JP5019144B2 - 建設機械用カウンタウエイト及びそのリサイクル法 - Google Patents
建設機械用カウンタウエイト及びそのリサイクル法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ショベルや移動式クレーン等の大型の建設機械用カウンタウエイトおよびそのリサイクル法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、埋め立て処分場の逼迫、資源枯渇などの理由から循環型社会への移行の必要性が叫ばれており、リサイクルの必要性は建設機械においても例外ではない。ところで、建設機械は老朽化により平均して10〜15年程度で廃棄処分されているが、建設機械の主要部分は金属部品で構成されており、これらの金属部品は金属資源としてリサイクル使用が可能である。一般に油圧ショベルや移動式クレーン等の建設機械においては上部旋回体の後部にケース本体と蓋とからなり、内部に重量骨材が充填されたカウンタウエイトを装着してフロント重量とのバランスを取るようになっている。しかしながら、重量骨材充填型のカウンタウエイトに使用される充填骨材は、リサイクルが困難な重量骨材をコンクリートで固めたものであるために、埋め立て処分せざるを得ないものであった。また、カウンタウエイトの形状、寸法及び重量などの特徴が建設機械の仕様、デザインにより異なるために旧機種の廃カウンタウエイトを新機種に再使用することも甚だ困難なものであった。
【0003】
そこで、リサイクル可能な重量骨材充填型のカウンタウエイトとして、特開平6−264470号公報には、不要となった建設機械の構成部品、例えば、ゴムクローラの芯金を重量骨材として使用する建設機械用カウンタウエイトが開示されているが、廃カウンタウエイトの収集、分解および回収した重量骨材の破砕、再使用にコストが掛かり過ぎるうえに、回収した重量骨材では所望の密度を確保することが困難で、回収した重量骨材の極一部しか再使用することができないという問題があり、従って、安価で、しかも、充填された重量骨材の全量がリサイクル可能な建設機械用カウンタウエイトが求められている。
【0004】
ところで、鉄は密度が7.8g/cm3 と高く、安価であるために、年間数千万トンもの膨大な量の鉄スクラップが製鋼用の鉄源として使用されている。しかし、発生する鉄や酸化鉄などの鉄系廃棄物の全量が鉄原料としてリサイクルされている訳ではない。例えば、鉄鋼を切削、切断、研削して発生したダライ粉、ショットブラストで発生する鉄粉や酸化鉄粉を含む集塵ダスト、石材切断に使用されているガングソウより排出される比較的粒径の小さい廃鉄砂、ショットブラストのセットリングチャンバー廃棄物である比較的粒径の大きい廃ショットなどの粉末状、粒子状の鉄系廃棄物は、その発生量が少ない、形状や大きさが鉄源として不向きである、或いはリサイクルに多大な工数を要する等の理由により、再利用されることなくそのまま埋め立て処分されてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとするところは上記したような従来の問題点を解消し、これまで埋め立て処分に回されていた微細な鉄系廃棄物でも重量充填物として利用することにより、安価で、しかも、リサイクル可能な建設機械用カウンタウエイトを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の建設機械用カウンタウエイトは、重量充填物を、平均粒子径が0.01mm〜10mmの鉄系の粉粒体と、形状が異なりその円相当径が1mm〜50mmの範囲で大きさが異なる鉄系の成形体のいずれか一方または双方によって構成し、該重量充填物の充填密度が4g/cm3以上となるように、水、および水硬性粉粒体とともにケース内に充填した建設機械用カウンタウエイトにおいて、前記鉄系の粉粒体が、ダライ粉、ショットブラストの集塵ダスト、ショットブラスト後の廃ショット、ガングソウの消耗により排出される廃鉄砂の少なくとも1種からなり、また前記鉄系の成形体が、その素材を鉄系廃棄物とし、形状をアーモンド状、棒状、楕円状、針状、塊状などの非球状体に形成(ブリケット)したものであることを特徴とするものである。
また、本発明の建設機械用カウンタウエイトのリサイクル法は、請求項1〜2のいずれかに記載の建設機械用カウンタウエイトのリサイクル法であって、水硬性粉粒体としてセメントを添加したものとして、その使用済み後において、該建設機械用カウンタウエイトを、高炉の鉄源としてリサイクルする場合に添加する前記セメントの添加量を20質量%以下とし、電炉の鉄源としてリサイクルする場合に添加する前記セメントの添加量を5質量%以下にしてリサイクルすることを特徴とするものである。
【0007】
このように、鉄系の粉粒体と、鉄系の成形体のいずれか一方または双方をケース内に充填した建設機械用カウンタウエイトとすることにより、従来廃棄処分されていたショットブラストの集塵ダストや廃ショットなどを重量充填材として用いることができ、このためにカウンタウエイトを安価に製造できるうえに、埋め立て場や廃棄処分に要する費用が不要となる。また、使用済の建設機械からカウンタウエイトを取り外し、これをそのまま、或いは解体して高炉又は転炉又は電気炉の鉄源として使用したり、取り出した重量充填物を別の建設機械のカウンタウエイトの重量骨材として用いることができるので、資源をリサイクルして有効に利用することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、ケース内に充填される重量充填物として、鉄、酸化鉄などの鉄系の粉粒体と、これら鉄系の粉粒体を圧縮成形した圧縮成形体などの鉄系の成形体のいずれか一方または双方を用いることに特徴があり、このようにすることによって、従来は埋め立て処分されてきた粉状や粒状などの鉄系廃棄物でも有効利用できるようにしたものである。このような鉄系廃棄物を原料とすれば、重量充填材が安価なために建設機械用カウンタウエイトを安価に提供できるのみならず、従来は廃棄処分とされていた使用済の建設機械用カウンタウエイトのリサイクルも可能となる。
【0009】
本発明において用いる鉄、酸化鉄などの鉄系の粉粒体としては、鉄鋼を切削、切断、研削して発生したダライ粉、ショットブラストで発生する鉄粉や酸化鉄粉を含む集塵ダスト、石材切断に使用されているガングソウより排出される比較的粒径の小さい廃鉄砂、ショットブラストのセットリングチャンバー廃棄物である比較的粒径の大きい廃ショットなどの鉄系廃棄物をも用いることができる。この鉄系の粉粒体の粒径は特に限定されるものではないが、ケースへ充填密度を高く保持して充填するためには、平均粒径が50mmまでのものが好ましく、特に、資源の有効利用の面を考慮すると、従来廃棄処分されていた平均粒径が0.01mm〜10mmの鉄系の粉体や粒体、小片などの鉄系の廃棄物を用いるのが最も好ましい。
【0010】
なお、前記した重量充填物はケースに充填された状態における密度である充填密度が4g/cm3 未満では所望の重量を得るのに大きなケースを必要とするから、充填密度が4g/cm3 以上であることが好ましい。ところが、鉄系の粉粒体として、粉末状の酸化鉄の混入した鉄系廃棄物を用いる場合においてはその見かけ密度は1〜3g/cm3 と低いので、このように見かけ密度の低い鉄系廃棄物を用いるときは、そのまま充填しただけでは4g/cm3 以上の高い充填密度を得ることが困難である。このため、鉄系の粉粒体の見かけ密度に応じて、次のような所望の高充填密度を有する重量充填物とする。まず、鉄系の粉粒体の見かけ密度が高く、そのままで所望の高い充填密度が得られる場合で、この場合には鉄系の粉粒体をそのまま用いればよい。次に、鉄系の粉粒体の見かけ密度が低い場合には、見かけ密度の高い鉄系の粉粒体と混合することによって高い充填密度の重量充填物とする。また、鉄系の粉粒体が粉末状の酸化鉄粉が含まれるなどの理由により、見かけ密度の高い鉄系の粉粒体と混合しても所望の高い充填密度を得ることが困難である場合には、プレス成形、ブリケットマシン成形などにより鉄系の粉粒体を円相当径が1〜50mmの種々の大きさの圧力成形体とし、これらの大きさの異なる圧縮成形体を混合することにより充填密度が4g/cm3 以上となる重量充填物を製造する。即ち、円相当径を1〜50mmで大きさの異なる成形体とすることにより、高い充填密度を有し取り扱いが容易な重量充填物とすることができる。さらに、このような成形体は鉄系の粉粒体とを混合すればより高い充填密度を有する重量充填物を得ることができる。なお、前記説明において、円相当径とは、アーモンド状、棒状、楕円体状、針状、塊状などの非球状体を同一の体積の球状体とみなした時の直径を指すものであって、成形体の形状には何ら制限がないことは勿論である。
【0011】
しかして、前記したような建設機械用カウンタウエイトを製造するには、鉄系の粉粒体と、鉄系の成形体のいずれか一方または双方を主材とする充填材料を、予め鋼板より成形した箱型のケース内にその投入口より投入充填したうえ投入口を閉鎖すればよい。この場合の具体例としては、例えば、鉄系の粉粒体と、鉄系の成形体のいずれか一方または双方を主材とする充填材料を、ケース内の充填密度が4g/cm3 以上となるように計量調整する工程と、この充填材料をケース内に重量充填物として充填する工程とを行い、その後にケース内の投入口を閉鎖する。なお、箱型のケース内に鉄系の成形体のいずれか一方または双方を投入充填するとき、鉄系の粉粒体が微粉末を含むときは、鉄系の粉粒体を水とともに充填したり、樹脂やセメントなどの製鋼材料として使用可能な水硬性粉粒体を水とともに充填して重量充填物とすれば、投入充填作業を容易化できるうえに、ケース内で硬化してケース内で重量充填物が移動して建設機械の機能に不具合を生じさせることがないようにすることもできるが、水を含んだ重量充填物に気泡が生じることをなくすためには事前または事後に減圧処理などを施して気泡を除去することが望ましい。
【0012】
なお、前記した鉄系の粉粒体と、鉄系の成形体のいずれか一方または双方を、水、および製鋼材料として使用可能な水硬性粉粒体とともに重量充填物としてケース内に充填固化させる場合に使用する水硬性粉粒体とは、燃焼熱を利用してエネルギーコストを低減できるものとして電炉及び高炉において積極的に使用されている樹脂や、質量%で、CaO:約65%、SiO2 :約20%、Al2 O3:約5%、Fe2 O3 :約3%、SO3 :約2%などの成分より構成され、製鋼の副原料として精錬に必要な物質であるCaOが主成分で、SiO2 、Al2 O3 についても鉄鉱石に脈石として含まれる物質であるセメントなどがあるが、高炉の鉄源としてリサイクルする場合には、脈石に相当する成分、即ちSiO2 及びAl2 O3 の量は多くとも鉄鉱石と同等とするのが望ましいので、セメントの添加量は20%以下とし、また、電炉においてはSO3 中のS分が有害成分となり鋼の靱性を低下させるので、電炉の鉄源としてリサイクルする場合のセメントの添加量は5%以下とするのが望ましい。
【0013】
また、電炉の鉄源には1トンの単重制限があるため、重量充填物の単重は1トン以下に分割できる構造とするか、容易に解体できる構造とするのが望ましい。なお、本発明において重量充填物のリサイクル先は高炉、電気炉などの鉄源に限定されるものではなく、例えば、転炉のバブリング防止材や、溶湯の温度調整材など他用途へのリサイクルも可能であり、また、建設機械用カウンタウエイトが使用済とされたとき、これを建設機械から取り外してケースから重量充填物を取り出し、これを新規なケースに充填して再使用することも可能である。なお、重量充填物が鉄系の粉粒体や鉄系の成形体の小片であって、全体が固化されていない場合には、ケースを壊すことなく重量充填物をケースから取り出すことができるうえに破砕などの処理も不要であるため、再使用のための工程が極めて容易となる。
【0014】
さらに、老朽化した建設機械から取り外された使用済の建設機械用カウンタウエイトをリサイクルするには、先ず、建設機械から取り外したカウンタウエイトを回収ステーションに集め、これをそのまま或いはケースを取り外したうえ重量充填物の種類、形状などの品質を基準として所要の大きさの解体片に破壊或いは裁断し、その後にこの所要の大きさとされた解体片を製鋼に用いる高炉又は転炉或いは電炉などの炉の種類に応じたものに分類して各炉に応じた製鋼用の鉄源とするか、或いは新規なケースの重量充填物としてケースに前記した手段により充填して再使用する。なお、前記した分類工程で分類された解体片は、製鋼所などのリサイクル先に輸送されて目的とした用途に使用されるのを普通とするが、リサイクル先や再使用先で解体作業を行なうこともできるし、その中間工程において行うこともできる。
【0015】
【実施例】
以下、実施例に従い本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
自動車ギヤのショットピーニング工程でセットリングチャンバーより排出された平均粒径0.4mmの廃ショットと、同じショットピーニング工程で集塵機により排出された平均粒径0.1mmの集塵ダストとを、容積比で7.5:2.5となるように混合した重量充填物を、1.6mmの鋼板で作成した1辺の長さが300mmで内部が空洞である箱型ケース内にその上部に設けた直径30mmの導入口より、振動テーブル上で流し込み充填して充填密度が5.0g/cm3 の建設機械用カウンタウエイトを得た。この建設機械用カウンタウエイトは重量充填物がいずれも鉄系の粉粒体であって、隙間なくケース内に高密度で充填されているため、建設機械に取り付けて使用したところ、安定した性能を発揮することが確認された。また、この建設機械用カウンタウエイトをリサイクルテストとして、ケースごと鉄スクラップとともに低周波誘導溶解炉に投入したところ、鉄源として使用するうえでの問題は全く認められなかった。
【0016】
(実施例2)
磨き棒鋼用素材のショットブラスト工程で回収した見かけ密度2.5g/cm3 の集塵ダストに、粘結材として澱粉1%、水5.8%を添加した後、ミックスマラーにより混練して成形原料とした。この成形原料を、ブリケットマシンを用いロール油圧155kg/cm2 にて成形することにより、密度が4.3g/cm3 でサイズが28×18×4mmの成形体を得た。この成形体を実施例1で用いたケースと同一形状のケース内に、実施例1と同じ方法により投入充填して建設機械用カウンタウエイトを得た。この建設機械用カウンタウエイトもリサイクルテストとして、ケースごと鉄スクラップとともに低周波誘導溶解炉に投入したところ、鉄源として使用するうえでの問題は全く認められなかった。
【0017】
(実施例3)
鋳物の砂落とし工程のセットリングチャンバー排出物をマグネット選別することにより、平均粒径0.6mmの廃ショットを得た。この廃ショットに実施例2において使用した集塵ダストを容積比で廃ショット6.3に対し集塵ダスト3.7の割合で混合した。この混合物に、ボルトランドセメント5%と水16%を添加、混練して重量骨材とした。次いで、この重量骨材を実施例1で用いたケースと同一形状のケース内にその上部に設けた直径30mmの導入口より投入充填して建設機械用カウンタウエイトを得た。なお、この重量充填物を自然乾燥させた時の密度は5.0g/cm3 であった。次に、廃カウンタウエイトのリサイクルテストを目的として、このカウンタウエイトを解体し、ケース内の重量充填物を取り出してジョークラッシャーにより3mm程度の塊状に破砕後、ロータリーキルンに投入して還元ばい焼処理を行った。次いで、還元ばい焼した重量充填物を鉄源として高炉に投入したが、高炉用鉄源とした何ら問題なく使用することができた。
【0018】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の建設機械用カウンタウエイトは、これまで埋め立て処分に回されていたショットブラストの集塵ダストや廃ショットなどの微細な鉄系廃棄物でも重量充填物として利用することにより安価に提供できるうえに、鉄資源を有効に利用したり、新規なケースに充填して再使用するなどしてリサイクルすることにより、埋め立て場や廃棄処分に要する費用を不要とすることができる。よって、本発明は従来の建設機械用カウンタウエイトの問題点を解決した建設機械用カウンタウエイト及びそのリサイクル法として業界の発展に寄与するところ極めて大きいものがある。
Claims (3)
- 重量充填物を、平均粒子径が0.01mm〜10mmの鉄系の粉粒体と、形状が異なりその円相当径が1mm〜50mmの範囲で大きさが異なる鉄系の成形体のいずれか一方または双方によって構成し、該重量充填物の充填密度が4g/cm3以上となるように、水、および水硬性粉粒体とともにケース内に充填した建設機械用カウンタウエイトにおいて、前記鉄系の粉粒体が、ダライ粉、ショットブラストの集塵ダスト、ショットブラスト後の廃ショット、ガングソウの消耗により排出される廃鉄砂の少なくとも1種からなり、また前記鉄系の成形体が、その素材を鉄系廃棄物とし、形状をアーモンド状、棒状、楕円状、針状、塊状などの非球状体に形成(ブリケット)したものであることを特徴とする建設機械用カウンタウエイト。
- 前記水硬性粉粒体が、樹脂又はセメントであることを特徴とする請求項1に記載の建設機械用カウンタウエイト。
- 請求項1〜2のいずれかに記載の建設機械用カウンタウエイトのリサイクル法であって、水硬性粉粒体としてセメントを添加したものとして、その使用済み後において、該建設機械用カウンタウエイトを、高炉の鉄源としてリサイクルする場合に添加する前記セメントの添加量を20質量%以下とし、電炉の鉄源としてリサイクルする場合に添加する前記セメントの添加量を5質量%以下にしてリサイクルすることを特徴とする建設機械用カウンタウエイトのリサイクル法。
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