JP4995194B2 - 前立腺癌と良性前立腺過形成の鑑別法 - Google Patents

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Description

本発明は、前立腺組織中のアンドロゲンの量に基づき、又はそれに加えてさらに血清中の前立腺特異抗原(PSA)の量も考慮して、前立腺癌と良性前立腺過形成を鑑別する方法或いは前立腺癌の悪性度又は臨床病期を鑑別する方法に関する。
前立腺癌患者や良性前立腺過形成患者に除睾術を施すと、ほとんど例外なく前立腺が萎縮し、前立腺癌の場合はそれと同時に癌も退縮する。このことから、前立腺癌及び良性前立腺過形成は、前立腺組織中のアンドロゲン(テストステロン:T及びジヒドロテストステロン:DHT)の量に依存した疾患、すなわち、男性ホルモン依存性の疾患であるといえる。
前立腺癌は、欧米において男性の悪性腫瘍の中で最も頻度が高く発生し、男性癌死亡原因の約20%を占める。日本においても高齢化や食生活の欧米化に伴い、前立腺癌の発生頻度及び死亡率が年々上昇しており、前立腺癌の早期発見は重要な課題である。
前立腺癌は主に外腺に発生するため、排尿障害等の自覚症状は良性前立腺過形成よりも遅れて出現する。また、前立腺癌における症状と良性前立腺過形成の症状はどちらも頻尿および残尿感であって、これらはかなり類似しており、また、これらの症状は加齢に伴って上昇するものでもある。したがって、前立腺癌を早期に発見することは著しく困難である。
前立腺癌の検査として、直腸診(DRE)、経直腸的超音波診断(TRUS)及び前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)測定法の3種類の方法が広く使用されてきた。しかしながら、前2法は再現性に欠けるため、疾患の鑑別には高度の専門性が要求される。また、PAPは骨転移を有する前立腺癌において異常値を示すことから、前立腺癌のマーカーとして使用されてきたが、この方法における良性前立腺過形成に対する陽性率は約10%と低いものの、早期前立腺癌の陽性率も0〜30%と低いことが欠点である。
最近では、前立腺癌と良性前立腺過形成の一次的な判別には、専ら、血清中のPSAが用いられるようになっている。血清中のPSAの量は、健常人の場合はほぼ4ng/mL以下であるが、前立腺癌に罹患すると病期の進行に伴って上昇する。従って血清中のPSAの量により前立腺癌の臨床病期を判断することは、ある程度可能である。しかし、各病期におけるPSAの量には患者ごとにかなりのばらつきがあり、また良性前立腺過形成や前立腺炎の場合でもPSAの値が上昇するため、Tandem-R(登録商標)測定キットにおけるPSAの測定値4.0〜10.0ng/mLの範囲はグレーゾーンと呼ばれ、判別不能とされている。グレーゾ−ンにおける診断精度を上昇させるべく、PSAに改良を加えたPSA verosity(JAMA, 267, 2215-2220(1992))、PSA density(J.Urol., 160, 411-419(1998))、PSA free/total(J.Urol., 159, 1595-1598(1998))、PSA free/complex(JP2669566B1)などの方法が提案されているが、更に有用性を向上させるための検討が続けられている。また、PSA前駆体とPSAのリジン182が切断されたペプチドの量を測定し、前立腺癌と良性前立腺過形成を区別する方法も提案されている(JP2002-543431A1)。
前立腺癌及び良性前立腺過形成はアンドロゲン依存性であることから、前立腺組織中のアンドロゲンに着目して前立腺癌と良性前立腺過形成を判別する試みもなされている。Prostate cancer hormone receptor (Alan R.Liss, Inc,), 103-111(1979)には前立腺癌組織中のT及びDHTをラジオイムノアッセイ(RIA)法で測定したところ、前立腺癌患者のDHTの量は良性前立腺過形成患者のそれよりも低く、Tの量は逆に高値であったことが記載されている。しかし、RIA法による測定は特異性及び感度が低いため、測定値の信頼性に欠けるうえ、組織量が10mg以下の場合はホルモンの定量は不可能である。さらに、この文献には、単にそれぞれのホルモンの量の傾向が示されているに過ぎず、その比については記載されていない。The Prostate, 42, 45(2000)には、前立腺組織中のT及びDHTの量を液体クロマトグラフィータンデム型エレクトロスプレーイオン化質量分析計(Liquid Chromatography-Electrospray ionization based Tandem Mass Spectrometry:LC-ESI/MS/MS)を用いて定量したこと、及びDHTの量と前立腺の大きさとが正の相関を示すことが記載されている。しかし、この文献においては、定量下限値が63pgと報告されており、微量に存在するT及びDHTの正確な測定に基づく報告はなされていない。また、この文献には、前立腺癌における前立腺組織中のTとDHTとの関係については、何も記載されていない。
J.Urology, 167, 46(2002) 及びCancer Research, 64, 765(2004)には、前立腺組織中のDHTをLC-ESI/MS/MSで測定したこと、及び前立腺癌患者のDHTの量が良性前立腺過形成患者のそれよりも低く、内分泌療法を行うと更に低くなることが記載されている。しかし、これらの文献にも、前立腺組織中のTとDHTとの関係については何も示されていない。
一方、前立腺癌の悪性度について、日本泌尿器学会会誌, 72, 1413(1981)では、前立腺癌における前立腺組織中の5α還元酵素活性の低下の程度と前立腺癌の組織悪性度との関係が論じられている。しかし、この文献には、前立腺組織中のT及びDHTの量については何も記載されていない。J.Clin.Endocrinol.Metab., 86, 855(2001)には、前立腺癌患者の前立腺癌部又は非癌部のいずれにおいても、5α還元酵素活性及びその遺伝子発現量が低下していることが報告されている。しかし、この文献においても、前立腺組織中のアンドロゲンの量については何も述べられていない。
J.Clin.Cancer, 11, 4653(2005)では、LC-MS/MSを用いて、前立腺癌が再燃したいわゆる再燃癌における前立腺組織中のDHTの量を測定し、その量が良性前立腺過形成の場合と比較して著明に低下していることを確認しているが、前立腺癌における前立腺組織中のTとDHTの関係及びそれらアンドロゲンの量と前立腺癌の悪性度又は臨床病期との関係については何ら言及されていない。
また、これまで、前立腺組織中のアンドロゲンの量に加えてさらに血清中のPSAの量も考慮しつつ、前立腺癌と良性前立腺過形成との判別について論じたもの、或いは前立腺癌の悪性度又は臨床病期について論じたものはない。
本発明の目的は、前立腺組織中のアンドロゲンの量に基づき、或いはそれに前立腺特異抗原(PSA)の量を組み合わせて、前立腺癌と良性前立腺過形成を鑑別する方法、或いは前立腺癌の悪性度又は臨床病期を鑑別する鑑別法を提供することである。
本発明者らは、前立腺癌患者及び良性前立腺過形成患者における前立腺組織中のアンドロゲン及び血清中のPSAの量に着目し、それらの値又は値の組合せを比較・解析したところ、前立腺癌と良性前立腺過形成の間に一定の差が見られることを発見した。また、この差は、前立腺癌の悪性度又は臨床病期を反映することも見出し、更に鋭意検討して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、前立腺組織中のTの量及びDHTの量並びに血清中のPSAの量のうちの2種類又は3種類の数値を組合せて、その組合せに基づき、前立腺癌と良性前立腺過形成を鑑別する方法、或いは前立腺癌の悪性度又は臨床病期を鑑別する方法を提供するものである。また、本発明は、前立腺組織を針生検により採取して前立腺組織中のT及びDHTの量を測定する方法を提供するものである。
本発明は、具体的には以下の通りである。
1.採取された前立腺組織中のテストステロン濃度及びジヒドロテストステロン濃度並びに血清中の前立腺特異抗原濃度からなる群から選ばれる2又は3種類の測定値の比率から前立腺癌と良性前立腺過形成とを鑑別する方法、
2.採取された前立腺組織中のテストステロン濃度及びジヒドロテストステロン濃度並びに血清中の前立腺特異抗原濃度からなる群から選ばれる2又は3種類の測定値の比率から前立腺癌の悪性度又は臨床病期を鑑別する方法、
3.前立腺組織が針生検により採取されたものである、上記1又は2に記載の方法、
4.前立腺癌が再燃した前立腺癌である、上記1〜3のいずれか1項に記載の方法、
5.前立腺組織中の、テストステロン濃度及びジヒドロテストステロン濃度を液体クロマトグラフィータンデム型質量分析計により同時に測定することを含む、上記1〜4のいずれか1項に記載の方法、
6.前立腺組織中の、テストステロン及びジヒドロテストステロンの水酸基を誘導体化し、次いで液体クロマトグラフィータンデム型質量分析計により測定する、上記5に記載の方法、
7.前立腺組織中の、テストステロン及びジヒドロテストステロンのカルボニル基を誘導体化し、次いで液体クロマトグラフィータンデム型質量分析計により測定する、上記5に記載の方法、
8.前立腺組織が針生検による組織である、前立腺癌と良性前立腺過形成とを鑑別するための、前立腺組織中のテストステロン及びジヒドロテストステロン濃度の測定方法、
9.前立腺組織が針生検による組織である、前立腺癌の悪性度又は臨床病期を鑑別するための、前立腺組織中のテストステロン及びジヒドロテストステロン濃度の測定方法。
本発明において使用することのできる前立腺組織としては、例えば、前立腺全摘除術により得られたもの、経尿道的前立腺摘除術(TURP)により得られたもの、前立腺針生検により採取されたもの等が挙げられる。この中でも特に、前立腺針生検により採取された微量の前立腺組織を使用した鑑別は、患者への侵襲性が少なく有用である。
前立腺組織中のT及びDHTの測定は、例えば、酵素免疫測定(EIA)法、RIA法、Gas Chromatography Mass Spectrometry(GC-MS)、GC-MS/MS、LC-MS、LC-MS/MS等により行うことができる。この中でも、測定者に放射線被爆等の危険がないこと、TとDHTの同時測定が可能であること、微量定量が可能であること、及び特異性が高いこと等から、LC-MS/MSが最も適している。LC-MS/MSについてはさらに、LC-ESI/MS/MS、Liquid Chromatography-Atmospheric pressure chemical ionization based Tamdem Mass Spectrometry(LC-APCI/MS/MS)等の手法を用いることもできる。
また、LC-MS等における測定感度を高めるため、測定に先立ち、前立腺組織中のT及び/又はDHTの水酸基を誘導体化し、又はカルボニル基を誘導体化し、或いは両官能基をともに誘導体化するのが有利である。水酸基又はカルボニル基の誘導体化は、従来公知の任意の方法を用いることができるが、たとえば、特開2004−257949、特開2006−138786及びS. Singh et al., Liquid chromatography/electron capture atmospheric pressure chemical ionization/mass spectrometry: analysis of pentafluorobenzyl derivatives of biomolecules and drugs in the attomole range. Anal. Chem., 2000(72), 3007-13に具体的に開示されている。ここで、水酸基の誘導体化としては、例えば、エステル誘導体化及びエーテル誘導体化が挙げられ、具体的には、エステル誘導体化としては、例えば、アセチル化、ピコリノイル化、ベンゾイル化等が挙げられ、エーテル誘導体化としては、例えば、メチルピリジニウム化、ベンジルオキシ化、メトキシ化、エトキシ化等が挙げられる。また、カルボニル基の誘導体化としては、例えば、イミノ化、メトキシイミノ化、エトキシイミノ化等が挙げられる。
本発明について、以下に具体的に説明する。
実施例1:前立腺組織試料の調製並びにT及びDHTの量の測定
1)試料の調製
試料の調製は一般的方法により行うことができる。すなわち、例えば、前立腺組織に精製水を加えてホモジナイズ/可溶化し、或いは液体窒素により凍結した前立腺組織を粉砕した後、精製水を加えてホモジナイズ/可溶化し、これに溶媒(例えば、エタノール、アセトニトリル、クロロホルム、エーテル等)を加え、加温下又は室温にて振とうした後に遠心分離を行いタンパク質等を除去したものを、更に遠心分離や簡易カラムクロマトグラフィー等により分離精製する。
2)前立腺組織中のT及びDHTの量の測定
上記で調製した試料におけるT及びDHTの量を、例えば、125I又はHで標識されたT及び/又はDHTをリガンドとしたRIA法、EIA法などの免疫法、GC-MS、GC-MS/MS、LC-MS、LC-MS/MS等により測定する。
このうち、LC-MS/MSは、前立腺組織中のT及びDHTの量を同時に測定することができるので特に望ましい。例えば、試料中のT及びDHTそれぞれの水酸基をピコリノイル誘導体化した場合のLC-MS/MSによる測定イオンの質量電荷比(m/z)は、Tの前駆イオンとしてm/z 394に、前駆イオンから生成した生成イオンとしてm/z 253, 175及び147に観察され、中でもm/z 253が代表的なイオンである。また、DHTの場合は、前駆イオンはm/z 396に、生成イオンはm/z 255, 203及び163に観察され、中でもm/z 255及び203が代表的なイオンである。これらのm/zを基にイオン強度(Intensity)を検出し、内部標準物質と対比することにより、T及びDHTの量を一回の操作で同時に測定することができる。
実施例2:前立腺癌患者及び良性前立腺過形成患者から摘出した前立腺組織中のT及びDHTの量の測定並びに血清中のPSAの量の測定
前立腺癌患者又は良性前立腺過形成患者から前立腺全摘除術もしくはTURP等により摘出した前立腺組織をそのまま、或いは分割し、上記実施例1と同様の方法により試料を調製し、試料中のT及びDHTの水酸基をピコリノイル誘導体化した後に、各組織中のT及びDHTの量をLC-MS/MSにより測定した。また、同じ患者における血清中のPSAの量をTandem-R(登録商標)測定キットを用いて求めた。それぞれの測定値を下記表Aに示す。
なお、下記表A及び後記表Bの術前治療の欄における「無」とは、術前に抗男性ホルモン、例えば、クロルマジノンアセテート、アリールエステレノール、エストロジェン類、ゴナドトロピン放出ホルモン類(LH-RH)等の薬剤投与を行っていない患者からの組織であることを意味し、「有」とは、術前にそれらの薬物による治療を行っていた患者からの組織であることを示す。
Figure 0004995194
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上表Aにおける前立腺癌患者のT及びDHTの量は、当該患者から摘出され分割された前立腺各部位におけるアンドロゲンの量を測定したものであり、それぞれの部位によって癌が存在したりしなかったりするにもかかわらず、各部位におけるアンドロゲンの量に大きな変化はなかった。このことより、バイオプシーにより組織を採取した場合でも、採取した部分における癌の存在の有無に関係なく、前立腺組織中のアンドロゲンの量を正しく測定できることがわかった。
実施例3:前立腺癌患者及び良性前立腺過形成患者から針生検により採取した前立腺組織中のT及びDHTの量の測定並びに血清中のPSAの量の測定
前立腺癌患者又は良性前立腺過形成患者から針生検により採取した前立腺組織中のT及びDHTの量を上記と同様にして測定した。また、同じ患者における血清中のPSAの量も求めた。それぞれの測定値を下記表Bに示す。さらに、採取した組織を臨床病理学的に観察し、その組織が前立腺癌であった場合は、その悪性度及び臨床病期を診断した。下記表Bにはその結果も併せて示す。なお、表Bの中の項目「GL」はGreason scoreを示し、分化度の欄におけるwel、mod及びporはそれぞれwell differentiated adenocarcinoma(高分化癌)、moderating differentiated adenocarcinoma(中分化癌)及びpoorly differentiated adenocarcinoma(低分化癌)を意味する。また、表BのABCの欄におけるB1、C2等の表記は前立腺癌の臨床病期を示す。さらに、表Bの「異常」の欄における「血液」は、採取した試料に血液が付着していたことを意味し、「T<0.2」は、採取した試料中のTの量が0.2pg/mg未満であったことを意味する。採取した試料に血液が付着していると、血液中のアンドロゲンの量が影響して、前立腺組織中のアンドロゲンの量を正確に測定できない可能性がある。また、本発明の方法において使用した前立腺組織中のT及びDHTの量の測定方法におけるTの量の定量下限値は0.2pg/mgであり、前立腺組織中に含まれるTの量がそれを下回る場合はTの定量ができないため、そのような場合はTの量を仮に0.2pg/mgとした。そして、血液が付着していたもの及びTの量が0.2pg/mgであったものを「異常例」とした。後記において、これら「異常例」の37例を除外した62例(以下、「正常例」という。)と、「異常」も含めた99例(以下、「全例」という。)の両方について解析を行った。
なお、表Bにおける患者については、全て術前治療を行っておらず、また、針生検による組織の採取場所は全て外腺(peripheral zone)であった。
Figure 0004995194
Figure 0004995194
Figure 0004995194
上表BにおけるT及びDHTの量は針生検により採取した前立腺組織から求めたものである。前立腺組織中のアンドロゲンの量はごくわずかであり、針生検により採取できる組織量も少ないため、これまでは、針生検により採取した前立腺組織中のT及びDHTの量を測定する方法は全く知られていなかった。しかしながら、本発明者らは、上記したようにT及びDHTを誘導体化した後にLC-MS/MSで測定する方法を開発し、針生検により採取した前立腺組織中のT及びDHTの量を測定する方法を確立することができた。
実施例4:前立腺癌と良性前立腺過形成の鑑別
1)ROC曲線
表Bについて、BPH及びPCaをそれぞれ1及び−1に場合分けし、T、DHT、PSA、DHT/T、PSA/DHT、PSA/T及びPSA/(DHT/T)の7通りの指標についてのROC(Receiver Operating Characteristics Curve)曲線下面積を求めた。その結果を下記表Cに示す。
Figure 0004995194
上記表CにおいてROC曲線下面積が0.65を上回った指標は、全例についてはT、DHT/T及びPSA/(DHT/T)であり、正常例についてはT、DHT、DHT/T、PSA/DHT及びPSA/(DHT/T)であった。その中、最も高値を示したのは正常例についてのDHT/Tであり、そのROC曲線下面積は0.740であった。
2)回帰分析
表Bについて回帰分析を行った。すなわち、従属変数である疾患についてBPH及びPCaをそれぞれ1及び−1とし、上記1)と同じ7通りの指標を独立変数として重回帰分析を行った。その結果、7通りの指標のうち回帰式に寄与するものはDHT/Tのみであった。下記表DにDHT/Tについての結果を示す。
Figure 0004995194
3)判別分析
上記2)と同様に7通りの指標について判別分析を行った。本分析においても、BPHとPCaの鑑別において有用であった指標はDHT/Tのみであった。下記表Eにその結果を示す。
Figure 0004995194
上記表Eより、患者から採取した前立腺組織中のT及びDHTの値が正常に測定された場合のDHT/Tの値が17.91以下であれば69.2%の確立で前立腺癌であると判別でき、17.91以上であれば65.2%の確率で良性前立腺過形成であると判別できる。
ここで、地域や集団等によりDHT/Tの判別値が異なる場合は、それぞれの地域、集団等における判別値を上記で述べたのと同様の方法により導いた上で、その判別値に基づいて前立腺癌と良性前立腺過形成を鑑別することができる。
4)平均値及びそのt-検定
表Bにおいて採取した試料に血液が付着していた15例(患者No.B-21、B-46及びB-85については、採取した試料に血液が付着しており且つT<0.2であったため、表Bの「異常」の欄にはT<0.2のみの表示となっている)を除いた84例のうち、血清PSA濃度が45ng/mL以下の75例について、T、DHT、DHT/T、PSA、PSA/T、PSA/DHT、PSA/(DHT/T)の7通りの指標について、前立腺癌と良性前立腺過形成の各指標の平均値の差についてt-検定を行い、統計量を求めた。その結果を下記表Fに示す。
Figure 0004995194
上記表FはPSA≦45 ng/mLについての分析であり、PSA≦45ng/mLはグレーゾーン及びその周辺であってPSAでは判別不能又は困難な範囲であるが、今回の結果においても血清PSA値では前立腺癌と良性前立腺過形成の間の平均値に有意差を認めなかった。しかし、T、DHT/T及びPSA/Tの指標については平均値に有意差が認められ、中でもDHT/Tについては高い有意差が認められた。
これまでは、血清中のPSAの量に基づき前立腺癌と良性前立腺過形成を鑑別することが広く行われてきたが、現実には、特に4.0〜10.0ng/mLのいわゆるグレーゾーンの場合は、鑑別は極めて困難であった。これに対し、本発明は、前立腺組織中のT及びDHTの量或いはそれに加えて血清中のPSAの量も考慮して前立腺癌と良性前立腺過形成を鑑別するものであり、PSA単独よりも高い鑑別率で鑑別することができ、前立腺癌の診断に有用である。
実施例5:前立腺癌の悪性度の鑑別
表Bにおける前立腺癌患者52例(前立腺癌患者の全例)及びそのうちの正常例39例のそれぞれの群について、PSA、DHT/T及びPSA/(DHT/T)の3通りの指標の平均値とGleason's Scoreとの関係を下記表Gに示す。
Figure 0004995194
前立腺癌の悪性度については、PSA、DHT/T及びPSA/(DHT/T)のいずれの指標についても、Gleason's Scoreが4-4と4-5の間で大きく変化しており、その部分においては、上記3通りのいずれの指標も前立腺癌の悪性度の鑑別において有用であることがわかる。また、DHT/Tの指標については、Gleason's Scoreが4-3と4-4の間でも大きく変化しているが、Gleason's Score Sumが7と8では前立腺癌の予後の悪性度が大きく変わることから、この部分を鑑別できるDHT/Tは特に有用な指標といえる。
実施例6:前立腺癌の臨床病期の鑑別
上記実施例5におけるのと同様にして、Gleason's Scoreの代わりに臨床病期について、3通りの指標との関係を求めた。その結果を下記表Hに示す。なお、臨床病期のデータがないものが存在しており、臨床病期については、全例数は45例、正常例の数は35例となる。
Figure 0004995194
前立腺癌の臨床病期については、PSA、DHT/T及びPSA/(DHT/T)のいずれの指標についても、臨床病期がC2とD2の間で大きく変化しており、その部分においては、上記3通りのいずれの指標も前立腺癌の臨床病期の鑑別において有用であることがわかる。また、PSAについては、臨床病期のB2とC1の間及びC1とC2の間でも変化が大きく、この部分においてもPSAは有用であるといえる。

Claims (9)

  1. 採取された前立腺組織中のテストステロン濃度及びジヒドロテストステロン濃度並びに血清中の前立腺特異抗原濃度からなる群から選ばれる2又は3種類の測定値の比率から前立腺癌と良性前立腺過形成とを鑑別する方法。
  2. 採取された前立腺組織中のテストステロン濃度及びジヒドロテストステロン濃度並びに血清中の前立腺特異抗原濃度からなる群から選ばれる2又は3種類の測定値の比率から前立腺癌の悪性度又は臨床病期を鑑別する方法。
  3. 前立腺組織が針生検により採取されたものである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前立腺癌が再燃した前立腺癌である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前立腺組織中の、テストステロン濃度及びジヒドロテストステロン濃度を液体クロマトグラフィータンデム型質量分析計により同時に測定することを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前立腺組織中の、テストステロン及びジヒドロテストステロンの水酸基を誘導体化し、次いで液体クロマトグラフィータンデム型質量分析計により測定する、請求項5に記載の方法。
  7. 前立腺組織中の、テストステロン及びジヒドロテストステロンのカルボニル基を誘導体化し、次いで液体クロマトグラフィータンデム型質量分析計により測定する、請求項5に記載の方法。
  8. 前立腺組織が針生検による組織である、前立腺癌と良性前立腺過形成とを鑑別するための、前立腺組織中のテストステロン及びジヒドロテストステロン濃度の測定方法。
  9. 前立腺組織が針生検による組織である、前立腺癌の悪性度又は臨床病期を鑑別するための、前立腺組織中のテストステロン及びジヒドロテストステロン濃度の測定方法。
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