化合物を同定するために、ポリペプチドドメインを発現する細胞を利用することが可能である。従って、ポリペプチドドメインを発現する宿主細胞は、薬剤のスクリーニングに有用であり、ポリペプチドドメインの活性を調節する化合物を同定するための方法を提供することは、本発明の更なる目的となる。この方法には、ポリペプチドドメインをコードする異種DNAを含有する細胞(この細胞は、機能性ポリペプチドドメインを産生する)を、該ポリペプチドドメインの活性を調節する能力を測定するための対象となる少なくとも1種の化合物もしくは化合物の混合物またはシグナルに暴露するステップと、その後、該調節により引き起こされる該細胞の変化をモニターするステップと、が含まれる。このようなアッセイにより、アゴニスト、アンタゴニスト、およびアロステリックモジュレーターのようなポリペプチドドメインのモジュレーターの同定を行うことができる。本明細書中で使用する場合、ポリペプチドドメインの活性を調節する化合物またはシグナルとは、化合物またはシグナルの存在下でポリペプチドドメインの活性が異なるように(該化合物またはシグナルが存在しない場合と比較して)ポリペプチドドメインの活性を調節する化合物を意味する。
細胞ベースのスクリーニングアッセイは、リポータータンパク質、すなわち、容易にアッセイできるタンパク質、例えば、βガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、またはルシフェラーゼの発現が、ポリペプチドドメインに依存する細胞系を構築することにより、デザインすることができる。このようなアッセイにより、ポリペプチドドメイン特性を直接調節する化合物、例えば、ポリペプチドドメインと拮抗する化合物、またはポリペプチドドメインの活性に必要な他の細胞機能を抑制もしくは強化する化合物、を検出することができる。
本発明はまた、細胞中で起こるポリペプチドドメイン依存性プロセスに外因的変化を誘発する方法を提供する。組換えポリペプチドドメインを産生する宿主細胞、例えば、哺乳類細胞、を試験化合物と接触させ、次に、試験化合物の存在下または不在下でポリペプチドドメイン媒介応答を比較するか、または試験細胞または対照細胞(すなわち、ポリペプチドドメインを発現しない細胞)のポリペプチドドメイン媒介応答を化合物の存在と関連づけすることにより、その調節作用を評価することができる。
選択手順
本発明によれば、コードするDNAと結合することができるポリペプチドドメインのみが選択され、それゆえ遺伝子産物とコード化遺伝子の間に表現型-遺伝子型の相互連関性を確立することができる。したがって、ヌクレオチド配列は、ポリペプチドドメイン遺伝子産物に連結された該ポリペプチドドメインをコードする核酸を含むであろう。こうして、本発明の場合には、ヌクレオチド配列は、TerオペレーターのようなDNA結合部位とTus DNA結合ドメインとの結合を介してポリペプチドドメインに連結された該ポリペプチドドメインをコードする核酸を含むであろう。
ポリペプチドドメイン-Tus DNA結合ドメイン遺伝子産物は、DNA結合部位に対して親和性を有するので、Tus DNA結合ドメイン遺伝子産物は該DNA結合部位に結合し、そのコード配列に共有結合で連結されたヌクレオチド配列と物理的に連結されるであろう。
反応の終わりに、全てのマイクロカプセルを合わせて、全てのヌクレオチド配列および遺伝子産物を1つの環境に一緒にプールする。天然の結合のような所望の結合を示すポリペプチド(例えば、抗体)ドメインをコードするヌクレオチド配列は、当技術分野の様々な方法により、例えば該ポリペプチドドメインと特異的に結合するまたは特異的に反応する分子を用いたアフィニティー精製により、選択することができる。
アフィニティーによる選別は、結合が起こり得る条件下での結合対の2つのメンバーの存在に依存する。
本発明によれば、本発明で用いる結合対には、ポリペプチド(例えば、抗体)ドメインと特異的に結合することができる抗原が含まれる。該抗原はポリペプチド、タンパク質、核酸または他の分子であってよい。
「特異的に結合する」という用語は、ポリペプチド(例えば、抗体)ドメインと抗原の間の相互作用が特異的であること、すなわち、いくつかの分子が該ポリペプチドドメインに提示された際に、該ポリペプチドドメインが提示された分子のうち1つまたは少数の分子とのみ結合することを意味する。有利なのは、該ポリペプチドドメイン−抗原の相互作用が高親和性の場合であろう。
アフィニティー精製では、不活性支持体(例えば、架橋デキストランビーズ)に共有結合した抗原などの固相免疫吸着剤が使用される。免疫吸着剤をカラムに配置し、ポリペプチドドメインを注入する。抗原に対する抗体はカラムに結合するのに対して、結合されない抗体は洗い流される。第2のステップにおいて、結合した抗原-抗体を解離させる好適な溶出緩衝液を用いてカラムを溶出し、結合抗体を取得する。
好ましくは、ビオチン化標的タンパク質をコーティングした、ストレプトアビジン被覆常磁性マイクロビーズ(例えば、Dynabead, Dynal, Norway)を、所望の活性を提示するタンパク質-DNA複合体を捕捉するための固相支持体として使用する。
アフィニティー精製のための様々な免疫吸着剤、例えば、プロテインA、プロテインL、プロテインGが当技術分野では公知である。
好ましくは、モデル選択のための免疫吸着剤はプロテインLである。
プロテインLは、種特異的な免疫グロブリン結合特性と、多くのクラスの抗体および抗体フラグメントに対する高親和性とのユニークな組合せを示す。プロテインLは、ペプトストレプトコッカス・マグナス(Peptostreptococcus magnus)細胞壁タンパク質の組換え型であり、Ig抗原結合部位に干渉しない軽鎖相互作用を介して免疫グロブリン(Ig)に結合する。ヒト、マウス、ラット、ウサギおよびニワトリ由来のIgG、IgM、IgA、IgD、IgE、およびIgYを含むIgサブクラスの大部分は軽鎖を有しているので、プロテインLと高親和性で結合することができる。プロテインLは、scFvおよびFabを含むIgフラグメントとも結合する。
市販されているキットは例えば、ClonetechおよびSigmaAldrichから入手することができる。
目的の他の分子(例えばタンパク質、ハプテン、オリゴマーおよびポリマー)と結合するポリペプチドドメインは、プロテインLの代わりにそれらを所定の固相支持体にコーティングすることにより、単離することができる。
マルチステップ手順
本発明に従うと、転写/複製および/または翻訳、並びに選択の全工程を単一ステップで進行させる必要はないが、全ての反応は1つのマイクロカプセル内で起こることが理解されよう。選択手順は2以上のステップを含んでいてもよい。
最初に、ヌクレオチド配列ライブラリーのそれぞれのヌクレオチド配列の転写/複製および/または翻訳を第1のマイクロカプセル内で行う。その後、それぞれのポリペプチドドメインを、(同一のマイクロカプセル内に存在する)それをコードするヌクレオチド配列に連結させる。その後マイクロカプセルを破壊し、場合により、それらの対応するポリペプチドドメインに結合された該ヌクレオチド配列を精製する。これとは別に、ヌクレオチド配列をそれらの対応する遺伝子産物に、カプセル化によらない方法を用いて、連結させる。例えば、ファージディスプレイ(Smith, G.P.,1985)、ポリソームディスプレイ(Mattheakkisら, 1994)、RNA-ペプチド融合(RobertsおよびSzostak, 1997)、またはlacリプレッサーペプチド融合(Cullら, 1992)である。
前記手順の第2のステップでは、精製したポリペプチドドメインに結合したヌクレオチド配列をそれぞれ、選択すべき反応成分を含有する第2のマイクロカプセル内に入れる。その後、この反応を開始させる。反応を終えた後、マイクロカプセルを再び破壊し、そして改変されたヌクレオチド配列を選択する。多くの個々の成分および反応ステップが関与する複雑なマルチステップ反応では、ポリペプチドドメインを作製してヌクレオチドドメインに連結させる最初のステップと、ヌクレオチド配列中に選択可能な変化を生じさせる最後のステップとの間に、1以上の介在ステップを実施してもよい。
増幅
本発明のさらなる態様によれば、前記方法は免疫吸着剤に結合したヌクレオチド配列を増幅させる更なるステップを含む。所望のポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列を濃縮する手段として選択的増幅を利用することができる。
上記全ての形態では、ヌクレオチド配列中に含まれる遺伝物質を増幅して、該方法を反復ステップで繰り返すことができる。増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(Saikiら, 1988)により、またはQβレプリカーゼ増幅(Cahill, FosterおよびMahan, 1991、ChetverinおよびSpirin, 1995、Katanaev, KurnasovおよびSpirin, 1995);リガーゼ連鎖反応(LCR)(Landegrenら, 1988、Barany, 1991);自己持続性配列複製系(Fahy、KwohおよびGingeras, 1991)および鎖置換増幅(Walkerら, 1992)を含む様々な他の遺伝子増幅技術のうちの1つを用いて行うことができる。
好ましくは、増幅はPCRで行う。より好ましくは、増幅はフォワードプライマーOA16(配列番号25)およびリバースプライマーOA17n(配列番号26)を用いたPCRで行う。
通常、増幅は94℃で2分の最初の変性を行い、続いて94℃で15秒の変性、72℃で30秒のアニーリング、72℃で30秒の伸長、最後に72℃で5分の伸長を30サイクル行う。
構築物
「構築物」という用語は、「コンジュゲート」、「カセット」および「ハイブリッド」などの用語と同義であり、プロモーターに直接的または間接的に結合した核酸配列を含む。間接的な結合は例えば、プロモーターとヌクレオチド配列の間のイントロン配列のような好適なスペーサ基によりもたらされる。本発明に関連する「融合された」という用語にも同じことが当てはまり、直接または間接的な結合が含まれる。
好ましくは、プロモーターはT7プロモーターである。より好ましくは、T7プロモーターはヌクレオチド配列の上流にある。
構築物は、例えば細菌中の、該構築物の選択を可能にするマーカーを含んでいてもよいし、該マーカーを発現してもよい。
ベクター
本発明のヌクレオチド配列は、ベクター中に存在し得る。
「ベクター」という用語には、発現ベクターおよび形質転換ベクターおよびシャトルベクターが含まれる。
「発現ベクター」という用語は、in vivoまたはin vitro発現が可能な構築物を意味する。
「形質転換ベクター」という用語は、ある生物から別の生物に移入することができる構築物を意味し、それは同じ生物種由来でも異なる生物種由来でもよい。構築物がある生物種から別の生物種に(例えばE. coliプラスミドからバチルス属細菌のような細菌に)移入することができる場合、その形質転換ベクターは「シャトルベクター」と呼ばれることがある。シャトルベクターは、E. coliプラスミドから植物に対するアグロバクテリウムに移入することができる構築物でもあり得る。
ベクターは、ポリペプチドの発現をもたらす適当な宿主細胞に形質転換され得る。
ベクターは、例えば複製起点、任意で該ポリヌクレオチドを発現させるためのプロモーター、および任意で該プロモーターの調節因子を含むプラスミド、ウイルスまたはファージベクターであり得る。
ベクターは、1以上の選択可能なマーカーヌクレオチド配列を含み得る。産業上の微生物についての最適な選択系は、宿主細胞中での突然変異を必要としない選択マーカーの群によって形成されるものである。真菌性選択マーカーの例は、アセトアミダーゼ(amdS)、ATP合成酵素、サブユニット9(oliC)、オロチジン-5’-リン酸-デカルボキシラーゼ(pvrA)、フレオマイシンおよびベノミル耐性(benA)のヌクレオチド配列である。非真菌性選択マーカーの例は、細菌性G418耐性ヌクレオチド配列(これは酵母中でも使用されが、糸状菌では使用されない)、アンピシリン耐性ヌクレオチド配列(E. coli)、ネオマイシン耐性ヌクレオチド配列(Bacillus)およびβ-グルクロニダーゼ (GUS)をコードするE. coli uidAヌクレオチド配列である。
ベクターは、in vitroで、例えばRNAの産生のために、使用することができ、あるいは宿主細胞をトランスフェクトまたは形質転換するために使用することができる。
したがって、ポリヌクレオチドは組換えベクター(通常、複製可能なベクター)、例えばクローニングまたは発現ベクターに組み込むことができる。ベクターは、適合する宿主細胞中で核酸を複製するのに使用される。
遺伝子操作された宿主細胞は、アミノ酸配列(またはその変異体、相同体、断片もしくは誘導体)を発現させるために使用され得る。
発現ベクター
本発明のヌクレオチド配列は複製可能な組換えベクターに挿入することができる。このベクターを用いて、適合性の宿主細胞内でおよび/または該細胞からヌクレオチド配列を複製させ発現させることができる。発現は、プロモーター/エンハンサーやその他の発現調節シグナルを含む制御配列を用いて制御しうる。原核型プロモーターおよび真核細胞内で機能するプロモーターを使用することができる。上記の2種類以上の異なるプロモーターからの配列エレメントを含むキメラプロモーターを使用してもよい。
ヌクレオチド配列の発現によって宿主組換え細胞から産生されたタンパク質は分泌されるか、あるいは用いた配列および/またはベクターに応じて細胞内に保持される。コード配列はシグナル配列をもつように設計することができ、このシグナル配列が該コード配列によりコードされる物質の、特定の原核または真核細胞膜からの分泌を指令する。
融合タンパク質
本発明のアミノ酸配列は、例えば抽出および精製を促進させるためにタグ配列を用いて、融合タンパク質として産生させることができる。
宿主細胞
本明細書中で用いる「宿主細胞」とは、本発明のヌクレオチド配列を含み、該ヌクレオチドを発現させるために使用できる細胞のことである。
したがって、さらなる実施形態では、本発明は、本発明のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドまたは本発明のヌクレオチド配列を発現するポリヌクレオチドにより形質転換またはトランスフェクションされた宿主細胞を提供する。好ましくは、かかるポリヌクレオチドはポリヌクレオチドの複製および発現のためのベクター内に担持させる。宿主細胞はそのベクターと適合するように選択されるが、例えば、原核細胞(例:細菌)、真菌、酵母または植物細胞でありうる。
グラム陰性菌である大腸菌は、異種ヌクレオチド配列の発現のための宿主として広く用いられるが、多量の異種タンパク質を細胞内に蓄積させる傾向がある。大腸菌の大量の細胞内タンパク質から所望のタンパク質をあとで精製することは往々にして困難を伴う。
大腸菌とは対照的に、バシラス(Bacillus)属の細菌は、タンパク質を培地中に分泌することができるため、異種宿主として非常に適している。宿主として適している他の細菌はストレプトマイセス(Streptomyces)およびシュードモナス(Pseudomonas)からのものである。
ポリヌクレオチドの性質および/または発現タンパク質のさらなるプロセッシングの望ましさ次第では、酵母や他の真菌のような真核細胞宿主が好ましいかもしれない。
酵母、真菌、植物細胞といった宿主細胞を使用すると、翻訳後修飾(例えば、ミリストイル化、グリコシル化、トランケーション、リピド化、およびチロシン、セリンまたはトレオニンのリン酸化)が可能であり、こうした翻訳後修飾は本発明の組換え発現産物に最適な生物学的活性を賦与するのに必要でありうる。
調節配列
ある応用例では、ポリヌクレオチドを調節配列に連結させることができ、こうした調節配列は所定の宿主細胞によるヌクレオチド配列の発現をもたらすことができる。一例として、本発明は、そのような調節配列と機能的に連結された本発明のヌクレオチド配列を含むベクター(すなわた、該ベクターは発現ベクターである)を包含する。
「調節配列」なる用語には、プロモーターとエンハンサー、および他の発現調節シグナルが含まれる。
「プロモーター」なる用語は、当技術分野の通常の意味で用いられ、例えば、RNAポリメラーゼ結合部位である。
ポリペプチド発現の増強は、異種調節領域(例えば、プロモーター、分泌リーダー、ターミネーター領域)を選択することによって達成することができ、こうした異種調節領域は所定の発現宿主からの目的タンパク質の発現レベル(および所望であれば分泌レベル)を高めたり、また、誘導可能な発現制御を提供したりするのに役立つ。
ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の天然のプロモーターとは別に、他のプロモーターを用いて、そのポリペプチドの発現を引き出すことができる。プロモーターは、所望の発現宿主においてポリペプチドの発現を引き出す際のその効率に基づいて選択しうる。
別の実施形態では、ポリペプチドの発現を引き出すために構成的プロモーターが選択される。こうした発現構築物は、誘導性の基質を含む培地で発現宿主を培養する必要がなくなるので、付加的な利点を提供する。
真菌発現宿主内で使用するのに好ましい強力な構成的および/または誘導性プロモーターの例は、以下のプロモーターの真菌ヌクレオチド配列から得られるものである:キシラナーゼ(xlnA)、フィターゼ、ATP-シンテターゼ、サブユニット9 (oliC)、トリオースリン酸イソメラーゼ(tpi)、アルコールデヒドロゲナーゼ(AdhA)、α-アミラーゼ(amy)、アミログルコシダーゼ(AG;glaAヌクレオチド配列由来)、アセトアミダーゼ(amdS)、およびグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(gpd)のプロモーター。
強力な酵母プロモーターの例は、アルコールデヒドロゲナーゼ、ラクターゼ、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ、およびトリオースリン酸イソメラーゼのヌクレオチド配列から得られるものである。
強力な細菌プロモーターの例は、α-アミラーゼおよびSPO2プロモーター、ならびに細胞外プロテアーゼヌクレオチド配列由来のプロモーターである。
発現構築物の誘導可能な調節を改善するためにハイブリッドプロモーターを使用することもできる。
プロモーターはさらに、適切な宿主内での発現を確実にするための、または発現を高めるための構成的特徴を含むことができる。例えば、そのような特徴はプリブノーボックス(Pribnow Box)、TATAボックス、またはT7転写ターミネーターといった保存された領域でありうる。プロモーターはヌクレオチド配列の発現レベルに影響を与える(例えば、発現レベルを維持する、高める、または低下させる)ための他の配列を含んでいてもよい。他の適当な配列としてはSh1-イントロンまたはADHイントロンがある。その他の配列には、誘導性エレメント、例えば温度、化学薬品、光、またはストレス誘導性エレメントが含まれる。さらに、転写や翻訳を増強するのに適したエレメントが存在してもよい。後者のエレメントの例はTMV 5'シグナル配列である(Sleat Gene 217 [1987] 217-225; およびDawson Plant Mol. Biol. 23 [1993] 97を参照されたい)。
ヌクレオチド配列が調節配列を含む場合、一実施形態においては、該調節配列が1以上のDNA結合部位と1以上のポリペプチドドメインの間に位置づけられる。
ヌクレオチド配列が調節配列を含む場合、別の実施形態においては、該調節配列が1以上のDNA結合部位の上流、および1以上のポリペプチドドメインと1以上のTus DNA結合ドメインの下流に位置づけられる。
変異体/相同体/誘導体
本発明は、本明細書に記載するヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列の変異体、相同体、誘導体および/または断片の使用を包含する。
「変異体」なる用語は、野生型配列とは異なる、天然に存在するポリペプチドまたはヌクレオチド配列を意味する。
「断片」なる用語は、ポリペプチドまたはヌクレオチド配列が野生型配列の一部分を含むことを示す。それは1以上の大きな連続した配列区画を含んでいても、複数の小さな区画を含んでいてもよい。該配列はまた他の配列エレメントを含むことができ、例えば、それは別のタンパク質との融合タンパク質でありうる。好ましくは、該配列は野生型配列の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも65%、さらに好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%を含んでなる。
「相同体」なる用語は、対象のアミノ酸配列および対象のヌクレオチド配列に対して一定の相同性を有する物質を意味する。ここで、「相同性」は「同一性」と同等と考えることができる。
本明細書において、相同配列とは、対象の配列と少なくとも70、75、80、85または90%同一、好ましくは少なくとも95、96、97、98または99%同一でありうるアミノ酸配列を含むと解釈される。相同性は類似性(すなわち、類似した化学的性質/機能を有するアミノ酸残基)の観点からも考慮しうるが、本発明との関連では、配列同一性の観点から相同性を表現することが好適である。
本明細書において、相同配列とは、対象の配列と少なくとも70、75、80、85または90%同一、好ましくは少なくとも95、96、97、98または99%同一でありうるヌクレオチド配列を含むと解釈される。
相同性は類似性(すなわち、類似した化学的性質/機能を有するアミノ酸残基)の観点からも考慮しうるが、本発明との関連では、配列同一性の観点から相同性を表現することが好適である。
相同性の比較は目で行うことができるが、より一般的には容易に入手できる配列比較プログラムを用いて行う。こうした市販のコンピュータープログラムは2つ以上の配列間の相同性%を計算することが可能である。
相同性%は連続した配列にわたって計算される。すなわち、一方の配列を他方の配列とアライメント(並置)させ、一方の配列の各アミノ酸を他方の配列の対応するアミノ酸と、1個のアミノ酸ずつ、直接比較する。これは「ギャップなし」(ungapped)アライメントと呼ばれる。通常、そのようなギャップなしアライメントは比較的少ない残基数に対してのみ実施される。
この方法は非常に単純で首尾一貫した方法であるが、例えば、そのほかの点では同一の配列の対において、あるアミノ酸残基の挿入または欠失が次のアミノ酸残基をアライメントの外に締め出しうることを考慮に入れておらず、結果的に、全体的なアライメントを実施する際の相同性%の大幅な低下をもたらす可能性がある。したがって、ほとんどの配列比較法は、全体的な相同性スコアを過度に低下させることなく、可能性のある挿入および欠失を考慮に入れる最適なアライメントをもたらすように設計される。それは局所的な相同性を最大にするように配列アライメント中に「ギャップ」を挿入することで達成される。
しかしながら、これらの比較的複雑な方法はアライメント中に存在する各ギャップに「ギャップペナルティー」を割り当てて、同一のアミノ酸が同数の場合、可能な限り少ないギャップを挿入した配列アライメント(比較する2配列間のより高い近縁関係を反映する)が多くのギャップを挿入したアライメントよりも高いスコアを獲得するようにしてある。一般的には「アフィンギャップコスト」(affine gap costs)が用いられ、これはギャップの存在に対して比較的高いコストを課し、そのギャップの後続の各残基に対してより小さなペナルティーを課すものである。これが最も広く用いられているギャップスコアリングシステムである。当然、高いギャップペナルティーがギャップのより少ない最適化されたアライメントをもたらすことになる。たいていのアライメントプログラムはギャップペナルティーを変更することを認めている。しかし、配列比較用のそのようなソフトウェアを用いる場合にはデフォルト値を採用することが好ましい。例えば、GCG Wisconsin Bestfitパッケージを用いる場合、アミノ酸配列用のデフォルトギャップペナルティーはギャップについてが-12、各伸長についてが-4である。
したがって、最大の相同性%の計算には、まず、ギャップペナルティーを考慮して、最適なアライメントを生じさせる必要がある。そのようなアライメントを実施するのに好適なコンピュータープログラムはGCG Wisconsin Bestfitパッケージ(米国ウィスコンシン大学;Devereuxら, 1984, Nucleic Acids Research 12:387)である。配列比較を行うことができる他のソフトウェアの例としては、限定するものではないが、BLASTパッケージ(Ausubelら, 1999 同上 - 第18章参照)、FASTA (Atschulら, 1990, J. Mol. Biol., 403-410)、および1組の比較ツールGENEWORKSが挙げられる。BLASTもFASTAもオフラインおよびオンライン検索のために利用可能である(Ausubelら, 1999 同上, 7-58から7-60ページ参照)。しかし、ある適用例では、GCG Bestfitプログラムを用いることが好ましい。BLAST 2 Sequencesと呼ばれる新しいツールもタンパク質およびヌクレオチド配列を比較するために利用可能である(FEMS Microbiol Lett 1999 174(2): 247-50; FEMS Microbiol Lett 1999 177(1): 187-8を参照)。
最終的な相同性%は同一性に基づいて測定されるが、アライメントのプロセスそれ自体は一般的に、全てか無か(all-or-nothing)のペア比較に基づかない。その代わりに、基準化された類似度スコアマトリックスが一般的に用いられ、これは化学的類似性または進化距離(evolutionary distance)に基づいてそれぞれのペアワイズ比較にスコアを割り当てるものである。慣用されるそのようなマトリックスの例はBLOSUM62マトリックス(1組のBLASTプログラム用のデフォルトマトリックス)である。GCG Wisconsinプログラムは一般に、パブリックデフォルト値または提供されるならばカスタムシンボル比較表のいずれかを使用する(さらなる詳細についてはユーザーマニュアルを参照されたい)。ある適用例では、GCGパッケージの場合にパブリックデフォルト値を使用し、他のソフトウェアの場合はBLOSUM62のようなデフォルトマトリックスを使用することが好ましい。
ソフトウェアによって最適なアライメントが得られたら、相同性%、好ましくは配列同一性%を算出することが可能である。ソフトウェアは配列比較の一部としてこれを行い、結果を数値で出してくる。
配列はまた、サイレント変化を生じさせて機能的に同等の物質をもたらす、アミノ酸残基の欠失、挿入または置換を含むことができる。計画的なアミノ酸置換は、その物質の二次的な結合活性が保持されるという条件で、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性、および/または両親媒性における類似性に基づいて行われる。例えば、負に荷電したアミノ酸にはアスパラギン酸とグルタミン酸が含まれ、正に荷電したアミノ酸にはリシンとアルギニンが含まれ、類似した親水性値を有する非荷電の極性ヘッド基をもつアミノ酸にはロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、およびチロシンが含まれる。
保存的置換は例えば以下の表に従って行うことができる。第2欄の同じブロックにある、好ましくは第3欄の同じ列にあるアミノ酸は相互に置換可能である:
Figure 0005021483
本発明はまた相同置換(既存のアミノ酸残基の代わりの残基による相互交換を意味するために本明細書では置換および置き替えの両方を用いる)を包含し、これはすなわち同じ性質のもの同士の置換、例えば塩基性は塩基性との、酸性は酸性との、極性は極性との置換を生ずる。非相同置換を行うこともでき、すなわち、あるクラスの残基から別のクラスの残基への置換、あるいはまた、非天然アミノ酸、例えばオルニチン(以後Zと記す)、ジアミノ酪酸(以後Bと記す)、ノルロイシン(以後Oと記す)、ピリジルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニン、およびフェニルグリシンの導入を含む。
置換はまた非天然アミノ酸によっても行うことができ、かかる非天然アミノ酸には次のものが含まれる:α*およびαジ置換*アミノ酸、N-アルキルアミノ酸*、乳酸*、天然アミノ酸のハロゲン化誘導体(例えば、トリフルオロチロシン*、p-Cl-フェニルアラニン*、p-Br-フェニルアラニン*、p-I-フェニルアラニン*)、L-アリル-グリシン*、β-アラニン*、L-α-アミノ酪酸*、L-γ-アミノ酪酸*、L-α-アミノイソ酪酸*、L-ε-アミノカプロン酸#、7-アミノヘプタン酸*、L-メチオニンスルホン#*、L-ノルロイシン*、L-ノルバリン*、p-ニトロ-L-フェニルアラニン*、L-ヒドロキシプロリン#、L-チオプロリン*、フェニルアラニン(Phe)のメチル誘導体(例えば、4-メチル-Phe*、ペンタメチル-Phe*)、L-Phe(4-アミノ)#、L-Tyr(メチル)*、L-Phe(4-イソプロピル)*、L-Tic (1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸)*、L-ジアミノプロピオン酸#、およびL-Phe(4-ベンジル)*。記号*は(相同または非相同置換に関する)上記考察のために利用したものであり、誘導体の疎水性を示し、#は誘導体の親水性を示し、#*は両親媒性を示す。
変異型アミノ酸配列は、グリシンまたはβ-アラニン残基のようなアミノ酸スペーサーに加えて、アルキル基(メチル、エチル、プロピル基など)を含む配列のいずれか2個のアミノ酸残基の間に挿入しうる適当なスペーサー基を含むことができる。さらなる変異型としては、当業者によく理解されているペプトイド型での1個以上のアミノ酸残基の存在がある。誤解を避けるために、「ペプトイド型」とは、α-炭素置換基がα-炭素ではなく残基の窒素原子上にある変異型アミノ酸残基をさすために用いられる。ペプトイド型のペプチドを製造する方法は当技術分野で公知であり、例えば、Simon RJら, PNAS (1992) 89(20), 9367-9371およびHorwell DC, Trends Biotechnol. (1995) 13(4), 132-134を参照されたい。
本発明で用いるヌクレオチド配列はその配列内に合成または修飾ヌクレオチドを含んでいてもよい。オリゴヌクレオチドに対する修飾として、いくつかの異なるタイプの修飾が当技術分野で知られている。これらには、メチルホスホネートおよびホスホロチオエート主鎖、および/または分子の3'および/または5'末端でのアクリジンもしくはポリリシン鎖の付加が含まれる。本発明においては、ヌクレオチド配列を当技術分野で利用可能などのような方法でも修飾しうることを理解すべきである。そうした修飾は、本発明において有用なヌクレオチド配列のin vivo活性または寿命を増強するために行われる。
本発明はまた、ヌクレオチド配列またはその誘導体もしくは断片に相補的なヌクレオチド配列の使用をも包含する。配列がその断片に相補的である場合には、他の生物などにおいて類似のコード配列を同定するためのプローブとしてその配列を使用することができる。
好ましくは、結果として得られるヌクレオチド配列は同じ活性を有するアミノ酸配列をコードする。結果として得られるヌクレオチド配列は同じ活性を有するアミノ酸配列をコードするが、その活性は必ずしも同程度である必要はない。
一般的な組換えDNA法の技術
本発明は、特に断らない限り、当業者の能力の範囲内にある化学、分子生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学の慣用技術を使用するものである。そのような技術は文献に記載されている。例えば、J. Sambrook, E.F. FritschおよびT. Maniatis, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版, Books 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Ausubel, F.M.ら (1995および定期的増補; Current Protocols in Molecular Biology, 第9, 13および16章, John Wiley & Sons, New York, N.Y.); B. Roe, J. CrabtreeおよびA. Kahn, 1996, DNA Isolation and Sequencing: Essential Techniques, John Wiley & Sons; M.J. Gait(編集), 1984, Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, Irl Press; ならびにD.M.J. LilleyおよびJ.E. Dahlberg, 1992, Methods of Enzymology: DNA Structure Part A: Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology, Academic Pressを参照されたい。これらの一般的参考書のそれぞれは参照により本明細書中に組み入れるものとする。
ここで、実施例を用いて本発明をさらに説明することにするが、これらの実施例は本発明の実施にあたって当業者を補助するのに役立つもので、いかなる場合にも本発明の範囲を制限するものではない。
実施例1
用いる構築物の構築および発現
pIE2
TusのN末端に融合させたドメイン抗体のin vitro発現用の遺伝子エレメントは、pIE2 in vitro発現ベクターに基づいている(図1)。リン酸化オリゴヌクレオチドAS5 (配列番号10)およびAS6 (配列番号11)のアニーリングから形成されたDNA二本鎖を、ゲル精製したNcoI/NotI切断pIE1ベクターに連結させることにより、pIE2を組み立てる。pIE1を組み立てるには、リン酸化オリゴヌクレオチドAS1 (配列番号12)およびAS2 (配列番号13)のアニーリングから形成されたDNA二本鎖を、ゲル精製したNcoI/BamHI切断pIVEX2.2b Nde (Roche) in vitro発現ベクターに連結させる。典型的には、反応に用いる両方のオリゴヌクレオチドは、T4 DNAリガーゼバッファー(NEB)中の5単位のT4ポリヌクレオチドキナーゼ(NEB)を用いて、50μl容量中2μMの濃度で同時にリン酸化する。反応混合物を95℃で5分インキュベーションしてポリヌクレオチドキナーゼを不活性化し、続いて40℃での30分の冷却ステップによりオリゴヌクレオチドのアニーリングを起こさせる。アニーリングしたリン酸化DNA二本鎖の0.1μlアリコートを、消化してリン酸化したベクター100 ngに添加し、50単位のT4 DNAリガーゼ(NEB)を用いて5μl容量中室温で1時間連結させる。その後、連結反応物の0.5μlアリコートを用いて、スーパーコンピテントXL-10大腸菌細胞(Stratagene)の5μlアリコートをメーカーの使用説明書に従って形質転換する。一晩培養物から調製したプラスミドDNAミニプレプ(Qiagen)のDNA配列解析により挿入断片の配列を確認する。
Tus含有構築物
Tusは大腸菌TG1ゲノムDNAからプライマーAS102 (配列番号14)およびAS103 (配列番号15)を用いてSuperTaq DNAポリメラーゼによりPCR増幅した。この産物を精製して制限酵素BamH IおよびBgl II (NEB)で消化した。消化した産物をpIE2のBamH I部位に連結させてpIE2Tを得た。この構築物をDNA配列解析により確認した。
TerBオペレーター部位を含む次のin vitro発現構築物を使用する。
pIE2tT構築物はpIE2Tベクターに基づくもので、1つのTerBオペレーター部位がT7プロモーターのすぐ上流のユニークBgl II部位に挿入されている。TerBオペレーターモチーフを、アニーリングさせたリン酸化オリゴヌクレオチドAS105 (配列番号16)およびAS114 (配列番号17)から組み立てて、Bgl II切断してCIAP脱リン酸化したpIE2Tベクターに連結させた。
プライマーAS16 (配列番号18)を用いて配列決定されたクローン(この挿入物の配向は、Bgl II部位をTerBオペレーター挿入物の上流に、すなわちT7プロモーターの近くに位置づける)を以後の研究のために採用する(図2)。より多くのTerBオペレーター部位は、この構築物をBgl IIで切断し、アニーリングさせたリン酸化オリゴヌクレオチドAS105 (配列番号16)/AS114 (配列番号17)から組み立てた該オペレーター部位の次のコピーを挿入することにより、ベクターに挿入することができる。
pIE2tTへの(KEA 3 ) 8 リンカーの挿入
pIE2tTのNot I部位を切断し、AS120 (配列番号19)-AS121 (配列番号20)キナーゼ処理二本鎖を挿入することによりpIE7'tTを得た。続いて、pIE7'tTのNot I部位を切断して、AS120 (配列番号19)-AS121 (配列番号20)キナーゼ処理二本鎖の挿入を繰り返すことによりpIE7tTを得た(図3)。
V K ドメイン抗体(dAb)を含むTus融合構築物
抗βガラクトシダーゼVkクローンE5、TNFa結合VkクローンTAR1-5-19およびTAR1-5、ならびにサイトカインA結合VkクローンXはすべて、Tus構築物および3つのTerBオペレーターをすでに保有するSal I/Not I切断pIE7t3Tベクターにクローニングすることができる。一例として、TusのN末端へのVk(E5) (配列番号7)の融合構築物(pIE7t3Tシリーズ)を図4に示す。ここでは、3つのTerBオペレーター部位がBgl II部位に挿入されて、構築物pIE7t3T.Vk(E5)をもたらす。
1より多いin vitro発現Vk(E5)-Tus分子は、TerBオペレーター部位の数が増えれば、区画内で遺伝子エレメントと結合し、おそらくより安定した遺伝子型-表現型の相互連関性をもたらす、と予想される。したがって、TusのN末端にVk(E5) (配列番号7)が融合された発現構築物は、2、3および4コピー数のTerBオペレーターを持つものも作製し、最大4価のDNAとの相互作用を可能にした。オペレーター部位間の間隔は19 bpとなるように選択したが、これはDNAヘリックスの1.5(one-and-half)ヘリックスターンにほぼ一致し、結合したVk-Tus融合タンパク質の全ての結合Vk成分がそれぞれ反対の方向に露出されるのを確実にし、可溶性の標的分子との同時多価接触を制限する。
実施例2
Tusとの融合により影響されないドメイン抗体の機能性
所定の抗原と特異的に結合するドメイン抗体を単離するために、ドメイン抗体は溶液中で単量体として機能するときと同様にTusと融合させたときにも機能することが好ましい。
融合構築物は、TusのN末端に短いA3GSリンカーまたは長い非柔軟性のαヘリックスリンカー(KEA3)8のいずれかを介して融合されたVk(TAR1-5-19) (配列番号5)またはVk(E5) (配列番号7)から作製した。両方のVkをSalI-NotIで消化し、やはりSalI-NotIで消化しておいたベクターpIE2tTまたはpIE7tTにそれぞれ連結させた。この連結混合物をXL-10 gold細胞(Stratagene)に形質転換して、該細胞をプレーティングした。ミニプレッピング(Qiagen)を行い、DNA配列決定により確認した後、構築物をプライマーAS11-AS17によりPCR増幅させると、1つのTerBオペレーター部位-T7プロモーター-Vk(TAR1-5-19)/Vk(E5)-A3GS/(KEA3)8-Tus-HA-T7ターミネーターを含む断片が得られた。このPCRの典型的な増幅サイクルは、platinum pfx DNAポリメラーゼ(invitrogen)を用いて行い、95℃で3分の初期変性、続く95℃で30秒、60℃で30秒、および68℃で2分の25サイクル、68℃で3分の最終伸長から成っていた。PCR産物をQiagenスピンカラムにアプライし、溶出して精製分離し、DNA濃度をOD 260/280で測定した。精製分離したPCR産物をin vitro転写/翻訳(IVT)のために使用する。典型的な50μl IVT反応は500 ngのDNA、2.0μlのメチオニン(5 mM)、1.5μlの酸化型グルタチオン(100 mM) (Sigma)、35μlの細菌抽出物、例えばEcoPro (Novagen)、および11μlのH2Oから成る。このIVT反応は20〜37℃の温度で1時間から最大4時間まで行うことができる。IVT後、反応物をPBS+0.2% tween-20で1:10に希釈する。50μlを、抗HA (3F10, Roche) (PBS中1μg/ml)でコーティングしておいたELISAプレートに添加し、室温で1時間インキュベートする。洗浄後、一定の濃度範囲(0〜500 nM)のビオチン化抗原、すなわちTNFaを添加し、プレート上で1時間インキュベートする。再度プレートを洗浄し、希釈率1:3500の西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートストレプトアビジン(ストレプトアビジン-HRP, Amersham)を加え、プレート上で30分インキュベートする。最終洗浄後、TMB基質を添加し、発色反応を15〜30分進行させ、1M HClの添加により反応を停止させる。
TNFa濃度をシグナルに対してプロットする場合(図5)、最大シグナルの半分が得られる濃度からIC50を決定することができる。Tusと融合させたVk(TAR1-5-19) (配列番号5)について得られたIC50値を比較したところ、それは用いたリンカーに無関係であって、溶液中の単量体型ドメイン抗体としてのVk(TAR1-5-19) (配列番号5)について決定されたIC50値と類似している。
この結果は、Vk(TAR1-5-19) (配列番号5)が溶液中でVkとして作用するときと同様にTusと融合させたときにも挙動することを実証する。
実施例3
TusのDNA結合機能性はドメイン抗体とのN末端融合により実質的に影響されない
好ましくは、ドメイン抗体はTusとの融合によって実質的な影響を受けてはならず、また、TusのDNA結合特性が実質的に保持されるべきである。実施例2ですでに記載したように、ドメイン抗体の結合親和性を評価する場合には、Tusの結合を測定することができる。
pIE2tT.Vk(TAR1-5-19)またはpIE7tT.Vk(TAR1-5-19)のin vitro翻訳後、この融合タンパク質を抗HAコーティングELISAプレートに捕捉し、一重(1T)または三重(3t)ビオチン化TerBオペレーターと約1時間インキュベートする。ビオチン化TerBオペレーターは、pIE7tTまたはpIE7t3Tベクター中のTerBオペレーター配列を、オリゴヌクレオチド対AS92 (配列番号27) (ビオチン化したもの)およびAS87n (配列番号28)を用いてPCR増幅することにより得られる。捕捉されたIVT産物を一定の濃度範囲(0.012〜40 nM)のビオチン化オペレーターとインキュベートし、次いで洗浄し、ストレプトアビジン-HRPとインキュベートし、TMB基質で発色させると、図6に示した結果が得られる。都合のよいことに、遊離DNAオペレーター配列に対する非常に高い親和性が保持される。さらに、Tusはどちらのリンカーを用いても機能的であるが、KEAリンカー(pIE7tTシリーズ)を用いることが好ましい。
Tusが選択中に機能的であるためには、Tusは少なくとも実験時間中その対応するDNAと結合しているべきである。DNA-Tus複合体の半減期は149分であると以前に決定されている(Skokotasら, (1995) J Biol Chem. 29; 270(52): 30941-8)。ドメイン抗体と融合させたときの半減期に変化がないか否かを調べるために、次の実験を行なうことができる。50μlのPBS/tween-20溶液中で、3μlのIVT反応物(鋳型としてpIE2tT.Vk(TAR1-5-19)またはpIE7tT.Vk(TAR1-5-19)を用いる)を15 nMのビオチン化1tまたは3t遊離オペレーターと共に約1時間インキュベートする。その後、オペレーターが結合したまたは結合してないdAb-Tus-HA融合タンパク質を抗HAコーティングELISAプレート上で約1時間捕捉する。1時間のインキュベーション後、プレートを洗浄して未結合のビオチン化オペレーターを除き、10 nMの非ビオチン化(「コールド」)オペレーターと置き換える。異なる時点(0〜4時間)で「コールド」オペレーターを除去し、ウェルを洗浄してストレプトアビジン-HRP(希釈率1:3500)と共にインキュベートする。ウェルを洗浄してTMB基質と一定時間(例えば、15分)インキュベートし、1M HClの添加によりこの反応を停止させる。
時間をシグナルに対してプロットすると、bio-1tまたは3tの解離速度が決定される(図7)。
リンカーは両方とも機能するが、KEAリンカーのほうが好ましい。Tusと結合した1tの半減期について得られた値(2.5時間)は、報告された文献記載の値と一致する。かかる一致から、ドメイン抗体と融合させたときのTusのDNA結合機能性が確認できる。さらに、3t断片の半減期のほうが長いので、1個の代わりに3個のオペレーターを用いることが望ましいだろう。
実施例4
DNA結合機能性もV κ の抗原結合親和性も他方の成分の同時添加によって影響されない
これまでの実施例で、本発明者らは、ドメイン抗体がTusと融合させたときに溶液中での親和性と同様の親和性でその抗原を認識することを実証した。同様に、Tusは文献記載の半減期値に近似した半減期でそのTerBオペレーターDNAと結合する。このことは、融合させた場合にもその機能性が失われないことを示している。しかしながら、これらの実験からは、両イベント(ドメイン抗体が抗原と結合すること、およびTusがDNAと結合すること)が互いに影響を及ぼすことなく同時に機能しうるのか不明である。したがって、本発明者らはTusおよびdAbとの同時結合を検証することにした。
これまでの実施例と同様に、pIE7tT.Vk(TAR1-5-19)をin vitro翻訳し、その産物をPBS/T-20で希釈(1:10)した。続いて、融合タンパク質Vk(TAR1-5-19)-Tus-HAを抗HA抗体でコーティングしたELISAプレート上に捕捉する。プレートを洗浄し、ビオチン化TNFa (600 nM)と共に非ビオチン化オペレーターDNA (15 nM)の非存在下または存在下でインキュベートする。反対に、ビオチン化DNA (15 nM)を非ビオチン化TNFa (600 nM)の非存在下または存在下でインキュベートする。ストレプトアビジン-HRP(希釈率1:3500)とのインキュベーション後に、TMB基質を添加して発色させる。
図8はその結果を表しているが、これらの結果は、大量の非ビオチン化抗原またはオペレーターDNAの添加がそれぞれビオチン化TNFaまたはDNAの結合に事実上何の影響も及ぼさないことを実証している。このことは、ドメイン抗体とTusタンパク質が互いに独立してかつ同時にそれぞれの標的と結合することを強く示すものである。
実施例5
反応物を個別の反応バイアル中に区画化して選択を行う場合には、安定した遺伝子型-表現型の相互連関性が保持される
これまでの実施例で、本発明者らは、in vitro翻訳された融合タンパク質として発現させたときのドメイン抗体とTus DNA結合タンパク質の機能性を実証した。しかし、これらの融合タンパク質を用いて選択を行うためには、遺伝子型-表現型の相互連関性、つまりdAb-Tus融合タンパク質のその対応するDNAへの結合が選択に際して溶液中で保持されることがきわめて重要である。そのために、既知であるが異なる親和性の2つのdAb間、例えばVk(TAR1-5-19) (配列番号5) (Kd 50 nM)とVk(TAR1-5) (配列番号6) (>5μM)の間でモデル選択を行うことができる。TerBオペレーターとT7プロモーターの間のBglII部位に小さな非相互作用性DNAスタッファー断片(z3、150 bp)を挿入することにより、各dAbのDNAに特定の長さをもたせることができ、こうしてこの領域のPCR産物のサイズによりdAbを迅速に同定することが可能となる。次の構築物を使用した: 7t3T.Vk(TAR1-5)および7t3z3T.Vk(TAR1-5-19)。各構築物をプライマーAS11 (配列番号21)およびAS17 (配列番号23)によりPCR増幅させてin vitro転写/翻訳に必要なPCR断片を得た。個別の反応バイアル中で各PCR断片を翻訳させた。典型的な反応混合物は実施例2に記載したものと類似していたが、DNA濃度をより低くして、反応50μlあたりたった150 ngとし、また、ビオチン化TNFaをIVTの間に20 nMで存在させる。この反応混合物を室温で1時間インキュベートする。両方の抽出物をPBS/T-20/bio-TNFa (20nM)で1:16に希釈し、その後例えば1:100および1:1 (TAR1-5-19:TAR1-5) の比で混合する。この反応混合物50μlをストレプトアビジンコーティングPCRチューブ(Abgene)(PBS+2% Tween-20で1時間ブロッキングしておく)に移す。これらのウェル内でインキュベーションを45分間行い、その後ウェルを洗浄し(PBS+T-20)、オリゴヌクレオチド対AS12 (配列番号22)およびAS87n (配列番号28)を用いたPCRを行って、TAR1-5-19とTAR1-5のDNA鋳型を区別するスタッファー断片を増幅させる。このPCRはplatinum pfx DNAポリメラーゼを用いて30サイクル(95℃で30秒の融解、60℃で45秒のアニーリング、68℃で1分の伸長)行う。
この結果を図8に示すが、これは1ラウンドにおいてTAR1-5-19とTAR1-5の1:100比が高親和性結合体のDNAを大量の低親和性結合体に対して効率よく単離することを実証する。
選択を行わず、かつ両方を1:1で混合する場合、この1:1比は影響されない(図9)。
実施例6
乳化を用いるモデル選択
これまでの実施例で、本発明者らは、構築物を個別のバイアル内でin vitro翻訳させてから翻訳産物を混合する場合には、遺伝子型-表現型の相互連関性が保持される、ことを示した。しかし、選択を複数の鋳型を用いて行おうとする場合には、各鋳型についてのin vitro翻訳を個別のバイアル内で行うことによって区画化することはもはや実行可能でない。この問題に対する解決策は、油を水中で乳化することにより作られたマイクロカプセル内でin vitro翻訳反応を行うことであろう。各マイクロカプセルは典型的には、in vitro転写/翻訳を行うのに必要な全ての成分に加えて、単一のDNA鋳型を含むべきである。翻訳後、産生されたdAb-Tus融合タンパク質は同じマイクロカプセル内に存在するDNA鋳型と結合するだろう。このタンパク質-DNA相互作用は、その後のエマルジョンの破壊および融合タンパク質のドメイン抗体部分の結合特性についての選択に耐えるよう十分に安定でなければならない。
例えば、2つの構築物、サイトカインと50 nM Kdで結合するdAbを含む7t3T.Vk(X)と、そのサイトカインに対して測定可能な親和性をもたない7t3T.Vk(E5)を、それぞれ別々にAS11 (配列番号21)およびAS17 (配列番号23)を用いてPCR増幅させて、3つのTerBオペレーター部位-T7プロモーター-dAb-リンカー-Tus-HA-停止(図4)からなる線状DNA断片を得る。これらのPCR産物をQiagenスピンカラムで精製分離し、DNAを定量して、1:10、1:30、および1:100 (X:E5)のモル比で混合する。続いて、in vitro翻訳をエマルジョン中で行う。一般的には、次のように実施する:マグネチックスターラーを備えた10 ml falconチューブに、650μlのミネラルオイル(sigma)、4.5%のSpan-80 (Fluka)、および0.5%のtriton-X-100 (Sigma)の混合物を加える。チューブをマグネチックスターラープレート上のホルダーに配置する。その間に、DNA鋳型溶液をTBS+2% BSAで1.2 ng/μlに希釈し、この溶液1μlを反応バイアルに添加する。この量は5.0×108のDNA分子に相当する。上述したIVT反応の成分(11.5μl H2O、1.5μl 酸化型グルタチオン、2.0μl メチオニン、および35μl EcoPro)に加えて、10 nMのビオチン化サイトカインAを添加する。IVT反応混合物をDNAに加え、速やかに混合し、すぐに撹拌用オイルに添加する。5分撹拌した後、均質なエマルジョンが生成され、この混合物をスターラーから取り出して、室温で1時間インキュベートする。その後、エマルジョンを破壊する。これを行うために、エマルジョンを、ビオチン化サイトカイン(10 nM)および0.5 mlのヘキサン/ミネラルオイル(80/20)を含む250μlのPBS/1% BSAに添加する。この混合物をボルテックス撹拌し、13000 rpmで1分遠心分離し、上部有機層を取り出して1 mlのヘキサン/MOを添加する。この手順を3回繰り返す。4回目はヘキサンのみを添加して、遠心分離後にヘキサンを除去する。水相をストレプトアビジンコーティングPCRチューブ(ABgene)に移し、30分インキュベートしてからPBS/1% BSAで洗浄する。プライマーOA16 (配列番号25)、OA17n (配列番号26)およびpfuUltra DNAポリメラーゼ(Stratagene)を含有する50μlのPCR反応混合物をチューブに加える。続いて、30サイクルの増幅反応を次の条件下で行う:95℃で30秒の融解、72℃で30秒のアニーリングおよび増幅。PCR産物を2%アガロースゲルで検出し(図10)、Qiagenスピンカラムで精製分離する。この産物を50μl中で制限酵素SalIおよびNotI (NEB)により消化し、SalI-NotIで同様に消化しておいたpIE7t3Tベクターに連結させる。連結反応は全容量5μl中にてT4リガーゼ(NEB)を用いて行う。1μlの連結反応物をプライマーAS16 (配列番号18)およびAS22、platinum pfx DNAポリメラーゼを用いて25サイクルでPCR増幅させる。1.2%アガロースゲルで精製分離して分析した後(図10)、このPCR産物をin vitro翻訳して、実施例2に記載したように抗原結合について分析することができる。この場合には、サイトカインAとのインキュベーションを単一濃度(100 nM)で行い、結果をプロットする(図10)。
1ラウンドの選択は、サイトカインに対する結合体のレベルを25倍高めるが、これは、例えば1:30 (3.3%)および1:100 (1%)の選択後のシグナルを、それぞれ75%および25%でのタイトレーション曲線の値と比較するとき視覚化される。
実施例7
ドメイン抗体のライブラリーからのサイトカイン結合性ドメイン抗体の親和性成熟
本発明のある適用例はドメイン抗体の親和性成熟である。多くの場合、抗体は抗原に対して所定の親和性を有する。しかしながら、この親和性は、例えば治療上有用であるためには、その抗体にとって不十分である。したがって、抗体の親和性をさらに高めることが望まれる。ほとんどのアプローチでは、親抗体の変異体を数多く作製して、より良好な結合体を選択する必要がある。Tus DNA結合ドメインと組み合わせたマイクロカプセル内でのin vitro転写/翻訳による遺伝子型-表現型の相互連関性を用いると、より優れた結合特性について108の抗体変異体の多様性を評価することが可能であると考えられる。
親和性成熟のためにTus系を用いる一例は次のとおりである:サイトカインAに対して10 nMのKdを有するドメイン抗体Yを親として選択した。第1のステップでは、pDOM5中の親分子をプライマーDOM8 (配列番号29)およびDOM9 (配列番号30)により増幅させて、dAbを含むPCR断片を得る。続いて、そのdAb遺伝子を、GenemorphIIキット(Stratagene)を用いてプライマーOA16 (配列番号25)およびOA17n (配列番号26)によりPCR増幅させて、親配列中にランダムエラーを生じさせた。エラープローンPCRはメーカーの使用説明書に従って実施した。簡単に説明すると、1 pgのDOM8-DOM9産物を30サイクル(95℃で30秒の融解、72℃で30秒のアニーリングおよび伸長)で増幅させた。この産物をQiagenカラムで精製分離し、制限酵素SalI-NotIで消化し、再度Qiagenスピンカラムで精製分離し、T4 DNAリガーゼを用いてpIE7t3Tベクターに連結させた。連結後に多様性を評価するために、0.5μlアリコートをXL-10 gold細胞(Stratagene)に形質転換し、希釈物をプレートした。並行して、既知量のミニプレプしたDNA、7t3T.Vk(Y)を1x T4リガーゼバッファーで希釈し、これもXL-10細胞に形質転換してプレートした。連結混合物と対照の両プレート上のコロニー数をカウントし、希釈率を掛け算することにより、連結イベント数を概算した。ほとんどの場合に、この数は108を上回った。数個のコロニーをピッキングし、配列決定を行って多様化が起こっていたことを確認した。
次のステップでは、エラープローン遺伝子を含む連結混合物を、platinum pfx DNAポリメラーゼとプライマーAS12 (配列番号22)およびAS18 (配列番号24)を用いてPCR増幅した。用いたPCRプログラムは一般的に、95℃で30秒の融解、60℃で30秒のアニーリング、68℃で2分の伸長を25サイクルとした。増幅後、産物を1.2%アガロースゲルで検出し、Qiagenカラムで精製分離し、OD260/280により定量化した。このPCR産物を第1ラウンドの選択のためのインプット物質として使用した。エマルジョン中での選択ラウンドをどのように行うかについての詳細な説明は実施例6に記載し、図11にまとめて示す。本実施例の親和性成熟選択法においては、いくつかの改変を行った:
1) IVT反応混合物にサイトカインYを50 nM濃度で添加した。これは、in vitro転写/翻訳の間、抗原がエマルジョン中に含まれてマイクロカプセル内にすでに存在していたことを意味する。
2) エマルジョン中でのIVT後に、250μlのPBS/1% BSAの存在下でエマルジョンを破壊した。この水相に、2 nMの遊離3tオペレーター断片を添加して、エマルジョンの破壊中および破壊後にそのコグネイトDNAから解離したdAb-Tus融合タンパク質を取り除いた。
3) また、エマルジョンの破壊の際に使用した250μlのPBS/BSAに、追加のビオチン化抗原を添加したが、その最終濃度がIVTにおけると同じ濃度のままであるような量で添加した。第1ラウンドでは、これを50 nMとし、後続のラウンドでは10 nMに低下させた。
4) オフ速度選択を行う可能性が存在する。これは、エマルジョンを破壊した後であって、ストレプトアビジンコーティングPCRチューブに抗原/dAb-Tus/DNA複合体を捕捉する前に、非ビオチン化(「コールド」)抗原を反応混合物に添加することにより行った。オフ速度選択を実施する時間の長さは変化したが、それは選択条件のストリンジェンシーが一連の選択ラウンドの間に増加したからである。本実施例では、オフ速度選択をラウンド4で開始して5分間行い、ラウンド9では20分に延長した。
マイクロカプセル内でのIVT、エマルジョンの破壊、およびストレプトアビジンコーティングPCRチューブへの捕捉を(全て実施例6に記載したとおりに)行った後、結合性dAbをコードするDNAを、プライマーOA16 (配列番号25)およびOA17n (配列番号26)によりPCR増幅した。この段階で、エラープローン条件を用いてさらなるPCRを行うことにより、選択したクローンに追加の変異を導入するという選択肢が利用可能である。これを3ラウンドの選択後に実施し、エラープローンライブラリーの作製について先に記載したのと同様の条件を採用した。全ての場合に、産物を制限酵素SalIおよびNotIで消化し、pIE7t3Tに連結し、オリゴヌクレオチドAS12 (配列番号22)およびAS18 (配列番号24)を用いてPCR増幅した。この反応のPCR産物を次のラウンドの選択のために使用した。この実施例では、合計9の一連の選択ラウンドを実施した。これらのラウンドにおいては、次第に減少する量のビオチン化抗原を用いた:ラウンド1では50 nM、ラウンド2では20 nM、そしてラウンド3〜9では10 nM。オフ速度選択はラウンド4〜9において次の濃度および時間を用いて実施した:ラウンド4、400 nMのコールド抗原を用いて5分; ラウンド5、400 nMのコールド抗原を用いて8分; ラウンド6、600 nMのコールド抗原を用いて15分; ラウンド7、600 nMのコールド抗原を用いて20分; ラウンド8、1μMのコールド抗原を用いて20分; およびラウンド9、1μMのコールド抗原を用いて20分。
ラウンド9の後、選択したドメイン抗体をpUC119系発現ベクターにlacZプロモーターの制御下でSalI-NotIクローニングし(図12)、HB2151細胞に形質転換した。dAbをランダムにピッキングし、発現させ、精製して特徴づけた。サイトカインAに対するdAbの親和性はBIAcore1000で解析した。
本実施例において、BIAcoreで解析したクローン(Vk(X*))は3つのアミノ酸変異を含み、抗原に対するその親和性が約10倍増加していた(図13)。
実施例8
ドメイン抗体のライブラリーからのサイトカインX結合性ドメイン抗体の親和性成熟
本発明者らの技術をドメイン抗体の親和性成熟に使用することが1つの標的に限られないことを証明するために、異なるドメイン抗体(Vk (Y))と異なるサイトカイン(サイトカインX)を用いて親和性成熟のための第2の選択を行った。この実験の実施は実施例7と非常に類似している。その実施例で説明したとおり、Genemorph II (Stratagene)を用いて作製した>108個の変異体(Vk (Y)に基づく)のエラープローンPCRライブラリーをpIE7t3Tベクターに連結させ、プライマーAS12 (配列番号22)およびAS18 (配列番号24)によるPCR増幅を行って第1ラウンドの選択のためのインプット物質を得た。このライブラリーのエラー率を、実施例7に記載したようにして得られた個々のクローンのDNA配列決定により調べたところ、ドメイン抗体遺伝子あたり平均2.1ヌクレオチドであることが見出された。
エマルジョン選択(すなわち、乳化、in vitro翻訳、エマルジョンの破壊、ストレプトアビジンコーティングPCRチューブへの捕捉、および結合したドメイン抗体DNAのPCR増幅)は基本的に実施例6に記載したとおりに行ったが、実施例7で述べた改変を実施例8にも適用した。相違点は次の点だけである:1)サイトカインとしてサイトカインXを使用した、2)オフ速度の向上についての選択は行わなかった、3)選択ラウンドの間、エラープローンPCRの追加のラウンドを行わなかった。合計10の一連の選択ラウンドを実施したが、これらのラウンドでは次第に減少する量のビオチン化サイトカインXを使用した:ラウンド1では50 nM; ラウンド2では35 nM; ラウンド3では20 nM; ラウンド4および5では15 nM; ラウンド6、7および8では10 nM; ラウンド9では7.5 nM; そしてラウンド10では5 nM。
ラウンド10の後、選択したドメイン抗体をpUC119系発現ベクターにlacZプロモーターの制御下でSalI-NotIクローニングし(図12)、MACH1細胞(Invitrogen, CA, USA)に形質転換した。96個のコロニーをランダムにピッキングし、ドメイン抗体を上清中に発現させた。サイトカインX ELISAで上清をスクリーニングして、サイトカインXへの結合性が向上したドメイン抗体を同定した。これらのドメイン抗体をさらなる特性決定のために精製し、サイトカインXに対するそれらの親和性をBIAcore1000で解析した。
この選択から、CDR3に単一のアミノ酸変異を有するドメイン抗体(Vk (Y*))が同定され、これはBIAcoreで解析したとき親和性の25倍増強をもたらした(図14)。BIAcore実験は、親dAbと改良型dAbの両方を同一濃度でサイトカインXコーティングBIAcoreチップに注入することにより行った。
実施例9
1つのTerBオペレーターを含むTUSベクターを用いた、サイトカインY結合性ドメイン抗体の親和性成熟
これまでに記載した親和性成熟に関する実施例では、用いたベクターが常にpIE7t3Tであり、このベクターは3つのTerBオペレーターを含んでいた。3つのオペレーターはより強固な遺伝子型-表現型の相互連関をもたらすが、1つのDNAオペレーターのみを含む全くの一価系を用いて選択を行うことが有利であるかもしれない。これは、3つのオペレーターの使用と関連している可能性がある、どのような結合活性成分をも回避すると考えられる。したがって、本発明者らは、単一TerBオペレーター系を用いて、サイトカインYに対するドメイン抗体についての親和性成熟選択を行った。
再度、実施例7および8と同様に、ドメイン抗体(Vk (Z))をエラープローンPCR条件下で増幅し、その後TUS in vitro翻訳ベクターに連結させた。もっとも、今回用いたベクターはpIE7t3Tの代わりにpIE7tTであり、3つではなく1つのTerBオペレーター配列を含んでいた。このベクターの構築は実施例1に記載されており、該ベクターは図3に示されている。選択は実施例7および8に記載したように行ったが、今回は8ラウンドの選択を行い、各ラウンドの選択においてpIE7tTベクターへの連結を使用した。これらの選択ラウンドを通して、エマルジョンの破壊およびストレプトアビジンプレートへの抗原の捕捉は常に少なくとも2 nMの遊離TerBオペレーターの存在下で行った。このことは実施例7と同様であり、解離しているDNA-タンパク質複合体を取り除くことを意味する。選択ラウンドの間、サイトカインYの濃度を次のように減少させた:ラウンド1では50 nM; ラウンド2では20 nM; ラウンド3では15 nM; ラウンド4および5では10 nM; そしてラウンド6、7および8では7.5 nM。実施例7および8に記載したように、ラウンド8のアウトプットを我々の発現ベクターにSalI-NotIクローニングし、dAbを発現させ、結合性の向上についてスクリーニングした。これにより、CDR2に単一の変異を含む新規ドメイン抗体(Vk (Z*))が同定され、このドメイン抗体はサイトカインYに対する親和性が2倍改良されていた(図15)。この改良は、親dAbと改良型変異体の両方を同一濃度でBIAcore(そのチップ表面にはサイトカインをコーティングしてある)に注入することにより確認した。
上記明細書中で挙げた全ての刊行物は参照により本明細書に組み入れるものとする。本発明の上記方法および系の様々な修飾ならびに変更が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明を具体的な好ましい実施形態と関連させて説明してきたが、特許請求された本発明はそのような具体的な実施形態に不当に制限されるべきでないことを理解すべきである。実際、本発明を実施するための上記態様の各種改変が分子生物学または関連技術分野の当業者には自明であり、それらも特許請求の範囲内に含まれるものとする。
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配列
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pIE in vitro発現ベクター中の発現カセットの模式図。T7PはT7プロモーター、g10eはg10エンハンサー、RBSはリボソーム結合部位、ATGは翻訳開始部位、HAはHAタグ、TAAは終止コドン、T7TはT7ターミネーターを示す。また、クローニング部位を含む対象の断片のDNA配列を示す。 pIE2tTベクターのBamHI部位へのTus遺伝子の挿入を示す模式図。TerBオペレーター配列がBglII部位に挿入されている。 KEAリンカーをpIE2tTのNotI部位に挿入し、それによりpIE7tTを作製した。 BglII部位に追加のTerBオペレーター配列を挿入し、それによりpIE7t3T系ベクターを作製することができる。次に、Vκ(E5) (配列番号7)をSalI部位とNotI部位の間にクローン化して、最終構築物pIE7t3T Vκ(E5)を作製した。 in vitroで翻訳されたdAb-Tus融合タンパク質とTNFaとの結合。TNFaの濃度範囲は、in vitroで翻訳され捕捉されたdAb-Tus融合タンパク質を、表示濃度のビオチン化TNFaと共にインキュベートした際に得られたEILSAシグナルに対して、プロットする。TAR1-5-19は遊離型dAbであり、2tT(1-5-19)および7tT(1-5-19)はそれぞれA3GSリンカーまたはKEAリンカーを介してTusタンパク質に融合されたTAR1-5-19 Vκドメイン抗体である。 in vitroで翻訳されたdAb-Tus融合タンパク質とTerBオペレーターとの結合。DNAの濃度範囲は、in vitroで翻訳され捕捉されたTAR(1-5-19)-Tus融合タンパク質を、表示濃度のビオチン化TerBオペレーターDNAと共にインキュベートした際に得られたELISAシグナルに対して、プロットする。7tTベクターはKEAリンカーを含むのに対し、2tTベクターはA3GSリンカーを含む。捕捉された融合タンパク質は、シングル(1t)またはトリプル(3t)のTerBオペレーターDNAと共にインキュベートした。 TAR(1-5-19)-Tus融合タンパク質からのTerBオペレーターの時間依存的な解離。in vitroで翻訳されたTAR(1-5-19)-Tus融合タンパク質を、ビオチン化TerBオペレーターDNAと共にインキュベートする。そして、ビオチン化DNAを除去した後、DNAのELISAシグナルを異なる時点で測定して、ビオチン化オペレーターの解離度を経時的に測定した。1tおよび3tは、シングルおよびトリプルのTerBオペレーター断片を示す。2tT (A3GS)および7tT (KEA)は、TAR1-5-19をTusに融合させるために用いたリンカーを示す。 ドメイン抗体とTusは独立して機能する。ELISAを実施するにあたって、in vitroで翻訳されたpIE7tT(TAR1-5-19)を捕捉し、過剰量のDNAの存在下または不在下で、ビオチン化TNFaと共にインキュベートする。同様に、過剰なTNFaの存在下または不在下で、融合タンパク質をビオチン化DNA(TerBオペレーター)と共にインキュベートする。 乳化を用いないモデル選択。例として、pIE7t3Tベクター中のTAR1-5-19:TAR1-5の1:100混合物をビオチン化TNFaによる選択に供する。ストレプトアビジンをコーティングしたPCRプレート上に捕捉した後、結合したDNAを増幅させ、TAR1-5-19に特異的なサイズをもつ産物を得る。選択を行わずに、1:1混合物を直接増幅させた場合には、TAR1-5に特異的な、より小さな断片が主に増幅される。 乳化を用いるモデル選択の概略図。pIE7t3T Vκ(X)およびpIE7t3T Vκ(E5)のDNAを3つの異なる割合で混合する。乳化、選択、およびOA16(配列番号25)とOA17n(配列番号26)を用いたPCRの後、単一の生成物が得られる(A)。これらをSalI-NotIで消化し、pIE7t3Tに連結させ、AS16 (配列番号18)およびAS22を用いてPCR増幅する(B)。該PCR産物をin vitroで翻訳し、一定量のビオチン化サイトカインAを用いてELISAで分析する。選択後のELISA結果を、タイトレーション曲線と並べてプロットする(C)。 乳化およびTus DNA結合タンパク質を用いた1回の選択サイクルの概略図。 ドメイン抗体の発現に使用するpUC119 GAS-mycベクターの模式図。 サイトカインAとの結合に関するVκ(X)およびVκ(X*)のBIAcore解析。ストレプトアビジンをコーティングしたBIAcoreチップ上で、ビオチン化サイトカインAを捕捉した。次に、精製したVκ(X)およびVκ(X*)を注入し、dAbとサイトカインとの結合および解離について調べた。下の曲線はVκ(X)を示し、上の曲線はVκ(X*)を示す。 サイトカインXとの結合に関するVκ(Y)およびVκ(Y*)のBIAcore解析。ストレプトアビジンをコーティングしたBIAcoreチップ上で、ビオチン化サイトカインXを捕捉した。次に、精製したVκ(Y)およびVκ(Y*)を注入し、dAbとサイトカインXとの結合および解離について調べた。下の曲線はVκ(Y)を示し、上の曲線は改良型変異体Vκ(Y*)を示す。 サイトカインYとの結合に関するVκ(Z)およびVκ(Z*)のBIAcore解析。ストレプトアビジンをコーティングしたBIAcoreチップ上で、ビオチン化サイトカインYを捕捉した。次に、精製したVκ(Z)およびVκ(Z*)を注入し、dAbとサイトカインYとの結合および解離について調べた。下にある曲線はVκ(Z)を表し、上にある曲線は改良型変異体Vκ(Z*)を表す。ここでの値は、BIAevaluationで測定した両方のドメイン抗体の解離定数(Kd)(単位:nM)を表す。

Claims (27)

  1. (i)Tus DNA結合ドメインが結合することができる、少なくとも1つのTerオペレーター、(ii)1つまたは複数のTus DNA結合ドメインをコードする配列であって、該Tus DNA結合ドメインが配列番号1に示した配列を含むか、または該配列からなる、上記配列、ならびに(iii)少なくとも1つのポリペプチドドメインをコードする配列、を含む核酸融合体であって、発現されると該核酸融合体は該少なくとも1つのポリペプチドドメインと該1つまたは複数のTus DNA結合ドメインからなる融合体を産生する、上記核酸融合体。
  2. 少なくとも1つのポリペプチドドメインが抗体ドメインである、請求項1に記載の核酸融合体。
  3. 前記抗体ドメインがVL、VHまたはラクダ科動物VHHドメインである、請求項2に記載の核酸融合体。
  4. 前記核酸融合体が、発現されるとタグ配列を産生する配列を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の核酸融合体。
  5. 前記タグをコードする配列が前記核酸融合体の3’末端に含まれる、請求項4に記載の核酸融合体。
  6. 前記タグをコードする配列がHA、FLAGまたはc-Mycからなる群より選択されるタグ配列を産生する、請求項4または請求項5に記載の核酸融合体。
  7. 前記ポリペプチドドメインが発現されると、Tus DNA結合ドメインのN末端と直接的または間接的に融合される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の核酸融合体。
  8. Tus DNA結合ドメインをコードする配列が配列番号2に示した配列を含むか、または該配列からなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の核酸融合体。
  9. 前記核酸融合体が1つまたは複数のリンカーをさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の核酸融合体。
  10. 前記核酸融合体が1、2または3つのTerオペレーターを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の核酸融合体。
  11. TerオペレーターがTerBを含むか、またはTerBからなる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の核酸融合体。
  12. TerBが配列番号3または配列番号4に示した配列を含むか、または該配列からなる、請求項11に記載の核酸融合体。
  13. 抗体VLドメインがVκである、請求項3〜12のいずれか1項に記載の核酸融合体。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の核酸融合体を含有する構築物。
  15. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の核酸融合体を含有するベクター。
  16. 請求項14に記載の構築物または請求項15に記載のベクターを含有する宿主細胞。
  17. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の核酸融合体と結合された請求項1〜13のいずれか1項に記載の核酸融合体によりコードされるタンパク質を含んでなるタンパク質-DNA複合体。
  18. 請求項17に記載のタンパク質-DNA複合体の製造方法であって、以下のステップ:
    (a) 請求項1〜13のいずれか1項に記載の核酸融合体、請求項14に記載の構築物、または請求項15に記載のベクターを用意すること、
    (b) 該核酸融合体を発現させてその対応するタンパク質を産生させること、
    (c) タンパク質-DNA複合体を形成させること、
    を含んでなる上記方法。
  19. 所望の結合特異性を有するポリペプチドドメインをコードする1つまたは複数の核酸を単離する方法であって、以下のステップ:
    (a) 請求項1〜13のいずれか1項に記載の核酸融合体、請求項14に記載の構築物、または請求項15に記載のベクターを用意すること、
    (b) 該核酸融合体をマイクロカプセル内に区画化すること、
    (c) 該核酸融合体を発現させてその対応するポリペプチドドメインを産生させること、
    (d) 該マイクロカプセルを共通の区画にプールすること、
    (e) 所望の結合特異性を有するポリペプチドドメインを産生する核酸を選択すること、
    を含んでなる上記方法。
  20. 追加のステップとして、
    (f) 前記ポリペプチドドメインに1つまたは複数の突然変異を導入すること、
    をさらに含む、請求項19に記載の方法。
  21. ステップ(a)〜(e)の1つ以上を反復して繰り返すことをさらに含む、請求項19または20に記載の方法。
  22. 前記ポリペプチドドメインを増幅させることをさらに含む、請求項1921のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記ポリペプチドドメインがアフィニティー精製により選別される、請求項1922のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記ポリペプチドドメインがプロテインLを用いて選別される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記ポリペプチドドメインが、所望の結合特異性を有さないポリペプチドドメインの選択的除去により選別される、請求項1924のいずれか1項に記載の方法。
  26. ポリペプチドドメインの調製方法であって、以下のステップ:
    (a) 請求項1〜13のいずれか1項に記載の核酸融合体、請求項14に記載の構築物、または請求項15に記載のベクターを用意すること、
    (b) 該核酸を区画化すること、
    (c) 該核酸を発現させてその対応する遺伝子産物を産生させること、
    (d) 所望の結合特異性を有するポリペプチドドメインを産生する核酸を選別すること、
    (e) 所望の結合特異性を有するポリペプチドドメインを発現させること、
    を含んでなる上記方法。
  27. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の核酸融合体を含む人工のマイクロカプセル。
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