JP4984642B2 - スピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体、その用途、及びその製造方法 - Google Patents

スピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体、その用途、及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、有機半導体等の電子材料への展開が可能なスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体、その用途、及びそれらの製造方法に関する。
有機薄膜トランジスタに代表される有機半導体デバイスは、省エネルギー、低コスト、及びフレキシブルといった無機半導体デバイスにはない特徴を有することから近年注目されるようになった。有機薄膜トランジスタは有機半導体活性相、基板、絶縁相、電極等数種類の材料から構成されるが、中でも電荷のキャリアー移動を担う有機半導体活性相は該デバイスの中心的な役割を有している。この有機半導体活性相を構成する有機材料のキャリアー移動能により半導体デバイス性能が左右される。
有機半導体活性相を作製する方法としては一般的に、高温真空下、有機材料を気化させて実施する真空蒸着法、及び有機材料を適当な溶媒に溶解させその溶液を塗布する塗布法が知られている。塗布法は高温高真空条件を用いることなく、印刷技術を用いても実施することができるため、デバイス作製の製造コストを大幅に削減することができることから、経済的に好ましいプロセスである。しかし、従来、有機半導体材料として高性能な材料ほど塗布法による活性相形成が困難になるという問題があった。
例えば、剛直構造を有するペンタセン等の結晶性材料はアモルファスシリコン並みの高いキャリアー移動度を有し、優れた半導体デバイス特性を発現することが報告されている(非特許文献1参照)。しかし、ペンタセンはその強い凝集性のため溶解性が低く、一般的には経済的な塗布法を適用することができない。また、ペンタセン等のポリアセンを溶解させ塗布法でデバイスを製造する試みも報告されているが(特許文献1参照)、元来難溶性のポリアセン類を溶解させるためには、高温加熱等の条件が必要とされ、さらにペンタセンの溶液は極めて容易に空気酸化されることから、塗布法の適用はプロセス的、経済的に困難を伴うものであった。また、ポリ−(3−ヘキシルチオフェン)等の自己組織化材料は溶媒に可溶であり、塗布によるデバイス作製が報告されているが、キャリアー移動度が結晶性化合物より1桁低いことから(非特許文献2参照)、得られた有機半導体デバイスの特性が低いという問題があった。
さらに、有機半導体材料として期待できる化合物として、スピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体の報告がなされている(特許文献2及び3、非特許文献3参照)。しかしながら、それらいずれの報告も有機半導体材料及びその製法としては満足の行くものではなかった。
「ジャーナル オブ アプライドフィジックス」、(米国)、2002年、92巻、5259−5263頁 「サイエンス」、(米国)、1998年、280巻、1741−1744頁 「オルガノメタリックス」、(米国)、2003年、22巻、5589−5592頁 WO2003/016599 特表平10−509996 WO00/02886
そこで、本発明は上記の従来技術が有する問題点に鑑み、優れた耐酸化性を有し、塗布法による半導体活性相形成が可能なスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体、その経済性に優れた製造方法、並びに、スピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体を用いた耐酸化性有機半導体材料並びに有機薄膜を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討の結果、新規なスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体、及びそれを高収率で製造する方法を見出した。加えて、スピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体からなる耐酸化性有機半導体材料及びその薄膜を見出し、本発明を完成するに到った。
以下に本発明を詳細に説明する。
(スピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体)
本発明のスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体は、下記一般式(1)で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体である。
Figure 0004984642
(ここで、Ψはケイ素原子、置換基R 〜R は同一又は異なって、フェニル基、p−(トリフルオロメチル)フェニル基、ペンタフルオロフェニル基からなる群より選択される炭素数4〜30のアリール基を示す。置換基 〜R は、水素原子を示す。
本発明の一般式(1)の置換基について、さらに述べる。
置換基Ψは好ましくはケイ素原子である。
置換基R〜Rにおける、炭素数5〜20のアルキル基は特に限定されず、例えばペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基等を挙げることができる。
置換基R〜Rにおける、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基は特に限定されず、例えばトリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、パーフルオロヘキシル基等を挙げることができる。
置換基R〜Rにおける、炭素数4〜30のアリール基は特に限定されず、例えばフェニル基、p−トリル基、p−(n−オクチル)フェニル基、m−(n−オクチル)フェニル基、p−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、p−(トリフルオロメチル)フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、1−ビフェニレノ基、2−ビフェニレノ基、ビフェニル基、パーフルオロビフェニル基、ターフェニル基、2−チエニル基、2,2’−ビチエニル−5−基、5’−(n−オクチル)−2,2’−ビチエニル−5−基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、2,2’−ビピリジル−6−基、テトラフルオロピリジル基、2−チエニル基、3−チエニル基、5−(n−ヘキシル)−2−チエニル基、2,2’−ビチエニル−5−基、キノリル基、(ジフェニルアミノ)フェニル基、(ジフェニルアミノ)ビフェニル基等を挙げることができ、好ましくは、フェニル基、p−(トリフルオロメチル)フェニル基、ペンタフルオロフェニル基等である。
置換基R〜Rにおける、炭素数2〜20のアルキニル基は特に限定されず、例えばエチニル基、メチルエチニル基、イソプロピルエチニル基、tert−ブチルエチニル基、(n−オクチル)エチニル基、(トリフルオロメチル)エチニル基、(n−パーフルオロオクチル)エチニル、フェニルエチニル基、{p−(n−オクチル)フェニル}エチニル基、ナフチルエチニル基、アントラセニルエチニル基、ビフェニレノエチニル基、ビフェニルエチニル基、ターフェニルエチニル基、ベンジルエチニル基、パーフルオロフェニルエチニル基、{p−(トリフルオロメチル)フェニル}エチニル基、{p−(n−パーフルオロオクチル)フェニル}エチニル基等を挙げることができ、好ましくは(n−オクチル)エチニル基、(トリフルオロメチル)エチニル基、フェニルエチニル基、{p−(トリフルオロメチル)フェニル}エチニル基、{p−(n−パーフルオロオクチル)フェニル}エチニル基、ビフェニルエチニル基、ターフェニルエチニル基等である。
置換基R〜Rにおける、炭素数2〜30のアルケニル基は特に限定されず、例えばエテニル基、メチルエテニル基、イソプロピルエテニル基、tert−ブチルエテニル基、(n−オクチル)エテニル基、(トリフルオロメチル)エテニル基、フェニルエテニル基、1,2−ジフルオロ−2−フェニルエテニル基、1,2−ジメチル−2−フェニルエテニル基、ジフェニルエテニル基、トリフェニルエテニル基、ナフチルエテニル基、アントラセニルエテニル基、ビフェニレノエテニル基、ビフェニルエテニル基、ターフェニルエテニル基、ベンジルエテニル基、フェニル(メチル)エテニル基、パーフルオロフェニルエテニル基、{p−(トリフルオロメチル)フェニル}エテニル基、(n−パーフルオロオクチル)エテニル基等を挙げることができる。好ましくは(n−オクチル)エテニル基、フェニルエテニル基、ビフェニルエテニル基である。なお、該炭素数2〜20のアルケニル基はトランス体及びシス体の何れであってもよく、またそれらの任意の割合の混合物であってもよい。
置換基R〜Rは好ましくは、同一又は異なって、炭素数5〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数4〜30のアリール基、又は炭素数2〜20のアルキニル基であり、特に好ましくは、炭素数4〜30のアリール基、炭素数2〜20のアルキニル基である。
置換基群(RとR)及び置換基群(RとR)は互いに結合しそれぞれに環を形成することができる。環の形成はいずれか1つの置換基群において、若しくは双方の置換基群において形成される、好ましくは双方の置換基群において形成される。この形成される環としては、例えば、置換基を有していてもよいベンゼン環、置換基を有していてもよいナフタレン環、置換基を有していてもよいトリフェニレン環、置換基を有していてもよいベンゾシクロブテン環、置換基を有していてもよいチオフェン環、及び置換基を有していてもよいベンゾチオフェン環を挙げることができ、好ましくは置換基を有していてもよいベンゼン環、置換基を有していてもよいナフタレン環であり、さらに好ましくは置換基を有していてもよいベンゼン環を挙げることができる。
置換基を有していてもよいベンゼン環は、例えばベンゼン環、ジメチルベンゼン環、ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン環、ジフェニルベンゼン環等であり、好ましくはジフェニルベンゼン環を挙げることができる。置換基を有していてもよいナフタレン環は、例えばナフタレン環、ジメチルナフタレン環、ジフェニルナフタレン環等であり、好ましくはナフタレン環を挙げることができる。置換基を有していてもよいトリフェニレン環は、例えばトリフェニレン環、デカメチルトリフェニレン環、ジフェニルトリフェニレン環等であり、好ましくはトリフェニレン環を挙げることができる。置換基を有していてもよいベンゾシクロブテン環は、例えばベンゾシクロブテン環、ジメチルベンゾシクロブテン環、ジフェニルベンゾシクロブテン環等であり、好ましくはベンゾシクロブテン環を挙げることができる。置換基を有していてもよいチオフェン環は、例えば、チオフェン環、メチルチオフェン環、フェニルチオフェン環であり、好ましくはメチルチオフェン環を挙げることができる。置換基を有していてもよいベンゾチオフェン環は、例えば、ベンゾチオフェン環、メチルベンゾチオフェン環、フェニルベンゾチオフェン環であり、好ましくはメチルチオフェン環を挙げることができる。
置換基R〜Rの内の1以上は、好ましくは水素原子である。
本発明の一般式(1)で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体の例として、以下の化合物を挙げることができる。
Figure 0004984642
Figure 0004984642
(耐酸化性有機半導体材料)
次に、本発明の下記一般式(2)で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料について述べる。該耐酸化性有機半導体材料は溶剤への溶解性、耐酸化性に優れ、好適な塗布性を有する。
Figure 0004984642
(ここで、Ψはケイ素原子、ゲルマニウム原子、又はスズ原子を示し、置換基R〜Rは同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、炭素数5〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数4〜30のアリール基、炭素数2〜20のアルキニル基、又は炭素数2〜30のアルケニル基を示す。なお、置換基群(RとR)及び/又は置換基群(RとR)における置換基は互いに結合し環を形成することができる。)
本発明の一般式(2)の置換基について、さらに述べる。
置換基Ψは好ましくはケイ素原子である。
置換基R〜Rにおける、炭素数5〜20のアルキル基は特に限定されず、一般式(1)における置換基R〜Rで挙げられたものを挙げることができる。
置換基R〜Rにおける、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基は特に限定されず、一般式(1)における置換基R〜Rで挙げられたものを挙げることができる。
置換基R〜Rにおける、炭素数4〜30のアリール基は特に限定されず、一般式(1)における置換基R〜Rで挙げられたものを挙げることができる。
置換基R〜Rにおける、炭素数2〜20のアルキニル基は特に限定されず、一般式(1)における置換基R〜Rで挙げられたものを挙げることができる。
置換基R〜Rにおける、炭素数2〜30のアルケニル基は特に限定されず、一般式(1)における置換基R〜Rで挙げられたものを挙げることができる。
置換基R〜R4は、好ましくは、同一又は異なって、炭素数5〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数4〜30のアリール基、又は炭素数2〜20のアルキニル基であり、特に好ましくは、炭素数4〜30のアリール基、又は炭素数2〜20のアルキニル基である。
置換基群(RとR)及び置換基群(RとR)は互いに結合し環を形成することができる。環の形成はいずれか1つの置換基群において、若しくは双方の置換基群において形成される、好ましくは双方の置換基群において形成される。この形成される環は特に限定されず、一般式(1)において挙げられた環を挙げることができる。
置換基R〜Rは、好ましくは、同一又は異なって、水素原子又はフッ素原子であり、さらに好ましくは、置換基R〜Rの内の1以上が水素原子である。
本発明の耐酸化性有機半導体材料における一般式(2)で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体の例としては、本発明の一般式(1)で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体の例として挙げられた化合物と同様のもの、および以下の化合物を挙げることができる。
Figure 0004984642
なお、本発明の下記一般式(2)で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料は、一般式(2)で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体の代わりに一般式(1)で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体を用いても製造することができる。従って、以下「一般式(2)等」と標記した場合は一般式(2)及び/又は一般式(1)で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体を表す。
一般式(2)等で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体の溶解に用いる溶剤は、好ましくは、塩素等のハロゲンを含むハロゲン系溶剤、例えばo−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロホルム;1個乃至2個の酸素を含むエーテル系溶剤、例えばTHF、ジオキサン;芳香族化合物の炭化水素系溶剤、例えばトルエン、キシレン;エステル系溶剤、例えば酢酸エチル、γ−ブチロラクトン;アミド系溶剤、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン;等である。又、これら溶剤は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良い。中でも、好ましくはトルエン、又はo−ジクロロベンゼンである。
上記に挙げた溶剤と一般式(2)等で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体を混合攪拌することにより、一般式(2)等で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体を含む耐酸化性有機半導体の溶液を調製することができる。混合攪拌の温度は10〜200℃であり、好ましくは20℃から190℃である。10℃より低いと濃度が低くなりすぎ、良好な薄膜を得ることが難しくなり、好ましくなく、200℃より高いと常圧で使用できる溶剤が限られると同時に経済的に好ましくない。溶液の濃度は、溶剤の種類及び温度により変えることができるが、好ましくは0.01〜10.0重量%である。溶液の調製は空気中でも実施することができるが、好ましくは窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で調製する。
一般式(2)等で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料の耐酸化性の評価は、該溶液を所定時間、空気と接触させる方法で実施することができる。評価に用いる溶剤は予め脱気しておき、溶存酸素を除去する。空気との接触時間は、0.5分〜3時間が適当である。酸化の進行は、溶液の色の変化、及び/又はガスクロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィー−マススペクトル(GCMS)分析による酸化物の検出により行うことができる。
本発明の一般式(2)等で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料の溶液は、用いられる一般式(2)等で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体自体が適度の凝集性を有することから比較的に低温で溶剤へ溶解でき、且つ耐酸化性があることから、塗布法による有機薄膜の製造に好適に適用できる。即ち、雰囲気から厳密に空気を除く必要がないことから塗布工程を簡略化することができる。塗布は空気中でも実施できるが、好ましくは溶剤の乾燥を考慮して窒素気流下で行う。なお、好適な塗布性を得るために、本発明の一般式(2)等で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料の溶液の粘度は、0.005〜20ポアズの範囲にあることが好ましい。
(有機薄膜)
次に本発明の一般式(2)等で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料を用いた有機薄膜について述べる。係る有機薄膜は上記の耐酸化性有機半導体材料溶液の基板への塗布により製造することができる。
基板への塗布による薄膜の製造は、該耐酸化性有機半導体材料溶液を基板上に塗布した後、加熱、気流、及び自然乾燥等の方法により溶剤を気化させることで実施することができる。該溶液中の一般式(2)等の化合物の濃度、特に限定はなく、例えば0.01〜10.0重量%であることが好ましい。塗布温度は特に限定されず、例えば20℃から200℃の間で好適に実施することができる。塗布の具体的方法は特に限定されず、公知の方法、例えばスピンコート、キャストコート、及びディップコート等を用いることができる。さらにスクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷等の印刷技術を用いても作製することが可能である。使用する基板の材料は特に限定されるものではなく、結晶性、非結晶性の種々の材料を用いることができる。また、基板は絶縁性あるいは誘電性を有する材料であっても良い。具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール等のプラスチック基板;ガラス、石英、酸化アルミニウム、シリコン、酸化シリコン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウム錫酸化物等の無機材料基板;金、銅、クロム、チタン等の金属基板を好適に用いることができる。またこれらの基板の表面は例えばオクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリメトキシシラン等のシラン類又はヘキサメチルジシラザンで修飾処理したものであっても使用することができる。塗布した後の溶剤は、常圧若しくは減圧下で乾燥し除去することができる、又は、窒素気流、加熱により乾燥してもよい。さらに、溶剤の気化速度を調節することで本発明の一般式(2)等で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体の結晶成長を制御することができる。基板への塗布により得られる薄膜の膜厚は特に限定されないが、好ましくは1nm〜100μm、特に好ましくは10nm〜10μmである。
また、本発明の一般式(2)等で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料を用いた有機薄膜は真空蒸着法により基板上に作製することもできる。
本発明の一般式(2)等で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体は優れた半導体特性を与えることが期待できる。又、該スピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体はトルエン等の溶媒に溶解し、溶液状態にあっても容易に空気酸化されることはない。従って、塗布法により半導体薄膜を容易に作成できる。本発明の一般式(1)で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体、及び一般式(2)等で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料は電子ペーパー、有機電界発光ディスプレイ、液晶ディスプレイ、又はICタグ用等のトランジスタの有機半導体活性相用途、さらに有機半導体レーザー材料、有機薄膜太陽電池材料、又はフォトニック結晶材料等に利用することができる。
(スピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体製造方法)
次に、一般式(2)で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体の製造方法について述べる。なお、一般式(1)で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体も同様な方法で製造できる。
一般式(2)で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体は、下記一般式(3)で示されるジハロビフェニル誘導体を、ジアルキルエーテル溶媒中で、ジリチオ化及び/又はジグリニャール化した後、シラン化合物、ゲルマニウム化合物、又はスズ化合物と反応させることにより製造することができる。
Figure 0004984642
(ここで、置換基X及びXは臭素原子、ヨウ素原子又は塩素原子を示し、置換基R〜Rは、一般式(2)で示される置換基と同意義を示す。)
なお、一般式(1)及び/又は(2)で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体を以下「一般式(2)等」と標記する。
置換基X及びXは好ましくは臭素原子、ヨウ素原子である。
一般式(3)で示されるジハロビフェニル誘導体をジリチオ化する場合、用いるリチオ化剤は、一般式(3)におけるハロゲンX及び/又はXをリチウムに置換することができるものである限り特に限定されず、例えば、有機リチウム試薬、有機リチウムアミド試薬、リチウム金属を挙げることができる。該有機リチウム試薬として、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、メチルリチウム、フェニルリチウム等を挙げることができ;該有機リチウムアミド試薬として、例えばリチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド等を挙げることができる。係るリチオ化剤は、好ましくはn−ブチルリチウムである。
ここでジリチオ化とは、一般式(3)における2個のハロゲンX、Xをそれぞれリチウムに置換することを意味する。
該ジリチオ化反応は、好ましくは溶媒中で実施する。用いる溶媒は特に限定されず、例えばジエチルエーテル、ジ(n−ブチル)エーテル、メチル−tert−ブチルエーテル等のジアルキルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、トリメチレングリコールジメチルエーテル等の2個以上の酸素原子を有する非環状エーテル、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素であり、好ましくはジアルキルエーテルであり、特に好ましくはジエチルエーテルである。又、これら溶剤は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良い。
該ジリチオ化剤は一般式(3)で示されるジハロビフェニル誘導体に対し1.5〜3.0当量、好ましくは1.8〜2.5当量用いる。該ジリチオ化反応の温度は−80〜60℃、好ましくは−40〜40℃であり、反応時間は1〜360分、好ましくは3〜60分である。
一般式(3)のジハロビフェニル誘導体をジグリニャール化する場合、用いるグリニャール化剤は一般式(3)におけるハロゲンX及び/又はXをMgX(ここで、Xは塩素、臭素、又はヨウ素を示す。)に置換できるものであれば良く、例えば、Mg金属あるいはイソプロピルマグネシウムブロマイド、tert−ブチルマグネシウムブロマイド等のアルキルグリニャール試薬を挙げることができるが、好ましくはMg金属である。Mg金属の形態は特に限定されず、例えば、削り状、リボン状、粒状を挙げることができる。
ここでジグリニャール化とは、一般式(3)における2個のハロゲンX、Xをそれぞれハロゲン化マグネシウムに置換することを意味する。
該ジグリニャール化反応は、好ましくは溶媒中で実施する。用いる溶媒は特に限定されず、例えばジリチオ化反応に用いた溶剤を挙げることができる。
該ジグリニャール化剤は、例えばMg金属の場合、一般式(3)で示されるジハロビフェニル誘導体に対し好ましくは1.5〜5当量、好ましくは1.8〜3当量の範囲で用いる。該ジグリニャール化反応の温度は好ましくは−20〜110℃であり、反応時間は1〜360分、好ましくは3〜60分の範囲である。
上述のように一般式(3)で示されるジハロビフェニル誘導体をジリチオ化及び/又はジグリニャール化した後、係る反応物をシラン化合物、ゲルマニウム化合物、又はスズ化合物と反応させることで一般式(2)等のスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体を製造することができる。
ここで用いるシラン化合物、ゲルマニウム化合物、又はスズ化合物は、ジリチオ化及び/又はジグリニャール化された上記一般式(2)等の化合物と反応し、一般式(2)等のスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体を与えるものであれば特に限定されない。好ましくはシラン化合物である。
シラン化合物は例えば、テトラハロゲン化シラン、テトラアルコキシシラン、又はジハロゲン化ジアルコキシシランを挙げることができ、好ましくはテトラハロゲン化シランである。テトラハロゲン化シランの具体例として、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラヨードシラン、テトラフルオロシランを挙げることができ、好ましくはテトラクロロシランである。テトラアルコキシシランの具体例として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等を挙げることができる。ジハロゲン化ジアルコキシシランの具体例として、ジクロロジメトキシシラン、ジクロロジエトキシシラン、ジブロモジメトキシシラン等を挙げることができる。
ゲルマニウム化合物は例えば、テトラハロゲン化ゲルマニウム、テトラアルコキシゲルマニウム、又はジハロゲン化ジアルコキシゲルマニウムを挙げることができ、好ましくはテトラハロゲン化ゲルマニウムである。テトラハロゲン化ゲルマニウムの具体例として、テトラクロロゲルマニウム、テトラブロモゲルマニウム、テトラヨードゲルマニウム、テトラフルオロゲルマニウムを挙げることができ、好ましくはテトラクロロゲルマニウムである。テトラアルコキシゲルマニウムの具体例として、テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラブトキシゲルマニウム等を挙げることができる。ジハロゲン化ジアルコキシゲルマニウムの具体例として、ジクロロジメトキシゲルマニウム、ジクロロジエトキシゲルマニウム、ジブロモジメトキシゲルマニウム等を挙げることができる。
スズ化合物は例えば、テトラハロゲン化スズ、テトラアルコキシスズ、又はジハロゲン化ジアルコキシスズを挙げることができ、好ましくはテトラハロゲン化スズである。テトラハロゲン化スズの具体例として、テトラクロロスズ、テトラブロモスズ、テトラヨードスズ、テトラフルオロスズを挙げることができ、好ましくはテトラクロロスズである。テトラアルコキシスズの具体例として、テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラブトキシスズ等を挙げることができる。ジハロゲン化ジアルコキシスズの具体例として、ジクロロジメトキシスズ、ジクロロジエトキシスズ、ジブロモジメトキシスズ等を挙げることができる。
生成したジリチオ化物及び/又はジグリニャール化物とシラン化合物、ゲルマニウム化合物、又はスズ化合物との反応は好ましくは溶媒中で実施する。用いる溶媒は特に限定されず、例えばジリチオ化反応に用いた溶剤を挙げることができる。用いるシラン化合物、ゲルマニウム化合物、又はスズ化合物の量は、一般式(3)のジハロビフェニル誘導体に対し、0.3〜1.2当量であり、好ましくは0.4〜0.8当量である。シラン化合物、ゲルマニウム化合物、又はスズ化合物との反応温度は−75〜80℃、好ましくは−40〜50℃であり、反応時間は1〜48時間、好ましくは1〜24時間である。
本発明の一般式(2)等のスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体の製造は、好ましくは窒素又はアルゴン等の不活性雰囲気下で実施する。
かくして得られた、一般式(2)等で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体は、さらに精製することができる。精製する方法は特に限定されず、例えばカラムクロマトグラフィー、再結晶化、あるいは昇華による方法を挙げることができる。
(ジハロビフェニル誘導体製造方法)
一般式(2)等で表されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体の前駆体である一般式(3)で示されるジハロビフェニル誘導体は、下記一般式(4)で示されるジハロベンゼン誘導体から誘導できる。
Figure 0004984642
(ここで、置換基X、R、R、R、及びRは一般式(3)で示される置換基と同意義を示す。)
即ち、一般式(3)で示されるジハロビフェニル誘導体は、一般式(4)で示されるジハロベンゼン誘導体をリチオ化剤又はグリニャール化剤を用いてホモカップリングすることで製造することができる。
ジハロベンゼン誘導体のホモカップリング反応に用いるリチオ化剤は、一般式(4)におけるハロゲンXをリチオ化することができるものである限り特に限定されず、例えば、有機リチウム試薬、有機リチウムアミド試薬、リチウム金属を挙げることができる。有機リチウム試薬として、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、メチルリチウム、フェニルリチウム等を挙げることができ;有機リチウムアミド試薬として、例えばリチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド等を挙げることができる。係るリチオ化剤は、好ましくはn−ブチルリチウムである。
該リチオ化反応は、好ましくは溶媒中で実施する。用いる溶媒は特に限定されず、例えばTHF、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジオキサン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等であり、好ましくはTHFである。又、これら溶剤は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良い。
リチオ化剤は一般式(4)で示されるジハロベンゼン誘導体に対し0.3〜1.2当量、好ましくは0.4〜0.7当量用いる。リチオ化反応の温度は−110〜40℃、好ましくは−100〜30℃であり、反応時間は0.5〜30時間、好ましくは1〜20時間である。
一方、一般式(4)で示されるジハロベンゼン誘導体のホモカップリング反応に用いるグリニャール化剤は、一般式(4)におけるハロゲンXをグリニャール化することができるものである限り特に限定されず、例えば、Mg金属、あるいは臭化エチルマグネシウム、臭化イソプロピルマグネシウム、臭化tert−ブチルマグネシウム等のアルキルグリニャール試薬を挙げることができるが、好ましくはMg金属である。Mg金属の形態は特に限定されず、例えば、削り状、リボン状、粒状を挙げることができる。
該グリニャール化剤は、例えばMg金属の場合、一般式(4)で示されるジハロベンゼン誘導体に対し1.8〜20当量の範囲で用いる。グリニャール化反応は、好ましくは溶媒中で実施する。用いる溶媒は特に限定されず、例えばリチオ化反応で用いた溶剤を挙げることができる。グリニャール化反応の温度は−20〜120℃であり、反応時間は1〜30時間の範囲である。
一般式(3)で示されるジハロビフェニル誘導体の製造は、好ましくは窒素又はアルゴン等の不活性雰囲気下で実施する。
かくして得られた、一般式(3)で示されるジハロビフェニル誘導体は、さらに精製することができる。精製する方法は特に限定されず、例えばカラムクロマトグラフィー、再結晶化、あるいは昇華による方法を挙げることができる。
なお、リチオ化剤としてn−ブチルリチウムを用いる該ホモカップリング反応は、例えば「ジャーナル オブ ケミカル ソサイティー、パーキン トランザクション1」、2001年、159−165頁に記載されている方法で実施することもできる。
さらに、一般式(3)で示されるジハロビフェニル誘導体の別の製法について述べる。
一般式(3)で示されるジハロビフェニル誘導体は、一般式(4)で示されるジハロベンゼン誘導体と下記一般式(5)で示される2−ハロアリール金属試薬をパラジウム及び/又はニッケル触媒存在下でクロスカップリングさせることで製造することがきる。
Figure 0004984642
(ここで、MはMg、B、Zn、Sn又はSiのハロゲン化物、ハイドロオキサイド、アルコキサイド又はアルキル化物を示す。置換基X、R、R、R、及びRは一般式(3)で示される置換基と同意義を示す。)
一般式(5)の置換基MはMg、B、Zn、Sn又はSiのハロゲン化物、ハイドロオキサイド、アルコキサイド又はアルキル化物であり、上記のパラジウム及び/又はニッケル触媒と反応し、パラジウム及び/又はニッケルと置換できる基である限り特に限定はなく、例えば、MgCl、MgBr、B(OH)、B(OMe)、テトラメチルジオキサボロラニル基、ZnCl、ZnBr、ZnI、Sn(Bu−n)又はSi(Bu−n)を挙げることができ、好ましくはB(OH)又はZnClである。
なお、一般式(5)で示される2−ハロアリール金属試薬は、例えば、その原料であるアリールジハロゲン置換体をイソプロピルマグネシウムブロマイド等のグリニャール試薬あるいはn−ブチルリチウム等の有機リチウム試薬によりハロゲン/金属交換反応を行った後、塩化亜鉛、トリメトキシボラン等と反応させることで好適に調製することができる。
一般式(4)で示されるジハロベンゼン誘導体と一般式(5)で示される2−ハロアリール金属試薬のクロスカップリング反応に用いる触媒はパラジウム及び/又はニッケル触媒であれば特に限定されず、例えば、パラジウム触媒の具体例として、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム/トリフェニルホスフィン混合物、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム/(トリ−tert−ブチルホスフィン)混合物、ジアセタトビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ(1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)パラジウム、酢酸パラジウム/トリフェニルホスフィン混合物、酢酸パラジウム/2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル混合物、ジクロロ(エチレンジアミン)パラジウム、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)パラジウム、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)パラジウム/トリフェニルホスフィン混合物等の0価あるいは2価パラジウム化合物を挙げることができ;ニッケル触媒の具体例として、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロ(1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)ニッケル、ジクロロ(エチレンジアミン)ニッケル、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル/トリフェニルホスフィン混合物、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル/トリフェニルホスフィン混合物等の0価あるいは2価ニッケル化合物を挙げることができる。中でも、好ましい触媒は0価のパラジウム化合物であり、特に好ましい触媒はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムである。
該カップリング反応における、触媒の使用量は一般式(4)のジハロベンゼン誘導体に対し、0.1〜20モル%の範囲である。一般式(5)の2−ハロアリール金属試薬の使用量は一般式(4)のジハロベンゼン誘導体に対し、0.6〜1.5当量、好ましくは0.8〜1.4当量、さらに好ましくは0.9〜1.2当量の範囲で使用することができる。
反応は好ましくは溶媒中で実施する。具体例として、THF、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコール、ジイソプロピルアミン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、エタノール、水等を挙げることができ、又、これら溶剤は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良い。例えば、トルエン/水、トルエン/エタノール/水のような2乃至3成分系でも使用することができる。
なお、反応系中に塩基を存在させることもできる。この場合の塩基の種類としては特に限定されないが例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、りん酸カリウム、りん酸ナトリウム、フッ化カリウム等の無機塩基、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムtert−ブトキサイド、カリウムtert−ブトキサイド等のアルコキサイド、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン等のアミンを好適なものとして挙げることができる。これらの塩基の使用量は一般式(4)のジハロベンゼン誘導体に対し、1.5〜10.0当量、好ましくは2.0〜8.0当量の範囲で使用することができる。さらにこれらの塩基と併用し、相間移動触媒を用いることもできる。相間移動触媒の種類は特に限定されないが、例えばトリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド等を好適なものとして挙げることができる。これらの相間移動触媒の使用量は一般式(4)のジハロベンゼン誘導体に対し、0.1〜1.5当量、好ましくは0.2〜0.8当量の範囲である。
さらに反応系中にトリフェニルホスフィン等のホスフィンを存在させることもできる。これらのホスフィンの使用量は、該パラジウム及び/又はニッケル触媒に対し、0.9〜8.0当量、好ましくは1.0〜3.0当量の範囲で使用することができる。
なお、反応系中に銅化合物を存在させることもできる。この場合の銅化合物の種類としては特に限定されないが例えば、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酢酸銅(I)等の1価銅;塩化銅(II)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(II)、酢酸銅(II)、アセチルアセトナート銅(II)等の2価銅等を挙げることができる。好ましくは1価銅であり、特に好ましくはヨウ化銅(I)である。これらの銅化合物の使用量は該パラジウム及び/又はニッケル触媒に対し、0.3〜10.0当量、好ましくは0.6〜6.0当量の範囲で使用することができる。
反応の温度は10〜120℃、好ましくは30〜100℃であり、反応時間は1〜48時間の範囲で好適に実施することができる。
この反応方法における反応系の雰囲気、及び得られた一般式(3)で示されるジハロビフェニル誘導体の精製については、先に述べた一般式(3)で示されるジハロビフェニル誘導体の製造方法と同様な方法を用いることができる。
(ジハロベンゼン誘導体製造方法)
一般式(4)で示されるジハロベンゼン誘導体の製造方法について述べる。
一般式(4)で示されるジハロベンゼン誘導体は、例えば下記一般式(6)で示されるテトラハロベンゼン誘導体と下記一般式(7)で示される反応剤をパラジウム及び/又はニッケル触媒存在下でクロスカップリング反応させることでも製造することができる。
Figure 0004984642
(ここで、置換基Xはヨウ素原子又は臭素原子を示し、置換基Xはヨウ素原子、臭素原子又は水素原子を示し、置換基X、R、及びRは一般式(4)で示される置換基と同意義を示す。)
なお、置換基X及びXは、好ましくはヨウ素原子である。
AN (7)
(ここで、Aは水素原子、フッ素原子、炭素数5〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数4〜30のアリール基、炭素数2〜20のアルキニル基、又は炭素数2〜30のアルケニル基を示す。Nは水素原子、Li、Na又はKのアルカリ金属、Mg、B、Zn、Sn又はSiのハロゲン化物、ハイドロオキサイド、アルコキサイド又はアルキル化物を示す。)
なお、一般式(7)のAを選択することにより、一般式(6)で示されるテトラハロベンゼンの置換基X及びXに所望の置換基を導入し、所望の置換基を有する一般式(4)で示されるジハロベンゼン誘導体を得ることができる。
一般式(7)の置換基Aは、好ましくは、炭素数5〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数4〜30のアリール基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数2〜30のアルケニル基であり、特に好ましくは、炭素数4〜30のアリール基、炭素数2〜20のアルキニル基である。
一般式(7)の置換基Nは水素原子、Li、Na又はKのアルカリ金属、Mg、B、Zn、Sn又はSiのハロゲン化物、ハイドロオキサイド、アルコキサイド又はアルキル化物であり、上記のパラジウム及び/又はニッケル触媒と反応し、パラジウム及び/又はニッケルと置換できる基又は反応の過程でハロゲン化水素となる基である限り特に限定はなく、例えば、MgCl、MgBr、B(OH)、B(OMe)、テトラメチルジオキサボロラニル基、ZnCl、ZnBr、ZnI、Sn(Bu−n)又はSi(Bu−n)を挙げることができ、好ましくはB(OH)又はZnClである。
なお、一般式(7)で示される反応剤は、例えば、その原料であるアリールハロゲン置換体をイソプロピルマグネシウムブロマイド等のグリニャール試薬あるいはn−ブチルリチウム等の有機リチウム試薬によりハロゲン/金属交換反応を行った後、塩化亜鉛、トリメトキシボラン等と反応させることで好適に調製することができる。
一般式(7)で示される反応剤は1種類若しくは2種類を用いても良い。
一般式(6)で示されるテトラハロベンゼン誘導体と一般式(7)で示される反応剤のクロスカップリング反応に用いる触媒はパラジウム及び/又はニッケル触媒であれば特に限定されず、例えば、一般式(4)で示されるジハロベンゼン誘導体と一般式(5)で示される2−ハロアリール金属試薬から一般式(3)で示されるジハロビフェニル誘導体を得る場合に用いられたパラジウム及び/又はニッケル触媒を挙げることができる。中でも、好ましい触媒は0価のパラジウム化合物であり、特に好ましい触媒はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムである。
該カップリング反応における、触媒の使用量は一般式(6)のテトラハロベンゼン誘導体に対し、0.1〜20モル%の範囲である。一般式(7)の反応剤の使用量は、1種類の一般式(7)の反応剤を用いる場合は、一般式(6)のテトラハロベンゼン誘導体に対し、1.4〜3.5当量、好ましくは1.6〜3.0当量、さらに好ましくは1.8〜2.8当量の範囲で使用することができ、2種類の一般式(7)の反応剤を用いる場合は、一般式(6)のテトラハロベンゼン誘導体に対し、それぞれ0.6〜1.8当量、好ましくは0.7〜1.5当量、さらに好ましくは0.8〜1.4当量の範囲で使用することができる。
なお、該カップリング反応において、2種類の一般式(7)の反応剤を用いる場合は、反応開始時に2種類の反応剤を存在させておくこともできるし、第一の反応剤と第二の反応剤を添加する時間を空けて添加することもできる。
反応は好ましくは溶媒中で実施する。具体例として、THF、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピロリジン、ピペリジン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、エタノール、水等を挙げることができ、又、これら溶剤は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良い。例えば、トルエン/水、トルエン/エタノール/水のような2乃至3成分系でも使用することができる。
なお、反応系中に塩基を存在させることもできる。この場合の塩基の種類としては特に限定されないが例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、りん酸カリウム、りん酸ナトリウム、フッ化カリウム等の無機塩基、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムtert−ブトキサイド、カリウムtert−ブトキサイド等のアルコキサイド、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピリジン等のアミンを好適なものとして挙げることができる。これらの塩基の使用量は一般式(6)のテトラハロベンゼン誘導体に対し、1.5〜10.0当量、好ましくは2.0〜8.0当量の範囲で使用することができる。さらにこれらの塩基と併用し、相間移動触媒を用いることもできる。相間移動触媒の種類は特に限定されないが、例えばトリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド等を好適なものとして挙げることができる。これらの相間移動触媒の使用量は一般式(6)のテトラハロベンゼン誘導体に対し、0.1〜1.5当量、好ましくは0.2〜0.8当量の範囲である。
さらに反応系中にトリフェニルホスフィン等のホスフィンを存在させることもできる。これらのホスフィンの使用量は、該パラジウム及び/又はニッケル触媒に対し、0.9〜8.0当量、好ましくは1.0〜3.0当量の範囲で使用することができる。
なお、反応系中に銅化合物を存在させることもできる。この場合の銅化合物の種類としては特に限定されないが例えば、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酢酸銅(I)等の1価銅;塩化銅(II)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(II)、酢酸銅(II)、アセチルアセトナート銅(II)等の2価銅等を挙げることができる。好ましくは1価銅であり、特に好ましくはヨウ化銅(I)である。これらの銅化合物の使用量は該パラジウム及び/又はニッケル触媒に対し、0.3〜10.0当量、好ましくは0.6〜6.0当量の範囲で使用することができる。
反応の温度は10〜120℃、好ましくは30〜100℃であり、反応時間は1〜72時間の範囲で好適に実施することができる。
一般式(6)で示されるテトラハロベンゼン誘導体と一般式(7)の反応剤のカップリング反応により結合が形成される位置はハロゲンの種類により制御することができる。
即ち、ヨウ素の反応性が最も高く、臭素、塩素の順に反応性が低下することから、これらハロゲンの種類の反応性を利用することで反応する位置を任意に決めることができる。
従って、一般式(6)のXをヨウ素として、Xを臭素及び/又は塩素とすることにより、一般式(4)で表されるジハロベンゼン誘導体への合成を達成することができる。
一般式(4)で示されるジハロベンゼン誘導体の製造は、好ましくは窒素又はアルゴン等の不活性雰囲気下で実施する。
なお、一般式(4)で示されるジハロベンゼン誘導体の内、置換基RとRが結合し環を形成するものについては、例えば「ジャーナル オブ オルガニック ケミストリィー」、1983年、48巻、2364−2366頁に記載されている方法で合成することもできる。
かくして得られた、一般式(4)で示されるジハロベンゼン誘導体は、さらに精製することができる。精製する方法は特に限定されず、例えばカラムクロマトグラフィー、再結晶化、あるいは昇華による方法を挙げることができる。
優れた耐酸化性を有し、塗布法による半導体活性相形成が可能な、剛直構造を有するスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体及びその用途を提供する。さらに、収率が高く、経済性に優れたスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体の製造方法を提供する。本発明の製造法では置換基を導入したスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体を製造することができ、新規な有機半導体材料を提供することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
生成物の同定にはH NMRスペクトル及びマススペクトルを用いた。なお、H NMRスペクトルは日本電子製JEOL GSX−270WB(270MHz)を用いて測定した。マススペクトル(MS)は日本電子製JEOL JMS−700を用いて、試料を直接導入し、電子衝突(EI)法(70エレクトロンボルト)又はFAB法(6キロエレクトロンボルト)で測定した。
反応の進行の確認等はガスクロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィー−マススペクトル(GCMS)分析を用いた。
ガスクロマトグラフィー分析
装置 島津GC14B
カラム J&Wサイエンティフィック社製、DB−1,30m
ガスクロマトグラフィー−マススペクトル分析
装置 パーキンエルマーオートシステムXL(MS部;ターボマスゴールド)
カラム J&Wサイエンティフィック社製、DB−1,30m
X線回折測定は、以下の条件で行った。
装置 理学電機製RAD−C
X線 CuKα線(グラファイトモノクロメーター使用)、50kV,200mA
条件 θ−2θスキャン、3≦2θ≦70°、スキャンスピード=4.8°/分、
連続スキャン 0.04°毎計測
反応用の溶媒は市販の脱水溶媒をそのまま用いた。
合成例1(3,3’−ジブロモ−2,2’−ビナフチルの合成)
原料である2,3−ジブロモナフタレンの合成は、ジャーナル オブ オルガニック ケミストリー、1983年、48巻、2364−2366頁に記載されている方法を用いて行った。
窒素雰囲気下、500mlシュレンク反応容器に2,3−ジブロモナフタレン(8.31g,29.1mmol)及びTHF(200ml)を加えた。これを−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(関東化学製、1.59M)のヘキサン溶液9.6ml(15.3mmol)を滴下した。冷却用バスを外し、室温で1時間撹拌した。3N塩酸を用いた処理後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶媒;ヘキサン−トルエン)、3,3’−ジブロモ−2,2−ビナフチルの白色固体3.30gを得た(収率55%)。
H NMR(CDCl,21℃):δ=8.20(s,2H),7.97−7.75(m,6H),7.59−7.48(m,4H).
MS m/z: 412(M,26%),332(M−Br,5),252(M−2Br,100),126((M−2Br)/2,54).
実施例1 (テトラベンゾ−9,9’−スピロビ(9−シラフルオレン)の合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に合成例1で合成した3,3’−ジブロモ−2,2’−ビナフチル350mg(0.849mmol)及びジエチルエーテル25mlを加えた。0℃に冷却し、n−ブチルリチウム(関東化学製、1.59M)のヘキサン溶液1.16ml(1.84mmol)を滴下した。0℃で15分間撹拌した後、テトラクロロシラン(和光純薬工業製)72.4mg(0.426mmol)を添加した。一晩かけて室温まで昇温した後、さらに40℃で2時間攪拌した。3N塩酸水溶液及びトルエンを添加し、分相後、有機相をさらに水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を濾過し、減圧濃縮し、得られた粗固体をさらに60℃で減圧乾燥し、揮発分を除去した。得られた残渣をトルエンから再結晶化し、目的物の黄色結晶を得た(138mg、収率61%)。
FABMS m/z: 533(M+1).
得られたテトラベンゾ−9,9’−スピロビ(9−シラフルオレン)の構造式を下記に示す。
Figure 0004984642
実施例2 (耐酸化性評価)
窒素雰囲気下、20mlシュレンク容器にo−ジクロロベンゼン3.5gを添加し、凍結(液体窒素)−減圧−窒素置換−融解から成るサイクルを3回繰り返すことで溶存酸素を除去した。そこへ実施例1で得られたテトラベンゾ−9,9’−スピロビ(9−シラフルオレン)の固体6.2mgを添加し、120℃に加熱し溶解させると黄色溶液となった。次にこのシュレンク容器の上部の栓を開け、1時間、外気に接触させることで空気を導入し、さらに120℃で撹拌した。しかし、ガスクロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィー−マススペクトル(GCMS)分析で酸化に由来する新たなピークの出現はなかった。従って、実施例1で得られたテトラベンゾ−9,9’−スピロビ(9−シラフルオレン)は耐酸化性を有していることが確認された。
合成例2 (1,2−ジブロモ−4,5−ジヨードベンゼンの合成)
1,2−ジブロモ−4,5−ジヨードベンゼンは「シンレット」、2003年、29−34頁に記載されている方法に従い合成した。
メカニカルスターラー付き1lの三口フラスコに過ヨウ素酸36.9g(162mmol)及び硫酸150mlを加えた。過ヨウ素酸が溶解した後、ヨウ化カリウム80.7g(486mmol)を少しずつ添加した。その内容物の温度を0℃に冷却し、1,2−ジブロモベンゼン75.0g(和光純薬工業製)(318mmol)を添加した。得られた混合物を0℃で30分間撹拌した。反応混合物を氷へ注いだ後、濾過し固体を取り出した。その固体をTHF/メタノールから2回再結晶化し、1,2−ジブロモ−4,5−ジヨードベンゼンの白色結晶を得た(76.2g、収率49%)。
H NMR(CDCl,21℃):δ=8.03(s,2H).
合成例3 (1,2−ジブロモ−4,5−ジフェニルベンゼンの合成)
窒素雰囲気下、200mlシュレンク反応容器に合成例2で合成した1,2−ジブロモ−4,5−ジヨードベンゼン3.074g(6.30mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(東京化成工業製)600mg(0.519mmol)、及びフェニルボロン酸(和光純薬工業製)1.920g(15.7mmol)を添加した。さらにトルエン50ml、エタノール13ml、及び炭酸ナトリウム4.007g(37.8mmol)と水16mlからなる水溶液を添加した。82℃に加熱し、24時間撹拌した。室温まで冷却後、トルエン及び水を添加し分相した。有機相を濃縮し、得られた残渣をトルエン26mlに溶解後、70%tert−ブチルハイドロパーオキサイド溶液(和光純薬工業製)1.0mlを添加し、室温で2時間撹拌した。このトルエン溶液を水で2回洗浄後、有機相を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製後(溶媒、ヘキサン)、1,2−ジブロモ−4,5−ジフェニルベンゼンの白色固体を得た(1.953g、収率80%)。
H NMR(CDCl,21℃):δ=7.67(s,2H),7.24−7.13(m,6H),7.12−6.90(m,4H).
MS m/z: 388(M,100%),308(M−Br,23),228(M−2Br,53).
合成例4 (4,5,4’,5’−テトラフェニル−2,2’−ジブロモ−1,1’−ビフェニルの合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に合成例3で合成した1,2−ジブロモ−4,5−ジフェニルベンゼン1.08g(2.78mmol)及びTHF20mlを添加した。この溶液を−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(関東化学製、1.59M)のヘキサン溶液0.87ml(1.38mmol)を滴下した。一晩かけて室温まで昇温した後、生成した固体を濾過して取り出し、水で洗浄した。この得られた粗固体をトルエンから再結晶化し、目的物の白色固体を得た(722mg、収率84%)。
H NMR(CDCl,21℃):δ=7.76(s,2H),7.43(s,2H),7.26−7.11(m,20H).
MS m/z: 616(M,100%),536(M−Br,8),456(M−2Br,38).
実施例3 (2,2’,3,3’,6,6’,7,7’−オクタフェニル−9,9’−スピロビ(9−シラフルオレン)の合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に合成例4で合成した4,5,4’,5’−テトラフェニル−2,2’−ジブロモ−1,1’−ビフェニル108mg(0.175 mmol)及びジエチルエーテル5mlを添加した。この溶液を0℃に冷却後、n−ブチルリチウム(関東化学製、1.59M)のヘキサン溶液0.24ml(0.38mmol)を滴下した。0℃で20分間撹拌後、テトラクロロシラン(和光純薬工業製)15.0mg(0.088mmol)を添加し、40℃で4時間攪拌した。3N塩酸水溶液及びトルエンを添加し、分相後、有機相をさらに水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を濾過し、減圧濃縮し、得られた粗固体をさらに60℃で減圧乾燥し、揮発分を除去した。得られた残渣をトルエン/ヘキサン(=5:1、容積比)から再結晶化し、目的物の白色結晶を得た(48mg、収率58%)。
H NMR(CDCl,21℃):δ=8.01(s,4H),7.64(s,4H),7.26(s,20H),7.14(s,20H).
FABMS m/z: 941(M+1).
得られた目的物の構造式を下記に示す。
Figure 0004984642
実施例4 (耐酸化性評価)
窒素雰囲気下、20mlシュレンク容器にo−ジクロロベンゼン2.9gを添加し、凍結(液体窒素)−減圧−窒素置換−融解から成るサイクルを3回繰り返すことで溶存酸素を除去した。そこへ実施例3で得られた2,2’,3,3’,6,6’,7,7’−オクタフェニル−9,9’−スピロビ(9−シラフルオレン)の固体5.2mgを添加し、120℃に加熱し溶解させると無色溶液となった。次にこのシュレンク容器の上部の栓を開け、1時間、外気に接触させることで空気を導入し、さらに120℃で撹拌した。しかし、ガスクロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィー−マススペクトル(GCMS)分析で酸化に由来する新たなピークの出現はなかった。従って、実施例3で得られた2,2’,3,3’,6,6’,7,7’−オクタフェニル−9,9’−スピロビ(9−シラフルオレン)は耐酸化性を有していることが確認された。
比較例1
窒素雰囲気下、20mlシュレンク容器にo−ジクロロベンゼン2.7gを添加し、凍結(液体窒素)−減圧−窒素置換−融解から成るサイクルを3回繰り返すことで溶存酸素を除去した。そこへペンタセン(東京化成工業製)2.1mgを添加し、120℃に加熱し溶解させると赤紫色溶液となった。次にこのシュレンク容器の上部の栓を開け、1時間、空気を導入すると溶液の色がピンクに変化していた。さらに120℃で撹拌した。ガスクロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィー−マススペクトル(GCMS)分析から、6,13−ペンタセンキノンが生成していることがわかった。
さらにこの溶液を120℃、1時間、撹拌下で空気を導入すると溶液の色が黄に変化していた。ガスクロマトグラフィー分析から、6,13−ペンタセンキノンの生成が増加していることがわかった。
実施例5 (有機薄膜の作成)
窒素雰囲気下、実施例3で得られた2,2’,3,3’,6,6’,7,7’−オクタフェニル−9,9’−スピロビ(9−シラフルオレン)9.2mgをトルエン15.5gと混合し、110℃で1時間撹拌し、2,2’,3,3’,6,6’,7,7’−オクタフェニル−9,9’−スピロビ(9−シラフルオレン)の溶液を調製した。
空気雰囲気下、凹面のある石英基板を75℃に加熱し、この基板上に上記の溶液をスポイトを用いて塗布し常圧下で乾燥し、膜厚440nmの薄膜を作製した。この薄膜の成分をガスクロマトグラフィーで分析した結果、2,2’,3,3’,6,6’,7,7’−オクタフェニル−9,9’−スピロビ(9−シラフルオレン)以外にピークはなく、酸化されていなかった。従って、空気中でも酸化されることなく2,2’,3,3’,6,6’,7,7’−オクタフェニル−9,9’−スピロビ(9−シラフルオレン)の薄膜を作成できることがわかった。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体。
    Figure 0004984642
    (ここで、Ψはケイ素原子、置換基R 〜R は同一又は異なって、フェニル基、p−(トリフルオロメチル)フェニル基、ペンタフルオロフェニル基からなる群より選択される炭素数4〜30のアリール基を示す。置換基 〜R は、水素原子を示す。
  2. 2,2’,3,3’,6,6’,7,7’−オクタフェニル−9,9’−スピロビ(9−シラフルオレン)であることを特徴とする請求項1に記載のスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体。
  3. 下記一般式(2)で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料。
    Figure 0004984642
    (ここで、Ψはケイ素原子、置換基R 〜R は同一又は異なって、フェニル基、p−(トリフルオロメチル)フェニル基、ペンタフルオロフェニル基からなる群より選択される炭素数4〜30のアリール基を示す。置換基R 〜R は、水素原子を示す。
  4. 請求項3に記載の耐酸化性有機半導体材料を用いた有機薄膜。
  5. 下記一般式(3)で示されるジハロビフェニル誘導体をジリチオ化及び/又はジグリニャール化した後、シラン化合物と反応させることを特徴とする下記一般式(2)で示されるスピロビ(ヘテロフルオレン)誘導体の製造方法
    Figure 0004984642
    (ここで、Ψはケイ素原子、置換基R 〜R は同一又は異なって、フェニル基、p−(トリフルオロメチル)フェニル基、ペンタフルオロフェニル基からなる群より選択される炭素数4〜30のアリール基を示す。置換基R 〜R は、水素原子を示す。
    Figure 0004984642
    (ここで、置換基X 及びX は臭素原子、ヨウ素原子又は塩素原子を示し、置換基R 〜R は、一般式(2)で示される置換基と同意義を示す。)
  6. ジアルキルエーテル溶媒中で製造することを特徴とする請求項5に記載の製造方法
  7. シラン化合物が、テトラハロゲン化シラン、テトラアルコキシシラン、又はジハロゲン化ジアルコキシシランであることを特徴とする請求項5又は6に記載の製造方法。
  8. テトラハロゲン化シランがテトラクロロシラン又はテトラブロモシランであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
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