図1はこの発明の一実施形態としての発電型ポータブル電源の一方の燃料パックを取り外した状態の平面図を示し、図2はその右側の側面図を示したものである。この発電型ポータブル電源では、1つの発電モジュール1に対して2つの燃料パック21が取り外し可能に装着されるようになっている。
そして、詳細は後述するが、発電モジュール1は、外部のデバイスに電力を供給する電源であって、燃料改質方式の固体高分子型の燃料電池を備え、いずれか一方の燃料パック21から供給される発電用燃料(例えば、水素を含む液体燃料、液化燃料及び気体燃料の少なくとも何れかに水が含まれたもの)を用いて発電し、一方の燃料パック21内に発電動作に必要な十分な量の発電用燃料が残存しなくなると、発電用燃料の供給を一方の燃料パック21からではなく他方の燃料パック21から受けるように自動的に切り換えるようになっている。
発電モジュール1は、樹脂又は金属製のケース2を備えている。ケース2は、上方向から見ると略棒状で、横方向から見ると略半円形状であり、中央部に設けられた中央突出部3と両端部に設けられた端部突出部4との各間に燃料パック収納部5が設けられた構造となっている。ケース2の燃料パック収納部5側とは反対側の所定の箇所には、ノートパソコン等の携帯用デバイスのコネクタ(図示せず)に接続される正極端子6及び負極端子7が設けられている。
ケース2の中央突出部3の上面の左右両側に設けられた方形状の開口部8内には、その内側に左右方向移動可能に設けられた燃料パックロック用スライダ9の操作用突起9aが配置されている。ケース2の中央突出部3の根元側の上面において各開口部8の近傍には燃料残量表示用ランプ10が設けられている。燃料パックロック用スライダ9及び燃料残量表示用ランプ10の詳細については、後で説明する。
両燃料残量表示用ランプ10間におけるケース2の上面には、後述する燃料改質の過程で生成される副生成物の一部である有毒な一酸化炭素を酸化して二酸化炭素にするために必要な空気(酸素)を取り込む等のための複数のスリット11が設けられている。中央突出部3と両端部突出部4との各間におけるケース2の上面の各所定の箇所には、後述する発電に必要な空気(酸素)を取り込む等のための複数のスリット12が設けられている。
ここで、燃料パック21の外部構成について説明する。燃料パック21は、透明な高分子樹脂製の中空ほぼ半円柱状のケース22を備えている。ケース22の両側面の各所定の箇所にはガイド溝23が設けられている。ケース22の平坦な背面の両端部の各所定の箇所には燃料供給口24及び副生成物回収口25が設けられている。図1の各燃料パック21の左側面の所定の2箇所及び右側面の所定の2箇所には、図2に示すように、係合孔26が設けられている。燃料パック21の内部構成については後で説明する。
そして、各燃料パック収納部5において、中央突出部3と端部突出部4との相対向する面の各所定の箇所には、燃料パック21のガイド溝23に対応して、ガイド突起13が設けられている。また、各燃料パック収納部5において、中央突出部3と端部突出部4との間におけるケース2の両側の各所定の箇所には、燃料パック21の燃料供給口24及び副生成物回収口25に対応して、燃料導入ポート14及び副生成物回収ポート15が設けられている。
この場合、2つの燃料パック21は同一構造であり、ケース2の2つの燃料パック収納部5はともに、燃料導入ポート14が左側に位置し、副生成物回収ポート15が右側に位置している。したがって、燃料パック21は左右のいずれの燃料パック収納部5にも収納可能である。そして、燃料導入ポート14の嵌合形状及び副生成物回収ポート15の嵌合形状は互いに異なり、また燃料供給口24の嵌合形状及び副生成物回収口25の嵌合形状は互いに異なるので、燃料供給口24を誤って副生成物回収ポート15に差し込むことはできず、また副生成物回収口25を誤って燃料導入ポート14に差し込むことができない。このように、利用者は単一の種類の燃料パック21で、且つ各燃料パック収納部5の燃料導入ポート14及び副生成物回収ポート15の位置関係は同じなので左右の燃料パック収納部5によって異なる収納の仕方を覚える必要もなく、誤って燃料パック21の上下を逆にして収納してしまうことがない。なお各燃料導入ポート14の近傍におけるケース2の各所定の箇所には、各燃料パック収納部5内にそれぞれ燃料パック21が収納されたことを検出するためのスイッチ16が設けられている。
次に、図3は燃料パック21の横断平面図を示したものである。ケース22内には、一例として、メタノール水溶液からなる発電用燃料(以下、単に燃料という。)が封入されている。以下、この燃料が封入された部分は燃料封入部27という。ケース22内において副生成物回収口25の内側には透明な可撓性高分子樹脂の副生成物回収部28が取り付けられている。副生成物回収部28内には、図示していないが、例えば赤色の色素がある程度封入されている。ケース22及び副生成物回収部28を透明とするのは、後で説明するが、燃料封入部27内の燃料の残量を外部から光学的に検出することができるようにするためである。
燃料供給口24は、逆止弁からなり、一例として、図4に示すように、円筒体24aの内側に弾性変形可能な板弁24bが設けられた構造となっている。そして、燃料パック21が発電モジュール1の燃料パック収納部5内に収納されていない状態では、燃料供給口24は、板弁24b自体の弾性復帰力により、さらにはケース22内に封入された燃料の大気圧より高い内圧により、閉じられている。副生成物回収口25は形状は異なるが燃料供給口24と同様な機能となっており、筒体及び板弁を有している。
次に、図5は燃料パック21が発電モジュール1の燃料パック収納部5側に収納された状態で燃料パック21が誤って発電モジュール1から外されないようにオートロックしている場合の図1に示す右側の燃料パックロック用スライダ9の部分の横断平面図を示し、図6はオートロックしている場合の同部分の縦断面図を示したものである。燃料パックロック用スライダ9は中央突出部3上面に露出された操作用突起9aを有し、中央突出部3内部にスライダ本体31を有している。燃料パック収納部5の一側部である支持部35側のスライダ本体31の一側面には、先端傾斜面32aを有する係合突起32が設けられ、スライダ本体31の他の側面には、軸33が設けられている。軸33の端部は中央突出部3内の軸支持部30に設けられた貫通孔29に左右方向移動可能に挿通されている。
また、通常の状態においては、燃料パックロック用スライダ9は、スライダ本体31と左側の軸支持部30との間で軸33の周囲に巻かれたコイルスプリング37の応力により右側に付勢されて、スライダ本体31が支持部35に当接する位置に位置決めされている。この状態では、係合突起32の先端傾斜面32aの部分は支持部35の外側における燃料パック収納部5内に突出されており、燃料パック21のいずれか一方の係合孔26は係合突起32に引っ掛かることで燃料パック21が発電モジュール1の燃料パック収納部5に固定される。
スライダ本体31の下面には係合孔34が設けられ、この下面の下方に電磁ソレノイド38が設けられている。電磁ソレノイド38は、円筒状のロッド39と、ロッド39の中央周囲を覆うように設けられ且つ内部に永久磁石及び電磁力コイルを有するプランジャ40と、プランジャ40を支持するとともにリニアボール軸受66を介在させてロッド39が長尺方向にスムースに移動できるようにする支持部65と、を有する。電磁ソレノイド38は、後述するようにオートロック状態を検知する発電モジュール1内の制御部55がプランジャ40内の電磁力コイルを制御することによりケース2内の所定の箇所に設けられた電磁ソレノイド38のロッド39の先端部が係合突起32のスライド方向に対して直交方向に移動して燃料パックロック用スライダ9の係合孔34内に挿入し、燃料パックロック用スライダ9がスライドできないように固定するようになっている。ただし、燃料パック21が燃料パック収納部5内に収納されていない状態では、その状態を発電モジュール1内の制御部55が検知して電磁ソレノイド38のロッド39の先端部は燃料パックロック用スライダ9の係合孔34から抜け出て、燃料パックロック用スライダ9がスライド自在になる。
次に、一例として、右側の燃料パック21を発電モジュール1の右側の燃料パック収納部5内に収納する場合について説明する。燃料パック収納部5内に燃料パック21を収納していない初期状態では、すなわち、燃料パック21がスイッチ16を押していない状態では、制御部55により電磁ソレノイド38のロッド39の先端部は燃料パックロック用スライダ9の係合孔34外に移動する。このため、燃料パックロック用スライダ9がスライド自在の状態になっている。次いで、燃料パック21のガイド溝23をガイド突起13にガイドさせながら、燃料パック21を燃料パック収納部5内に収納すると、まず、燃料パックロック用スライダ9がその係合突起32の先端傾斜面32aを燃料パック21の左側面によって押されることによりコイルスプリング37の力に抗して左側に移動し、燃料パック21の燃料パック収納部5内への収納を許容する。
そして、燃料パック21が燃料パック収納部5内に収納されると、燃料パックロック用スライダ9がコイルスプリング37によって付勢されて右側に移動し、その係合突起32の先端傾斜面32aの部分が燃料パック21の所定の一方の係合孔26内に挿入される。したがって、この状態では、燃料パック21は燃料パック収納部5内の収納位置にロックされる。
また、燃料パック21が燃料パック収納部5内に正常に収納されると、スイッチ16が燃料パック21によって押されてオン状態となることを制御部55が検知して電磁ソレノイド38のロッド39が燃料パックロック用スライダ9の係合孔34内に挿入される。したがって、燃料パック21が収納された側の燃料パックロック用スライダ9は、係合突起32が貫通孔36を介して燃料パック21のいずれか一方の係合孔26に係合して燃料パック21が発電モジュール1の燃料パック収納部5に固定された状態を維持したまま、スライドできないようにロックされる。
なお、上記オートロック制御は右側の燃料パック収納部5に関する説明であったが、発電モジュール1の左側の燃料パック収納部5にも同じ機能、動作を行う機構を具備していることはいうまでもない。また左側の燃料パックロック用スライダ9及び操作用突起9a並びに周辺の関連のロック機構構造は、図5に示す右側のそれらに対して鏡像となるようになっている。
このように、電磁ソレノイド38によって燃料パックロック用スライダ9を燃料パック21をロックしている位置にロックするのは、発電動作中、つまり後述する燃料蒸発部44、燃料改質部45、CO除去部46、発電部50の少なくとも一つが動作している間中、或いは燃料パック21から発電用燃料が発電モジュール1供給されている間に、燃料パック21が誤って取り外されるのを防止し、ひいては発電動作が異常停止する事故を未然に防止するためである。
図7(a)は、燃料パック21が燃料パック収納部5内に収納された時に燃料供給口24の円筒体24aの内側に円筒状の燃料導入ポート14が挿入された時の略断面図であり、図7(b)は、燃料パック21が燃料パック収納部5内に収納された時に、副生成物回収口25の縦断面での内形が矩形状の筒体25aの内側に、縦断面での外形が矩形である筒状の副生成物回収ポート15が挿入された時の略断面図である。このとき、燃料供給口24の板弁24bが燃料導入ポート14の先端部によって押されて弾性変形し、燃料導入ポート14が燃料封入部27と連通される。また、これと同様に、副生成物回収口25の板弁25bが副生成物回収ポート15の先端部によって押されて弾性変形し、副生成物回収ポート15が副生成物回収部28内と連通される。
ここで、円筒体24aの縦断面での内形と副生成物回収ポート15の縦断面での外形とは形状が異なり、また筒体25aの縦断面での内形と燃料導入ポート14の縦断面での外形は形状が異なっている。さらに、燃料導入ポート14の縦断面での外形の径Dは筒体25aの縦断面での内形の高さHより長いために燃料導入ポート14は筒体25aに挿入することができず、副生成物回収ポート15の縦断面での外形の幅Wは円筒体24aの縦断面での内形の径Dより長いため、副生成物回収ポート15は円筒体24aに挿入することができないので、誤って燃料パック21の燃料供給口24及び副生成物回収口25をそれぞれ副生成物回収ポート15及び燃料導入ポート14に差し込むことはない。
このように、燃料導入ポート14及び副生成物回収ポート15の形状を互いに異ならせる燃料パック21を用い、この燃料パック21に応じて燃料供給口24の円筒体24a及び副生成物回収口25の筒体25aの形状を互いに異ならせることにより誤って燃料パック21を逆に差し込むことを防止できる。
ここで、燃料残量表示用ランプ10について説明する。右側の燃料残量表示用ランプ10は右側の燃料パック収納部5に収納される燃料パック21に対応し、左側の燃料残量表示用ランプ10は左側の燃料パック収納部5に収納される燃料パック21に対応するものである。
そして、燃料残量表示用ランプ10は、燃料パック収納部5内に燃料パック21が収納されていないとき、つまりスイッチ16が燃料パック21に押しつけられていないときに消灯し、燃料パック収納部5内に収納された燃料パック21の燃料封入部27内の燃料の残量が発電動作に必要な十分な量であるとき、緑色点灯し、燃料パック収納部5内に収納された燃料パック21の燃料封入部27内の燃料の残量が発電動作に必要な十分な量でないとき、赤色点灯するようになっている。また、このような燃料残量データをデバイス101に出力するよう機能を有していてもよい。この場合、正極端子6及び負極端子7以外に燃料残量データをデバイス101に出力する端子を発電モジュール1に設け、且つデバイス101に各燃料パック21の残量状態を表示するインジケータを設けることにより、操作者がデバイス101を操作中に、発電モジュール1の燃料残量表示用ランプ10を確認することなく、燃料パック21の交換時期を認識することができる。残量データは、燃料パック21の燃料封入部27内の燃料の残量が発電動作に必要な十分な量であるか否かの二値でもよいが、残量データを、例えば75%以上、50%以上75%未満、発電に必要な量以上50%未満、発電に必要な量未満のように多段階以上に分類されたデータでもよく、このようなデータにしたがってデバイス101が残量状態を細かく表示することで操作者は燃料パック21の交換時期を容易に予測しながらデバイス101を操作することができる。なお、燃料パック収納部5内に収納された燃料パック21の燃料封入部27内の燃料の残量の検出については、後で説明する。
次に、図8は発電モジュール1及び燃料パック21の要部と発電モジュール1により駆動されるノートパソコン等のデバイス101の要部とのブロック図を示したものである。ただし、図8では、燃料パック21等のように、2つあるものについては、1つしか図示していない。そして、以下の説明においては、この図8と併せて説明する。ただし、ここで、デバイス101のみについて説明すると、デバイス101は、コントローラ102と、このコントローラ102によって駆動制御される負荷103とを備えている。
次に、図9は発電モジュール1のケース2の内部の概略構成の平面図を示したものである。まず、ケース2の中央部及びその近傍の部分について説明する。各燃料導入ポート14は流路41を介してマイクロポンプ(燃料流量制御部)42の流入側に接続されている。マイクロポンプ42の流出側は流路43を介して燃料蒸発部44に接続されている。燃料蒸発部44は、燃料パック21から供給されるメタノール水溶液からなる燃料を、制御部55の制御により後述する薄膜ヒータ63で加熱して気化させる。
燃料蒸発部44の流出側は燃料改質部45の流入側に接続されている。燃料改質部45は、マイクロケミカルリアクタと呼ばれる小型反応炉で構成され、燃料蒸発部44から供給される気化された燃料を改質して水素と副生成物の二酸化炭素と微量の一酸化炭素とを生成し、そのうちの二酸化炭素を分離してスリット11を介して大気中に放出するものであり、その具体的な構造については後で説明する。また、必要に応じて、図示しない流路を介して、マイクロポンプ42及び/または後述する発電部50から供給される水を受け、そのうちの一酸化炭素と水とを反応させて水素と副生成物の二酸化炭素とを生成し、そのうちの二酸化炭素を分離してスリット11を介して大気中に放出してもよく、その具体的な構造については後で説明する。
燃料改質部45の流出側はCO(一酸化炭素)除去部46の流入側に接続されている。CO除去部46は、マイクロケミカルリアクタで構成され、燃料改質部45から供給される水素とともに含まれている一酸化炭素を、スリット11を介して取り込まれる酸素とを反応させて二酸化酸素にし、この二酸化炭素を水素と分離してスリット11を介して大気中に放出するものであり、その具体的な構造については後で説明する。
CO除去部46の流出側は流路47を介して2つのマイクロポンプ48の各流入側に接続されている。各マイクロポンプ48の流出側はそれぞれ流路49を介して発電部50の流入側に接続されている。各発電部50は、各燃料パック収容部5の部分におけるケース2の内部に設けられている。発電部50は、CO除去部46から供給される水素を受け、この水素とスリット12を介して取り込まれる酸素とを用いて発電し、発電電力を充電部51に供給し、またそのときに生成する水を流路52に放出するものであり、その具体的な構造については後で説明する。
流路52は、図9では、マイクロポンプ53に向かって下る傾斜している流路であり、その下端はマイクロポンプ53の流入側に接続されている。マイクロポンプ53の流出側は、流路59を介して副生成物回収ポート15に接続されている。したがって、マイクロポンプ53の流出側は、燃料パック収納部5に燃料パック21が収納された状態では、副生成物回収ポート15及び副生成物回収口25を介して副生成物回収部28内に接続されている。右側の燃料パック収納部5のスイッチ16が押されていない状態、つまり燃料パック21が右側の燃料パック収納部5に収納されていない状態では、制御部55により右側のマイクロポンプ42、48、53の動作を停止し、左側の燃料パック収納部5のスイッチ16が押されていない状態、つまり燃料パック21が左側の燃料パック収納部5に収納されていない状態では、制御部55により左側のマイクロポンプ42、48、53の動作を停止する。
充電部51は、図9では図示していないが、ケース2の中央部の内部に設けられている。充電部51は、発電部50からの発電電力の供給を受けて充電するコンデンサ等を有し、充電電力を副充電部54、デバイス101の負荷103及びコントローラ102に供給するものである。
副充電部54は、図9では図示していないが、ケース2の中央部の内部に設けられている。副充電部54は、充電部51又は発電部50からの電力の供給を受けて充電するコンデンサ等を有し、マイクロポンプ42、48、53、制御部55、温度制御部56、発光部57、燃料残量表示用ランプ10に必要な電力を出力するものである。
制御部55は、図9では図示していないが、ケース2の中央部の内部に設けられている。制御部55は、発電モジュール1内のすべての駆動動作を制御するものである。温度制御部56は、図9では図示していないが、ケース2の中央部の内部に設けられている。温度制御部56は、燃料蒸発部44、燃料改質部45、CO除去部46の温度を制御し、場合によっては発電部50の温度を制御するものである。
発光部57は、左側の端部突出部4における燃料パック収納部5に面する位置及びケース2の中央突出部3の右側における燃料パック収納部5に面する位置にそれぞれ設けられている。これらの発光部57と対向する燃料パック収納部5に面する中央突出部3の左側及び右側の端部突出部4には、それぞれ光検知部58が設けられている。そして、発光部57及び光検知部58は、後で説明するように、燃料パック収納部5内に収納された燃料パック21の燃料封入部27内の燃料の残量を燃料パック21の外部から光学的に検出するものである。
次に、この発電型ポータブル電源の発電動作について説明する。今、上述の如く、発電モジュール1の2つの燃料パック収納部5内にそれぞれ燃料パック21が収納されて燃料パックロック用スライダ9によってロックされ、且つ、各燃料パックロック用スライダ9が各電磁ソレノイド38によってロックされたとする。すると、各スイッチ16が各燃料パック21によって押されてオン状態となる。
制御部55は、各スイッチ16がオン状態になると、各燃料パック収納部5内にそれぞれ燃料パック21が収納されたと判断し、また発光部57及び光検知部58による検知信号を受けて、2つの燃料パック21のうち、より燃料の残量が少ない方を判別する。より燃料の残量が少なく且つ発電するには十分な残量があると判断された燃料パック21のみから燃料が供給されるように、より燃料の少ない燃料パック21に連通するマイクロポンプ42を駆動させるため、制御部55は、副充電部54が、より燃料の少ない燃料パック21に連通するマイクロポンプ42に駆動電力を供給するとともに、より燃料の多い燃料パック21に連通するマイクロポンプ42には駆動電力を供給しないような指令信号を出力する。
すると、より燃料の少ない燃料パック21に連通するマイクロポンプ42は駆動し、より燃料の少ない燃料パック21の燃料封入部27内のメタノール水溶液を燃料蒸発部44に供給する。ここで、燃料蒸発部44の具体的な構造について、図10を参照して説明する。燃料蒸発部44は、シリコンやガラスやアルミニウム合金等からなる基板61の一面に蛇行した流路62が形成され、基板61の他面に薄膜ヒータ63及びヒータ配線(図示せず)が形成され、基板61の一面側の流路62がガラス板67で覆われた構造となっている。この場合、基板61の流路62の一端部の部分には流入口64が設けられ、ガラス板67の流路62の他端部に対応する部分には流出口68が設けられている。
次に、燃料改質部45の具体的な構造について、図11を参照して説明する。燃料改質部45は、シリコンやガラスやアルミニウム合金等からなる基板71の一面に蛇行した流路72が形成され、流路72の内壁面にCu/ZnO/Al2O3等の触媒(図示せず)が付着され、基板71の他面に薄膜ヒータ73及びヒータ配線(図示せず)が形成され、基板71の一面側の流路72がガラス板75で覆われた構造となっている。この場合、基板71の流路72の一端部の部分には流入口74が設けられ、ガラス板75の流路72の他端部に対応する部分には流出口76が設けられている。
次に、CO除去部46の具体的な構造について、図12を参照して説明する。CO除去部46は、シリコンやガラスやアルミニウム合金等からなる基板81の一面に蛇行した流路82が形成され、流路82の内壁面にPt/Al2O3等の触媒(図示せず)が付着され、基板81の他面に薄膜ヒータ83及びヒータ配線(図示せず)が形成され、基板81の一面側の流路82がガラス板85で覆われた構造となっている。この場合、基板81の流路82の一端部の部分には流入口84が設けられ、ガラス板85の流路82の他端部に対応する部分には流出口86が設けられている。
そして、温度制御部56は、制御部55からの指令信号にしたがって、所定の電力を燃料蒸発部44の薄膜ヒータ63に供給し、薄膜ヒータ63を加熱する。燃料蒸発部44には、制御部55からの指令信号にしたがって燃料封入部27から供給された所定量の液体状態の燃料(メタノール水溶液)を蒸発部44の流入口64に送出する。すると、薄膜ヒータ63が発熱し(120℃程度)、流路62内に供給されたメタノール水溶液を蒸発させる。気化された流体は、流路62の内圧により流入口64から流出口68に向けて移動し、燃料改質部45の流入口74に到達する。
燃料改質部45は、制御部55からの指令信号にしたがって薄膜ヒータ73が適温(200℃〜300℃程度)で加熱されている。そして燃料改質部45の流入口76に到達したメタノール及び水は、流路72内において、薄膜ヒータ73の加熱により次の式(1)に示すような吸熱反応を引き起こし、水素と副生成物の二酸化炭素とを生成する。ただし、この場合、微量の一酸化炭素も生成される。
CH3OH+H2O→3H2+CO2……(1)
また、上記式(1)の左辺のおける水(H2O)は反応の初期では、燃料パック21の燃料封入部27の燃料に含まれているものでよいが、発電部50の発電に伴い生成される水を回収して燃料改質部45を供給することが可能になり、燃料封入部27で封入された燃料のうちメタノール等の水素を含む液体燃料または液化燃料または気体燃料の封入比率を高い状態にすることで燃料封入部27の単位容積当たりの上記式(1)の反応量が増大し、より長時間電力を供給することが可能となる。発電部50の発電中の式(1)の左辺のおける水の供給源は、発電部50及び燃料封入部27でもよく、燃料封入部27のみでもよく、また初期反応時に燃料封入部27の水を利用し、発電部50で水が生成されたら発電部50の水に切り替えてもよい。なお、このとき微量ではあるが、一酸化炭素が燃料改質部45内で生成されることがある。
生成された水素、副生成物である二酸化炭素、一酸化炭素は気化された状態で流出口74からCO除去部46の流入口84に移動する。このとき、温度制御部56は、制御部55からの指令信号にしたがって、所定の電力を薄膜ヒータ83に供給しているため、薄膜ヒータ83が発熱し(120℃〜220℃程度)、流路82内に供給された水素、一酸化炭素、水のうち、一酸化炭素と水とが反応し、次の式(2)に示すように、水素と副生成物の二酸化炭素とが生成される水性シフト反応が引き起こされる。
CO+H2O→H2+CO2……(2)
上記式(2)の左辺における水は、(H2O)は反応の初期では、燃料パック21の燃料封入部27の燃料に含まれているものでよいが、発電部50の発電に伴い生成される水を回収して燃料改質部45を供給することが可能である。発電部50の発電中の式(2)の左辺のおける水の供給源は、発電部50及び燃料封入部27でもよく、燃料封入部27のみでもよく、また初期反応時に燃料封入部27の水を利用し、発電部50で水が生成されたら発電部50の水に切り替えてもよい。
最終的にCO除去部46の流出口84に到達する流体はそのほとんどが水素、二酸化炭素となる。なお、流出口84に到達する流体に極微量の一酸化炭素が含まれる場合、残存する一酸化炭素をスリット11から逆止弁を介して取り込まれた酸素に接触させることで式(3)に示すように、二酸化炭素が生成される選択酸化反応を引き起こし、これにより一酸化炭素が確実に除去される。
CO+(1/2)O2→CO2……(3)
上記一連の反応後の生成物は水素及び二酸化炭素(場合によって微量の水を含む)で構成されるが、これらの生成物のうち、二酸化炭素は水素から分離されてスリット11から大気中に放出される。
したがって、発電部50には、CO除去部46からの水素のみが供給される。この場合、CO除去部46からの水素は、制御部55からの指令信号にしたがって、副充電部54から電力の供給を受けて駆動するマイクロポンプ48の駆動により、発電部50に供給される。
ここで、発電部50の具体的な構造について、図13を参照して説明する。発電部50は、周知の固体高分子型の燃料電池である。すなわち、発電部50は、Pt/C等の触媒が付着された炭素電極からなるカソード91と、Pt/Ru/C等の触媒が付着された炭素電極からなるアノード92と、カソード91とアノード92との間に介在されたフィルム状のイオン導電膜93と、を有して構成され、カソード91とアノード92との間に設けられた負荷94に電力を供給するものである。負荷94は図8に示す充電部51であってもデバイス101の負荷103であってもよい。
この場合、カソード91の外側には空間部95が設けられている。この空間部95内にはCO除去部46からの水素が供給される。また、アノード92の外側には空間部つまり流路52が設けられている。この流路52内にはスリット12から取り込まれた酸素が供給される。
そして、カソード91側では、次の式(4)に示すように、水素から電子(e−)が分離した水素イオン(プロトン;H+)が発生し、イオン導電膜93を介してアノード92側に通過するとともに、カソード91により電子(e-)が取り出されて負荷94に供給される。
3H2→6H++6e-……(4)
一方、アノード92側では、次の式(5)に示すように、負荷94を経由して供給された電子(e-)とイオン導電膜63を通過した水素イオン(H+)と酸素とが反応して副生成物の水が生成される。
6H++(3/2)O2+6e-→3H2O……(5)
以上のような一連の電気化学反応(式(4)及び式(5))は概ね室温〜80℃程度の比較的低温の環境下で進行し、電力以外の副生成物は、基本的に水のみとなる。この場合、上述したような電気化学反応により負荷94に間接的または直接的に供給される電力(電圧・電流)は、上記式(4)及び式(5)に示したように、発電部50のカソード91に供給される水素の量に依存する。
そこで、制御部55は、発電部50に所定の電力を生成、出力するために必要な量の水素となる分の燃料が供給されるように、マイクロポンプ42を駆動制御する。なお、上記式(4)、(5)の反応を促進するために温度制御部56が発電部50を所定温度に設定してもよい。
発電部50で生成された電力は発電モジュール1内の充電部51に供給され、これにより充電部51が充電される。そして、充電部51から充電電力が必要に応じてデバイス101の負荷103及びコントローラ102に供給される。なお、発電部50で生成された電力を、直接、デバイス101の負荷103及びコントローラ102に供給するようにしてもよい。
発電部50で生成された副生成物としての水は、制御部55からの指令信号にしたがって、副充電部54から電力の供給を受けて駆動するマイクロポンプ53の駆動により、燃料パック21内の副生成物回収袋28内に回収される。この場合、上述の如く、発電部50で生成された水の少なくとも一部を燃料改質部45に供給するようにすると、燃料パック21の燃料封入部27内に当初封入される水の量を減らすことができ、また副生成物回収袋28内に回収される水の量を減らすことができる。
そして、上記発電動作がある程度行われると、図14に示すように、発電動作のために消費した燃料の量に応じて燃料封入部27の容積が小さくなり、これに伴い、燃料パック21内の副生成物回収袋28内に回収される水の量が増加することにより、副生成物回収袋28の容積が大きくなる。
一方、制御部55は、発電動作中、燃料封入部27内の燃料の残量を常時監視している。次に、この燃料残量監視について説明する。発光部57から出た光は、図14において矢印で示すように、透明なケース22及び副生成物回収袋28を透過して光検知部58に入射される。
この場合、副生成物回収袋28内には予め例えば赤色の色素がある程度封入されているので、副生成物回収袋28内に回収される水の量が増加するにしたがって、色素の濃度が薄くなり、副生成物回収袋28内の色素を含む水中の光の透過率が高くなる。
そこで、制御部55は、発電動作中、常時、光検知部58で受光された光量に応じた検出信号の供給を受け、この検出信号に対応する燃料残量データが予め設定された設定燃料残量データ未満であるか否かを判断する。図14に示す場合には、燃料封入部27の容積がケース22の容積の半分以上であり、燃料封入部27内に発電動作に必要な十分な量の燃料が残存している。
したがって、この場合には、制御部55は、光検知部58からの検出信号に基づいて、図1の右側の燃料パック21の燃料封入部27内に発電動作に必要な十分な量の燃料が残存していると判断し、右側の表示ランブ10の緑色点灯を継続し、また電磁ソレノイド38による燃料パックロック用スライダ9に対するロック動作を継続し、そして燃料残量監視を続行する。ここで、両表示ランブ10は、制御部55による当初の燃料残量監視の結果、当初から緑色点灯している。
一方、図15に示すように、上記発電動作の継続により、燃料封入部27の容積がかなり小さくなり、燃料封入部27内に発電動作に必要な十分な量の燃料が残存しなくなった場合には、副生成物回収袋28内に回収される水の量がかなり増加し、色素の濃度がかなり薄くなり、副生成物回収袋28内の色素を含む水中の光の透過率がかなり高い。
したがって、この場合には、制御部55は、光検知部58からの検出信号に基づいて、図1の右側の燃料パック21の燃料封入部27内に発電動作に必要な十分な量の燃料が残存していないと判断し、後述する供給燃料切り換えを行うとともに、右側の表示ランブ10を赤色点灯に切り換え、使用者に右側の燃料パック21の交換を促し、また右側の電磁ソレノイド38への通電を停止する。
右側の電磁ソレノイド38への通電が停止されると、そのロッド39の先端部が右側の燃料パックロック用スライダ9の係合孔34から抜け出て、右側の燃料パックロック用スライダ9に対するロックが解除される。そこで、右側の表示ランブ10を赤色点灯により右側の燃料パック21の交換を促された使用者は、右側の燃料パックロック用スライダ9を操作する等により、右側の燃料パック21を新品の燃料パックと交換することが可能となる。
右側の燃料パック21が新品或いは燃料の残量が設定燃料残量データ以上の燃料パックと交換されると、上記の場合と同様に、この燃料パックが右側の燃料パックロック用スライダ9によってロックされてから、制御部55が設定燃料残量データ以上であることを確認した上で、右側の燃料パックロック用スライダ9を電磁ソレノイド38によってロックし、右側の表示ランブ10は緑色点灯する。
このような右側の燃料パック21の交換時に、左側の燃料パックロック用スライダ9が誤って交換されようとしても、左側の燃料パックロック用スライダ9はそれ専用の電磁ソレノイド38によってロックされているので、左側の燃料パックロック用スライダ9が誤って取り外されることはない。
ここで、供給燃料切り換えについて説明する。制御部55は、光検知部58からの検出信号に基づいて、図1の一方の燃料パック21の燃料封入部27内に発電動作に必要な十分な量の燃料が残存していないと判断すると、副充電部54に他方の燃料パック21側のマイクロポンプ42のみに電力を供給するように指令信号を出力し、また他方の燃料パック21側のマイクロポンプ42に駆動制御信号を出力する。
すると、他方の燃料パック21側のマイクロポンプ42が駆動開始し、他方の燃料パック21の燃料封入部27内のメタノール水溶液からなる燃料を燃料蒸発部44に供給する。このように、一方の燃料パック21内の燃料が十分な量の燃料が無くなったとき、他方の燃料パック21から燃料の供給が自動的に行われるので、一方の燃料パック21を新品の燃料パックと交換することなく、デバイス101の使用を継続することができる。
ここで、上記発電動作により、少なくとも充電部51が十分に充電された場合には、デバイス101の負荷103に電力を供給している、いないに関わらず、制御部55は、充電部51から十分に充電されたことを内容とする信号を受け、この信号に基づいて、上記発電動作を停止する。一方、発電動作停止中に、充電部51から充電電力がデバイス101の負荷103及びコントローラ102に供給され、充電部51の充電量がある値未満となった場合には、デバイス101の負荷103に電力を供給している、いないに関わらず、制御部55は、充電部51から充電量がある値未満となったことを内容とする信号を受け、この信号に基づいて、上記発電動作を再開する。
また、制御部55は、上記発電動作を停止すると、両電磁ソレノイド38への通電を停止し、両燃料パックロック用スライダ9を操作可能状態とする。したがって、発電動作停止中は、両燃料パック21を取り外すことができる。この場合、燃料パック21のケース22が透明であるので、取り外した燃料パック21の燃料封止部27内の燃料の残量を目視することができる。
ここで、両燃料パック21を取り外し、この取り外した両燃料パック21を誤って元とは別の燃料パック収納部5内に収納した場合には、新たな他方の燃料パック21は使用中で燃料が満杯ではなく、新たな一方の燃料パック21は未使用で燃料が満杯である。そこで、このような場合には、両燃料パック21の燃料の残量を検出し、制御部55が残量のより少ない側の燃料パック21を選択して、少ない側の燃料パック21から供給される燃料を用いて発電する。両燃料パック21が共に新品で等量と判断された場合には、予め設定された一方の例えば右側の燃料パック21を選択して、右側の燃料パック21から供給される燃料を用いて発電する。
ところで、現在、研究開発が行われている燃料改質方式の燃料電池に適用されている燃料としては、発電部50により、比較的高いエネルギ変換効率で電気エネルギを生成することができる燃料であって、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系の液体燃料や、ジメチルエーテル、イソブタン、天然ガス(CNG)等の液化ガス等の常温常圧で気化される水素からなる液体燃料、あるいは、水素ガス等の気体燃料等の流体物質を良好に適用することができる。
なお、上述したメタノール水溶液の蒸発改質反応に限定されるものではなく、少なくとも、所定の熱条件下で生じる化学反応(吸熱反応)であれば、良好に適用することができる。また、化学反応により生成される所定の流体物質を発電用燃料として用いて発電を行うことができるものであれば、上記燃料電池に限定されるものではない。
したがって、化学反応により生成された流体物質の燃焼反応に伴う熱エネルギによるもの(温度差発電)や、燃焼反応等に伴う圧力エネルギを用いて発電器を回転させて電力を発生する力学的なエネルギ変換作用等によるもの(ガス燃焼タービンやロータリーエンジン、スターリングエンジン等の内燃、外燃機関発電)、また、発電用燃料の流体エネルギや熱エネルギを電磁誘導の原理等を利用して電力に変換するもの(電磁流体力学発電、熱音響効果発電等)等、種々の形態を有する発電装置を用いることができる。
また、燃料として液化水素や水素ガスをそのまま利用する場合には、燃料蒸発部44、燃料改質部45及びCO除去部46を省略し、燃料を発電部50に直接供給するようにしてもよい。
そして、発電モジュール1をノートパソコン101に組み込むことが可能となる。図16(a)は、発電型ポータブル電源が差し込まれたノートパソコン101を発電型ポータブル電源側から見た側面図であり、図16(b)は、発電型ポータブル電源が差し込まれたノートパソコン101を上側から見た正面図であり、図16(c)は、発電型ポータブル電源が差し込まれたノートパソコン101を横側から見た側面図である。
ノートパソコン101は、上面にキーボードが設けられ、内部にマザーボード等が内蔵された本体部97と、本体部97の奥側に位置するバッテリー支持部98と、液晶等の表示パネル部99と、表示パネル部99を本体部97に対し回動自在にするパネル支持部100と、を有している。発電モジュール1はその両端に、ノートパソコン101のバッテリー支持部98に設けられたガイド突起104に嵌合するように、溝96を有している。
図17に示すように、発電モジュール1の両端の溝96を、ノートパソコン101の二つのバッテリー支持部98の内側に設けられたガイド突起104に合わせて、発電モジュール1の正極端子6及び負極端子7がノートパソコン101のコネクタ107に差し込まれるまで発電モジュール1をスライドさせると発電型ポータブル電源として機能する。
ノートパソコン101が待機時に内部電池のみで駆動される状態以外であって、内部電池以外の電気的に駆動を要求している場合、発電型ポータブル電源はノートパソコン101から外れないように自動的にロックするように設定してもよい。
また、他の発電型ポータブル電源をノートパソコン101に組み込むことが可能となる。図18(a)は、発電型ポータブル電源が差し込まれたノートパソコン101を発電型ポータブル電源側から見た側面図であり、図18(b)は、発電型ポータブル電源が差し込まれたノートパソコン101を上側から見た正面図であり、図18(c)は、発電型ポータブル電源が差し込まれたノートパソコン101を横側から見た側面図である。
本実施形態の発電型ポータブル電源の燃料パック21のケース106は、バクテリア等の分解要因により自然分解する生分解性高分子で構成されている点及びサイズが燃料パック収納部5より一回り小さい点を除き上記実施形態のケース22と同様である。
また、ケース106が燃料パック収納部5に収納された後、ケース106を使用中に何らかの外的原因で分解してしまい燃料が漏洩することを防止するために、ケース106を密閉するように発電モジュール1に嵌合するとともに生分解性高分子以外の材料からなる保護ケース105が設けられている。このとき、保護ケース105は、透明にすることで、保護ケースが発電モジュール1に装着した状態で燃料パック21(ケース106)が入っているかどうか容易に確認することができる。
このようにケース106を生分解性高分子で構成したことにより使用済みのケース106を土壌中に投棄しても環境への影響(負担)を軽減することにより、既存の化学電池の投棄や埋め立て処理による環境問題を解決するためである。
ここで、燃料パック21のケース106は高分子樹脂からなるので、未使用の場合、ケース106の周囲をバクテリア等の分解要因から保護するために、生分解性高分子以外の材料からなるパッケージで覆い、この状態で市販されることが望ましい。そして、燃料パック21の装着時には、燃料パック21からパッケージを剥がせばよい。
上記各実施形態の発電モジュール1は、二つの燃料パック収納部5にそれぞれ収納された複数の燃料パック個々に独立して取り外すことができる。そして、収納されている燃料パックのうちの一つのみが発電するのに必要な量の発電用燃料を封入されている場合であっても、発電モジュール1がその燃料パックから選択的に発電用燃料を受給するように、マイクロポンプ42を動作する。このとき、発電するのに必要な量の発電用燃料がない燃料パックに対応するマイクロポンプ42は発電用燃料を受給するような動作をしないことで容易にこの燃料パックを取り外して発電するのに必要な量の発電用燃料を封入されている燃料パックを交換することができる。
上記各実施形態の発電モジュール1は、複数の燃料パック収納部5に一つの燃料パックしか収納されていなくても、その収納された燃料パックが発電するのに必要な量あれば、発電モジュールがその燃料パックから選択的に発電用燃料を受給し、発電動作を行うことができる。
上記各実施形態の発電モジュール1は、燃料パック収納部5に二つの燃料パックがそれぞれ収納され、収納されている燃料パックのうちの両方が発電するのに必要な量の発電用燃料を封入されている場合、収納された両方の燃料パックの発電用燃料の量を比較し、より少ない量の燃料パック群のみから発電モジュールに発電用燃料が供給されるよう選択的にマイクロポンプ42を動作する。
また上記各実施形態の発電モジュール1の燃料パック収納部は、互いに同一構造の前記燃料パックを収納することができるため、単種類の燃料パックを利用するだけでよいので利用者が個々の燃料パックを燃料収納部5に収納する度に同じ取り付け方だけ覚えていればよく操作性が簡易となる。
さらに、複数の燃料パック収納部5に収納され、少なくとも一つの燃料パックが発電モジュールに発電用燃料を供給している間、制御部は、その燃料パックが発電モジュールから取り外しできないようにロックし、発電用燃料を供給していない燃料パックをロックしないように設定することで正常に発電動作が起きるような安全構造になっている。勿論、複数の燃料パックのいずれも発電モジュール1に発電用燃料を供給していない間であれば、全ての燃料パックをロック解除されているので容易に取り外しできる。
このような構成とすることで、第一燃料パック及び第二燃料パックが燃料パック収納部5に収納されている状態で、第一燃料パックから発電モジュール1に発電用燃料が供給されている間、第一燃料パック内に残存する発電用燃料の量を検出し、この燃料残量検出信号に基づいて、第一燃料パック内に発電動作に必要な十分な量の発電用燃料が残存していないと判断したとき、制御部が、発電部への発電用燃料の供給を第一燃料パックから第二燃料パックに切り換え、燃料パックの供給の切替の際に、制御部が、ロックされている第一燃料パックのロックを解除し、ロックされていない第二燃料パックをロックするように設定することができる。
また、上記各実施形態では、燃料パック収納部5が収納できる燃料パックをK個(Kは2以上の整数)としてもよく、1つ以上K個以下の燃料パックを同時に差し込んで動作させてもよい。このような発電モジュールは、燃料パック収納部に収納された燃料パックの個数が1個以上(K−1)個以下であっても、その収納された燃料パックが発電するのに必要な量あれば、発電モジュールがその燃料パックから選択的に発電用燃料を受給することができる。またこの発電モジュールは、同時に2つ以上の燃料パックから発電用燃料を受給することができるように設定されてもよい。その他、上記各実施形態では発電型ポータブル電源の発電部50となる燃料電池を燃料パックの個数に合わせて2つ設けたが1つでもよく、また燃料パック収納部5が3つ以上の場合、燃料電池を燃料パック収納部5と同数設けても、異なる数だけ設けてもよい。そして、発電モジュール1の燃料パック収納部5が3つ以上の燃料パック21を収納する際に、全部の燃料パック21から同時に燃料を供給するのでなければ同時に複数の燃料パック21から燃料を供給するように設定されていてもよい。
また、上記各実施形態では、発電モジュール1の出力端子は、正極端子6及び負極端子7の2端子であったが、正極端子6、負極端子7に加え、薄膜ヒータによる燃料蒸発部、燃料改質部、CO除去部、発電モジュール内の発電部の少なくともいずれか1つの温度検知及び温度データのデバイス101への送信のための温度センサ用信号入出力端子、制御部55へクロック信号を出力する制御回路クロックライン用端子、制御部55とデバイス101との間で必要に応じたデータを入出力する制御回路データライン端子、制御部55からの燃料の残量等のデータをデバイス101に出力する残量データ出力端子、等の入出力端子を設けてもよい。
図7(a)及び図7(b)では、円筒状の燃料導入ポート14の外径及び燃料供給口24の円筒体24aの内径をともにDとし、副生成物回収ポート15の外形の高さ及び筒体25aの内形の高さをともにHとし、副生成物回収ポート15の外形の幅及び筒体25aの内形の幅をともにWとしたが、厳密には、図19(a)及び図19(b)に示すように、燃料導入ポート14の外径をD、副生成物回収ポート15の外形の高さをH、副生成物回収ポート15の外形の幅をWとし、燃料供給口24の円筒体24aの内径をD’、筒体25aの内形の高さをH’、筒体25aの内形の幅W’とすると、燃料供給口24の円筒体24aの内径をD’は外径Dより若干長く、筒体25aの内形の高さをH’は外径の高さHより若干長く、筒体25aの内形の幅W’は幅Wより若干長く設定されていることで、燃料導入ポート14が円筒体24aに嵌合することができ、副生成物回収ポート15が筒体25aに嵌合することができる。
図7(a)及び図7(b)では、燃料導入ポート14及び副生成物回収ポート15の形状を互いに異ならせる燃料パック21を用い、この燃料パック21に応じて燃料供給口24の円筒体24a及び副生成物回収口25の筒体25aの形状を互いに異ならせることにより誤って燃料パック21を逆に差し込むことを防止したが、燃料導入ポート14及び副生成物回収ポート15の寸法を互いに異ならせ、燃料供給口24の筒体24a及び副生成物回収口25の筒体25aの寸法を互いに異ならせるだけでも同様の効果を得ることができる。つまり、燃料導入ポート14、副生成物回収ポート15、燃料供給口24の円筒体24a及び副生成物回収口25の縦断面がいずれも同一形状であっても寸法が異なることにより筒体24a及び筒体25aの少なくとも一方は収納することができなくなるのでスイッチ16を完全に押すことができないので発電動作を開始することはない。
燃料導入ポート14及び燃料供給口24は、燃料パック21の発電用燃料ができるだけ流路41に効率よく滴下できるように、燃料パック21のより下側に配置されており、望ましくは燃料パック21内の発電用燃料が滴下することで燃料パック21内の残量が10%以下になる程度に下側に配置されている。
副生成物回収ポート15及び副生成物回収口25は、副生成物の水ができるだけ副生成物回収袋に効率よく滴下できるように、燃料パック21のより上側に配置されており、望ましくは生成された水のうち、不要となって回収されるべき量の50%以上の水が、副生成物回収袋28に滴下できる程度に上側に配置されている。
また、上記各実施形態では、燃料導入ポート14の燃料供給口24と嵌合する箇所の縦断面外形及び燃料供給口24の燃料導入ポート14と嵌合する箇所の縦断面内形が円であったが、燃料導入ポート14に副生成物回収口25が嵌合せず、副生成物回収ポート15に燃料供給口24が嵌合しなければ必ずしもこの形状に限らず、矩形のような多角形円形状等でもよい。同様に上記各実施形態では、副生成物回収ポート15の副生成物回収口25と嵌合する箇所の縦断面外形及び副生成物回収口25の副生成物回収ポート15と嵌合する箇所の縦断面内形が矩形であったが、副生成物回収ポート15に燃料供給口24が嵌合せず、燃料導入ポート14に副生成物回収口25が嵌合しなければ必ずしもこの形状に限らず、その他の多角形や円、楕円形状等でもよい。
このような場合、燃料導入ポート14の所定方向xの口の長さを副生成物回収ポート15の所定方向xの口の長さより短くし(例えば所定方向xは図7(a)及び図7(b)の左右方向)、且つ燃料導入ポート14の所定方向xと異なる所定方向yの口の長さを副生成物回収ポート15の所定方向yの口の長さより長くし(例えば所定方向yは図7(a)及び図7(b)の上下方向)、これに応じて燃料パック21の筒体24aの所定方向xの口の長さを副生成物回収口25の筒体25a所定方向xの口の長さより短くし、且つ筒体24aの所定方向yの口の長さを筒体25aの口の長さより長くすることで、燃料パック21の燃料供給口24は燃料導入ポート14と嵌合せず、副生成物回収口25は副生成物回収ポート15と嵌合しないようにすることができる。
上記各実施形態では、燃料導入ポート14及び副生成物回収ポート15の形状や寸法を互いに異ならせ、燃料供給口24及び副生成物回収口25の形状や寸法を互いに異ならせることによって、燃料パック21の燃料供給口24及び副生成物回収口25を誤ってそれぞれ燃料パック収納部5の副生成物回収ポート15及び燃料導入ポート14に連結させないようにしていたが、図20(a)及び図20(b)に示すように、形状又は寸法を互いに同一にしてもよい。すなわち、発電モジュール1の上下方向でのガイド突起13と燃料導入ポート14の外形との間の長さL1と、発電モジュール1の上下方向でのガイド突起13と副生成物回収ポート15の外形との間の長さL2と、を異ならせ、燃料パック21の上下方向でのガイド溝23と燃料供給口24の内形との間の長さL1’(嵌合させるためL1よりわずかに短い)と、燃料パック21の上下方向でのガイド溝23と副生成物回収口25の内形との間の長さL2’(嵌合させるためL2よりわずかに短い)と、を異ならせることで、燃料パック21の燃料供給口24及び副生成物回収口25を誤ってそれぞれ燃料パック収納部5の副生成物回収ポート15及び燃料導入ポート14に連結させないようにすることができる。
また図21(a)及び図21(b)に示すように、発電モジュール1の横方向でのガイド突起13と燃料導入ポート14の外形との間の長さL3と、発電モジュール1の横方向でのガイド突起13と副生成物回収ポート15の外形との間の長さL4と、を異ならせ、燃料パック21の横方向でのガイド溝23と燃料供給口24の内形との間の長さL3’(嵌合させるためL3よりわずかに短い)と、燃料パック21の横方向でのガイド溝23と副生成物回収口25の内形との間の長さL4’(嵌合させるためL4よりわずかに短い)と、を異ならせることでも同様な効果を得ることができる。
またその他にも、図22(a)及び図22(b)に示すように、ガイド突起13と燃料導入ポート14の外形との最短距離L5と、ガイド突起13と副生成物回収ポート15の外形との最短距離L6と、を異ならせ、ガイド溝23と燃料供給口24の内形との最短距離L5’(嵌合させるためL5よりわずかに短い)と、ガイド溝23と副生成物回収口25の内形との最短距離L6’(嵌合させるためL6よりわずかに短い)と、を異ならせることでも同様な効果を得ることができる。
図20〜図22に示す各実施形態では、燃料導入ポート14及び副生成物回収ポート15は互いに同一形状や同一寸法でもよく、また互いに異なる形状や異なる寸法でもよい。
上記各実施形態では、燃料導入ポート14がガイド突起13よりも相対的に上に位置し、副生成物回収ポート15がガイド突起13よりも相対的に下に位置していたがこれに限らなくてもよい。
また上記各実施形態では、燃料パック収納部5において燃料導入ポート14を副生成物回収ポート15よりも左側に配置させたが右側でもよく、同様に、燃料パック21において燃料供給口24を副生成物回収口25よりも左側に配置させたが右側でもよい。
また図23(a)に示すように燃料導入ポート14及び副生成物回収ポート15を燃料パック収納部5互いに同じ側に設けてもよい。図23(b)に示すように燃料供給口24及び副生成物回収口25を互いに同じ側に設けてもよい。この場合、発電モジュール1の上下方向でのガイド突起13と燃料導入ポート14の外形との間の長さL1と、発電モジュール1の上下方向でのガイド突起13と副生成物回収ポート15の外形との間の長さL2と、が異なっていても、一致していてもよく、同様に燃料パック21の上下方向でのガイド溝23と燃料供給口24の内形との間の長さL1’と、燃料パック21の上下方向でのガイド溝23と副生成物回収口25の内形との間の長さL2’と、が異なっていても、一致していてもよい。また、図23(a)及び図23(b)に示す発電モジュール1及び燃料パック21では、発電モジュール1の横方向でのガイド突起13と燃料導入ポート14の外形との間の長さL3と、発電モジュール1の横方向でのガイド突起13と副生成物回収ポート15の外形との間の長さL4と、が異なっていても、一致していてもよく、同様に燃料パック21の横方向でのガイド溝23と燃料供給口24の内形との間の長さL3’と、燃料パック21の横方向でのガイド溝23と副生成物回収口25の内形との間の長さL4’と、が異なっていても、一致していてもよい。また図23(a)及び図23(b)に示す発電モジュール1及び燃料パック21では、ガイド突起13と燃料導入ポート14の外形との最短距離L5と、ガイド突起13と副生成物回収ポート15の外形との最短距離L6と、が異なっていても、一致していてもよく、ガイド溝23と燃料供給口24の内形との最短距離L5’と、ガイド溝23と副生成物回収口25の内形との最短距離L6’と、が異なっていても、一致していてもよい。
また上記各実施形態では、ガイド突起13やガイド溝23が発電モジュールの燃料パック収納部5の両側部に設けられていたが、一側部のみでもよく、図24(a)及び図24(b)に示すように、燃料パック収納部5の上下方向に設けてもよく、上又は下側のみに設けてもよい。このとき、燃料導入ポート14並びに副生成物回収ポート15と、ガイド突起13と、の間の各距離は、図20〜図22のいずれかに示すような関係であることが望ましく、燃料供給口24並びに副生成物回収口25と、ガイド溝23と、の間の各距離は、図20〜図22のいずれかに示すような関係であることが望ましい。
また上記各実施形態では、発電モジュール1にガイド突起13を設け、燃料パック21にガイド溝23を設けたが、代わりに発電モジュール13にガイド溝を設け、燃料パック21にこのガイド溝に合ったガイド突起を設けてもよく、あるいは発電モジュール1にガイド突起及びガイド溝を設け、これらに嵌合するように燃料パック21にそれぞれガイド溝及びガイド突起を設けてもよい。
また上記各実施形態では、ガイド突起13やガイド溝23を起点として発電モジュールと燃料パックとの上下方向の相対的位置や横方向の相対的位置を設定していたが、ガイド部分がない発電モジュールや燃料パックの場合、収納の際にガイド以外に相対的位置を設定する部材と、燃料導入ポート14、副生成物回収ポート15、燃料供給口24、及び副生成物回収口25と、の各相対的位置は上記各実施形態のように設定することで誤って収納することを防止できる。
また上記各実施形態では、燃料パック21の燃料供給口24の筒体24a及び及び副生成物回収口25の筒体25aが、それぞれ発電モジュール1の燃料導入ポート14及び副生成物回収ポート15を覆うようにして連結していたが、図25(a)及び図25(b)に示すように、発電モジュール1の燃料導入ポート14及び副生成物回収ポート15が、それぞれ燃料パック21の燃料供給口24及び及び副生成物回収口25を覆うようにして連結することで、燃料導入ポート14の弁14a及び副生成物回収ポート15の弁15aが開き、発電用燃料や水の移動が可能となるように設定されていてもよい。
上記各実施形態では、燃料パック21が正常に燃料パック収納部5に収納されているかどうかを1つのスイッチ16により認識させたが、複数個あってもよい。
そして、本実施形態の発電型ポータブル電源は、ノートパソコンに限らず、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistance)、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等の携帯性に優れた電子機器の電源として利用することができる。
特に携帯電話の通話中や、デジタルビデオカメラ等の撮影中に一方の燃料パックが消費され、発電するのに十分な量で無くなったとしても他方の燃料パックから発電用燃料が供給されるように切り替えられるので、電子機器をオフすることなく、つまり通話や撮影を一旦終了することなく連続して使用できる。