JP5020968B2 - ジクロロトリフルオロエタンの製造方法 - Google Patents

ジクロロトリフルオロエタンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ペルクロロエチレンとフッ化水素の気相中反応による、ジクロロトリフルオロエタンを含んでなる組成物の製造方法に関する。
ジクロロトリフルオロエタンは、冷媒として、ならびに続いてペンタフルオロエタンに転化するための中間生成物としても使用される。この物質は、3種類の異性体形態で存在する。しかし、通常、冷凍およびペンタフルオロエタンへの転化に使用される異性体は、1,1-ジクロロ-2,2,2-トリフルオロエタン(R-123)である。
事実上、現在製造されている全てのジクロロトリフルオロエタンは、下記のように、ペルクロロエチレンのフッ化水素化(hydrofluorination)により製造される。
Figure 0005020968
ペルクロロエチレンのジクロロトリフルオロエタンへの転化は、発熱過程であり、気相中または液相中で行われる。
ジクロロトリフルオロエタンは、下記のように、さらにフッ素化してペンタフルオロエタン(R-125)を製造することができる。
Figure 0005020968
ペルクロロエチレンからジクロロトリフルオロエタンを製造するための公知の方法には、多くの欠点がある。例えば、ペルクロロエチレンからジクロロトリフルオロエタンへの反応は発熱性であるために、処理を行う反応器が過度に高温になることがある。その結果、プロセスが汚染され、分解した有機材料(一般的に「コークス」と呼ばれる)が、時間と共に触媒表面上に堆積することがある。汚染は、触媒の活性を下げるので、好ましくない。状況により、プロセスが制御できなくなることさえある。
ジクロロトリフルオロエタンを製造する公知の方法では、典型的には製品が様々な有機不純物で汚染され、それらの不純物の中には、ジクロロトリフルオロエタンを続いてペンタフルオロエタンの製造に使用する場合に、特別な問題を引き起こすものがある。公知の方法で一般的に形成される不純物としては、いわゆる「110シリーズ」および「130シリーズ」の化合物に属する物質がある。
用語「110シリーズ」は、一般式CCl6-xの化合物を意味し、ここでxは0〜6の整数である。用語「130シリーズ」は、一般式CCl4-xの化合物を意味し、ここでxは0〜4の整数である。
理論に捕らわれたくはないが、110および130シリーズの化合物は、少なくとも部分的に、一般式CHCl5-xの、xが0〜5の整数である化合物を意味する120シリーズの化合物の不均化により生じると思われる。120シリーズの化合物としては、ジクロロトリフルオロエタン自体、ならびにペルクロロエチレンがフッ素化されてジクロロトリフルオロエタンを形成する時に形成され、最終的にはジクロロトリフルオロエタンに転化される、ジクロロトリフルオロエタンに対する前駆物質が挙げられる。これらの化合物は、テトラクロロフルオロエタン(R-121)およびトリクロロジフルオロエタン(R-122)であり、それぞれが異性体形態を有する。
110シリーズの化合物の形成は、このシリーズにある化合物の一つ、即ちクロロペンタフルオロエタン(R-115)、が、ほとんどの圧力でペンタフルオロエタンと共沸混合物または近共沸混合物を形成するので、ジクロロトリフルオロエタンを続いてペンタフルオロエタンの製造に使用する場合に特に問題である。共沸混合物または近共沸混合物は、それらの性質そのもののために、分離が困難であり、従って、ペンタフルオロエタンのクロロペンタフルオロエタンによる汚染は、製造方法の最後で、非常に現実的で経費のかかる精製の問題を引き起こす。クロロペンタフルオロエタンはオゾン減少の潜在的能力が高く、従って、ペンタフルオロエタン中に低レベルでのみ存在する必要があるので、この問題は特に重大である。
ペルクロロエチレンからジクロロトリフルオロエタンを製造する公知の方法で形成される傾向がある高レベルの不純物は、少なくとも部分的に、ペルクロロエチレンとフッ化水素の触媒作用による反応を制御するのが困難なためである。
まとめると、ジクロロトリフルオロエタン製造への従来手法のどれも、全体的に満足できるものではなく、この化合物を製造するための改良された方法、理想的には、公知の方法に関連する問題の少なくとも幾つかを解決する方法が求められている。例えば、低レベルの不純物、例えばトリクロロトリフルオロエタンおよびジクロロテトラフルオロエタン、を形成し、ジクロロトリフルオロエタンの精製を容易に、より経済的にする方法を提供することが望ましい。ジクロロトリフルオロエタンを製造するための、汚染が少なく、それによって、反応器の運転をより効率的にし、触媒耐用寿命を長くする方法を提供することも望ましい。
本発明は、ジクロロトリフルオロエタンの新規な製造方法を提供する。簡単に言うと、本方法は、フッ素化触媒の存在下でペルクロロエチレンをフッ化水素(HF)と反応させ、ジクロロトリフルオロエタンを製造することを含んでなる。
本発明の第一の態様により、高温で、気相中、少なくとも一個の反応器中で、フッ素化触媒の存在下で、ペルクロロエチレンをフッ化水素(HF)と反応させることを含んでなるジクロロトリフルオロエタンの製造方法であって、該方法を、該または各反応器の入口側から出口側へ横切る温度増加を制御するように操作する、方法を提供する。
ジクロロトリフルオロエタンは、3種類の異性体で存在する。しかし、一般的に、本方法により、1,1-ジクロロ-2,2,2-トリフルオロエタン(R-123)が優先的に製造され、他の異性体のいずれかが製造されるにしても、その異性体は、1,1-ジクロロ-2,2,2-トリフルオロエタンに対しては少量である傾向がある。しかし、ジクロロトリフルオロエタンの全ての異性体が、例えばペンタフルオロエタンを製造するための出発材料として、潜在的に有用である。以下、他に指示が無い限り、ジクロロトリフルオロエタンの異性体に関しては、純粋形態にあっても、または相互の混合物であっても、略称の「R-123」を使用する。
温度が高い程、好ましくない副反応、および場合により、その後に続く、後でより十分にフッ素化すべきジクロロトリフルオロエタンのフッ素化さえも促進される傾向があるので、本方法は、発熱フッ素化反応により起こる温度増加が制御されるように操作する。従って、温度増加または発熱を抑制することにより、この目的は、好ましくない副反応を低減させ、その後の、ジクロロトリフルオロエタンからより十分にフッ素化された生成物へのフッ素化を抑制することである。特に、温度増加は、その後に続く、ジクロロトリフルオロエタンからクロロテトラフルオロエタンおよびペンタフルオロエタンへの反応、ならびにペルクロロエチレンのフッ素化により生じる120シリーズの化合物から、110シリーズおよび130シリーズの化合物を形成する不均化を促進することがある。発熱反応を制御することにより、つまり実際には、一基以上の反応器の入口側から出口側へ横切る温度増加を抑制することにより、これらの好ましくない反応を低減させることができる。
プロセスの最後に回収される組成物は、通常、未反応ペルクロロエチレンならびに未反応フッ化水素を含んでなり、プロセスが慣らし運転(commissioning)または始動段階を通過した後、一個以上の反応器に供給されるペルクロロエチレンおよびフッ化水素反応物は、好ましくは未使用材料ならびに循環使用される材料の両方を含む。好ましい実施態様では、循環使用される材料は、反応器に供給されるペルクロロエチレンおよびフッ化水素反応物のかなりの部分を構成する。
一個以上の反応器に供給される反応物流は、その後の精製工程を行う結果として分離された他の循環使用成分、例えば120シリーズ化合物におけるジクロロトリフルオロエタンに対する前駆物質、も含むことができる。典型的には一個以上の反応器への供給原料の一部である2種類の特別な化合物は、トリクロロジフルオロエタン(R-122)およびトリクロロフルオロエチレン(R-1111)である。これらの化合物の両方共、さらなるフッ化水素との反応により、ジクロロトリフルオロエタンに転化することができるので、これらの化合物の回収および循環使用は、ペルクロロエチレンのジクロロトリフルオロエタンへの総転化率を増加するので、有利である。
様々な反応物を一個以上の反応器に、単一の組み合わせた原料として搬送するか、または二つ以上の個別原料として搬送することができる。例えば、ペルクロロエチレンおよびフッ化水素は、反応器に個別に搬送するか、またはペルクロロエチレンの一部を反応器に直接搬送し、一部をフッ化水素と組み合わせて混合原料を形成し、これを反応器に、純粋なペルクロロエチレン原料と同時に搬送することもできる。
本発明の方法は、単一の反応器で行うか、または直列または並列に配置した複数の反応器中で行うことができる。好ましくは、本プロセスは、列の第一の反応器から出た反応物流が次の反応器に、さらに次の反応器に入るように、直列に接続した複数の反応器で行う。2または3個の反応器を直列に配置するのが好ましいが、所望により、より多くの相互接続された反応器を使用することもできる。複数の反応器は、サイズが異なっていてもよいが、好ましい実施態様では、反応器は全てサイズおよび設計が等しい。好ましい実施態様では、該または各反応器は、断熱的に操作する。
好ましい実施態様では、本プロセスを、該または各反応器の入口側から出口側への温度増加が50℃未満、より好ましくは40℃未満、特に30℃未満、特に20℃未満になるように行う。誤解を避けるために、本プロセスを直列に接続された複数の反応器で行う場合、我々は、その列にある各個別の反応器を横切る温度増加を指しているのであり、反応器列全体的を横切る累積温度増加ではない。
温度増加を制御するための一方法は、例えば反応を、反応物ガス流が管の穴を通り、熱交換流体が管同士の間を通過する多管式反応器中で行うか、あるいは不活性希釈剤、例えば窒素、を反応器中に導入するか、または追加のフッ化水素を導入することにより、一個以上の反応器から熱を除去することである。
直列に接続した複数の反応器でプロセスを行う場合、各反応器における温度増加は、その列における各反応器に入る前の反応物ガスの温度を、各反応基の入口側における温度が実質的に等しくなるように調節することにより、制御するのが好ましい。しかし、反応器間の負荷を釣り合わせる別の方法、例えば各反応器を横切る温度上昇が実質的に等しくなるように反応器入口温度を調節すること、または各反応器の出口温度が実質的に等しくなるように入口温度を調節すること、も可能である。
好ましい実施態様では、直列に接続した複数の小型反応器を使用してプロセスを行うことにより、およびその列における各反応器対の間に中間冷却を入れることにより、温度増加を制御する。中間冷却の目的は、先行する反応器から出る反応物流を冷却し、その流の温度を、それが反応器に入った時に示した温度に向けて下げることにある。例えば、その列の第一反応器の入口側における気体状反応物流の温度が230℃であり、これが、その反応器の出口側で265℃に増加する場合、好ましい実施態様では、第一反応器に続く中間冷却の目的は、反応物流の温度を230℃に再び下げることである。このようにして、冷却工程が完了した時、反応物流の、それがその列の次の反応器に入る時の温度は、その反応物流が第一の反応器に入った時の温度に近い。その結果、両方の反応器を横切る温度増加は調整され、同じオーダーにあるべきである。この同じ目標が、その列における各反応器対間で行われる各中間冷却工程に定められる。
中間冷却を行うのに、どのような好適な冷却手段または冷却装置でも使用することができる。
中間冷却を達成する一方法は、各反応器対を接続する配管中に低温流体の塊(shot)を導入することである。配管の拡大部分を使用し、この低温塊を受け取るための混合チャンバーを設けることができる。この低温流体は、好ましくは反応物流の一つ以上の成分、例えばペルクロロエチレン、フッ化水素、トリクロロジフルオロエタンおよび/またはトリクロロフルオロエチレン、最も好ましくはフッ化水素である。低温塊に使用する流体が総反応物流の一部である場合、これは、好ましくは反応物流の一部を、その列の第一反応器からバイパスさせ、この流れを各反応器対を接続する配管に再び向けることにより行う。あるいは、反応物流の一成分の一部を、それが他の成分と組み合わされる前に、再び向けるか、もしくはその成分の流れを、それが含まれる貯蔵タンクから直接搬送することも可能である。
誤解を避けるために、低温塊を供給するために使用する流体は、この語の従来の意味における低温である必要は無い。反応器から出る反応物流の温度は、高温であり、300℃またはそれより高くてもよく、中間冷却の目的が、この流体を、好ましくは反応器に入った時の温度またはその近くに単純に冷却することであるので、低温塊を与えるのに使用する流体の温度は、この目的を達成するのに十分に低くさえあればよいのである。
特別な実施態様では、熱交換機を使用し、その中を通して好適な熱交換流体を、好ましくは向流で、熱交換機の両側で気体状反応物流に搬送することにより、中間冷却を達成する。好適な熱交換流体としては、溶融した熱伝達塩、例えば金属硝酸塩、例えばNaNOおよびKNO、および蒸気を発生するための水、がある。
2または3個の反応器を直列に配置し、該または各反応器対の間に熱交換機を入れて中間冷却を行う方法が、現在、好ましい。
本方法で起こる温度増加を制御するための、単独で、または上記のいずれかの方法と共に使用できる、もう一つの方法は、反応器に搬送される反応物中のペルクロロエチレン反応物の総体的な濃度を下げることであるが、これは、ペルクロロエチレン反応物を比較的大量のフッ化水素と組み合わせることにより、および/または、以前に反応器に反応物を通した際に形成され、続いて分離された、ジクロロトリフルオロエタン最終生成物に対する一種以上の前駆物質化合物を循環使用することにより行う。循環使用するのに好適な前駆物質化合物は、120シリーズの化合物から得られる化合物、即ちテトラクロロフルオロエタン(R-121)およびトリクロロジフルオロエタン(R-122)、特に後者、およびトリクロロフルオロエチレン、である。テトラクロロフルオロエタンおよびトリクロロジフルオロエタンは、異性体状形態で存在し、これらの異性体の一つまたは全部が、ペルクロロエチレンの希釈に使用できる。
本発明の好ましい態様では、ペルクロロエチレンをフッ化水素と、気相中、高温で、少なくとも一個の反応器中で、フッ素化触媒の存在下で反応させ、ジクロロトリフルオロエタン、塩化水素、該組成物中の有機化合物の総重量に対して2重量%未満のクロロテトラフルオロエタンとペンタフルオロエタンの組合せ、および5重量%未満の式CCl6-xを有し、xが0〜6の整数である化合物を含んでなる組成物を製造する方法であって、該方法を、該または各反応器を入口側から出口側へ横切る温度増加を制御するように操作する、方法を提供する。
該または各反応器を横切る温度増加を制御することにより、ペルクロロエチレンの反応を制御し、クロロテトラフルオロエタンおよびペンタフルオロエタン、ならびに式CCl6-xを有する化合物の形成を低減または場合により、回避することさえ可能である。
好ましい実施態様では、反応を、少なくとも一個の反応器に供給されるペルクロロエチレンの30重量%以上、例えば30〜80重量%、特に40重量%以上、例えば40〜80重量%、が未反応のまま、該または各反応器を通過するように制御する。好ましくは、ペルクロロエチレン反応物原料の45〜80重量%、より好ましくは50〜80重量%、特に50〜70重量%、が未反応のまま、該または各反応器を通過する。好ましい実施態様では、未反応ペルクロロエチレンの少なくとも一部、好ましくはかなりの部分が回収され、プロセスに循環使用される。
言い換えれば、この好ましい実施態様では、本方法を、ペルクロロエチレン原料全体の70重量%以下、例えば20〜70重量%、が生成物を形成するように行う。これらの転化率は、全ての循環使用される材料を含めて、プロセスに供給されるペルクロロエチレンの総量に対する率である。好ましくは、ペルクロロエチレンの、生成物への転化率は、60重量%以下、例えば20〜60重量%、より好ましくは20〜55重量%、特に20〜50重量%、特に30〜50重量%になるように行う。本方法を、直列に接続された複数の反応器で行う場合、上記の転化率は、反応物ガス流が全ての反応器を通過した後のペルクロロエチレンの総転化率を意味する。つまり、この転化率は、全ての反応器におけるペルクロロエチレンの累積転化率であり、重要な数値である。
好ましくは、ペルクロロエチレンとフッ化水素の反応から製造される組成物は、該組成物中の有機化合物の総重量に対して1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、特に好ましくは0.2重量%未満のクロロテトラフルオロエタンとペンタフルオロエタンの組合せを含んでなる。理想的には組成物は、クロロテトラフルオロエタンもペンタフルオロエタンも含まないが、これを実際に達成するのは困難である。典型的には、組成物は、少量のクロロテトラフルオロエタン、および存在するにしても、痕跡量のペンタフルオロエタンだけを含んでなる。クロロテトラフルオロエタンは、無論、2種類の異性体、即ち1-クロロ-1,2,2,2-テトラフルオロエタン(R-124)および2-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン(R-124a)、で存在する。一般的に、本方法は、2-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン(R-124a)よりも、1-クロロ-1,2,2,2-テトラフルオロエタン(R-124)を優先的に製造し、1-クロロ-1,2,2,2-テトラフルオロエタン(R-124)異性体だけを製造することが多い。しかし、我々は、両方の異性体が製造される可能性を排除せず、以下、他に指示が無い限り、クロロテトラフルオロエタンの異性体全体に、純粋な形態であっても、または相互の混合物でも、略称の「R-124」を使用する。
好ましくは、ペルクロロエチレンとフッ化水素の反応から製造される組成物は、該組成物中の有機化合物の総重量に対して2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、特に好ましくは0.5重量%未満の式CCl6-xを有する化合物を含んでなる。理想的には、組成物は、式CCl6-xの化合物を含まないが、これを実際に達成するのは困難である。
形成を制限するか、または可能であれば一切回避すべきである式CCl6-xの化合物は、トリクロロトリフルオロエタン(R-113化合物)およびジクロロテトラフルオロエタン(R-114化合物)である。従って、好ましい実施態様では、製造される組成物は、該組成物中の有機化合物の総重量に対して2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、特に好ましくは0.5重量%未満の、トリクロロトリフルオロエタンとジクロロテトラフルオロエタンの組合せを含んでなる。やはり、組成物は、トリクロロトリフルオロエタンもジクロロテトラフルオロエタンも含まないのが好ましいが、これを実際に達成するのは困難であるので、組成物は、典型的には少量の両化合物を含んでなる。
無論、ペルクロロエチレンとフッ化水素の反応から形成される組成物は、上記以外の化合物を含むことができる。そのような化合物としては、120シリーズに由来する他の化合物、例えばテトラクロロフルオロエタンおよびトリクロロジフルオロエタン、130シリーズに由来する化合物、例えば1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタン(R-133a)およびトリクロロフルオロエチレン(R-1111)がある。これらの他の材料のほとんどは、存在するにしても、少量または痕跡量で存在するだけである。しかし、かなり大量に存在することがある2種類の特別な化合物は、トリクロロジフルオロエタン(R-122)およびトリクロロフルオロエチレン(R-1111)である。しかし、これは、両化合物共、フッ化水素とさらに反応することにより、ジクロロトリフルオロエタンに転化され得るので、問題にはならず、従って、行う必要があることは、これらの化合物を回収し、プロセスに循環使用することである。
本発明の方法は、高温、典型的には少なくとも200℃で行う。通常、本方法は、約200℃〜約350℃の温度で行う。好ましい反応温度は、約230℃〜約330℃、より好ましくは約240℃〜約310℃である。ペルクロロエチレンの反応は発熱反応であるので、反応温度は、無論、該または各反応器の入口側から出口側に増加する。通常、本方法を行う温度は、触媒の種類およびその活性によって異なる。特定の触媒に対して、その触媒が新しいバッチであるか、または再生したばかりである場合、その触媒は、時間と共に老化し、活性が低下した時よりも、高い活性を示し、低い温度で使用することができる。一般的に、フッ素化触媒は使用と共に老化するので、プロセスを行う温度は、触媒が再生または交換を必要とするレベルに触媒の活性が到達するまで、増加する。
本製法における望ましい反応温度は、一個以上の反応器を、例えばガスまたは電気的に加熱された加熱炉中に入れて直接加熱するか、または誘電加熱することにより、達成できる。しかし、好ましい実施態様では、反応器中の所望の反応温度は、一つ以上の反応物流を加熱してから反応器に装填することにより、達成される。
好ましい実施態様では、未使用材料ならびに循環使用材料、および所望により後に続く精製工程で分離された他の循環使用成分、例えば120シリーズの化合物におけるジクロロトリフルオロエタンに対する前駆物質材料およびトリクロロフルオロエチレン、を含むことができる主要反応物流、即ちペルクロロエチレンおよびフッ化水素(HF)、を、典型的には多段階加熱方法を使用して所望の温度に加熱してから、少なくとも一個の反応器に供給する。
多段階加熱方法では、好ましくは反応物流を蒸発させ、次いでその温度を、少なくとも二つの個別加熱段階を使用して、所望のレベルに上昇させる。好ましくは、反応物流を、例えばサーモサイホンリボイラー(thermosyphon reboiler)を使用して先ず蒸発させ、次いで、加熱媒体として凝縮スチームを使用する第一熱交換機、次いで加熱媒体として過熱スチームを使用する第二熱交換機を通過させることにより、段階的にさらに加熱する。
反応器中の圧力は、広範囲に変えることができる。しかし、典型的には、本方法は、圧力0〜30 barg、好ましくは圧力10〜20 barg、より好ましくは圧力12〜18 bargで行う。
反応器中の反応物の滞留時間も広範囲に変えることができる。しかし、典型的には、この滞留時間は、10〜200秒間、好ましくは30〜150秒間、より好ましくは60〜100秒間である。プロセスを、直列に接続した複数の反応器中で行う場合、上記の滞留時間は、反応物ガス流が全ての反応器を通過した後の総滞留時間を意味し、即ち反応物ガス流が全ての反応器を通過する時間を意味する。
典型的には、少なくとも一個の反応器に供給される原料中のフッ化水素と総有機成分のモル比は、2:1〜50:1、好ましくは3:1〜30:1、より好ましくは3:1〜20:1、特に3:1〜10:1である。
本発明の方法を行う反応器に、一種以上の他のハロ炭化水素、特にトリクロロジフルオロエタンおよび/またはトリクロロフルオロエチレン、も循環使用する場合、ペルクロロエチレンと一種以上のハロ炭化水素のモル比は、典型的には5:1〜1:5、好ましくは1:3〜3:1、より好ましくは2:1〜1:2である。
本発明の方法には、全ての好適なフッ素化触媒を使用することができる。好ましいフッ素化触媒としては、クロミア、オキシフッ化クロム、アルミナまたはフッ化アルミニウムを基剤とする触媒がある。これらの触媒は、例えばニッケル、コバルト、鉄および亜鉛からなる群から選択された一種以上の金属も含んでなり、活性を高めるか、または幾つかの他の特性を強化することができる。好ましくは、使用する触媒は、クロミアまたはオキシフッ化クロムを基剤とする触媒であり、より好ましくは、EP-A-0502605に記載されている亜鉛/クロミアまたは亜鉛/オキシフッ化クロム触媒である。共沈殿により調製された亜鉛/クロミアおよび亜鉛/オキシフッ化クロム触媒が特に好ましい。一般的に、亜鉛/クロミアおよび亜鉛/オキシフッ化クロム触媒は、使用する前に、高温でフッ化水素で前処理する。フッ素化触媒のフッ化水素による前処理は、当業者には良く知られており、ここで詳細に説明する必要は無い。好適な前処理方法は、例えばEP-A-0502605に記載されている。
ペルクロロエチレンとフッ化水素の反応から製造された組成物または生成物流は、少なくともジクロロトリフルオロエタンおよび塩化水素、および通常、未反応フッ化水素および未反応ペルクロロエチレンを含んでなる。この組成物は、典型的には少量の、例えば有機成分の総重量に対して2重量%未満の、クロロテトラフルオロエタンおよびペンタフルオロエタン、および少量の、例えば有機成分の総重量に対して5重量%未満の、式CCl6-xを有し、xが0〜6の整数である化合物、特にトリクロロトリフルオロエタンおよびジクロロテトラフルオロエタン、も含む。さらに、この組成物は、典型的には少量の120シリーズにあるジクロロトリフルオロエタンに対する前駆化合物、即ちテトラクロロフルオロエタンおよびトリクロロジフルオロエタン、特にトリクロロジフルオロエタン、およびトリクロロフルオロエチレンも含む。
この組成物は、通常、分離または精製工程にかけ、とりわけ、ジクロロトリフルオロエタン濃度を高くし、好ましくない不純物、特に式CCl6-xを有し、xが0〜6の整数である不純物の含有量を下げた、精製された組成物を製造する。式CCl6-xを有する不純物は、好ましくないクロロペンタフルオロエタンの形成につながることがあるので、これらの不純物の含有量を下げることが特に有益である場合、製造される精製された組成物を、続いてさらにフッ化水素と反応させ、ペンタフルオロエタンを製造することができる。
精製/分離工程で製造される精製された組成物は、典型的には、組成物中にある有機化合物の総重量に対して、少なくとも95重量%のジクロロトリフルオロエタンおよび0.5重量%未満の、式CCl6-xを有し、xが0〜6の整数である化合物を含んでなる。
好ましい実施態様では、製造される精製された組成物は、組成物中にある有機化合物の総重量に対して、少なくとも97重量%の、より好ましくは99重量%を超える、特に99.5重量%を超える、特に99.6重量%を超える、ジクロロトリフルオロエタンを含んでなる。
さらに、製造される組成物は、組成物中にある有機化合物の総重量に対して、0.4重量%未満、より好ましくは0.2重量%未満、特に好ましくは0.1重量%未満の、式CCl6-xを有する化合物を含んでなる。式CCl6-xの化合物を含まないのが理想的であるが、これを実際に達成するのは困難である。特に問題であり、その除去が特に重要である式CCl6-xの化合物は、トリクロロトリフルオロエタン(R-113化合物)およびジクロロテトラフルオロエタン(R-114化合物)である。従って、好ましい実施態様では、製造される精製された組成物は、組成物中にある有機化合物の総重量に対して、0.4重量%未満、より好ましくは0.2重量%未満、特に好ましくは0.1重量%未満の、トリクロロトリフルオロエタンおよびジクロロテトラフルオロエタンの組合せを含んでなる。やはり、トリクロロトリフルオロエタンもジクロロテトラフルオロエタンも含まないのが好ましいが、これを実際に達成するのは困難である。
無論、精製後に回収されるジクロロトリフルオロエタンの精製された組成物は、上記の材料以外の材料も含むことができる。存在し得る他の材料としては、トリクロロジフルオロエタンおよびフッ化水素がある。トリクロロジフルオロエタンは、組成物中にある有機化合物の総重量に対して、1重量%までの量で存在できる。フッ化水素は、フッ化水素とジクロロトリフルオロエタンのモル比が10:1まで、典型的には8:1まで、より一般的には5:1までになる量で存在し得る。ジクロロトリフルオロエタンに加えて大量のフッ化水素を含んでなる組成物は、無論、その後に続く反応工程でジクロロトリフルオロエタンをさらにフッ化水素と反応させ、ペンタフルオロエタンを形成する場合に有用である。また、無論、ジクロロトリフルオロエタンと式CCl6-xの化合物の総計が有機成分の100%にならない場合には、残部は一種以上の他の有機化合物で構成される。
さらに、精製/分離工程により、好ましくは他の材料、特に未反応ペルクロロエチレンとフッ化水素、および恐らく120シリーズの化合物、例えばトリクロロジフルオロエタン、および本発明のプロセスに循環使用するトリクロロフルオロエチレン、も回収される。
蒸留、相分離、吸着、例えば分子篩および/または活性炭を使用する吸着、およびスクラッビングを含む、いずれかの好適な分離/精製技術または技術の組合せを使用し、ペルクロロエチレンとフッ化水素の反応により得られるジクロロトリフルオロエタン含有組成物を精製することができる。しかし、好ましい実施態様では、分離/精製工程では、一基以上の蒸留カラムまたは蒸留器および所望により一基以上の相分離システムを使用する。
プロセスから出る生成物流は、典型的には冷却してから精製する。好ましくは、生成物流は、反応器から一基以上の冷却装置を通過させてから、精製/分離工程に送り、精製する。好適な冷却装置は、当業者には良く知られており、例えば熱交換機を含む。この冷却により、精製/分離工程が容易になり、好ましくはプロセスから来る生成物流を、実行する精製/分離工程を最適化する温度に冷却する。
例えば、精製/分離工程で一基以上の蒸留カラム/蒸留器を使用する場合、好ましくはプロセスから来る生成物流を典型的にはその露点、より好ましくはその泡立ち点、またはその近くに冷却してから、第一の蒸留カラムに通す。
好ましい実施態様では、蒸留カラム/蒸留器を使用して精製/分離工程を行う場合、ペルクロロエチレンとフッ化水素の反応により得られる、好ましくは上記のように冷却した生成物流を第一の蒸留器に通し、そこでその生成物流を、塩化水素およびジクロロトリフルオロエタンを含んでなる第一(またはトップ)留分および未反応フッ化水素およびペルクロロエチレンを含んでなる第二(またはボトム)留分に分離する。
トップ留分は、典型的には、ジクロロトリフルオロエタンおよび塩化水素に加えて、少量の、フッ化水素、クロロテトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンおよびトリクロロジフルオロエタンの一種以上も含む。
ボトム留分は、典型的には、ペルクロロエチレンおよびフッ化水素に加えて、ジクロロトリフルオロエタン、トリクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンおよびトリクロロフルオロエチレンの一種以上も含む。クロロテトラフルオロエタン、ジクロロトリフルオロエタンおよびトリクロロトリフルオロエタンは、通常は非常に少ない量でのみ存在するが、トリクロロジフルオロエタンおよびトリクロロフルオロエチレンは、かなり大量に存在し得る。
上記のことから分かるように、第一蒸留器の主な機能は、ジクロロトリフルオロエタンおよび塩化水素を、未反応のフッ化水素およびペルクロロエチレンから実質的に分離することである。
典型的には、第一蒸留器は、第一蒸留器に供給されるジクロロトリフルオロエタンと塩化水素の総量の90重量%超、好ましくは95重量%超、より好ましくは99重量%超、特に99.5重量%超がトップ留分として回収されるように操作する。特に好ましい実施態様では、第一蒸留器に供給されるジクロロトリフルオロエタンと塩化水素の少なくとも99.9重量%をトップ留分として回収する。
典型的には、第一蒸留器は、第一蒸留器に供給される未反応ペルクロロエチレンの総量の90重量%超、好ましくは95重量%超、より好ましくは99重量%超、特に99.5重量%超がボトム留分として回収されるように操作する。特に好ましい実施態様では、第一蒸留器に供給される未反応ペルクロロエチレンの少なくとも99.9重量%をボトム留分として回収する。
好ましい実施態様では、第一蒸留器から回収されるトップ留分を、所望により中間冷却装置を経由して第二蒸留器に通し、そこで、塩化水素を含んでなるトップ留分とジクロロトリフルオロエタンを含んでなるボトム留分にさらに分離する。
第二蒸留器から回収されるトップ留分は、塩化水素に加えて、典型的には少量の、フッ化水素およびペンタフルオロエタンの一種以上も含む。
第二蒸留器から回収されるボトム留分は、ジクロロトリフルオロエタンに加えて、典型的には少量の、塩化水素、フッ化水素、クロロテトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンおよびトリクロロジフルオロエタンの一種以上も含む。
上記のことから分かるように、第二蒸留器の主な機能は、ジクロロトリフルオロエタンを塩化水素から実質的に分離することである。
典型的には、第二蒸留器は、第二蒸留器に供給されるジクロロトリフルオロエタンの総量の90重量%超、好ましくは95重量%超、より好ましくは99重量%超、特に99.5重量%超がボトム留分として回収されるように操作する。特に好ましい実施態様では、第二蒸留器に供給されるジクロロトリフルオロエタンの少なくとも99.9重量%をボトム留分として回収する。
典型的には、第二蒸留器は、第二蒸留器に供給される塩化水素の総量の90重量%超、好ましくは95重量%超、より好ましくは99重量%超、特に99.5重量%超がトップ留分として回収されるように操作する。特に好ましい実施態様では、第二蒸留器に供給される塩化水素の少なくとも99.9重量%をトップ留分として回収する。
無論、上記の二つの蒸留工程を行う順序を逆にし、塩化水素を先ず第一蒸留器で回収し、次いで残りの生成物流を第二蒸留器に通し、ジクロロトリフルオロエタンを未反応ペルクロロエチレンおよびフッ化水素から分離することもできる。
第一蒸留器から回収される、少なくとも未反応ペルクロロエチレンおよびフッ化水素を含んでなるボトム留分は、一基以上の反応器に直接循環させることができる。しかし、このボトム留分は、好適な分離技術を使用し、先ずフッ化水素に富んだ留分と、ペルクロロエチレンを含む、有機成分に富んだ留分に分離するのが好ましい。この分離は、蒸留を使用して達成できるが、好ましくは、相分離装置を使用する液体の相分離により達成する。フッ化水素とペルクロロエチレンの密度は非常に異なっていること、および事実、フッ化水素と、第一蒸留器から回収されるボトム留分中に存在し得る他の有機成分の密度が非常に異なっていることから、相分離装置を使用して特に効果的な分離を達成することができる。
好ましくは、相分離装置中の上相として回収されるフッ化水素に富んだ留分は、少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも97重量%、特に好ましくは少なくとも99重量%がフッ化水素である。特に好ましい実施態様では、フッ化水素に富んだ留分は、実質的に純粋な、例えば99.5または99.9重量%純粋なフッ化水素である。同様に、相分離装置中の下相として回収される、ペルクロロエチレンを含む、有機成分に富んだ留分は、好ましくは5重量%未満、より好ましくは3重量%未満、特に好ましくは1重量%未満のフッ化水素を含む。特に好ましい実施態様では、有機成分に富んだ留分は、実質的にフッ化水素を含まない、例えば0.5重量%未満、さらには0.1重量%未満のフッ化水素を含む。
相分離装置から回収される、ペルクロロエチレンを含む、有機成分に富んだ留分は、ペルクロロエチレンに加えて、通常、ジクロロトリフルオロエタン、トリクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンおよびトリクロロフルオロエチレンの一種以上を含む。ジクロロトリフルオロエタンおよびトリクロロトリフルオロエタンは、通常、非常に少ない量でのみ存在するが、トリクロロジフルオロエタンおよびトリクロロフルオロエチレンは、かなり大量に存在し得る。
大気圧を超える圧力で行う必要がある相分離は、通常、-40〜約100℃の温度範囲内で行う。一般的に、相分離工程の効率は、温度低下と共に増加する。しかし、相分離を低すぎる温度で行うのは経費がかかる場合がある。好ましくは、相分離は、0〜80℃、より好ましくは20〜60℃、特に約40℃の温度で行う。40℃およびその近くでは、非常に良好な分離を達成できるのみならず、相分離装置の冷却に常温水を使用することができる。
上記の相分離工程の結果、フッ化水素に富んだ留分および有機成分に富んだ留分を、本プロセスを行う一基以上の反応器に別のHFおよび有機成分原料として循環使用することができる。これによって、本発明の方法に多くの利点が得られる。特に、反応器に供給されるフッ化水素およびペルクロロエチレン反応物が、通常、高比率の循環使用される材料を含んでなる(上記参照)ので、循環使用される材料をどちらかの反応器に、または場合により、反応器のすぐ上流にある混合チャンバーに個別に供給できる能力により、プロセス全体の制御が遙かに効率的になる。特に、ペルクロロエチレンからジクロロトリフルオロエタンへの発熱転化をより容易に制御することができる。例えば、反応が暴走し始めた場合、ペルクロロエチレンの流量をより容易に下げるか、または停止することさえできる。その上、同時に、ペルクロロエチレンの流量を増加せずに、フッ化水素の流量を増加して反応を急冷し、発熱を制御することができる。明らかに、これによっても、より安全なプロセスが得られる。
さらに、集められたフッ化水素に富んだ留分および有機成分に富んだ留分は、直列に接続された複数の反応器がプロセスに使用される場合に、前に説明した「低温塊」を供給するのに使用し、温度増加を抑制することができる。
第二蒸留器から回収されるトップ留分は、さらなる処理に送り、塩化水素を回収することができる。
第二蒸留器から回収されたボトム留分は、ジクロロトリフルオロエタンをフッ化水素とさらに反応させてペンタフルオロエタンを製造するためのプロセスに直接供給することができる。しかし、好ましい実施態様では、ボトム留分をさらなる精製に送る。特に、可能である限り、存在し得るトリクロロトリフルオロエタンおよびジクロロテトラフルオロエタンをジクロロトリフルオロエタンから実質的に除去することが望ましいが、これは、ジクロロトリフルオロエタンを続いてペンタフルオロエタン製造に使用する場合に、これらの物質が、クロロペンタフルオロエタンにさらにフッ素化され易いためである。前に説明したように、クロロペンタフルオロエタンは、ペンタフルオロエタンから分離するのが特に困難であり、高度のオゾン減少も引き起こす。そのため、クロロペンタフルオロエタンの形成は最少に抑えるべきであり、できれば完全に避けるのが好ましい。
第二蒸留器から集められたボトム留分のさらなる精製は、相分離、蒸留または他の好適な技術を使用して達成することができるが、相分離と蒸留の組合せを使用するのが好ましい。
好ましい実施態様では、第二蒸留器から集められたボトム留分を先ず相分離装置に供給し、そこで液体を、フッ化水素に富んだ上層およびジクロロトリフルオロエタンに富んだ下層に分離する。好ましくは、第二蒸留器から集められたボトム留分中に存在するフッ化水素の少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%が、相分離装置中の上層中に分離される。好ましくは、第二蒸留器から集められたボトム留分中に存在するジクロロトリフルオロエタンの少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%が、相分離装置中の下層中に分離される。
相分離装置から回収されたジクロロトリフルオロエタンに富んだ留分は、通常、少量の、塩化水素、クロロテトラフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンおよびトリクロロジフルオロエタンの一種以上も含む。
相分離装置中の上層として回収されるフッ化水素に富んだ留分は、通常、少量のクロロテトラフルオロエタンとジクロロトリフルオロエタン、および場合により、ジクロロテトラフルオロエタンも含む。この留分は、プロセスに循環させてもよいし、あるいは別の蒸留器に送り、トップ留分としてクロロテトラフルオロエタンおよびボトム留分としてジクロロテトラフルオロエタンを回収することができる。しかし、好ましい実施態様では、この留分は第一蒸留器に戻す。
超大気圧で行う必要がある相分離は、通常、-40℃〜約100℃の温度で行う。一般的に、相分離工程の効率は、温度低下と共に増加する。しかし、相分離を低すぎる温度で行うのは、経費がかかる場合がある。好ましくは、相分離は、0〜80℃、より好ましくは20〜60℃、特に約40℃の温度で行う。40℃またはその近くでは、非常に良好な分離を達成できるのみならず、相分離装置の冷却に常温水を使用することができる。
次いで、相分離装置における下層として回収されるジクロロトリフルオロエタンに富んだ留分は、好ましくは第三の蒸留器でさらに精製するが、そこではこの留分を、塩化水素、フッ化水素および痕跡量のジクロロトリフルオロエタン、クロロテトラフルオロエタンおよびジクロロテトラフルオロエタンを含む様々な有機成分を含んでなるトップ留分、およびジクロロトリフルオロエタンの大部分および典型的にはフッ化水素および場合により、痕跡量の、式CCl6-xを有する一種以上の化合物、特にジクロロテトラフルオロエタン、および場合により、トリクロロジフルオロエタンも含んでなるボトム留分に分離する。
典型的には第三の蒸留器は、第三蒸留器に供給されるジクロロトリフルオロエタンの総量の90重量%超、好ましくは95重量%超、より好ましくは99重量%超、特に99.5重量%超がボトム留分として回収されるように操作する。特に好ましい実施態様では、第三蒸留器に供給されるジクロロトリフルオロエタンの少なくとも99.9重量%をボトム留分として回収する。
トップ留分は、熱酸化装置に送って分解するか、または別の蒸留器に通し、そこでクロロテトラフルオロエタンを含んでなるトップ留分およびジクロロテトラフルオロエタンを含んでなるボトム留分に分離することができる。第三の蒸留器から回収されるトップ留分が別の蒸留器に送られる場合、回収されるクロロテトラフルオロエタンは、さらにフッ化水素と反応させ、ペンタフルオロエタンを形成することができる。
ボトム留分は、そのまま使用するか、さらに精製するか、またはジクロロトリフルオロエタンをさらにフッ化水素と反応させることにより、ペンタフルオロエタンの製造に使用することができる。好ましくは、ボトム留分はペンタフルオロエタンの製造に使用する。
好ましい実施態様では、精製/分離工程から得られた、ジクロロトリフルオロエタン濃度が高く、少量の好ましくない不純物、特に式CCl6-xを有し、xが0〜6の整数である不純物、も含む精製された組成物は、気相中、フッ素化触媒の存在下でフッ化水素と反応させ、ペンタフルオロエタンおよび組成物中の有機成分の総重量に対して0.5重量%未満のクロロペンタフルオロエタンを含んでなる生成物流を製造する。この工程は、ペルクロロエチレンとフッ化水素の反応を行う一基以上の反応器とは別の、一基以上の他の反応器中で行う。
特に好ましい実施態様では、本発明は、ペルクロロエチレンから出発してペンタフルオロエタンを製造するための統合された、好ましくは連続的な製法を提供する。
本発明の特に好ましい態様では、ペンタフルオロエタンの製造方法であって、
(i)第一反応器または第一の複数の反応器中で、気相中、高温で、フッ素化触媒の存在下でペルクロロエチレンをフッ化水素と反応させ、ジクロロトリフルオロエタン、塩化水素、該組成物中にある有機化合物の総重量に対して、2重量%未満のクロロテトラフルオロエタンとペンタフルオロエタンの組合せ、および5重量%未満の、式CCl6-xを有し、xが0〜6の整数である化合物を含んでなる組成物を製造する工程、
(ii)工程(i)から得た該組成物を、分離工程に付し、該組成物中にある有機化合物の総重量に対して、少なくとも95重量%のジクロロトリフルオロエタンおよび0.5重量%未満の、式CCl6-xを有し、xが0〜6の整数である化合物を含んでなる精製された組成物を得る工程、および
(iii)第二反応器または第二の複数の反応器中で、気相中、高温で、フッ素化触媒の存在下で、工程(ii)から得た組成物をフッ化水素(HF)と反応させ、ペンタフルオロエタンおよび該組成物中にある有機化合物の総重量に対して0.5重量%未満のクロロペンタフルオロエタンを含んでなる組成物を製造する工程
を含んでなり、該方法の工程(i)を、該または各反応器を入口側から出口側に横切る温度増加を制御するように操作する、方法を提供する。
無論、ペンタフルオロエタンを製造するための上記の方法における工程(i)および(ii)は、すでに説明した製造および精製工程と類似しており、工程(i)および(ii)に関するさらなる詳細およびこれらの工程を操作する好ましい様式に関しては、ペルクロロエチレンから出発するジクロロトリフルオロエタンの製造およびそれに続く精製方法に関する上記の説明を参照すべきである。
上記ペンタフルオロエタン製造方法の工程(iii)で、工程(ii)から得られる、ジクロロトリフルオロエタンを含んでなる組成物は、気相中、フッ素化触媒の存在下でフッ化水素と反応させ、ペンタフルオロエタンおよび該組成物中にある有機化合物の総重量に対して0.5重量%未満のクロロペンタフルオロエタンを含んでなる生成物流を製造する。
プロセスが慣らし運転または始動段階を経過した後、通常、循環使用ならびに未使用ジクロロトリフルオロエタンおよびフッ化水素をプロセスの工程(iii)における一基以上の反応器に供給する。
工程(iii)における一基以上の反応器に供給される反応物流は、工程(iii)から得られる生成物流の精製により分離された一種以上の他の循環成分、例えばクロロテトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタンおよびジクロロテトラフルオロエタン、も含むことができる。ペンタフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタンおよびジクロロテトラフルオロエタンは、通常、あるにしても、非常に少ない量で循環使用されるが、クロロテトラフルオロエタンはかなり大量に循環使用されることがある。
他のいずれかの循環使用される成分が反応物流中に存在する場合、これらの成分は、典型的には痕跡量で存在するだけである。
無論、様々な反応物は、本方法の工程(iii)における一基以上の反応器に、単一の組み合わせた原料として搬送するか、または二種類以上の個別原料として搬送することができる。組み合わせた原料が好ましい。
好ましい実施態様では、本方法の工程(iii)は、一基以上の反応器から出る組成物が、組成物中にある有機化合物の総重量に対して、0.4重量%未満、より好ましくは0.2重量%未満、特に好ましくは0.1重量%未満のクロロペンタフルオロエタンを含んでなる。クロロペンタフルオロエタンを含まないのが理想的であるが、これを達成することは、実際には困難である。
工程(iii)で製造される組成物は、無論、フッ素化反応の副生成物として形成される塩化水素も含んでなる。
さらに、ジクロロトリフルオロエタンからペンタフルオロエタンへの転化率は、100%よりかなり低いことが多いので、工程(iii)から回収される組成物は、典型的には未反応のジクロロトリフルオロエタン、ならびにジクロロトリフルオロエタンからペンタフルオロエタンへの転化中に形成される中間生成物であるクロロテトラフルオロエタンも含む。例えば、工程(iii)で製造される組成物は、組成物中にある有機化合物の総重量に対して、10〜30重量%のペンタフルオロエタン、10〜30重量%のジクロロトリフルオロエタンおよび50〜70重量%のクロロテトラフルオロエタンを含んでなる。
無論、工程(iii)で形成される組成物は、上記以外の材料も、少量ではあるが含むことができる。
本方法の工程(iii)は、単一の反応器で行うか、または直列または並列に配置された複数の反応器で行うことができる。好ましくは、工程(iii)は、単一の反応器で行う。好ましい実施態様では、該または各反応器は断熱的に操作する。
本方法の工程(iii)における反応温度は、典型的には少なくとも280℃である。工程(iii)の主目的は、好ましくない副反応を促進することなく、または触媒の早期劣化を引き起こすことなく、できるだけ多くのジクロロトリフルオロエタンをペンタフルオロエタンに転化することであるので、工程(iii)は、工程(i)よりも高温で行うことができる。典型的には、本方法の工程(iii)を、280℃〜400℃の温度で、好ましくは280℃〜380℃の温度で、より好ましくは300℃〜360℃の温度で行う。さらに、本方法の工程(iii)における反応器の入口側における反応物ガス流の温度は、本方法の工程(i)における反応器の入口側における反応物ガス流の温度より、典型的には20〜100℃高く、好ましくは50〜100℃高い。
本方法の工程(i)と同様に、工程(iii)を行う温度は、触媒の種類ならびにその活性によって異なる。一般的に、フッ素化触媒が使用と共に老化するにつれて、本方法の工程(iii)を行う温度は、触媒が再生または交換を必要とするレベルに触媒の活性が到達するまで、増加する。
本製法の工程(iii)における望ましい反応温度は、一個以上の反応器を、例えばガスまたは電気的に加熱された加熱炉中に入れるか、または誘電加熱することにより、達成できる。しかし、好ましい実施態様では、所望の反応温度は、反応物流を加熱してから反応器に装填することにより、達成される。好ましい実施態様では、ジクロロトリフルオロエタンおよびフッ化水素(HF)を含んでなり、未使用材料ならびに循環使用材料、および所望により他の循環使用成分、例えばクロロテトラフルオロエタン、を含むことができる反応物流を、典型的には工程(iii)の反応器に供給する前に、ジクロロトリフルオロエタンの製造方法に関して上に説明した方法と類似の多段階加熱方法を使用して所望の温度に加熱する。
本方法の工程(iii)における反応器中の圧力は、広範囲に変えることができる。しかし、典型的には、本方法の工程(iii)は、圧力0〜30 barg、好ましくは圧力12〜22 barg、より好ましくは圧力14〜20 bargで行う。
本方法の工程(iii)における反応器中の反応物の滞留時間は、典型的には、10〜200秒間、好ましくは20〜100秒間、より好ましくは30〜60秒間である。
典型的には、本方法の工程(iii)における反応器に供給する原料中のフッ化水素と総有機成分のモル比は、2:1〜20:1、好ましくは2:1〜10:1、より好ましくは2:1〜6:1である。
上記のように、工程(iii)における一基以上の反応器に供給される反応物流は、通常、ジクロロトリフルオロエタンに加えて、クロロテトラフルオロエタンを含む。典型的には、第二反応器に供給される原料中のジクロロトリフルオロエタンとクロロテトラフルオロエタンのモル比は、1:4〜3:2、好ましくは3:7〜1:1である。ジクロロトリフルオロエタンは、通常、本方法の工程(ii)から回収される新しい材料ならびに本方法の工程(iii)に続く精製工程で回収される循環使用材料の両方を含む。
どのような好適なフッ素化触媒でも、本発明の方法の工程(iii)で使用できる。好ましいフッ素化触媒としては、クロミア、オキシフッ化クロム、アルミナまたはフッ化アルミニウムを基剤とする触媒がある。これらの触媒は、例えばニッケル、コバルト、鉄および亜鉛からなる群から選択された一種以上の金属も含んでなり、活性を高めるか、または幾つかの他の特性を強化することができる。好ましくは、使用する触媒は、クロミアまたはオキシフッ化クロムを基剤とする触媒であり、より好ましくは、EP-A-0502605に記載されている亜鉛/クロミアまたは亜鉛/オキシフッ化クロム触媒である。共沈殿により調製された亜鉛/クロミアおよび亜鉛/オキシフッ化クロム触媒が特に好ましい。上に説明したように、これらの触媒は、使用する前に、高温でフッ化水素で前処理する。
工程(iii)で製造される組成物または生成物流は、少なくともペンタフルオロエタン、塩化水素および未反応フッ化水素を含んでなる。この組成物は、典型的にはかなり大量の未反応ジクロロトリフルオロエタンおよびクロロテトラフルオロエタンを含み、少量の一種以上の他の材料も含むことができる。
工程(iii)で回収された組成物は、通常、精製工程にかける。蒸留、相分離、吸着、例えば分子篩および/または活性炭を使用する吸着、およびスクラッビングを含む、いずれかの好適な分離/精製技術または技術の組合せを使用することができる。好ましい実施態様では、精製工程では、蒸留カラムまたは蒸留器を使用する。
工程(iii)から出る生成物流は、典型的には冷却してから精製する。好ましくは、生成物流は、工程(iii)の反応器から一基以上の冷却装置を通過させてから、精製工程に送る。好適な冷却装置は、当業者には良く知られており、例えば熱交換機を含む。この冷却により、精製工程が容易になり、好ましくは工程(iii)から来る生成物流を、精製工程を最適化する温度に冷却する。
例えば、精製工程で一基以上の蒸留カラム/蒸留器を使用する場合、好ましくは工程(iii)から来る生成物流を典型的にはその露点、より好ましくはその泡立ち点、またはその近くに冷却してから、蒸留カラムに通す。
好ましい実施態様では、蒸留カラム/蒸留器を使用して精製を行う場合、工程(iii)の、好ましくは上記のように冷却した生成物流を、所望により新しいフッ化水素と共に、蒸留器に通し、そこでその生成物流を、塩化水素およびペンタフルオロエタンを含んでなる第一(またはトップ)留分およびフッ化水素および通常クロロテトラフルオロエタンおよびジクロロトリフルオロエタンを含んでなる第二(またはボトム)留分に分離する。
蒸留カラムから回収されるトップ留分は、従来設計のスクラッバー/乾燥機設備に通し、塩化水素を除去し、ペンタフルオロエタンを回収する。塩化水素を除去した後に回収されるペンタフルオロエタンは、使用するのに十分に純粋であることが多い。しかし、さらなる精製が必要である場合、従来の技術、例えば蒸留および分子篩を使用する好ましくない不純物の吸着、を使用することができる。
あるいは、蒸留カラムから回収されるトップ留分は、別の蒸留カラムに送り、そこでペンタフルオロエタンを塩化水素から分離する。トップ留分を別の蒸留カラムに送る場合、塩化水素も回収することができる。
蒸留器から回収されるボトム留分は、典型的には、フッ化水素、クロロテトラフルオロエタンおよびジクロロトリフルオロエタンに加えて、少量の、ペンタフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタンおよびジクロロテトラフルオロエタンの一種以上も含む。この留分は、典型的には本プロセスの工程(iii)に循環される。
上記のように、工程(iii)から来る粗製物流は、新しいフッ化水素と組み合わせてから、蒸留器に通し、精製することができる。これは、追加フッ化水素の少なくとも一部をプロセスの工程(iii)に導入するための好ましい手法であり、これは、ジクロロトリフルオロエタンの十分な転化を達成し、通常、クロロテトラフルオロエタンをペンタフルオロエタンに転化するのにも必要である。加えるフッ化水素の量は、プロセスの工程(iii)で反応器に別のフッ化水素原料を送る必要性を回避するのに十分であるのが好ましい。しかし、所望により、工程(iii)から来る粗製物流に加えるフッ化水素の代わりに、またはそれに加えて、工程(iii)で反応器にフッ化水素を搬送することもできる。フッ化水素をプロセスの工程(iii)にも直接送る場合、フッ化水素は、一種以上の他の反応物と混合してから、反応器に送るか、または別の原料として反応器に直接搬送することもできる。
プロセスの工程(iii)から出る粗製物流を精製するのに、2基の蒸留カラムを使用する場合、第一カラムで塩化水素をトップ留分として粗製物流の他の成分から分離し、フッ化水素、ペンタフルオロエタンおよび通常、クロロテトラフルオロエタンおよびジクロロトリフルオロエタンを含んでなるボトム留分を形成し、次いでこのボトム留分を第二カラムに送り、ペンタフルオロエタンをトップ留分として回収するように、蒸留カラムの順序を逆にすることができる。
ペンタフルオロエタンの製造方法は、バッチ製法としても操作できるが、連続的に操作するのが好ましい。

Claims (15)

  1. 少なくとも200℃で、気相中、少なくとも一個の反応器中で、フッ素化触媒の存在下で、ペルクロロエチレンをフッ化水素(HF)と反応させることを含んでなるジクロロトリフルオロエタンの製造方法であって、前記または各反応器の入口側から出口側へ横切る温度増加が50℃未満になるように制御され、それにより、ペルクロロエチレンの生成物への転化率を30〜50重量%とし、かつ、ジクロロトリフルオロエタン、塩化水素、組成物中の有機化合物の総重量に対して2重量%未満のクロロテトラフルオロエタンとペンタフルオロエタンの組合せ、および5重量%未満の、式C Cl 6- を有し、xが0〜6の整数である化合物を含んでなる組成物を製造するように該方法が操作される、方法。
  2. 200〜350℃の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記または各反応器の入口側から出口側への温度増加が40℃未満になるように制御される、請求項に記載の方法。
  4. 直列に接続された複数の反応器を使用して行われる、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  5. 直列に接続した複数の反応器を使用し、前記直列における各反応器対の間に中間冷却を入れることにより行われる、請求項に記載の方法。
  6. 製造される前記組成物が、未反応フッ化水素およびペルクロロエチレンも含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記方法で製造される前記組成物が、前記組成物中の有機化合物の総重量に対して2重量%未満のトリクロロトリフルオロエタンとジクロロテトラフルオロエタンの組合せを含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記方法で製造される前記組成物を第一蒸留器に通し、前記第一蒸留器で、前記組成物を、塩化水素およびジクロロトリフルオロエタンを含んでなるトップ留分および未反応フッ化水素およびペルクロロエチレンを含んでなるボトム留分に分離する、請求項に記載の方法。
  9. 前記第一蒸留器に供給されるジクロロトリフルオロエタンと塩化水素の総量の90重量%超がトップ留分で回収される、請求項に記載の方法。
  10. 前記第一蒸留器に供給される未反応ペルクロロエチレンの総量の90重量%超がボトム留分で回収される、請求項8または9に記載の方法。
  11. 前記第一蒸留器から回収される前記ボトム留分が、フッ化水素に富んだ留分と、ペルクロロエチレンを含む有機成分に富んだ留分に分離される、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記分離が、相分離装置中で行われる液体分離工程である、請求項11に記載の方法。
  13. 集められる前記フッ化水素に富んだ留分の少なくとも95重量%がフッ化水素である、請求項11または12に記載の方法。
  14. 集められる前記ペルクロロエチレンを含む有機成分に富んだ留分が、5重量%未満のフッ化水素を含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記フッ化水素に富んだ留分および前記ペルクロロエチレンを含む有機成分に富んだ留分が、前記方法に別の原料として循環使用される、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
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