以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、以下の各実施形態において説明する無線通信装置は、「非接触近接通信機能部」を備える。また、非接触近接通信プロトコル上で動作する既存のプロトコル(印刷画像転送プロトコル)を効率的に使用するための「リンク制御部」を備える。そして、非接触近接通信プロトコルが切断状態にある時に、意図しない第三者の通信装置から接続要求を受けた場合であっても、当該接続要求を拒否し、所望の通信装置からの接続処理のみを実行し、第三者の割り込みを拒否するよう動作することを特徴とする。
なお、以下では、非接触近接通信プロトコルと、印刷画像転送プロトコルとを備える通信装置として、DSC及びプリンタを用いた無線通信システムにおける通信制御技術について説明することとする。
具体的には、DSCをプリンタにかざすことで印刷を行った後、次の印刷画像を選択するためにDSCを一旦プリンタから遠ざけた場合でも、当該DSCユーザによる印刷を優先的に実行し、第三者による割り込みを拒否するよう動作する場合について説明する。
[第1の実施形態]
<1.無線通信システムの構成>
図1は、本実施形態にかかる無線通信装置を備える無線通信システムの構成例を示す図である。
図1において、DSC101、DSC103は「非接触近接通信」機能を具備したデジタルカメラ(以後、DSCと称す)である。DSC101、DSC103が備える「非接触近接通信」機能は、DSC内に保存されている画像データを、同じく「非接触近接通信」機能を具備するプリンタ等へ転送する転送手段として機能する。
非接触近接通信インタフェース105は、DSC101、DSC103において非接触近接通信を実現するためのインタフェースである。
一方、非接触近接通信インタフェース104は、プリンタ102にて非接触近接通信を実現するためのインタフェースである。
プリンタ102はDSC101、DSC103と同様に「非接触近接通信」機能を具備したプリンタである。プリンタ102が備える「非接触近接通信」機能もDSC101、DSC103と同様に、画像データを転送する転送手段として機能する。
<2.DSCの機能構成>
続いて、DSC101、DSC103の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係る通信装置であるDSC101、DSC103の機能ブロック図である。
非接触近接通信機能部201は他の非接触近接通信機能を具備する通信装置との間におけるデータ転送処理を制御する。
印刷画像転送処理部202はDSC101をプリンタ102に直接接続し、DSC101内の画像データを、DSC101からの印刷指示に基づいて、プリンタ102に印刷処理させる際の画像データ転送処理を制御する。
リンク制御部203は非接触近接通信プロトコルにおける接続状態の確立/切断に関する制御を行う(第1の制御手段)。また、リンク制御部203は印刷画像転送プロトコルにおける接続状態の確立/切断に関する制御を行う(第2の制御手段)。
電源部204は電源供給を必要とする各ブロックに駆動電源を供給する。DSC機能部205は画像を撮像する撮像処理等、DSCとしての基本機能を実行する。CPU206は、上述した各部の動作を指示及び制御する。
ユーザインタフェース機能部207は、ユーザからの印刷指示を受け付ける表示器や、印刷処理専用ボタン等を制御する。
予約制御部208は、印刷処理及び印刷画像の選択処理を継続して実行する場合に、対向機器(接続相手)であるプリンタ102の接続の予約に関する処理を行う。なお、予約制御部208における処理の詳細は後述する。
<3.プリンタの機能構成>
次にプリンタ102の機能構成について説明する。図3は、本実施形態に係る通信装置であるプリンタ102の機能ブロック図である。
非接触近接通信機能部301は、DSC101、DSC103内の非接触近接通信機能部201と同様の機能を有するブロックであり、他の非接触近接通信機能を具備する通信装置との間におけるデータ転送を制御する。
印刷画像転送処理部302はDSC101をプリンタ102に直接接続し、DSC101からの印刷指示を受信した場合に、DSC101内の印刷画像をプリンタ102に印刷する際の画像データ転送処理を制御する。
リンク制御部303は非接触近接通信プロトコルにおける接続状態の確立/切断に関する制御を行う(第1の制御手段)。また、リンク制御部303は印刷画像転送プロトコルにおける接続状態の確立/切断に関する制御を行う(第2の制御手段)。また、他のDSCとの間で接続状態が確立された場合には、対向機器(接続相手)となるDSCの機器識別子を記憶する記憶機能も具備する。
電源部304は電源供給を必要とする各ブロックに駆動電源を供給する。プリンタ機能部305は転送された画像を印刷する印刷処理等、プリンタとしての基本機能を実行する。
CPU306は、上述した各部の動作を指示及び制御する。予約制御部307はDSC101、DSC103からの印刷処理及び印刷画像の選択処理を継続して実施する場合に、プリンタの予約確認に関する処理を行う。なお、予約制御部307における処理の詳細は後述する。
<4.無線通信システムにおける印刷処理の流れ>
上記無線通信システムのもとで、DSC101内に保存されている複数の画像を印刷するにあたり、DSC101のユーザは、例えば、所望の画像を印刷画像として選択し、プリンタ102にかざすといった動作を繰り返し行うこととなる。
そして、このような動作を行った場合、DSC101のユーザが印刷画像を選択している間に、DSC103のユーザがプリンタ102にDSC103をかざすことで、印刷処理を実行させる(割り込みが行われる)ことが想定される。
本実施形態に係るDSC101及びプリンタ102では、このような状況の場合、DSC101のユーザによる印刷処理を優先的に実行し、DSC103のユーザによる割り込みを拒否できるように構成されている。以下、DSC101、DSC103及びプリンタ102の動作について、諸々の状況を想定して詳細に説明する。
<4.1 割り込みを拒否する場合>
はじめに、DSC101のユーザによる印刷処理を優先的に実行し、DSC103のユーザによる割り込みを拒否する場合の、無線通信システムにおける印刷処理の流れについて、図4〜図6、図8、図9を用いて説明する。
なお、図4は、DSC101をプリンタ102にかざし、最初の印刷処理を実行してから、次の印刷画像を選択するまでのDSC101及びプリンタ102における通信制御処理の流れを示すシーケンス図である。
図5は、次の印刷画像を選択してから、該選択した印刷画像を印刷処理するまでのDSC101及びプリンタ102における通信制御処理の流れを示すシーケンス図である。図6は、DSC101のユーザが次の印刷画像を選択している間に、DSC103のユーザが、プリンタ102にDSC103をかざした場合の、DSC103及びプリンタ102における通信制御処理の流れを示すシーケンス図である。
また、図8は、DSC101、103における印刷処理の流れを示すフローチャートである。図9は、プリンタ102における印刷処理の流れを示すフローチャートである。
ユーザがDSC101、プリンタ102の電源を投入し、DSC101のユーザインタフェース機能部207により制御される表示器、または印刷処理専用ボタンを介して印刷処理の実行を指示する。これにより、DSC101では当該指示を受け付ける(ステップS801)。
印刷処理の実行指示を受け付けると、DSC101内のリンク制御部203では、非接触近接通信機能部201に非接触近接通信プロトコルにおける接続を行うための「第1接続要求(401)」を送信する。
「第1接続要求(401)」を受けた非接触近接通信機能部201では、「非接触近接接続要求(402)」の送信を開始する。
この状態で、DSC101のユーザは、DSC101内の画像のうち、所望の画像を印刷画像として選択し、DSC101では当該選択指示を受け付ける(ステップS802)。
次に、DSC101のユーザは、DSC101の非接触近接通信インタフェース105をプリンタ102の非接触近接通信インタフェース104上に載せる。あるいは、通信可能な距離まで近づけるようにしてかざす(ステップS803、ステップS901)。
かかる操作により、プリンタ102ではDSC101からの「非接触近接接続要求(402)」を受信することができるようになる。プリンタ102の非接触近接通信機能部301では、「非接触近接接続要求(402)」を受信する。
「非接触近接接続要求(402)」を受信すると、非接触近接通信機能部301では非接触近接通信プロトコルにおける接続処理を実行する。そして、接続処理の完了を「非接触近接接続応答(403)」としてDSC101へ応答する(ステップS902においてNo、ステップS904)。さらに該接続処理が完了した旨を「第1接続通知(404)」としてリンク制御部303に通知する。
なお、DSC101の対向機器であるプリンタ102が、DSC101の機器識別子を認識できるようにするために、「第1接続要求(401)」及び「非接触近接接続要求(402)」には、DSC101の機器識別子が含まれているものとする。そして、対向機器であるプリンタ102では、「非接触近接接続要求(403)」を受信すると、リンク制御部303がDSC101の機器識別子を記憶する。
DSC101の非接触近接通信機能部201では、「非接触近接接続応答(403)」を受信することで非接触近接通信の接続処理が完了したことを検知する(ステップS804においてYes)。さらに非接触近接通信機能部201では、その旨を「第1接続応答(405)」としてリンク制御部203に応答する。
これにより、非接触近接通信プロトコル(第1の通信層)における接続状態が確立され、以後、DSC101とプリンタ102との間の送受信処理は、それぞれの非接触近接通信機能部201及び非接触近接通信機能部301を介して行われることとなる。
「第1接続通知(404)」を受信したプリンタ102のリンク制御部303では、プリンタ102における印刷画像転送プロトコルの状況を確認する。この時点で、プリンタ102は、電源を投入してから未だDSC101の印刷画像について一度も印刷処理を行っていない状況にある。このため、印刷画像転送プロトコルは起動してないと判断する(ステップS905においてNo)。
この結果、プリンタ102のリンク制御部303では、印刷画像転送プロトコルにおける接続処理を開始し、「第2接続要求(406)」を印刷画像転送処理部302に送信する(ステップS914)。
プリンタ102の印刷画像転送処理部302では、「第2接続要求(406)」を受信すると、DSC101に対して「印刷画像転送接続要求(408)」を送信する。
DSC101の印刷画像転送処理部202では、「印刷画像転送接続要求(408)」を受信すると(ステップS806においてNo、ステップS807)、印刷画像転送処理のプロトコルの接続処理を実行する(ステップS808)。さらに、印刷画像転送処理のプロトコルの接続処理の完了を「印刷画像転送応答(412)」としてプリンタ102へ応答する。
プリンタ102の印刷画像転送処理部302において、「印刷画像転送応答(413)」が受信されると、印刷画像転送プロトコルにおける接続処理が完了となる。この時点で、DSC101はプリンタ102を介して、印刷画像の印刷が可能となっている。
このようにして、印刷画像転送プロトコル(第2の通信層)における接続状態が確立され、以後、DSC101及びプリンタ102では、各々の印刷画像転送処理部202、印刷画像転送処理部302を介して選択された印刷画像についての転送処理を実行する。また、プリンタ102のプリンタ機能部305では、転送された印刷画像についての印刷処理を実行する(415、ステップS809、ステップS916)。
印刷処理が完了すると、ユーザはDSC101にて次の印刷画像を選択するため、一旦、DSC101をプリンタ102から離す(ステップS810、S918)。これにより、DSC101及びプリンタ102は、非接触近接通信プロトコルにおける切断状態に遷移し、非接触近接通信機能部201、301は、それぞれリンク制御部203、303へ非接触近接切断通知(416、417)を通知する。
この時、DSC101では、予約制御部208がユーザインタフェース機能部207を介して、ユーザに対して、継続してDSC101内の画像をプリンタ102に印刷させるために、プリンタ102を予約するか否かを問い合わせる(ステップS811)。すなわち、印刷画像転送プロトコルの接続状態を維持するか否かを問い合わせる。
ここでは予約するか否かの問い合わせに対して、DSC101のユーザが「予約する」旨を選択した場合について説明する。
DSC101のユーザが、継続して印刷を行うためにプリンタ102を予約する旨を指示入力すると、DSC101では、予約モード=ON(418)を設定内容として予約モードを設定する(ステップS812)。なお、予約モード=ONとは、印刷画像転送プロトコルの接続状態を維持することを示す設定である。
予約制御部208では、当該設定を受けてリンク制御部203を介して非接触近接通信機能部201に「第1接続要求(419)」を送信する。そして、非接触近接通信機能部201では、「非接触近接接続要求(420)」の送信を開始する。
ここで、DSC101のユーザは、上述した処理と同様の手順で、DSC101及びプリンタ102を非接触近接通信における接続状態に遷移させる(ステップS803〜S805、ステップS901、S902、S904)。
以後、DSC101とプリンタ102との間の各種要求及び応答420、421、425、428の送受信処理は、非接触近接通信機能部201及び非接触近接通信機能部301を介して行われることとなる。
プリンタ102の予約制御部307では、リンク制御部303へ現時点での印刷画像転送プロトコルの接続状態を問い合わせる(ステップS905)。リンク制御部303では、現在の状態、すなわちプリンタ102とDSC101との間で印刷画像転送プロトコルの接続状態が確立している状態にある旨を応答する。
当該応答を受けた予約制御部307では、リンク制御部303に対して、DSC101が継続して印刷処理を行うためにプリンタ102を予約する設定としているか否かを問うための処理を行う。
具体的には「予約確認要求(425)」をDSC101に送信する(ステップS906においてNo、ステップS907)。「予約確認要求(426)」を受信したDSC101のリンク制御部203では、その旨を予約制御部208へ通知する(ステップS806においてYes)。
ここでは、DSC101がプリンタ102を「予約する」設定となっているため、予約制御部208では、リンク制御部203に対して、プリンタ102を予約する旨の「予約確認応答(427)」を送信するように指示する。
当該指示を受けて、リンク制御部203では、プリンタ102に対して、「予約確認応答(427)」を送信する(ステップS813)。プリンタ102のリンク制御部303では、「予約確認応答(427)」を受信したか否かを判断し(ステップS908)、受信したと判断した場合には、「予約確認応答(429)」を受信した旨を予約制御部307へ通知する。
予約制御部307では、DSC101よりプリンタ102を予約する旨の通知を受けたことに伴って(ステップS909においてYes)、DSC101以外の機器(接続相手の通信装置以外の通信装置)による接続を拒否するための処理を実行する。具体的には、リンク制御部303が、先に記憶したDSC101の機器識別子を「予約設定要求(430)」に含め、非接触近接通信機能部301に対して、該「予約設定要求(430)」を送信する(ステップS910)。
「予約設定要求(430)」を受信した非接触近接通信機能部301では、通知されたDSC101の機器識別子以外のDSCによる接続を拒否する状態に遷移することとなる。
そして、DSC101のユーザが、次の印刷画像を選択するために、DSC101をプリンタ102から離すと、DSC101及びプリンタ102では、非接触近接通信プロトコルにおいては切断状態に遷移する(ステップS815、ステップS911)。非接触近接通信において切断状態に遷移すると、DSC101、プリンタ102のリンク制御部203、リンク制御部303に対して、非接触近接切断通知(431、432)がそれぞれ通知される。
プリンタ102のリンク制御部303では、非接触近接切断通知(431)を受信すると、予約制御部307にて予約状態を解除するための予約解除タイマによるカウント処理を開始する(433、ステップS912)。
この予約解除タイマによるカウント処理の目的は、何らかの事情でDSC101のユーザが再度の印刷処理を止めてしまった場合のためである。すなわち、DSC103のユーザがプリンタ102を使用することができない、といった状況を回避するためである。従って、予め定められた時間が経過し、予約解除タイマのカウント処理が満了した場合には予約状態は解除となり、印刷画像転送プロトコルにおける切断処理が実行される(ステップS913においてYes、ステップS919)。
これらの一連の処理により、DSC101によるプリンタ102の予約処理が完了し、プリンタ102は予約状態となる。
プリンタ102の予約状態に遷移後に、DSC101のユーザが所望の印刷画像を選択し、再度、印刷処理を実行させる場合について図5のシーケンス図及び図8、図9のフローチャートを用いてさらに説明する。
DSC101のユーザが、DSC101をプリンタ102に近づけると、DSC101は、プリンタ102に対して非接触近接通信の接続処理を開始する(501〜502、ステップS801〜S804、ステップS901〜S903)。この場合、プリンタ102の非接触近接通信機能部301では、DSC101の機器識別子が、この時点でリンク制御部303が記憶している機器識別子と同一であると判断する(ステップS903においてYes)。よって、プリンタ102は接続処理の完了を「非接触近接接続応答(503)」としてDSC101へ応答する(S904)。さらに該接続処理が完了した旨を「第1接続通知(505)」としてリンク制御部303に通知する。DSC101の非接触近接通信機能部201では、「非接触近接接続応答(503)」を受信することで非接触近接通信の接続処理が完了したことを検知する(ステップS804においてYes)。さらに非接触近接通信機能部201では、その旨を「第1接続応答(504)」としてリンク制御部203に応答する。
これにより、非接触近接通信プロトコルにおける接続状態が確立され、以後、DSC101とプリンタ102との間の送受信処理は、非接触近接通信機能部201及び非接触近接通信機能部301を介して行われることとなる。
プリンタ102のリンク制御部303が、非接触近接通信における接続状態が確立された旨の通知を受けると、予約制御部307では、リンク制御部303に対して、印刷画像転送プロトコルの接続状態を問い合わせる(ステップS905)。当該問い合わせに対してリンク制御部303では、予約制御部307に対して印刷画像転送プロトコルの接続状態を応答する。
この結果、プリンタ102の予約制御部307では、DSC101との間において印刷画像転送プロトコルの接続状態が確立している状態であることを認識することができる(ステップS905においてYes)。
印刷画像転送プロトコルの接続状態が確立していると認識すると、予約制御部307では、予約モード解除タイマがカウント処理中であるか否かを判断する(ステップS906)。そして、カウント処理中であると判断された場合には、予約解除タイマを停止する(506、ステップS915)。
この時点で、DSC101は、プリンタ102を介して印刷画像を印刷することが可能な状態となっている。従って、リンク制御部203では、DSC101及びプリンタ102の印刷画像転送処理部202及び印刷画像転送処理部302を介して、選択された印刷画像の転送処理を行う(ステップS806及びステップS807においてNo、ステップS809)。また、プリンタ102のプリンタ機能部305では、転送された印刷画像についての印刷処理を実施する(507、ステップS916)。
続いて、プリンタ102が予約状態に遷移した後に、DSC101とは異なるDSC103のユーザが印刷処理を実行すべく、DSC103をプリンタ102に近づけた場合について図6のシーケンス図を用いて説明する。
DSC103では、プリンタ102に対して非接触近接通信の接続処理を開始する(601〜602、ステップS801〜S804、ステップS901〜S903)。この場合、プリンタ102の非接触近接通信機能部301では、DSC103の機器識別子が、この時点でリンク制御部303が記憶している機器識別子とは異なっていると判断する(ステップS903においてNo)。
このため、非接触近接通信機能部301では、非接触近接通信の接続を拒否する「非接触近接拒否応答(603)」を送信する(ステップS920)。
DSC103の非接触近接通信機能部201では、「非接触近接拒否応答(603)」を受信すると、「第1接続要求(601)」に失敗した旨をリンク制御部203に通知する(ステップS804においてNo)。DSC103のリンク制御部203では、DSC103のユーザに印刷処理ができない旨を通知する。この結果、DSC103では、プリンタ102を介して印刷処理を行うことはできない。
なお、予約モード解除タイマが満了し、印刷画像転送プロトコルにおける切断処理が実行された後は(606、ステップS913においてYes、ステップS919)、DSC103の接続は拒否されない(608〜613)。
なお、「非接触近接拒否応答(603)」には「接続可能になるための待ち時間」を含めるようにしてもよい。当該時間をもとにDSC103のユーザは、プリンタ102を使用可能になるまでの待ち時間を知ることできる。なお、DSC103では、予め定められた時間が経過し、上述した予約解除タイマのカウント処理が終了した場合には、予約状態が解除されるため、プリンタ102を介して印刷処理を行うことが可能となる。
<4.2 割り込みを拒否しない場合>
次に、DSC101のユーザが、DSC103のユーザによる割り込みを拒否しない場合の、無線通信システムにおける印刷処理の流れについて、図7〜図9を用いて説明する。
なお、図7は、DSC101をプリンタ102にかざし、最初の印刷処理のみを実行した場合の、DSC101及びプリンタ102における通信制御処理の流れを示すシーケンス図である。
DSC101のユーザがプリンタ102を介して最初の印刷処理を実行するまでの手順については、図4のシーケンス図と同様であるため、ここでは説明は省略する(701〜717)。
DSC101では、ユーザインタフェース機能部207を介して、ユーザに対して、継続してDSC101内の画像をプリンタ102に印刷させるために、プリンタ102を予約するか否かを問い合わせる(ステップS811)。
ここでは予約するか否かの問い合わせに対して、DSC101のユーザが「予約しない」旨を選択した場合について説明する。
DSC101のユーザが、継続して印刷を行わないためにプリンタ102を予約しない旨を指示入力すると、DSC101では、予約モード=OFF(718)として予約モードを設定する(ステップS812)。なお、予約モード=OFFとは、印刷画像転送プロトコルの接続状態を切断することを示す設定である。
ここで、DSC101のユーザは、上述した処理と同様の手順で、DSC101及びプリンタ102を非接触近接通信における接続状態に遷移させる(ステップS803〜S805、ステップS901、S902、S904)。
以後、DSC101とプリンタ102との間の各種要求及び応答720、721、725、728、732、736の送受信処理は、非接触近接通信機能部201及び非接触近接通信機能部301を介して行われることとなる。
プリンタ102の予約制御部307では、リンク制御部303より、非接触近接通信における接続状態が確立された旨の応答を受け取ると、リンク制御部303に対して、印刷画像転送プロトコルの接続状態を問い合わせる(ステップS905)。
当該問い合わせに対してリンク制御部303では、現在の状態、すなわち、プリンタ102とDSC101との間で印刷画像転送プロトコルの接続状態が確立している旨を応答する(ステップS905においてYes)。
当該応答を受けた予約制御部307では、リンク制御部303に対して、DSC101が継続して印刷処理を行うためにプリンタ102を予約する設定としているか否かを問うための処理を行う。
具体的には「予約確認要求(725)」をDSC101に送信する(ステップS906においてNo、ステップS907)。「予約確認要求(726)」を受信したDSC101のリンク制御部203では、その旨を予約制御部208へ通知する(ステップS806においてYes)。
ここでは、DSC101がプリンタ102を「予約しない」設定となっているため、予約制御部208では、リンク制御部203に対して、プリンタ102を予約しない旨の「予約確認応答(727)」を送信するよう指示する。
当該指示を受けて、リンク制御部203では、プリンタ102に対して、「予約確認応答(728)」を応答する(ステップS813)。プリンタ102のリンク制御部303では、「予約確認応答(729)」を受信したか否かを判断する(ステップS908)。そして、受信したと判断した場合には、「予約確認応答(729)」を受信した旨を予約制御部307へ通知する(ステップS908においてYes)。
予約制御部307では、DSC101よりプリンタ102を予約しない旨の通知を受けたことに伴って、リンク制御部303に対して、印刷画像転送プロトコルの接続状態を切断させるための処理を行う(ステップS909においてNo、ステップS917)。
すなわち、リンク制御部303では、「第2切断要求(730)」をプリンタ102の印刷画像転送処理部302に送信する。
第2切断要求(730)を受信した印刷画像転送処理部302では、「印刷画像転送切断要求(732)」をDSC101へ送信する。DSC101の印刷画像転送処理部202では、印刷画像転送切断要求(733)を受信すると(ステップS814においてYes)、印刷画像転送プロトコルの切断処理を実行する(ステップS816)。
DSC101では、切断処理の完了を「印刷画像転送切断応答(736)」としてプリンタ102へ応答する。
プリンタ102の印刷画像転送処理部302では、「印刷画像転送切断応答(737)」を受信すると、その旨を「第2切断応答(738)」としてリンク制御部303に通知する。以上の処理により、印刷画像転送プロトコルにおける切断処理が完了する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係るDSC及びプリンタでは、DSCユーザが印刷画像を選択するためにDSCをプリンタから離し、非接触近接通信プロトコルが切断状態になった場合でも、プリンタの継続使用を予約することができる。
この結果、DSCユーザが継続して印刷処理を行う場合に、次の印刷画像の選択中に第3のDSCユーザによるプリンタの割り込み使用を拒否することが可能となる。
なお、本実施形態では非接触近接通信に適用した場合について説明したが、無線LANなど他の無線方式に適用した場合においても同等の効果が期待できる。
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、印刷処理が終了した後、継続してプリンタに印刷処理を実行させるためにプリンタを予約するか否かを、ユーザに対して問い合わせる構成とした。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、継続してプリンタに印刷処理を実行させるか否かを自動的に判断するように構成してもよい。
以下、無線通信システムにおける本実施形態による印刷処理の流れについて図10〜図12を用いて説明する。なお、無線通信システムの構成及び、DSC、プリンタの機能構成は、上記第1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
なお、図10は、DSC101をプリンタ102にかざし、最初の印刷処理を実行してから、次の印刷画像を選択するまでのDSC101及びプリンタ102における通信制御処理の流れを示すシーケンス図である。
また、図11は、DSC101、103における印刷処理の流れを示すフローチャートである。図12は、プリンタ102における印刷処理の流れを示すフローチャートである。
ユーザがDSC101、プリンタ102の電源を投入し、DSC101のユーザインタフェース機能部207により制御される表示器、または印刷処理専用ボタンを介して印刷処理の実行を指示する。これにより、DSC101では当該指示を受け付ける(ステップS1101)。
印刷処理の実行指示を受け付けると、DSC101内のリンク制御部203では、非接触近接通信機能部201に非接触近接通信プロトコルにおける接続を行うための「第1接続要求(1001)」を送信する。
「第1接続要求(1001)」を受けた非接触近接通信機能部201では、「非接触近接接続要求(1002)」をプリンタ102に対して送信する。
この状態で、DSC101のユーザは、DSC101内の画像のうち、所望の画像を印刷画像として選択し、DSC101では当該選択指示を受け付ける(ステップS1102)。
次に、DSC101のユーザは、DSC101の非接触近接通信インタフェース105をプリンタ102の非接触近接通信インタフェース104上に載せる。あるいは、通信可能な距離まで近づけるようにしてかざす(ステップS1103、ステップS1201)。
かかる操作により、プリンタ102はDSC101からの「非接触近接接続要求(1002)」を受信することができるようになる。プリンタ102の非接触近接通信機能部301では、「非接触近接接続要求(1002)」を受信する。
「非接触近接接続要求(1002)」を受信すると、非接触近接通信機能部301では、非接触近接通信プロトコルにおける接続処理を実行する。そして、接続処理の完了を「非接触近接接続応答(1003)」としてDSC101へ応答する(ステップS1202においてNo、ステップS1204)。さらに該接続処理が完了した旨を「第1接続通知(1005)」としてリンク制御部303に通知する。
なお、DSC101の対向機器であるプリンタ102が、DSC101の機器識別子を認識できるようにするために、「第1接続要求(1001)」及び「非接触近接接続要求(1002)」には、DSC101の機器識別子が含まれているものとする。そして、対向機器であるプリンタ102では、「非接触近接接続要求(1002)」を受信すると、リンク制御部303がDSC101の機器識別子を記憶する。
DSC101の非接触近接通信機能部201では、「非接触近接接続応答(1003)」を受信することで非接触近接通信の接続処理が完了したことを検知する(ステップS1104においてYes)。さらに非接触近接通信機能部201では、その旨を「第1接続応答(1005)」としてリンク制御部203に応答する。
これにより、非接触近接通信プロトコル(第1の通信層)における接続状態が確立され、以後、DSC101とプリンタ102との間の送受信処理は、それぞれの非接触近接通信機能部201及び非接触近接通信機能部301を介して行われることとなる。
「第1接続通知(1004)」を受信したプリンタ102のリンク制御部303では、プリンタ102における印刷画像転送プロトコルの状況を確認する。この時点で、プリンタ102は、電源を投入してから未だDSC101の印刷画像について一度も印刷処理を行っていない状況にある。このため、印刷画像転送プロトコルは起動してないと判断する(ステップS1205においてNo)。
この結果、プリンタ102のリンク制御部303では、印刷画像転送プロトコルにおける接続処理を開始し、「第2接続要求(1006)」を印刷画像転送処理部302に送信する(ステップS1206)。
プリンタ102の印刷画像転送処理部302では、「第2接続要求(1006)」を受けると、DSC101に対して「印刷画像転送接続要求(1009)」を送信する。
DSC101の印刷画像転送処理部202では、「印刷画像転送接続要求(1009)」を受信すると(ステップS1106においてYes)、印刷画像転送プロトコルの接続処理を実行する(ステップS1107)。更に、印刷画像転送プロトコルの接続処理の完了を「印刷画像転送応答(1012)」としてプリンタ102へ応答する。
プリンタ102の印刷画像転送処理部302において、「印刷画像転送応答(1012)」が受信されると、印刷画像転送プロトコルにおける接続処理が完了となる。この時点で、DSC101はプリンタ102を介して、印刷画像の印刷が可能となっている。
次に、プリンタ102の予約制御部307では、DSC101における印刷処理の詳細について問い合わせを行う。具体的には、1枚の画像のみの印刷処理なのか、複数の画像の印刷処理なのかを問い合わせる。
なお、印刷処理の詳細についての問い合わせは以下の手順で行う。まず、プリンタ102では、予約制御部307よりリンク制御部303を介して、継続した印刷のためのプリンタの予約に関する問い合わせを行う。
具体的には「予約確認要求(1015)」をDSC101に送信する(ステップS1208)。「予約確認要求(1015)」を受信したDSC101のリンク制御部203では、その旨を予約制御部208へ通知する(ステップS1108においてYes)。
予約制御部208では、印刷枚数によって継続して印刷するためにプリンタ102を予約をするか否かを決定する。例えば「1枚」の印刷であれば、継続的な印刷が予想されるため「予約する」旨を設定し、プリンタ102に応答する。また、複数枚印刷であれば印刷の終了が予想されるため「予約しない」旨を設定し、プリンタ102に応答する。なお、予約するか否かの決定は、これと逆であってもかまわない。
DSC101のリンク制御部203では、予約するか否かについての情報を「予約確認応答(1018)」に含め、プリンタ102に応答する(ステップS1109)。
「予約確認応答(1020)」を受信したプリンタ102のリンク制御部303では、その旨を予約制御部307へ通知する(ステップS1210においてYes)。
予約制御部307における処理は、「予約確認応答(1020)」の内容によって異なる。
「予約確認応答(1020)」に「予約しない」旨の情報が含まれていた場合には、印刷画像の転送、印刷処理を実行後、印刷画像転送プロトコルにおける切断処理を実行する(ステップS1110〜S1113、S1211〜S1213、S1216)。なお、切断処理の手順に関しては、上記第1の実施形態と同様であるため、ここでは省略する。
一方、「予約確認応答(1020)」に「予約する」旨の情報が含まれていた場合には、プリンタ102の予約制御部307では、DSC101以外の通信装置の接続要求を拒否するための処理を実行する。
具体的には、リンク制御部303が、先に記憶したDSC101の機器識別子を「予約設定要求(1021)」に含め、非接触近接通信機能部301に対して送信する。
「予約設定要求(1021)」を受信した非接触近接通信機能部301では、通知されたDSC101の機器識別子以外のDSCによる接続を拒否する状態に遷移する。
この時点で、DSC101は、プリンタ102を介して印刷画像を印刷することが可能な状態となっている。従って、プリンタ102のプリンタ機能部305では、選択された印刷画像についての印刷処理を実施する(1022、ステップS1110、ステップS1211)。
印刷処理が完了すると、ユーザはDSC101にて次の印刷画像を選択するため、一旦、DSC101をプリンタ102から離す(ステップS1111、ステップS1212)。これにより、DSC101及びプリンタ102は、非接触近接通信プロトコルにおける切断状態に遷移し、非接触近接通信機能部201、301は、それぞれリンク制御部203、303へ非接触近接切断通知(1024、1023)を通知する。
プリンタ102の予約制御部307では、リンク制御部303より非接触近接切断通知(1024)を受信すると、予約状態を解除するための予約解除タイマによるカウント処理を開始する(ステップS1213においてYes、ステップS1214)。
この予約解除タイマによるカウント処理の目的は、何らかの事情でDSC101のユーザが再度の印刷処理を止めてしまった場合のためである。すなわち、DSC103のユーザがプリンタ102を使用することができない、といった状況を回避するためである。従って、予め定められた時間が経過し、予約解除タイマのカウント処理が満了した場合には予約状態は解除となり、印刷画像転送プロトコルにおける切断処理が実行される(ステップS1216)。
これらの一連の処理により、DSC101によるプリンタ102の予約処理が完了し、プリンタ102は予約状態となる。
プリンタ102が予約状態に遷移後に、DSC101のユーザが所望の印刷画像を選択し、再度、印刷処理を実行させる場合について説明する。
具体的には、DSC101のユーザは、上述した処理と同様の手順で、DSC101及びプリンタ102を非接触近接通信プロトコルにおける接続状態に遷移させる(ステップS1102〜S1105、ステップS1201〜S1204)
以後、DSC101とプリンタ102との間の各種要求及び応答の送受信処理は、非接触近接通信機能部201及び非接触近接通信機能部301を介して行われることとなる。
プリンタ102のリンク制御部303が、非接触近接通信プロトコルにおける接続状態が確立された旨の通知を受けると、予約制御部307では、リンク制御部303に対して、印刷画像転送プロトコルの接続状態を問い合わせる(ステップS1205)。当該問い合わせに対してリンク制御部303では、予約制御部307に対して印刷画像転送プロトコルの接続状態を応答する。
この結果、プリンタ102の予約制御部307では、DSC101との間において印刷画像転送プロトコルの接続状態が確立していることを認識することができる(ステップS1205においてYes)。
印刷画像転送プロトコルの接続状態が確立していると認識すると、予約制御部307では、予約モード解除タイマがカウント処理中であるか否かを判断する(ステップS1207)。そして、カウント処理中であると判断された場合には、予約解除タイマを停止する(ステップS1209)。
この時点で、DSC101は、プリンタ102を介して印刷画像を印刷することが可能な状態となっている。従って、リンク制御部303では、DSC101及びプリンタ102の印刷画像転送処理部202及び印刷画像転送処理部302を介して、選択された印刷画像の転送処理を行う(ステップS1106及びS1108においてNo、ステップS1110)。また、プリンタ102のプリンタ機能部305では、転送された印刷画像についての印刷処理を実施する(1025、ステップS1211)。
なお、プリンタ102が予約状態に遷移した後に、DSC101とは異なるDSC103のユーザが印刷処理を実行すべく、DSC103をプリンタ102に近づけた場合の通信制御処理のシーケンスは、第1の実施形態と同様である。このため、ここでは説明を省略する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係るDSC及びプリンタでは、DSCユーザが印刷画像を選択するためにDSCをプリンタから離し、非接触近接通信プロトコルが切断状態になった場合でも、プリンタの継続使用を自動的に予約することができる。
この結果、DSCユーザが継続して印刷処理を行う場合に、次の印刷画像の選択中に第3のDSCユーザによるプリンタの割り込み使用を拒否することが可能となる。
なお、本実施形態では非接触近接通信に適用した場合について説明したが、無線LANなど他の無線方式に適用した場合においても同等の効果が期待できる。
[他の実施形態]
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録したコンピュータ読取可能な記憶媒体を、システムあるいは装置に供給するよう構成することによっても達成されることはいうまでもない。この場合、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することにより、上記機能が実現されることとなる。なお、この場合、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピ(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現される場合に限られない。例えば、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。つまり、プログラムコードがメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって実現される場合も含まれる。