(実施形態1)
以下、図1〜図8を参照して、この発明を指針式の腕時計に適用した実施形態1について説明する。
この腕時計は、図1および図2に示すように、時計本体を構成している腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の上部外周にはベゼル2が取り付けられており、この腕時計ケース1の上側開口部には時計ガラス3がパッキン3aを介して取り付けられている。また、この腕時計ケース1の内部には、時計モジュール4が収容されており、この腕時計ケース1の下部には裏蓋5が防水リング5aを介して取り付けられている。さらに、この腕時計ケース1の外側面には、複数の押釦スイッチ6が設けられている。
時計モジュール4は、図2に示すように、ハウジング4aを備えている。このハウジング4a内には、時計ムーブメント7が設けられている。また、このハウジング4aの上面には、下文字板8が配置されていると共に、この下文字板8の上方には、上文字板9がリング状のスペーサ部材10を介して配置されている。この場合、スペーサ部材10は、ハウジング4aの上面における外周部に配置されている。このスペーサ部材10の上部における内周側には、上文字板9が配置されており、このスペーサ部材10の上部における外周部には、リング状の下見切部材11が設けられている。また、時計ガラス3の下面における外周部には、リング状の上見切部材12が設けられている。
上文字板9は、図3に示すように、全体がほぼ円形の円板状に形成されている。この上文字板9の外周部には、時字13が1時から12時の各位置にそれぞれ対応して設けられている。また、この上文字板9の外周側に位置する下見切部材11の上面には、図3に示すように、1〜60の目盛を表すストップウオッチ・アラーム目盛部11aが時字13に対応して表示されており、この下見切部材11の上部外周側に位置する上見切部材12には、世界の各都市を表すワールドタイム表示部12aが時字13に対応して表示されている。
この場合、上文字板9のほぼ中心部には、図1〜図3に示すように、時計ムーブメント7によって駆動される指針軸14が下文字板8と上文字板9との各軸挿入孔9aを通して上方に突出した状態で設けられている。この指針軸14の上部には、秒針15a、分針15b、時針15cなどの指針15が取り付けられている。この指針15は、上文字板9の上方を運針して上文字板9の時字13を指示することにより、現在時刻を指示するように構成されている。
また、上文字板9の所定箇所、つまり2時付近から4時付近までの箇所には、図3に示すように、円形状の第1補助機能表示部16が設けられている。この第1補助機能表示部16の中心部には、図2に示す時計ムーブメント7によって駆動される補助軸17が上文字板9の上方に突出した状態で設けられている。この補助軸17の上部には、補助針18が取り付けられている。この補助針18は、上文字板9の第1補助機能表示部16の上方を運針して第1補助機能表示部16に設けられたワールドタイム機能(デュアルタイム機能)における世界の各都市のうち、選択されたいずれかの都市の時刻を指示するように構成されている。
ところで、上文字板9には、図1〜図4に示すように、5時付近から10時付近において、その外周部からほぼ中心部にかけてほぼ半円形状をなす広開口部20が設けられている。この広開口部20に対応する下文字板8の箇所には、図1〜図4に示すように、機能表示部21、第2補助機能表示部22、および日付表示部23が設けられている。機能表示部21は、図3および図4に示すように、24時間の時間表示を表すものであり、上文字板9の下側に位置する下文字板8における6時側の箇所に設けられている。
すなわち、この機能表示部21は、図1〜図4に示すように、後述する副針24の回転中心部を中心として所定の角度範囲で表示領域21a(図4に斜線で示す部分)がほぼ半円形状に形成されている。この表示領域21a内における外周側には、図3および図4に示すように、外周目盛部25が表示領域21aの円弧に沿って設けられており、この外周目盛部25の内周側には、内周目盛部26が表示領域21aの円弧に沿って設けられている。
この場合、外周目盛部25と内周目盛部26とには、同じ種類の目盛、例えば24時間の各時間を表す目盛が外周目盛部25と内周目盛部26との両者に連続した状態で表示されている。すなわち、外周目盛部25には、図6〜図8に示すように、時計回りに、24時(0時)〜11時までの各時間の目盛が表示されており、内周目盛部26には、時計回りに、12時〜23時までの各時間の目盛が表示されている。
また、上文字板9における副針24の回転中心部に対応する箇所には、図3および図4に示すように、ほぼ半円形状の支持突起部27が広開口部20内に位置する機能表示部21側に向けて突出して設けられている。この支持突起部27の中心部には、図2に示すように、時計ムーブメント7によって駆動される副針軸28が回転自在に取り付けられており、この副針軸28には、副針24が取り付けられている。この副針24は、図2に示すように、上文字板9と下文字板8との間に位置した状態で、図3および図4に示すように、下文字板8の機能表示部21上を運針するように構成されている。
この場合、副針24は、図5に示すように、ほぼ三角形状をなす2つの枠状部の角部同士を副針軸28に取り付けられる副針24の回転中心部で連結した構成になっている。この副針24の一端部側(図5では左端部側)の枠状部には、図4〜図6に示すように、内周目盛部26の一部が位置して露出しながら内周目盛部26上に沿って移動するほぼ三角形状の第1開口部30が設けられている。
この第1開口部30には、図4〜図6に示すように、その内側に向けて突出して第1開口部30内に位置する一部の内周目盛部26を指示する内周指示部31が設けられている。また、この第1開口部30の外周側(図5では左端部側)の先端部には、外周目盛部25の一部を隠しながら移動する外周目盛隠し部32が設けられている。
また、この副針24の他端部側(図5では右端部側)の枠状部には、図5および図7に示すように、内周目盛部26の内側に沿って移動するほぼ三角形状の第2開口部33が設けられている。この第2開口部33の先端側(図5では右端部側)には、内周目盛部26の一部を隠しながら移動する内周目盛隠し部34が設けられている。この内周目盛隠し部34の外周部(図5では右端部)には、外周目盛部25を指示する外周指示部35が外周側に向けて突出して設けられている。
この場合、副針24は、その内周指示部31と外周指示部35との一方が上文字板9の広開口部20内に位置して機能表示部21上を運針している状態のときに、内周指示部31と外周指示部35との他方が上文字板9の下側に位置して隠れるように構成されている。すなわち、機能表示部21の表示領域21aは、副針24の回転中心部を中心とするほぼ半円形状に形成されているが、外周目盛部25と内周目盛部26との各端部が対角線上において互いに対向せず、180°の開き角度よりも約1目盛分だけ狭い角度になる範囲で形成されている。
これにより、副針24は、図8に示すように、内周指示部31が機能表示部21の内周目盛部26における一端部の目盛、例えば11時の目盛を指示している状態のときに、外周指示部35が上文字板9の下側に位置して隠れ、逆に外周指示部35が機能表示部21の外周目盛部25における他端部の目盛、例えば24時の目盛を指示している状態のときに、内周指示部31が上文字板9の下側に位置して隠れるように構成されている。
ところで、上文字板9の広開口部20から露呈する下文字板8上に設けられた第2補助機能表示部22は、図2および図3に示すように、モードや曜日、および1/20秒の秒時間などの複数の機能を表す部分であり、下文字板8上に設けられたリング状の表示枠22aと、この表示枠22a内で回転する円板状の回転板22bとを有している。表示枠22aは、図3に示すように、その上面にアラーム(ALM)、サマータイム設定(DST)、サマータイム解除(STD)、タイマー(TMR)などの各種のモード、および日曜日(SU)〜土曜日(SA)までの各曜日、並びに1/20秒の秒時間を指示する秒指示マーク36aが表示されている。
また、回転板22bは、図2および図3に示すように、時計ムーブメント7によって駆動される副針軸37が下文字板8の軸挿入孔9cを通して下文字板8の上方に突出し、この突出した副針軸37の上部に取り付けられて回転するように構成されている。この場合、回転板22bには、図3に示すように、その上面の所定位置(図3では0秒位置)に各種のモードおよび各曜日のいずれかを指示するための針形状の機能指示マーク36bが表示されていると共に、回転板22bの円周に沿って0〜10の秒目盛が表示されている。
これにより、第2補助機能表示部22は、押釦スイッチ6の操作によってモードや曜日、または1/20秒の秒時間などの各機能のうち、いずれかの機能が選択されると、その選択された機能に応じて回転板22bが回転することにより、選択された機能を指示するように構成されている。例えば、押釦スイッチ6の操作によって1/20秒の秒時間を表す機能が選択された場合には、回転板22bが回転しながら0〜10の秒目盛のいずれかの目盛が表示枠22aの秒指示マーク36aで指示されることにより、1/20秒の秒時間が分かる。
また、押釦スイッチ6の操作によってモードおよび曜日の機能が選択された場合には、その選択された機能に応じて回転板22bが回転して停止することにより、例えば機能指示マーク36bが表示枠22aのモードおよび曜日の各機能表示のいずれかを指示し、これにより選択されている機能が分かるように構成されている。また、日付表示部23は、図3に示すように、下文字板8に設けられた四角形状の窓部23aに、日車などの表示板に表示された日付表示23bが対応することにより、日付が分かるように構成されている。
次に、この腕時計を使用する場合について説明する。
通常は、図3において、秒針15a、分針15b、時針15cなどの指針15が上文字板9の上方を運針して、上文字板9の上面外周に設けられた時字13を指示することにより、現在時刻を知ることができる。このときには、上文字板9に設けられた第1補助機能表示部16で世界の各都市のうち、選択された都市の時刻を知ることができるほか、上文字板9の広開口部20から露出する箇所の下文字板8に設けられた機能表示部21、第2補助機能表示部22、および日付機能表示部23によって各機能が表示される。
すなわち、機能表示部21では、図3に示すように、副針24の指示により24時間表示における時間を知ることができる。また、第2補助機能表示部22では、回転板22bの機能指示マーク36bの指示により曜日を知ることができるほか、押釦スイッチ6を操作して機能を切り替えることにより、アラームやサマータイムなどの各モードにおける時間や、1/20秒の秒時間を知ることができる。また、日付機能表示部23では、通常運針の状態で、下文字板8に設けられた四角形状の窓部23aに、日車などの表示板に表示された日付表示23bが対応することにより、日付を知ることができる。
ところで、機能表示部21において副針24が24時間で1回転することにより、副針24の指示によって24時間表示における時間を知る場合には、図3および図6に示すように、副針24が副針軸27を中心に回転し、その一端部側(図6では左端部側)が上文字板9の広開口部20から露出すると、この一端部側に設けられた第1開口部30が機能表示部21の内周目盛部26に沿って移動すると共に、この第1開口部30に設けられた内周指示部31が内周目盛部26の目盛を指示することにより、12時〜23時までの間における時間を知ることができる。
すなわち、副針24の一端部側(図5では左端部側)に設けられた第1開口部30が機能表示部21の内周目盛部26に沿って移動する際には、第1開口部30内に内周目盛部26の一部が位置した状態で移動するので、内周目盛部26の一部を第1開口部30から露出させることができ、この第1開口部30から露出した一部の内周目盛部26の目盛を第1開口部30に設けられた内周指示部31が指示するので、この内周指示部31の指示により12時〜23時までの間における時間を正確に且つ容易に知ることができる。
このときには、内周指示部31側に位置する副針24の一端部(図5では左端部)に設けられた外周目盛隠し部32が外周目盛部25の一部を隠しながら移動するので、これによっても、副針24による機能表示部21に対する指示の誤認を防ぐことができる。また、副針24の他端部側(図5では右端部側)に設けられた外周指示部35および内周目盛隠し部34が機能表示部21の表示領域21a外である上文字板9の下側に位置して隠れているので、副針24に内周指示部31と外周指示部35とが設けられていても、副針24による機能表示部21に対する指示の誤認を確実に防ぐことができる。
また、副針24が副針軸27を中心に回転し、その他端部側(図5では右端部側)が上文字板9の広開口部20から露出して運針する場合には、図7に示すように、他端部側に設けられた内周目盛隠し部34が機能表示部21の内周目盛部26の一部を隠しながら内周目盛部26に沿って移動すると共に、この内周目隠し部34に設けられた外周指示部35が外周目盛部25の目盛を指示することにより、0時(24時)〜11時までの間における時間を正確に且つ容易に知ることができる。
このときには、副針24の他端部側に設けられた内周目盛隠し部34が内周目盛部26の一部を隠しながら移動するので、これによっても、副針24による機能表示部21に対する指示の誤認を防ぐことができる。この場合にも、副針24の一端部側に設けられた内周指示部31、目盛開口部30、および外周目盛隠し部32が機能表示部21の表示領域21a外である上文字板9の下側に位置して隠れているので、副針24に内周指示部31と外周指示部35とが設けられていても、副針24による機能表示部21に対する指示の誤認を確実に防ぐことができる。
また、副針24の内周指示部31が、図8に示すように、機能表示部21の内周目盛部26における一端部の目盛、例えば23時を指示している状態のときには、外周指示部35が機能表示部21の表示領域21a外である上文字板9の下側に位置して隠れる。この状態で、1時間が経過すると、内周指示部31が機能表示部21の表示領域21a外である上文字板9の下側に移動して隠れるが、外周指示部35が上文字板9の広開口部20内に移動して現れ、機能表示部21の外周目盛部25における他端部の目盛、例えば24時を指示する。
このため、機能表示部21に対する内周指示部31の指示と、外周指示部35の指示とが途切れることなく、連続した状態で確実に且つ円滑に切り替わる。これにより、機能表示部21の24時間表示が外周目盛部25と内周目盛部26との分割されて表示されていても、副針24の内周指示部31と外周指示部35とで、24時間の時間表示を途切れることなく、円滑に連続させて指示することができる。
このように、この腕時計によれば、上文字板9と下文字板8との間に副針24が位置し、この副針24の一端部に設けられた内周指示部31が、上文字板9の広開口部20から露出した状態で、下文字板8の機能表示部21に沿って運針する際に、第1開口部30が内周目盛部26に沿って移動することにより、この第1開口部30内に内周目盛部26の一部を位置させて露出させることができ、この露出した一部の内周目盛部26の目盛を内周指示部31が指示することにより、この内周指示部31で指示された内周目盛部26の目盛を正確に且つ容易に読み取ることができる。
また、副針24の他端部に設けられた外周指示部35が、上文字板9の広開口部20から露出した状態で、下文字板8の機能表示部21に沿って運針する際には、外周指示部35が外周目盛部25を指示しながら移動することにより、外周指示部35で指示された外周目盛部25の目盛をそのまま読み取ることができる。このため、副針24が内周指示部31と外周指示部35とを備えていても、また機能表示部21が外周目盛部25と内周目盛部26とを備えていても、副針24による機能表示部21に対する指示の誤認を確実に且つ容易に防ぐことができる。
この場合、副針24は、内周指示部31が設けられた一端部側に、外周目盛部25の一部を隠しながら移動する外周目盛隠し部32が設けられていることにより、副針24の内周指示部31が、上文字板9の広開口部20から露出した状態で、下文字板8の機能表示部21に沿って運針する際に、外周目盛隠し部32が外周目盛部25の一部を隠しながら運針するので、これによっても、内周指示部31で指示された内周目盛部26を誤認せずに正確に読み取ることができる。
また、副針24は、外周指示部35が設けられた他端部側に、内周目盛部26の一部を隠しながら移動する内周目盛隠し部34が設けられていることにより、副針24の外周指示部35が、上文字板9の広開口部20から露出した状態で、下文字板8の機能表示部21に沿って運針する際に、内周目盛隠し部34が内周目盛部26の一部を隠しながら運針するので、これによっても、外周指示部35で指示された外周目盛部25を誤認せずに正確に読み取ることができる。
さらに、機能表示部21の表示領域21aは、副針24の内周指示部31と外周指示部35との一方が機能表示部21を指示している状態のときに、内周指示部31と外周指示部35との他方が、機能表示部21の表示領域21a外である上文字板9の下側に位置して隠れるような範囲で設けられていることにより、副針24が内周指示部31と外周指示部35とを備えていても、副針24による機能表示部21に対する指示の誤認を確実に且つ容易に防ぐことができる。
また、外周目盛部25と内周目盛部26とが、同じ種類の機能を表す目盛を連続させた状態、つまり外周目盛部25に0時(24時)〜11時までの時間目盛を表示し、且つ内周目盛部26に12時〜23時までの時間目盛を表示していることにより、機能表示部21に対する内周指示部31の指示と外周指示部35の指示とを途切れることなく、連続させた状態で切り替えることができる。これにより、内周指示部31と外周指示部35とで、24時間の時間表示を途切れることなく、円滑に連続させて指示することができる。
(実施形態2)
次に、図9および図10を参照して、この発明を適用した腕時計の実施形態2について説明する。なお、図1〜図8に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この腕時計は、機能表示部40の機能表示が実施形態1と異なる構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
すなわち、この機能表示部40は、実施形態1と同様、上文字板9の下側に配置されて上文字板8の広開口部20に対応する下文字板8の箇所に設けられている。この場合にも、機能表示部40は、副針24の回転中心部を中心として所定の角度範囲で表示領域40a(図9および図10に斜線で示す部分)がほぼ半円形状に形成されている。この表示領域40a内における外周側には、図9および図10に示すように、外周目盛部41が表示領域40aの円弧に沿って設けられており、この外周目盛部41の内周側には、内周目盛部42が表示領域40aの円弧に沿って設けられている。
これら外周目盛部41と内周目盛部42とには、異なる種類の機能がそれぞれ表示されている。すなわち、外周目盛部41には、図9および図10に示すように、ストップウオッチ(STW)、タイマー(TRM)、ワールドタイム(WT)、アラーム1(ALM1)、アラーム2(ALM2)の各機能が表示領域40aの円弧に沿って表示されている。また、内周目盛部42は、30分のタイマー機能を表す部分であり、0分〜30分の分目盛が表示領域40aの円弧に沿って表示されている。
副針24は、実施形態1と同様、ほぼ三角形状をなす2つの枠状部の角部同士を、副針軸28に取り付けられる副針24の回転中心部で連結した構成になっている。この場合にも、副針24の一端部は、図9に示すように、内周目盛部42の一部を露出させながら内周目盛部42上に沿って移動する第1開口部30と、この第1開口部30に設けられてその内側に位置する一部の内周目盛部42を指示する内周指示部31と、外周目盛部41の一部を隠しながら移動する外周目盛隠し部32とを備えている。
また、この副針24の他端部は、図10に示すように、内周目盛部42の内側に沿って移動する第2開口部33と、内周目盛部42の一部を隠しながら移動する内周目盛隠し部34と、外周目盛部41を指示する外周指示部35とを備えている。この場合にも、副針24は、その内周指示部31と外周指示部35との一方が上文字板9の広開口部20内に位置して機能表示部40上を運針している状態のときに、内周指示部31と外周指示部35との他方が上文字板9の下側に位置して隠れるように構成されている。
次に、この腕時計を使用する場合について説明する。
通常は、実施形態1と同様、秒針15a、分針15b、時針15cなどの指針15が上文字板9の上方を運針して、上文字板9の上面外周に設けられた時字13を指示することにより、現在時刻を知ることができる。このときには、上文字板9に設けられた第1補助機能表示部16で世界の各都市のうち、選択された都市の時刻を知ることができるほか、上文字板9の広開口部20から露出する箇所の下文字板8に設けられた機能表示部40、第2補助機能表示部22、および日付機能表示部23によって各機能が表示される。
すなわち、機能表示部40では、押釦スイッチ6の操作によって、図9および図10に示すように、副針24の指示により外周目盛部41と内周目盛部42とのいずれかに表示された機能を知ることができる。この場合、押釦スイッチ6が操作されて30分のタイマー機能が選択されたときには、図9に示すように、機能表示部40の内周目盛部42に沿って副針24の第1開口部30が移動するので、内周目盛部42の一部が第1開口部30内に位置して露出しながら移動し、この状態で第1開口部30に設けられた内周指示部31が第1開口部30から露出する一部の内周目盛部42の目盛を指示するので、内周指示部31の指示によりタイマー時間を正確に知ることができる。
このときには、内周指示部31側に位置する副針24の一端部に設けられた外周目盛隠し部32が外周目盛部41の一部を隠しながら移動するので、機能表示部40に外周目盛部41と内周目盛部42とが設けられていても、副針24による機能表示部40に対する指示の誤認を確実に防ぐことができる。また、副針24の他端部側に設けられた外周指示部35および内周目盛隠し部34が、機能表示部21の表示領域21a外である上文字板9の下側に位置して隠れているので、副針24に内周指示部31と外周指示部35とが設けられていても、副針24による機能表示部40に対する指示の誤認を確実防ぐことができる。
また、押釦スイッチ6が操作されて機能表示部40に表示されたストップウオッチ(STW)、タイマー(TRM)、ワールドタイム(WT)、アラーム1(ALM1)、アラーム2(ALM2)の各機能のうち、いずれかの機能を選択したときには、図10に示すように、副針24が副針軸27を中心に回転し、その他端部側(図10では左端部側)が上文字板9の広開口部20から露出する。
このときには、副針24の他端部側に設けられた内周目盛隠し部34が機能表示部40の内周目盛部42の一部を隠しながら内周目盛部42に沿って移動し、この内周目盛隠し部34に設けられた外周指示部35が外周目盛部41の目盛を指示して停止することにより、ストップウオッチ(STW)、タイマー(TRM)、ワールドタイム(WT)、アラーム1(ALM1)、アラーム2(ALM2)の各機能のうち、いずれかの機能が指示されることにより、選択された機能を知ることができる。
このときにも、副針24の他端部側に設けられた内周目盛隠し部34が内周目盛部42の一部を隠しているので、機能表示部40に外周目盛部41と内周目盛部42とが設けられていても、副針24による機能表示部40に対する指示の誤認を確実に防ぐことができる。この場合にも、副針24の一端部側に設けられた内周指示部31、目盛開口部」30、および外周目盛隠し部32が、機能表示部21の表示領域21a外である上文字板9の下側に位置して隠れているので、副針24に内周指示部31と外周指示部35とが設けられていても、副針24による機能表示部40に対する指示の誤認を確実に防ぐことができる。
このように、この腕時計においても、実施形態1と同様、上文字板9と下文字板8との間に副針24が位置し、この副針24の一端部に設けられた内周指示部31が、上文字板9の広開口部20から露出した状態で、下文字板8の機能表示部40に沿って運針する際に、第1開口部30が内周目盛部42に沿って移動することにより、この第1開口部30内に内周目盛部42の一部の目盛を位置させて露出させることができ、この露出した一部の内周目盛部42の目盛を内周指示部31が指示することにより、この内周指示部31で指示された内周目盛部42の目盛を正確に且つ容易に読み取ることができる。
また、副針24の他端部に設けられた外周指示部35が、上文字板9の広開口部20から露出した状態で、下文字板8の機能表示部40に沿って運針した際には、外周指示部35が外周目盛部41を指示して停止することにより、外周指示部35で指示された外周目盛部41の目盛をそのまま読み取ることができる。このため、副針24が内周指示部31と外周指示部35とを備えていても、また機能表示部40が外周目盛部41と内周目盛部42とを備えていても、副針24による機能表示部40に対する指示の誤認を確実に且つ容易に防ぐことができる。
この場合、外周目盛部41と内周目盛部42とは、異なる種類の機能を表す目盛がそれぞれ独立した状態、例えば外周目盛部42にストップウオッチ(STW)、タイマー(TRM)、ワールドタイム(WT)、アラーム1(ALM1)、アラーム2(ALM2)の各機能が表示され、且つ内周目盛部42に0分〜30分の分目盛が表示されていることにより、外周指示部35によって外周目盛部41の各機能のいずれか一つの機能を指示することができると共に、内周指示部31によって30分のタイマー時間を指示することができ、これにより、より多くの機能を指示表示することができる。
(実施形態3)
次に、図11および図12を参照して、この発明を適用した腕時計の実施形態3について説明する。この場合には、図9および図10に示された実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明する。
この腕時計は、機能表示部45の表示領域45aが実施形態2と異なる構成であり、これ以外は実施形態2とほぼ同じ構成になっている。
すなわち、この機能表示部45は、実施形態2と同様、上文字板9の下側に配置されて上文字板8の広開口部20に対応する下文字板8の箇所に設けられている。この場合にも、機能表示部45は、図11および図12に示すように、副針24の回転中心部を中心として所定の角度範囲で表示領域45a(図11および図12に斜線で示す部分)がほぼ半円形状に形成され、この表示領域45a内における外周側に設けられた外周目盛部46と、この外周目盛部46の内周側に設けられた内周目盛部47とを備えている。
外周目盛部46は、図11および図12に示すように、30分のタイマー機能を表す部分であり、副針24の回転中心部を中心とする円弧に沿ってほぼ180°の角度の範囲で0分〜30分の分目盛が表示されている。また、内周目盛部47は、ストップウオッチ(STW)、ワールドタイム(WT)、アラーム(ALM)の各機能が副針24の回転中心部を中心とする円弧に沿ってほぼ90°の角度の範囲で表示されている。
この場合、内周目盛部47は、外周目盛部46の中間部を境にして、その両側にそれぞれほぼ45°の角度の範囲で設けられている。また、上文字板9には、内周目盛部47の両側に位置し、且つ外周目盛部46の内周に沿って突出する一対の目隠し突起部48が設けられている。この一対の目隠し突起部48は、内周目盛部47を指示する副針24の内周指示部31が内周目盛部47の領域外に位置した際に、その副針24に設けられた内周指示部31を上文字板9の下側に隠すように構成されている。
また、副針24は、実施形態1と同様、ほぼ三角形状をなす2つの枠状部の角部同士を副針軸28に取り付けられる副針24の回転中心部で連結した構成になっている。この副針24の一端部は、内周目盛部47の一部を露出させながら内周目盛部47上に沿って移動する第1開口部30と、この第1開口部30に設けられてその内側に位置する一部の内周目盛部47を指示する内周指示部31と、外周目盛部46の一部を隠しながら移動する外周目盛隠し部32とを備えている。また、この副針24の他端部は、内周目盛部47の内側に沿って移動する第2開口部33と、内周目盛部47の一部を隠しながら移動する内周目盛隠し部34と、外周目盛部46を指示する外周指示部35とを備えている。
このような腕時計においても、実施形態2と同様、上文字板9と下文字板8との間に副針24が位置し、この副針24の外周指示部35が、上文字板9の広開口部20から露出した状態で、下文字板8の機能表示部45に沿って運針する際に、図12に示すように、外周指示部35が外周目盛部46を指示しながら移動することにより、外周指示部35で指示された外周目盛部46の目盛をそのまま読み取ることができる。
また、副針24の内周指示部47が、上文字板9の広開口部20から露出した状態で、下文字板8の機能表示部45に沿って運針する際には、図11に示すように、第1開口部30が内周目盛部47に沿って移動して停止することにより、この第1開口部30内に位置して露出する一部の内周目盛部47の目盛を内周指示部31が指示することにより、この内周指示部31で指示された内周目盛部47の目盛を読み取ることができる。
この場合、内周目盛部47は、その表示領域45aが外周目盛部46のほぼ半分の大きさに形成され、且つ外周目盛部46の中間部を境にして、その両側にそれぞれほぼ45°の角度の範囲で設けられていることにより、外周指示部35が外周目盛部46を指示しながら移動する際、内周目盛部47と外周目盛部46とが共存する範囲を、実施形態2に比べて狭くすることができる。
これにより、内周目盛部47と外周目盛部46とが共存する狭い範囲の内周目盛部47を内周目盛隠し部34がほぼ完全に隠しながら移動するので、外周指示部35で指示された外周目盛部46の目盛を確実に且つ容易に読み取ることができる。このため、副針24が内周指示部31と外周指示部35とを備えていても、また機能表示部45が外周目盛部46と内周目盛部47とを備えていても、実施形態2に比べて、副針24による機能表示部45に対する指示の誤認を、より確実に防ぐことができる。
(実施形態4)
次に、図13〜図15を参照して、この発明を適用した腕時計の実施形態4について説明する。この場合には、図1〜図8に示された実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明する。
この腕時計は、副針50の形状が実施形態1と異なる構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
すなわち、副針50は、ほぼ三角形状の枠状部50aとほぼ三角形状の平板部50bとを有し、これら枠状部50aの角部と平坦部50bの角部とを副針50の回転中心部で連結し、この回転中心部が副針軸28に取り付けられた状態で、実施形態1と同様、上文字板9と下文字板8との間で回転するように構成されている。これにより、副針50は、その一端部側(図13では左端部側)がほぼ三角形状の枠状部50aに形成され、他端部側(図13では右端部側)がほぼ三角形状の平板部50bに形成されている。
この場合、副針50の一端部側(図13では左端部側)の枠状部50aには、実施形態1と同様、内周目盛部26の一部を露出させながら内周目盛部26に沿って移動する第1開口部30が設けられている。この第1開口部30には、その内側に向けて突出してその内側に位置する一部の内周目盛部26を指示する内周指示部31が設けられている。この第1開口部30の外周部には、外周目盛部25の一部を隠しながら移動する外周目盛隠し部32が設けられている。
また、この副針50の他端部側(図13では右端部側)の平板部50bには、図13および図15に示すように、実施形態1の第2開口部33が設けられておらず、内周目盛部26の一部を完全に隠しながら移動する内周目盛隠し部51が設けられている。この内周目盛隠し部51の外周部には、図15に示すように、外周目盛部25を指示する外周指示部52が設けられている。
このような腕時計によれば、実施形態1と同様、上文字板9と下文字板8との間に副針50が位置し、この副針50の一端部に設けられた内周指示部31が、上文字板9の広開口部20から露出した状態で、下文字板8の機能表示部21に沿って運針する際に、図14に示すように、第1開口部30が内周目盛部26に沿って移動することにより、この第1開口部30内に内周目盛部26の一部を位置させて露出させることができ、この露出した一部の内周目盛部26の目盛を内周指示部31が指示することにより、この内周指示部31で指示された内周目盛部42の目盛を正確に且つ容易に読み取ることができる。
また、副針50の他端部の平板部50bが、上文字板9の広開口部20から露出した状態で、下文字板8の機能表示部21に沿って運針する際には、図15に示すように、副針50の他端部に設けられた内周目盛隠し部51が内周目盛部26上を移動することにより、この内周目盛隠し部51で内周目盛部26の一部を完全に隠しながら移動し、外周指示部52が外周目盛部25を指示するので、外周指示部52で指示された外周目盛部25の目盛のみをそのまま読み取ることができる。このため、副針50が内周指示部31と外周指示部52とを備えていても、また機能表示部21が外周目盛部25と内周目盛部26とを備えていても、副針50による機能表示部21に対する指示の誤認を確実に且つ容易に防ぐことができる。
なお、上記実施形態4では、副針50が、ほぼ三角形状の枠状部50aとほぼ三角形状の平板部50bとを有し、これら枠状部50aの角部と平坦部50bの角部とを副針50の回転中心部で連結した構成である場合について述べたが、これに限らず、例えば図16〜図18に示す変形例のように構成しても良い。すなわち、この副針55は、その一端部側(図16では左端部側)を実施形態4と同じほぼ三角形の枠状部55aに形成し、他端部側(図16では右端部側)を先細の針状部55bに形成した構成になっている。
この場合にも、副針55は、ほぼ三角形の枠状部55aと針状部55bとが副針55の回転中心部で連結され、上文字板9と下文字板8との間に位置した状態で、機能表示部21に沿って回転するように構成されている。すなわち、ほぼ三角形の枠状部55aには、実施形態4と同様、第1開口部30、内周指示部31、外周目盛隠し部32が設けられている。また、針状部55bには、外周目盛部25を指示する外周指示部56と、内周目盛部26の一部を隠す内周目盛隠し部57とが設けられている。
このような腕時計においても、実施形態4と同様、副針55の一端部側の枠状部55aに設けられた内周指示部31が、上文字板9の広開口部20から露出した状態で、下文字板8の機能表示部21に沿って運針する際に、図17に示すように、第1開口部30が内周目盛部26に沿って移動することにより、この第1開口部30内に位置して露出する一部の内周目盛部26の目盛を内周指示部31が指示することにより、この内周指示部31で指示された内周目盛部42の目盛を正確に且つ容易に読み取ることができる。
また、副針55の他端部側の針上部55bに設けられた外周指示部56が、上文字板9の広開口部20から露出した状態で、下文字板8の機能表示部21に沿って運針する際には、図18に示すように、内周目盛隠し部57が内周目盛部26上を移動することにより、この内周目盛隠し部57で内周目盛部26の一部を隠しながら運針し、外周指示部56が外周目盛部25を指示するので、外周指示部56で指示された外周目盛部25の目盛をそのまま読み取ることができる。このため、副針55が内周指示部31と外周指示部56とを備えていても、また機能表示部21が外周目盛部25と内周目盛部26とを備えていても、副針55による機能表示部21に対する指示の誤認を確実に且つ容易に防ぐことができる。
なおまた、上記実施形態4およびその変形例では、機能表示部として、外周目盛部25と内周目盛部26とが同じ種類の機能を分割して連続させた状態で表示した機能表示部21を適用した場合について述べたが、これに限らず、実施形態2に記載したように、機能表示部として、外周目盛部41と内周目盛部42とが異なる機能をそれぞれ独立させて表示した機能表示部40を用いた場合にも適用することができるほか、実施形態3に記載した機能表示部45を用いた場合にも適用することができる。
さらに、上記実施形態1〜4およびその各変形例では、この発明に係わる文字板構造を指針式の腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の指針式の時計に適用することができるほか、必ずしも時計である必要もなく、自動車のメータなどの指針式の計器類を含む指針式機器にも、この発明に係わる文字板構造を組み込むことにより、広く適用することができる。