以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1は、第1実施の形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の背面図である。
パチンコ機10は、図1に示すように、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の前面を球が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の前面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の前面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の前面側には、その前面上側を覆う前面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。前面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として前面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と前面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
前面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。前面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の前面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。前面枠14には、球を貯留する上皿17が前方へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112aへと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81で表示される変動表示の演出パターンを変更したり、リーチ演出時の演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
加えて、前面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。
また、前面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。また、右側の電飾部32下側には、前面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13前面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等はパチンコ機10の前面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設され、かかる操作ハンドル51の内部には球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ(図示せず)と、操作ハンドル51の回動操作量を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)とが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回転操作されると、タッチセンサがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が操作量に対応して変化し、操作ハンドル51の回動操作量に応じて変化する可変抵抗器の抵抗値に対応した強さで球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の前面へ球が打ち込まれる。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。かかる球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、前述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工した木製のベース板60に、球案内用の多数の釘や風車およびレール61,62、一般入賞口63、第1入球口64、可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12の裏面側に取り付けられる。一般入賞口63、第1入球口64、可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の前面側から木ネジ等により固定されている。また、遊技盤13の前面中央部分は、前面枠14の窓部14cを通じて内枠13の前面側から視認することができる。以下に、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の前面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の前面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の前面であって2本のレール61,62と円弧部材70とにより区画して形成される略円形状の領域である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。また、内レール61の右下側の先端部と外レール62の右上側の先端部との間には、レール間を繋ぐ円弧を内面側に設けて形成された樹脂製の円弧部材70がベース板60に打ち込んで固定されている。
遊技領域の正面視右側上部(図2の右側上部)には、発光手段である複数のLED37aと7セグメント表示器37bとが設けられた第1図柄表示装置37が配設されている。第1図柄表示装置37は、主制御装置110で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。複数のLED37aは、パチンコ機10が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すものである。7セグメント表示装置37bは、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行うものである。なお、LED37aは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
なお、上述したパチンコ機10が確変中とは、大当たり確率がアップして特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態である。さらに、本実施の形態における確変中は、第2図柄の当たり確率がアップして第1入球口64(図3参照)へ球が入球し易い遊技の状態である。また、パチンコ機10が時短中とは、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして第1入球口64(図3参照)へ球が入球し易い遊技の状態である。また、パチンコ機10が通常中とは、確変中でも時短中でもない遊技の状態(大当たり確率も第2図柄の当たり確率もアップしていない状態)である。なお、パチンコ機10の遊技状態に応じて、第1入球口64に付随する電動役物(図示せず)が開放する時間や、1回の当たりで電動役物が開放する回数を変更するものとしても良い。
また、遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入球口64への入賞をトリガとして第3図柄を変動表示する液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と略す。)で構成された第3図柄表示装置81と、第2入球口67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示する発光ダイオード(以下、「LED」と略す。)で構成される第2図柄表示装置82とが設けられている。
第3図柄表示装置81は、後述する表示制御装置114によって表示内容が制御され、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成され、これらの図柄が図柄列毎に縦スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。また、本実施の形態では、第3図柄表示装置81は8インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成され、可変表示装置ユニット80には、この第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。本実施の形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37で行われるのに対して、その第1図柄表示装置37の表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、LCDに代えて、例えば、リール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
また、第1図柄表示装置37にて停止図柄(確変大当たり図柄、普通大当たり図柄、外れ図柄のいずれか1つ)が表示されるまでの間に球が第1入球口64へ入球した場合、その入球回数は最大4回まで保留され、その保留回数は第1図柄表示装置37により示されると共に保留ランプ85の点灯個数においても示される。保留ランプ85は、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の上方に左右対称に配設されている。なお、本実施の形態においては、第1入球口64への入賞は、最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、保留ランプ85を削除し、第1入球口64への入賞に基づく変動表示の保留回数を第3図柄表示装置81の一部に数字で、或いは、4つに区画された領域を保留回数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしても良い。また、第1図柄表示装置37により保留回数が示されるので、保留ランプ85により点灯表示を行わないものとしても良い。
第2図柄表示装置82は、第2図柄の表示部83と保留ランプ84とを有し、球が第2入球口67を通過する毎に、表示部83において表示図柄(第2図柄)としての「○」の図柄と「×」の図柄とが交互に点灯して変動表示が行われ、その変動表示が所定図柄(本実施の形態においては「○」の図柄)で停止した場合に第1入球口64が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。球の第2入球口67の通過回数は最大4回まで保留され、その保留回数が上述した第1図柄表示装置37により表示されると共に保留ランプ84においても点灯表示される。なお、第2図柄の変動表示は、本実施の形態のように、表示部83において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、保留ランプ84の点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、第2入球口67の通過は、第1入球口64と同様に、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、第1図柄表示装置37により保留回数が示されるので、保留ランプ84により点灯表示を行わないものとしても良い。
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入球し得る第1入球口64が配設されている。この第1入球口64へ球が入球すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入球口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入球口スイッチのオンに起因して主制御装置110で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37のLED37aで示される。また、第1入球口64は、球が入球すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。
第1入球口64の下方には可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の特定入賞口(大開放口)65aが設けられている。パチンコ機10においては、主制御装置110での抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37のLED37aを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65aが所定時間開放される。この特定入賞口65aの開閉動作は、最高で例えば16回(16ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
可変入賞装置65は、具体的には、特定入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド(ソレノイド209(図4参照)の一部)とを備えている。特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイドを駆動して開閉板を前面下側に傾倒し、球が特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37において大当たりに対応したLED37aが点灯した場合に、特定入賞口65aが所定時間開放され、その特定入賞口65aの開放中に、球が特定入賞口65a内へ入賞することを契機として特定入賞口65aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。
遊技盤13の下側における左右の隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1,K2が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、前面枠14の小窓35を通じて視認することができる。
さらに、遊技盤13には、アウト口66と第2入球口(スルーゲート)67とが設けられている。いずれの入賞口63,64,65aにも入球しなかった球はアウト口66を通って図示しない球排出路へと案内される。遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
図3に示すように、パチンコ機10の背面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、第1実施の形態におけるパチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。このMPU201は、ROM202と、RAM203と、ID用ROM207と、不正監視タイマ208とを備えていると共に、そのほか、割込回路や、タイマ回路、データ送受信回路などの図示しない各種回路を内蔵している。
ROM202は、MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するものである。図4に示すように、ROM202には、ユーザ使用不可領域202aと、ユーザプログラム領域202bとが設けられている。
ROM202におけるユーザ使用不可領域202aは、MPU201の基本動作を制御するための制御プログラムである内部プログラム202a1や、対応する固定値データを記憶する領域である。
このユーザ使用不可領域202aに記憶されている内容は、MPU201の製造に直接的又は間接的に関わったことによって必然的にその内容を知り得る者(例えば、MPU201の製造メーカーにおける開発担当者や記録上知り得る者などから構成される一部の閉鎖的な集団に属する者)のみが取り扱い得る。換言すれば、ユーザ使用不可領域202aは、その内容を必然的に知り得る者以外による取り扱いが実質的に不可能な領域である。よって、このユーザ使用不可領域202aに記憶されている内部プログラム202a1の制御内容は、その制御内容を必然的に知り得る者以外によって認知されることや、改変されることが実質的に不可能である。
一方で、ユーザプログラム領域202bは、パチンコ機10を製造するメーカーによって遊技の種類に応じて作成されたユーザプログラム202b1や、固定値データを記憶する領域である。なお、ユーザプログラム領域202bに記憶されるユーザプログラム202b1は、パチンコ機10で行う遊技の種類に応じた動作を実行させるための制御プログラムである。
このユーザプログラム領域202bに記憶される内容は、上記したユーザ使用不可領域202aとは異なり、所定の操作によって読み出すことが可能とされている。例えば、基板ボックス100を開けてROM202を取り外し、取り外したROM202に対してROMリーダを用いたり、又は、基板ボックス100のコネクタに専用のリーダを接続することによって、ユーザプログラム領域202bに記憶される内容を読み出すことができる。よって、ユーザプログラム202b1の制御内容が、その制御内容を必然的に知り得る者以外に認知されることは比較的容易である。そのため、不正行為を試みる者は、ユーザプログラム202b1の内容を認知した上で、少なくとも一部の制御内容(例えば、多量の遊技球の払出が可能な大当たりの発生に関連する制御内容)に関する部分を改変した不正プログラムを搭載した不正基板を作成し、その不正基板を利用した不正行為を実施する。例えば、不正基板を主制御装置110に付加的に取り付けたり、その不正基板を含み、主制御装置110を模倣した不正装置を、主制御装置110と取り替え、かかる不正基板による制御により、例えば、不当に大当たりを発生させて大量の遊技球の払い出させるなどの不正行為が行われる。
詳細は後述するが、本実施の形態のパチンコ機10は、内部プログラム202a1に、不正防止用の処理として、8バイトの管理パスワード(管理情報)を規定の演算式に従って演算し、新たな管理パスワードに更新する処理の制御を行うための内容が含まれている。上記の通り、内部プログラム202a1による制御内容は、その内容を必然的に知り得る者以外による認知が実質的に不可能であるので、不正行為者が管理パスワードの更新パターンを模倣することは困難である。その結果として、本実施の形態のパチンコ機10は、不正基板を利用した不正行為を確実に防止することができるのである。
RAM203は、上記したROM202内に記憶される内部プログラム202a1やユーザプログラム202b1などの制御プログラムの実行に際して、各種データを一時的に記憶するものである。図4に示すように、RAM203は、第1管理PWメモリ203aと、第2管理PWメモリ203bと、第3管理PWメモリ203cと、演算カウンタ203dと、管理PW出力要求フラグ203eと、管理PW受信待機フラグ203fと、管理PW照合要求フラグ203gとを備えている。なお、このRAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からRAMバックアップ用のバックアップ電圧が供給される構成となっており、かかる構成によって、パチンコ機10の電源が遮断されてもRAM203に記憶されるデータは保持(バックアップ)される。
第1管理PWメモリ203a及び第2管理PWメモリ203bは、いずれも、8バイトの管理パスワードを記憶するものである。より具体的には、第1管理PWメモリ203aは、パチンコ機10への電源の投入に伴って設定される主制御装置110の管理パスワードの初期値(第1番目の管理パスワード)から、内部プログラム202a1による制御によって順次更新されていく管理パスワードの、その時点における最新の管理パスワードを記憶するものである。一方で、第2管理PWメモリ203bは、払出制御装置111から管理パスワードを受信した場合に、その管理パスワードを記憶するものである。
第3管理PWメモリ203cもまた、上記した第1管理PWメモリ203aや第2管理PWメモリ203bと同様に8バイトの管理パスワードを記憶するものである。この第3管理PWメモリ203cは、主制御装置110における第n番目の管理パスワード(nは、1以上の整数)をバックアップ(保持)するために使用される。具体的には、第3管理PWメモリ203cには、後述する第1演算処理(図20)において管理パスワードが演算によって更新される毎に、その更新された値がバックアップ用の値として記憶される。そして、パチンコ機10の電源を遮断した後、RAM消去スイッチ122を操作することなく、電源を再度投入した場合には、この第3管理PWメモリ203cに記憶されている値が第2管理PWメモリ203bに記憶され、主制御装置110における第1番目の管理パスワードとして使用される。
演算カウンタ203dは、内部プログラム202a1による制御によってのみ読み出すことのできるRAM領域(内部RAM)内に設けられたカウンタである。この演算カウンタ203dは、内部プログラム202a1で実行される演算の演算パターンを管理するために使用されるカウンタであり、0から3までの値をとり得るループカウンタとして構成されている。この演算カウンタ203dは、電源投入に伴って0に初期化され、内部プログラム202a1に基づいて管理パスワードに対する演算が実行される毎に1ずつ更新される。そして、演算カウンタ203dが最大値(即ち、3)に達した後は、次の更新によって0に戻る。なお、内部RAMに記憶されている内容は、上記したROM202におけるユーザ使用不可領域202aと同様に、認知や改変が実質的に不可能とされる。よって、そのような内部RAM内に設けられている演算カウンタ203dの値もまた認知や改変が実質的に不可能である。
管理PW出力要求フラグ203eは、主制御装置110から払出制御装置111へ管理パスワードを出力する必要があるか否かを示すフラグである。この管理PW出力要求フラグ203eは、電源投入に伴ってオフに初期化された後、内部立ち上げ処理(図17参照)や第1演算処理(図20参照)において、第1管理PWメモリ203aに記憶されている管理パスワードを払出制御装置111へ出力する必要が生じた場合にオンされる。このようにオンされた管理PW出力要求フラグ203eは、管理パスワード出力設定処理(図12参照)において、出力すべき管理パスワードの出力設定がなされるとオフされる。
管理PW受信待機フラグ203fは、主制御装置110が、払出制御装置111へ管理パスワードを出力した後に、払出制御装置111から管理パスワードの受信を待機している状態であるか否かを示すフラグである。この管理PW受信待機フラグ203fは、電源投入に伴ってオフに初期化された後、管理パスワード出力設定処理(図12参照)において、出力すべき管理パスワードの出力設定がなされるとオンされる。このようにオンされた管理PW受信待機フラグ203fは、管理パスワード受信処理(図13参照)において、払出制御装置111から管理パスワードの受信があったことが確認されるとオフされる。
管理PW照合要求フラグ203fは、主制御装置110又は払出制御装置111に異常(不正基板の使用などの不正行為に基づく主制御装置110又は払出制御装置111の不具合を含む)が存在するか否かを判定するために、主制御装置110において管理パスワードの照合を行うか否かを示すフラグであり、電源投入に伴ってオフに初期化された後、管理パスワード受信処理(図13参照)において、払出制御装置111から管理パスワードを受信したことが確認されるとオンされる。このようにオンされた管理PW照合フラグ203fは、第1演算処理(図18参照)において、照合済みの管理パスワードに対する演算を行った後にオフされる。
また、RAM203は、上記したメモリやフラグやカウンタの他に、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを備えている。
上記したように、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされるように構成されており、停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図8参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図7参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図15参照)が即座に実行される。
ID用ROM207は、各パチンコ機10毎に設定される固有の識別番号(固有情報)を記憶するためのROMであり、その記憶領域として8バイトが割り当てられた固有コードメモリ207aが設けられている。この固有コードメモリ207aには、MPU201に固有(即ち、パチンコ機10固有)の識別番号としての値(固有情報)が書き込まれている。この固有コードメモリ207aの値は、パチンコ機10のセキュリティー情報としての役割を担っており、各MPU毎に異なるユニークな番号で構成されている。詳細は後述するが、本実施の形態では、この固有コードメモリ207aに記憶されている値が、パチンコ機10への電源投入を契機として読み出され、読み出された値が、主制御装置110における第1番目の管理パスワード(管理パスワードの初期値)として第1管理PWメモリ203aに書き込まれる。
なお、MPU201には、図示しない検査ポート(図示せず)が設けられると共にその先にはモジュラージャック(図示せず)が接続されている。このモジュラージャックを介してチェッカー(図示せず)をMPU201に接続すると、固有コードメモリ207aの値を外部から読み出すことができ、MPU201の真贋を照合するためのセキュリティーチェックを行うことができる。このため、固有コードメモリ207aの値等を不正に書き換えたり、MPU201を不正なMPUに交換するという不正行為を検出することができ、不正行為を実行困難なものとすることができる。なお、必ずしもチェッカーをモジュラージャックに接続するように構成する必要はなく、無線で照合を可能なチェッカーによってMPUの識別番号を照合するようにしても良い。
なお、ID用ROM207には、固有コードメモリ207aの他に、パチンコ機10の製造メーカコードや機種コード等を記憶するメモリ(図示せず)も設けられている。
不正監視タイマ208は、主制御装置110側の管理パスワードと払出制御装置111側の管理パスワードとの照合の結果、主制御装置110又は払出制御装置111に異常が存在すると判定された場合に、その判定(異常を示す判定)が猶予される期間(猶予期間)を計時するためのタイマである。
詳細は後述するが、この不正監視タイマ208には、第1管理PWメモリ203aに管理パスワードの初期値が記憶された場合、又は、その後の管理パスワードによる照合によって主制御装置110や払出制御装置111に異常が存在しないことが確認された場合に、不正などに起因する異常を示す判定を猶予する猶予期間(本実施の形態では30sec)が初期値として設定されるように構成されている。そして、初期値の設定後、後述する不正監視タイマ更新処理(図11参照)が実行される毎に1ずつ減算されるように構成されている。
なお、本実施の形態では、不正監視タイマ更新処理(図11参照)は4ms毎に実行されるので、不正監視タイマ208に初期値を設定する際には、4ms毎の減算による計時に相当する値に換算された値が設定される。即ち、本実施の形態では猶予期間を30secとしているので、不正監視タイマ208には初期値として7500が設定される。
本実施の形態では、不正監視タイマ208が0を超える値、即ち、設定された猶予期間以内にあることを示す場合には、主制御装置110又は払出制御装置111において、主制御装置110又は払出制御装置111に不正などに起因する異常があると疑われる判定がなされたとしても、その異常を示す判定が猶予されるように構成されている。その一方で、不正監視タイマ208が0を示した後で、主制御装置110又は払出制御装置111において、主制御装置110又は払出制御装置111に不正などに起因する異常があると疑われる判定がなされた場合には、外部への報知などを含む不正防止処理が実行されるように構成されている。
よって、ノイズなどの偶発的な要因によって主制御装置110又は払出制御装置111に不正などに起因する異常があると疑われる判定がなされたとしても、その原因が猶予期間内に修正されるのであれば、異常を示した先の判定が一時的なものであるとして無視されることになる。従って、この不正監視タイマ208を用いて所定の猶予期間を計時することによって、偶発的な要因によって正規な制御装置110,111が不正なものであると誤判定されることを防止できる。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置(周辺制御装置)が接続されている。主制御装置110は、これらのサブ制御装置に対し各種動作を指示するために、MPU201のデータ送受信回路(図示せず)によって各種のコマンドを送信するように構成されている。ここで、主制御装置110と払出制御装置111との間におけるコマンドの通信路(コマンドライン)は双方向通信可能に構成されている。なお、主制御装置110と払出制御装置111との間におけるコマンドの通信路(コマンドライン)は、例えば、主制御装置110に接続されるコネクタと、払出制御装置111に接続されるコネクタと、両コネクタの間に配線された複数本の信号線とから構成されるハーネスによって形成される。
また、入出力ポート205には、上記したサブ制御装置の他に、第1図柄表示装置37、第2図柄表示装置82や、図示しないスイッチ群やセンサ群などからなる各種スイッチ206や、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続されている。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、RAM213とを備えている。
ROM212には、図4に示すように、ユーザ使用不可領域212aと、ユーザプログラム領域202bとが設けられている。ユーザ使用不可領域212aは、上記した主制御装置110におけるユーザ使用不可領域202aと同様に、その領域に記憶される内容を必然的に知り得る者以外によって認知されることや、改変されることが実質的に不可能な領域である。このユーザ使用不可領域212aには、MPU211の基本動作を制御するための制御プログラムである内部プログラム212a1や、対応する固定値データが記憶されている。
詳細は後述するが、このユーザ使用不可領域212aに記憶される内部プログラム212a1にも、主制御装置110のユーザ使用不可領域202aに記憶されている内部プログラム202a1と同様の不正防止用の処理、即ち、8バイトの管理パスワードを規定の演算式に従って演算し、新たな管理パスワードに更新する処理の制御を行うための内容が含まれている。内部プログラム212a1の制御内容を認知することが実質的に不可能な不正行為者が管理パスワードの更新パターンを模倣することは困難であるので、その結果として、不正基板を利用した不正行為を確実に防止することができるのである。
なお、本実施の形態のパチンコ機10では、払出制御装置111の内部プログラム212aと上記した主制御装置110の内部プログラム201a1との両方において、第n番目(nは、1以上の整数)の管理パスワードから第(n+1)番目の管理パスワードを得るために行われる第n回目の演算の演算式が同一となるように構成されている。
一方で、ユーザプログラム領域212bもまた、上記した主制御装置110におけるユーザプログラム領域202bと同様に、その内容が所定の操作(例えば、取り外したROM212に対するROMリーダの使用や、基板ボックス102に接続して使用する専用のリーダの使用など)によって読み出すことが可能な領域であり、このユーザプログラム領域212bには、パチンコ機10を製造するメーカーによって遊技の種類に応じて作成されたユーザプログラムであるユーザプログラム212b1や、固定値データが記憶されている。
RAM213は、上記したROM212内に記憶される内部プログラム212a1やユーザプログラム212a1などの制御プログラムの実行に際して、各種データを一時的に記憶するものである。図4に示すように、RAM203は、第1管理PWメモリ213aと、第2管理PWメモリ213bと、第3管理PWメモリ213cと、演算カウンタ213dと、管理PW出力要求フラグ213eと、管理PW受信フラグ213fとを備えている。なお、このRAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からRAMバックアップ用のバックアップ電圧が供給される構成となっており、かかる構成によって、パチンコ機10の電源が遮断されてもRAM213に記憶されるデータはすべて保持(バックアップ)される。
払出制御装置111における第1管理PWメモリ213a及び第2管理PWメモリ213bは、それぞれ、上記した主制御装置110における第1管理PWメモリ203a及び第2管理PWメモリ203bと同様に、8バイトの管理パスワードを記憶するものである。なお、払出制御装置111における第1管理PWメモリ213aは、主制御装置110から管理パスワードを受信した場合に、受信した管理パスワードを記憶するものであり、一方で、第2管理PWメモリ213bは、内部プログラム212a1による制御によって順次更新されていく管理パスワードの、その時点において払出制御装置111における最新の管理パスワードを記憶するものである。
第3管理PWメモリ213cもまた、上記した主制御装置110における第3管理PWメモリ203cと同様に、第n番目の管理パスワード(nは、1以上の整数)をバックアップ(保持)するものである。この第3管理PWメモリ203cは、後述する第2演算処理(図28)において管理パスワードが演算によって更新さえる毎に、その更新された値がバックアップ用の値として記憶される。パチンコ機10の電源を遮断した後、RAM消去スイッチ122を操作することなく、電源を再度投入した場合には、この第3管理PWメモリ213cに記憶されている値が第1管理PWメモリ213aに記憶され、払出制御装置111における第1番目の管理パスワードとして使用される。
演算カウンタ213dは、上記した主制御装置110の演算カウンタ203dと同様に、内部プログラム212a1による制御によってのみ読み出すことのできるRAM領域(内部RAM)内に設けられたカウンタであり、内部プログラム212a1で実行される演算の演算パターンを管理するために使用される0から3までの値をとり得るループカウンタである。この演算カウンタ213dもまた、演算カウンタ203dと同様に、電源投入に伴って0に初期化され、内部プログラム212a1に基づいて管理パスワードに対する演算が実行される毎に1ずつ更新される。
管理PW出力要求フラグ213eは、払出制御装置111から払出制御装置110へ管理パスワードを出力する必要があるか否かを示すフラグである。この管理PW出力要求フラグ203eは、電源投入に伴ってオフに初期化された後、第2演算処理(図28参照)において、第2管理PWメモリ213bに記憶されている管理パスワードを主制御装置111へ出力する必要が生じた場合にオンされる。このようにオンされた管理PW出力要求フラグ213eは、管理パスワード出力処理(図24参照)において、管理パスワードの出力がなされるとオフされる。
管理PW受信フラグ213fは、払出制御装置111が主制御装置110から管理パスワードを受信したか否かを示すフラグであり、電源投入に伴ってオフに初期化された後、主制御装置110から管理パスワードを受信した場合に実行される管理パスワード受信処理(図23照)においてオンされる。このようにオンされた管理PW受信フラグ213dは、受信した管理パスワードの更新を行った後、その更新された管理パスワードが、後述する管理パスワード出力処理(図24参照)によって主制御装置110へ出力されるとオフされる。
また、払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを備えている。
上記したように、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされるように構成されており、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図16参照)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回転操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサにより検出し、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、操作ハンドル51の回動量に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33や表示ランプ34など)における点灯および消灯の出力、表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを備えている。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110が接続されると共に、表示制御装置114や、音声出力装置226、ランプ表示装置227などがそれぞれ接続されている。
表示制御装置114は、第3図柄表示装置(LCD)81における第3図柄の変動表示を制御するものである。表示制御装置114は、MPU231と、ROM(プログラムROM)232と、ワークRAM233と、ビデオRAM234と、キャラクタROM235と、画像コントローラ236と、入力ポート237と、出力ポート238と、バスライン239,240とを備えている。入力ポート237の入力側には音声ランプ制御装置113の出力側が接続され、入力ポート237の出力側には、MPU231、ROM232、ワークRAM233、画像コントローラ236が接続されている。画像コントローラ236には、ビデオRAM234、キャラクタROM235が接続されると共に、バスライン240を介して出力ポート238が接続されている。出力ポート238の出力側には、第3図柄表示装置81が接続されている。なお、パチンコ機10は、大当たりの抽選確率や1回の大当たりで払い出される賞球数が異なる別機種であっても、第3図柄表示装置81で表示される図柄構成が全く同じ仕様の機種があるので、表示制御装置114は共通部品化されコスト低減が図られている。
表示制御装置114のMPU231は、音声ランプ制御装置113から入力された図柄表示用のコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81の表示内容を制御する。ROM232は、MPU231により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリである。ワークRAM233は、MPU231による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。キャラクタROM235は、第3図柄表示装置81に表示される図柄(背景図柄や第3図柄)などの演出用のデータを記憶したメモリである。ビデオRAM234は、第3図柄表示装置81に表示される演出データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM234の内容を書き替えることにより、第3図柄表示装置81の表示内容が変更される。
画像コントローラ236は、MPU231、ビデオRAM234、出力ポート238のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きを介在すると共に、ビデオRAM234に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して第3図柄表示装置81に表示させるものである。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)とを有するRAM消去スイッチ回路253とを備えている。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図16参照)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110及び払出制御装置111は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
ここで、図5を参照して、第3図柄表示装置81の表示内容について説明する。図5は、第3図柄表示装置81の表示画面を説明するための図面であり、図5(a)は、表示画面の領域区分設定と有効ライン設定とを模式的に示した図であり、図5(b)は、実際の表示画面を例示した図である。
第3図柄は、「0」から「9」の数字を付した10種類の主図柄と、この主図柄より小さく形成された花びら形状の1種類の副図柄とにより構成されている。各主図柄は、木箱よりなる後方図柄の上に「0」から「9」の数字を付して構成され、そのうち奇数番号(1,3,5,7,9)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯に大きな数字が付加されている。これに対し、偶数番号(0,2,4,6,8)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯にお守り、風呂敷、ヘルメット等のキャラクタを模した付属図柄が付加されており、付属図柄の右下側に偶数の数字が緑色で小さく、且つ、付属図柄の前側に表示されるように付加されている。
また、本実施の形態のパチンコ機10においては、主制御装置110による抽選結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う変動表示が行われ、その変動表示が終わった後に大当たりが発生するよう構成されている。大当たり終了後に高確率状態(確変状態)に移行する場合は、奇数番号が付加された主図柄(「高確率図柄」に相当)が揃う変動表示が行われる。一方、大当たり終了後に低確率状態に移行する場合は、偶数番号が付加された主図柄(「低確率図柄」に相当)が揃う変動表示が行われる。ここで、高確率状態とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動(確変)の時をいう。また、通常状態(低確率状態)とは、確変でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。
図5(a)に示すように、第3図柄表示装置81の表示画面は、大きくは上下に2分割され、下側の2/3が第3図柄を変動表示する主表示領域Dm、それ以外の上側の1/3が予告演出やキャラクタを表示する副表示領域Dsとなっている。
主表示領域Dmには、左・中・右の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が表示される。各図柄列Z1〜Z3には、前述した第3図柄が規定の順序で表示される。即ち、各図柄列Z1〜Z3には、数字の昇順または降順に主図柄が配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配列されている。このため、各図柄列には、10個の主図柄と10個の副図柄の計20個の第3図柄が設定され、各図柄列Z1〜Z3毎に周期性をもって上から下へとスクロールして変動表示が行われる。特に、左図柄列Z1においては主図柄の数字が降順に現れるように配列され、中図柄列Z2及び右図柄列Z3においては主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。
また、主表示領域Dmには、各図柄列Z1〜Z3毎に上・中・下の3段に第3図柄が表示される。従って、第3図柄表示装置81には、3段×3列の計9個の第3図柄が表示される。この主表示領域Dmには、5つの有効ライン、即ち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5が設定されている。そして、毎回の遊技に際して、左図柄列Z1→右図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、その停止時にいずれかの有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示される。
副表示領域Dsは、主表示領域Dmよりも上方に横長に設けられており、さらに左右方向に3つの予告領域Ds1〜Ds3に等区分されている。ここで、左右の予告領域Ds1,Ds3は、ソレノイド(図示せず)で電気的に開閉される両開き式の不透明な扉で通常覆われており、時としてソレノイドが励磁されて扉が手前側に開放されることにより遊技者に視認可能となる表示領域となっている。中央の予告領域Ds2は、扉で覆い隠されずに常に視認できる表示領域となっている。
図5(b)に示すように、実際の表示画面では、主表示領域Dmに第3図柄の主図柄と副図柄とが合計9個表示される。副表示領域Dsにおいては、左右の扉が閉鎖された状態となっており、左右の予告領域Ds1,Ds3が覆い隠されて表示画面が視認できない状態となっている。変動表示の途中において、左右のいずれか一方、または両方の扉が開放されると、左右の予告領域Ds1,Ds3に動画が表示され、通常より大当たりへ遷移し易い状態であることが遊技者に示唆される。中央の予告領域Ds2では、通常は、所定のキャラクタ(本実施の形態ではハチマキを付けた少年)が所定動作をし、時として所定動作とは別の特別な動作をしたり、別のキャラクタが現出する等して予告演出が行われる。なお、第3図柄表示装置81の表示画面は、原則として上下の表示領域Dm,Dsに区分されているが、各表示領域Dm,Dsを跨いでより大きく第3図柄やキャラクタ等を表示して表示演出を行うことができる。
次に、図6を参照して、主制御装置110のRAM203内に設けられるカウンタ等について説明する。これらのカウンタ等は、大当たり抽選や第1図柄表示装置37の表示の設定、第2図柄表示装置82の表示結果の抽選などを行うために、主制御装置110のMPU201で使用される。
大当たり抽選や第1図柄表示装置37の表示の設定には、大当たりの抽選に使用する第1当たり乱数カウンタC1と、大当たり図柄の選択に使用する第1当たり種別図柄カウンタC2と、停止パターン選択カウンタC3と、第1当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する第1初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1,CS2,CS3とが用いられる。また、第2図柄表示装置82の抽選には、第2当たり乱数カウンタC4が用いられ、第2当たり乱数カウンタC4の初期値設定には第2初期値乱数カウンタCINI2が用いられる。これら各カウンタは、更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。
各カウンタは、メイン処理(図8参照)の実行間隔である4ms間隔、またはタイマ割込処理(図14参照)の実行間隔である2ms間隔で更新され、その更新値がRAM203の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM203には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、第1入球口64への球の入賞タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
各カウンタについて詳しく説明する。第1当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜738の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり738)に達した後0に戻る構成となっている。特に、第1当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1の値が当該第1当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。また、第1初期値乱数カウンタCINI1は、第1当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜738)、タイマ割込処理(図14参照)の実行毎に1回更新されると共に、メイン処理(図8参照)の残余時間内で繰り返し更新される。第1当たり乱数カウンタC1の値は、例えば定期的に(本実施の形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口64に入賞したタイミングでRAM203の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「373,727」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は14で、その値は「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,631,683,733」である。
第1当たり種別カウンタC2は、大当たりの際の第1図柄表示装置37の表示態様を決定するものであり、本実施の形態では、0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。第1当たり種別カウンタC2の値は、例えば定期的に(本実施の形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口64に入賞したタイミングでRAM203の保留球格納エリアに格納される。なお、大当たり後に高確率状態となる乱数の値は「1,2,3」であり、大当たり後に低確率状態となる乱数の値は「0,4」であり、2種類の当たり種別が決定される。よって、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、高確率状態と低確率状態との2種類の大当たりに対応した表示態様と、はずれに対応した1種類の表示態様との合計3種類の表示態様のうち、いずれか1つが選択される。
停止パターン選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、停止パターン選択カウンタC3によって、第3図柄表示装置81で表示される演出のパターンが選択され、リーチが発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」(例えば0〜8の範囲)と、同じくリーチ発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」(例えば9〜38の範囲)と、リーチ発生しない「完全外れ」(例えば39〜238の範囲)との3つの停止(演出)パターンが選択される。停止パターン選択カウンタC3の値は、例えば定期的に(本実施の形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口64に入賞したタイミングでRAM203の保留球格納エリアに格納される。
また、停止パターン選択カウンタC3には、停止パターンの選択される乱数値の範囲が異なる複数のテーブルが設けられている。これは、現在のパチンコ機10の状態が高確率状態であるか低確率状態であるか、保留球格納エリアのどのエリアに各乱数値が格納されているか(即ち保留個数)等に応じて、停止パターンの選択比率を変更するためである。
例えば、高確率状態では、大当たりが発生し易いため必要以上にリーチ演出が選択されないように、「完全外れ」の停止パターンに対応した乱数値の範囲が10〜238と広いテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され易くなる。このテーブルは、「前後外れリーチ」が0〜5と狭くなると共に「前後外れ以外リーチ」も6〜9と狭くなり、「前後外れリーチ」や「前後外れ以外リーチ」が選択され難くなる。また、低確率状態で保留球格納エリアに各乱数値が格納されていなければ、第1入球口64への球の入球時間を確保するために「完全外れ」の停止パターンに対応した乱数値の範囲が51〜238と狭いテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され難くなる。このテーブルは、「前後外れ以外リーチ」の停止パターンに対応した乱数値の範囲が9〜50と広くなり、「前後外れ以外リーチ」が選択され易くなっている。よって、低確率状態では、第1入球口64への球の入球時間を確保できるので、第3図柄表示装置81による変動表示が継続して行われ易くなる。
2つの変動種別カウンタCS1,CS2のうち、一方の変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、他方の変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS1を「第1変動種別カウンタ」、CS2を「第2変動種別カウンタ」ともいう。
第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の大まかな表示態様が決定される。表示態様の決定は、具体的には、図柄変動の変動時間の決定である。また、第2変動種別カウンタCS2によって、リーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの変動時間(言い換えれば、変動図柄数)が決定される。変動種別カウンタCS1,CS2により決定された変動時間に基づいて、表示制御装置114により第3表示装置81で表示される第3図柄のリーチ種別や細かな図柄変動態様が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。また、第1変動種別カウンタCS1だけで図柄変動態様を決定したり、第1変動種別カウンタCS1と停止図柄との組み合わせで同じく図柄変動態様を決定したりすることも可能である。変動種別カウンタCS1,CS2の値は、後述するメイン処理(図8参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。
変動種別カウンタCS3の値は、例えば、0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後に0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS3を「第3変動種別カウンタ」ともいう。本実施の形態の第3図柄表示装置81は、第1図柄表示装置37の表示態様に応じた装飾的な演出を行うものであり、図柄の変動以外に、変動している図柄を滑らせたり、リーチ演出の発生を予告するための予告キャラクタを通過させるなどの予告演出が行われる。その予告演出の演出パターンが変動種別カウンタCS3により選択される。具体的には、予告演出に必要となる時間を変動時間に加算したり、反対に変動表示される時間を短縮するために変動時間を減算したり、変動時間を加減算しない演出パターンが選択される。なお、変動種別カウンタCS3は、停止パターン選択カウンタC3と同様に、演出パターンが選択される乱数値の範囲が異なる複数のテーブルが設けられ、現在のパチンコ機10の状態が高確率状態であるか低確率状態であるか、保留球格納エリアのどのエリアに各乱数値が格納されているか等に応じて、各演出パターンの選択比率が異なるよう構成されている。
上述したように、変動種別カウンタCS1,CS2により図柄変動の変動時間が決定されると共に、変動種別カウンタCS3により変動時間に加減算される時間が決定される。よって、最終停止図柄が停止するまでの最終的な変動時間は、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3により決定される。
第2当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。第2当たり乱数カウンタC4の値は、本実施の形態ではタイマ割込処理毎に、例えば定期的に更新され、球が左右何れかの第2入球口(スルーゲート)67を通過したことが検知された時に取得される。当選することとなる乱数の値の数は149あり、その範囲は「5〜153」となっている。なお、第2初期値乱数カウンタCINI2は、第2当たり乱数カウンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜250)、タイマ割込処理(図14参照)毎に1回更新されると共に、メイン処理(図8参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
次に、図7から図20を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。なお、以下に説明する各制御処理のうち、図7から図16に示す処理は、主制御装置110のユーザプログラム202b1によって実行される処理であり、図17から図20に示す処理は、主制御装置110の内部プログラム202a1によって実行される処理である。
まず、図7から図20に示す処理、即ち、ユーザプログラム202b1によって実行される各制御処理について説明する。ユーザプログラム202b1によって実行される処理(図7から図20に示す処理)としては、大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2ms周期で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後立ち上げ処理とメイン処理とを説明する。
図14は、タイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込処理は、主制御装置110のMPU201により例えば2ms毎に実行される。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S501)。即ち、主制御装置110に接続されている各種スイッチの状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
次に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S502)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では738)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。同様に、第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では250)に達した際、0にクリアし、その第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値をRAM203の該当するバッファ領域に格納する。
更に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4の更新を実行する(S503)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、738,4,238,250)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
その後は、第1入球口64への入賞に伴う始動入賞処理(図15参照)を実行し(S504)、発射制御処理を実行して(S505)、タイマ割込処理を終了する。なお、発射制御処理は、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサにより検出し、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、球の発射のオン/オフを決定する処理である。主制御装置110は、球の発射がオンである場合に、発射制御装置112に対して球の発射指示をする。
ここで、図15を参照して、S504の処理で実行される始動入賞処理を説明する。図15は、タイマ割込処理(図14参照)の中で実行される始動入賞処理(S504)を示すフローチャートである。
この始動入賞処理が実行されると、まず、球が第1入球口64に入賞(始動入賞)したか否かを判別する(S601)。球が第1入球口64に入賞したと判別されると(S601:Yes)、第1図柄表示装置37の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する(S602)。第1入球口64への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であれば(S602:Yes)、作動保留球数Nを1加算し(S603)、更に、前記ステップS503で更新した第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値を、RAM203の保留球格納エリアの空き保留エリアのうち最初のエリアに格納する(S604)。一方、第1入球口64への入賞がないか(S601:No)、或いは、第1入球口64への入賞があっても作動保留球数N<4でなければ(S602:No)、S603及びS604の各処理をスキップし、始動入賞処理を終了してタイマ割込処理へ戻る。
図16は、NMI割込処理を示すフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置110のMPU201により実行される処理である。このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から主制御装置110内のMPU201のNMI端子に出力される。すると、MPU201は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM203に記憶し(S701)、NMI割込処理を終了する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置111でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM213に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から払出発射制御装置111内のMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始するのである。
次に、図7を参照して、主制御装置110に電源が投入された場合の立ち上げ処理について説明する。図7は、主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理を示すフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S101)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置113、払出制御装置111等の周辺制御装置)が動作可能な状態になるのを待つために、ウェイト処理(本実施の形態では1秒)を実行する。次いで、RAM203のアクセスを許可する(S103)。
その後は、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122(図3参照)がオンされているか否かを判別し(S104)、オンされていれば(S104:Yes)、処理をS111へ移行する。一方、RAM消去スイッチ122がオンされていなければ(S104:No)、更にRAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S105)、記憶されていなければ(S105:No)、前回の電源遮断時の処理が正常に終了しなかった可能性があるので、この場合も、処理をS111へ移行する。
RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S105:Yes)、RAM判定値を算出し(S106)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S107:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS111へ移行する。なお、図8のS216の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM203の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM203の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S111の処理では、サブ側の制御装置(周辺制御装置)となる払出制御装置111を初期化するために払出初期化コマンドを送信する(S111)。払出制御装置111は、この払出初期化コマンドを受信すると、RAM213のスタックエリア以外のエリア(作業領域)をクリアし、初期値を設定して、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。
S111の処理後、払出制御装置111へ固有コードメモリ207aの値を送信する(S112)。払出制御装置111は、この固有コードメモリ207aの値を受信すると、受信した値を第2管理PWメモリ213bに払出制御装置111における第1番目の管理パスワードとして記憶する。即ち、本実施の形態では、電源投入時にRAMデータの初期化を行った場合には、固有コードメモリ207aの値が、払出制御装置111における第1番目の管理パスワードとして設定される。
S112の処理後は、RAM203の初期化処理(S113、S114)を実行する。上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ122を押しながら電源が投入される。従って、立ち上げ処理の実行時にRAM消去スイッチ122が押されていれば、RAMの初期化処理(S113、S114)を実行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様に、RAM203の初期化処理(S113、S114)を実行する。RAMの初期化処理(S113、S114)では、RAM203の使用領域を0クリアし(S113)、その後、RAM203の初期値を設定する(S114)。RAM203の初期化処理の実行後は、S110の処理へ移行する。
一方、RAM消去スイッチ122がオンされておらず(S104:No)、電源断の発生情報が記憶されており(S105:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S107:Yes)、RAM203にバックアップされたデータを保持したまま、電源断の発生情報をクリアする(S108)。次に、サブ側の制御装置(周辺制御装置)を駆動電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時の払出復帰コマンドを送信し(S109)、S110の処理へ移行する。払出制御装置111は、この払出復帰コマンドを受信すると、RAM213に記憶されたデータを保持したまま、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。S110の処理では、割込みを許可して、後述するメイン処理に移行する。
次に、図8を参照して、上記した立ち上げ処理後に実行されるメイン処理について説明する。図8は、主制御装置110内のMPU201により実行されるメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4ms周期の定期処理としてS201〜S209の各処理が実行され、その残余時間でS212,S213のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
メイン処理においては、まず、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置(周辺制御装置)に送信する(S201)。具体的には、S501のスイッチ読み込み処理で検出した入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置111に対して獲得球数に対応する賞球コマンドを送信する。また、この外部出力処理により、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動表示に必要な変動パターンコマンド、停止図柄コマンド、停止コマンド、演出時間加算コマンド等を音声ランプ制御装置113に送信する。さらに、球の発射を行う場合には、発射制御装置112へ球発射信号を送信する。
次に、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の各値を更新する(S202)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240,162)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新が終わると、払出制御装置111より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S203)、第1図柄表示装置37による表示を行うための処理や第3図柄表示装置81による第3図柄の変動パターンなどを設定する変動処理を実行する(S204)。なお、変動処理の詳細は図9を参照して後述する。
変動処理の終了後は、大当たり状態である場合において可変入賞装置65の特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための大開放口開閉処理を実行する(S205)。即ち、大当たり状態のラウンド毎に特定入賞口65aを開放し、特定入賞口65aの最大開放時間が経過したか、又は特定入賞口65aに球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると特定入賞口65aを閉鎖する。この特定入賞口65aの開放と閉鎖とを所定ラウンド数繰り返し実行する。
次に、第2図柄表示装置82による第2図柄(例えば「○」又は「×」の図柄)の表示制御処理を実行する(S206)。簡単に説明すると、球が第2入球口(スルーゲート)67を通過したことを条件に、その通過したタイミングで第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置82の表示部83にて第2図柄の変動表示が実施される。そして、第2当たり乱数カウンタC4の値により第2図柄の抽選が実施され、第2図柄の当たり状態になると、第1入球口64に付随する電動役物が所定時間開放される。
S206の処理後は、不正監視タイマ208の更新を行う不正監視タイマ更新処理を実行し(S207)、払出制御装置111への管理パスワードの出力を設定する管理パスワード出力設定処理を実行する(S208)。次いで、管理パスワード出力設定処理(S208)による出力設定の結果として、払出制御装置111から受信した管理パスワードに対する処理である管理パスワード受信処理を実行する(S209)。なお、これらの不正監視タイマ更新処理(S207)、管理パスワード出力設定処理(S208)、及び、管理パスワード受信処理(S209)の具体的な処理については、それぞれ、図11及び図12を参照しつつ後述する。
S209の処理を実行した後は、RAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S210)、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていなければ(S210:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていない。よって、かかる場合には、次のメイン処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち前回のメイン処理の開始から所定時間(本実施の形態では4ms)が経過したか否かを判別し(S211)、既に所定時間が経過していれば(S211:Yes)、処理をS201へ移行し、前述したS201以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、前回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S211:No)、所定時間に至るまで間、即ち、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、第1初期値乱数カウンタCINI1、第2初期値乱数カウンタCINI2及び変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新を繰り返し実行する(S212,S213)。
まず、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2との更新を実行する(S212)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では738、250)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。
次に、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新を実行する(S213)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240,162)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。
ここで、S201〜S209の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2(即ち、第1当たり乱数カウンタC1の初期値、第2当たり乱数カウンタC4の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1,CS2,CS3についてもランダムに更新することができる。
また、S210の処理において、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S210:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図16のNMI割込処理が実行されたということなので、S214以降の電源遮断時の処理が実行される。まず、各割込処理の発生を禁止し(S214)、電源が遮断されたことを示す電源遮断通知コマンドを他の制御装置(払出制御装置111や音声ランプ制御装置113等の周辺制御装置)に対して送信する(S215)。そして、RAM判定値を算出して、その値を保存し(S216)、RAM203のアクセスを禁止して(S217)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM203のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、S210の処理は、S201〜S209で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるS212とS213の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置110のメイン処理において、各設定が終わったタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断の状態から復帰する場合には、立ち上げ処理の終了後、処理をS201の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、処理をS201の処理から開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU201が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S101)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されることで、S201の処理から開始することができる。従って、主制御装置110の制御負担を軽減することができると共に、主制御装置110が誤動作したり暴走することなく正確な制御を行うことができる。
次に、図9を参照して、変動処理(S204)について説明する。図9は、メイン処理(図8参照)の中で実行される変動処理(S204)を示すフローチャートである。この変動処理では、まず、今現在大当たり中であるか否かを判別する(S301)。大当たり中としては、大当たりの際に第3図柄表示装置81及び第1図柄表示装置37で表示される大当たり遊技の最中と大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判別の結果、大当たり中であれば(S301:Yes)、そのまま本処理を終了する。
大当たり中でなければ(S301:No)、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中であるか否かを判別し(S302)、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中でなければ(S302:No)、作動保留球数Nが0よりも大きいか否かを判別する(S303)。作動保留球数Nが0であれば(S303:No)、そのまま本処理を終了する。作動保留球数N>0であれば(S303:Yes)、作動保留球数Nを1減算し(S304)、保留球格納エリアに格納されたデータをシフト処理する(S305)。このデータシフト処理は、保留球格納エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。データシフト処理の後は、第1図柄表示装置37の変動開始処理を実行する(S306)。なお、変動開始処理については、図10を参照して後述する。
S302の処理において、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中であると判別されると(S302:Yes)、変動時間が経過したか否かを判別する(S307)。第1図柄表示装置37の変動中の表示時間は、変動種別カウンタCS1,CS2により選択された変動パターンと変動種別カウンタCS3により選択された加算時間とに応じて決められており、この変動時間が経過していなければ(S307:No)、第1図柄表示装置37の表示を更新する(S308)。
本実施の形態では、第1図柄表示装置37のLED37aの内、変動が開始されてから変動時間が経過するまでは、例えば、現在点灯しているLEDが赤であれば、その赤のLEDを消灯すると共に緑のLEDを点灯させ、緑のLEDが点灯していれば、その緑のLEDを消灯すると共に青のLEDを点灯させ、青のLEDが点灯していれば、その青のLEDを消灯すると共に赤のLEDを点灯させる表示態様が設定される。
なお、変動処理は4ms毎に実行されるが、その変動処理の実行毎にLEDの点灯色を変更すると、LEDの点灯色の変化を遊技者が確認することができない。そこで、遊技者がLEDの点灯色の変化を確認することができるように、変動処理が実行される毎にカウンタ(図示せず)を1カウントし、そのカウンタが100に達した場合に、LEDの点灯色の変更を行う。即ち、0.4s毎にLEDの点灯色の変更を行っている。なお、カウンタの値は、LEDの点灯色が変更されたら、0にリセットされる。
一方、第1図柄表示装置37の変動時間が経過していれば(S307:Yes)、第1図柄表示装置37の停止図柄に対応した表示態様が設定される(S309)。停止図柄の設定は、第1当たり乱数カウンタC1の値に応じて大当たりか否かが決定されると共に、大当たりである場合には第1当たり種別カウンタC2の値により大当たり後に高確率状態となる図柄か低確率状態となる図柄かが決定される。本実施の形態では、大当たり後に高確率状態になる場合には赤色のLEDを点灯させ、低確率状態になる場合には緑色のLEDを点灯させ、外れである場合には青色のLEDを点灯させる。なお、各LEDの表示は、次の変動表示が開始される場合に点灯が解除されるが、変動の停止後数秒間のみ点灯させるものとしても良い。
S309の処理で停止図柄に対応した第1図柄表示装置37の表示態様が設定されると、第3図柄表示装置81の変動停止を第1図柄表示装置37におけるLEDの点灯と同調させるために停止コマンドが設定される(S310)。音声ランプ制御装置113は、この停止コマンドを受信すると、表示制御装置114に対して停止指示をする。第3図柄表示装置81は、変動時間が経過すると変動が停止し、停止コマンドを受信することで、第3図柄表示装置81における1の変動演出が終了する。
次に、図10を参照して、変動開始処理について説明する。図10は、変動処理(図9参照)の中で実行される変動開始処理(S306)を示したフローチャートである。変動開始処理(S306)では、まず、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている第1当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する(S401)。大当たりか否かは第1当たり乱数カウンタC1の値とその時々のモードとの関係に基づいて判別される。前述した通り通常の低確率時には第1当たり乱数カウンタC1の数値0〜738のうち「373,727」が当たり値であり、高確率時には「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,631,683,733」が当たり値である。
大当たりであると判別された場合(S401:Yes)、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている第1当たり種別カウンタC2の値を確認して、大当たり時の表示態様が設定される(S402)。S402の処理では、第1当たり種別カウンタC2の値に基づき、大当たり後に高確率状態へ移行するか低確率状態へ移行するかが設定される。大当たり後の移行状態が設定されると、第1図柄表示装置37の表示態様(LED37aの点灯状態)が設定される。また、大当たり後の移行状態に基づいて、第3図柄表示装置81で停止表示される大当たりの停止図柄が音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114で設定される。即ち、S402の処理により大当たり後の移行状態を設定することで、第3図柄表示装置81における停止図柄が設定される。なお、第1当たり種別カウンタC2の数値0〜4のうち、「0,4」の場合は、以後、低確率状態に移行し、「1,2,3」の場合は高確率状態に移行する。
次に、大当たり時の変動パターンを決定する(S403)。S403の処理で変動パターンが設定されると、第1図柄表示装置37の表示時間が設定されると共に、第3図柄表示装置81において大当たり図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。このとき、RAM203のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の大まかな図柄変動の変動時間を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄Z2)が停止するまでの変動時間(言い換えれば、変動図柄数)を決定する。
なお、第1変動種別カウンタCS1の数値と変動時間との関係、第2変動種別カウンタCS2の数値と変動時間との関係は、それぞれにテーブル等により予め規定されている。但し、上記変動時間は、第2変動種別カウンタCS2の値を使わずに第1変動種別カウンタCS1の値だけを用いて設定することも可能であり、第1変動種別カウンタCS1の値だけで設定するか又は両変動種別カウンタCS1,CS2の両値で設定するかは、その都度の第1変動種別カウンタCS1の値や遊技条件などに応じて適宜決められる。
S401の処理で大当たりではないと判別された場合には(S401:No)、外れ時の表示態様が設定される(S404)。S404の処理では、第1図柄表示装置37の表示態様を外れ図柄に対応した表示態様に設定すると共に、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている停止パターン選択カウンタC3の値に基づいて、第3図柄表示装置81において表示させる演出を、前後外れリーチであるか、前後外れ以外リーチであるか、完全外れであるかを設定する。本実施の形態では、上述したように、高確率状態であるか、低確率状態であるか、及び作動保留個数Nに応じて、停止パターン選択カウンタC3の各停止パターンに対応する値の範囲が異なるようテーブルが設定されている。
次に、外れ時の変動パターンが決定され(S405)、第1図柄表示装置37の表示時間が設定されると共に、第3図柄表示装置81において外れ図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。このとき、S403の処理と同様に、RAM203のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の大まかな図柄変動の変動時間を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄Z2)が停止するまでの変動時間(言い換えれば、変動図柄数)を決定する。
S403の処理またはS405の処理が終わると、第1及び第2種別カウンタCS1,CS2により決定された変動時間に加減算される演出時間が決定される(S406)。このとき、RAM203のカウンタ用バッファに格納されている第3種別カウンタCS3の値に基づいて演出時間の加減算が決定され、第1図柄表示装置37の表示時間が設定されると共に、第3図柄表示装置81の変動時間が設定される。本実施の形態では、演出時間の加減算の決定は、第3変動種別カウンタCS3の値に応じて、変動表示の時間を変更しない場合と変動表示時間を1秒加算する場合、変動表示時間を2秒加算する場合、変動表示時間を1秒減算する場合との4種類の加算値が決定される。
なお、変動表示時間が加減算される場合には、第3図柄表示装置81で大当たりの期待値が高くなる予告演出(例えば、変動図柄の変動時間を通常より長くしてスベリを伴わせるスベリ演出や予告キャラを表示させる演出、1の変動図柄の変動時間を通常より短くして即停止させる演出など)が行われる。また、第1当たり乱数カウンタC1の値が大当たりである場合は、2秒の加算値が選択される確率が高く設定されているので、遊技者は予告演出を確認することで大当たりを期待することができる。
次に、S403又はS405の処理で決定された変動パターン(変動時間)に応じて変動パターンコマンドを設定し(S407)、S402又はS404の処理で設定された停止図柄に応じて停止図柄コマンドを設定する(S408)。そして、S406の処理で決定された演出時間の加算値に応じて演出時間加算コマンドを設定して(S409)、変動処理へ戻る。
次に、図11を参照して、上記した不正監視タイマ更新処理(S207)について説明する。図11は、メイン処理(図8参照)の中で実行される不正監視タイマ更新処理(S207)を示すフローチャートである。図11に示すように、この不正監視タイマ更新処理(S207)では、まず、払出制御装置111からタイマクリアコマンドを受信したかを確認する(S1001)。
詳細は後述するが、タイマクリアコマンドは、払出制御装置110において実行される第2照合処理(図27参照)において、管理パスワードを用いた照合の結果、主制御装置110及び払出制御装置111がいずれも正規のものであることが確認された場合に出力されるものである。よって、このS1001の処理により確認した結果、払出制御装置111からタイマクリアコマンドの受信があった場合には(S1001:Yes)、不正監視タイマ208に初期値(本実施の形態では30secに相当する7500)を設定し(S1003)、この不正監視タイマ更新処理(S207)を終了する。
一方で、S1001の処理により確認した結果、払出制御装置111からタイマクリアコマンドの受信がなければ(S1001:No)、不正監視タイマ208を1減算し(S1002)、この不正監視タイマ更新処理(S207)を終了する。
次に、図12を参照して、上記した管理パスワード出力設定処理(S208)について説明する。図12は、メイン処理(図8参照)の中で実行される管理パスワード出力設定処理(S208)を示すフローチャートである。
図12に示すように、この管理パスワード出力設定処理(S208)では、まず、管理PW出力要求フラグ203eがオンであるかを確認する(S1021)。S1021の処理により確認した結果、管理PW出力要求フラグ203eがオフである場合には(S1021:No)、管理パスワードの出力が不要な状態であるので、そのまま、この管理パスワード出力設定処理(S208)を終了する。
一方で、S1021の処理により確認した結果、管理PW出力要求フラグ203eがオンであれば(S1021:Yes)、第2管理PWメモリ203bに記憶されている管理パスワードを読み出し(S1022)、読み出した管理パスワードを、RAM203の出力用リングバッファ(図示せず)に設定する(S1023)。S1023の処理によって、管理パスワードが出力用リングバッファに設定された結果として、次のタイミングで実行される外部出力処理(S201)により、S1022において第2管理PWメモリ203bから読み出された管理パスワードが、コマンドラインを介して払出制御装置111に出力(送信)される。
S1023の処理後、管理PW出力要求フラグ203eをオフし(S1024)、管理PW受信待機フラグ203fをオンし(S1025)、この管理パスワード出力設定処理(S208)を終了する。
なお、詳細は後述するが、S1023の処理の結果として払出制御装置111へ管理パスワードが出力されると、払出制御装置111からは、次の段階の管理パスワードが返信(出力)される。即ち、S1023の処理の結果として、第n番目(nは、1以上の整数)の管理パスワードが払出制御装置111へ出力されると、その払出制御装置111からは、第(n+1)番目の管理パスワードが主制御装置110へ返される。
次に、図13を参照して、上記した管理パスワード受信処理(S209)について説明する。図13は、メイン処理(図8参照)の中で実行される管理パスワード受信処理(S209)を示すフローチャートである。
図13に示すように、この管理パスワード受信処理(S209)では、まず、管理PW受信待機フラグ203fがオンであるかを確認する(S1041)。S1041の処理により確認した結果、管理PW受信待機フラグ203fがオフである場合には(S1041:No)、上記した管理パスワード出力設定処理(S208)において管理パスワードの出力設定がなされておらず、払出制御装置111から返信(出力)される管理パスワードを受信する状態ではないので、そのまま、この管理パスワード受信処理(S209)を終了する。
一方で、S1041の処理により確認した結果、管理PW受信待機フラグ203fがオンであれば(S1041:Yes)、払出制御装置111からコマンドラインを介して管理パスワードを受信したかを確認する(S1042)。
S1042の処理により確認した結果、払出制御装置111から返信された管理パスワードの受信が確認された場合には(S1023:Yes)、管理PW照合要求フラグ203gをオンした後(S1043)、受信した管理パスワードを、第1管理PWメモリ203aに書き込む(S1044)。S1044の処理後、管理PW受信待機フラグ203fをオフして(S1045)、この管理パスワード受信処理(S209)を終了する。
詳細は後述するが、S1045の処理によって管理PW照合要求フラグ203gがオンされた場合には、S1044による書き込みを契機として内部プログラム202a1によって実行される第1管理パスワード処理(図18参照)において、S1044の処理の結果として第1管理PWメモリ203aに書き込まれた管理パスワードと、第2管理PWメモリ203bに記憶されている管理パスワードとの照合による、主制御装置110又は払出制御装置111に異常があるか否かの判定が行われる。
ここで、上記したように、管理パスワード出力設定処理(S208)におけるS1023の処理において、例えば、第n番目の管理パスワードの出力設定がされた場合には、払出制御装置111からは第(n+1)番目の管理パスワードが返信されるので、S1043の処理の結果として、第1管理PWメモリ203aに記憶されている管理パスワードは第(n+1)番目の管理パスワードである。
その一方で、詳細は後述するが、上記した管理パスワード出力設定処理(S208)におけるS1022の処理によって第2管理PWメモリ203bから管理パスワードを読み出したことを契機として、内部プログラム202a1に従う第1演算処理(図20参照)が実行され、その時点で第2管理PWメモリ203bに記憶されている管理パスワードが、演算によって新たな管理パスワードに更新される。よって、例えば、S1022の処理によって第2管理PWメモリ203bから第n番目の管理パスワードを読み出した場合には、その読み出しを契機として実行される第1演算処理(図20参照)によって、第2管理PWメモリ203bの値が第(n+1)番目の管理パスワードに更新される。
従って、S1045の処理によって管理PW照合要求フラグ203gがオンされた結果として、その後に実行される第1管理パスワード処理(図18参照)において照合される2つの管理パスワードは、主制御装置110及び払出制御装置111のそれぞれにおいて電源投入後から同じ回数(例えば、n回)だけ更新された管理パスワードである。
一方で、S1042の処理により確認した結果、払出制御装置111から管理パスワードを受信していない場合には(S1042:No)、S1043〜S1045の処理を行うことなくこの管理パスワード受信処理(S209)を終了する。
次に、図17から図20に示す処理、即ち、内部プログラム202a1によって実行される処理について説明する。図17は、主制御装置110に電源が投入された場合に起動する内部立ち上げ処理を示すフローチャートである。
図17に示すように、この内部立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行した後(S1101)、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122(図3参照)がオンされているか否かを確認する(S1102)。
S1102の処理により確認した結果、RAM消去スイッチ122がオンされていれば(S1102:Yes)、第3管理PWメモリ203cが初期化されているので、この場合には、固有コードメモリ207aの値を読み出す(S1104)。S1104の処理後、読み出した値を第3管理PWメモリ203cに書き込み(S1104)、S1105の処理へ移行する。
一方で、S1102の処理により確認した結果、RAM消去スイッチ122がオンされていなければ(S1102:No)、S1103、S1104の処理をスキップして、S1105の処理へ移行する。
S1105の処理では、第3管理PWメモリ203cの値を読み出す(S1105)。次いで、読み出した値を、主制御装置110における管理パスワードの初期値(第1番目の管理パスワード)として、第2管理PWメモリ203bに書き込む(S1106)。
よって、S1102〜S1106の処理の結果として、パチンコ機10への電源投入の際に、RAM消去スイッチ122が押された場合には、固有コードメモリ207aの値が、主制御装置110における第1番目の管理パスワードとされることになる。一方で、パチンコ機10への電源投入の際に、RAM消去スイッチ122が押されなかった場合には、バックアップ用に第3管理PWメモリ213cにバックアップ(保持)されていた値、即ち、電源が遮断される前に最後に更新された管理パスワードの値が、主制御装置110における第1番目の管理パスワードとされる。
また、パチンコ機10への電源投入の際に、RAM消去スイッチ122が押された場合には、S1104の処理によって、第1番目の管理パスワードとされる固有コードメモリ207aの値が、第3管理PWメモリ203cにバックアップ用の値として記憶されることになる。一方で、パチンコ機10への電源投入の際に、RAM消去スイッチ122が押されなかった場合には、電源遮断前に保持(バックアップ)されていた値が、そのまま第3管理PWメモリ203cに第1番目の管理パスワードとして保持されることになる。
S1106の処理後、管理PW出力要求フラグ203eをオンし(S1107)、不正監視タイマ208に初期値(本実施の形態では30secに相当する7500)を設定して(S1108)、この内部立ち上げ処理を終了する。
この内部立ち上げ処理によれば、S1106の処理によって、第3管理PWメモリ203cの値が、第2管理PWメモリ203bに、主制御装置110の第1番目の管理パスワードとして記憶(設定)される。ここで、S1102において、パチンコ機10への電源投入の際に、RAM消去スイッチ122が押された場合、即ち、第3管理PWメモリ203cが初期化された場合には、固有コードメモリ207aの値が、主制御装置110における第1番目の管理パスワードとされる。一方で、S1102において、パチンコ機10への電源投入の際に、RAM消去スイッチ122が押されずに第3管理PWメモリ203cの内容が保持(バックアップ)されていた場合には、第3管理PWメモリ213cに保持されていた内容、即ち、電源が遮断される前に最後に更新された管理パスワードの値が、主制御装置110における第1番目の管理パスワードとされる。
また、この内部立ち上げ処理は内部プログラム202a1によって実行される処理である。上記したように、内部プログラム202a1による制御内容は、その内容を必然的に知り得る者以外による認知が実質的に不可能であるので、どの値が管理パスワードの初期値に設定されているかを不正行為者が認知することは困難である。そのため、正確に第1番目の管理パスワードを模倣する不正基板の製作は困難であるので、不正基板を用いた不正行為の防止に寄与する。
なお、S1106の処理によって管理PW出力要求フラグ203eがオンされるので、S1105の処理によって第1管理PWメモリ203aに書き込まれた管理パスワード(主制御装置110における第1番目の管理パスワード)は、次のタイミングで実行される管理パスワード出力設定処理(S208)によって出力設定された結果として、払出制御装置111へ出力される。払出制御装置111は、この主制御装置110における第1番目の管理パスワードを受信すると、後述する第2照合処理(図27参照)を実行し、主制御装置110の第1番目の管理パスワードと、払出制御装置111の第1番目の管理パスワードとの照合を行う。
図18は、内部プログラム202a1によって実行される第1管理パスワード処理を示すフローチャートである。この第1管理パスワード処理は、(1)管理パスワード出力設定処理(図12参照)におけるS1022の処理による管理パスワードの読み出し、又は、(2)管理パスワード受信処理(図13参照)におけるS1044の処理による管理パスワードの書き込みのいずれかを契機として起動する処理である。
図18に示すように、この第1管理パスワード処理では、まず、管理PW照合要求フラグ203gがオンであるかを確認する(S1201)。S1201の処理により確認した結果、管理PW照合要求フラグ203gがオンであれば(S1201:Yes)、第1管理PWメモリ203a及び第2管理PWメモリ203bにそれぞれ記憶されている管理パスワードを照合し、主制御装置110又は払出制御装置111に異常があるか否かを判定する第1照合処理を実行し(S1202)、第1管理PWメモリ203a又は第2管理PWメモリ203bに記憶されている管理パスワードに対して演算を行い、新たな管理パスワードに更新する第1演算処理(S1203)へ移行する。なお、第1照合処理(S1202)及び第1演算処理(S1203)で実行される具体的な処理については、それぞれ、図19及び図20を参照しつつ後述する。
一方で、S1201の処理により確認した結果、管理PW照合要求フラグ203gがオフであれば(S1201:No)、管理パスワードを照合する必要がないので、第1照合処理(S1202)をスキップして、第1演算処理(S1203)へ移行する。
第1演算処理(S1203)の実行後、管理PW照合要求フラグ203gがオンであるかを確認し(S1204)、オンであれば(S1204:Yes)、その時点において第
2管理PWメモリ203bに記憶されている管理パスワードは、払出制御装置111へ出力すべき管理パスワードであるので、管理PW出力要求フラグ203eをオンし(S1205)、管理PW照合要求フラグ203gをオフして(S1206)、この第1管理パスワード処理を終了する。
一方で、S1204の処理により確認した結果、管理PW照合要求フラグ203gがオフであれば(S1204:No)、その時点において第2管理PWメモリ203aに記憶されている管理パスワードは、払出制御装置111へ出力すべき管理パスワードではないので、S1205,S1206の処理をスキップして、この第1管理パスワード処理を終了する。
よって、この第1管理パスワード処理によれば、管理PW照合要求フラグ203gがオンである場合、即ち、主制御装置110からの管理パスワードの受信に伴って実行される管理パスワード受信処理(図13参照)におけるS1044の処理の結果として起動された場合には、第1照合処理(S1202)による管理パスワードの照合が行われた後に第1演算処理(S1203)による演算によって更新された管理パスワードが、払出制御装置111へ出力される。
その一方で、管理PW照合要求フラグ203gがオフである場合、即ち、管理パスワード出力設定処理(図12参照)におけるS1022の処理の結果として起動された場合には、第1演算処理(S1203)による演算によって更新された管理パスワードは、払出制御装置111へ出力されない。なお、第1演算処理(S1203)による演算後に払出制御装置111へ出力されなかった管理パスワードは、次に払出制御装置111から受信される管理パスワードとの照合に使用される。
次に、図19を参照して、上記した第1照合処理(S1202)について説明する。図19は、第1管理パスワード処理(図18参照)の中で実行される第1照合処理(S1202)を示すフローチャートである。
図19に示すように、この第1照合処理(S1202)では、まず、第1管理PWメモリ203aに記憶されている管理パスワードと、第2管理PWメモリ203bに記憶されている管理パスワードとを照合し、両者が等しいかを確認する(S1301)。
なお、S1301の処理による照合で使用される第1管理PWメモリ203aに記憶されている管理パスワード、及び、第2管理PWメモリ203bに記憶されている管理パスワードは、主制御装置110及び払出制御装置111のそれぞれにおいて電源投入後から同じ回数だけ更新された管理パスワードである。より具体的には、このS1301の処理では、第1管理PWメモリ203aに記憶されている第n番目(ただし、nは2以上の偶数)の管理パスワードと、第2管理PWメモリ203bに記憶されている第n番目(ただし、nは2以上の偶数)の管理パスワードとを照合する。
ここで、詳細は後述するが、本実施の形態では、主制御装置110及び払出制御装置111がいずれも正規のものであれば、主制御装置110における第n回目の演算の結果として得られる管理パスワードと、払出制御装置111における第n回目の演算の結果として得られる管理パスワードとが、同一の値となるように構成されている。
よって、S1301の処理により確認した結果、第1管理PWメモリ203aに記憶されている管理パスワードと、第2管理PWメモリ203bに記憶されている管理パスワードとが等しければ(S1301:Yes)、主制御装置110又は払出制御装置111に不正などに起因する異常が存在しないと判定されるので、この場合には、不正監視タイマ208に初期値(本実施の形態では30secに相当する7500)を設定し(S1302)、この第1照合処理(S1202)を終了する。
一方で、S1301の処理により確認した結果、第1管理PWメモリ203aに記憶されている管理パスワードと、第2管理PWメモリ203bに記憶されている管理パスワードとが等しくなければ(S1301:No)、主制御装置110又は払出制御装置111に不正などに起因する異常が存在することが疑われるので、この場合は、不正監視タイマ208の値が0であるかを確認する(S1303)。
S1303の処理により確認した結果、不正監視タイマ208の値が0でなければ(S1303:Yes)、S1301の処理による判定結果が不正などに起因する異常の存在を示すものであっても、その異常を示す判定が猶予される期間内であるので、この場合には、何も行うことなく、第1照合処理(S1202)を終了する。
一方で、S1303の処理により確認した結果、不正監視タイマ208の値が0であれば(S1303:Yes)、上記猶予期間を超えているので、S1301の処理による判定結果が確定、即ち、主制御装置110又は払出制御装置111に不正などに起因する異常が存在することが確定し、この場合には、不正検出コマンドを設定し(S1304)、この第1照合処理(S1202)を終了する。
S1304の処理により不正検出コマンドが設定されると、その不正検出コマンドは音声ランプ制御装置113へ送信され、その結果として、音声出力装置226やランプ表示装置227や第3図柄表示装置81を用いた出力(聴覚的な出力や視覚的な表示)によって不正行為の存在が外部へ報知される。このように、S1303の処理の結果として、主制御装置110や払出制御装置111に対して不正行為がなされていることが確定した場合には、その旨が外部へ報知されるので、遊技場の店員に不正行為が存在するか否かを明確に区別させることができる。
その一方で、この第1照合処理(S1202)では、上記したように、S1303におけるNoの分岐処理、即ち、猶予期間内である場合には、S1301の処理による判定結果が異常の存在を示すものであっても、その判定は猶予されるように構成されている。そのため、ノイズなどの偶発的な要因によって管理パスワードの値が一時的に相違することがあったとしても、そのような一時的な相違によって正規な制御装置110,111が不正なものであると誤判定されることを防止できる。
次に、図20を参照して、上記した第1演算処理(S1203)について説明する。図20は、第1管理パスワード処理(図18参照)の中で実行される第1演算処理(S1203)を示すフローチャートである。
図20に示すように、この第1演算処理(S1203)では、まず、管理PW照合要求フラグ203gがオンであるかを確認し(S1321)、オンであれば(S1321:Yes)、第1管理PWメモリ203aに記憶されている管理パスワードを読み出し(S1322)、演算カウンタ203dの値を確認する(S1323)。
S1323の処理により確認した結果、演算カウンタ203dの値が0であれば(S1323:0)、S1322の処理によって読み出した管理パスワードを右に1ビットシフトさせ(S1324)、S1325の処理へ移行する。
一方で、S1323の処理により確認した結果、演算カウンタ203dの値が2であれば(S1323:2)、S1322の処理によって読み出した管理パスワードを右に3ビットシフトさせ(S1329)、S1325の処理へ移行する。
また、S1323の処理により確認した結果、演算カウンタ203dの値が1又は3であれば(S1323:1,3)、S1322の処理によって読み出した管理パスワードを反転させ(S1330)、S1325の処理へ移行する。
演算カウンタ203dは、演算が行われる毎に0→1→2→3→0→1→…の順で更新されるので、S1323,S1324,S1329,S1330による処理の結果として、管理パスワードの値は、(1)右へ1ビットシフト→(2)反転→(3)右へ3ビットシフト→(4)反転→(1)右へ1ビットシフト→…の順で演算されて更新される。このように、管理パスワードの更新(演算)が、4回の演算((1)から(4)の演算)を1つの周期として、該周期の繰り返しによって行われるので、1周期の演算パターンの模倣による不正基板の製作は困難であり、その結果、不正基板を用いた不正行為を確実に防止できる。
S1325の処理では、S1324,S1329,S1330で行われた演算によって更新された新たな管理パスワードを第2管理PWメモリ203bに上書きによって書き込む(S1325)。S1325の処理後、S1324,S1329,S1330で行われた演算によって更新された新たな管理パスワードを第3管理PWメモリ203cに書き込み(S1326)、演算カウンタ203dを更新して(S1327)、この第1演算処理(S1203)を終了する。
RAM203の内容は、パチンコ機10の電源が遮断された場合にも、電源装置115から供給されるバックアップ用電圧によって保持されるので、S1326の処理の結果として第3管理PWメモリ203cに記憶された値は、パチンコ機10の電源が遮断後も保持される。よって、パチンコ機10の電源遮断後にRAM消去スイッチ122を押すことなく電源を再投入した場合に、第3管理PWメモリ203cに保持されている値は、電源が遮断される前に最後に実行された演算によって得られた管理パスワードとなる。
一方で、S1321の処理により確認した結果、管理PW照合要求フラグ203gがオフであれば(S1321:No)、第2管理PWメモリ203bに記憶されている管理パスワードを読み出し(S1328)、S1323へ移行し、上記した管理PW照合要求フラグ203gがオンである場合と同様にS1323〜S1326,S1329,S1330の処理を実行して、この第1演算処理(S1203)を終了する。ただし、S1324,S1329,S1330において演算を行う際は、S1328の処理によって読み出した値に対し、そのときの演算カウンタ203dの値に応じた演算を行う。
この第1演算処理(S1203)によれば、管理PW照合要求フラグ203gがオンである場合には、第1管理PWメモリ203aに記憶されている管理パスワードが演算カウンタ203dの値に応じた演算式によって演算され、第2管理PWメモリ203bに書き込まれる。一方で、上記したように、本実施の形態では、管理PW照合要求フラグ203gがオンである場合には、この第1演算処理(S1203)による演算によって更新された管理パスワードが、払出制御装置111へ出力されるように構成されている。
よって、管理PW照合要求フラグ203gがオンである場合、即ち、払出制御装置111から管理パスワードを受信した場合には、その受信した管理パスワードが第1演算処理(S1203)において行われる演算によって更新され、主制御装置110において更新された管理パスワードが払出制御装置111へ返されることになる。
ここで、1つの主制御装置110の中で、前回実行された第1演算処理(S1203)得られた管理パスワードから、次に実行される第1演算処理(S1203)によって更新された管理パスワードを得る場合、管理パスワードがノイズなどの偶発的な要因によって一旦誤った値に乱されると、それ以降は本来あるべき正しい管理パスワードに戻らず、結果として、払出制御装置111における管理情報との照合によって異常と誤判定されてしまうことが生じ得る。
しかし、本実施の形態のパチンコ機10によれば、払出制御装置110から第n番目の管理情報を受信した場合には、その受信した管理パスワードを用いて第1演算処理(S1203)による演算(第n回目の演算)が行われるので、受信した管理パスワードが正しいものである限り、上記のような偶発的な要因によって生じた誤った管理情報が本来あるべき正しい値に修正することができるのである。
よって、例え、ノイズなどの偶発的な要因によって管理パスワードの値が変化した結果、第1照合処理(図19参照)又は第2照合処理(図27参照)において、不正が疑われる判定(不正などに起因する異常の存在が疑われる判定)がなされたとしても、不正監視タイマ208で計時される猶予期間中に、上記のように管理パスワードが修正された場合には、異常の存在を示した先の判定が一時的なものであるとして無視されることになる。従って、主制御装置110及び払出制御装置111のいずれも正規なものであるにもかかわらず、不正なものであるとする誤判定を防止することができる。
また、本実施の形態では、遊技者にとって有利となる特別遊技状態(大当たり)の発生に関する制御を行う主制御装置110について、払出制御装置110から受信した管理パスワードを用いて第1演算処理(S1203)による演算(第n回目の演算)を行うように構成している。即ち、主制御装置110において行われる演算によって更新される管理パスワードは、払出制御装置111において行われた演算の結果として得られた管理パスワードに依存するので、主制御装置110の取り替えによる不正行為が、払出制御装置111に対する不正行為に比べてより敏感に検出されることになる。一般的に、大当たりの発生に関わる主制御装置110が不正行為者によって取り替えられることが多いので、主制御装置110の取り替えをより敏感に検出することによって、不正行為を有効に防止することができる。
次に、図21から図28を参照して、払出制御装置111内のMPU211により実行される各制御処理を説明する。なお、以下に説明する各制御処理のうち、図21から図24に示す処理は、払出制御装置111のユーザプログラム212b1によって実行される制御処理であり、図25から図28に示す処理は、払出制御装置111の内部プログラム212a1によって実行される処理である。
まず、図21から図24に示す処理、即ち、ユーザプログラム202b1によって実行される各制御処理について説明する。図21は、払出制御装置111の立ち上げ処理を示すフローチャートであり、この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S801)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。そして、RAMアクセスを許可すると共に(S802)、外部割込ベクタの設定を行う(S803)。
その後は、MPU211内のRAM213に関してデータバックアップの処理を実行する。具体的には、RAM213に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S804)、記憶されていなければ(S804:No)、バックアップデータは記憶されていないので、処理をS811へ移行する。RAM213に電源断の発生情報が記憶されていれば(S804:Yes)、RAM判定値を算出し(S805)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S805:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS811へ移行する。図22のS917の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM213の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM213の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S811,S812のRAMの初期化処理では、RAM213の全ての領域を0クリアした後(S811)、RAM213の初期値を設定する(S812)。その後、MPU211の周辺デバイスの初期設定を行い(S809)、割込みを許可して(S810)、メイン処理へ移行する。
一方、電源断の発生情報が設定されており(S804:Yes)、且つRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S806:Yes)、RAM213にバックアップされたデータを保持したまま、電源遮断の発生情報をクリアすると共に(S807)、賞球の払い出しを待機させるために、払出許可フラグをオフする(S808)。その後、MPU211の周辺デバイスの初期設定を行い(S809)、割込みを許可して(S810)、メイン処理へ移行する。
次に、図22のフローチャートを参照して、払出制御装置111内のMPU211により実行されるメイン処理を説明する。このメイン処理は、まず主制御装置110からの賞球コマンドや払出復帰コマンド、払出初期化コマンドを受信し、それらコマンドの種別を判定するコマンド判定処理を行う(S901)。該処理では、主制御装置110から送信された正常なコマンドを受信すると、払出許可フラグがオンされ、賞球や貸出球の払い出しが許可される。
コマンド判定処理(S901)が終わると、払い出しが許可されているか否か、即ち、払出許可フラグの状態が判別され(S902)、払い出しが許可されていなければ(S902:No)、未だ主制御装置110は立ち上がった状態にないので、かかる場合には、コマンド判定処理(S901)において払い出しの許可がなされるまでコマンド判定処理(S901)を繰り返し実行する。一方、S902の処理において払い出しが許可されていれば(S902:Yes)、状態復帰スイッチ120をチェックし、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する(S903)。
その後、下皿50の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する(S904)。即ち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿50の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時に、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時に、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する(S905)。即ち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時に、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時に、タンク球無し解除状態の設定を実行する。その後、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には、払出制御装置111に設けた7セグメントLEDにより報知する(S906)。
次に、S907〜S909の各処理により、賞球払出の処理を実行する。即ち、賞球の払出不可状態でなく且つ記憶した総賞球個数が0でなければ(S907:No,S908:No)、賞球の払い出しを行うために賞球制御処理を開始する(S909)。一方、賞球の払出不可状態(S907:Yes)または総賞球個数が0であれば(S908:Yes)、貸球払出の処理に移行する。
S910〜S912の貸球払出の処理では、貸球の払出不可状態でなく且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(S910:No,S911:Yes)、貸球を払い出しために貸球制御処理を開始する。一方、貸球の払出不可状態(S910:Yes)または貸球払出要求を受信していない場合には(S911:No)、処理をS913へ移行する。また、貸球制御処理(S912)の終了後も、同様に、処理をS913へ移行する。
S913の処理では、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ134の制御(バイブモータ制御)を実行する(S913)。その後は、RAM213に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S914)、電源断の発生情報が記憶されていなければ(S914:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていないので、かかる場合には、処理をS901へ移行して、S901からS913のメイン処理を繰り返し実行する。
一方、S914の処理において、電源断の発生情報が記憶されていれば(S914:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図15のNMI割込処理が実行されたということである。よって、かかる場合には、各割込処理の発生の禁止をし(S915)、主制御装置110から送信されるコマンドの受信漏れを防止するために、再度コマンド判定処理を実行する(S916)。そして、RAM判定値を算出してRAM213に保存し(S917)、RAM213のアクセスを禁止して(S918)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、例えば、RAM判定値は、RAM213のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、S914の処理は、払出制御装置111のメイン処理の1サイクルが終わるタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断前の状態から復帰する場合には、処理を立ち上げ処理の終了後、S901の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、メイン処理を開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU211が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S801)において、スタックポインタを所定値(初期値)に設定することで、処理をS901から開始することができる。従って、払出制御装置111の制御負担を軽減することができると共に、払出制御装置111が誤動作したり暴走することなく正確な制御を行うことができる。また、各処理が終わったタイミングで電源断の処理が実行されるので、RAM213にバックアップする情報量を少なくすることができる。
次に、図23を参照して、主制御装置110から管理パスワードを受信した場合に実行される管理パスワード受信処理について説明する。図23は、管理パスワード受信処理を示すフローチャートである。この管理パスワード受信処理は、主制御装置110からコマンドラインを介して管理パスワードを受信した場合に起動し、まず、管理PW受信フラグ213fをオンする(S1401)。次いで、主制御装置110から受信した管理パスワードを第2管理PWメモリ213bに書き込み(S1402)、この管理パスワード受信処理を終了する。よって、例えば、払出制御装置111が主制御装置110からn番目の管理パスワードを受信した場合には、その受信した第n番目の管理パスワードがS1402の処理によって第2管理PWメモリ213bに記憶される。
詳細は後述するが、S1402の処理によって第2管理PWメモリ213bに管理パスワードを書き込んだことを契機として、内部プログラム212a1に従う第2管理パスワード処理(図26参照)が起動する。ここで、S1402の処理の結果として第2管理パスワード処理(図26参照)が起動した場合には、S1401の処理によって管理PW受信フラグ213fがオンされているので、その第2管理パスワード処理の中で第2照合処理(図27参照)が実行される。そして、その第2照合処理(図27参照)において、主制御装置110から受信してS1402の処理によって第2管理PWメモリ213bに記憶されている管理パスワードと、その時点で第1管理PWメモリ213aに記憶されている管理パスワードとの照合による、主制御装置110又は払出制御装置111に異常があるか否かの判定が行われる。
次に、図24を参照して、主制御装置110への管理パスワードの出力(送信)を制御する管理パスワード出力処理について説明する。図24は、管理パスワード出力処理を示すフローチャートである。なお、この管理パスワード出力処理は、所定時間毎(例えば、2ms毎)に起動する割り込み処理である。
図24に示すように、この管理パスワード出力処理では、まず、管理PW出力要求フラグ213eがオンであるかを確認し(S1421)、オフであれば(S1421:No)、主制御装置110へ出力すべき管理パスワードが存在しないので、そのまま、この管理パスワード出力処理を終了する。
一方で、S1421の処理により確認した結果、管理PW出力要求フラグ213eがオンである場合には(S1421:Yes)、第1管理PWメモリ213aに記憶されている管理パスワードを読み出し(S1422)、読み出した管理パスワードをコマンドラインを介して主制御装置110へ出力する(S1423)。そして、S1423の処理後、管理PW出力要求フラグ213eをオフして(S1424)、この管理パスワード出力処理を終了する。
次に、図25から図28に示す処理、即ち、内部プログラム212a1によって実行される処理について説明する。図25は、払出制御装置111に電源が投入された場合に起動する内部立ち上げ処理を示すフローチャートである。
図25に示すように、この内部立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行し(S1701)、次いで、主制御装置110で実行されたS112(図7参照)の処理の結果として、主制御装置110から固有コードメモリ207aの値を受信したかを確認する(S1702)。
S1702の処理により確認した結果、主制御装置110から固有コードメモリ207aの値を受信した場合には(S1702:Yes)、受信した値を第3管理PWメモリ213cに書き込み(S1703)、S1704の処理へ移行する。
一方で、S1702の処理により確認した結果、主制御装置110から固有コードメモリ207aの値を受信しなかった場合には(S1702:No)、S1703の処理をスキップして、S1704の処理へ移行する。
S1704の処理では、第3管理PWメモリ213cの値を読み出す(S1704)。次いで、読み出した値を、払出制御装置111における管理パスワードの初期値(第1番目の管理パスワード)として、第1管理PWメモリ213aに書き込み(S1705)、この内部立ち上げ処理を終了する。
この内部立ち上げ処理によれば、S1705の処理によって、第3管理PWメモリ213cの値が、第1管理PWメモリ213aに、払出制御装置111の第1番目の管理パスワードとして記憶(設定)される。ここで、S1702において、主制御装置110から固有コードメモリ207aの値を受信したことが確認された場合、即ち、パチンコ機10への電源投入の際に、RAM消去スイッチ122が押された場合には、固有コードメモリ207aの値が、払出制御装置111における第1番目の管理パスワードとされる。一方で、S1702において、主制御装置110から固有コードメモリ207aの値を受信したことが確認されなかった場合、即ち、パチンコ機10への電源投入の際に、RAM消去スイッチ122が押されなかった場合には、バックアップ用に第3管理PWメモリ213cに記憶されていた値、即ち、電源が遮断される前に最後に更新された管理パスワードの値が、払出制御装置111における第1番目の管理パスワードとされる。
上記したように、主制御装置110において、主制御装置110における第1番目の管理パスワードとして設定される値は、パチンコ機10への電源投入の際に、RAM消去スイッチ122が押された場合には、固有コードメモリ207aの値であり、RAM消去スイッチ122が押されなかった場合には、第3管理PWメモリ213cに記憶されていた電源が遮断される前に最後に更新された管理パスワードの値である。よって、RAM消去スイッチ122の操作の有無にかかわらず、パチンコ機10への電源投入によって、主制御装置110と払出制御装置111とが1:1に対応する組み合わせとして固定される。よって、不正を行うためには、正規の組み合わせに応じた不正基板が必要となるが、かかる不正基板の製作は困難であり、不正基板を用いた不正行為を防止することができる。
特に、本実施の形態では、各パチンコ機10毎に固有の値である固有コードメモリ203の値を第1番目の管理パスワードとして用いているので、不正を行うためには、各パチンコ機10毎に異なる第1番目の管理パスワードを設定可能な不正基板が必要となる。しかし、かかる不正基板の製作は困難であるので、不正基板を用いた不正行為の防止に寄与する。同様に、第3管理PWメモリ213cに記憶されていたバックアップ用の値もまた、各パチンコ機10毎に固有の値である固有コードメモリ203の値を基にして算出される値であるので、かかる不正基板の製作は困難であり、不正基板を用いた不正行為の防止に寄与する。
また、この内部立ち上げ処理は内部プログラム212a1によって実行される処理である。上記したように、内部プログラム212a1による制御内容は、その内容を必然的に知り得る者以外による認知が実質的に不可能であるので、どの値が管理パスワードの初期値に設定されているかを不正行為者が認知することは困難である。そのため、正確に第1番目の管理パスワードを模倣する不正基板の製作は困難であるので、不正基板を用いた不正行為の防止に寄与する。
なお、パチンコ機10への電源投入の際に、RAM消去スイッチ122が押された場合には、S1703の処理によって、第1番目の管理パスワードとされる固有コードメモリ207aの値が、第3管理PWメモリ213cにバックアップ用の値として記憶されることになる。一方で、パチンコ機10への電源投入の際に、RAM消去スイッチ122が押されなかった場合には、電源遮断前に保持(バックアップ)されていた値が、そのまま第3管理PWメモリ213cに第1番目の管理パスワードとして保持されることになる。
図26は、内部プログラム212a1によって実行される第2管理パスワード処理を示すフローチャートである。この第2管理パスワード処理は、(1)管理パスワード受信処理(図23参照)におけるS1402の処理による管理パスワードの書き込み、又は、(2)管理パスワード出力処理(図24参照)におけるS1422の処理による管理パスワードの読み込みのいずれかを契機として起動する処理である。
図26に示すように、この第2管理パスワード処理では、まず、管理PW受信フラグ213fがオンであるかを確認する(S1501)。S1501の処理により確認した結果、管理PW受信フラグ213fがオンであれば(S1501:Yes)、第1管理PWメモリ213a及び第2管理PWメモリ213bにそれぞれ記憶されている管理パスワードを照合して主制御装置110又は払出制御装置111に異常があるか否かを判定する第2照合処理を実行し(S1502)、第1管理PWメモリ213aに記憶されている管理パスワードに対して演算を行い、新たな管理パスワードに更新する第2演算処理(S1503)へ移行する。なお、第2照合処理(S1502)及び第2演算処理(S1503)で実行される具体的な処理については、それぞれ、図27及び図28を参照しつつ後述する。
一方で、S1501の処理により確認した結果、管理PW受信フラグ213fがオフであれば(S1501:No)、管理パスワードを照合する必要がないので、第2照合処理(S1502)をスキップして、第2演算処理(S1503)へ移行する。
第2演算処理(S1503)の実行後、管理PW受信フラグ213fがオンであるかを確認し(S1504)、オンであれば(S1504:Yes)、その時点において第1管理PWメモリ213aに記憶されている管理パスワードは、主制御装置110へ出力すべき管理パスワードであるので、管理PW出力要求フラグ213eをオンし(S1505)、管理PW受信フラグ213fをオフして(S1506)、この第2管理パスワード処理を終了する。
一方で、S1504の処理により確認した結果、管理PW受信フラグ213fがオンであれば(S1504:No)、その時点において第1管理PWメモリ213aに記憶されている管理パスワードは、主制御装置110へ出力すべき管理パスワードではないので、S1505,S1506の処理をスキップして、この第2管理パスワード処理を終了する。
よって、この第2管理パスワード処理によれば、管理PW受信フラグ213fがオンである場合、即ち、主制御装置110からの管理パスワードの受信に伴って実行される管理パスワード受信処理(図23参照)におけるS1402の処理の結果として起動された場合には、第2照合処理(S1502)による管理パスワードの照合が行われた後に第2演算処理(S1503)による演算によって更新された管理パスワードが、主制御装置110へ出力される。
その一方で、管理PW受信フラグ213fがオフである場合、即ち、管理パスワード出力処理(図24参照)におけるS1422の処理の結果として起動された場合には、第2演算処理(S1503)による演算によって更新された管理パスワードは、主制御装置110へ出力されない。なお、第2演算処理(S1503)による演算後に主制御装置110へ出力されない管理パスワードは、次に主制御装置110から受信される管理パスワードとの照合に使用される。
次に、図27を参照して、上記した第2照合処理(S1502)について説明する。図27は、第2管理パスワード処理(図26参照)の中で実行される第2照合処理(S1502)を示すフローチャートである。
図27に示すように、この第2照合処理(S1502)では、まず、第1管理PWメモリ213aに記憶されている管理パスワードと、第2管理PWメモリ213bに記憶されている管理パスワードとを照合し、両者が等しいかを確認する(S1601)。
この第2照合処理(S1502)を実行する時点において、第2管理PWメモリ213bには、主制御装置110から受信した第n番目(ただし、nは1以上の奇数)の管理パスワードが記憶されており、一方で、第1管理PWメモリ213aにもまた、後述する第2演算処理(図27参照)の実行結果として得られた第n番目(ただし、nは1以上の奇数)の管理パスワードが記憶されている。
即ち、S1601では、主制御装置110及び払出制御装置111のそれぞれにおける管理パスワードの初期値(第1回目の管理パスワード)、又は、電源投入後から同じ回数だけ更新された管理パスワードが比較される。ここで、上記したように、本実施の形態のパチンコ機10では、主制御装置110及び払出制御装置111のそれぞれにおける管理パスワードの初期値(第1回目の管理パスワード)いずれも、固有コードメモリ207aの値であるか、電源投入時に第3管理PWメモリ203c,213cに記憶されていた値である。詳細は後述するが、本実施の形態では、電源投入時に第3管理PWメモリ203c,213cに記憶されていた値は同一であるので、主制御装置110及び払出制御装置111のそれぞれにおける管理パスワードの初期値(第1回目の管理パスワード)は、同一の値が設定されるように構成されている。また、主制御装置110及び払出制御装置111では、第n回目の演算として同一の演算を行うように構成されている。従って、本実施の形態では、主制御装置110及び払出制御装置111がいずれも正規のものであれば、主制御装置110における第n回目の演算の結果として得られる管理パスワードと、払出制御装置111における第n回目の演算の結果として得られる管理パスワードとが、同一の値となるように構成されている。
よって、S1601の処理により確認した結果、第1管理PWメモリ213aに記憶されている管理パスワードと、第2管理PWメモリ213bに記憶されている管理パスワードとが等しければ(S1601:Yes)、主制御装置110にも払出制御装置111にも不正などに起因する異常の存在が確認されないことを示すので、この場合には、タイマクリアコマンドを主制御装置110へ送信し(S1602)、この第2照合処理(S1502)を終了する。
ここで、S1602の処理によってタイマクリアコマンドが主制御装置110へ出力されると、そのタイマクリアコマンドを受信した主制御装置110では、不正監視タイマ更新処理(図11参照)におけるS1003の処理によって、不正監視タイマ208に初期値が設定される。
即ち、S1601の処理によって主制御装置110にも払出制御装置111にも不正が存在しないことが確認された場合には、その結果として、不正監視タイマ208による猶予時間の計時が、再度、初期値(本実施の形態では30sec)から開始される。
その一方で、S1602の処理により確認した結果、第1管理PWメモリ213aに記憶されている管理パスワードと、第2管理PWメモリ213bに記憶されている管理パスワードとが等しくなければ(S1601:No)、制御装置110又は払出制御装置111の少なくとも一方に不正などに起因する異常の存在が疑われるので、この場合には、S1602の処理をスキップして、この第2照合処理(S1502)を終了する。
よって、S1601の処理によって主制御装置110又は払出制御装置111の少なくとも一方に不正などに起因する異常の存在が疑われる場合には、不正監視タイマ208の値は変更されず、猶予時間の残存時間がさらに消費されることになる。しかし、上記したように、不正監視タイマ208の値が0を示すまでは、S1601の処理によって主制御装置110又は払出制御装置111の少なくとも一方に不正などに起因する異常の存在が疑われる場合であっても、その判定は猶予されるので、ノイズなどの一時的な要因による誤判定によって正規な制御装置110,111が不正なものであると誤判定されることを防止できる。
次に、図28を参照して、上記した第2演算処理(S1503)について説明する。図28は、第2管理パスワード処理(図26参照)の中で実行される第1演算処理(S1503)を示すフローチャートである。
図28に示すように、この第2演算処理(S1503)では、まず、第1管理PWメモリ203aに記憶されている管理パスワードを読み出し(S1621)、演算カウンタ213dの値を確認する(S1622)。
S1622の処理により確認した結果、演算カウンタ213dの値が0であれば(S1622:0)、S1621の処理によって読み出した管理パスワードを右に1ビットシフトさせ(S1623)、S1624の処理へ移行する。
一方で、S1622の処理により確認した結果、演算カウンタ213dの値が2であれば(S1622:2)、S1621の処理によって読み出した管理パスワードを右に3ビットシフトさせ(S1627)、S1624の処理へ移行する。
また、S1622の処理により確認した結果、演算カウンタ213dの値が1又は3であれば(S1622:1,3)、S1621の処理によって読み出した管理パスワードを反転させ(S1328)、S1624の処理へ移行する。
演算カウンタ213dは、演算が行われる毎に0→1→2→3→0→1→…の順で更新されるので、S1622,S1623,S1627,S1628による処理の結果として、管理パスワードの値は、(1)右へ1ビットシフト→(2)反転→(3)右へ3ビットシフト→(4)反転→(1)右へ1ビットシフト→…の順で演算されて更新される。これらの演算式及び演算順序は、主制御装置110と同一であるので、払出制御装置111では、主制御装置110と同様の更新パターンで管理パスワードが更新されることになる。
よって、主制御装置110及び払出制御装置111の両方において固有コードメモリ207aの値又は第3管理PWメモリ203c,213cにバックアップされていた値が第1回目の演算の被演算値として使用される本実施の形態のパチンコ機10では、主制御装置110及び払出制御装置111のいずれも正規なものであれば、主制御装置110における第n番目の管理パスワードと、払出制御装置111における第n番目の管理パスワードとが等しい値となる。
さらに、上記したように、固有コードメモリ207aの値は、各パチンコ機10毎に固有の値である。同様に、第3管理PWメモリ203c及び213cに記憶されていたバックアップ用の値もまた、各パチンコ機10毎に固有の値である固有コードメモリ203の値を基にして算出される値であるので、演算による更新回数が同じであったとしても、各パチンコ機10毎に固有の値となる。よって、本実施の形態のパチンコ機10では、主制御装置110と払出制御装置111との両方において行われる第1回目の演算の被演算値が各パチンコ機10毎に固有の値となるので、不正を行うためには、主制御装置110と払出制御装置111との両方において行われる第1回目の演算の被演算値を、各パチンコ機10毎に異なる値に設定可能な不正基板が必要となる。しかし、かかる不正基板の製作は困難であるので、不正基板を用いた不正行為の防止に寄与する。
S1624の処理では、S1623,S1627,S1628で行われた演算によって更新された新たな管理パスワードを第1管理PWメモリ203aに上書きによって書き込む(S1624)。S1624の処理後、S1623,S1627,S1628で行われた演算によって更新された新たな管理パスワードを第3管理PWメモリ213cに書き込み(S1625)、演算カウンタ213dを更新して(S1626)、この第2演算処理(S1503)を終了する。
RAM213の内容は、パチンコ機10の電源が遮断された場合にも、電源装置115から供給されるバックアップ用電圧によって保持されるので、S1625の処理の結果として第3管理PWメモリ213cに記憶された値は、パチンコ機10の電源が遮断後も保持される。よって、パチンコ機10の電源遮断後にRAM消去スイッチ122を押すことなく電源を再投入した場合に、第3管理PWメモリ213cに保持されている値は、電源が遮断される前に最後に実行された演算によって得られた管理パスワードとなる。
一方で、上記したように、パチンコ機10の電源遮断後にRAM消去スイッチ122を押すことなく電源を再投入した場合に主制御装置110の第3管理PWメモリ203cに保持されている値もまた、電源が遮断される前に最後に実行された演算によって得られた管理パスワードである。
従って、パチンコ機10の電源遮断後にRAM消去スイッチ122を押すことなく電源を再投入した時点において、主制御装置110の第3管理PWメモリ203cに記憶されている値と、払出制御装置111の第3管理PWメモリ213cに記憶されている値とは、互いに対応する値が記憶されていることになる。なお、本実施の形態では、パチンコ機10の電源投入の際のRAM消去スイッチ122が押された場合には、主制御装置110及び払出制御装置111の両方において、固有コードメモリ207aの値が第1番目の管理パスワードとして設定されるので、パチンコ機10の電源遮断後にRAM消去スイッチ122を押すことなく電源を再投入した時点において第3管理PWメモリ203c、213cに記憶されている値は互いに同一の値となっている。
以上、説明したように、第1実施の形態のパチンコ機10は、管理パスワードを演算によって更新する第1演算処理(図20参照)及び第2演算処理(図28参照)は、それぞれ、その制御内容を必然的に知り得る者以外には認知することも改変することも実質的に不可能である内部プログラム202a1,212a1によって行うように構成されている。よって、第1演算処理(図20参照)及び第2演算処理(図28参照)によって順次更新される管理情報を模倣して出力する不正基板の製作は困難となり、その結果、不正基板を用いた不正行為を確実に防止することができる。
特に、第1実施の形態のパチンコ機10では、主制御装置110と払出制御装置111との間で互いに相手側の制御装置における第n番目の管理パスワードを、自身における第n番目の管理パスワードと照合することによって、主制御装置110又は払出制御装置111に不正などに起因する異常があるか否かを判定するので、遊技球の払い出しに関する不正行為を確実に防止することができ、その結果、遊技場の損失を確実に抑制することができる。
なお、主制御装置110と払出制御装置111との間において、管理パスワードの入出力(送受信)は、専用の通信路ではなく、各種コマンドの通信路(コマンドライン)を介して行われるので、遊技球の払い出しを指示するコマンドを不正に生成することによって不正に利益を得るなどの遊技球の払い出しに関する不正行為を確実に防止することができる。
また、第1実施の形態では、主制御装置110と払出制御装置111との間における管理パスワードの入出力(送受信)は、内部プログラム202a1,212a1ではなく、ユーザプログラム202b1,212b1による制御によって行われるように構成されている。よって、設計及び開発の際にアセンブラ等の既存の開発ツールの使用が可能であり、設計及び開発効率が良い。
また、第1実施の形態のパチンコ機10では、主制御装置110において電源の投入後から第n回目に行われる演算と、払出制御装置111において電源の投入後から第n回目に行われる演算とが同一であるように構成されているので、演算によって変化する管理パスワードの変遷パターンは、主制御装置110と払出制御装置111との両方において同様の変遷パターンとなる。よって、両管理パスワードの照合によって主制御装置110又は払出制御装置111に不正などに起因する異常が存在するか否かの判定は、この同様の変遷パターンを考慮すれば容易であるので、プログラムの開発及び設計が容易となる。
特に、第1実施の形態のパチンコ機10では、主制御装置110及び払出制御装置111のいずれにおいても、第1回目の演算で使用される管理パスワードが同一の値、即ち、固有コードメモリ207aの値又は第3管理PWメモリ203c,213cにバックアップ(保持)されていた値であるので、第1演算処理(図20参照)及び第2演算処理(図28参照)によって行われる第n回目の演算の結果として得られる第(n+1)番目の管理パスワードが、主制御装置110と払出制御装置111との両方において同一の値となる。よって、第n番目の管理パスワードが等しいか否かによって、主制御装置110又は払出制御装置111に不正などに起因する異常があるか否かを容易に判定することができる。
また、第1実施の形態のパチンコ機10によれば、主制御装置110において、主制御装置110における第1番目の管理パスワードとして設定される値は、パチンコ機10への電源投入の際に、RAM消去スイッチ122が押された場合には、固有コードメモリ207aの値であり、一方、RAM消去スイッチ122が押されなかった場合には、第3管理PWメモリ213cに記憶されていた電源が遮断される前に最後に更新された管理パスワードの値である。よって、RAM消去スイッチ122の操作の有無にかかわらず、パチンコ機10への電源投入によって、主制御装置110と払出制御装置111とが1:1に対応する組み合わせとして固定される。よって、不正を行うためには、正規の組み合わせに応じた不正基板が必要となるが、かかる不正基板の製作は困難であり、不正基板を用いた不正行為を防止することができる。
特に、第1実施の形態では、各パチンコ機10毎に固有の値である固有コードメモリ203の値を第1番目の管理パスワードとして用いているので、不正を行うためには、各パチンコ機10毎に異なる第1番目の管理パスワードを設定可能な不正基板が必要となる。しかし、かかる不正基板の製作は困難であるので、不正基板を用いた不正行為の防止に寄与する。同様に、第3管理PWメモリ213cに記憶されていたバックアップ用の値もまた、各パチンコ機10毎に固有の値である固有コードメモリ203の値を基にして算出される値であるので、かかる不正基板の製作は困難であり、不正基板を用いた不正行為の防止に寄与する。
また、第1実施の形態では、主制御装置110の第3管理PWメモリ203c(RAM203)及び払出制御装置111の第3管理PWメモリ213c(RAM213c)のいずれも、バックアップ電圧が電源装置115から供給される。よって、営業時間外に正規の主制御装置110や払出制御装置111が不正基板に取り替えられることが仮にあるとしても、取り替える際に主制御装置110や払出制御装置111が取り外されることによって、第3管理PWメモリ203c,213cに保持(バックアップ)された値が消去されてしまうので、設置島の電源を一旦入れて第3管理PWメモリ203c(RAM203)及び第3管理PWメモリ213c(RAM213)の初期化(RAMクリア)を行わない限り、第1照合処理(図19参照)又は第2照合処理(図27参照)において、主制御装置110又は払出制御装置111に不正などに起因する異常があると疑われる判定がなされることになる。同様に、主制御装置110におけるROM202及び払出制御装置111におけるROM212を、不正な制御内容を記憶するROMに取り替えられることが仮にあるとしても、取り替える際にROM202やROM212が取り外されることによって、第3管理PWメモリ203c,213cに保持(バックアップ)された値が消去されてしまうので、取り替えたのみでは、第1照合処理(図19参照)又は第2照合処理(図27参照)において、主制御装置110又は払出制御装置111に不正などに起因する異常があると疑われる判定がなされることになる。よって、不正基板の使用や不正な制御内容を記憶するROMなどの記憶媒体の使用も困難となるため、不正行為をより確実に防止することが可能となる。
また、第1実施の形態のパチンコ機10では、不正監視タイマ208が猶予期間以内にあることを示す場合には、第1照合処理(図19参照)又は第2照合処理(図27参照)において、主制御装置110又は払出制御装置111に不正などに起因する異常があると疑われる判定がなされたとしても、その異常を示す判定が猶予されるように構成されている。
よって、ノイズなどの偶発的な要因によって主制御装置110又は払出制御装置111に不正などに起因する異常があると疑われる判定がなされたとしても、その原因が猶予期間内に修正されるのであれば、異常の存在を示した先の判定が一時的なものであるとして無視されることになる。従って、この不正監視タイマ208を用いて所定の猶予期間を計時することによって、偶発的な要因によって正規な制御装置110,111が不正なものであると誤判定されることを防止できる。
ここで、第1実施の形態のパチンコ機10によれば、主制御装置110が払出制御装置111から第n番目の管理情報を受信した場合には、その受信した管理パスワードを用いて第1演算処理(S1203)による演算(第n回目の演算)が行われるので、受信した管理パスワードが正しいものである限り、上記のような偶発的な要因によって生じた誤った管理情報が本来あるべき正しい値に修正することができる。そのため、例え、ノイズなどの偶発的な要因によって管理パスワードの値が変化した結果、第1照合処理(図19参照)又は第2照合処理(図27参照)において、不正などに起因する異常が疑われる判定がなされたとしても、不正監視タイマ208で計時される猶予期間中に、上記のように管理パスワードが修正された場合には、異常の存在を示した先の判定が一時的なものであるとして無視されることになる。従って、主制御装置110及び払出制御装置111のいずれも正規なものであるにもかかわらず、不正なものであるとする誤判定を防止することができる。
また、第1実施の形態のパチンコ機10によれば、遊技者にとって有利となる特別遊技状態(大当たり)の発生に関する制御を行う主制御装置110について、払出制御装置110から受信した管理パスワードを用いて第1演算処理(S1203)による演算(第n回目の演算)を行うように構成している。即ち、主制御装置110において行われる演算によって更新される管理パスワードは、払出制御装置111において行われた演算の結果として得られた管理パスワードに依存するので、主制御装置110の取り替えによる不正行為が、払出制御装置111に対する不正行為に比べてより敏感に検出されることになる。一般的に、大当たりの発生に関わる主制御装置110が不正行為者によって取り替えられることが多いので、主制御装置110の取り替えをより敏感に検出することによって、不正行為を有効に防止することができる。
次に図29〜図32を参照して、第2実施の形態のパチンコ機10について説明する。上述した第1実施の形態のパチンコ機10では、不正監視タイマ208を主制御装置110にのみ設ける構成としたが、この第2実施の形態のパチンコ機10では、主制御装置110だけでなく払出制御装置111にも不正監視タイマ208と同様の不正監視タイマ218(図29参照)を設ける。なお、この第2実施の形態において、第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図29は、第2実施の形態におけるパチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。図29に示すように、第2実施の形態におけるパチンコ機10の払出制御装置111は、ROM212と、RAM213と、不正監視タイマ218とを備えている。
不正監視タイマ218は、主制御装置110に設けられている不正監視タイマ208に対応するものであり、主制御装置110側の管理パスワードと払出制御装置111側の管理パスワードとの照合の結果、主制御装置110又は払出制御装置111に異常が存在すると判定された場合に、その判定(異常を示す判定)が猶予される期間(猶予期間)を計時するためのタイマである。
払出制御装置111に設けられた不正監視タイマ218は、パチンコ機10に電源を投入した場合、又は、第2照合処理(図31参照)による管理パスワードの照合の結果、主制御装置110や払出制御装置111に異常が存在しないことが確認された場合に、不正などに起因する異常を示す判定を猶予する猶予期間(本実施の形態では30sec)が初期値として設定されるように構成されている。そして、初期値の設定後、所定時間毎(本実施の形態では、4ms毎)に実行される不正監視タイマ更新処理(図32参照)によって減算されるように構成されている。
図30は、電源が投入された場合に払出制御装置111において起動する内部立ち上げ処理を示すフローチャートである。なお、この内部立ち上げ処理は、第1実施の形態における内部立ち上げ処理(図25参照)と同様に、内部プログラム212a1によって実行される処理である。
図30に示すように、第2実施の形態における内部立ち上げ処理では、S1701〜S1705の処理を実行した後、不正監視タイマ218に初期値を設定して(S1706)、この内部立ち上げ処理を終了する。なお、上記したように、本実施の形態における不正監視タイマ218は、4ms毎に実行される不正監視タイマ更新処理(図32参照)によって順次減算されるように構成されているので、S1706において設定される初期値は、4ms毎の減算による計時に相当する値に換算された値である。即ち、本実施の形態では猶予期間を30secとしているので、不正監視タイマ218には初期値として7500が設定される。
図31は、第2実施の形態における第2照合処理(S1502)を示すフローチャートである。この第2実施の形態における第2照合処理(S1502)は、上述した第2管理パスワード処理(図26参照)の中で、第1実施の形態における第2照合処理(図27参照)に換えて実行される処理であり、内部プログラム212a1によって実行される。
図31に示すように、第2実施の形態における第2照合処理(S1502)では、S1601の処理により確認した結果、第1管理PWメモリ213aに記憶されている管理パスワードと、第2管理PWメモリ213bに記憶されている管理パスワードとが等しければ(S1601:Yes)、主制御装置110にも払出制御装置111にも不正などに起因する異常の存在が確認されないことを示すので、この場合には、払出制御装置218の不正監視タイマ218に初期値(本実施の形態では30secに相当する7500)を設定し(S2602)、この第2照合処理(S1502)を終了する。
即ち、S1601の処理によって主制御装置110にも払出制御装置111にも不正などに起因する異常が存在しないことが確認された場合には、その結果として、不正監視タイマ218による猶予時間の計時が、再度、初期値(本実施の形態では30sec)から開始される。
一方で、S1601の処理により確認した結果、第1管理PWメモリ203aに記憶されている管理パスワードと、第2管理PWメモリ203bに記憶されている管理パスワードとが等しくなければ(S1601:No)、主制御装置110又は払出制御装置111に不正などに起因する異常が存在することが疑われるので、この場合は、不正監視タイマ218の値が0であるかを確認する(S2603)。
S2603の処理により確認した結果、不正監視タイマ218の値が0でなければ(S2603:No)、S1601の処理による判定結果が不正などに起因する異常の存在を示すものであっても、その異常を示す判定が猶予される期間内であるので、この場合には、何も行うことなく、第2照合処理(S1502)を終了する。
一方で、S2603の処理により確認した結果、不正監視タイマ218の値が0であれば(S2603:Yes)、上記猶予期間を超えているので、S1601の処理による判定結果が確定、即ち、主制御装置110又は払出制御装置111に不正などに起因する異常が存在することが確定し、この場合には、払出制御装置111の動作を停止する不正対策処理を実行し(S2604)、この第2照合処理(S1502)を終了する。
よって、S1601の処理によって主制御装置110又は払出制御装置111の少なくとも一方に不正などに起因する異常の存在が疑われる場合には、不正監視タイマ218の値は変更されず、猶予時間の残存時間がさらに消費されることになる。しかし、上記したように、不正監視タイマ218の値が0を示すまでは、S1601の処理によって主制御装置110又は払出制御装置111の少なくとも一方に不正などに起因する異常の存在が疑われる場合であっても、その判定は猶予されるので、ノイズなどの一時的な要因による誤判定によって正規な制御装置110,111が不正なものであると誤判定されることを防止できる。
また、不正監視タイマ218が0を示し、主制御装置110や払出制御装置111に対して不正行為がなされていることが確定した場合には、不正対策処理(S2604)の実行によって、払出制御装置111の動作が停止するので、遊技球が不正に払い出されることを防止できる。
図32は、払出制御装置内のMPU211により実行される不正監視タイマ更新処理を示すフローチャートである。この不正監視タイマ更新処理は、ユーザプログラム212b1によって、所定時間毎(本実施の形態では、4ms毎)に起動する割り込み処理である。図32に示すように、この不正監視タイマ更新処理は、起動後、不正監視タイマ218を1減算して(S2001)、終了する。この不正監視タイマ更新処理の実行によって、不正監視タイマ218の値は、4ms毎に1ずつ減算されることになる。
なお、本実施の形態では、第2照合処理(S1502)において、S1601の処理により確認した結果、主制御装置110にも払出制御装置111にも不正などに起因する異常の存在が確認されない場合には、不正監視タイマ218に初期値を設定する構成としており、第1実施の形態で使用されたタイマクリアコマンドの出力が不要である。よって、この第2実施の形態において主制御装置110で実行される不正監視タイマ更新処理は、第1実施の形態における不正監視タイマ更新処理(図11参照)の中で、S1001,S1003の両処理が不要となる。
即ち、第2実施の形態における不正監視タイマ更新処理(S207)は、メイン処理(図8参照)における第2図柄制御処理(S206)の実行後に開始され、不正監視タイマ208を1減算した後(S1002)、終了する。そして、管理パスワード出力設定処理(S208)へ移行する。
以上、説明したように、第2実施の形態のパチンコ機10は、主制御装置110だけでなく払出制御装置111にも不正監視タイマ208と同様の不正監視タイマ218を備えているため、主制御装置110の不正監視タイマ208は、主制御装置110で実行される第1照合処理(図19参照)の結果に応じて初期化され、払出制御装置111の不正監視タイマ218は、払出制御装置111で実行される第2照合処理(図31参照)の結果に応じて初期化される。そのため、第1実施の形態のように、払出制御装置111から出力されるタイマクリアコマンドによって不正監視タイマ208に初期値が設定されることはない。よって、タイマクリアコマンドを主制御装置111不正に入力し、それによって、猶予期間を無制限に延長する不正行為を含め、不正行為を確実に防止することができる。
以上、各実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記した第1実施の形態では、MPU201,211の基本動作や図17〜図20や図25〜図28に示したフローチャートの制御を、ROM202,212のユーザ使用不可領域202a,212aに記憶された内部プログラム202a1,212a1によってソフト的に行う構成としたが、ハード的に制御する構成であってもよい。
また、上記した第1実施の形態において、内部プログラム202a1,212a1によって実行される図17〜図20や図25〜図28に示したフローチャートの制御のうち、管理パスワードを演算によって更新するための第1演算処理(図20参照)及び第2演算処理(図28参照)以外の処理については、ユーザプログラム202b1,212b1で実行する構成としてもよい。
また、上記実施の形態では、固有コードメモリ207aの値を8バイトのデータとして記載したが、データサイズは8バイトに限定されず、8バイト以上のデータ(例えば、16バイトのデータ)や、8バイト以下のデータ(例えば、1バイト、2バイト、4バイトのデータや、1バイト以下のビット単位のデータ)であってもよい。
また、上記実施の形態では、主制御装置110の第3管理PWメモリ203c(RAM203)及び払出制御装置111の第3管理PWメモリ213c(RAM213c)のいずれも、バックアップ電圧が電源装置115から供給されるものとして構成したが、電源装置115とは別体のバックアップ用の専用電源(バックアップコンデンサなど)から、主制御装置110の第3管理PWメモリ203c(RAM203)と払出制御装置111の第3管理PWメモリ213c(RAM213c)との両方にバックアップ電圧が供給される構成であってもよい。
また、主制御装置110の第3管理PWメモリ203c(RAM203)又は払出制御装置111の第3管理PWメモリ213c(RAM213c)の一方には、電源装置115からバックアップ電圧が供給されるが、他方には専用のバックアップコンデンサを設けるような構成であってもよい。
あるいは、主制御装置110にRAM203専用のバックアップコンデンサを設けると共に、払出制御装置111にもRAM213専用のバックアップコンデンサを設けるように構成してもよい。なお、主制御装置110及び/又は払出制御装置111に専用のバックアップコンデンサを設ける場合、該バックアップコンデンサは、基板ボックス100,102の内側に設けられていても、基板ボックス100,102の外側に設けられていてもよい。
また、上記実施の形態では、バックアップ用に管理パスワードを記憶する第3管理PWメモリ203c,213cを、それぞれ、RAM203,213に設ける構成としたが、EEPROMなどの書き込み可能な不揮発性記憶媒体に記憶する構成としてもよい。
また、上記実施の形態では、固有コードメモリ207aを主制御装置110に設ける構成としたが、主制御装置110に換えて払出制御装置111が固有情報を記憶する固有コードメモリを有する構成としてもよい。この場合には、RAM消去スイッチ122を押しながら電源が投入された場合に、払出制御装置111の固有コードメモリの値(固有情報)を読み出し、読み出した値を主制御装置110へ出力して、主制御装置110の第2管理PWメモリ203b及びバックアップ用に第3管理PWメモリ203cに記憶させる構成としてもよい。
あるいは、主制御装置110が固有コードメモリ207を有すると共に、払出制御装置111にも固有コードメモリが設けられている構成であってもよい。この場合には、所定のタイミングで、主制御装置110では、固有コードメモリ207aの値を、主制御装置110における第1番目の管理パスワードとして設定し、一方で、払出制御装置111では、払出制御装置111における固有コードメモリの値を、払出制御装置111における第1番目の管理パスワードとして設定する構成とすることができる。
また、上記実施の形態では、S1705の処理によって、第3管理PWメモリ213cに記憶されている値を第1番目の管理パスワードとして第1管理PWメモリ213aに書き込んだ後、その第1管理PWメモリ213aに記憶されている値と、主制御装置110から受信した第1番目の管理パスワードとを照合する構成としたが、主制御装置110から受信した第1番目の管理パスワードと、第3管理PWメモリ213cに記憶されている値とを直接照合する構成としてもよい。
また、上記実施の形態では、主制御装置110において、RAM消去スイッチ122を押しながら電源が投入された場合に、S1104の処理によって、固有コードメモリ207aの値を第3管理PWメモリ203cに記憶する構成としたが、これを省く構成としてもよい。同様に、上記実施の形態では、払出制御装置111において、主制御装置110から固有コードメモリ207aの値を受信した場合に、受信した値を第3管理PWメモリ213cに記憶する構成としたが、これを省く構成としてもよい。
また、上記実施の形態のパチンコ機10では、主制御装置110及び払出制御装置111のいずれにおいても、第1回目の演算で使用される管理パスワードが同一の値、即ち、固有コードメモリ207aの値又はその固有コードメモリ207aの値に由来する値である第3管理PWメモリ203c,213cの値であるように構成したが、主制御装置110において第1回目の演算で使用される管理パスワードと、払出制御装置111において第1回目の演算で使用される管理パスワードとが非同一の値であってもよい。この場合、互いに第1回目の演算で使用される値(被演算値)を相手側の制御装置に出力したり、相手側の制御装置における第1回目の演算で使用される値を予め記憶していたりなど、互いに相手側の制御装置の初期値を認知可能に構成することによって、同様の不正防止を図ることができる。
また、上記実施の形態では、パチンコ機10への電源投入の際に、RAM消去スイッチ122が押されていた場合には、主制御装置110及び払出制御装置111の両方の管理パスワードの初期値(第1番目の管理パスワード)が、規定値(定数)、即ち、固有コードメモリ207aの値となるように構成したが、その都度可変的に得られる値を初期値とするように構成してもよい。
また、上記実施の形態では、主制御装置110及び払出制御装置111の両方で行われる第n回目の演算が同一であるように構成したが、主制御装置110と払出制御装置111とで異なる演算を行う構成であってもよい。この場合、例えば、内部プログラム202a1,212a1が、双方の制御手段で行われる演算が可能な状態とし、相手側の制御装置で行われる演算結果を行うことによって予測する構成とすることによって、同様の不正防止を図ることができる。
また、上記実施の形態では、払出制御装置111では、第2演算処理(図28参照)で得られた第n回目の演算結果を用いて、第(n+1)回目の演算を行い、一方で、主制御装置110では、払出制御装置110から第n番目の管理パスワードを受信した場合に、その受信した管理パスワードを用いて、第(n+1)回目の演算を行うように構成した。
これに換えて、主制御装置110において、第1演算処理(図20参照)で得られた第n回目の演算結果を用いて、第(n+1)回目の演算を行い、一方で、払出制御装置111において、主制御装置111から第n番目の管理パスワードを受信した場合には、その受信した管理パスワードを用いて、第(n+1)回目の演算を行うように構成してもよい。
また、上記実施の形態では、第1演算処理(図20参照)及び第2演算処理(図28参照)の両方において、管理パスワードの値が、(1)右へ1ビットシフト→(2)反転→(3)右へ3ビットシフト→(4)反転→(1)右へ1ビットシフト→…の順で演算されて更新されるように構成したが、1回の演算において、「右へ1ビットシフトし、反転する」など、複数の演算の組み合わせを行う構成としてもよい。
また、上記実施の形態では、2回の演算に対して1回の管理パスワードの送信が行われる構成であったが、1回の演算に対して1回の管理パスワードの送信を行う構成や、2回以上(例えば、4回)の演算に対して1回の管理パスワードの送信を行う構成であってもよい。
また、上記実施の形態におけるS1326は、S1324,S1329,S1330で行われた演算によって更新された新たな管理パスワードを第3管理PWメモリ203cに書き込む処理としたが、S1325の処理によって第2管理PWメモリ203bに記憶した値を第3管理PWメモリ203cに書き込む処理であってもよい。同様に、上記実施の形態におけるS1625の処理においても、S1623,S1627,S1628で行われた演算によって更新された新たな管理パスワードを第3管理PWメモリ213cに書き込むことに換えて、S1624の処理によって第1管理PWメモリ213aに記憶した値を第3管理PWメモリ213cに書き込む処理としてもよい。
また、上記実施の形態における第1照合処理(図19参照)では、S1303の処理の結果として、主制御装置110や払出制御装置111に対し、不正などに起因する異常の存在が確定した場合には、不正検出コマンドが音声ランプ制御装置113へ出力されるように構成したが、不正検出コマンドの出力に加えて、又は、不正検出コマンドの出力に換えて、別のコマンドを払出制御111へ出力し、その結果として、払出制御装置111において遊技球の払出を禁止させたり、払出制御装置111自体の動作が停止されたりするような構成としてもよい。
あるいは、主制御装置110や払出制御装置111に対し、不正などに起因する異常の存在が確定した場合に、主制御装置110が制御する出力装置(例えば、第1図柄表示装置37など)を用いて不正行為の存在を外部へ報知してもよい。また、主制御基板110や払出制御基板111に専用のランプを設け、制御装置110や払出制御装置111に対し不正などに起因する異常の存在が確定した場合に該ランプを点灯させるように構成してもよい。また、主制御装置110や払出制御装置111に対して不正行為がなされていることが確定した場合に、主制御装置110の電源を遮断して強制的に遊技の実行を停止するように構成してもよい。
また、上記第2の実施の形態では、第2照合処理(図31参照)における不正対策処理(S2604)は、払出制御装置111の動作を停止する処理としたが、払出制御装置111において遊技球の払出のみを停止してもよい。また、払出制御基板111に専用のランプを設け、不正対策処理(S2604)によって該ランプを点灯させる構成であってもよい。
あるいは、不正対策処理(S2604)において、主制御装置110へコマンドを出力し、主制御装置110の電源を遮断して強制的に遊技の実行を停止させたり、制御装置110が制御する出力装置(例えば、第1図柄表示装置37など)を用いて不正行為の存在を外部へ報知させたり、主制御基板110に専用のランプを設けて該ランプを点灯させたりする構成であってもよい。
あるいは、不正対策処理(S2604)において、音声ランプ制御装置113へコマンドを出力し、その結果として、音声出力装置226やランプ表示装置227や第3図柄表示装置81を用いた出力(聴覚的な出力や視覚的な表示)によって不正行為の存在が外部へ報知されるように構成してもよい。
また、上記実施の形態では、主制御装置110と払出制御装置111との間で管理パスワードを用いて不正防止を行う構成であったが、これを、払出制御装置111に換えて他のサブ制御装置(音声ランプ制御装置113など)と主制御装置110との間で行う構成としてもよい。
あるいは、主制御装置110と払出制御装置111との間だけでなく、主制御装置110とサブ制御装置(音声ランプ制御装置113など)との間でも、上記実施の形態と同様に管理パスワードを用いて不正防止を行う構成としてもよい。主制御装置110と管理パスワードを照合し合うサブ制御装置が多い程、不正を行うためには、それらの制御装置のすべてに不正基板を製作しなければならず、不正行為の実行及び成功がより困難となる。
また、上記第1実施の形態では、主制御装置110にのみ不正監視タイマ208を設けるように構成したが、主制御装置111に不正監視タイマ208を設けることに換えて、払出制御装置111に対応するタイマを設けるように構成してもよい。
また、上記実施の形態では、不正監視タイマ208,218によって猶予期間を計時し、この猶予期間内において、主制御装置110又は払出制御装置111でなされた異常の存在を示す判定を猶予する構成としたが、このような猶予期間を設けることなく、主制御装置110又は払出制御装置111において異常の存在を示す判定がなされた場合に、その判定を直ちに確定する構成としてもよい。
また、上記各実施の形態では、主制御装置110から各コマンドが音声ランプ制御装置113に対して送信され、その音声ランプ制御装置113から表示制御装置114に対して表示の指示がなされるよう構成したが、主制御装置110から表示制御装置114に直接コマンドを送信するものとしても良い。また、表示制御装置に音声ランプ制御装置を接続して、表示制御装置から各音声の出力とランプの点灯を指示するコマンドを音声ランプ制御装置に送信するよう構成しても良い。さらに、音声ランプ制御装置と表示制御装置とを1の制御装置として構成するものとしても良い。
また、上記実施の形態においては、第1入球口64への入賞および第2入球口67の通過は、それぞれ最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、第1入球口64への入賞に基づく変動表示の保留回数を、第3図柄表示装置81の一部においても、数字で、或いは、4つに区画された領域を保留回数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしても良く、第1図柄表示装置37とは別体でランプ等の発光部材を設け、該発光部材によって保留回数を通知するように構成しても良い。
また、上記実施の形態に示すように、動的表示の一種である変動表示は、第3図柄表示装置81の表示画面上で識別情報としての図柄を縦方向にスクロールさせるものに限定されず、横方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであっても良い。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、第3図柄として用いられる。
本発明を上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有するいわゆる第2種パチンコ遊技機などに実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球など他の遊技機として実施するようにしても良い。
本発明を上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施しても良い。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
以下に、本発明の遊技機および変形例を示す。基本動作をソフト的又はハード的に制御し、その制御内容の認知や改変が実質的に不可能である内部制御手段と、所定の記憶領域に任意に記憶されたユーザプログラムを実行させることによってユーザプログラム毎に特有の動作の制御を行うユーザプログラム制御手段とを有し、前記内部制御手段に及び前記ユーザ動作制御手段による制御によって、遊技に関する主な制御を行う主制御手段と、基本動作をソフト的又はハード的に制御し、その制御内容の認知や改変が実質的に不可能である内部制御手段と、所定の記憶領域に任意に記憶されたユーザプログラムを実行させることによってユーザプログラム毎に特有の動作の制御を行うユーザプログラム制御手段とを有し、前記内部制御手段に及び前記ユーザ動作制御手段による制御によって、前記主制御手段からコマンドを受信した場合に、その受信コマンドに従って前記遊技に関する周辺制御を行う周辺制御手段とを備えた遊技機において、前記主制御手段及び前記周辺制御手段は、いずれも、管理情報を記憶する管理情報記憶手段と、その管理情報記憶手段に第1番目の管理情報として記憶させるための値を記憶する第1初期値記憶手段と、遊技機への電源の投入を契機として、前記第1初期値記憶手段に記憶されている値を前記管理情報記憶手段に第1番目の管理情報として書き込む第1初期値設定手段と、所定のタイミング毎に、前記管理情報記憶手段に記憶されている第n番目(nは、1以上の整数)の管理情報に対して演算を行い、第(n+1)番目の管理情報を得る演算手段と、その演算手段による演算によって得られた管理情報を、前記第1初期値記憶手段に、前記管理情報記憶手段に第1番目の管理情報として記憶させるための値として記憶する管理情報保持手段と、前記管理情報記憶手段に記憶されている管理情報を、前記演算手段による演算によって得られた管理情報に更新する更新手段と、前記その更新手段により更新された管理情報を、相手側の制御手段へ出力する管理情報出力手段と、相手側の制御手段から第n番目の管理情報を受信した場合に、受信した第n番目の管理情報と前記管理情報記憶手段に記憶されている第n番目の管理情報とを照合し、前記主制御手段又は前記周辺制御手段に異常があるか否かを判定する判定手段とを備えており、前記主制御手段及び前記周辺制御手段の演算手段によって行われる演算は、それぞれ、対応する制御手段の内部制御手段によって規定されており、前記第1初期値記憶手段は、記憶されている内容が遊技機の電源が遮断された場合にも保持されるように構成されていることを特徴とする遊技機1。
遊技機1によれば、主制御手段によって、遊技に関する主な制御が該主制御手段の内部制御手段及びユーザ動作制御手段による制御に基づいて行われると共に、周辺制御手段によって、主制御手段からコマンドを受信した場合に、その受信コマンドに従って遊技に関する周辺制御が該周辺制御手段の内部制御手段及びユーザ動作制御手段による制御に基づいて行われる。なお、主制御手段のユーザ動作制御手段及び周辺制御手段のユーザ動作制御手段はいずれも、所定の記憶領域に任意に記憶されたユーザプログラムを実行させることによってユーザプログラム毎に特有の動作を制御するものである。
一方で、主制御手段の内部制御手段及び周辺制御手段の内部制御手段はいずれも、基本動作をソフト的又はハード的に制御するものであるが、この内部制御手段による制御内容の認知や改変は実質的に不可能とされている。
ここで、遊技機への電源の投入を契機として、第1初期値設定手段によって、対応する第1初期値記憶手段に記憶されている値が対応する管理情報記憶手段に第1番目の管理情報として書き込まれる。即ち、遊技機への電源投入を契機として、主制御手段の第1初期値設定手段によって、主制御手段の初期値記憶手段に記憶されている値が、主制御手段の管理情報記憶手段に第1番目の管理情報として記憶される。一方で、遊技機への電源投入を契機として、周辺制御手段の第1初期値設定手段によって、主制御手段の初期値記憶手段に記憶されている値が、周辺制御手段の管理情報記憶手段に第1番目の管理情報として記憶される。従って、主制御手段及び周辺制御手段のいずれも、それぞれの第1初期値記憶手段の値が管理情報記憶手段に第1番目の管理情報として記憶されることになる。
また、主制御手段及び周辺制御手段の演算手段によって、所定のタイミング毎に演算が行われ、第n番目(nは、1以上の整数)の管理情報は、演算によって第(n+1)番目の管理情報に更新される。即ち、主制御手段及び周辺制御手段の演算手段によって、所定のタイミング毎に管理情報が順次更新される。なお、この「所定のタイミング毎」には、特定の動作(例えば、書き込み動作や読み込み動作など)の実行タイミング毎や所定時間の経過毎などが含まれる。
管理情報記憶手段に記憶されている管理情報は、更新手段によって、演算手段による演算により得られた管理情報に更新される。即ち,主制御手段の管理情報記憶手段に記憶されている管理情報は、主制御手段の更新手段によって、主制御手段の演算手段による演算により得られた管理情報に更新される。一方で、周辺制御手段の管理情報記憶手段に記憶されている管理情報は、周辺制御手段の更新手段によって、周辺制御手段の演算手段による演算により得られた管理情報に更新される。その結果、各制御手段の管理情報記憶手段には、演算手段による演算が行われる毎に、その演算によって得られた管理情報に順次更新されることになる。
また、更新手段によって更新された管理情報は、対応する管理情報出力手段によって相手側の制御手段へ出力される。なお、「相手側の制御手段」とは、主制御手段の場合には周辺制御手段であり、周辺制御手段の場合には主制御手段である。即ち、主制御手段の管理情報に記憶されている管理情報は、主制御手段の管理情報出力手段によって、相手側の制御手段である周辺制御手段へ出力される。一方で、周辺制御手段の管理情報に記憶されている管理情報は、周辺制御手段の管理情報出力手段によって、主制御手段へ出力される。
その一方で、相手側の制御手段における管理情報出力手段や初期値出力手段によって第n番目の管理情報が出力された結果として、相手側の制御手段から第n番目の管理情報を受信した場合には、受信側の制御手段の判定手段によって、その受信側の制御手段の管理情報記憶手段に記憶されている第n番目の管理情報と、受信した第n番目の管理情報との照合が行われ、その照合に基づいて、主制御手段又は周辺制御手段に異常があるか否かについての判定が判定手段によって行われる。即ち、主制御手段が相手側の制御手段である周辺制御手段から第n番目の管理情報を受信した場合には、主制御手段の判定手段によって、主制御手段(受信側の制御手段)の管理情報記憶手段に記憶されている第n番目の管理情報と、周辺制御手段から受信した第n番目の管理情報との照合が行われ、その結果として、主制御手段又は周辺制御手段に異常があるか否かについての判定がなされる。一方で、周辺制御手段が主制御手段から第n番目の管理情報を受信した場合には、周辺制御手段の判定手段によって、周辺制御手段(受信側の制御手段)の管理情報記憶手段に記憶されている第n番目の管理情報と、主制御手段から受信した第n番目の管理情報との照合が行われ、その結果として、主制御手段又は周辺制御手段に異常があるか否かについての判定がなされる。従って、主制御手段又は周辺制御手段に、不正基板が取り付けられる等の不正行為によって不具合が生じた場合には、その不具合が異常として判定手段によって判定されることになる。
ここで、主制御手段及び周辺制御手段の演算手段によって行われる演算は、それぞれ、対応する制御手段の内部制御手段によって規定されている。即ち、主制御手段の演算手段によって行われる演算は、主制御手段の内部制御手段によって規定され、一方で、周辺制御手段の演算手段によって行われる演算は、周辺制御手段の内部制御手段によって規定される。
上記したように、主制御手段及び周辺制御手段のいずれにおいても、内部制御手段の制御内容は認知することも改変することも実質的に不可能であるように構成されている。従って、かかる内部制御手段によって実行される演算手段の演算内容もまた、当然、認知又は改変のいずれも困難である。
よって、かかる演算手段によって順次更新される管理情報を模倣して出力する不正基板の製作は困難となり、その結果、不正基板を用いた不正行為を確実に防止することができる。
一方で、演算手段による演算によって新たな管理情報が得られると、管理情報保持手段に、その新たに得られた管理情報が第1初期値記憶手段に記憶される。ここで、第1初期値記憶手段に記憶された内容は、遊技機の電源が遮断された場合にも保持される。よって、遊技機の電源遮断後、再度、遊技機の電源を投入した場合には、電源が遮断される前に最後に実行された演算手段による演算によって得られた管理情報が、上記した第1初期値設定手段によって、管理情報記憶手段に第1番目の管理情報として記憶される。即ち、電源遮断後に電源が再投入された場合には、電源が遮断される前に最後に実行された演算手段による演算によって得られた管理情報によって、主制御手段と周辺制御手段とが1:1に対応する組み合わせとして固定される。そのため、不正を行うためには、正規の組み合わせに応じた不正基板が必要となるが、上記したように、内部制御手段によって実行される演算手段による演算によって得られる値を順次模倣することは困難であるので、かかる不正基板の製作は困難であり、不正基板を用いた不正行為を防止することができる。
遊技機1において、前記主制御手段を内側に収納する第1収納部材と、前記周辺制御手段を内側に収納する第2収納部材と、遊技機の電源が遮断された場合に前記主制御手段における前記第1初期値記憶手段に記憶された内容を保持するための第1記憶保持用電源手段と、遊技機の電源が遮断された場合に前記周辺制御手段における前記第1初期値記憶手段に記憶された内容を保持するための第2記憶保持用電源手段とを備え、前記第1記憶保持用電源手段及び前記第2記憶保持用電源手段の少なくとも一方は、前記第1収納部材又は前記第2収納部材の外側に位置するように構成されていることを特徴とする遊技機2。
遊技機2によれば、遊技機の電源が遮断された場合には、第1記憶保持用電源手段によって主制御手段における第1初期値記憶手段に記憶保持用の電圧(バックアップ電圧)が供給され、一方で、第2記憶保持用電源手段によって周辺制御手段における第1初期値記憶手段に記憶保持用の電圧(バックアップ電圧)が供給される。その結果として、主制御手段における第1初期値記憶手段及び周辺制御手段における第1初期値記憶手段のそれぞれに記憶された内容が保持される。
ここで、第1記憶保持用電源手段及び前記第2記憶保持用電源手段の少なくとも一方は、主制御手段を内側に収納する第1収納部材、又は周辺制御手段を内側に収納する第2収納部材の外側に位置するように構成されている。
よって、営業時間外に正規の基板(主制御手段を含む基板、周辺制御手段を含む基板)が、その基板を収納した収納部材(第1収納部材又は第2収納部材)ごと不正基板に取り替えられることが仮にあるとしても、取り替えられた方の収納部材(第1収納部材又は第2収納部材)の外側に記憶保持用電源手段(第1記憶保持用電源手段又は第2記憶保持用電源手段)が配置されている場合には、収納部材(第1収納部材又は第2収納部材)の取り外しに伴い、記憶保持用電源手段から供給される記憶保持用の電圧(バックアップ電圧)が遮断されるので、管理情報保持手段によって第1初期値記憶手段に記憶されていた値が消去されることになる。そのため、設置島の電源を一旦入れて第1初期値記憶手段の初期化(RAMクリア)を行わない限り、判定手段によって異常が存在すると判定されることになる。
同様に、主制御基板又は周辺制御手段の内部制御手段やユーザプログラム制御手段の制御内容を記憶する記憶媒体(例えば、ROM)を、不正な制御内容を記憶する記憶媒体に取り替えられることが仮にあるとしても、取り替えられた方の記憶媒体を有する基板に対して記憶保持用の電圧を供給する記憶保持用電源手段が、該基板を収納する収納部材(第1収納部材又は第2収納部材)の外側に位置する場合には、記憶媒体の取り外しに伴い、記憶保持用電源手段から供給される記憶保持用の電圧が遮断されるので、管理情報保持手段によって第1初期値記憶手段に記憶されていた値が消去されることになる。そのため、設置島の電源を一旦入れて第1初期値記憶手段の初期化(RAMクリア)を行わない限り、判定手段によって異常が存在すると判定されることになる。。
よって、不正基板の使用や不正な制御内容を記憶する記憶媒体(例えば、ROM)の使用も困難となるため、不正行為をより確実に防止することができる。
なお、遊技機2において、第1記憶保持用電源手段及び第2記憶保持用電源手段は、それぞれ別体の電源手段として構成されていても、一体化された電源手段として構成されていてもよい。
遊技機1において、遊技機の電源が遮断された場合に前記第1初期値記憶手段に記憶された内容を保持するための記憶保持用電源手段を備え、その記憶保持用電源手段は、前記主制御手段における前記第1初期値記憶手段と、前記周辺制御手段における前記第1初期値記憶手段とに共通して記憶保持用の電圧を供給するように構成されていることを特徴とする遊技機3。
遊技機3によれば、遊技機の電源が遮断された場合には、記憶保持用電源手段によって、主制御手段における第1初期値記憶手段と周辺制御手段における第1初期値記憶手段とに共通して記憶保持用の電圧(バックアップ電圧)が供給され、これらの第1初期値記憶手段に記憶された内容が保持される。
よって、営業時間外に正規の基板(主制御手段を含む基板、周辺制御手段を含む基板)が不正基板に取り替えられることが仮にあるとしても、取り替える際に正規基板が取り外されることによって、管理情報保持手段によって第1初期値記憶手段に記憶されていた値が消去されてしまうので、設置島の電源を一旦入れて第1初期値記憶手段の初期化(RAMクリア)を行わない限り、判定手段によって異常が存在すると判定されることになる。
同様に、主制御基板又は周辺制御手段の内部制御手段やユーザプログラム制御手段の制御内容を記憶する記憶媒体(例えば、ROM)を、不正な制御内容を記憶する記憶媒体に取り替えられることが仮にあるとしても、取り替える際に記憶媒体が取り外されることによって、管理情報保持手段によって第1初期値記憶手段に記憶されていた値が消去されてしまうので、取り替えたのみでは判定手段によって不正が存在すると判定されることになる。
よって、不正基板の使用や不正な制御内容を記憶する記憶媒体(例えば、ROM)の使用も困難となるため、不正行為をより確実に防止することができる。
遊技機3において、前記主制御手段を内側に収納する第1収納部材と、前記周辺制御手段を内側に収納する第2収納部材とを備え、前記記憶保持用電源手段は、前記第1収納部材の外側かつ前記第2収納部材の外側に位置するように構成されていることを特徴とする遊技機4。
遊技機4によれば、記憶保持用電源手段が、主制御手段を内側に収納する第1収納部材の外側、かつ、周辺制御手段を内側に収納する第2収納部材の外側に位置するので、第1収納部材又は第2収納部材の取り外しによって、主制御手段又は周辺制御手段への記憶保持用電源手段から供給される記憶保持用の電圧(バックアップ電圧)が遮断される。よって、営業時間外に正規の基板(主制御手段を含む基板、周辺制御手段を含む基板)が、その基板を収納した収納部材(第1収納部材又は第2収納部材)ごと不正基板に取り替えられることが仮にあるとしても、収納部材(第1収納部材又は第2収納部材)の取り外しに伴い、記憶保持用電源手段から供給される記憶保持用の電圧(バックアップ電圧)が遮断され、管理情報保持手段によって第1初期値記憶手段に記憶されていた値が消去されることになる。同様に、主制御基板又は周辺制御手段の内部制御手段やユーザプログラム制御手段の制御内容を記憶する記憶媒体(例えば、ROM)を、不正な制御内容を記憶する記憶媒体に取り替えられることが仮にあるとしても、記憶媒体の取り外しに伴い、記憶保持用電源手段から供給される記憶保持用の電圧が遮断されるので、管理情報保持手段によって第1初期値記憶手段に記憶されていた値が消去される。その結果、不正基板の使用や不正な制御内容を記憶する記憶媒体(例えば、ROM)の使用が困難となるので、不正行為をより確実に防止することができる。
遊技機1から4のいずれかにおいて、前記主制御手段又は前記周辺制御手段の一方は、所定の値を記憶する第2初期値記憶手段と、遊技機の初期化を伴う態様で電源を投入した場合に、前記第2初期値記憶手段に記憶されている値を前記管理情報記憶手段に第1番目の管理情報として書き込む第2初期値設定手段と、遊技機の初期化を伴う態様で電源を投入した場合に、前記第2初期値記憶手段に記憶されている値を、相手側の制御手段へ出力する初期値出力手段とを備えており、前記初期値出力手段によって出力された値を受信する側の制御手段は、相手側の制御手段における前記初期値出力手段によって出力された値を受信した場合に、受信した値を前記管理情報記憶手段に第1番目の管理情報として書き込む第3初期値設定手段を備えていることを特徴とする遊技機5。
遊技機5によれば、遊技機の初期化を伴う態様で電源を投入した場合には、主制御手段又は周辺制御手段の一方の第2初期値記憶手段に記憶されている値が、第2初期値設定手段によって、第1番目の管理情報として管理情報記憶手段に書き込まれる。また、第2初期値記憶手段に記憶されている値が、初期値出力手段によって相手側の制御手段へ出力される。
一方で、その初期値出力手段によって出力された値を受信する側の制御手段が該値を受信した場合には、第3初期値設定手段によって、第1番目の管理情報として管理情報記憶手段に書き込まれる。なお、「初期値出力手段によって出力された第1番目の管理情報を受信する側の制御手段」とは、主制御手段の初期値出力手段によって値が出力された場合には周辺制御手段であり、周辺制御手段の初期値出力手段によって値が出力された場合には主制御手段である。
よって、遊技機の初期化を伴う態様で電源が投入されると、主制御手段における第1番目の管理情報と、周辺制御手段における第1番目の管理情報とが同一の値、即ち、第2初期値記憶手段の値に設定される。その結果、遊技機の初期化を伴う態様で電源が投入されたことを契機として、主制御手段と周辺制御手段とが1:1に対応する組み合わせとして固定される。そのため、不正を行うためには、正規の組み合わせに応じた不正基板が必要となるが、かかる不正基板の製作は困難であり、不正基板を用いた不正行為を防止することができる。
遊技機5において、前記第2初期値設定手段に記憶されている値は、各遊技機毎に異なる固有情報であることを特徴とする遊技機6。
遊技機6によれば、第2初期値記憶手段に記憶されている値は、各遊技機毎に異なる固有情報を記憶するものであるので、組み立てられた遊技機に最初に電源を投入した場合に両制御手段(主制御手段及び周辺制御手段)を1:1に対応付ける値が各遊技機毎に異なる固有情報に設定されることになる。よって、不正を行うためには、各遊技機毎に異なる第1番目の管理情報を使用できる不正基板が必要となる。しかし、かかる不正基板の製作は困難であり、不正基板を用いた不正行為を確実に防止することができる。
なお、この遊技機6における固有情報としては、固有情報記憶手段(例えば、ROMやEEPROM等が例示される)に、例えばバイナリーデータとして記憶されているものが例示される。具体的には、例えば、遊技機の製造メーカー毎、遊技機の機種毎、或いは、遊技機の構成部品(例えばMPUに代表される制御装置)毎に重複しないように設定される製造番号(ID番号)であって製造時期や製造ロットを特定するためのものなどが挙げられる。
遊技機1から6のいずれかにおいて、前記主制御手段又は前記周辺制御手段の判定手段が、前記主制御手段又は前記周辺制御手段に異常があると判定した場合に、その旨を外部へ報知する報知手段を備えていることを特徴とする遊技機7。
遊技機7によれば、主制御手段又は周辺制御手段の判定手段によって、主制御手段又は周辺制御手段に異常があると判定された場合には、報知手段によってその旨が外部へ報知される。よって、報知手段による報知が行われるか否かによって、異常(不正基板の使用などの不正行為に基づく主制御手段又は周辺制御手段の不具合など)が存在するか否かを明確に区別することができると共に、その報知によって異常を有する主制御手段又は周辺制御手段の存在を遊技場の店員に報せることができる。
遊技機1から7のいずれかにおいて、前記主制御手段の演算手段によって電源の投入後から第n回目に行われる演算と、前記周辺制御手段の演算手段によって電源の投入後から第n回目に行われる演算とが同一であるように構成されていることを特徴とする遊技機8。
遊技機8によれば、主制御手段の演算手段によって電源の投入後から第n回目に行われる演算と、周辺制御手段の演算手段によって電源の投入後から第n回目に行われる演算とが同一であるので、演算によって変化する管理情報の変遷パターンは、主制御手段及び周辺制御手段の両方において同様の変遷パターンとなる。よって、判定手段において両管理情報の照合によって主制御手段又は払出制御手段に異常が存在するか否かの判定は、この同様の変遷パターンを考慮すれば容易であるので、内部制御手段の開発及び設計が容易になる。
遊技機8において、前記主制御手段の演算手段によって行われる演算、及び、前記周辺制御手段の演算手段によって行われる演算は、いずれも、複数回において行われる演算のパターンを1つの周期として、該周期の繰り返しによって行われることを特徴とする遊技機9。
遊技機9によれば、主制御手段の演算手段によって行われる演算、及び、周辺制御手段の演算手段によって行われる演算は、いずれも、複数回において行われる演算のパターンを1つの周期として、該周期の繰り返しによって行われるので、1周期の演算パターンの模倣による不正基板の製作は困難となり、その結果、不正基板を用いた不正行為を確実に防止することができる。
遊技機8又は9において、前記主制御手段の演算手段によって電源の投入後から第1回目に行われる演算で使用される値と、前記周辺制御手段の演算手段によって電源の投入後から第1回目に行われる演算で使用される値とが同一であるように構成されていることを特徴とする遊技機10。
遊技機10によれば、主制御手段の演算手段によって電源の投入後から第1回目に行われる演算で使用される値と、周辺制御手段の演算手段によって電源の投入後から第1回目に行われる演算で使用される値とが同一であるので、結果として、主制御手段及び周辺制御手段のそれぞれにおいて演算手段による第n回目の演算の結果として得られる第(n+1)番目の管理情報は同一の値となる。よって、主制御手段及び周辺制御手段の判定手段はいずれも、比較すべき第n番目(第(n+1)番目)の管理情報が同一であるか否かによって、主制御手段又は周辺制御手段に異常があるか否かを容易に判定することができる。
遊技機1から10のいずれかにおいて、前記第1初期値設定手段によって行われる前記管理情報記憶手段への値の書き込みは、対応する制御手段の内部制御手段によって規定されていることを特徴とする遊技機11。
遊技機11によれば、第1初期値設定手段は、対応する制御手段の内部制御手段によって管理情報記憶手段に第1番目の管理情報としての値を書き込むように構成されている。上記したように、主制御手段及び周辺制御手段の内部制御手段の制御内容は、いずれも、認知することも改変することも実質的に不可能であるように構成されているので、その内部制御手段によって実行される第1初期値設定手段によって、どの値を第1番目の管理情報とするかについて、不正行為者による認知又は改変のいずれも困難である。よって、正確に第1番目の管理情報を模倣する不正基板の製作は困難となり、その結果、不正基板を用いた不正行為を確実に防止することができる。
遊技機1から11のいずれかにおいて、前記主制御手段又は前記周辺制御手段の少なくとも一方の制御手段における演算手段は、相手側の制御手段から第n番目の管理情報を受信した場合には、その受信した第n番目の管理情報に対して第n回目の演算を行い、それ以外の場合には、同じ制御手段の演算手段による演算結果として得られた第n番目の管理情報に対して第n回目の演算を行うことを特徴とする遊技機12。
遊技機12によれば、主制御手段又は周辺制御手段の少なくとも一方の制御手段は、相手側の制御手段(例えば、周辺制御手段であれば主制御手段)から第n番目の管理情報を受信した場合には、その受信した第n番目の管理情報に対し、演算手段によって第n回目の演算が行われる。一方で、それ以外の場合、即ち、相手側の制御手段から第n番目の管理情報が受信されなかった場合には、同じ制御手段(例えば、周辺制御手段であれば周辺制御手段)による演算結果として得られた第n番目の管理情報に対し、演算手段によって第n回目の演算が行われる。
1つの制御手段(例えば、周辺制御手段)の中で、演算手段による演算によって得られた管理情報を用いて、さらに演算手段による演算を行って更新した場合、管理情報がノイズなどの偶発的な要因によって一旦誤った値に乱されると、それ以降は本来あるべき正しい管理情報に戻らず、結果として、判定手段による相手側の制御手段における管理情報との照合によって異常と誤判定されてしまうことになる。
しかし、遊技機12によれば、相手側の制御手段から第n番目の管理情報を受信した場合には、その受信した管理情報を用いて演算手段による演算(第n回目の演算)が行われるので、受信した管理情報が正しいものである限り、上記のような偶発的な要因によって生じた誤った管理情報が本来あるべき正しい値に修正される。よって、例えば、判定手段による相手側の制御手段における管理情報との照合によって異常と判定された場合であっても、それが不正行為などの人為的な要因ではなく偶発的な要因によるものであれば、所定期間内の間はその判定を猶予することにより、その間に相手側の制御手段から受信した正しい管理情報によって修正され、正規な制御手段を不正なものとして誤判定することを防止できる。
遊技機1から12のいずれかにおいて、前記主制御手段における演算手段は、前記周辺制御手段から第n番目の管理情報を受信した場合には、その受信した第n番目の管理情報に対して第n回目の演算を行い、それ以外の場合には、該主制御手段の演算手段による演算結果として得られた第n番目の管理情報に対して第n回目の演算を行うことを特徴とする遊技機13。
遊技機13によれば、主制御手段は、周辺制御手段から第n番目の管理情報を受信した場合には、その受信した第n番目の管理情報に対し、演算手段によって第n回目の演算が行われる。一方で、それ以外の場合、即ち、周辺制御手段から第n番目の管理情報が受信されなかった場合には、主制御手段による演算結果として得られた第n番目の管理情報に対し、演算手段によって第n回目の演算が行われる。
よって、主制御手段の演算手段による演算によって得られる管理情報は、周辺制御手段の演算手段による演算の結果として得られた管理情報に依存するので、主制御手段の取り替えによる不正行為が、周辺制御手段に対する不正行為に比べてより敏感に検出されることになる。一般的に、大当たりの発生に関わる制御を行う主制御手段が不正行為者によって取り替えられることが多いので、主制御手段の取り替えがより敏感に検出されることによって、不正行為を有効に防止することができる。
また、1つの主制御手段の中で、演算手段による演算によって得られた管理情報を用いて、さらに演算手段による演算を行って更新した場合、管理情報がノイズなどの偶発的な要因によって一旦誤った値に乱されると、それ以降は本来あるべき正しい管理情報に戻らず、結果として、判定手段による周辺制御手段における管理情報との照合によって異常があると誤判定されてしまうことになる。
しかし、遊技機13によれば、周辺制御手段から第n番目の管理情報を受信した場合には、その受信した管理情報を用いて演算手段による演算(第n回目の演算)が行われるので、受信した管理情報が正しいものである限り、上記のような偶発的な要因によって生じた誤った管理情報が本来あるべき正しい値に修正される。よって、主制御手段の判定手段によって異常の存在が判定された場合であっても、その異常が不正行為などの人為的な要因ではなく偶発的な要因によるものであれば、所定期間内の間はその判定を猶予することにより、その間に周辺制御手段から受信した正しい管理情報によって修正され、正規な主制御手段を不正なものとして誤判定することを防止できる。
遊技機1から13のいずれかにおいて、所定の期間を計時する計時手段と、その計時手段による計時が前記所定の期間内であれば、前記主制御手段又は前記周辺制御手段の判定手段によって異常の判定がなされた場合であっても、その判定を猶予する判定猶予手段とを備えていることを特徴とする遊技機14。
遊技機14によれば、計時手段による計時が所定の期間内であれば、判定猶予手段によって、主制御手段又は周辺制御手段の判定手段によって異常の判定がなされた場合であっても、その判定が猶予される。
よって、ノイズなどの偶発的な要因によって主制御手段又は周辺制御手段に異常があると判定されることがあったとしても、その原因が猶予期間内に修正されるのであれば、異常の存在を示した先の判定が一時的なものであるとして無視されることになる。その結果、偶発的な要因による誤判定の発生を防止できる。
遊技機1から14のいずれかにおいて、前記主制御手段は、遊技における入賞を検出する入賞検出手段と、その入賞検出手段により入賞が検出された場合に、その検出された入賞に応じた数の遊技媒体の払い出しを指示するコマンドを前記周辺制御手段へ出力する払出指示手段とを備えるものであり、前記周辺制御手段は、前記払出指示手段による遊技媒体の払い出しを指示するコマンドを受信した場合に、その指示に応じた数の遊技媒体を払い出す払出実行手段を備えていることを特徴とする遊技機15。
遊技機15によれば、主制御手段の入賞検出手段により入賞が検出されると、検出された入賞に応じた数の遊技媒体の払い出しを指示するコマンドが、払出指示手段によって周辺制御手段へ出力される。一方で、その遊技媒体の払出を支持するコマンドを周辺制御手段が受信した場合に、その周辺制御手段における払出実行手段によって、該コマンドで指示された数の遊技媒体が払い出される。
このように、周辺制御手段は遊技媒体の払出制御を行うものであるが、この払出制御を行う周辺制御手段と主制御手段との間で、管理情報を用いることによって、異常が存在するか否かの判定が行われるので、遊技媒体の払い出しに関して不正行為を判定することができ、遊技場の損失を確実に抑制できる。
遊技機15において、前記主制御手段と前記周辺制御手段との間で前記管理情報を送受信する通信路は、前記主制御手段の払出指示手段によって前記遊技媒体の払い出しを指示するコマンドを出力する通信路と同じ通信路であることを特徴とする遊技機16。
遊技機16によれば、主制御手段と周辺制御手段との間で管理情報を送受信する通信路が、主制御手段の払出指示手段によって遊技媒体の払い出しを指示するコマンドを出力する通信路と同じ通信路であるので、遊技媒体の払い出しに関する不正行為、即ち、遊技媒体の払い出しを指示するコマンドを不正に生成することによって不正に利益を得る不正行為を、確実に異常として判定することができ、その結果、かかる不正行為を防止することができる。
遊技機1から16のいずれかにおいて、前記主制御手段と前記周辺制御手段との間での前記管理情報の入出力は、各制御手段のユーザプログラム制御手段による制御によって行われるように構成されていることを特徴とする遊技機17。
遊技機17によれば、主制御手段と周辺制御手段との間での管理情報の入出力が、各制御手段のユーザプログラム制御手段による制御によって行われるように構成されているので、設計及び開発の際に、アセンブラ等の既存の開発ツールの使用が可能であり、設計及び開発効率が良い。
遊技機1から17のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機18。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機1から17のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機19。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機1から17のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機20。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。