JP5003400B2 - 光触媒励起方法、浄化方法及びこれらの装置 - Google Patents

光触媒励起方法、浄化方法及びこれらの装置 Download PDF

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Description

本発明は空気や水に含まれる有害物質を光触媒で効率的に分解するために光触媒を励起させる技術及びこれを利用した浄化技術に関する。
酸化チタン光触媒は空気中や水中の有害物質を分解する浄化作用、抗菌作用、防汚作用を有することが知られている。半導体としての性質をもつ光触媒にそのバンドギャップ以上のエネルギーを有する光を照射すると価電子帯から伝導体に電子が励起され、電子−正孔対が生成する。これらが光触媒の表面に拡散して、表面吸着水と反応し、OHラジカルなどの活性酸素種が生成する。活性酸素種や正孔などが光触媒の表面に吸着または衝突した有害物質を分解する。酸化チタンのバンドキャップは約3.0eVであり、約400nm以下の波長の光を照射することで光励起による有害物質の分解反応を進行させることができる。
酸化チタン光触媒を利用した空気浄化装置や水処理装置では光触媒に光を照射するための光源として、ブラックライトや冷陰極ランプ、発光ダイオード等が利用されている。そして、これらの光源の光強度を大きくすることで、有害物質分解の反応速度を大きくすることができ、空気浄化装置や水処理装置の性能を向上させることができる。
酸化チタン光触媒に照射する光強度と反応速度の関係では、一般に光強度が小さいうちは反応速度が光強度に比例して大きくなる(非特許文献1)。しかし、光強度が大きくなるにつれて、光触媒表面への有害物質の拡散速度が分解速度を支配するようになり、光強度を上げても分解速度はあまり上昇しなくなる(非特許文献2)。その結果、照射した光量に対して、物質分解に利用される光量の割合が小さくなり、エネルギーの利用効率が低くなる問題がある。
非特許文献3には光触媒反応において光触媒に照射する光を周期的にON−OFFさせることでエネルギー利用効率が高められることの報告がある。すなわち、同じ光強度の条件で光を連続照射した場合と光を周期的にON−OFFするパルス照射の場合とで物質の分解量を測定してエネルギー利用効率について両者を比較すると、パルス照射の方が連続照射よりもエネルギーの利用効率が高くなるとの報告がある。しかしながら、この場合には同じ光強度の条件で比較すると、物質の分解速度は連続照射の方がパルス照射よりも大きくなっており、反応速度を維持したままエネルギーの利用効率を高くするには至っていない。
特許文献1には光触媒の利用に供される二つの光源を備えた空気清浄器が開示されている。この空気清浄器は、空気の汚染が大きい場合に二つの光源を連続照射する一方で、空気の汚染度がそれほど大きくない場合には各光源を周期的に点灯と消灯とを繰り返し、二つの光源の点灯タイミングと消灯タイミングを正反対になるようにパルス照射する。しかしながら、前記空気清浄器は、汚染物質の量に応じて連続照射とパルス照射を切り替えるにすぎず、連続照射と同じ反応速度を維持しながらエネルギーの利用効率を高くする発明には至っていない。
特許文献2には光触媒を励起させる光源としての発光ダイオードにパルス照射を実行させて光触媒反応を効率よく励起させる方法が開示されている。しかしながら、この特許文献にはパルス照射したときの反応速度やエネルギー利用効率の測定値が示されておらず、連続照射と比較した場合、パルス照射が処理性能の面やエネルギー効率の面で優位かどうかが明らかにされていない。
特許文献3には、光触媒で物質を分解する際に分解反応で生じた2次生成物が分解対象物質の光触媒への吸着を阻害する場合、発光ダイオードにパルス照射を実行させると前記阻害がなくなり、連続照射と同等以上の反応速度が得られることの記載がある。しかしながら、パルス照射と連続照射について処理対象(窒素酸化物)の除去速度を比較する検証実験によると連続照射の方がパルス照射によりも高い除去速度を示すことが判明し、特許文献3に記載されたようなパルス照射の優位性は確認できなかった。
特許文献4には、光触媒微粒子を含有したアルミノ珪酸塩粒子に光を照射して反応速度を調べると、発光ダイオードにパルス照射を実行させた場合でも連続照射と同じ反応速度が得られることが記載されている。しかしながら、パルス照射と連続照射について処理対象(窒素酸化物)の除去速度を比較する検証実験によると連続照射の方がパルス照射によりも高い除去速度を示すことが判明し、特許文献4に記載されたパルス照射の優位性は確認できなかった。
野坂芳雄他著,「入門光触媒」,東京図書,2004年9月,pp.100 橋本和仁他編著,「光触媒−基礎・材料開発・応用」,エヌ・ティー・エス,2005年5月,pp.54 K.J.Buechler et al,「Ind.Eng.Chem.Res.」,1999,38,pp.1258〜1263 特開2000−5289号公報(段落0018) 特開2004−242865号公報(段落0042) 特開2006−296811号公報(段落0008〜0011) 特開2006−271636号公報(段落0059,0060)
本発明は以上の事情に鑑みなされたものでその目的は光触媒の励起技術及びこれを用いた浄化技術においてエネルギー消費量を低減させると共に浄化技術においては浄化能力を高めることにある。
前記課題を解決するための光触媒励起方法は、浄化に供される流体と接触させる光触媒を励起するための光源を複数有し、前記いくつかの光源は他のいくつかの光源と周期的な点滅の位相がずれるように点滅させる光触媒励起方法であって、前記光源は発光ダイオード、ブラックライト、冷陰極ランプのいずれかであり前記光触媒はルチル型、ブルックカイト型の酸化チタン、この酸化チタンに窒素や硫黄をドープした可視光応答型光触媒、アナターゼ型酸化チタンに酸素欠損を導入した可視光応答型光触媒のいずれかであり前記光源が周期的に点滅するときのDuty比は50%以上であること及び周波数は2kHz未満である
以上の光触媒励起方法よれば、前記光源の光が照射された光触媒に流体が接触すると、全ての光源に連続照射を実行させた場合と同等以上の前記流体に含まれる被処理物の除去速度が得られる。また、被処理物が除去される際のエネルギー利用効率は全ての光源を連続照射した場合よりも高くなる。さらに、前記光源が周期的に点滅するときのDuty比が50%以上であること及び周波数が2kHz未満であるので、流体の浄化速度が高まる。また、前記複数の光源を二次元的に配置させると前記作用効果は一層高まる。
尚、前記複数の光源を二つの群に分け、同一群の光源は同位相で点滅し、一方の光源群と他方の光源群との周期的な点滅の位相差は180度であること及び周波数は20Hz〜2kHzにすると、流体の浄化速度の向上が確実となる。
したがって、以上の発明によれば光触媒の励起技術及びこれを用いた浄化技術においてエネルギー消費量が低減すると共に浄化技術においては浄化能力が高まる。
発明者らの鋭意研究の末、浄化に供される流体と接触させる光触媒を照射する複数の光源に周期的に照射とその停止を実行させ且つ互いの周期の位相をずらすことにより、全ての光源に連続照射を実行させた場合と同等以上の前記流体に含まれる被処理物の除去速度が得られることが見出された。また、前記に含まれる被処理物が除去される際のエネルギー利用効率は全ての光源を連続照射した場合よりも高くなることも見出された。以下に発明の実施の形態について詳細に説明する。
光触媒による有害物質の分解反応は、光触媒表面に吸着または衝突した有害物質と、光触媒への光照射で生成した活性酸素種が反応することにより進行する。光を照射すると価電子帯から伝導体に電子が励起され、電子−正孔対が生成する。これらが光触媒の表面に拡散して、正孔側で酸化反応、電子側で還元反応が進行する。多くの場合、有害物質は正孔側の酸化反応で分解されるが、光触媒反応が継続的に進行するようにするには、電子側の還元反応も同時に進行させる必要がある。電子側の還元反応は、多くの場合、酸素が関与し、酸素が電子を受け取ってスーパーオキサイドなどの活性種を生成する。したがって、光触媒による有害物質の分解反応では、有害物質濃度と光強度の他に、酸素濃度が反応速度に影響し、有害物質濃度と光強度が十分に大きい場合には、酸素の光触媒表面への拡散速度が反応速度を支配するようになる。
図7は光触媒に光を照射したときに生じる光電流の経時的変化を模式的に示した特性図である。光触媒に光を断続的に周期的に照射すると、つまりパルス照射すると、図7(a)に示したように光電流は光照射後に高くなり、その後減衰し、光の照射を停止(OFF)すると電流も速やかに消失する。また、図7(b)のように、パルス照射で照射間隔を小さくすると、照射間隔が大きいときと比較して光照射後に発生するピーク値が小さくなる(N.S.Foster et Journal of Electroanalytical Chemistry,406,1996,pp.213〜217)。光電流のピークが小さくなるのは、光電流の発生に必要な酸素が不足するためであり、光照射の頻度を大きくすると、光触媒の表面への酸素の拡散速度が反応律速となり、光照射量に対する光電流の発生量の割合、つまり、反応効率が低下することになる。光を連続照射した場合にも、図7(b)と同じような現象が起きており、パルス照射と比較して、光電流のピーク値が減少し、反応効率が低下することになる。
そこで、発明者らは光電流のピーク値の減少を抑え且つ光電流の発生を持続させるために、図7(c)のように、光強度の大きい時間帯と小さい時間帯を繰り返しながら周期的に照射する強弱交互照射の方式を創出した。光強度の小さい時間帯を光強度の大きな時間帯の間に介在させることで、酸素の消費量を減少させることができ、光強度の小さい時間帯に光触媒表面に酸素を蓄積させることで、光強度の大きい時間帯に発生する光電流のピーク値の低下を抑え、大きいまま維持できることになる。したがって、図7(c)のように、光強度の小さい時間帯にも光電流を発生させ、結果的に光電流を持続的に発生させることができる。
光強度を小さくすることで、光触媒表面への酸素の拡散速度よりも酸素消費量を小さく抑えることができ、光触媒表面での酸素の不足を回避できることになる。その結果、光電流のピーク値の減少を抑えながら、光電流の発生を持続させることができ、連続照射の場合と同等以上の反応速度を得ることが可能となる。この強弱交互照射の方式において、図7(d)のように、光強度の大きい時間帯と小さい時間帯と入れ替える間隔を小さくしすぎると、光強度の小さい時間帯に酸素が十分に蓄積できなくなり結果的に光強度の大きい時間帯に発生する光電流のピーク値が低下することとなる。また、入れ替える間隔を大きくしすぎると光強度のピーク値は高いまま維持できるが、ピークの発生頻度が少なくなるため、結果的に反応量が少なくなることになる。これらのことから、強弱交互照射の方式では、照射パターンを切り替える頻度には適性値が存在し、切り替えの周波数が一定範囲となるように設定することで高い反応速度を得ることができる。
前記強弱交互照射方式の実施形態として例えば図1に示された浄化装置10が挙げられる。ファン1は浄化装置10内部に外部の空気を吸引するための吸気手段である。このファン1の動作により浄化装置10の外部から空気入口2を介して有害物質を含んだ外部の空気が浄化装置10の内部に導入される。導入された空気は光触媒励起装置3の光源から光が照射された光触媒フィルタ4を通過する。その際、空気中の有害物質が光触媒フィルタ4の表面と接触する。光触媒フィルタ4は数ミリの孔がランダムに空いた多孔質セラミックスの表面に酸化チタン光触媒をコーティングしたものである。前記光源からの光が光触媒フィルタ4の表面の酸化チタン光触媒に照射され、光触媒反応が進行する。
光触媒励起装置3に組み込まれる発光ダイオードは例えば図2ように配置される。32個の発光ダイオード(LED)はLED基板6に4列×8行に配置されている。この複数の発光ダイオードは二つの群にグループ分けされている。図2に記載の黒丸で示した複数の発光ダイオード7はA群を構成し、白丸で示した複数の発光ダイオード8はB群を構成する。A群の16個の発光ダイオードは同期させながら同じタイミングで周期的にON(点灯)−OFF(消灯)させ、B群の中の16個も同期させるが、A群とB群とではON(点灯)のタイミングをずらしてお互いの周期的な点灯の位相をずらして照射できるようにする。発光ダイオードは指向性を有しているので、単一の発光ダイオードから発する光はその真上方向がもっとも強く、斜め上方向にも放出されるが、その光強度は真上に比べて小さくなる。図2に示されたように発光ダイオード7,8を配置し、A群とB群において発光ダイオード7,8の周期的点灯の位相をずらすことで、光フィルタ4の表面の光触媒に照射される光の強度は局所的には一定の周期で強弱を繰り返すようになる。例えば、A群の発光ダイオード7の真上に位置している光触媒はA群の発光ダイオード7が点灯している間で最も光強度が強くなる。一方、A群の発光ダイオード7が消灯し、B群の発光ダイオード8が点灯しているときには、斜め横方向からの光しか届かないので、A群の発光ダイオード7の真上に位置している光触媒はA群の発光ダイオード7が点灯しているときよりも光強度が小さくなる。
以下に発明の実施形態に係る空気浄化装置の実施例について述べる。
[実施例1]図1に示した浄化装置10の構成に基づく光触媒式空気浄化装置に図2に示したな光触媒励起装置3を組み込んだ。次いで、A群の発光ダイオード7、B群の発光ダイオード8をDuty比50%、周波数500Hzで点滅させ、A群及びB群は互いに周期的な点滅の位相が180度ずれるように点滅させて、空気に含まれる有害ガス(NOx)の分解能力を調べた。発光ダイオード7,8には豊田合成製の紫色発光ダイオード(PURPLE Hi)を用い、電流値18.5mA/個(電流値100%)の条件で発光させた。光触媒フィルタ4には酸化チタン光触媒をコーティングしたものを用いた。
[実施例2〜実施例8]実施例2〜実施例8では、実施例1における発光ダイオードの点滅の際のDuty比及び点灯周波数をそれぞれ表1に示した値に設定し、それ以外は実施例1と同じ条件として、有害ガスの分解能力を調べた。
Figure 0005003400
[比較例1]A群の発光ダイオード7とB群の発光ダイオード8を同じ位相でDuty比50%、周波数500Hzで同時に点滅させたこと以外は実施例1と同じ条件で空気に含まれる有害ガス(NOx)の分解能力を調べた。
[比較例2]A群の発光ダイオード7を連続点灯させる一方でB群の発光ダイオード8を点灯させないで半分の数の発光ダイオードを連続点灯させたこと以外は実施例1と同じ条件で空気に含まれる有害ガス(NOx)の分解能力を調べた。
[比較例3]発光ダイオード7,8に流す電流値を9.25mA/個(電流値50%)にして発光強度2分の1の条件でA群の発光ダイオード7とB群の発光ダイオード8を連続点灯させたこと以外は実施例1と同じ条件で空気に含まれる有害ガス(NOx)の分解能力を調べた。
[比較基準]A群の発光ダイオード7及びB群の発光ダイオード8の全てを連続照射したこと以外は実施例1と同じ条件で空気に含まれる有害ガス(NOx)の分解能力を調べた。
以上の実施例、比較例及び比較基準に係る有害ガスの分解能力を調べる実験は、窒素酸化物を処理対象とし、1m3のアクリル試験室に光触媒式空気浄化装置をセッティングして行った。試験室に一酸化窒素の標準ガスを初期濃度200ppbとなるように添加し、添加が終わった時点で前記空気浄化装置の運転を開始し、一酸化窒素及び二酸化窒素の濃度を化学発光式NOx計(堀場製作所,APNA−360)によって連続測定した。一酸化窒素と二酸化窒素の濃度の合計値をNOx濃度としてNOx濃度の減少速度から有害ガスの分解能力を評価した。
図3は実施例1、比較例1〜比較例3、比較基準でのNOx濃度の経時的変化を示す。電流値100%で連続照射した比較基準(連続照射)と比較して、実施例1では、NOx濃度の減少が早く、除去速度が向上していることがわかる。実施例1では各発光ダイオードはDuty比50%で点滅させているので、各発光ダイオードの電流値は基準の連続照射の場合の2分の1となっており、発光量も2分の1となっている。つまり、実施例1では連続照射と同等以上の浄化速度を実現し、且つエネルギー利用効率を2倍以上に向上させることに成功している。
図3には比較例1〜比較例3でのNOx濃度の経時的変化が示されているが、いずれの場合も比較基準(連続照射)よりも減少が遅くなっていることがわかる。比較例1ではDuty比が50%で点灯しているので、発光量は比較基準の連続照射の場合の2分の1となっている。比較例1でのNOxの分解速度は比較基準(連続照射)に比べて低下しているものの2分の1までは低下しないので、発光量に対する有害物質の分解量、つまりエネルギー利用効率は向上していることになる。したがって、比較例1のように発光ダイオードを同時に点滅させる方式では、エネルギー利用効率は向上するが、有害物質の浄化速度は低下し、浄化装置の処理能力が低下することが明らかとなった。
比較例2で、発光ダイオードを半数のみ連続点灯させた場合には、比較基準と比べて発光量は2分の1となっているが、NOxの浄化速度は比較基準より低下してしまっている。また、比較例3では、電流値を2分の1とすることで発光量は2分の1となっているが、比較例2と同様にNOxの浄化速度は比較基準より低下してしまっている。したがって、比較例2及び比較例3でも、連続照射と同等以上の浄化速度を実現しながらエネルギー利用効率を向上させるには至らないことが明らかになった。
図4は実施例1〜実施例3、比較基準でのNOx濃度の経時的変化を示す。
実施例2では、周期的点灯の周波数を100Hzとして実施例1より周波数が小さい条件となっているが、この場合には、比較基準とほぼ同じ浄化速度を示した。したがって、実施例2では連続照射と同等以上の浄化速度を実現し、且つエネルギー効率を2倍の向上できることが明らかとなった。実施例3では、周波数を2kHzとして、実施例1より周波数が大きくなっているが、この場合には、浄化反応の初期では連続照射とほぼ同じ速度を得ているが、浄化が進むにつれて連続照射より浄化速度が小さくなっている。周波数が大きすぎると上述のように光触媒表面への酸素供給が間に合わなくなり、強弱交互照射の方式でも連続照射より浄化速度が低下すると考えられた。これらの結果から、Duty比50%の場合には、浄化速度を高めるためには点灯時間を2kHz未満に設定することが好ましいことと考えられた。
次に、Duty比の影響について調べ、Duty比と周波数の適性値について検討した。図5はDuty比50%、周波数2kHzの実施例3と、Duty比60%、周波数2kHzの実施例4について、NOx除去速度を比較したグラフである。図5に示された実施例3と実施例4によるNOx濃度の経時的変化の比較によると、同じ2kHzの周波数でも、Duty比を50%から60%に増やすことでNOxの濃度減少が速くなり、浄化速度が上昇することが明らかとなった。このことから、高い浄化速度を得るには、2kHzの条件ではDuty比を60%以上に設定することがより好ましいと考えられる。
また、実施例4〜実施例8のNOx除去速度を比較した結果を図6に示した。図6に示された実施例4〜実施例8によるNOx濃度の経時的変化の比較によると、実施例4〜実施例8ではNOxの濃度減少に顕著な差は認められず、いずれの条件でも高い浄化速度が得られることが明らかとなった。よって、Duty比60%以上では、20Hz〜2kHzの範囲では周波数による浄化速度の違いは認められず、いずれの周波数でも高い浄化速度が得られることが明らかとなった。
以上の結果から、強弱交互照射の方式で高い浄化速度を得るためには、Duty比50%以上に設定することが好ましく、Duty比60%以上に設定することがより好ましいと考えられる。また、Duty比50%の場合には、周波数を2kHz未満に設定することが好ましく、Duty比60%以上では、周波数20Hz〜2kHzのいずれかの値に設定してもよいと結論できる。
このように、点灯周期を適性範囲に設定すれば、強弱交互照射の方式では、有害ガスの分解において連続照射と同等以上の浄化速度を得ることができ、かつエネルギー利用効率を向上させることができることが示され、強弱交互照射方式の有効性が実証された。
発明に係る浄化装置に使用される光源は発光ダイオード以外にもブラックライトや冷陰極ランプなどの蛍光ランプなど利用することができ、光触媒に照射して光励起反応を起こすことのできる光源であれば特に限定されない。
また、発明に係る浄化装置に使用される光触媒は、ルチル型、ブルックカイト型の酸化チタン、そして、この酸化チタンに窒素や硫黄をドープした可視光応答型光触媒、アナターゼ型酸化チタンに酸素欠陥を導入した可視光応答型光触媒等を利用することができ、光触媒の種類は限定されない。
発明の実施形態に係る浄化装置の構成を示した概略断面図。 発明の実施形態に係る光触媒励起装置の構成を示した概略断面図。 実施例1、比較例1〜比較例3、比較基準でのNOx濃度の経時的変化。 実施例1〜実施例3、比較基準でのNOx濃度の経時的変化。 実施例3、実施例4、比較基準でのNOx濃度の経時的変化。 実施例4〜実施例8、比較基準でのNOx濃度の経時的変化。 光触媒に光を照射したときに生じる光電流の経時的変化。
符号の説明
1…ファン
2…空気入口
3…光触媒励起装置
4…光触媒フィルタ
5…空気出口
6…LED基板
7…発光ダイオード(A群)
8…発光ダイオード(B群)
10…浄化装置

Claims (3)

  1. 浄化に供される流体と接触させる光触媒を励起するための光源を複数有し、前記いくつかの光源は他のいくつかの光源と周期的な点滅の位相がずれるように点滅させる光触媒励起方法であって、
    前記光源は発光ダイオード、ブラックライト、冷陰極ランプのいずれかであり
    前記光触媒はルチル型、ブルックカイト型の酸化チタン、この酸化チタンに窒素や硫黄をドープした可視光応答型光触媒、アナターゼ型酸化チタンに酸素欠損を導入した可視光応答型光触媒のいずれかであり
    前記光源が周期的に点滅するときのDuty比は50%以上であること及び周波数は2kHz未満であること
    を特徴とする光触媒励起方法。
  2. 前記複数の光源を二つの群に分け、同一群の光源は同位相で点滅し、一方の光源群と他方の光源群との周期的な点滅の位相差は180度であること及び周波数は20Hz〜2kHzであること
    を特徴とする請求項1に記載の光触媒励起方法。
  3. 前記複数の光源は二次元的に配置されたこと
    を特徴とする請求項1または2に記載の光触媒励起方法。
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