JP5008091B2 - ドレスギヤの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は外歯車の歯面にダイヤモンド砥粒をめっきで固着したドレスギヤの製造方法及びドレスギヤに関し、特に、めっきされたダイヤモンド砥粒の保持力向上に関するものである。
従来、歯車の殆どは熱処理を施して使用されるが、その過程で熱処理歪みを伴う。その結果、精度等級が落ち、用途によっては機能回復のため歯面再仕上げが施される。特に自動車用歯車での普及率は高まっている。その中心的仕上げ法に歯車研削法とハードギヤホーニング法がある。ハードギヤホーニングは熱処理された外歯車の歯面を内歯車形砥石との回転噛み合わせ運動で15〜40μm(またぎ歯厚)程度削り取り、歯面を再修整して仕上げる工法である。また内歯車形砥石はある一定数の歯車を加工すると切れ味回復のため歯面再生の再成形(ドレッシング)という手順をとるが、その再成形(ドレッシング)用工具としてドレスギヤが存在する。
ドレスギヤはおよそドレッシング繰り返し回数400回〜2000回でダイヤモンド砥粒の摩耗やめっき層損傷によるダイヤモンド砥粒の脱落などでドレッサとしての機能が低下するため、新たなダイヤモンド砥粒に付け替える必要があり、再めっきされる。このように有効なドレス回数に大きなばらつきがある。特に少ない回数のケースではめっき特性に起因することが多い。
ドレスギヤ歯面へのダイヤモンド砥粒固定は、例えば、図3(a)に示すように、まず鋼を材料とした外歯車状の本体歯面(1)にダイヤモンド砥粒(2)を電気めっき(3)で固着する(一般に電着といわれている)。しかしドレスギヤの形状特性上、電気めっきでは歯先が厚く(4)、歯元は薄い(5)というめっき層厚が不均一性になる特性をもっている。さらに、図3(b)に示すように、固着(電気)めっきでダイヤモンド砥粒を仮付けした後、電気めっきや化学めっきで肉盛りめっき(6)を施し、砥粒の保持力を高める。
しかしこの肉盛りめっき後のめっき層厚は前記固着めっきの層厚不均一をそのまま受け継いで、歯元で薄く(12)、歯先で厚く(11)仕上がる。平均粒径150μmのダイヤモンド砥粒の例では、歯先のめっき厚み127μm(平均粒径の85%)、歯元のめっき厚み97μm(平均粒径の65%)、即ち、約30μm(平均粒径の約20%)の高低差があるといった具合である。
従来では、図3(c)に示すように、この肉盛りめっき直後のツルーイング(9)が最終加工工程としている。そこで、めっき層厚が最も厚く(11)なる歯先部をめっき層厚管理の基準位置としていた。つまりツルーイング性およびドレッサ機能面から、ダイヤモンド砥粒突き出し量が最も小さくなりやすい歯先部で突き出し量を管理していた。
その結果、歯元では歯先よりも薄いめっき高さ(12)になることは避けられなかった。また、肉盛りめっき(6)後では、ダイヤモンド砥粒径のばらつきや不安定に固着された砥粒(7)などにより、ドレスギヤ歯面のダイヤモンド砥粒群の表面の形状は凹凸の大きな歯形になっており、ドレッサとしての機能を満たせない。そのため歯車研削盤を用いダイヤモンド砥石(8)によるツルーイング(9)を行い、めっきされたダイヤモンド砥粒の表面を滑らかに成形する(10)。一方このツルーイングはめっき層厚の不均一さ(11),(12)の改善には全く関与しえないため、ツルーイングにより歯面凹凸は解消され滑らかに改善されるものの、めっき層厚は依然として歯先部付近(11)に比べて歯元付近(12)が薄い。つまり歯元の砥粒保持力は歯先に比べ弱い関係にある。
そのため、1)ツルーイングの負荷により、歯元の砥粒脱落を生じやすい。2)ドレッシングにおけるドレス抵抗により歯元砥粒が脱落しやすい。3)その結果、ドレスギヤ歯元部のドレス性が使用前からすでに歯たけ中央や歯先に比べて劣化し、内歯車形砥石の歯形が狙い通りに成形されずそれによって加工される被削歯車歯形も狙いや目標から遠ざかる等し、ドレスギヤの短寿命に結びつくことが多いという問題があった。
そこで、従来のドレスギヤの製作工程はおおまかには、台金製作→マスキング→砥粒固着めっき(電気メッキ、電着)→肉盛りめっき(化学めっき、または電気めっき)→歯面ツルーイング、という工程を経るが、調査の結果、前述のめっき層厚の不均一(11)、(12)は砥粒固着めっき工程ですでに不均一(4)、(5)が発生していることがわかった。次行程の肉盛りめっき(6)では歯先部(11)、歯元部(12)のめっき厚さはともに砥粒固着めっき表面(4)、(5)に並行でかつ一律にめっき厚が成長したものである。この結果から、従来技術は肉盛りめっき層厚を直接に管理する方法であり、電気めっき特性を解決しない限り、均一なめっき層厚が得られないことがわかった。
そこで、特許文献1においては、ドレスギヤの歯部歯元が本体の主たるインボリュート歯面と交点をもち挟角が120度以下をなす本体歯元面を形成させる本体歯元切り欠きを設けた。これにより、電着時の歯先電着層厚さと歯元電着層厚さとの差異量を少なくしている。
一方、特許文献2にあっては、ドレスギヤの台金に砥粒電着後、さらに砥粒にカバリングめっきを行いマスターギヤに噛み合わせ回転しマスターギヤをドレスギヤ側に押圧し、砥粒を電着層に押し込む。これにより、ドレスギヤの砥粒の高さを均一にして、その後カバリングめっきを剥離し、肉盛りめっきを施し砥粒を安定保持するようにしている。このものは前述したツルーイングを行うことなく砥粒の高さを均一にしている。
また、特許文献3にあっては、ドレスギヤの台金にはんだめっきをして、歯面形状に仕上げ、それに白金めっきを施し、はんだめっきを溶融除去して、除去後の空間、即ち、白金めっきによる型を形成し、その型の空間にダイヤ砥粒を充填し、電着により、台金側にニッケルめっき層を形成して、白金型からドレスギヤを取り出している。これにより、ツルーイングを行うことなく砥粒の高さを均一にしている。
特開2006−212726号公報 特開平7−171764号公報 特開平6−106481号公報
しかし、特許文献1のドレスギヤは、歯元に切り欠きを設けるため、切り欠き加工が必要であり、また、歯面形状も複雑であり、設計、製作、寸法管理がしにくい等の実用上の問題があった。
また、特許文献2のドレスギヤは、電着時もまた、肉盛りめっきも電着時のめっき厚みを解消することはできない。従って、特許文献2のものも、砥粒先端の高さは均一に近くなるものの、肉盛りめっき表面からの砥粒の突き出し高さは、歯先で少なく歯元で大きくなる。従って、前述したように歯元側の砥粒が脱落し易くドレスギヤの寿命が短いという問題が残る。また、マスターギヤとの滑りで全ての砥粒が必ずしも歯面に垂直に押圧されるわけではない。また、押圧後の台金、めっきのスプリングバックも生じる。さらにはダイヤモンド砥粒の粒径ばらつきが加わり、ドレスギヤの仕上がり精度はツルーイングによる場合より低下することは免れない。また、特許文献2のものに特許文献1を適用することも可能であるが、前述した歯元の切り欠きによる問題点を解消できない。
さらに、特許文献3のものでは、完成ドレスギヤ寸法に相当する牡形の台金を製作し、その回りに白金材の内歯車形金型を形成し、その歯面内側に沿ってダイヤモンド砥粒を めっきで電着し、その後白金金型を取り除くという方法であり、これは通常ネガ(反転)電着と呼ばれる製造法である。本発明はドレスギヤ本体に直接ダイヤモンド砥粒を一層電着する製造法であり、通常ポジ電着と呼ばれているものである。特許文献3の発明では、ツルーイングしないで砥粒表面を均一に揃えることは可能と考えられるが、砥粒表面とめっき層表面は面一になり、ドレッサとしての機能を発揮できない。さらに、砥粒の突き出し高さの量、突き出し方法については言及していない。またネガ電着はポジ電着に比べ、極めて長い製造日数を必要とするためコストが5倍〜8倍となり、市場では殆ど受け入れられていない。
従って、引用文献のものをはじめ、従来、ドレスギヤの少なくとも噛み合い有効歯たけの歯面及び歯元部の形状はインボリュート曲線が確保され、かつ、少なくとも前記噛み合い有効歯たけの歯面全域にわたって、ダイヤモンド砥粒突き出し高さの絶対値が20〜30μm(平均粒径が150μmの場合)のダイヤモンド砥粒の肉盛りめっきからの突き出し高さのバラツキが20μm以下のドレスギヤは存在しなかった。
本発明の課題は、かかる問題点に鑑みて、ドレスギヤの切り欠き加工、マスターギヤによる押圧、専用金型等の新たな設備等を使用することなく既存の加工機械器具等を用いて、さらには、ツルーイングやドレッシングでの歯元の砥粒脱落を減じ、加工精度を維持でき長寿命のドレスギヤの製造方法を提供することである。さらには、かかる性能を有する歯面及び歯元部の形状はインボリュート曲線が確保され、噛み合い有効歯たけの歯面全域にわたって、ダイヤモンド砥粒の肉盛りめっきからの突き出し高さのバラツキが少ないドレスギヤを得ることである。
本発明においては、焼き入れされた外歯車の歯面を内歯車形砥石でホーニング仕上げするハードギヤホーニングの前記内歯車形砥石の砥石歯面を再生するための内歯車形砥石用ドレスギヤの製造方法であって、前記ドレスギヤは外歯車を形成する台金の少なくとも噛み合い有効歯たけの歯面全域にわたってダイヤモンド砥粒を電着し、次いで、前記ダイヤモンド砥粒を完全被覆する肉盛りめっきを施した後、前記内歯車砥石と同じ又は同じ諸元の内歯車砥石と噛み合わせ回転させながら押し込み砥石研削作用により前記肉盛りめっき部の表面層がドレスギヤの仕上げ歯面形状以下になるまで前記肉盛りめっき部の表面層を除去し、次いでツルーイングにより、前記ダイヤモンド砥粒の先端部をドレスギヤの仕上げ歯面形状に成形するドレスギヤの製造方法を提供することにより前述した課題を解決した。
即ち、肉盛りめっきの厚みの均一化はめっき工程ではできないので、先ず、ドレスギヤ歯面に従来と同様にダイヤモンド砥粒を電着し、このダイヤモンド砥粒を一旦めっき層で埋め込み、完全被覆した後にダイヤモンド砥粒刃先を覆っている余剰めっき層を除去することにより、歯元から歯先にわたりほぼ均一なめっき層厚を得るようにして、その後、ツルーイングをするようにした。
特に、肉盛りめっき部の表面層の余剰部(17)をツルーイングして、めっき表面層の厚みを均一にし、さらにめっき層を機械的、化学的に除去することにより、均一なめっき厚を得ようとしても、このツルーイング方法では、めっき粉でダイヤモンド砥石は目詰まりしてしまって、めっきを除去できない。そこで、本願発明では、肉盛りめっき完全被覆後に、ホーニング用内歯車砥石(又は同一諸元の内歯車砥石)と噛み合わせ回転させながら押し込み砥石研削作用により肉盛りめっき部の表面層の余剰部(17)を除去、即ち、ドレスギヤをワークとして内歯車砥石に噛み合わせて研削させる。この場合のめっき除去量は内歯車砥石の送りにより決まる。これにより、肉盛りめっき部の表面層の余剰部(17)を除去でき、台金からのめっき厚みを均一とすることができる。次にツルーイングすることにより、ダイヤモンド砥粒の先端を加工して所定寸法を得るようにしたのである。
請求項1の発明においては、肉盛りめっき部の表面層の余剰部の除去量には限度があるので、ツルーイングによりダイヤモンド砥粒の先端部の肉盛りめっきからの突き出し高さが必要量より少ない、又は少なくなる場合がある。この場合には、さらに肉盛りめっきを除去する。請求項2に記載の発明においては、前記ツルーイングにより、前記ダイヤモンド砥粒の先端部をドレスギヤの仕上げ歯面形状に成形した後、さらに、前記内歯車砥石と同じ又は同じ諸元の内歯車砥石と噛み合わせ回転させながら押し込み砥石研削作用により前記肉盛りめっき部の表面層をさらに除去するドレスギヤの製造方法と提供する。これにより、請求項1の肉盛りめっきの除去と同じ作業により、所定の突き出し高さとすることができる。
請求項1においては、めっき厚みは均一とされているので、化学的な除去でもめっき厚みをそのまま均一としながら除去できる。そこで、請求項3に記載の発明においては、前記ツルーイングにより、前記ダイヤモンド砥粒の先端部をドレスギヤの仕上げ歯面形状に成形した後、さらに、ドレスギヤをめっき剥離液中に浸漬させることにより、前記肉盛りめっき部の表面層をさらに除去するドレスギヤの製造方法を提供する。
前述した本発明ドレスギヤの製造方法を用いることにより、歯先から歯元までインボリュート歯面を確保した状態で、めっき厚が均一で、換言すると、突き出し高さの均一なドレスギヤを提供することができるものとなった。詳述すると、本発明ドレスギヤの製造方法を用いることにより、焼き入れされた外歯車の歯面を内歯車形砥石でホーニング仕上げするハードギヤホーニングの前記内歯車形砥石の砥石歯面を再生するための内歯車形砥石用ドレスギヤであって、前記ドレスギヤは少なくとも噛み合い有効歯たけの歯面及び歯元部の形状はインボリュート曲線が確保され、かつ、少なくとも前記噛み合い有効歯たけの歯面全域にわたって、ドレスギヤの台金上に電着された単層のダイヤモンド砥粒と、前記ダイヤモンド砥粒を支持する肉盛りめっきと、を備え、前記歯面全域にわたって、前記ダイヤモンド砥粒突き出し高さの絶対値が前記ダイヤモンド砥粒の平均粒径の20%以下、かつ、前記ダイヤモンド砥粒の肉盛りめっきからの突き出し高さのバラツキが平均粒径の10%以下のドレスギヤを得ることができる。
平均粒径20%以下としたのは、従来の突き出し高さの一般的な場合であることを数値で説明したものである。ダイヤモンドメッシュサイズ#140で、20μm以上、#170で5μm以上とダイヤモンドのメッシュサイズにより下限を設けるのがより好ましい。かかるドレスギヤにおいて、バラツキが平均粒径の10%以下としたのは、従来は平均粒径の20%が限界であったのに対し、本発明のドレスギヤの製造方法によって、初めて、歯先から歯元全体でバラツキを10%以下とすることができたので、10%以下とした。なお、除去時のめっき表面高さのバラツキは3〜4μm程度は発生する。
本発明においては、電着されたダイヤモンド砥粒を一旦めっき層で完全被覆した後に内歯車砥石で余剰めっき層を除去し、ツルーイングをするようにし、めっき厚みを均一かつダイヤモンド砥粒の先端の突き出し高さを均一にすることができるので、ツルーイングやドレッシングでの歯元の砥粒脱落が減じ、加工精度も確保でき長寿命のドレスギヤとすることができる。また、歯形も切り欠き等を設ける必要が無く従来通りであり、製作にあたっても、従来のめっき方法や内歯車砥石を用いればよく、また、あっても改良程度でよく、全く新たな設備や治具を必要とせず、設計・製作も容易である。
また、突き出し高さの制御も従来の内歯車砥石を用いて行え(請求項2)、また、従来の化学的な剥離により行える(請求項3)ので、容易に高い精度のドレスギヤを製造できるものとなった。
さらに、本発明ドレスギヤの製造方法を用いて、少なくとも噛み合い有効歯たけの歯面及び歯元部の形状はインボリュート曲線が確保され、かつ、少なくとも噛み合い有効歯たけの歯面全域にわたって、ダイヤモンド砥粒の肉盛りめっきからの突き出し高さのバラツキが平均粒径の10%以下、5μm以上のドレスギヤを提供するので、ギヤホーニング加工において、加工精度を維持し、長寿命なドレスギヤを提供できる。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明のドレスギヤの製造方法を示し(a)は完全被覆肉盛りめっき後、(b)は肉盛りめっきの除去途中、(c)は肉盛りめっきの表面層の余剰部除去後、(d)はツルーイング後、(e)は完成時の本発明ドレスギヤの歯部の部分断面説明図、図3は従来のドレスギヤの製造方法を示し(a)は砥粒電着後、(b)は肉盛りめっき後、(c)はツルーイング後のドレスギヤの部分断面説明図である。本発明の電着手順は図3(a)に示すように、先ず従来と同様に台金(1)にダイヤモンド砥粒を電着する。次に、図1(a)に示すように、砥粒肉盛りめっき層厚の制御を歯元で行い、めっき層厚(13)を平均砥粒径の100〜120%とした。これによりドレスギヤ歯面全体の砥粒をめっきで完全被覆することになる。また最小限のめっき被覆量に留めるため有効歯たけの歯元(14)を基準とした。
通常は肉盛りめっき後にダイヤモンド砥石でドレスギヤ歯面をツルーイングすることになるが、前述したように、本発明方法の完全被覆めっき歯面をダイヤモンド砥石で直接削り落とそうとするとめっき粉で砥石が目詰まりし、ツルーイングが全くできない。したがって本発明では図2に示すように、ツルーイング前にギヤホーニング加工における内歯車形砥石のドレッシングと同じ要領でドレスギヤ(15)を内歯車形砥石(16)に回転させながら押し込み内歯車形砥石の本来の研削作用によって前記完全被覆めっき層(17)を除去するようにした。これは内歯車形砥石が工具でドレスギヤがワークという関係になる。
その結果、ドレスギヤ歯面の全域に渡っためっき完全被覆層が徐徐に除去され、ある一定加工後には図1(b)に示すように、ドレスギヤ歯面のダイヤモンド砥粒先端が肉盛りめっき表面(18)から顔を出し始めてくる。この関係をさらに続けることで、今度はドレスギヤ(15)の歯面のダイヤモンド砥粒が工具となり内歯車形砥石(16)の歯面を削り出す。つまりドレッサとして作用し始め、ドレッシング作用に切り替わる。しかし同時に内歯車形砥石の砥粒はダイヤモンド砥粒よりも柔らかいめっき表面を削り始める。つまりドレスギヤ(15)と内歯車形砥石(16)はお互いに工具となって削り合い最終的には、図1(c)に示すように、ドレスギヤめっき層表面(22)にはドレッシングに必要な最小で有効なダイヤモンド砥粒の突き出し高さ(19)が形成される。このことは手段は全く異なるが、一般の電着砥石にも施工されており通常目立てと言われている。ここでは以下エッジングと呼ぶ。
このエッジング深さ(19)はダイヤモンド砥粒歯先からおよそ20μm前後であり、ドレスギヤ歯元から歯先に渡ってほぼ均等な高さに形成される。しかしこの段階ではドレスギヤ歯面のダイヤモンド砥粒はツルーイングされていないのでダイヤモンド砥粒刃先群表面を滑らかにするためにツルーイングが必要である。そこで、図1(d)に示すように、所定寸法にツルーイングする。エッジング後のダイヤモンド砥粒歯先は前述の突き出し高さ(19)を有しているのでツルーイングにおけるダイヤモンド砥石(8)の目詰まりは発生しない。また、ドレスギヤ歯面のダイヤモンド砥粒にツルーイング(9)をかけることでダイヤモンド砥粒(2)は当然減径すると同時に歯面全域に滑らかさがでてくる。そのためツルーイング後のダイヤモンド砥粒刃先(砥粒表面23)と前記エッジングによるめっき表面(22)との段差(20)が小さくなり、このままではドレッシングで排出される内歯車形砥石の被削粉の逃げ場がなくなり、ドレスギヤ(ダイヤモンド砥粒)の食い付き性が低下し、ドレッシング能力の乏しいドレッサになる。
そこで、図2に示すように、再度内歯車形砥石(16)と噛み合わせ、前述と同様ドレッシング(以下最終エッジングという)をかけることで同時に自動的にエッジング作用を受けドレッシングに必要とされる最小限度のダイヤモンド砥粒の突き出し高さ(21)が得られる。
かかる工程を経て、肉盛りめっき表面は歯面全域に渡って、ダイヤモンド砥粒歯先面に平行でかつダイヤモンド砥粒突き出し高さのより均一化が図れる。
次に、本発明の方法を用いて製造したドレスギヤの実施例について説明する。ドレスギヤの諸元は、モジュール:3.5、圧力角:20゜、歯 数:19、ねじれ角:30゜、外 径:85.3mm、歯 幅:50mmである。まず、歯車を成形した台金に、粒度#100/120(平均粒径151μm)のダイヤモンド砥粒を、ワット氏浴を用い、電気ニッケルめっきで固着し、さらに、歯元のめっき厚が160μmになるまで化学ニッケルめっきを実施し、歯面全体をニッケルめっきで覆った。
次に、図2に示すように、ハードギヤホーニング盤を用いて、取り付け径350mm×幅50mm×歯数80×WAの内歯車形砥石を用い、軸交差角を10゜、砥石回転数60min-1、テーブル送り2mm/砥石回転当たり、全切り込み量を6.0mmとして、エッジング及びドレスを行い完全被覆めっきの表面を除去した。
次に、歯車研削盤(創成研削盤)に#80ダイヤモンド砥石を取付、ツルーイング代をまたぎ歯厚で80μmとしてツルーイングをおこなった。さらに、最終エッジング後の歯面全域の有効歯たけ内でのダイヤモンド砥粒突き出し高さは20〜30μmとなり、歯元、歯先はほぼ同等であり、バラツキは10μm以下となった。また、エッジングの入った状態のドレッシング作業(切り込み、加工音)は、最終エッジング時を含み、通常のギヤホーニング盤の内歯車砥石のドレスギヤによるドレス作業の場合と同様で、変化はなかった。
かかるドレスギヤを用いて、ハードギヤホーニング盤でワーク加工を行った。ワーク加工のための内歯車砥石のドレス回数は2,780回で最も仕事量の多い歯先外周が損傷した。さらに、再電着可能かどうか判定した結果、理想的な損傷状態であり、再電着可能であった。従来のドレスギヤでは再電着可能なドレス回数が1,200回であり、本発明品では2倍以上のドレス回数が可能となり、長寿命となった。また、従来のドレスギヤの損傷はドレスで歯元形状崩れが殆どであるのに対し、本発明品では歯先外周が損傷していることから、本発明の歯先から歯元まで全体にわたりめっき厚さ並びにダイヤモンド砥粒突き出し高さを均一にすること、即ち歯元側のめっき厚並びにダイヤモンド砥粒突き出し高さを歯先側と同等にすることで、歯元側の損傷を防止でき、ドレスギヤの寿命を長くできることが証明された。
図1は本発明のドレスギヤの製造方法を示し(a)は完全被覆肉盛りめっき後、(b)は肉盛りめっきの除去途中、(c)は肉盛りめっきの表面層の余剰部除去後、(d)はツルーイング後、(e)は完成時の本発明ドレスギヤの歯部の部分断面説明図である。 ギヤホーニング盤での内歯車砥石とドレスギヤとのドレッシング作業等についての説明図である。 従来のドレスギヤの製造方法を示し(a)は砥粒電着後、(b)は肉盛りめっき後、(c)はツルーイング後のドレスギヤの部分断面説明図である。
符号の説明
1 台金
2 ダイヤモンド砥粒
3 電着(層)
5 歯元
13 肉盛りめっき(層)
15 ドレスギヤ
16 内歯車形砥石
17 肉盛りめっき部の表面層(の余剰部)、完全被覆めっき層
21 ダイヤモンド砥粒突き出し高さの絶対値
22 めっき層表面
23 仕上げ歯面

Claims (3)

  1. 焼き入れされた外歯車の歯面を内歯車形砥石でホーニング仕上げするハードギヤホーニングの前記内歯車形砥石の砥石歯面を再生するための内歯車形砥石用ドレスギヤの製造方法であって、前記ドレスギヤは外歯車を形成する台金の少なくとも噛み合い有効歯たけの歯面全域にわたってダイヤモンド砥粒を電着し、次いで、前記ダイヤモンド砥粒を完全被覆する肉盛りめっきを施した後、前記内歯車砥石と同じ又は同じ諸元の内歯車砥石と噛み合わせ回転させながら押し込み砥石研削作用により前記肉盛りめっき部の表面層がドレスギヤの仕上げ歯面形状以下になるまで前記肉盛りめっき部の表面層を除去し、次いでツルーイングにより、前記ダイヤモンド砥粒の先端部をドレスギヤの仕上げ歯面形状に成形することを特徴とするドレスギヤの製造方法。
  2. 前記ツルーイングにより、前記ダイヤモンド砥粒の先端部をドレスギヤの仕上げ歯面形状に成形した後、さらに、前記内歯車砥石と同じ又は同じ諸元の内歯車砥石と噛み合わせ回転させながら押し込み砥石研削作用により前記肉盛りめっき部の表面層をさらに除去することを特徴とする請求項1に記載のドレスギヤの製造方法。
  3. 前記ツルーイングにより、前記ダイヤモンド砥粒の先端部をドレスギヤの仕上げ歯面形状に成形した後、さらに、ドレスギヤをめっき剥離液中に浸漬させることにより、前記肉盛りめっき部の表面層をさらに除去することを特徴とする請求項1に記載のドレスギヤの製造方法。
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