JP4986032B2 - 光書込み型表示媒体、光書込み装置及び光書込み方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光書込み型表示媒体、光書込み装置及び光書込み方法に関する。
近年、表示媒体として、電子情報の一時的な閲覧を目的とする電子ペーパーが注目されている。この電子ペーパーの一つとして、光書込み型のものがある。光書込み型の電子ペーパーは、無電源状態であったも表示状態が維持される、例えば液晶からなる表示層と、光により電気抵抗が変化する光導電層とが積層されて構成されている。このような光書込み型の電子ペーパーには、閲覧面側から光を照射して画像を形成するものと、閲覧面と反対側(裏面側)から光を照射して画像を形成するものとがある。特許文献1及び特許文献2は、カラー用の電子ペーパーとして、裏面側から書込み光を照射する場合に、各色に対応した光導電層の吸収波長領域と、閲覧面側から入射する読出し光の透過波長領域との関係について開示する。
特開2003−140184号公報 特開2004−198949号公報
本発明の目的は、閲覧面側から書込む光書込み表示媒体において、閲覧のために読出し光の照射を受けることによる経時的な光導電層の劣化に基づく表示画像品質の劣化を防止することにある。
請求項1に係る本発明は、印加される電圧に応じて選択的に光学特性が変化し、入射した可視光を選択的に透過又は反射させる表示層と、この表示層を透過した所定範囲の波長を有する可視光のうち、第1の波長領域の可視光の照射に応じて電気抵抗が変化する光導電層と、前記表示層を透過した第1の波長領域に含まれる波長を有する可視光を透過させ、少なくとも第1の波長領域以外の波長を有する第2の波長領域の可視光を吸収する選択透過層と、前記光導電層の表示層とは反対側に配置され、前記光導電層を透過した光を吸収する光吸収層と、を有する光書込み型表示媒体である。
なお、ここで、「透過」とは、入射した光の50%以上の光量を透過し、「吸収」とは、入射した光の50%以上の光量を吸収することをいう。
請求項2に係る本発明は、前記表示層はコレステリック液晶から構成されている請求項1記載の光書込み型表示媒体である。
請求項3に係る本発明は、前記第1の波長領域の色と前記第2の波長領域の色とは補色関係にある請求項1又は2記載の光書込み型表示媒体である。
請求項4に係る本発明は、前記光導電層は電荷発生物質としてフタロシアニン顔料が用いられ、前記選択透過層は第1の成分として赤色成分を透過させる請求項3記載の光書込み型表示媒体である。
請求項5に係る本発明は、前記光導電層は電荷発生物質としてジブロモアントアントロン顔料が用いられ、前記選択透過層は第1の成分として青色成分を透過させる請求項3記載の光書込み型表示媒体である。
請求項に係る本発明は、前記表示層と前記光導電層とを接着してなることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の光書込み型表示媒体である。
請求項に係る本発明は、前記表示層と前記選択透過層とを接着させる接着層、をさらに有し、前記選択透過層が前記接着層の成分の前記光導電層への溶出を防止する隔離性能を備える請求項1乃至5いずれか記載の光書込み型表示媒体である。
請求項に係る本発明は、少なくとも前記表示層及び前記光導電層を挟むように配置された一対の電極層、をさらに有し、該一対の電極層のうち少なくとも表示層側の電極層は可視光を透過させる請求項1乃至7いずれか記載の光書込み型表示媒体である。
請求項に係る本発明は、請求項1記載光書き込み型表示媒体の前記表示層および前記光導電層に対して電圧を印加する電圧印加手段と、前記第1の波長領域の光を成分として含む可視光を発生する発光装置と、を有する光書込み装置である。
請求項10に係る本発明は、前記光書込み型表示媒体は、少なくとも前記表示層及び前記光導電層を挟むように配置された一対の電極層、をさらに有し、前記電圧印加手段は前記一対の電極層に対して電圧を印加するとともに、該一対の電極層のうち少なくとも表記層側の電極層は可視光を透過させる請求項記載の光書込み装置である。
請求項11に係る本発明は、印加される電圧に応じて選択的に光学特性が変化し、入射した可視光を選択的に透過又は反射させる表示層と、この表示層を透過した所定範囲の波長を有する可視光のうち、第1の波長領域の可視光の照射に応じて電気抵抗が変化する光導電層と、前記表示層を透過した第1の波長領域に含まれる波長を有する可視光を透過させ、少なくとも第1の波長領域以外の波長を有する第2の波長領域の可視光を吸収する選択透過層と、前記光導電層の表示層とは反対側に配置され、前記光導電層を透過した光を吸収する光吸収層と、を有する光書込み型表示媒体を用意し、この光書込み型表示媒体の前記表示層および前記光導電層に電圧を印加しながら第1の波長領域を成分として含む可視光を照射する光書込み方法である。
請求項1に係る本発明によれば、閲覧のために読出し光の照射を受けることによる経時的な光導電層の劣化に基づく表示画像品質の劣化を防止することができる。
また、光を吸収する光吸収層を有しない場合と比較して、裏面側に透過光を吸収する部材を別途設けなくても、白と黒のコントラスト比が大きい光書込み型表示媒体を簡単に得ることができる。
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明の効果に加えて、表示層への電圧印加を無くしても画像を記憶させることができる。
請求項3に係る本発明によれば、請求項1又は2に係る本発明の効果に加えて、表示層を透過した部分の色を黒に近付けるように調整することができる。
請求項4に係る本発明によれば、請求項3に係る本発明において、光導電層にフタロシアニン顔料を用いた場合に表示層を透過した部分の色を、より黒に近付けるように調整することができる。
請求項5に係る本発明によれば、請求項3に係る本発明において、光導電層にジブロモアントアントロン顔料を用いた場合に表示層を透過した部分の色を、より黒に近付けるように調整することができる。
請求項に係る本発明によれば、請求項1乃至5いずれかに係る本発明の効果に加えて、選択透過層と接着層とを分けて形成する場合と比較して、構造を簡素化することができる。
請求項に係る本発明によれば、請求項1乃至5いずれかに係る本発明の効果に加えて、選択透過層と隔離層とを分けて形成する場合と比較して、構造を簡素化することができる。
請求項に係る本発明によれば、請求項1乃至7いずれかに係る本発明の効果に加えて、電極層を有しない場合に比較して、光書込みを行う際に光書込み型表示媒体を電極間に挟む必要が無くなり、画像形成を簡略化することができる。
請求項に係る本発明によれば、閲覧のために読出し光の照射を受けることによる経時的な光導電層の劣化に基づく表示画像品質の劣化を防止することができる光書込み型表示媒体に画像を形成することができる光書込み装置を提供することができる。
請求項10に係る本発明によれば、請求項に係る本発明の効果に加えて、光書込み型表示媒体に電極層を有しない場合に比較して、電圧を印加するための電極を別途設けなくともよいため、構成を簡略化することができる光書込み装置を提供することができる。
請求項11に係る本発明によれば、閲覧のために読出し光の照射を受けることによる経時的な光導電層の劣化に基づく表示画像品質の劣化を防止することができる光書込み型表示媒体に画像を形成することができる光書込み方法を提供することができる。
また、光を吸収する光吸収層を有しない場合と比較して、裏面側に透過光を吸収する部材を別途設けなくても、白と黒のコントラスト比が大きい光書込み型表示媒体を簡単に得ることができる。
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光書込み型表示媒体10と光書込み装置12とを示す概略図である。
光書込み型表示媒体10は、例えば可撓性を有する電子ペーパーであり、一方の面に画像が表示されると共にこの表示される画像に対応する書込み光が入射される。この一方の面を閲覧面と称し、他方の面を裏面と称する。
光書込み型表示媒体10は、この実施形態においては、閲覧面側から、第1の基板14、第1の電極層16、表示層18、選択透過層20、接着層22、隔離層24、光導電層26、光吸収層28、第2の電極層30及び第2の基板32から構成されている。
第1の基板14及び第2の基板32は、絶縁性材料から構成されており、例えばガラス、シリコン、又はポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン若しくはポリカーボネート等の高分子フィルムからなる。第1の基板14は、書込み光及び読出し光に対して透過性を有する。第2の基板22は、第1の基板14と同じ材料から形成してもよいが、他の材料から形成してもよく、必ずしも書込み光及び読出し光に対して透過性を有する必要はない。
第1の電極層16及び第2の電極層30は、表示層18及び光導電層26を挟み、該表示層18及び光導電層26に電圧を印加するように導電性材料から構成されている。即ち、第1の電極層16及び第2の電極層30は、金若しくはアルミニウム等の金属薄膜、酸化インジウム若しくは酸化スズ等の金属酸化物、又はポリピロール、ポリアセチレン若しくはポリアニリン等の導電性有機高分子からなる。第1の電極層16は、書込み光及び読出し光に対して透過性を有する。第2の電極層30は、第1の電極層16と同じ材料から形成してもよいが、他の材料から形成してもよく、必ずしも書込み光及び読出し光に対して透過性を有する必要はない。
この第1の電極層16及び第2の電極層30との間に後述する光書込み装置12の電圧印加部34からのパルス電圧が印加される。
なお、他の実施形態として、この第1の電極層16及び第2の電極層30は、光書込み型表示媒体10に設ける代わりに、光書込み装置12側に設けることもできる。また、第1の電極層16及び第2の電極層30のいずれか一方を光書込み型表示媒体10に設け、他方を光書込み装置12側に設けることもできる。
表示層18は、印加される電圧に応じて選択的に光学特性が変化し、入射した可視光を選択的に透過又は反射させるもので、例えば液晶が用いられる。液晶としては、垂直配向ネマチック液晶、平行配向ネマチック液晶、ツイストネマチック液晶、スーパーツイストネマチック液晶、表面安定化強誘電性液晶等の偏光状態の変化を利用する方式、高分子分散型液晶等の光散乱状態の変化を利用する方式、ゲストホスト液晶等の光吸収状態の変化を利用する方式、又はコレステリック(カイラルネマチック)液晶等の光干渉状態の変化を利用する方式等、光学効果の異なる種々の液晶素子を用いることができる。
この実施形態においては、表示層18はコレステリック液晶が用いられている。ただし、コレステリック液晶のみからなる構造の他、液晶の連続相中に網目状の高分子を含む構造、液晶を高分子バインダ骨格中にドロップレット状に分散した構造、液晶を高分子シェルで包んでマイクロカプセル化した構造、又はマイクロカプセル化した液晶を高分子のバインダ骨格中に分散した構造とすることができる。
コレステリック液晶としては、ステロイド系コレステロール誘導体、又はシッフ塩基系、アゾ系、エステル系若しくはビフェニル系等の光学活性材料からなるカイラル成分を、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、安息香酸エステル系、ビフェニル系、ターフェニル系、シクロヘキシルカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキシルシクロヘキサンエステル系、シクロヘキシルエタン系、シクロヘキサン系、トラン系、アルケニル系、スチルベン系、縮合多環系等のネマチック液晶やスメクチック液晶、又はこれらの混合液晶に添加した材料を用いることができ、誘電率異方性が正になるように構成されている。
正の誘電率異方性を有するコレステリック液晶は、らせん軸がセル表面にほぼ垂直になり、入射光に対して上記の選択反射現象を起こすプレーナー、らせん軸がセル表面にほぼ平行になり、入射光を少し前方散乱させながら透過させるフォーカルコニック、及びらせん構造がほどけて液晶ダイレクタが電界方向を向き、入射光をほぼ完全に透過させるホメオトロピック、の3つの状態を示す。
これら3つの状態のうち、プレーナーとフォーカルコニックは、無電圧で双安定に存在することができる。したがって、コレステリック液晶の配向状態は、印加される電圧に対して一義的に決まらず、初期状態がプレーナーの場合には、印加電圧の増加に伴って、プレーナー、フォーカルコニック、ホメオトロピックの順に変化し、初期状態がフォーカルコニックの場合には、印加電圧の増加に伴って、フォーカルコニック、ホメオトロピックの順に変化する。一方、印加した電圧を急激にゼロにした場合には、プレーナーとフォーカルコニックはそのままの状態を維持し、ホメオトロピックはプレーナーに変化する。
図2は、パルス電圧が印加された直後のコレステリック液晶の光学特性を示す模式図である。
図2において、縦軸は、最大反射率を100、最小反射率を0として、正規化した正規化反射率であり、横軸は、印加されるパルス電圧である。図中の実線で示す曲線は、パルス電圧が印加された直後のコレステリック液晶の光学特性を表し、印加されたパルス電圧が、閾値電圧Vfh以上の場合はホメオトロピックからプレーナーに変化した選択反射状態となり、電圧Vpfと電圧Vfhの間にある場合は、フォーカルコニックによる透過状態となり、電圧Vpf以下の場合は、パルス電圧印加前の状態、すなわちプレーナーによる選択反射状態またはフォーカルコニックによる透過状態が継続される。
選択透過層20は、絶縁性材料から構成されており、後で説明する光導電層が光照射によって電気抵抗の変化を示す波長領域(以降、所定範囲と呼ぶことがある)に含まれる波長を有する第1の波長領域の可視光成分を透過させ、少なくとも第1の波長領域以外の波長を有する第2の波長領域の可視光を吸収する。第1の波長領域の色と第2の波長領域の色とは補色関係にある。この選択透過層20は、カドミウム系、クロム系、コバルト系若しくはマンガン系等の無機顔料、又はアゾ系、アントラキノン系、インジゴ系、トリフェニルメタン系、ニトロ系、フタロシアニン系、ペリレン系、ピロロピロール系、キナクリドン系、多環キノン系、スクエアリウム系、アズレニウム系、シアニン系、ピリリウム系若しくはアントロン系等の有機染料若しくは有機顔料、又はこれらを高分子バインダーに分散した材料を用いて形成されている。
接着層22は、少なくも書込み光に対して透過性を有し、ポリウレタン系又はポリエステル系等の接着材料から構成されている。
隔離層24は、少なくも書込み光に対して透過性を有し、接着層22の材料により後述する光導電層26が溶出するのを防止する。この隔離層24は、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、水酸基、ポリエチレングリコール骨格、アミド基又はメチロールアミン基等の水溶性樹脂を用いて形成されている。
光導電層26は、例えば3層からなり、上部電荷発生層262と下部電荷発送層264との間に電荷輸送層266を設けた構成となっている。上部電荷発生層262と下部電荷発生層264は、高分子バインダーに電荷発送物質が分散されている。電荷輸送層266は、高分子バインダーに電荷輸送物質が分散されている。
電荷発生物質としては、a−Si、ZnS、ZnO、CdS、CdSe、Se、SeTe、若しくはTiO等の無機材料、又はフタロシアニン系、アゾ系、多環キノン系、インジゴ系、キナクリドン系、ペリレン系、スクエアリウム系、アズレニウム系、シアニン系、ピリリウム系、アントロン系等の有機材料を用いることができる。
電荷輸送物質としては、カルバゾール系、トリアゾール系、オキサジアゾール系、イミダゾール系、ピラゾリン系、ヒドラゾン系、スチルベン系、アミン系又はニトロフルオレノン系等の有機材料を用いることができる。
高分子バインダーとしては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、アクリル、メタクリル、塩化ビニル、酢酸ビニル又はこれらの共重合体等を用いることができる。
光吸収層28は、光導電層26を透過した光を吸収するもので、例えば黒色を呈し、絶縁性材料から構成されており、例えばカーボンブラックを高分子バインダーに分散して形成されている。
なお、この光吸収層28は必ずしも光書込み型表示媒体10内に積層する必要はなく、光書込み型表示媒体10とは別体となる背景部を読出し時に用意し、この背景部を光書込み型表示媒体10の裏面側に配置すればよい。
光書込み装置12は、電圧印加部34、制御部36及び発光装置38を有する。電圧印加部34は、光書込み型表示媒体10の第1の電極層16及び第2の電極層30に接続され、第1の電極層16及び第2の電極層30にパルス電圧を印加する。
制御部36は、電圧印加部34のパルス電圧の印加と発光装置38の発光とを制御する。
発光装置38は、任意の書込み光を光書込み型表示媒体10に照射できるものであればよく、レーザービームスキャン装置、LEDアレイ、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ若しくはELディスプレイ等の自発光素子又は液晶シャッター等の調光素子と蛍光管、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプ若しくはLEDランプ等の光源との組み合わせ等、特に限定されるものではない。
ただし、この実施形態においては、フィルタ等を介することによって所定範囲の波長を有する可視光のうち、第1の波長領域の可視光を発するように構成されている。
図3は、光書込み型表示媒体10の等価回路図を示す。
図3において、光書込み型表示媒体10は、電極層16,30の抵抗R1、表示層18の抵抗R2及び静電容量C2からなる並列回路、その他の層の抵抗R3及び静電容量C3からなる並列回路並びに光導電層26の抵抗R3及び静電容量C3からなる並列回路が直列に接続されて構成されている。電圧印加部34から電極層16,30間に印加された電圧Vはそれぞれの回路のインピーダンスによって分圧される。ここで、発光装置38から光導電層26に書込み光が照射されると光導電層26の抵抗値R4が低下するため、表示層18における書き込み光が照射された部分に印加される分圧V2は、書き込み光が照射されない部分よりも高くなる。したがって、書込み光の光量に応じて表示層18の電圧分布が変化するとともに、その電圧分布に応じて表示層の光学状態も変化するので、書き込み光の光量分布を読出し光の反射率分布に反映させることができる。
次に光書込み装置12を用いて光書込み型表示媒体10に画像を書き込む方法について述べる。
まず暗室等に配置された光書込み装置12に光書込み型表示媒体10をセットする。光書込み媒体10のセットが完了すると、制御部36は電圧印加部34に対して電極層16,30間にパルス電圧を印加するように指令する。電圧印加部34により印加されるパルス電圧は、表示層18の分圧がVpfとVfhの間にあるように設定されている。このため、表示層18の液晶は、フォーカルコニックによる透過状態となる。次に制御部36は、発光装置38に画像に対応した書込み光を光書込み型表示媒体10に照射するよう指令する。閲覧面側から照射された光書込み光は第1の基板14、第1の電極層16、表示層18、選択透過層20、接着層22及び隔離層24を介して光導電層26に達する。光書込み光が光導電層26に達すると、光導電層26の抵抗値R4が低下するため、表示層18における書き込み光が照射された部分に印加される分圧V2は、Vfhよりも高くなり、その部分はホメオトロピックに変化する。次に制御部36は電極層16,30間へのパルス電圧を急激にゼロにするように指令する。電極層16,30間へのパルス電圧が急激にゼロにすると、書込み光が照射された部分に対応する表示層18の部分はプレーナーに変化し、書込み光が照射されなかった部分はフォーカルコニックそのままの状態を維持し、画像形成が完了する。光書込み装置12から光書込み型表示媒体10を離しても表示層18の液晶の状態はそのまま維持され、光書込み型表示媒体10に画像が記憶されることになる。
このように画像が形成された光書込み型表示媒体10に外光である読出し光が照射されると、表示層18のフォーカルコニック状態の部分は、第1の基板14、第1の電極層16及び表示層18を透過し、さらに選択透過層20に達する。この選択透過層20は、第1の成分のみを透過し、第1の成分以外の第2の成分を吸収し、光導電層26に達する光量を少なくする。選択透過層20を透過した読出し光は、さらに接着層22、隔離層24及び光導電層26を介して光吸収層28まで達して読出し光が吸収され、黒として見えるようになる。一方、表示層18のプレーナー状態の部分は、表示層18で読出し光が反射され、白として見えるようになる。
媒体の閲覧側から照射され、表示層18を透過した書き込み光の成分は、続いて光導電層26で吸収され、さらにその背面に設けた光吸収層28で吸収されるか、光吸収層がなければ透過するため、原理的には表示層で選択反射しなかった領域は黒く表示されるはずである。しかし、光導電層26とその前にある層(本実施例では隔離層24)との間には屈折率差が生じてしまうので、読出し光の一部が閲覧側の基板方向に反射することとなる。このとき選択透過層20を設けない場合には、表示層18を透過した光の成分のうち、選択透過層20が吸収する波長の光成分が吸収されないまま、光導電層26とその前にある層との間の屈折率差で反射してしまうため、この色成分が読み出し光の黒部分への色味となっていた。しかしながら、選択透過層20を設けることで、表示層18を透過し選択透過層20を透過した光には、選択透過層20の透過波長の光成分しか含まれない。このため、読出し光の黒部分に色味が付くのを防止することができる。
さらに選択透過層20の作用について詳しく説明する。
図4は、選択透過層20及び光導電層26の吸収スペクトル並びに外光スペクトルの関係を示す。選択透過層20は、書込み光波長(例えば640nm)近傍の波長領域である第1の波長領域に対しては吸収率が低く、それ以外の波長領域である第2の波長領域に対しては吸収率が高い。光導電層26は、反対に第1の成分に対しては吸収率が高く、第2の成分に対しては吸収率が低い。光書込み型表示媒体10全体としてはどの波長の光に対しても吸収率が高い(反射率が低い)。
なお、この実施形態においては、選択透過層20が640nm近傍の波長領域である第1の成分に対してのみ透過率が高いようにしたので、外光のうち強度が高い第2の成分が光導電層26に達するのを防止することができる。
図5は、選択透過層20として赤を透過させるものを用い、光導電層26の電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を用いた例を示す。書込み光の波長は例えば640nmであり、選択透過層20では書込み光の吸収率が0.2以下であり、光導電層26では書込み光の吸収率が0.8以上である。
図6は、選択透過層20として青を透過させるものを用い、光導電層26の電荷発送物質としてジブロモアントアントロン(DBA)顔料を用いた例を示す。書込み光の波長は例えば480nmであり、選択透過層20では書込み光の吸収率が0.5以下であり、光導電層26では吸収率が0.6以上である。
図7は、第2の実施形態に係る光書込み型表示媒体10を示す。前述した第1の実施形態と比較すると、第1の実施形態においては、選択透過層20を接着層22とは別の層として設けたが、この第2の実施形態においては、選択透過層20に接着機能を付加しており、単独の接着層は設けられていない。選択透過層22は、ポリウレタン系又はポリエステル系等の接着材料に、カドミウム系、クロム系、コバルト系若しくはマンガン系等の無機顔料、又はアゾ系、アントラキノン系、インジゴ系、トリフェニルメタン系、ニトロ系、フタロシアニン系、ペリレン系、ピロロピロール系、キナクリドン系、多環キノン系、スクエアリウム系、アズレニウム系、シアニン系、ピリリウム系若しくはアントロン系等の有機染料若しくは有機顔料が分散させて構成されている。
図8は、第3の実施形態に係る光書込み型表示媒体10を示す。前述した第2の実施形態と比較すると、第2の実施形態においては、選択透過層20に接着機能を付加したのに対し、この第3の実施形態においては、選択透過層20に隔離機能を付加している。選択透過層20は、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、水酸基、ポリエチレングリコール骨格、アミド基又はメチロールアミン基等の水溶性樹脂に、カドミウム系、クロム系、コバルト系若しくはマンガン系等の無機顔料、又はアゾ系、アントラキノン系、インジゴ系、トリフェニルメタン系、ニトロ系、フタロシアニン系、ペリレン系、ピロロピロール系、キナクリドン系、多環キノン系、スクエアリウム系、アズレニウム系、シアニン系、ピリリウム系若しくはアントロン系等の有機染料若しくは有機顔料が分散させて構成されている。
以下に実施例を示し本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下において%は「質量%」を、部は「質量部」を意味する。
実施例1:
(光吸収層、光導電層及び隔離層)
光吸収層として、PVAをバインダーとし、顔料としてカーボンブラックを用い、かつ、その重量比率を3:1とした水溶液(固形分濃度10%)を作製し、これを、乾燥膜厚2μmになるように上部電荷発生層上に形成し、100℃30分乾燥した。
下部電荷発生層用分散液として、クロロガリウムフタロシアニンを電荷発生材とし、バインダー樹脂としてポリビニルブチラールを用い、両者の質量比率を6:4とし、これを、ブタノールで分散させたもの(濃度4%)を調製した。この分散液をスピンコート法により電荷輸送層の上に塗布後、乾燥させ、上部電荷発生層を0.8μm厚に形成した。
電荷輸送層用溶液として、ベンジジン系電荷輸送材、とバインダー樹脂PolyCarbonate bisphenol-Z、(ポリ(4,4'-シクロヘキシリデンジフェニレンカーボネート))をそれぞれ6:4の質量比率で混合した後、これをモノクロロベンゼンに溶解させ10%の溶液としたものを調製した。20%の溶液としたものを調製した。この溶液をGap幅80μmのアプリケータにより、下部電荷発生層上に8μm厚の電荷輸送層を作製した。
上部電荷発生層用分散液として、クロロガリウムフタロシアニンを電荷発生材とし、バインダー樹脂としてポリビニルブチラールを用い、両者の質量比率を6:4とし、これを、ブタノールで分散させたもの(濃度2%)を調製した。この分散液をスピンコート法により電荷輸送層の上に塗布後、乾燥させ、上部電荷発生層を0.2μm厚に形成した。このようにして、基板、下部電荷発生層、電荷輸送層および上部電荷発生層よりなる光吸収層を有する光吸収層及び光導電層を作製した。
さらに、隔離層として、PVAを6%溶解させた水溶液を作製し、これを、乾燥膜厚1μmになるように上部電荷発生層上に形成し、100℃30分乾燥した。
(基板、電極層及び表示層)
コレステリック液晶は、ネマチック液晶E7(メルク社製)にカイラル剤R811(メルク社製)を12.8%と、カイラル剤R1011(メルク社製)を3.2%とを添加して得た。
このコレステリック液晶10部に対して、ポリイソシアネート化合物タケネートD−110N(武田薬品工業社製)を1.2部と酢酸エチルを100部加えて油相組成物を調製し、これを1%ポリビニルアルコール(ポバール217EE:クラレ製)水溶液1000部の中に投入し、撹拌・乳化して約10μm径のo/wエマルジョンを作製した。これを60℃で3時間加熱してポリウレタンを壁材とするマイクロカプセルを得た。マイクロカプセルを遠沈回収後、12%ポリビニルアルコール(ポバール217C:クラレ製)水溶液を加えてマイクロカプセル液晶塗料とした。
基板及び電極層として、市販のITO蒸着PET樹脂フィルム(ハイビーム:東レ製)を用いて上記マイクロカプセル液晶塗料を乾燥膜厚で30μmとなるように塗布して100℃30分乾燥し、基板、電極層及び表示層とした。
(赤選択透過層)
PVAバインダーとし、赤顔料(ジオケトピロロピロール)と分散し、その重量比が1:1になるように水溶液を作製した(固形分濃度10%)。この赤インクをアプリケータで表示層上に乾燥後の厚み2μmになるように塗布し、90℃30分乾燥した。
(接着層)
次に酢酸ブチルを溶媒にして、2液ウレタン系接着剤タケラックA50/A315(三井化学ポリウレタン製)を溶解させたラミネートインクを用いて光導電層を作製した基板の隔離層上にスピンコート法で塗布して膜厚5μmの接着層とした。
最後に、このようにして準備した各層を重ねて90℃に加熱したラミネーターを通して貼合して電子ペーパーを完成した。
実施例2:
(光吸収層、光導電層及び隔離層)
光吸収層として、PVAをバインダーとし、顔料としてカーボンブラックを用い、かつ、その重量比率を3:1とした水溶液(固形分濃度10%)を作製し、これを、乾燥膜厚2μmになるように上部電荷発生層上に形成し、100℃30分乾燥した。
下部電荷発生層用分散液として、クロロガリウムフタロシアニンを電荷発生材とし、バインダー樹脂としてポリビニルブチラールを用い、両者の質量比率を6:4とし、これを、ブタノールで分散させたもの(濃度4%)を調製した。この分散液をスピンコート法により電荷輸送層の上に塗布後、乾燥させ、上部電荷発生層を0.8μm厚に形成した。
電荷輸送層用溶液として、ベンジジン系電荷輸送材、とバインダー樹脂PolyCarbonate bisphenol-Z、(ポリ(4,4'-シクロヘキシリデンジフェニレンカーボネート))をそれぞれ6:4の質量比率で混合した後、これをモノクロロベンゼンに溶解させ10%の溶液としたものを調製した。この溶液をディップコートにより、20%の溶液としたものを調製した。この溶液をGap幅80μmのアプリケータにより、下部電荷発生層上に8μm厚の電荷輸送層を作製した。
上部電荷発生層用分散液として、クロロガリウムフタロシアニンを電荷発生材とし、バインダー樹脂としてポリビニルブチラールを用い、両者の質量比率を6:4とし、これを、ブタノールで分散させたもの(濃度2%)を調製した。この分散液をスピンコート法により電荷輸送層の上に塗布後、乾燥させ、上部電荷発生層を0.2μm厚に形成した。このようにして、基板、下部電荷発生層、電荷輸送層および上部電荷発生層よりなる光導電層を作製した。
さらに、隔離層として、PVAを6%溶解させた水溶液を作製し、これを、乾燥膜厚1μmになるように上部電荷発生層上に形成し、100℃30分乾燥した。
(基板、電極層及び表示層)
コレステリック液晶は、ネマチック液晶E7(メルク社製)にカイラル剤R811(メルク社製)を12.8%と、カイラル剤R1011(メルク社製)を3.2%とを添加して得た。
このコレステリック液晶10部に対して、ポリイソシアネート化合物タケネートD−110N(武田薬品工業社製)を1.2部と酢酸エチルを100部加えて油相組成物を調製し、これを1%ポリビニルアルコール(ポバール217EE:クラレ製)水溶液1000部の中に投入し、撹拌・乳化して約10μm径のo/wエマルジョンを作製した。これを60℃で3時間加熱してポリウレタンを壁材とするマイクロカプセルを得た。マイクロカプセルを遠沈回収後、12%ポリビニルアルコール(ポバール217C:クラレ製)水溶液を加えてマイクロカプセル液晶塗料とした。
基板及び電極層として、市販のITO蒸着PET樹脂フィルム(ハイビーム:東レ製)を用いて上記マイクロカプセル液晶塗料を乾燥膜厚で30μmとなるように塗布して100℃30分乾燥し、基板、電極層及び表示層とした。
(赤選択透過層兼接着層)
次に酢酸ブチルを溶媒にして、熱可塑性樹脂に赤顔料としてジオケトピロロピロールを分散したラミネートインクを用いて光導電層を作製した基板の隔離層上にスピンコート法で塗布して膜厚5μmの接着層とした。
最後に、このようにして準備した各層を重ねて90℃に加熱したラミネーターを通して貼合して電子ペーパーを完成した。
実施例3:
(光吸収層、光導電層及び隔離層)
光吸収層として、PVAをバインダーとし、顔料としてカーボンブラックを用い、かつ、その重量比率を3:1とした水溶液(固形分濃度10%)を作製し、これを、乾燥膜厚2μmになるように上部電荷発生層上に形成し、1100℃30分乾燥した。
下部電荷発生層用分散液として、クロロガリウムフタロシアニンを電荷発生材とし、バインダー樹脂としてポリビニルブチラールを用い、両者の質量比率を6:4とし、これを、ブタノールで分散させたもの(濃度4%)を調製した。この分散液をスピンコート法により電荷輸送層の上に塗布後、乾燥させ、上部電荷発生層を0.8μm厚に形成した。
電荷輸送層用溶液として、ベンジジン系電荷輸送材、とバインダー樹脂PolyCarbonate bisphenol-Z、(ポリ(4,4'-シクロヘキシリデンジフェニレンカーボネート))をそれぞれ6:4の質量比率で混合した後、これをモノクロロベンゼンに溶解させ10%の溶液としたものを調製した。この溶液をディップコートにより、20%の溶液としたものを調製した。この溶液をGap幅80μmのアプリケータにより、下部電荷発生層上に8μm厚の電荷輸送層を作製した。
上部電荷発生層用分散液として、クロロガリウムフタロシアニンを電荷発生材とし、バインダー樹脂としてポリビニルブチラールを用い、両者の質量比率を6:4とし、これを、ブタノールで分散させたもの(濃度2%)を調製した。この分散液をスピンコート法により電荷輸送層の上に塗布後、乾燥させ、上部電荷発生層を0.2μm厚に形成した。このようにして、基板、下部電荷発生層、電荷輸送層および上部電荷発生層よりなる光導電層を作製した。
さらに、隔離層として、PVAを6%溶解させた水溶液を作製し、これを、乾燥膜厚1μmになるように上部電荷発生層上に形成し、100℃30分乾燥した。
(基板、電極層及び表示層)
コレステリック液晶は、ネマチック液晶E7(メルク社製)にカイラル剤R811(メルク社製)を12.8%と、カイラル剤R1011(メルク社製)を3.2%とを添加して得た。
このコレステリック液晶10部に対して、ポリイソシアネート化合物タケネートD−110N(武田薬品工業社製)を1.2部と酢酸エチルを100部加えて油相組成物を調製し、これを1%ポリビニルアルコール(ポバール217EE:クラレ製)水溶液1000部の中に投入し、撹拌・乳化して約10μm径のo/wエマルジョンを作製した。これを60℃で3時間加熱してポリウレタンを壁材とするマイクロカプセルを得た。マイクロカプセルを遠沈回収後、12%ポリビニルアルコール(ポバール217C:クラレ製)水溶液を加えてマイクロカプセル液晶塗料とした。
基板および電極層として、市販のITO蒸着PET樹脂フィルム(ハイビーム:東レ製)を用いて上記マイクロカプセル液晶塗料を乾燥膜厚で30μmとなるように塗布して100℃30分乾燥し、表示層とした。
(赤選択透過層)
PVAバインダとし、赤顔料(ジオケトピロロピロール)と分散し、その重量比が1:1になるように水溶液を作製した(固形分濃度10%)。この赤インクをスピンコートで上部電荷発生層上に乾燥後の厚み2μmになるように塗布し、90℃30分乾燥した。
(接着層)
次に酢酸ブチルを溶媒にして、2液ウレタン系接着剤タケラックA50/A315(三井化学ポリウレタン製)を溶解させたラミネートインクを用いて光導電層を作製した基板の隔離層上にスピンコート法で塗布して膜厚5μmの接着層とした。
最後に、このようにして準備した各層を重ねて90℃に加熱したラミネーターを通して貼合して電子ペーパーを完成した。
実施例4:
(光吸収層、光導電層及び隔離層)
光吸収層として、PVAをバインダーとし、顔料としてカーボンブラックを用い、かつ、その重量比率を3:1とした水溶液(固形分濃度10%)を作製し、これを、乾燥膜厚2μmになるように上部電荷発生層上に形成し、100℃30分乾燥した。
下部電荷発生層用分散液として、ジブロモアントアントロンを電荷発生材とし、バインダー樹脂としてポリビニルブチラールを用い、両者の質量比率を8:1とし、これを、ブタノールで分散させたもの(濃度4%)を調製した。この分散液をスピンコート法により電荷輸送層の上に塗布後、乾燥させ、上部電荷発生層を0.8μm厚に形成した。
電荷輸送層用溶液として、ベンジジン系電荷輸送材、とバインダー樹脂PolyCarbonate bisphenol-Z、(ポリ(4,4'-シクロヘキシリデンジフェニレンカーボネート))をそれぞれ6:4の質量比率で混合した後、これをモノクロロベンゼンに溶解させ10%の溶液としたものを調製した。この溶液をディップコートにより、20%の溶液としたものを調製した。この溶液をGap幅80μmのアプリケータにより、下部電荷発生層上に8μm厚の電荷輸送層を作製した。
上部電荷発生層用分散液として、ジブロモアントアントロンを電荷発生材とし、バインダー樹脂としてポリビニルブチラールを用い、両者の質量比率を8:1とし、これを、ブタノールで分散させたもの(濃度2%)を調製した。この分散液をスピンコート法により電荷輸送層の上に塗布後、乾燥させ、上部電荷発生層を0.2μm厚に形成した。このようにして、基板、下部電荷発生層、電荷輸送層および上部電荷発生層よりなる光吸収層及び光導電層を作製した。
さらに、隔離層として、PVAを6%溶解させた水溶液を作製し、これを、乾燥膜厚1μmになるように上部電荷発生層上に形成し、100℃30分乾燥した。
(基板、電極層及び表示層)
コレステリック液晶は、ネマチック液晶E7(メルク社製)にカイラル剤R811(メルク社製)を12.8%と、カイラル剤R1011(メルク社製)を3.2%とを添加して得た。
このコレステリック液晶10部に対して、ポリイソシアネート化合物タケネートD−110N(武田薬品工業社製)を1.2部と酢酸エチルを100部加えて油相組成物を調製し、これを1%ポリビニルアルコール(ポバール217EE:クラレ製)水溶液1000部の中に投入し、撹拌・乳化して約10μm径のo/wエマルジョンを作製した。これを60℃で3時間加熱してポリウレタンを壁材とするマイクロカプセルを得た。マイクロカプセルを遠沈回収後、12%ポリビニルアルコール(ポバール217C:クラレ製)水溶液を加えてマイクロカプセル液晶塗料とした。
基板及び電極層として、市販のITO蒸着PET樹脂フィルム(ハイビーム:東レ製)を用いて上記マイクロカプセル液晶塗料を乾燥膜厚で30μmとなるように塗布して100℃30分乾燥し、表示層とした。
(青選択透過層)
塩化ビニール酢共重合体樹脂をバインダーとし、青顔料(銅フタロシアニン)を分散し、その重量比が1:2になるように溶媒を酢酸ブチルとして青インクを作製した(固形分濃度10%)。この青インクをアプリケータで表示層上に乾燥後の厚み2μmになるように塗布し、100℃30分乾燥した。
(接着層)
次に酢酸ブチルを溶媒にして、2液ウレタン系接着剤タケラックA50/A315(三井化学ポリウレタン製)を溶解させたラミネートインクを用いて光導電層を作製した基板の隔離層上にスピンコート法で塗布して膜厚5μmの接着層とした。
最後に、このようにして準備した各層を重ねて90℃に加熱したラミネーターを通して貼合して電子ペーパーを完成した。
比較例:
(光吸収層、光導電層及び隔離層)
光吸収層として、PVAをバインダーとし、顔料としてカーボンブラックを用い、かつ、その重量比率を3:1とした水溶液(固形分濃度10%)を作製し、これを、乾燥膜厚2μmになるように上部電荷発生層上に形成し、100℃30分乾燥した。
下部電荷発生層用分散液として、クロロガリウムフタロシアニンを電荷発生材とし、バインダー樹脂としてポリビニルブチラールを用い、両者の質量比率を6:4とし、これを、ブタノールで分散させたもの(濃度4%)を調製した。この分散液をスピンコート法により電荷輸送層の上に塗布後、乾燥させ、上部電荷発生層を0.8μm厚に形成した。
電荷輸送層用溶液として、ベンジジン系電荷輸送材、とバインダー樹脂PolyCarbonate bisphenol-Z、(ポリ(4,4'-シクロヘキシリデンジフェニレンカーボネート))をそれぞれ6:4の質量比率で混合した後、これをモノクロロベンゼンに溶解させ110%の溶液としたものを調製した。この溶液をディップコートにより、20%の溶液としたものを調製した。この溶液をGap幅80μmのアプリケータにより、下部電荷発生層上に8μm厚の電荷輸送層を作製した。
上部電荷発生層用分散液として、クロロガリウムフタロシアニンを電荷発生材とし、バインダー樹脂としてポリビニルブチラールを用い、両者の質量比率を6:4とし、これを、ブタノールで分散させたもの(濃度2%)を調製した。この分散液をスピンコート法により電荷輸送層の上に塗布後、乾燥させ、上部電荷発生層を0.2μm厚に形成した。このようにして、基板、下部電荷発生層、電荷輸送層および上部電荷発生層よりなる光導電層を作製した。
さらに、隔離層として、PVAを6%溶解させた水溶液を作製し、これを、乾燥膜厚1μmになるように上部電荷発生層上に形成し、100℃30分乾燥した。
(基板、電極層及び表示層)
コレステリック液晶は、ネマチック液晶E7(メルク社製)にカイラル剤R811(メルク社製)を12.8%と、カイラル剤R1011(メルク社製)を3.2%とを添加して得た。
このコレステリック液晶10部に対して、ポリイソシアネート化合物タケネートD−110N(武田薬品工業社製)を1.2部と酢酸エチルを100部加えて油相組成物を調製し、これを1%ポリビニルアルコール(ポバール217EE:クラレ製)水溶液1000部の中に投入し、撹拌・乳化して約10μm径のo/wエマルジョンを作製した。これを60℃で3時間加熱してポリウレタンを壁材とするマイクロカプセルを得た。マイクロカプセルを遠沈回収後、12%ポリビニルアルコール(ポバール217C:クラレ製)水溶液を加えてマイクロカプセル液晶塗料とした。
基板及び電極層として、市販のITO蒸着PET樹脂フィルム(ハイビーム:東レ製)を用いて上記マイクロカプセル液晶塗料を乾燥膜厚で30マイクロメートルとなるように塗布して100℃30分乾燥し、表示層とした。
(接着層)
次に酢酸ブチルを溶媒にして、2液ウレタン系接着剤タケラックA50/A315(三井化学ポリウレタン製)を溶解させたラミインクを用いて光導電層を作製した基板の隔離層上にスピンコート法で塗布して膜厚5μmの接着層とした。
最後に、このようにして準備した各層を重ねて90℃に加熱したラミネーターを通して貼合して電子ペーパーを完成した。
評価:
(1)耐光性評価
実施例及び比較例の耐光性を調べた。蛍光灯を光源とし、2cm近傍に前述した評価用媒体を配置し、所定の時間照射した。その露光に先立ち、あらかじめ、初期特性として、白状態における書き込み反射率を測定した。書き込み波形は400VOp程度で矩形パルスを10Hzで200ms印加した。光量は120uw〜200uw程度とした。書き込み光源の波長は、実施例1,2,3では640nmのLED(発光ダイオード)を用い、実施例4においては500nmのLEDを用いた。次に、耐光試験用の蛍光灯光源を照射した。測定は、3時間後と5時間後に再び反射率を測定し、初期に比べて度の程度劣化するかを調べた。反射率の測定にはミノルタ製分光測色計CM−2002を用いた。
この結果、図9にあるように、比較例が5時間照射後に反射率が初期の2割程度に低下してしまったのに対し、実施例1及び2はほとんど劣化が無かった。この他、実施例3及び4についても同様の実験を行ったが、5時間露光後の劣化は10%以下であった。これにより耐光性の改善が示された。
(2)黒味評価
黒の色味を調べるため、前述したミノルタ製分光測色計CM−2002を用いて測定した。評価は実施例、比較例の分光スペクトルを観察するとともに、L*a*b*表色系で評価した。すなわち、分光光度計でL*a*b*を測定した後、a*,b*の自乗平均を計算、評価した。計算値が小さいほど、無彩化、すなわち、黒に色味がつかない良好な表色となっている。図10にスペクトルを示す。比較のため、反射率は最小反射率を1として規格化している。図10に示すように比較例では特に波長の短い青領域のゲインが高く、青みがかっていることがわかる。一方、実施例1,2,3では、青のゲインが他の波長に比べ下がっていて、波長に対し均一になっている。図11にL*a*b*による黒味の評価結果を示す。図11にあるように比較例に比べ、実施例1,2,3は小さく、良好であることが確認された。実施例4についても同様な評価をこなったところ自乗平均が10以下となり良好な結果が得られた。
本発明の第1の実施形態に係る光書込み型表示媒体及び光書込み装置を示す概略図である。 本発明の第1の実施形態の表示層に用いられたコレステリック液晶にパルス電圧が印加された場合の光学特性を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態における光書込み型表示媒体の等価回路図を示す回路図である。 本発明の第1の実施形態に用いた選択透過層及び光導電層の吸収スペクトル及び外光スペクトルの関係を示す概略図である。 本発明の第1の実施形態において、選択透過層として赤成分を透過させるものを用い、光導電層の電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を用いた場合のそれぞれの吸収スペクトルを示す線図である。 本発明の第1の実施形態において、選択透過層として青を透過させるものを用い、光導電層26の電荷発送物質としてジブロモアントアントロン(DBA)顔料を用いた場合のそれぞれの吸収スペクトルを示す線図である。 本発明の第2の実施形態に係る光書込み型表示媒体を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る光書込み型表示媒体を示す断面図である。 実施例1,2及び比較例の耐光性評価結果を示す線図である。 実施例1,2,3及び比較例の黒のスペクトルを示す線図である。 実施例1,2,3及び比較例の黒の色味評価結果を示す図表である。
符号の説明
10 光書込み型表示媒体
12 光書込み装置
14 第1の基板
16 第1の電極層
18 表示層
20 選択透過層
22 接着層
24 隔離層
26 光導電層
28 光吸収層
30 第2の電極層
32 第2の基板
34 電圧印加部
36 制御部
38 発光装置

Claims (11)

  1. 印加される電圧に応じて選択的に光学特性が変化し、入射した可視光を選択的に透過又は反射させる表示層と、
    この表示層を透過した所定範囲の波長を有する可視光のうち、第1の波長領域の可視光の照射に応じて電気抵抗が変化する光導電層と、
    前記表示層を透過した第1の波長領域に含まれる波長を有する可視光を透過させ、少なくとも第1の波長領域以外の波長を有する第2の波長領域の可視光を吸収する選択透過層と、
    前記光導電層の表示層とは反対側に配置され、前記光導電層を透過した光を吸収する光吸収層と、
    を有する光書込み型表示媒体。
  2. 前記表示層はコレステリック液晶から構成されている請求項1記載の光書込み型表示媒体。
  3. 前記第1の波長領域の色と前記第2の波長領域の色とは補色関係にある請求項1又は2記載の光書込み型表示媒体。
  4. 前記光導電層は電荷発生物質としてフタロシアニン顔料が用いられ、前記選択透過層は第1の成分として赤色成分を透過させる請求項3記載の光書込み型表示媒体。
  5. 前記光導電層は電荷発生物質としてジブロモアントアントロン顔料が用いられ、前記選択透過層は第1の成分として青色成分を透過させる請求項3記載の光書込み型表示媒体。
  6. 前記選択透過層は、前記表示層と前記光導電層とを接着してなることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の光書込み型表示媒体。
  7. 前記表示層と前記選択透過層とを接着させる接着層、
    をさらに有し、
    前記選択透過層が前記接着層の成分の前記光導電層への溶出を防止する隔離性能を備える請求項1乃至5いずれか記載の光書込み型表示媒体。
  8. 少なくとも前記表示層及び前記光導電層を挟むように配置された一対の電極層、
    をさらに有し、
    該一対の電極層のうち少なくとも表示層側の電極層は可視光を透過させる請求項1乃至7いずれか記載の光書込み型表示媒体。
  9. 請求項1記載光書き込み型表示媒体の前記表示層および前記光導電層に対して電圧を印加する電圧印加手段と、
    前記第1の波長領域の光を成分として含む可視光を発生する発光装置と、
    を有する光書込み装置。
  10. 前記光書込み型表示媒体は、少なくとも前記表示層及び前記光導電層を挟むように配置された一対の電極層、
    をさらに有し、
    前記電圧印加手段は前記一対の電極層に対して電圧を印加するとともに、該一対の電極層のうち少なくとも表記層側の電極層は可視光を透過させる請求項記載の光書込み装置。
  11. 印加される電圧に応じて選択的に光学特性が変化し、入射した可視光を選択的に透過又は反射させる表示層と、
    この表示層を透過した所定範囲の波長を有する可視光のうち、第1の波長領域の可視光の照射に応じて電気抵抗が変化する光導電層と、
    前記表示層を透過した第1の波長領域に含まれる波長を有する可視光を透過させ、少なくとも第1の波長領域以外の波長を有する第2の波長領域の可視光を吸収する選択透過層と、
    前記光導電層の表示層とは反対側に配置され、前記光導電層を透過した光を吸収する光吸収層と、
    を有する光書込み型表示媒体を用意し、
    この光書込み型表示媒体の前記表示層および前記光導電層に電圧を印加しながら第1の波長領域を成分として含む可視光を照射する光書込み方法。
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