JP5020535B2 - 芳香族重合体およびその製造方法 - Google Patents

芳香族重合体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は新規な光学活性芳香族重合体およびその製造方法に関する。
芳香族重合体は、化学的安定性・機械的強度等の性能面に加え、電気・光学・磁気的な機能面に優れた特性をもち、先端技術分野には不可欠な材料になってきた。
さらに高機能化を付与されたものとして、下記式(A)に示す繰り返し単位からなる光学活性を有する芳香族重合体が見出された(非特許文献1)。この重合体は一つの芳香環に水酸基が一つ置換したものであるが、最近、下記式(B)のように、一つの芳香環に水酸基が2つ導入された繰り返し単位からなる、光学活性な重合体も報告されている(非特許文献2)。水酸基をアセチル化した重合体の約230nmの繰り返し単位モルあたりのモル楕円率(degree・cm−2・dmol−1)の絶対値としては、従来の下記式(A)の重合体は102,000のものもあったが、下記式(B)の重合体は上限は43,000以下であった。
Figure 0005020535
Macromolecules,2002,35,2437〜2439頁 Macromolecules,2003,36,2604〜2608頁
本発明の目的は、一つの芳香環に水酸基を2つもち、高い光学活性を有する新規な芳香族重合体およびその製造方法を提供することである。
すなわち本発明は、
(1)一般式(I)で示される繰り返し単位を有する重合体であって、次の性質を有する芳香族重合体
(A)前記重合体の水酸基をアセチル化して得られるアセチル化体の数平均重合度が3以上、及び
(B)前記アセチル化体の200〜350nmの波長範囲での円二色性スペクトルにおいて、該アセチル化体の繰り返し単位のモルあたりのモル楕円率(degree・cm−2・dmol−1)の絶対値が最大となる波長における、該絶対値が50,000以上、
Figure 0005020535
(式中、Rは置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基または置換されてもよい炭化水素アミノ基であり、2つのRは同じでも異なっていてもよく、2つのRが結合して環を形成してもよい。ただし、繰り返し単位(I)は、2つの結合手を含み、かつベンゼン環に対して垂直な対称面を持たない。)、
(2)一般式(Ia)で示される繰り返し単位を有する重合体であって、次の性質を有するアセチル化体
(A)数平均重合度が3以上、及び
(B)200〜350nmの波長範囲での円二色性スペクトルにおいて、該アセチル化体の繰り返し単位のモルあたりのモル楕円率(degree・cm−2・dmol−1)の絶対値が最大となった波長における、該絶対値が50,000以上、
Figure 0005020535
(式中、Rは置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基または置換されてもよい炭化水素アミノ基であり、2つのRは同じでも異なっていてもよく、2つのRが結合して環を形成してもよい。ただし、繰り返し単位(Ia)は、2つの結合手を含み、かつベンゼン環に対して垂直な対称面を持たない。)
(3)下記一般式(V)で表される芳香族化合物を、下記構造式(VI)、(VII)、(VIII)または(IX)で表される化合物とバナジウム化合物とからなる錯体を触媒として用いて、酸素により酸化重合する、(1)項記載の芳香族重合体の製造方法、
Figure 0005020535
(式中、R’は上記一般式(I)のRと同義である。)
Figure 0005020535
(式中、RおよびRは置換されてもよい炭化水素基を表し、RおよびRは互いに同一でも異なっていてもよい。RおよびR10は置換されてもよい炭化水素基を表し、RおよびR10は同一でも異なっていてもよい。XおよびXは酸素原子または硫黄原子であり、XおよびXは同一でも異なっていてもよい。)
Figure 0005020535
(式中、R12およびR13は水素原子又は置換されてもよい炭化水素基を表し、R12およびR13は互いに同一でも異なっていてもよい。MおよびMは金属イオンであり、MおよびMは同一でも異なっていてもよい。YおよびYはカウンターアニオンであり、YおよびYは同一でも異なっていてもよい。aおよびbは0以上の整数であり、aおよびbは同一でも異なっていてもよい。)、並びに
(4)(3)項の方法で製造される、(1)項記載の芳香族重合体
を提供するものである。
本発明により、一つの芳香環に水酸基を2つもち、しかも高い光学活性を有する新規な芳香族重合体を提供することができる。本発明の重合体は主鎖に水酸基を多くもつため、金属イオンの補捉、生体物質の認識、機能性官能基への変換等が可能で、これらの機能を利用するとともに、さらに高い光学活性により、光学変換や光学スイッチ等に応用できる。
本発明の芳香族重合体は、一般式(I)で示される繰り返し単位を有し、以下の(A)および(B)の性質を有する芳香族重合体である。
(A)上記重合体の水酸基をアセチル化して得られるアセチル化体の数平均重合度が3以上である。
(B)上記アセチル化体の200〜350nmの波長範囲での円二色性スペクトルにおいて、該アセチル化体の繰り返し単位のモルあたりのモル楕円率(degree・cm−2・dmol−1)の絶対値が最大となる波長における、該絶対値が50,000以上である。
Figure 0005020535
(式中、Rは置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基または置換されてもよい炭化水素アミノ基であり、2つのRは同じでも異なっていてもよく、2つのRが結合して環を形成してもよい。ただし、繰り返し単位(I)は、2つの結合手を含み、かつベンゼン環に対して垂直な対称面を持たない。)
上記一般式(I)のRは置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基(ヒドロカルビルオキシ基)、置換されてもよい炭化水素メルカプト基(ヒドロカルビルメルカプト基)または置換されてもよい炭化水素アミノ基(ヒドロカルビルアミノ基)であり、2つのRは同じでも異なっていてもよく、2つのRが結合して環を形成してもよい。Rがこれらの基であることにより、上記一般式(I)の繰り返し単位の結合軸まわりに回転障害を生じ、本発明の高い光学活性を発現することが可能となる。
上記一般式(I)のRにおいて、炭化水素基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ドコシル基等の炭素数1〜50程度(より好ましくは炭素数1〜30程度、さらに好ましくは炭素数1〜20程度、特に好ましくは炭素数1〜10程度)のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロノニル基、シクロドデシル基、ノルボニル基、アダマンチル基等の炭素数3〜50程度(より好ましくは炭素数3〜30程度、さらに好ましくは炭素数3〜20程度、特に好ましくは炭素数3〜10程度)の環状飽和炭化水素基;エテニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、2−ノネニル基、2−ドデセニル基等の炭素数2〜50程度(より好ましくは炭素数2〜30程度、さらに好ましくは炭素数2〜20程度、特に好ましくは炭素数2〜10程度)のアルケニル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、4−フェニルフェニル基等の炭素数6〜50程度(より好ましくは炭素数6〜30程度、さらに好ましくは炭素数6〜20程度、特に好ましくは炭素数6〜12程度)のアリール基;フェニルメチル基、1−フェニレンエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニル−1−プロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、2−フェニル−2−プロピル基、1−フェニル−3−プロピル基、1−フェニル−4−ブチル基、1−フェニル−5−ペンチル基、1−フェニル−6−ヘキシル基等の炭素数7〜50程度(より好ましくは炭素数7〜30程度、さらに好ましくは炭素数7〜20程度、特に好ましくは炭素数7〜12程度)のアラルキル基が挙げられる。該炭化水素基としては、2つのRから環を形成しない場合、アルキル基、環状飽和炭化水素基、アリール基、アラルキル基が好ましく、より好ましくはアルキル基、環状飽和炭化水素基、アリール基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、シクロへキシル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基である。
炭化水素オキシ基は水酸基に上記の炭化水素基が置換した基であり、具体例、好ましい例も同様である。
炭化水素メルカプト基はメルカプト基に上記の炭化水素基が置換した基であり、具体例、好ましい例も同様である。
炭化水素アミノ基とは、アミノ基に上記の炭化水素基が一つまたは二つ置換した基であり、具体例、好ましい例も同様である。
上記一般式(I)のRにおいて、2つのRが結合して環を形成する場合は、2つのRからそれぞれ水素原子を1つずつ取り除き、直接結合させればよい。具体的には、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−CH−CH=CH−、−CH−CH=CH−CH−、CH−CH−CH=CH−、−CH=CH−CH=CH−、−CH=C(CH)−CH=CH−、−CH=C(CHCH)−CH=CH−、−CH=C(CHCHCH)−CH=CH−、−CH=C(CH(CH)−CH=CH−、−CH=C(C(CH)−CH=CH−、−CH=C(C)−CH=CH−、−C(CH)=CH−CH=CH−、−C(CH)=CH−C(CH)=CH−、−C(CH)=CH−CH=C(CH)−、−CH=C(CH)−C(CH)=CH−、−CH−CH−O−、−CH−O−CH−、−CH−CH−CH−O−、−CH−CH−O−CH−、−O−CH−CH−O−、−CH=CH−O−、−CH=C(CH)−O−、−CH=CH−S−、−CH=CH−NH−、−CH=CH−N(CH)−が例示される。好ましくは炭素原子数3〜20の基であり、より好ましくは縮環を形成する炭素原子数4〜12の基であり、さらに好ましくは縮環によりナフタレンを形成する炭素原子数4〜12の炭化水素基である。
上記一般式(I)のRが置換された炭化水素基、炭化水素オキシ基、炭化水素メルカプト基または炭化水素アミノ基の場合、置換されていてもよい基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アミノ基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基、置換されてもよい炭化水素アミノ基等が挙げられる。
上記のハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子であり、さらに好ましくはフッ素原子である。
上記の置換されていてもよい基として、好ましくはハロゲン原子、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基、置換されてもよい炭化水素アミノ基、置換されてもよい炭化水素ホスフィノ基であり、より好ましくはハロゲン原子、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素アミノ基であり、さらに好ましくはハロゲン原子、置換されてもよい炭化水素オキシ基である。
上記一般式(I)において、一つの繰り返し単位につき、2つの結合手を含み、かつベンゼン環に対して垂直な対称面を持ってはならない。
上記一般式(I)の繰り返し単位として、好ましくは下記一般式(II)〜(IV)であり、より好ましくは下記一般式(II)および(III)であり、さらに好ましくは下記一般式(II)である。
Figure 0005020535
(式中、RおよびRは置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基または置換されてもよい炭化水素アミノ基であり、RおよびRは互いに異なり、RおよびRが結合して環を形成してもよい。)
Figure 0005020535
(式中、RおよびRは置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基または置換されてもよい炭化水素アミノ基であり、RおよびRは互いに異なる。)
Figure 0005020535
(式中、RおよびRは置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキ
シ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基または置換されてもよい炭化水素アミノ基であり、RおよびRは互いに異なる。)
上記一般式(II)のRおよびRにおける置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基または置換されてもよい炭化水素アミノ基は、上記一般式(I)のRにおけるそれらと、具体例、好ましい例は同じである。
上記一般式(III)および(IV)のR〜Rにおける置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基または置換されてもよい炭化水素アミノ基は、上記一般式(I)のRにおいて2つのRから環を形成しない場合のそれらと、具体例、好ましい例は同じである。
本発明の芳香族重合体は目的の性能を損なわない範囲で、上記一般式(I)の繰り返し単位以外の構造を有してもよいが、重合体中の上記一般式(I)の繰り返し単位の割合が80単位%以上が好ましく、90単位%以上がより好ましく、95単位%以上がさらに好ましい。
本発明の芳香族重合体は、上記の(A)および(B)の性質を有するものである。
上記(A)および(B)における重合体の水酸基をアセチル化する方法としては、実質的にすべての水酸基がアセチル化されれば特に限定はないが、不活性ガス雰囲気下、大過剰の塩化アセチル及びピリジンと反応させることが好ましい。塩化アセチル及びピリジンの使用量は、それぞれ一般式(I)の繰り返し単位のモル数に対して、好ましくは1〜1,000倍モル、より好ましくは2〜100倍モル、さらに好ましくは3〜10倍モルである。本反応の温度は、好ましくは−50〜100℃であり、より好ましくは0〜80℃であり、さらに好ましくは10〜60℃である。本反応の時間は、好ましくは0.1時間〜1,000時間であり、より好ましくは1時間〜100時間であり、さらに好ましくは5時間〜25時間である。なお、ポリマーが溶解しない場合には、本反応条件下で塩化アセチルと反応しない溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ニトロメタン、ニトロベンゼンを共存させてもよい。
こうして得られたアセチル化体は、下記一般式(Ia)で示される繰り返し単位をもつ。
Figure 0005020535
(式中、Rは一般式(I)におけるそれと同じ意味である。ただし、繰り返し単位(Ia)は、2つの結合手を含み、かつベンゼン環に対して垂直な対称面を持たない。)
条件(A)におけるアセチル化体の数平均重合度は、該アセチル化体の数平均分子量を上記一般式(Ia)で示される繰り返し単位分子量で除した値である。該数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によるポリスチレン換算値として求められる。該数平均重合度は3以上であり、好ましくは3〜10,000であり、より好ましくは4〜5,000であり、さらに好ましくは5〜1,000である。
また、上記(B)において、該アセチル化体の繰り返し単位のモルあたりのモル楕円率を[θ](degree・cm−2・dmol−1)とすると、[θ]は下式から求められる値である。
[θ]=θ・m/(w・d)
(ただし、θは試料溶液の楕円率(degree)、wは試料溶液10cm中のアセチル化体のグラム数であり、mはアセチル化体の上記一般式(Ia)で示される繰り返し単位の分子量であり、dは光路長(cm)である。)
200〜350nmの波長範囲での該モル楕円率(degree・cm−2・dmol−1)の絶対値が最大となる波長における、上記絶対値は50,000以上である。該最大の絶対値として、好ましくは55,000以上であり、より好ましくは60,000以上であり、さらに好ましくは65,000以上である。なおこの値の上限には特に制限はないが、通常100,000,000であり、好ましくは1,000,000であり、より好ましくは500,000であり、さらに好ましくは300,000である。
このモル楕円率の200〜350nmの波長範囲における最大の絶対値が本発明のように極めて大きいということは、上記一般式(I)の繰り返し単位の結合軸に対して極めて大きな光学活性を有するということである。
本発明の芳香族重合体の製造方法に限定はないが、下記一般式(V)で表される芳香族化合物を、下記構造式(VI)、(VII)、(VIII)または(IX)で表される化合物とバナジウム化合物(本発明においてはバナジウム単体を包含する意味を有する。)とからなる錯体を触媒として用い、酸素により酸化重合して得る方法が好ましい。
Figure 0005020535
(式中、R’は上記一般式(I)のRと同義である。)
Figure 0005020535
(式中、RおよびRは置換されてもよい炭化水素基を表し、RおよびRは互いに同一でも異なっていてもよい。RおよびR10は置換されてもよい炭化水素基を表し、RおよびR10は同一でも異なっていてもよい。XおよびXは酸素原子または硫黄原子であり、XおよびXは同一でも異なっていてもよい。)
Figure 0005020535
(式中、R12およびR13は水素原子又は置換されてもよい炭化水素基を表し、R12およびR13は互いに同一でも異なっていてもよい。MおよびMは金属イオンであり、MおよびMは同一でも異なっていてもよい。YおよびYはカウンターアニオンであり、YおよびYは同一でも異なっていてもよい。aおよびbは0以上の整数であり、aおよびbは同一でも異なっていてもよい。)
上記一般式(V)におけるR’は、上記一般式(I)のRと同じ意味を有し、具体例、好ましい例も同じである。
上記一般式(V)で表される芳香族化合物に、その他の芳香族化合物を混合して用いる場合、その混合比は目的の酸化重合体の物性を損なわない範囲で適宜定められるが、上記一般式(V)で表される芳香族化合物が全モノマーに対して、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは95モル%以上である。
本発明において、触媒として、好ましくは上記構造式(VI)、(VII)、(VIII)または(IX)で表される化合物とバナジウム化合物とからなる錯体を用いる。この場合上記構造式(VI)、(VII)、(VIII)または(IX)をバナジウム化合物に配位させる。
上記一般式(VI)および(VII)のR〜R11における炭化水素基は、上記一般式(I)において2つのRから環を形成しない場合の炭化水素基と同じ意味を有し、具体例も同じである。該炭化水素基における置換されていてもよい基も、上記一般式(I)のそれと同じ定義であり、具体例も同じである。
上記一般式(VI)および(VII)のRおよびRとして、好ましくは炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、より好ましくは炭素原子数1〜9の炭化水素基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、フェニル基である。
上記一般式(VI)および(VII)のR〜R10として、好ましくは炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、より好ましくは炭素原子数1〜6の炭化水素基であり、さらに好ましくはメチル基である。
上記一般式(VI)および(VII)のXおよびXとして、好ましくは両方がともに酸素原子または硫黄原子であり、より好ましくは両方が酸素原子である。
上記一般式(VIII)および(IX)のR12およびR13における炭化水素基は、上記一般式(I)において2つのRから環を形成しない場合の炭化水素基と同じ意味を有し、具体例も同じである。該炭化水素基における置換されていてもよい基も、上記一般式(I)のそれと同じ定義であり、具体例も同じである。
上記一般式(VIII)および(IX)のR12およびR13として、好ましくは水素原子、炭素原子数1〜6の炭化水素基であり、より好ましくは水素原子、炭素原子数1〜4の炭化水素基であり、さらに好ましくは水素原子、メチル基である。
上記一般式(VIII)および(IX)のMおよびMにおける金属イオンは、具体例として、Li、Na、K,Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ga、In、Tl、Pb、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Ag、Cd、La、Ce、Sm、Eu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg等のイオンが挙げられ、好ましくは、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、又はBaのイオン、より好ましくは、Li、Na、K、Rb、又はCsのイオン、さらに好ましくは、Li、Na、又はKのイオンである。
上記一般式(VIII)および(IX)のYおよびYにおけるカウンターアニオンは、通常ブレンステッド酸の共役塩基が使用される。例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボーレートイオン、ヘキサフルオロホスフェイトイオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、水酸化物イオン、酸化物イオン、メトキサイドイオン、エトキサイドイオン等が挙げられる。好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、水酸化物イオンまたはメトキサイドイオンであり、さらに好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオンまたは硝酸イオンである。
上記一般式(VIII)および(IX)のaおよびbは、上記一般式(VIII)および(IX)で表される化合物が電気的に中性となるように決定される。
上記バナジウム化合物とは0〜5価のバナジウムを含む化合物であり、好ましくは3〜5価のバナジウムを含む化合物であり、より好ましくはバナジウム(III)化合物、バナジウム(IV)化合物、オキソバナジウム(IV)化合物、オキソバナジウム(V)化合物であり、さらに好ましくはオキソバナジウム(IV)化合物、オキソバナジウム(V)化合物である。
上記バナジウム化合物は、電気的に中性となるようにカウンターアニオンを有する場合がある。該カウンターアニオンとしては、上記一般式(VIII)および(IX)のYおよびYにおけるカウンターアニオンの具体例および好ましい例と同じである。
上記バナジウム化合物として、バナジウムおよびカウンターアニオン以外にも、錯体形成を阻害しない範囲で、その他の配位子化合物を含んでも良い。該配位子化合物としては、例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、アンモニア、水、硫化水素、炭酸、リン酸、亜リン酸、シアン化水素、シアン酸、チオシアン酸、イソチオシアン酸、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、フェノール、カテコール、メタンチオール、エタンチオール、ベンゼンチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,2−エタンジチオール、2−メルカプトエタノール、エチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ピリジン、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸、アセチルアセトン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン、グリシン、イミノ二酢酸、8−ヒドロキノリン、アセトン、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどの中性分子、および該中性分子からプロトンを一つまたはそれ以上取り去って得られる陰イオンなどが挙げられる。アンモニア、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ピリジン、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸、アセチルアセトン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン、アセトン、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどの中性分子、および該中性分子からプロトンを一つまたはそれ以上取り去って得られる陰イオンが好ましい。
上記バナジウム錯体を形成させるには、上記一般式(VI)、(VII)、(VIII)または(IX)で表される化合物と上記バナジウム化合物を、例えば、溶媒中、0〜200℃で混合すればよい。該溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、シクロヘキサン等の鎖状および環状の脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール等のアルコール類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物類;水が挙げられ、単独でも2種以上の混合物として使用してもよい。上記一般式(VI)、(VII)、(VIII)または(IX)で表される化合物(モル数)/上記バナジウム化合物(バナジウム原子としてのモル数)の混合比としては、0.001〜1000が好ましく、0.01〜100がより好ましく、0.1〜10がさらに好ましく、0.5〜2が特に好ましい。
上記一般式(VI)または(VII)で表される化合物は、Tetrahed.Asymm.1998,9,1〜45頁や、Acc.Chem.Res.1993,26,339〜345頁や、Tetrahed.Asymm.2001,12,2851〜2859頁を参照して合成できる。また上記一般式(VIII)または(IX)で表される化合物は、市販品を使用できる。
この錯体の構造は、両化合物の組合せにより異なり、特に限定されないが、一般式(VIa)、(VIIa)、(VIIIa)または(IXa)で表される構造を含むと推定される。
Figure 0005020535
(式中、RおよびRは置換されてもよい炭化水素基を表し、RおよびRは互いに同一でも異なっていてもよい。RおよびR10は置換されてもよい炭化水素基を表し、RおよびR10は同一でも異なっていてもよい。XおよびXは酸素原子または硫黄原子であり、XおよびXは同一でも異なっていてもよい。)
Figure 0005020535
(式中、R12およびR13は水素原子又は置換されてもよい炭化水素基を表し、R12およびR13は互いに同一でも異なっていてもよい。)
上記錯体は、前もって形成しても、反応系中でその場で形成してもよい。
上記の酸化重合におけるバナジウム錯体触媒の使用量は、すべてのモノマーに対するバナジウム原子の量として、0.001〜50モル%が好ましく、0.01〜20モル%がより好ましく、0.02〜10モル%がさらに好ましい。
また、上記の酸化重合における酸素量は、通常は大過剰用いるが、すべてのモノマーに対して1〜1,000モル倍量が好ましく、1〜100モル倍量がさらに好ましい。なお、不活性ガスとの混合ガスとして用いてもよく、空気でもよい。
上記の酸化重合は、反応溶媒中で行なうことが望ましい。例えば、一般式(V)で表される芳香族化合物を、上記のバナジウム錯体とともに反応溶媒に溶解させ、酸素雰囲気下、攪拌することで酸化重合を行うことができる。該反応溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、シクロヘキサン等の鎖状および環状の脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール等のアルコール類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物類;水が挙げられる。反応溶媒としては、芳香族炭化水素系、ハロゲン化炭化水素、ニトリル類、アルコール類、エーテル類またはニトロ化合物類が好ましい。これらの有機溶媒は、単独でも2種以上の混合物として使用してもよい。
該反応溶媒は、通常、すべてのモノマーの濃度が0.1〜90質量%になるような割合で使用することができる。好ましい割合は1〜50質量%であり、より好ましい割合は2〜30質量%であり、さらに好ましい割合は5〜25質量%である。
上記の酸化重合の反応温度は、反応媒体が液状を保つ範囲であれば、特に限定されない。好ましい温度範囲は、0℃〜200℃であり、より好ましくは0℃〜150℃であり、さらに好ましくは0℃〜100℃である。反応時間は、反応温度などの反応条件で変わるが、通常、1時間以上、好ましくは2〜500時間である。
本発明の芳香族重合体は、単独でも、また、他のポリマーおよび/または改質剤との組成物として用いることができる。組成物のポリマー成分として、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリルおよびそれらの共重合体等のポリオレフィン類;ポリオキシメチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)およびそれらの共重合体等のポリエーテル類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレン−2,6−ジナフタレート)、ポリ(4−オキシベンゾエート)、ポリ(2−オキシ−6−ナフタレート)及びそれらの共重合体等のポリエステル類;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド類;ポリカーボネート;ポリフェニレンサルファイド;ポリサルフォン;ポリエーテルサルフォン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリイミド;ポリエーテルイミド;フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性ポリマーを挙げることができる。組成物の改質剤成分として、具体的には2,6−ジ−t−ブチルフェノール誘導体、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン類等の安定剤;ポリハロゲン化物、リン酸エステル等の難燃剤;界面活性剤;流動改質剤を挙げることができる。
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。
実施例1
Macromolecules,36,2003,2604〜2608頁に記載された下記化合物(C)0.175mmolと硫酸オキソバナジウム(IV)0.175mmolを塩化メチレン/メタノール(体積比7/1)5mLに溶解させ、バナジウム錯体を形成させた。これに2,3−ジヒドロキシナフタレン1.75mmolを加えて、酸素雰囲気下、室温で24時間攪拌し、重合反応させてポリ(2,3−ヒドロキシ−1,4−ナフチレン)を合成した。反応終了後、溶媒を留去し、塩化アセチル(17.5mmol)とピリジン(17.5mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で12時間攪拌した。その後、大過剰のメタノールを加えて、沈殿を濾取・洗浄・乾燥して、重合体を得た。得られた重合体はポリ(2,3−ジアセトキシ−1,4−ナフチレン)であると同定された(収率:58%)。
該アセチル化重合体0.003g(該アセチル化重合体の繰り返し単位の分子量は242であり、該繰り返し単位0.000124dmolに相当する。)をクロロホルムに溶解して3.0mLの溶液を調整した。この溶液を、円二色性スペクトル(機器:日本分光社製JASCO J−720L(商品名)、光路長:0.01cm)を測定したところ、該アセチル化重合体の繰り返し単位モルあたりのモル楕円率(degree・cm−2・dmol−1)の絶対値は約230nmで最大となり、132,000であった。
また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(機器:日本分光社製JASCO PU−2080plus(商品名)およびJASCO UV−2075plus(商品名)、カラム:昭和電工社製商品名Shodex GPC KF−803Lx1本および商品名GPC KF−806Lx1本、展開溶媒:テトラヒドロフラン、温度:室温)にて、該アセチル化重合体の数平均分子量をポリスチレン換算値として求めたところ2700であった(該アセチル化重合体の繰り返し単位の分子量は242であり、数平均重合度は11となる)。
Figure 0005020535
比較例1
Macromolecules、36、2003、2604〜2608頁のTable2、entry8に示される、下記化合物(D)の銅錯体を触媒として用いて合成したポリ(2,3−ヒドロキシ−1,4−ナフチレン)のアセチル化体を、実施例1と同様に円二色性スペクトルを測定した。繰り返し単位モルあたりのモル楕円率の絶対値は約230nmで最大となり、43,000(degree・cm−2・dmol−1)であった。また実施例1と同様にして求めた数平均分子量は9300であった(数平均重合度:38)。
Figure 0005020535
実施例2
市販の下記化合物(E)0.125mmolとステアリン酸酸化バナジウム(IV)0.125mmolをテトラヒドロフラン1.79mL中で混合し、これに2,3−ジヒドロキシナフタレン1.25mmolを加えて、酸素雰囲気下、室温で48時間攪拌し、重合反応させてポリ(2,3−ジヒドロキシ−1,4−ナフチレン)を合成した。反応終了後、溶媒を留去し、塩化アセチル(12.5mmol)とピリジン(12.5mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で12時間攪拌した。その後、大過剰のメタノールを加えて、沈殿を濾取・洗浄・乾燥して、重合体を得た。得られた重合体がポリ(2,3−ジヒドロキシ−1,4−ナフチレン)であると同定された(収率:30%)。
該アセチル化重合体の円二色性スペクトルを溶媒としてテトラヒドロフランを用いた以外は実施例1と同様に測定したところ、該アセチル化重合体の繰り返し単位モルあたりのモル楕円率の絶対値は約230nmで最大となり、207,180(degree・cm−2・dmol−1)であった。
また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(機器:日立社製Pump L−7100(商品名)および日本分光社製JASCO RI−930(商品名)、カラム:東ソー社製商品名TSKgel G3000Hx1本および商品名TSKgel G7000Hx1本、展開溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(0.01M臭化リチウム)、温度:40℃)にて、数平均分子量をポリスチレン換算値として求めたところ6100であった(数平均重合度:25)。
Figure 0005020535

Claims (4)

  1. 一般式(II又は一般式(III)で示される繰り返し単位を有する重合体であって、次の性質を有する芳香族重合体。
    (A)前記重合体の水酸基をアセチル化して得られるアセチル化体の数平均重合度が3以上、及び
    (B)前記アセチル化体の200〜350nmの波長範囲での円二色性スペクトルにおいて、該アセチル化体の繰り返し単位のモルあたりのモル楕円率(degree・cm−2・dmol−1)の絶対値が最大となる波長における、該絶対値が50,000以上。
    Figure 0005020535
    (式中、 およびR は置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基または置換されてもよい炭化水素アミノ基であり、 およびR は互いに異なり、R およびR が結合して環を形成してもよい。ただし、繰り返し単位(II)は、2つの結合手を含み、かつベンゼン環に対して垂直な対称面を持たない。)
    Figure 0005020535
    (式中、R およびR は置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基または置換されてもよい炭化水素アミノ基であり、R およびR は互いに異なる。ただし、繰り返し単位(III)は、2つの結合手を含み、かつベンゼン環に対して垂直な対称面を持たない。)
  2. 一般式(IIa又は一般式(IIIa)で示される繰り返し単位を有する重合体であって、次の性質を有するアセチル化体。
    (A)数平均重合度が3以上、及び
    (B)200〜350nmの波長範囲での円二色性スペクトルにおいて、該アセチル化体の繰り返し単位のモルあたりのモル楕円率(degree・cm−2・dmol−1)の絶対値が最大となった波長における、該絶対値が50,000以上。
    Figure 0005020535
    (式中、 およびR は置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基または置換されてもよい炭化水素アミノ基であり、 およびR は互いに異なり、R およびR が結合して環を形成してもよい。ただし、繰り返し単位(IIa)は、2つの結合手を含み、かつベンゼン環に対して垂直な対称面を持たない。)
    Figure 0005020535
    (式中、R およびR は置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基または置換されてもよい炭化水素アミノ基であり、R およびR は互いに異なる。ただし、繰り返し単位(IIIa)は、2つの結合手を含み、かつベンゼン環に対して垂直な対称面を持たない。)
  3. 下記一般式(V−1又は下記一般式(V−2)で表される芳香族化合物を、下記構造式(VI)、(VII)、(VIII)または(IX)で表される化合物とバナジウム化合物とからなる錯体を触媒として用いて、酸素により酸化重合する、請求項1記載の芳香族重合体の製造方法。
    Figure 0005020535
    (式中、 およびR は置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基または置換されてもよい炭化水素アミノ基であり、R およびR は互いに異なり、R およびR が結合して環を形成してもよい。
    Figure 0005020535
    (式中、R およびR は置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい炭化水素オキシ基、置換されてもよい炭化水素メルカプト基または置換されてもよい炭化水素アミノ基であり、R およびR は互いに異なる。)
    Figure 0005020535
    (式中、RおよびRは置換されてもよい炭化水素基を表し、RおよびRは互いに同一でも異なっていてもよい。RおよびR10は置換されてもよい炭化水素基を表し、RおよびR10は同一でも異なっていてもよい。XおよびXは酸素原子または硫黄原子であり、XおよびXは同一でも異なっていてもよい。)
    Figure 0005020535
    (式中、R12およびR13は水素原子又は置換されてもよい炭化水素基を表し、R12およびR13は互いに同一でも異なっていてもよい。MおよびMは金属イオンであり、MおよびMは同一でも異なっていてもよい。YおよびYはカウンターアニオンであり、YおよびYは同一でも異なっていてもよい。aおよびbは0以上の整数であり、aおよびbは同一でも異なっていてもよい。)
  4. 請求項3記載製造方法で製造される、請求項1記載の芳香族重合体。
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