以下、本発明の実施形態及び参考例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態及び参考例に限定されるものではない。
《参考例1》
図1〜図3は、参考例1を示している。図1は、本参考例のプラズマプロセス装置であるプラズマCVD装置を模式的に示す斜視図である。図2は、本参考例のプラズマプロセス装置であるプラズマCVD装置を示す断面図である。図3は、本参考例のプラズマ放電発生部16を拡大して示す断面図である。
本参考例のプラズマCVD装置は、被処理基板5が内部に配置される処理室(真空容器)6と、この処理室6内に材料ガスを導入するガス導入口7と、処理室6内に設けられたプラズマ放電発生部16とを備える。典型的には、処理室6内には、被処理基板5を保持する基板ホルダ10が設けられており、被処理基板5は基板ホルダ10に配置される。
処理室6の外部には、プラズマ放電発生部16に電力の供給を行う、すなわち、電気的エネルギーを印加する高周波電源1が設けられている。また、処理室6の外部には、材料ガスを処理室6に供給するガス供給部14と、処理室6内の材料ガスを排出するガス排出部11とが設けられ、少なくとも第1圧力p1が、例えば、70Paである材料ガスと、第2圧力p2が、例えば、200Paである材料ガスとを別々に処理室6へ導入可能なように構成されている。ガス排出部11としては、例えば、メカニカル・ブースター・ポンプやロータリーポンプ等が用いられる。高周波電源1は、配線9を介してプラズマ放電発生部16に接続されている。
プラズマ放電発生部16は、被処理基板5から離間し、被処理基板5に対向して処理室6内に設けられている。また、プラズマ放電発生部16は、第1電極であるカソード電極(陰極)2と、カソード電極2の電極面の一部に形成された絶縁部である電極間絶縁部3と、電極間絶縁部3に形成された第2電極であるアノード電極(陽極)4とを有する。
カソード電極2は、複数の溝状に形成されたプラズマ放電面18を有する。電極間絶縁部3は、隣り合うプラズマ放電面18の間に形成されたカソード電極2の突条部分に形成されている。カソード電極2とアノード電極4とは、電極間絶縁部3を介することにより電気的に絶縁された状態にある。また、アノード電極4は、カソード電極2よりも基板ホルダ10側に設けられている。
すなわち、プラズマ放電発生部16は、被処理基板5と平行な一方向にストライプ状に延びる複数の電極間絶縁部3と、隣り合う電極間絶縁部3同士の間に設けられて溝状に形成されたカソード電極2のプラズマ放電面18と、各電極間絶縁部3における基板ホルダ10側の端部にカソード電極2と分離した状態で設けられたアノード電極4とを備えている。
カソード電極2のプラズマ放電面18は、図3に示すように、テーパ部2aと凹溝部2bとにより構成されている。テーパ部2aは、底部に向かって側壁間の間隔が狭くなる断面テーパ形状に形成されている。テーパ部2aの底部側には、テーパ部2aに連続して凹溝部2bが形成されている。凹溝部2bは、プラズマ放電面18の底部を構成している。すなわち、プラズマ放電面18は、底部に向かって徐々に側壁間の間隔が狭くなる断面テーパ形状のテーパ部2aと、テーパ部2aのプラズマ放電面18の底部側に連続してプラズマ放電面18の底部を構成する凹溝部2bとにより形成されている。
プラズマ放電面18の側壁間の間隔の大きさ及び溝深さは、導入する材料ガスの圧力により規定している。
仮に、導入される材料ガスの圧力に対してプラズマ放電面18の側壁間の間隔が小さすぎる場合、すなわち、材料ガスの圧力の値とプラズマ放電面18の側壁間の間隔の大きさの値との積の値が0.2Pa・mよりも小さい場合には、プラズマ放電発生部16に電圧を印加した際にプラズマ12が発生しにくくなる。そうすると、材料ガスの解離率が低下してしまう。
一方、仮に、導入される材料ガスの圧力に対してプラズマ放電面18の側壁間の間隔が大きすぎる場合、すなわち、材料ガスの圧力の値とプラズマ放電面18の側壁間の間隔の大きさの値との積の値が1.0Pa・mよりも大きい場合には、カソード電極2とアノード電極4の間の電子密度を効果的に高めることができないために、ホロカソード効果を十分に高めることができない。
このことから、テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w1の大きさをd1としたとき、当該テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w1は、第1圧力p1とその最大間隔w1の大きさd1との積の値、すなわち、p1×d1の値が、表1に示すように、0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にあるように形成されている。
また、テーパ部2aでの側壁間の最小間隔w2の大きさをd2としたとき、当該テーパ部2aでの側壁間の最小間隔w2は、第2圧力p2とその最小間隔w2の大きさd2との積の値、すなわち、p2×d2の値が、表2に示すように、0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にあるように形成されている。
さらに、テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w1及び最小間隔w2は、p1×d1の値及びp2×d2の値が、それぞれ0.3Pa・m以上且つ0.5Pa・m以下の範囲にあるように形成されていることが、ホロカソード効果をより高める観点で好ましい。
また、仮に、プラズマ放電面18の溝深さh1が浅すぎる場合、すなわち、プラズマ放電面18の溝深さh1がテーパ部2aの間隔の大きさの溝深さ方向における平均値、つまり当該テーパ部2aの溝深さ方向における中間位置での側壁間の間隔の大きさ(d1+d2)/2の2倍よりも小さい場合には、プラズマ放電面18の面積が小さいため、材料ガスの解離率が低下する。
一方、仮に、プラズマ放電面18の溝深さh1が深すぎる場合、すなわち、プラズマ放電面18の溝深さh1がテーパ部2aの溝深さ方向における中間位置での側壁間の間隔の大きさ(d1+d2)/2の3倍よりも大きい場合には、プラズマ放電面18の溝深さh1がテーパ部2aの溝深さ方向における中間位置での側壁間の間隔の大きさ(d1+d2)/2の3倍の大きさである場合に対して材料ガスの解離率が大きくなり難いため、プラズマ放電面18が必要以上に大きくなってしまう。
このことから、プラズマ放電面18の溝深さh1は、テーパ部2aの溝深さ方向における中間位置での側壁間の間隔の大きさ(d1+d2)/2の2倍以上且つ3倍以下の大きさに形成されている。
本参考例では、テーパ部2aの側壁間の最大間隔w1及び最小間隔w2は、p1×d1の値及びp2×d2の値が、それぞれ0.4Pa・mであるように形成されている。すなわち、p1=70Pa、p2=200Paであることから、テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w1は、例えば、0.0057mに形成される一方、テーパ部2aでの側壁間の最小間隔w2は、例えば、0.002mに形成されている。
また、プラズマ放電面18の溝深さh1は、テーパ部2aの溝深さ方向における中間位置での側壁間の間隔の大きさ(d1+d2)/2の、例えば、2倍の大きさに形成されている。すなわち、テーパ部2aの溝深さ方向における中間位置での側壁間の間隔の大きさ(d1+d2)/2は、例えば、0.00385mであることから、プラズマ放電面18の溝深さh1は、例えば、0.0077mに形成されている。
各電極間絶縁部3は、例えば、アルミナ等により形成されている。隣り合う電極間絶縁部3の間隔は、それぞれ等しくなっている。各電極間絶縁部3の基板ホルダ10側の面は、アノード電極4により覆われている。つまり、アノード電極4もストライプ状に形成されている。すなわち、カソード電極2とアノード電極4とは、被処理基板5と平行な一方向に交互に並んでストライプ状に形成されている。
こうして、プラズマ放電発生部16には、対向する電極間絶縁部3及びアノード電極4の側面と、溝状に形成されたカソード電極2のプラズマ放電面18とにより連続する面が形成されている。すなわち、カソード電極2と電極間絶縁部3とアノード電極4とは、連続する面を構成している。このようにして、溝状のプラズマ放電面18を有するプラズマ放電発生部16が処理室6内に形成されている。
また、カソード電極2のプラズマ放電面18の底部、すなわち、凹溝部2bに溝深さ方向に貫通する複数のガス導入口7が所定の間隔で形成されている。本実施形態のプラズマCVD装置では、カソード電極2がアノード電極4よりも被処理基板5から離れている。したがって、ガス導入口7から処理室6内へ材料ガスを導入すると被処理基板5へ向かってスムーズな材料ガスの流れ13が実現する。
ガス導入口7は、材料ガスを一旦滞留させるガス滞留部8に接続されている。また、ガス滞留部8は、材料ガスを供給するガス供給部14に接続されている。すなわち、ガス供給部14から供給された材料ガスがガス滞留部8に一旦滞留した後、ガス導入口7を通って処理室6内に導入されるようになっている。
このように、プラズマCVD装置は、プラズマ放電発生部16に電圧を印加することによりカソード電極2とアノード電極4との間にプラズマ12を発生させて、材料ガスを解離して処理室6内に配置された被処理基板5にプラズマ処理を施すことができるようになっている。
−プラズマ処理方法−
プラズマ処理方法には、基板配置工程と、ガス導入工程と、プラズマ処理工程とが含まれる。
上記プラズマCVD装置を用いてプラズマ処理を施す場合には、基板配置工程では、処理室6内に被処理基板5が配置される。被処理基板5の配置位置は、アノード電極4から上方に、例えば、20mm離れた位置である。被処理基板5は、例えば、厚みが1.1mmのガラス基板等である。
次に、ガス導入工程では、被処理基板5が配置された処理室6内に材料ガスが導入される。まず、ガス供給部14から材料ガスがガス滞留部8に供給され、一旦ガス滞留部8に滞留する。その後、材料ガスは、ガス導入口7を通って処理室6内に導入される。
材料ガスは、例えば、SiH4、H2、N2等である。例えば、アモルファスシリコン膜を成膜するときの材料ガスには、SiH4(60sccm)及びH2(120sccm)等が用いられる。このとき、材料ガスは、例えば、70Pa等の圧力で導入される。また、その他に、例えば、窒化シリコン膜を成膜するときの材料ガスには、SiH4(20sccm)、NH3(40sccm)及びN2(100sccm)等が用いられる。このとき、材料ガスは、例えば、200Pa等の圧力で導入される。ここで「sccm」とは、0℃において毎分流れる立方センチメートル単位のガス流量である。
次に、プラズマ処理工程では、プラズマ放電発生部16によって、プラズマ12を発生させて被処理基板5の表面にプラズマ処理を施す。まず、アノード電極4とカソード電極2との間に、例えば、パルス電圧を印加することによりパルス放電を生じさせてプラズマ放電発生部16にプラズマ12を発生させる。このプラズマ12は、印加される電圧に応じて発生する。電圧の印加を行う電源としては、例えば、周波数が300MHzの高周波電源1が用いられる。そうして、処理室6に導入されてプラズマ放電発生部16に流れてきた材料ガスをプラズマ12により解離させる。これにより、材料ガスからラジカルが生成される。図2中の13はラジカルの流れを示している。
このように、生成されたラジカルは、被処理基板5まで拡散し、基板ホルダ10に保持された被処理基板5の表面に付着し堆積する。すなわち、被処理基板5の表面に膜が成長して薄膜が形成される。生成されたラジカルは、次々に薄膜表面に到達して薄膜の厚さが増していく。そうして、設定された膜厚になるまでパルス電圧を印加し続けた後、カソード電極2及びアノード電極4の間への電圧の印加、すなわち、プラズマ放電発生部16への電力の供給を停止する。このようにして、被処理基板5の表面に対してプラズマ処理が施される。
−参考例1の効果−
したがって、この参考例1によると、70Pa以上且つ200Pa以下の圧力で材料ガスが導入された場合には、ホロカソード効果を十分に高めることができ、プラズマ放電面18を必要以上に大きくすることなく材料ガスの解離を十分に促進させることができる。その結果、パウダーの発生を抑制することができ、広い材料ガスの圧力域において、成膜した膜の質を向上させることができる。また、材料ガスの解離が十分に促進されることにより、材料ガスの解離量が増加するため、プラズマ処理によって成膜する速度が速くなる。その結果、広い材料ガスの圧力域において、処理時間を短縮することができる。
すなわち、p1×d1の値が0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にあり、p1=70Paであるため、70Paの圧力で材料ガスが導入された場合には、少なくともテーパ部2aの側壁間が最大間隔w1である領域付近において、プラズマ12の発生を促進させると共に電子密度を効果的に高めることができ、ホロカソード効果を十分に高めることができる。
さらに、p2×d2の値が0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にあり、p2=200Paであるため、200Paの圧力で材料ガスが導入された場合には、少なくともテーパ部2aの側壁間が最小間隔w2である領域付近において、プラズマ12の発生を促進させると共に電子密度を効果的に高めることができ、ホロカソード効果を十分に高めることができる。
さらに、プラズマ放電面18は、断面テーパ状に形成されているため、70Paよりも高く且つ200Pa未満の圧力で材料ガスが導入された場合には、テーパ部2aの少なくとも一部における側壁間の間隔の大きさの値と導入された材料ガスの圧力の値との積の値は、0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にある。したがって、この場合にも、テーパ部2aにおいて、プラズマ12の発生を促進させると共に電子密度を効果的に高めることができ、ホロカソード効果を十分に高めることができる。
さらに、プラズマ放電面18の溝深さh1は、テーパ部2aの溝深さ方向における中間位置での側壁間の間隔の大きさ(d1+d2)/2の2倍に形成されているため、プラズマ放電面18を必要以上に大きくすることなく材料ガスの解離を促進させることができる。
また、特に、p1×d1の値及びp2×d2の値は、0.3Pa・m以上且つ0.5Pa・m以下の範囲にあるため、70Pa以上且つ200Pa以下の圧力で材料ガスが導入された場合には、ホロカソード効果をより高めることができる。その結果、材料ガスの解離をより促進させることができるため、成膜する速度を速くして処理時間をより短縮することができると共に、パウダーの発生をより抑制して成膜した膜の質をより向上させることができる。
また、電圧の印加を行う電源として周波数300MHzの高周波電源1を用いることにより、カソード電極2とアノード電極4の間に電子が補足されて電子密度が略飽和状態になる。その結果、材料ガスの解離を促進させることができるため、成膜する速度を速くして処理時間を短縮することができると共に、パウダーの発生を抑制して成膜した膜の質を向上させることができる。
また、パルス放電によりプラズマ12を発生させてプラズマ処理を行うことにより、電子衝突による材料ガスの解離、すなわち、ラジカルの生成の効率を向上させることができる。また、パルス放電のパルス幅が短いほど材料ガスに与えられるエネルギーは最小限となり材料ガスの温度の上昇を抑制することができる。そうすると、材料ガスの密度が低下することが抑制されるため、材料ガスの解離を促進させることができる。その結果、成膜する速度を速くして処理時間を短縮することができると共に、パウダーの発生を抑制して成膜した膜の質を向上させることができる。
《参考例2》
図4は、本発明の参考例2を示している。尚、以降の実施形態及び参考例では、図1〜3と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。図4は、本参考例のプラズマ放電発生部16を拡大して示す断面図である。
上記参考例1では、カソード電極2のプラズマ放電面18は、テーパ部2aと凹溝部2bとにより構成されているのに対し、本実施形態におけるカソード電極2のプラズマ放電面18は、図4に示すように、テーパ部2aと平行部2cと凹溝部2bとにより形成されている。
テーパ部2aは、底部に向かって徐々に側壁間の間隔が狭くなる断面テーパ形状に形成されている。テーパ部2aの底部側には、テーパ部2aに連続して平行部2cが形成されている。平行部2cは、側壁が底部に向かって平行に延びている。平行部2cの底部側には、平行部2cに連続して凹溝部2bが形成されている。凹溝部2bは、プラズマ放電面18の底部を構成している。すなわち、プラズマ放電面18は、底部に向かって徐々に側壁間の間隔が狭くなる断面テーパ形状のテーパ部2aと、テーパ部2aの上記底部側に連続して形成されて側壁が上記底部に向かって平行に延びる平行部2cと、平行部2cの上記底部側に連続して形成されて上記底部を構成する凹溝部2bとにより形成されている。
プラズマ放電面18の側壁間の間隔の大きさ及び溝深さは、導入する材料ガスの圧力により規定している。すなわち、テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w3の大きさをd3としたとき、当該テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w3は、上記実施形態1と同様に、p1×d3の値が、上記表1に示すように、0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にあるように形成されている。テーパ部2aの溝深さ方向における長さh2は、テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w3の大きさd3の2倍以上且つ3倍以下の大きさに形成されている。
また、平行部2cでの側壁間の間隔w4の大きさをd4としたとき、当該平行部2cでの側壁間の間隔w4は、第2圧力p2と平行部2cでの側壁間の間隔w4の大きさd4との積の値、すなわち、p2×d4の値が、上記表2に示すように、0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にあるように形成されている。平行部2cと凹溝部2bとの溝深さ方向における長さの和h3は、平行部2cでの側壁間の間隔w4の大きさd4の2倍以上且つ3倍以下の大きさに形成されている。
さらに、これらプラズマ放電面18における側壁間の間隔w3,w4は、p1×d3の値及びp2×d4の値が、それぞれ0.3Pa・m以上且つ0.5Pa・m以下の範囲にあるように形成されていることが、ホロカソード効果を高める観点で好ましい。
本参考例では、テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w3は、p1×d3の値が0.4Pa・mであるように形成されている。すなわち、p1=70Paであることから、テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w3は、上記実施形態1と同様に、例えば、0.0057mに形成されている。テーパ部2aの溝深さ方向における長さh2は、テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w3の大きさd3の、例えば、2倍の大きさに形成されている。すなわち、テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w3の大きさd3が、0.0057mであることから、テーパ部2aの溝深さ方向における長さh2は、例えば、0.0114mに形成されている。
また、平行部2cでの側壁間の間隔w4は、p2×d4の値が0.4Pa・mであるように形成されている。すなわち、p2=200Paであることから、平行部2cでの側壁間の間隔w4は、例えば、0.002mに形成されている。平行部2cと凹溝部2bとの溝深さ方向における長さの和h3は、平行部2cでの側壁間の間隔w4の大きさd4の、例えば、2倍の大きさに形成されている。すなわち、平行部2cでの側壁間の間隔w4の大きさd4が、0.002mであることから、平行部2cと凹溝部2bとの溝深さ方向における長さの和h3は、例えば、0.004mに形成されている。
−参考例2の効果−
したがって、この参考例2によると、70Pa以上且つ200Pa以下の圧力で材料ガスが導入された場合には、ホロカソード効果を十分に高めることができ、プラズマ放電面18を必要以上に大きくすることなく材料ガスの解離を十分に促進させることができる結果、上記参考例1と同様の効果を得ることができる。
すなわち、p1×d3の値が0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にあり、p1=70Paであるため、70Paの圧力で材料ガスが導入された場合には、少なくともテーパ部2aの側壁間が最大間隔w3である領域付近において、プラズマ12の発生を促進させると共に電子密度を効果的に高めることができ、ホロカソード効果を十分に高めることができる。
さらに、p2×d4の値が0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にあり、p2=200Paであるため、200Paの圧力で材料ガスが導入された場合には、少なくとも平行部2cにおいて、プラズマ12の発生を促進させると共に電子密度を効果的に高めることができ、ホロカソード効果を十分に高めることができる。
さらに、テーパ部2aは断面テーパ形状に形成されているため、材料ガスが70Paよりも高く且つ200Pa未満の圧力で導入された場合には、テーパ部2aの少なくとも一部における側壁間の間隔の大きさの値と材料ガスの圧力の値との積の値は、0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にある。したがって、この場合にも、テーパ部2aにおいて、プラズマの発生を促進させると共に電子密度を効果的に高めることができる。
さらに、テーパ部2aの溝深さ方向における長さh2は、テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w3の大きさd3の2倍の大きさに形成されているため、テーパ部2aを必要以上に大きくすることなく、テーパ部2aにおける材料ガスの解離を促進させることができる。
さらに、平行部2cと凹溝部2bとの溝深さ方向における長さの和h3は、平行部2cでの側壁間の間隔w4の大きさd4の2倍に形成されているため、平行部2c及び凹溝部2bを必要以上に大きくすることなく、平行部2c及び凹溝部2bにおける材料ガスの解離を促進させることができる。
特に、p1×d3の値及びp2×d4の値は、それぞれ0.3Pa・m以上且つ0.5Pa・m以下の範囲にあるため、ホロカソード効果をより高めることができる。したがって、上記参考例1と同様の効果を得ることができる。
また、特に、200Paの圧力で材料ガスが導入された場合には、少なくとも平行部2cにおいてホロカソード効果を十分に高めることができるため、比較的大きいプラズマ放電面18の領域においてホロカソード効果を十分に高めることができる。したがって、200Paの圧力で材料ガスが導入された場合には、ホロカソード効果をより高めることができる。その結果、成膜する速度をより速くして処理時間をより短縮することができると共に、パウダーの発生をより抑制して成膜した膜の質をより向上させることができる。
《発明の実施形態》
図5は、本発明の実施形態を示している。図5は、本実施形態のプラズマ放電発生部16を拡大して示す断面図である。
上記参考例1では、少なくとも第1圧力p1が、例えば、70Paである材料ガスと、第2圧力p2が、例えば、200Paである材料ガスとを別々に処理室6へ導入可能なように構成されているとした。これに対し、本実施形態では、少なくとも第1圧力p1が、例えば、70Paである材料ガスと、第2圧力p2が、例えば、200Paである材料ガスと、第3圧力p3が、例えば、300Paである材料ガスとを別々に処理室6へ導入可能なように形成されている。
また、上記参考例1では、プラズマ放電面18は、テーパ部2aと凹溝部2bとにより形成されている。また、上記参考例2では、プラズマ放電面18は、テーパ部2aと平行部2cと凹溝部2bとにより形成されている。これに対し、本実施形態におけるプラズマ放電面18は、テーパ部2aと第1平行部2dと狭窄部2eと第2平行部2fと凹溝部2bとにより構成されている。
テーパ部2aは、上記参考例2と同様に、底部に向かって徐々に側壁間の間隔が狭くなる断面テーパ形状に形成されている。テーパ部2aの底部側には、テーパ部2aに連続して第1平行部2dが形成されている。第1平行部2dは、側壁がプラズマ放電面18の底部に向かって平行に延びている。第1平行部2dの底部側には、第1平行部2dに連続して狭窄部2eが形成されている。狭窄部2eは、プラズマ放電面18の底部に向かって側壁の間隔が徐々に狭く形成されている。狭窄部2eの底部側には、狭窄部2eに連続して第2平行部2fが形成されている。第2平行部2fは、側壁がプラズマ放電面18の底部に向かって平行に延びている。第2平行部2fの底部側には、第2平行部2fに連続して凹溝部2bが形成されている。凹溝部2bは、プラズマ放電面18の底部を構成している。
すなわち、プラズマ放電面18は、底部に向かって徐々に側壁間の間隔が狭くなる断面テーパ形状のテーパ部2aと、テーパ部2aの上記底部側に連続して形成されて側壁が上記底部に向かって平行に延びる第1平行部2dと、第1平行部2dの上記底部側に連続して形成されて上記底部に向かって側壁間の間隔が徐々に狭くなる狭窄部2eと、狭窄部2eの上記底部側に連続して形成されて側壁が上記底部に向って平行に延びる第2平行部2fと、第2平行部2fに連続して形成されて上記底部を構成する凹溝部2bとにより形成されている。
プラズマ放電面18の側壁間の間隔の大きさ及び溝深さは、導入する材料ガスの圧力により規定している。すなわち、テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w5の大きさをd5としたとき、当該テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w5は、上記実施形態1と同様に、p1×d5の値が、表1に示すように、0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にあるように形成されている。テーパ部2aの溝深さ方向における長さh4は、上記実施形態2と同様にテーパ部2aでの側壁間の最大間隔w5の大きさd5の2倍以上且つ3倍以下の大きさに形成されている。
また、第1平行部2dでの側壁間の間隔w6の大きさをd6としたとき、当該第1平行部2dでの側壁間の間隔w6は、第2圧力p2とその間隔w6の大きさd6との積の値、すなわち、p2×d6の値が、上記表2に示すように、0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にあるように形成されている。第1平行部2dと狭窄部2eとの溝深さ方向における長さの和h5は、第1平行部2dでの側壁間の間隔w6の大きさd6の2倍以上且つ3倍以下の大きさに形成されている。
また、第2平行部2fでの側壁間の間隔w7の大きさをd7としたとき、当該第2平行部2fでの側壁間の間隔w7は、第3圧力p3とその間隔w7の大きさd7との積の値、すなわち、p3×d7の値が、表3に示すように、0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にあるように形成されている。第2平行部2fと凹溝部2bとの溝深さ方向における長さの和h6は、第2平行部2fでの側壁間の間隔w7の大きさd7の2倍以上且つ3倍以下の大きさに形成されている。
さらに、これらプラズマ放電面18における側壁間の間隔w5〜w7は、p1×d5の値、p2×d6の値及びp3×d7の値が、それぞれ0.3Pa・m以上且つ0.5Pa・m以下の範囲にあるように形成されていることが、ホロカソード効果を高める観点で好ましい。
本実施形態では、テーパ部2aは上記実施形態2と同様に形成されている。すなわち、テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w5は、例えば、0.0057mに形成されている。テーパ部2aの溝深さ方向における長さh4は、例えば、0.0114mに形成されている。
また、第1平行部2dでの側壁間の間隔w6は、p2×d6の値が、例えば、0.4Pa・mであるように形成されている。すなわち、p2=200Paであることから、第1平行部2dでの側壁間の間隔w6は、例えば、0.002mに形成されている。第1平行部2dと狭窄部2eとの溝深さ方向における長さの和h5は、第1平行部2dでの側壁間の間隔w6の大きさd6の、例えば、2倍の大きさに形成されている。すなわち、第1平行部2dでの側壁間の間隔w6は、0.002mであることから、第1平行部2dと狭窄部2eとの溝深さ方向における長さの和h5は、例えば、0.004mに形成されている。
また、第2平行部2fでの側壁間の間隔w7は、p3×d7の値が、例えば、0.4Pa・mであるように形成されている。すなわち、p3=300Paであることから、第2平行部2fでの側壁間の間隔w7は、例えば、0.0013mに形成されている。第2平行部2fと凹溝部2bとの溝深さ方向における長さの和h6は、第2平行部2fでの側壁間の間隔w7の大きさd7の、例えば、2倍の大きさに形成されている。すなわち、第2平行部2fでの側壁間の間隔の大きさd7が0.0013mであることから、第2平行部2fと凹溝部2bとの溝深さ方向における長さの和h6は、例えば、0.0026mに形成されている。
−実施形態の効果−
したがって、この実施形態によると、70Pa以上且つ300Pa以下の圧力で材料ガスが導入された場合には、ホロカソード効果を十分に高めることができ、プラズマ放電面18を必要以上に大きくすることなく材料ガスの解離を十分に促進させることができる。その結果、上記参考例1よりも広い材料ガスの圧力域において、上記参考例1と同様の効果を得ることができる。
すなわち、p1×d5の値が0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にあり、p1=70Paであるため、70Paの圧力で材料ガスが導入された場合には、少なくともテーパ部2aの側壁間が最大間隔w5である領域付近において、プラズマ12の発生を促進させると共に電子密度を効果的に高めることができ、ホロカソード効果を十分に高めることができる。
さらに、p2×d6の値が0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にあり、p2=200Paであるため、200Paの圧力で材料ガスが導入された場合には、少なくとも第1平行部2dにおいて、プラズマ12の発生を促進させると共に電子密度を効果的に高めることができ、ホロカソード効果を十分に高めることができる。
さらに、p3×d7の値が0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にあり、p3=300Paであるため、300Paの圧力で材料ガスが導入された場合には、少なくとも第2平行部2fにおいて、プラズマ12の発生を促進させると共に電子密度を効果的に高めることができ、ホロカソード効果を十分に高めることができる。
さらに、テーパ部2aは、プラズマ放電面18の底部、すなわち、ガス導入口7に向かって徐々に側壁間の間隔が狭くなる断面テーパ形状に形成されているため、70Paよりも高く且つ200Pa未満の圧力で材料ガスが導入された場合には、テーパ部2aの少なくとも一部における側壁間の間隔の大きさの値と材料ガスの圧力の値との積の値は、0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にある。したがって、この場合にも、テーパ部2aにおいて、プラズマ12の発生を促進させると共に電子密度を効果的に高めることができ、ホロカソード効果を十分に高めることができる。
さらに、狭窄部2eは、ガス導入口7に向かって徐々に側壁間の間隔が狭く形成されているため、200Paよりも高く且つ300Pa未満の圧力で材料ガスが度入された場合には、狭窄部2eの少なくとも一部における側壁間の間隔の大きさの値と材料ガスの圧力の値との積の値は、0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にある。したがって、この場合にも、狭窄部2eにおいて、プラズマ12の発生を促進させると共に電子密度を効果的に高めることができ、ホロカソード効果を十分に高めることができる。
さらに、テーパ部2aの溝深さ方向における長さh4は、テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w5の大きさd5の2倍の大きさに形成されているため、テーパ部2aを必要以上大きくすることなく、テーパ部2aにおける材料ガスの解離を促進することができる。
さらに、第1平行部2dと狭窄部2eとの溝深さ方向における長さの和h5は、第1平行部2dでの側壁間の間隔w6の大きさd6の2倍の大きさに形成されているため、第1平行部2d及び狭窄部2eを必要以上に大きくすることなく、第1平行部2d及び狭窄部2eにおける材料ガスの解離を促進させることができる。
また、特に、p1×d5の値、p2×d6の値及びp3×d7の値は、0.3Pa・m以上且つ0.5Pa・m以下の範囲にあるため、ホロカソード効果をより高めることができる結果、上記参考例1よりも広い材料ガスの圧力域において、上記参考例1と同様の効果を得ることができる。
また、特に、200Paの圧力で材料ガスが導入された場合には、少なくとも第1平行部2dにおいてホロカソード効果を十分に高めることができる。また、300Paの圧力で材料ガスが導入された場合には、少なくとも第2平行部2fにおいてホロカソード効果を十分に高めることができる。したがって、これらの場合には、比較的大きいプラズマ放電面18の領域においてホロカソード効果を十分に高めることができる。その結果、成膜する速度をより速くして処理時間をより短縮することができると共に、パウダーの発生をより抑制して成膜した膜の質をより向上させることができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態では、テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w1は、例えば、0.0057mに形成され、最小間隔w2は、例えば、0.002mに形成されているとしたが、本発明はこれに限られず、これらの間隔w1,w2は、第1圧力p1とテーパ部2aでの側壁間の最大間隔w1の大きさd1との積の値及び第2圧力p2とテーパ部2aでの側壁間の最小間隔w2の大きさd2との積の値が、それぞれ0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にあるように形成されていればよい。
また、上記実施形態では、プラズマ放電面18の溝深さh1は、例えば、0.0077mに形成されているとしたが、本発明はこれに限られず、この溝深さh1は、テーパ部2aの溝深さ方向における中間位置での側壁間の間隔の大きさ(d1+d2)/2の2倍以上且つ3倍以下の大きさに形成されていればよい。
上記参考例2では、テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w3は、例えば、0.0057mに形成され、平行部2cでの側壁間の間隔w4は、例えば、0.002mに形成されているとしたが、本発明はこれに限られず、これらの間隔w3,w4は、第1圧力p1とテーパ部2aでの側壁間の最大間隔w3の大きさd3との積の値及び第2圧力p2と平行部2cでの側壁間の間隔w4の大きさd4との積の値が、それぞれ0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にあるように形成されていればよい。
また、上記参考例2では、テーパ部2aの溝深さ方向における長さh2は、例えば、0.0114mに形成されているとしたが、本発明はこれに限られず、この長さh2は、テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w3の大きさd3の2倍以上且つ3倍以下の大きさに形成されていればよい。
また、上記参考例2では、平行部2cと凹溝部2bとの溝深さ方向における長さの和h3は、例えば、0.004mに形成されているとしたが、本発明はこれに限られず、この長さの和h3は、平行部2cでの側壁間の間隔w4の大きさd4の2倍以上且つ3倍以下の大きさに形成されていればよい。
上記実施形態では、テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w5は、例えば、0.0057mに形成され、第1平行部2dでの側壁間の間隔w6は、例えば、0.002mに形成され、第2平行部2fでの側壁間の間隔w7は、例えば、0.0013mに形成されているとしたが、本発明はこれに限られず、これらの間隔w5〜w7は、第1圧力p1とテーパ部2aでの側壁間の最大間隔w5の大きさd5との積の値、第2圧力p2と第1平行部2dでの側壁間の間隔w6の大きさd6との積の値、及び第3圧力p3と第2平行部2fでの側壁間の間隔w7の大きさd7との積の値が、それぞれ0.2Pa・m以上且つ1.0Pa・m以下の範囲にあるように形成されていればよい。
また、上記実施形態では、テーパ部2aの溝深さ方向における長さh4は、例えば、0.0114mに形成されているとしたが、本発明はこれに限られず、この長さh4は、テーパ部2aでの側壁間の最大間隔w5の大きさd5の2倍以上且つ3倍以下の大きさに形成されていればよい。
また、上記実施形態では、第1平行部2dと狭窄部2eとの溝深さ方向における長さの和h5は、例えば、0.004mに形成されているとしたが、本発明はこれに限られず、この長さの和h5は、第1平行部2dでの側壁間の間隔w6の大きさd6の2倍以上且つ3倍以下の大きさに形成されていればよい。
また、上記実施形態では、第2平行部2fと凹溝部2bとの溝深さ方向における長さの和h6は、例えば、0.0026mに形成されているとしたが、本発明はこれに限られず、この長さの和h6は、第2平行部2fでの側壁間の間隔w7の大きさd7の2倍以上且つ3倍以下の大きさに形成されていればよい。
また、上記参考例1では、例えば、パルス電圧を印加することによりパルス放電を生じさせてプラズマ放電発生部16にプラズマ12を発生させるとしたが、本発明はこれに限られず、グロー放電等のその他の放電現象を生じさせることによりプラズマ放電発生部16にプラズマ12を発生させてもよい。
また、上記参考例1では、電圧の印加を行う電源としては、例えば、周波数が300MHzの高周波電源1が用いられるとしたが、本発明はこれに限られず、その他の高周波電源1が用いられていてもよい。
《実施例》
本実施例では、実施例1〜3のプラズマプロセス装置を用いて材料ガスの解離を行い、プラズマ発光分析を行った。試験運転を行った実施例1〜3のプラズマプロセス装置について以下に説明する。
実施例1のプラズマプロセス装置として、上記参考例1に示したプラズマCVD装置において、上記参考例1とはプラズマ放電面18の側壁間の間隔w1,w2の大きさd1,d2及び溝深さh1が異なるプラズマプロセス装置を用いた。
実施例1のプラズマ放電面18におけるテーパ部2aでの側壁間の最大間隔w1は、0.012mに形成されている。テーパ部2aでの側壁間の最小間隔w2は、0.0025mに形成されている。また、プラズマ放電面18の溝深さh1は、0.02mに形成されている。
実施例2のプラズマプロセス装置として、上記参考例2に示したプラズマCVD装置において、上記参考例2とはプラズマ放電面18の側壁間の間隔w3,w4の大きさd3,d4及び溝深さh2,h3が異なるプラズマプロセス装置を用いた。
実施例2のプラズマ放電面18におけるテーパ部2aでの側壁間の最大間隔w3は、0.012mに形成されている。テーパ部2aの溝深さ方向における長さh2は、0.024mに形成されている。また、平行部2cでの側壁間の間隔w4は、0.004mに形成されている。平行部2cと凹溝部2bとの溝深さ方向における長さの和h3は、0.008mに形成されている。
実施例3のプラズマプロセス装置として、上記実施形態で示したプラズマCVD装置において、上記実施形態とはプラズマ放電面18の側壁間の間隔w5,w6,w7の大きさd5,d6,d7及び溝深さh4,h5,h6が異なるプラズマプロセス装置を用いた。
実施例3のプラズマ放電面18のテーパ部2aでの側壁間の最大間隔w5は、0.012mに形成されている。テーパ部2aの溝深さ方向における長さh4は、0.024mに形成されている。また、第1平行部2dでの側壁間の間隔w6は、0.0036mに形成されている。第1平行部2dと狭窄部2eとの溝深さ方向における長さの和h5は、0.0072mに形成されている。また、第2平行部2fでの側壁間の間隔w7は、0.002mに形成されている。第2平行部2fと凹溝部2bとの溝深さ方向における長さの和h6は、0.004mに形成されている。
一方、比較例として、図6に示すプラズマ放電発生部100を有する従来のプラズマプロセス装置についても、同様の試験運転を行った。図6は、比較例のプラズマプロセス装置のプラズマ放電発生部100を拡大して示す断面図である。尚、このプラズマプロセス装置について、プラズマ放電発生部100以外の構成は上記参考例1に示したプラズマプロセス装置と同様である。
比較例のプラズマ放電発生部100は、図6に示すように、カソード電極101と電極間絶縁部102とアノード電極103とから構成されている。カソード電極101のプラズマ放電面104は、凹溝状に形成されている。電極間絶縁部102は、隣り合うカソード電極101のプラズマ放電面104の間の突条部分に形成されている。
また、アノード電極103は、電極間絶縁部102に形成され、カソード電極101とアノード電極103とは、電極間絶縁部102を介することにより絶縁した状態となっている。カソード電極101のプラズマ放電面104の側壁は、プラズマ放電面104の底部に向かって側壁間が徐々に狭くなる断面テーパ状に形成されている。
テーパ状に形成された側壁間の最大間隔w8は、0.015mに形成されており、最小間隔w9は、0.012mに形成されている。また、プラズマ放電面104の溝深さh7は、0.01mmに形成されている。プラズマ放電面104の底部には、溝深さ方向に貫通する複数のガス導入口105が所定の間隔で形成されている。
また、材料ガスは、70Pa及び200Paの圧力で別々に処理室内に導入した。70Paで導入する材料ガスには、例えば、アモルファスシリコン等を成膜する際に使用されるSiH4(60sccm)及びH2(120sccm)を用いた。また、200Paで導入される材料ガスには、例えば、窒化シリコン膜等を成膜する際に使用されるSiH4(20sccm)、NH3(40sccm)及びN2(100sccm)を用いた。
材料ガスの導入は、図2に示すように、カソード電極101のプラズマ放電面104の底部に整列したガス導入口105から行った。電気的エネルギーの印加を行うために、周波数27MHzの高周波電源1を使用した。
上記実施例1〜3と比較例とについてプラズマ発光分析を行った結果を表4に示す。
プラズマ発光分析では、材料ガスがプラズマ12により解離される際に励起して発する発光の強度を一定時間測定する。このようにして測定された発光の強度は、材料ガスの解離の濃度に比例するので、それぞれの装置での発光の強度を比較をすることにより材料ガスの解離率を比較することができる。
表4は、比較例による発光強度を1としたときの上記実施例1〜3についての発光強度を示している。70Paの圧力で材料ガスを導入したときは、発光源が水素原子である発光スペクトルの発光強度を測定した。また、200Paの圧力で材料ガスを導入したときは、発光源が窒素原子である発光スペクトルの発光強度を測定した。
実施例1〜3については、70Pa及び200Paのいずれの圧力で材料ガスを導入した場合にも比較例よりも高い発光強度が測定された。このことから、実施例1〜3は、ホロカソード効果を十分に高めることができることがわかった。