上記構成のように、駒組合せ体を下駒及び上駒という2つの要素から構成されるようにすれば、駒組合せ体の上面は、上駒の上面と、下駒の左右の立ち上がり部の上面という少なくとも2つの部品の組合せから構成することができる。すなわち、駒組合せ体の上面において、下駒と上駒との間の境界部に現れる溝や段差を装飾的要素として利用することができる。さらに、上駒及び下駒のそれら自身が駒組合せ体の上面を構成しているので、摩耗によって色調が変化することも起こらない。したがって、装飾的美観や高級感を長期間にわたって安定的に提供することができる。
下駒及び上駒の材料として、ステンレスやチタン等の金属材料も使用可能であるが、靱性や耐摩耗性が高くて着色の自由度の高いセラミックスからなることが好ましい。着色された下駒及び上駒として、例えば、酸化鉄や酸化コバルト等を着色剤として添加して焼結させたジルコニアやサーメット等のセラミックスを用いることができる。
第一係止部及び第二係止部は、駒の両端部等の様々な部位に設けることもできるが、駒の中央部に連接して設けられていることが好ましい。駒の中央部に連接して設けられた第一係止部及び第二係止部は、下駒及び上駒の係止部として機能するとともに、下駒及び上駒の基部の撓み変形を防止する支柱として機能することができる。
ヒンジ部材は、弾性変形可能な材料からなり、上駒と下駒とを一体化した駒組合せ体の隙間に対して、わずかに湾曲していることが好ましい。わずかに湾曲したヒンジ部材は、上駒と下駒とを一体化した駒組合せ体の隙間に装着されたときに、上駒と下駒との嵌合ががたつくことをなくす機能をなす。
上記構成のように、駒組合せ体を下駒及び上駒という二つの要素から構成されるようにして、係止溝と該係止溝に嵌め合わされる張出し部とからなる駒係止構造で下駒に対する上駒の滑動を規制することによって、下駒の第一係止部及び上駒の第二係止部を形成しなくてもよくなり、駒形状の簡略化及び軽量化を実現することができる。
また、駒組合せ体に対するヒンジ部材の動きを規制するために、前記下駒の上面および前記上駒の下面の少なくとも一方に凸状係止部を設けるか、上駒の前記突出部の下端の内側面に切欠部を設けるかという少なくとも一方のヒンジ部材係止構造を選択すればよいことから、ヒンジ部材の形状の自由度が高くなり、特に駒の小型化に有効である。
さらに、前記係止部を、前記上駒の板状体部分及び前記下駒の板状体部分に対して別体で装着される係止体によって構成すれば、バンドの表面及び裏面の両方を上面として使用することができる。そうすることで、同一のバンドでも違った色調のバンドとすることができる。上駒及び下駒と異なる色調の材質で係止体を構成し、係止体の上面が上駒及び下駒の上面に現れるように組み合わせることによって、複雑なデザインの駒とすることができる。
以下に、本発明の第一実施形態に係る時計用バンドの連結中間体4及び時計用バンドの駒2について、図1乃至6を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る時計用バンドの下駒10を示す図である。図2は、本発明の第一実施形態に係る時計用バンドの上駒30を示す図である。図3は、図1の下駒10と図2の上駒30とを組合わせた駒組合せ体1を示す図である。図4は、本発明の第一実施形態に係る時計用バンドのヒンジ部材50を示す図である。図5は、図3の駒組合せ体1と図4のヒンジ部材50とを組合わせた時計用バンドの駒2を示す図である。図6は、図5の時計用バンドの駒2と図4のヒンジ部材50とを組合わせた時計用バンドの連結中間体4を示す図である。
図1において、時計用バンドの駒2を構成する下駒10は、横長の平板形状をした基部12と、基部12の左端部及び右端部にそれぞれ設けられた立ち上がり部14と、基部12の上面の中央後端側に設けられて凸状係止部の一部を構成する第一係止部20と、を備えている。左右の立ち上がり部14の内側には、基部12の上面に沿って延在して上駒30の張出部36をガイドする係止溝16がそれぞれ設けられている。左右の立ち上がり部14は、それぞれ上面18を有している。また、第一係止部20は、後端側に第一当接面22を有している。
図2において、時計用バンドの駒2を構成する上駒30は、横長の平板形状をした基部32と、基部32の左端部及び右端部にそれぞれ下側に突出した突出部34と、基部32の下面の中央部に設けられ凸状係止部の一部を構成する第二係止部40と、を備えている。左右の突出部34の外側には、基部32の下面に沿って延在して外方に突出する張出部36がそれぞれ設けられている。左右の突出部34の下面の内側の前端側には、上下方向に部分的に切り欠かれた矩形状の切欠部44がそれぞれ設けられている。基部32は、上面38を有している。また、第二係止部40は、後端側に第二当接面42を有している。
図3は、図1の下駒10と図2の上駒30とが組合わされた駒組合せ体1を示している。すなわち、下駒10の係止溝16に対して、上駒30の張出部36を前端側から後端側向に向けて滑動させることによって、上駒30の張出部36が下駒10の係止溝16に嵌合しており、上駒30の張出部36と下駒10の係止溝16とによって駒係止構造が形成されている。なお、上駒30に係止溝16を設けるとともに、下駒10に当該係止溝16に嵌合する張出部36を設けた駒係止構造とすることもできる。第二係止部40と第一係止部20とが、駒組合せ体1の中央部において一列に整列配置されて凸状係止部を形成している。上駒30の第二係止部40の第二当接面42が下駒10の第一係止部20の第一当接面22に連接することによって、上駒30の下駒10に対する滑動を規制している。したがって、下駒10の第一係止部20の第一当接面22と上駒30の第二係止部40の第二当接面42とによって、第一係止部を形成する。そして、下駒10と上駒30とが一体的に組合わされたときには、駒組合せ体1の前端面及び後端面が面一になっている。さらに、下駒10と上駒30とが組合わされた駒組合せ体1の上面は、下駒10の上面18と上駒30の上面38とによって構成されている。また、駒組合せ体1の中央部に存する凸状係止部としての第二係止部40及び第一係止部20は、下駒10の基部12及び上駒30の基部32の間を支える支柱としても機能する。
図1の下駒10及び図2の上駒30は、それぞれ、ステンレスやチタン等の金属材料やジルコニアや金属とセラミックスの複合体であるサーメット等のセラミックスといった様々な材料で構成することができる。表1に示すように、ジルコニアは、イットリアやセリアやマグネシア等の安定化剤を所定量含んだ焼結体であり、酸化鉄や酸化コバルト等の着色剤を含んでいる。サーメットは、炭化チタンや窒化チタン等のセラミックスとニッケルやコバルト等の金属との複合材である。下駒10及び上駒30は、以下のような様々なバリエーションで構成されて、異なった外観を観者に提供することができる。なお、本願におけるセラミックスとは、ジルコニア、アルミナ等のセラミック材料からなるもの、金属の炭化物や窒化物等の複合材料からなるサーメットの両者を含むものである。
例えば、表2の組合せ例1のように、下駒10を銀色の炭化チタン基サーメットにするとともに、上駒30をアルミナを添加して白色のジルコニア焼結体にして、下駒10及び上駒30を異なった材料から構成する。その結果、時計用バンドの駒2の上面は、左右の端部18が銀色であり、真ん中部分38が白色であるという装飾的美観とすることができる。
あるいは、表2の組合せ例2のように、下駒10を金色の窒化チタン基サーメットにするとともに、上駒30をアルミナを添加して白色のジルコニア焼結体にして、下駒10及び上駒30を異なった材料から構成する。その結果、時計用バンドの駒2の上面は、左右の端部18が金色であり、真ん中部分38が白色であるという装飾的美観とすることができる。
あるいは、表2の組合せ例3のように、上駒30を酸化鉄及び酸化コバルトを添加して黒色に着色したジルコニア焼結体にするとともに下駒10を銀色の炭化チタン基サーメットにして、下駒10及び上駒30を異なった材料から構成する。その結果、時計用バンドの駒2の上面は、左右の端部18が銀色であり、真ん中部分38が黒色であるという装飾的美観とすることができる。
あるいは、表2の組合せ例4のように、上駒30を酸化鉄及び酸化コバルトを添加して黒色に着色したジルコニア焼結体にするとともに下駒10を金色の窒化チタン基サーメットにして、下駒10及び上駒30を異なった材料から構成する。その結果、時計用バンドの駒2の上面は、左右の端部18が金色であり、真ん中部分38が黒色であるという装飾的美観とすることができる。
あるいは、表2の組合せ例5のように、上駒30を酸化コバルト及びアルミナを添加して青色乃至淡青色に着色したジルコニア焼結体にするとともに下駒10を銀色の炭化チタン基サーメットにして、下駒10及び上駒30を異なった材料から構成する。その結果、時計用バンドの駒2の上面は、左右の端部18が銀色であり、真ん中部分38が青色乃至淡青色であるという装飾的美観とすることができる。
あるいは、下駒10及び上駒30を表2に示した組合せ例とは、逆の組合せとすることができる。
さらに、下駒10を酸化コバルトに加えてアルミナの添加量を増やして淡い青色に着色したジルコニア焼結体にするとともに、上駒30を酸化コバルトを添加して濃い青色に着色したジルコニア焼結体にして、下駒10及び上駒30を同じジルコニア材料から構成する。その結果、時計用バンドの駒2の上面は、左右の端部18が淡い青色であり、真ん中部分38が濃い青色であるという装飾的美観とすることができる。
さらに、下駒10の左半分を酸化鉄及び酸化コバルトを多量に添加して濃い黒色に着色するとともに下駒10の右半分を酸化鉄及び酸化コバルトを少量に添加し多量のアルミナを添加して薄い黒色に着色したジルコニア焼結体にするとともに上駒30を酸化鉄及び酸化コバルトを中程度添加して黒色に着色したジルコニア焼結体にして、下駒10及び上駒30を同じジルコニア焼結体から構成する。その結果、時計用バンドの駒2の上面は、左端部18が濃い黒色であり、真ん中部分38が黒色であり、右端部18が淡い黒色であるという、黒色が濃淡を有して段階的に変化しているこれまでにない装飾的美観とすることができる。なお、下駒10の左右で黒色の濃淡ができているので、下駒10の基部12の中央部分の境界は黒色の曖昧なものになっているが、観者が視認するのは、左右の端部18のみであって、基部12の中央部分の境界等のその他の部分は上駒30によって隠されて視認不可であるので、観者に不快な印象を与えることは決してない。
さらに、下駒10を銀色のステンレスにするとともに上駒30を白色のジルコニア焼結体にして、下駒10及び上駒30を異なった材料から構成する。その結果、時計用バンドの駒2の上面は、左右の端部18が銀色であり、真ん中部分38が白色であるというこれまでにない装飾的美観とすることができる。
なお、上記のいずれの場合も、下駒10及び上駒30の各境界部分で、色がなだらかに変化しているのではなく、色が急峻に変化しているので、くっきりとした色調の好印象を観者に与える。さらに、下駒10及び上駒30の一部が露出してそれら自身の色を提示しているので、摩耗によって色調が変化することも起こらない。したがって、装飾的美観や高級感を長期間にわたって安定的に提供することができる。
図4において、時計用バンドの駒2を構成するヒンジ部材50は、大略M字状をした基体部52と、基体部52の上端に設けられた上端部54と、基体部52の下端に設けられた下端部58と、を備えている。上端部54は2つの切欠部分によって3つの連通部分に分割されていて、矩形状をした連通部分のそれぞれには、前端ピン孔56がそれぞれ形成されている。下端部58は1つの切欠部分によって2つの連通部分に分割されていて、矩形状をした連通部分のそれぞれには、後端ピン孔60がそれぞれ形成されている。そして、あるヒンジ部材50の下端部58の連通部分が、他のヒンジ部材50の上端部54の2つの切欠部分に嵌合するように構成されている。上端部54の左右の連通部分の下端には、第四当接面57が形成されていて、上駒30の切欠部44の第三当接面47と係合する。したがって、上端部54の第四当接面57と切欠部44の第三当接面47とによって、第二係止部40を形成する。下方が開口した中央切欠部62が、基体部52の中央部に設けられている。この中央切欠部62は、上下方向に並列配置された第一係止部20及び第二係止部40からなる凸状係止部を受け入れるように構成されている。
ヒンジ部材50は、弾性変形可能な材料、例えばステンレスやチタン等の金属材料や樹脂材料から構成されている。図示したヒンジ部材50は、平面的な形状をしているが、上端部54から下端部58に向けて山なりにわずかに湾曲していることが好ましい。わずかに湾曲したヒンジ部材50は、上駒30と下駒10とを一体化した駒組合せ体1の隙間70に装着されたときに、上駒30と下駒10との嵌合ががたつくことをなくす機能をなす。
図5の時計用バンドの駒2では、図3の駒組合せ体1と図4のヒンジ部材50とが組合わされている。すなわち、駒組合せ体1の隙間70に対して、ヒンジ部材50を前端側から後端側に向けて滑動させることによって、ヒンジ部材50の上端部54の左右の連通部分が駒組合せ体1の切欠部44と嵌合して、ヒンジ部材50が駒組合せ体1の隙間70に着座する。このとき、ヒンジ部材50の左右の連通部分の第四当接面57が駒組合せ体1の切欠部44の第三当接面47に当接することによって、ヒンジ部材50の駒組合せ体1に対する滑動を規制している。そして、駒組合せ体1にヒンジ部材50が装着された時計用バンドの駒2においては、時計用バンドの駒2の前端面が境界面の目立たない面になっている。また、時計用バンドの駒2の下端では、ヒンジ部材50の下端部58が露出している。
図6の連結中間体4では、図5の時計用バンドの駒2と図4の別のヒンジ部材50とが組合わされている。すなわち、時計用バンドの駒2に組込まれているヒンジ部材50の下端部58の2つの連通部分に対して、別のヒンジ部材50の上端部54の2つの切欠部分が嵌合している。嵌合した2つのヒンジ部材50において、時計用バンドの駒2に組込まれているヒンジ部材50の下端部58と別のヒンジ部材50の上端部54とが一列に配置され、時計用バンドの駒2に組込まれているヒンジ部材50の後端ピン孔60と別のヒンジ部材50の前端ピン孔56とが一つの連通したピン孔56,60を形成している。その結果、ヒンジ部材50は駒組合せ体1に対する滑動が完全に規制されることとなり、駒組合せ体1は、ヒンジ部材50の第4当接面57と別のヒンジ部材50の上端部54との範囲内で滑動が規制される。
連結ピン9を介して時計用バンドの駒2と新たなヒンジ部材50とが連結された連結中間体4は、別の駒組合せ体1の隙間70に装着される。すなわち、新たな駒組合せ体1の隙間70に対して、連結中間体4の新たなヒンジ部材50を前端側から後端側に向けて滑動させることによって、新たなヒンジ部材50の上端部54の左右の連通部分が新たな駒組合せ体1の切欠部44と嵌合して、新たなヒンジ部材50が新たな駒組合せ体1の隙間70に着座する。このとき、新たなヒンジ部材50の左右の連通部分の第四当接面57が新たな駒組合せ体1の切欠部44の第三当接面47に当接することによって、新たなヒンジ部材50の新たな駒組合せ体1に対する滑動を規制している。そして、新たな駒組合せ体1に新たなヒンジ部材50が装着された駒連結体の下端では、新たなヒンジ部材50の下端部58が露出している。このような組み立て・連結操作を繰り返すことによって、複数の時計用バンドの駒2が連結した時計用バンドを形成することができる。
次に、本発明の第二実施形態に係る時計用バンドの連結中間体4及び時計用バンドの駒2について、図7乃至9を参照しながら詳細に説明するが、上述した第一実施形態との相違点を中心に説明する。すなわち、本発明の第二実施形態は、凸状係止部75が下駒10に設けられたタイプのものである。
図7は、本発明の第二実施形態に係る時計用バンドの下駒10を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。図8は、本発明の第二実施形態に係る時計用バンドの上駒30を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。図9は、図7の下駒10と図8の上駒30とを組合わせた駒組合せ体1を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。
図7において、時計用バンドの駒2を構成する下駒10は、横長の板状体をした基部12と、基部12の左端部及び右端部にそれぞれ設けられた立ち上がり部14と、基部12の上面の中央後端側に設けられた凸状係止部75と、を備えている。左右の立ち上がり部14の内側には、基部12の上面に沿って延在して上駒30の張出部36をガイドする係止溝16がそれぞれ設けられている。左右の立ち上がり部14は、それぞれ上面18を有している。また、凸状係止部75は、前端側に第六当接面76を有している。
図8において、時計用バンドの駒2を構成する上駒30は、横長の板状体をした基部32と、基部32の左端部及び右端部にそれぞれ下側に突出した突出部34と、を備えている。左右の突出部34の外側には、突出部34の外側側面に沿って延在する張出部36が設けられている。左右の突出部34の下面の内側の前端側には、前端側から後端側の方向(滑動方向)に部分的に切り欠かれた矩形状の切欠部44がそれぞれ設けられている。基部32は、上面38を有している。
図9は、図7の下駒10と図8の上駒30とが組合わされた駒組合せ体1を示している。すなわち、下駒10の係止溝16に対して、上駒30の張出部36を前端側から後端側向に向けて滑動させることによって、上駒30が下駒10と嵌合する。上駒30の張出部36が下駒10の係止溝16に嵌合することによって、上駒30の下駒10に対する滑動を規制している。また、駒組合せ体1の中央部に存する凸状係止部75は、下駒10の基部12及び上駒30の基部32の間を支える支柱としても機能する。そして、下駒10と上駒30とが一体的に組合わされたときには、駒組合せ体1の前端面及び後端面が面一になっている。さらに、下駒10と上駒30とが組合わされた駒組合せ体1の上面は、下駒10の上面18と上駒30の上面38とによって構成されている。
当該第二実施形態のように、下駒10及び上駒30に係止溝16及び張出部36をそれぞれ設けて、係止溝16に張出部36を嵌合させることによって上駒30の下駒10に対する滑動を規制する駒係止構造では、下駒10に設けられた凸状係止部75によって、ヒンジ部材50の滑動を規制することができる。そして、凸状係止部75の寸法を大きくすることができるために駒の機械的強度が大きくなり、特にセラミックからなる駒を製造するときに、駒を焼成するときの変形が小さくなるという利点もある。
次に、本発明の第三実施形態に係る時計用バンドの連結中間体4及び時計用バンドの駒2について、図10乃至12を参照しながら詳細に説明するが、上述した第一実施形態との相違点を中心に説明する。すなわち、本発明の第三実施形態は、凸状係止部75が上駒30に設けられたタイプのものである。
図10は、本発明の第三実施形態に係る時計用バンドの下駒10を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。図11は、本発明の第三実施形態に係る時計用バンドの上駒30を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。図12は、図10の下駒10と図11の上駒30とを組合わせた駒組合せ体1を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。
図10において、時計用バンドの駒2を構成する下駒10は、横長の板状体をした基部12と、基部12の左端部及び右端部にそれぞれ設けられた立ち上がり部14と、を備えている。左右の立ち上がり部14の内側には、基部12の上面に沿って延在して上駒30の張出部36をガイドする係止溝16がそれぞれ設けられている。左右の立ち上がり部14は、それぞれ上面18を有している。
図11において、時計用バンドの駒2を構成する上駒30は、横長の板状体をした基部32と、基部32の左端部及び右端部にそれぞれ下側に突出した突出部34と、基部32の下面の中央後端側に設けられた凸状係止部75と、を備えている。左右の突出部34の外側には、突出部34の外側側面に沿って延在する張出部36が設けられている。左右の突出部34の下面の内側の前端側には、前端側から後端側の方向(滑動方向)に部分的に切り欠かれた矩形状の切欠部44がそれぞれ設けられている。基部32は、上面38を有している。また、凸状係止部75は、前端側に第六当接面76を有している。
図12は、図10の下駒10と図11の上駒30とが組合わされた駒組合せ体1を示している。すなわち、下駒10の係止溝16に対して、上駒30の張出部36を前端側から後端側向に向けて滑動させることによって、上駒30が下駒10と嵌合する。上駒30の張出部36が下駒10の係止溝16に嵌合することによって、上駒30の下駒10に対する滑動を規制している。また、駒組合せ体1の中央部に存する凸状係止部75は、下駒10の基部12及び上駒30の基部32の間を支える支柱としても機能する。そして、下駒10と上駒30とが一体的に組合わされたときには、駒組合せ体1の前端面及び後端面が面一になっている。さらに、下駒10と上駒30とが組合わされた駒組合せ体1の上面は、下駒10の上面18と上駒30の上面38とによって構成されている。
当該第三実施形態のように、下駒10及び上駒30に係止溝16及び張出部36をそれぞれ設けて、係止溝16に張出部36を嵌合させることによって上駒30の下駒10に対する滑動を規制する駒係止構造では、上駒30に設けられた凸状係止部75によって、ヒンジ部材50の滑動を規制することができる。そして、凸状係止部75の寸法を大きくすることができるために駒の機械的強度が大きくなり、特にセラミックからなる駒を製造するときに、駒を焼成するときの変形が小さくなるという利点もある。
次に、本発明の第四実施形態に係る時計用バンドの連結中間体4及び時計用バンドの駒2について、図13乃至15及び図26乃至28を参照しながら詳細に説明するが、上述した第二実施形態との相違点を中心に説明する。すなわち、本発明の第四実施形態は、上駒30においてヒンジ部材50を係止するための切欠部44を有しないタイプのものである。
図13は、本発明の第四実施形態に係る時計用バンドの下駒10を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。図14は、本発明の第四実施形態に係る時計用バンドの上駒30を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。図15は、図13の下駒10と図14の上駒30とを組合わせた駒組合せ体1を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。図26は、本発明の第四実施形態に係る時計用バンドに使用されるヒンジ部材50を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は側面図である。図27は、図15の駒組合せ体1と図26のヒンジ部材50とを組合わせた時計用バンドの駒2を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は側面図である。図28は、図27の時計用バンドの駒2と図26のヒンジ部材50とを組合わせた連結中間体4(時計用バンドの一部分を構成)を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は側面図である。
図13において、時計用バンドの駒2を構成する下駒10は、横長の板状体をした基部12と、基部12の左端部及び右端部にそれぞれ設けられた立ち上がり部14と、基部12の上面の中央後端側に設けられた凸状係止部75と、を備えている。左右の立ち上がり部14の内側には、基部12の上面に沿って延在して上駒30の張出部36をガイドする係止溝16がそれぞれ設けられている。左右の立ち上がり部14は、それぞれ上面18を有している。また、凸状係止部75は、前端側に第六当接面76を有している。
図14において、時計用バンドの駒2を構成する上駒30は、横長の板状体をした基部32と、基部32の左端部及び右端部にそれぞれ下側に突出した突出部34と、を備えている。左右の突出部34の外側には、突出部34の外側側面に沿って延在する張出部36が設けられている。基部32は、上面38を有している。
図15は、図13の下駒10と図14の上駒30とが組合わされた駒組合せ体1を示している。すなわち、下駒10の係止溝16に対して、上駒30の張出部36を前端側から後端側向に向けて滑動させることによって、上駒30が下駒10と嵌合する。上駒30の張出部36が下駒10の係止溝16に嵌合することによって、上駒30の下駒10に対する滑動を規制している。また、駒組合せ体1の中央部に存する凸状係止部75は、下駒10の基部12及び上駒30の基部32の間を支える支柱としても機能する。そして、この例では、下駒10と上駒30とが一体的に組合わされたときには、駒組合せ体1の前端面及び後端面が面一になっている。さらに、下駒10と上駒30とが組合わされた駒組合せ体1の上面は、下駒10の上面18と上駒30の上面38とによって構成されている。
図26において、時計用バンドの駒2を構成するヒンジ部材50は、大略M字状をした基体部52と、基体部52の上端に設けられた上端部54と、基体部52の下端に設けられた下端部58と、を備えている。上端部54は2つの切欠部分によって3つの連通部分に分割されていて、矩形状をした連通部分のそれぞれには、前端ピン孔56がそれぞれ形成されている。下端部58は1つの切欠部分によって2つの連通部分に分割されていて、矩形状をした連通部分のそれぞれには、後端ピン孔60がそれぞれ形成されている。そして、あるヒンジ部材50の下端部58の連通部分が、他のヒンジ部材50の上端部54の2つの切欠部分に嵌合するように構成されている。下方が開口した中央切欠部62が、基体部52の中央部に設けられている。この中央切欠部62が凸状係止部75を受け入れて、中央切欠部62の第五当接面66と凸状係止部75の第六当接面76とが当接するように構成されている。したがって、中央切欠部62に凸状係止部75が嵌合することによって、ヒンジ部材係止構造を形成している。
図27の時計用バンドの駒2では、図15の駒組合せ体1と図26のヒンジ部材50とが組合わされている。すなわち、駒組合せ体1の隙間70に対して、ヒンジ部材50を前端側から後端側に向けて滑動させることによって、ヒンジ部材50の中央切欠部62が駒組合せ体1の凸状係止部75と嵌合して、ヒンジ部材50が駒組合せ体1の隙間70に着座する。このとき、ヒンジ部材50の中央切欠部62の第五当接面66が駒組合せ体1の凸状係止部75の第六当接面76に当接することによって、ヒンジ部材50の駒組合せ体1に対する滑動を規制している。そして、駒組合せ体1にヒンジ部材50が装着された時計用バンドの駒2においては、時計用バンドの駒2の前端面が境界面の目立たない面になっている。また、時計用バンドの駒2の下端では、ヒンジ部材50の下端部58が露出している。
図28の連結中間体4では、図27の時計用バンドの駒2と図26の別のヒンジ部材50とが組合わされている。すなわち、時計用バンドの駒2に組込まれているヒンジ部材50の下端部58の2つの連通部分に対して、別のヒンジ部材50の上端部54の2つの切欠部分が嵌合している。嵌合した2つのヒンジ部材50において、時計用バンドの駒2に組込まれているヒンジ部材50の下端部58と別のヒンジ部材50の上端部54とが一列に配置され、時計用バンドの駒2に組込まれているヒンジ部材50の後端ピン孔60と別のヒンジ部材50の前端ピン孔56とが一つの連通したピン孔56,60を形成している。その結果、ヒンジ部材50は駒組合せ体1に対する滑動が完全に規制されることとなる。
連結ピン9を介して時計用バンドの駒2と新たなヒンジ部材50とが連結された連結中間体4は、別の駒組合せ体1の隙間70に装着される。すなわち、新たな駒組合せ体1の隙間70に対して、連結中間体4の新たなヒンジ部材50を前端側から後端側に向けて滑動させることによって、新たなヒンジ部材50の中央切欠部62が新たな駒組合せ体1の凸状係止部75と嵌合して、新たなヒンジ部材50が新たな駒組合せ体1の隙間70に着座する。このとき、新たなヒンジ部材50の中央切欠部62の第五当接面66が新たな駒組合せ体1の凸状係止部75の第六当接面76に当接することによって、新たなヒンジ部材50の新たな駒組合せ体1に対する滑動を規制している。そして、新たな駒組合せ体1に新たなヒンジ部材50が装着された駒連結体の下端では、新たなヒンジ部材50の下端部58が露出している。このような組み立て・連結操作を繰り返すことによって、複数の時計用バンドの駒2が連結した時計用バンドを形成することができる。
当該第四実施形態のように、下駒10及び上駒30に係止溝16及び張出部36をそれぞれ設けて、係止溝16に張出部36を嵌合させることによって上駒30の下駒10に対する滑動を規制する駒係止構造では、下駒10に設けられた凸状係止部75によって、ヒンジ部材50の滑動を規制することができる。なお、当該第四実施形態では凸状係止部75が下駒10に設けられているが、凸状係止部75は、下駒10及び/又は上駒30に設けることができる。凸状係止部75を用いたこのようなヒンジ部材係止構造を用いると、上駒30の前端側に切欠部44を設ける必要がなくなる。したがって、上駒30は簡単な形状となり、特にセラミックからなる駒を成形するときに切欠部44近傍の変形やクラックの発生を防止することができる。
次に、本発明の第五実施形態に係る時計用バンドの連結中間体4及び時計用バンドの駒2について、図16乃至18を参照しながら詳細に説明するが、上述した第二実施形態との相違点を中心に説明する。すなわち、本発明の第五実施形態は、凸状係止部75が下駒10及び上駒30のいずれにも設けられていないタイプのものである。
図16は、本発明の第五実施形態に係る時計用バンドの下駒10を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。図17は、本発明の第五実施形態に係る時計用バンドの上駒30を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。図18は、図16の下駒10と図17の上駒30とを組合わせた駒組合せ体1を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。
図16において、時計用バンドの駒2を構成する下駒10は、横長の板状体をした基部12と、基部12の左端部及び右端部にそれぞれ設けられた立ち上がり部14と、を備えている。左右の立ち上がり部14の内側には、基部12の上面に沿って延在して上駒30の張出部36をガイドする係止溝16がそれぞれ設けられている。左右の立ち上がり部14は、それぞれ上面18を有している。
図17において、時計用バンドの駒2を構成する上駒30は、横長の板状体をした基部32と、基部32の左端部及び右端部にそれぞれ下側に突出した突出部34と、を備えている。左右の突出部34の外側には、突出部34の外側側面に沿って延在する張出部36が設けられている。左右の突出部34の下面の内側の前端側には、前端側から後端側の方向(滑動方向)に部分的に切り欠かれた矩形状の切欠部44がそれぞれ設けられている。基部32は、上面38を有している。
図18は、図16の下駒10と図17の上駒30とが組合わされた駒組合せ体1を示している。すなわち、下駒10の係止溝16に対して、上駒30の張出部36を前端側から後端側向に向けて滑動させることによって、上駒30が下駒10と嵌合する。上駒30の張出部36が下駒10の係止溝16に嵌合することによって、上駒30の下駒10に対する滑動を規制している。そして、この例では、下駒10と上駒30とが一体的に組合わされたときには、駒組合せ体1の前端面及び後端面が面一になっている。さらに、下駒10と上駒30とが組合わされた駒組合せ体1の上面は、下駒10の上面18と上駒30の上面38とによって構成されている。
当該第五実施形態のように、下駒10及び上駒30に係止溝16及び張出部36をそれぞれ設けて、係止溝16に張出部36を嵌合させることによって上駒30の下駒10に対する滑動を規制する駒係止構造では、上駒30に設けられた切欠部44によって、ヒンジ部材50の滑動を規制することができる。このようなヒンジ部材係止構造を用いると、凸状係止部75を設ける必要がなくなり、駒組合せ体1の隙間70が広がり、ヒンジ部材50の形状の自由度が大きくなるとともに駒の軽量化に寄与する。
次に、本発明の第六実施形態に係る時計用バンドの連結中間体4及び時計用バンドの駒2について、図19乃至21を参照しながら詳細に説明するが、上述した第三実施形態との相違点を中心に説明する。すなわち、本発明の第六実施形態は、上駒30がその滑動方向に沿って分割された複数個の板状体要素30a,30b,30cによって構成されたタイプのものである。
図19−1は、本発明の第六実施形態に係る時計用バンドの上駒30の第一板状体要素30aを示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。図19−2は、本発明の第六実施形態に係る時計用バンドの上駒30の第二板状体要素30bを示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。図19−3は、本発明の第六実施形態に係る時計用バンドの上駒30の第三板状体要素30cを示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。図20は、本発明の第六実施形態に係る時計用バンドの下駒10を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。図21は、図19−1の第一板状体要素30aと図19−2の第二板状体要素30bと図19−3の第三板状体要素30cと図20の下駒10とを組合わせた駒組合せ体1を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。
図19−1、図19−2及び図19−3において、時計用バンドの駒2を構成する上駒30は、第一板状体要素30aと、第二板状体要素30bと、第三板状体要素30cとから構成されている。第一板状体要素30aと、第二板状体要素30bと、第三板状体要素30cは、それぞれ、横長の板状体をした基部32と、基部32の左端部及び右端部にそれぞれ下側に突出した突出部34と、を備えている。各板状体要素30a,30b,30cの左右の突出部34の外側には、それぞれ、基部32の下面に沿って延在する第一張出部36a,第二張出部36b,第三張出部36cが設けられている。第一板状体要素30aは、下駒10に組み合わされたとき下駒10の後端側に配置される。第一板状体要素30aの第一張出部36aは、下駒10に組み合わされたとき第一板状体要素30aの後端面が下駒10の後端面と面一になるようにその長さが調整されている。第二板状体要素30bは、下駒10に組み合わされたとき下駒10の中央部に配置される。第三板状体要素30cは、下駒10に組み合わされたとき下駒10の前端側に配置される。第三板状体要素30cの第三張出部36cは、下駒10に組み合わされたとき第三板状体要素30cの前端面が下駒10の前端面と面一になるようにその長さが調整されている。第三板状体要素30cの左右の突出部34の下面の内側の前端側には、下駒10に組み合わされたときに現れる、前端側から後端側の方向に部分的に切り欠かれた矩形状の切欠部44がそれぞれ設けられている。切欠部44は、後端側に第三当接面47を有している。基部32は、上面38を有している。
図20において、時計用バンドの駒2を構成する下駒10は、横長の板状体をした基部12と、基部12の左端部及び右端部にそれぞれ設けられた立ち上がり部14と、基部12の上面の中央後端側に設けられた凸状係止部75と、を備えている。左右の立ち上がり部14の内側には、基部12の上面に沿って延在して上駒30の張出部36をガイドする係止溝16がそれぞれ設けられている。係止溝16は、前述した第一張出部36a,第二張出部36b,第三張出部36cにそれぞれ対応する、第一係止溝16a,第二係止溝16b,第三係止溝16cから構成されている。左右の立ち上がり部14は、それぞれ上面18を有している。また、凸状係止部75は、前端側に第六当接面76を有している。
図21は、図19−1の第一板状体要素30aと図19−2の第二板状体要素30bと図19−3の第三板状体要素30cと、図20の下駒10とが組合わされた駒組合せ体1を示している。すなわち、下駒10の係止溝16に対して、第一板状体要素30a,第二板状体要素30b,第三板状体要素30cの各張出部(第一張出部36a,第二張出部36b,第三張出部36c)を前端側から後端側に向けて滑動方向に滑動させることによって、第一板状体要素30a,第二板状体要素30b,第三板状体要素30cが下駒10と順次嵌合する。第一板状体要素30a,第二板状体要素30b,第三板状体要素30cの各張出部(第一張出部36a,第二張出部36b,第三張出部36c)が下駒10の係止溝16(第一係止溝16a,第二係止溝16b,第三係止溝16c)に嵌合することによって、第一板状体要素30a,第二板状体要素30b,第三板状体要素30cの下駒10に対する滑動を規制している。また、駒組合せ体1の中央部に存する凸状係止部75は、下駒10の基部12と第一板状体要素30a及び第二板状体要素30bの基部32との間を支える支柱としても機能する。そして、下駒10と、第一板状体要素30a,第二板状体要素30b,第三板状体要素30cとが一体的に組合わされたときには、駒組合せ体1の前端面及び後端面が面一になっている。さらに、下駒10と、第一板状体要素30a,第二板状体要素30b,第三板状体要素30cとが組合わされた駒組合せ体1の上面は、下駒10の上面18と、第一板状体要素30aの第一上面38a,第二板状体要素30bの第二上面38b,第三板状体要素30cの第三上面38cとによって構成されている。
当該第六実施形態のように、上駒30をその滑動方向と直交する方向に沿って三つの板状体要素30a,30b,30cに分割した構成とすることによって、三つの板状体要素30a,30b,30cが組み合わされた境界部に装飾性の高い溝や段差を形成することができる。各板状体要素30a,30b,30cに異なる色調のものを用いることで、様々な色調を持ったデザインを作成することができる。また、板状体要素30a,30b,30cは、その滑動方向と斜めに交差する方向に沿って分割することもできる。
次に、本発明の第七実施形態に係る時計用バンドの連結中間体4及び時計用バンドの駒2について、図22乃至25を参照しながら詳細に説明するが、上述した第三実施形態との相違点を中心に説明する。すなわち、本発明の第七実施形態は、上駒30の一部分が別体の係止体80によって構成されたタイプのものである。
図22は、本発明の第七実施形態に係る時計用バンドの下駒10を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。図23は、本発明の第七実施形態に係る時計用バンドの上駒30を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。図24は、図23の上駒30に装着される係止体80を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図である。図25は、図22の下駒10と図23の上駒30と図24の係止体80とを組合わせた駒組合せ体1を示す図である。(A)は上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は側面図である。
図22において、時計用バンドの駒2を構成する下駒10は、横長の板状体をした基部12と、基部12の左端部及び右端部にそれぞれ設けられた立ち上がり部14と、を備えている。左右の立ち上がり部14の内側には、基部12の上面に沿って延在して上駒30の張出部36をガイドする係止溝16がそれぞれ設けられている。左右の立ち上がり部14は、それぞれ上面18を有している。
図23において、時計用バンドの駒2を構成する上駒30は、横長の板状体をした基部32と、基部32の左端部及び右端部にそれぞれ下側に突出した突出部34と、を備えている。左右の突出部34の外側には、突出部34の外側側面に沿って延在する張出部36が設けられている。左右の突出部34の下面の内側の前端側には、前端側から後端側の方向(滑動方向)に部分的に切り欠かれた矩形状の切欠部44がそれぞれ設けられている。基部32は、上面38を有している。また、基部32の中央部には、円錐台状の装着穴90が形成されている。装着穴90に対して、上駒30とは別体の係止体80が下面側から装着されて嵌合する。係止体80を装着穴90に嵌合したときに係止体80が抜け出ることを防止するために、装着穴90の側面は、上面側から下面側に向けて末広がりに傾斜した傾斜面94となっている。あるいは、装着穴90は、傾斜面94とする代わりに、穴の上部が小径で穴の下部が大径である座グリ穴とすることもできる。
図24において、上駒30の一部を構成する係止体80は、上駒30の基部32の装着穴90に嵌合するように形成された円錐台状のヘッド部82と、ヘッド部82の下面側に設けられて下駒10の基部12に当接する脚部85と、を備えている。ヘッド部82は上面88を有している。脚部85は、前端側から後端側の方向に延在しており、後端側に少し片寄って延在している。凸状係止部として機能する脚部85は、前端側に第六当接面86を有している。なお、ヘッド部82は、円錐台状の代わりに、正四角錐台や正六角錘台といった様々な角錐台状とすることもできる。
図25は、図22の下駒10と図23の上駒30と図24の係止体80を組合わされた駒組合せ体1を示している。すなわち、下駒10の係止溝16に対して、係止体80の装着された上駒30の張出部36を前端側から後端側向に向けて滑動させることによって、上駒30が下駒10と嵌合する。上駒30の張出部36が下駒10の係止溝16に嵌合することによって、上駒30の下駒10に対する滑動を規制している。また、駒組合せ体1の中央部に存する脚部85は、下駒10の基部12及び上駒30の基部32の間を支える支柱としても機能する。そして、下駒10と上駒30とが一体的に組合わされたときには、駒組合せ体1の前端面及び後端面が面一になっている。さらに、下駒10と上駒30とが組合わされた駒組合せ体1の上面は、下駒10の上面18と上駒30の上面38と係止体80の上面88によって構成されている。
当該第七実施形態のように、凸状係止部としての脚部85を有する係止体80を上駒30の板状の基部32に対して別体で構成することにより、上駒30の板状の基部12に係止体80が組み合わされた境界部において、装飾性の高い溝や段差を形成することができる。係止体80に上駒30の板状の基部32と異なる色調のものを用いることで、様々な色調を持ったデザインを作成することができる。なお、下駒10を表側として時計用バンドの駒2として使用できる。そして、下駒10にも係止体80を設けることができる。係止体80に下駒10の板状の基部12と異なる色調のものを用いることで、様々な色調を持ったデザインを作成することができる。