以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施の形態に係る機能制限システムは、利用制限対象端末に搭載されるカメラ機能や音楽再生機能等の機能の利用を制限するシステムである。
本機能制限システムは、例えば、学校において授業時間帯の生徒の携帯電話機等の移動通信端末機の利用を制限するようにしたビジネスモデルに適用可能である。本機能制限システム100は、図1に示すように、例えば、利用制限対象端末の利用制限情報を管理する管理サーバ101と、利用制限対象端末となる生徒の移動通信端末機102と、この移動通信端末機102の利用制限情報を登録するための外部通信端末(PC(Personal Computer)や教師の携帯電話機等)103と、利用制限情報に基づいて移動通信端末機102に搭載される機能の利用を制限するサービス制御装置104及び機能制御サーバ105と、から主に構成される。この機能制限システム100において、例えば、管理サーバ101、サービス制御装置104及び機能制限サーバ105は通信網上に設けられ、外部通信端末103は学校に設けられる。学校の教師は、外部通信端末103を用いて管理サーバ101にアクセスして、事前に付与されたID(後述する)に基づいて移動通信端末機102の利用制限情報を登録する。管理サーバ101は、このように外部通信端末103を介して登録された利用制限情報を管理する。この利用制限情報は、移動通信端末機102に対する利用制限サービスに利用される。サービス制御装置104は、管理サーバ101に登録された利用制限情報から利用制限対象端末となる移動通信端末機102に搭載される機能を制限する機能制限メッセージを生成し、機能制限サーバ105は利用制限端末に機能制限メッセージを送信して、移動通信端末機102の機能の利用を制限する。
このような利用制限情報を利用した利用制限サービスの提供を受けるためには、上述した利用制限情報に先立って利用制限サービスの提供に必要となる識別情報(ID)の登録処理が必要となる。ここで、利用制限サービスの提供に必要となるIDの登録処理の一例について説明する。図2は、本実施の形態に係る利用制限サービスの提供に必要となるIDの登録処理のシーケンス図である。なお、以下においては、移動通信端末機102の一例として携帯電話機102を用いると共に、外部通信端末103の一例として学校に備えられたPC103を用いて説明をするものとする。ここでは、管理サーバ101と教師が使用するPC103との間、並びに、管理サーバ101と生徒が使用する携帯電話機102との間の情報のやりとりは、移動通信網やインターネット網を介して行われる場合について示すが、これに限定されるものではなく、電話や手紙等の通信手段を用いて行うようにしても良い。
利用制限サービスの提供に必要となるIDを登録する際、まず、PC103を介して管理サーバ101(管理サーバ101が提供する情報登録用Webページ)にアクセスして利用制限サービスの申込みが行われる。この利用制限サービスの申込みにおいては、少なくとも、利用制限サービスの申込者(利用制限申込者)の学校の名称や連絡先、利用制限対象となるクラス情報が含まれる。図2に示すように、PC103から利用制限サービスの申込みが行われると(ステップS201)、管理サーバ101において、利用制限申込者に割り当てられるID(学校ID・クラスID)が発行され(ステップS202)、これらの学校ID・クラスIDが利用制限申込者に通知される(ステップS203)。また、管理サーバ101においては、これらの学校ID・クラスIDに対応づけて利用制限申込者の情報が登録される。なお、この場合、利用制限申込者が本利用制限サービスを利用する際に要求されるパスワードも発行され、学校ID・クラスIDと共に利用制限申込者に通知される。
管理サーバ101から学校ID・クラスIDを受け取ると、携帯電話機102を使用する生徒に連絡される(ステップS204)。例えば、このような生徒に対する学校ID・クラスIDは、各生徒に対する配布物等により連絡される。そして、学校ID・クラスIDの連絡を受けた生徒の携帯電話機102から、当該携帯電話機102の電話番号及びメールアドレスの登録が要求されると(ステップS205)、管理サーバ101において、携帯電話機102に割り当てられるID(生徒ID)が発行される(ステップS206)。例えば、携帯電話機102からの電話番号及びメールアドレスの登録要求は、管理サーバ101(管理サーバ101が提供する情報登録用Webページ)にアクセスし、学校ID・クラスIDを用いて所定の手順により行われる。このように生徒IDの発行は、携帯電話機102のユーザからの登録要求に応じて発行するようにしているので、当該携帯電話機102のユーザにおいて、その個人情報を利用制限申込者に開示することなく生徒IDを取得することが可能となっている。管理サーバ101においては、この生徒IDに対応づけて携帯電話機102の電話番号及びメールアドレスが登録される。このようにして利用制限サービスの提供に必要となるIDが管理サーバ101に登録されることとなる。これ以降、PC103を介して、上述した学校ID、クラスID及び生徒IDに基づいて、携帯電話機102の利用制限情報の設定登録処理を行うことが可能となり、管理サーバ101においては、このような利用制限情報を受け付ける。
そして、利用制限サービスの提供に必要となるIDを登録した後、管理サーバ101において、適正に電話番号及びメールアドレスが登録されたことを証明する書面として加入者証明書が発行される(ステップS207)。この加入者証明書は、生徒が学校内への携帯電話機102の持ち込みを許可して貰う際に利用される。発行された加入者証明書は、携帯電話機102に送信される(ステップS208)。なお、加入者証明書は、書面で生徒に郵送するようにしても良い。加入者証明書を受け取った生徒は、学校側からの要求に応じてこの加入者証明書を提示することにより、携帯電話機102の持込みが許可される。
ここで、管理サーバ101により発行されるIDについて説明する。このIDは、利用制限対象端末となる携帯電話機102を識別するためのものであり、携帯電話機102のユーザに関する個人情報(例えば、電話番号やメールアドレス)以外の情報で構成される。具体的には、IDは、利用制限対象端末となる携帯電話機102毎に割り当てられる生徒IDで構成されるID(対象端末識別情報)と、利用制限申込者に割り当てられる学校ID・クラスIDなどのID(制限者側識別情報)とで構成される。詳細について後述するように、管理サーバ101においては、このような個人情報以外の情報で構成されるIDを用いて、利用制限者(教師)から利用制限情報の設定を受け付けるようにしていることから、利用制限対象端末となる携帯電話機102のユーザの個人情報を用いることなく、利用制限情報を管理することが可能となる。
なお、利用制限申込者に割り当てられるIDは、特定のグループを識別するために当該グループ毎に割り当てられるグループIDを含むものであり、利用制限申込者側が管理する任意のグループに対して付与を求めることができるものである。例えば、利用制限申込者に割り当てられるグループIDとしては、図3に示すように、複数の生徒IDが関連付けられるクラスIDや、複数のクラスIDが関連付けられる学年IDが該当する。詳細について後述するように、利用制限者(教師)は、利用制限情報にクラスIDを指定することにより、生徒個別の利用制限情報を指定することなく、当該クラスIDに関連付けられた生徒IDの生徒が携帯する携帯電話機102の利用を一括的に制限することが可能となる。
次に、このように機能制限システム100を適用し、携帯電話機102に対する利用制限サービスを提供する通信制御システム1について説明する。図4は、本実施の形態に係る機能制限システム100を適用した通信制御システム1の概略構成図である。通信制御システム1は、上述した機能制限システム100における携帯電話機102に相当する携帯電話機2のユーザに対して通信・通話及び機能制限サービスを提供するものであり、図4に示すように、携帯電話機2と、携帯電話機2に無線接続する無線基地局装置(BTS:Base Transceiver Station)3と、複数の無線基地局装置3に無線接続された無線ネットワーク制御装置(RNC:Radio Network Controller)4と、無線ネットワーク制御装置4に接続された加入者用交換機5と、中継用交換機6を介して加入者交換機5と接続されたサービス制御局(SCP:Service Control Point)7及び機能制限サーバ16と、から主に構成されている。
本通信制御システム1は、携帯電話機2の利用を制限する利用制限情報に基づいて通信網側から携帯電話機2の発着信及び当該携帯電話機2に搭載される機能の利用を規制する通信制御システムであり、例えば、学校において、原則的に授業時間帯の当該携帯電話機2の利用を制限すると共に、例外的に緊急時の生徒の携帯電話機2への通信及び通話を許可することが可能である。以下においては、学校に、上述した機能制限システム100におけるPC103に相当するPC15を備えると共に携帯電話機102に相当する携帯電話機2を備え、教師が当該PC15を用いて自身が担当するクラスに所属する生徒の携帯電話機2に対して、授業時間帯の当該携帯電話機2の利用を制限する場合を例に説明する。なお、本実施の形態においては、説明を簡単にするために単一のサービス制御局7及び中継用交換機6、並びに、2つの加入者交換機5を示しているが、この構成に限定されるものではなく、その数は任意である。
図4に示すように、無線ネットワーク制御装置4は、携帯電話機2と無線基地局装置3との間の無線回線を監視する他、携帯電話機2との間に無線チャネルを割り当てる等の無線制御を実施している。また、無線ネットワーク制御装置4は、後述する音声交換機51及びパケット交換機52に接続されており、携帯電話機2から送信された通話信号と、電子メール等のデータ信号とを振り分けて音声交換機51及びパケット交換機52にそれぞれ送信している。
加入者交換機5は、音声交換機51と、パケット交換機(LS/SGSN:Serving GPRS Support Node)52とから構成されている。また、加入者交換機5は、ビジターロケーションレジスタ(VLR:Visitor Location Register)53と接続されている。音声交換機51は、無線ネットワーク制御装置4から受信した通話信号を、宛先の携帯電話機2が所属する無線基地局装置3に中継すると共に、後述する中継用音声交換機61を介してサービス制御局7から受信した通話信号を無線ネットワーク制御装置4に中継する。パケット交換機52は、無線ネットワーク制御装置4から受信した電子メール等のデータ信号を、宛先の携帯電話機2が所属する無線基地局装置3に中継すると共に、後述する中継用パケット交換機62を介してサービス制御局7から受信したデータ信号を無線ネットワーク制御装置4に中継する。VLR53は、加入者交換機5が管轄する在圏エリア内の携帯電話機2を管理するための当該携帯電話機2の位置登録情報を記憶すると共に、当該携帯電話機2の利用制限を示す利用制限情報を記憶するデータベースである。このように構成された加入者交換機5は、例えば、携帯電話機2からの位置登録要求の際に、携帯電話機2の位置登録情報と共に利用制限情報をHLR71(後述する)からダウンロードしてVLR53に記憶し、位置登録情報に基づいて位置登録処理を行うと共に、利用制限情報に基づいて携帯電話機2の発着信規制処理を行う。なお、VLR53は、加入者交換機5がアクセス可能な構成であれば、加入者交換機5の外部又は内部に設けることが可能である。
中継用交換機6は、加入者交換機5、関門用交換機9、ゲートウェイ(GW:Gateway)10及びメールサーバ11にそれぞれ接続されている。関門用交換機9は、POI(Point Of Interface)12を介して別の関門用交換機13に接続され、ゲートウェイ10は、インターネット網を介して、管理サーバ14及びPC15に接続されている。また、中継用交換機6は、中継用音声交換機61と、中継用パケット交換機(GS/GGSN:Gateway GPRS Support Node)62とから構成されている。中継用音声交換機61は、音声交換機51から受信した通話信号を、サービス制御局7に中継すると共に、サービス制御局7から受信した通話信号を音声交換機51に中継する。中継用パケット交換機62は、パケット交換機52から受信したデータ信号をサービス制御局7に中継すると共に、サービス制御局7から受信したデータ信号をパケット交換機52に中継する。
メールサーバ11は、携帯電話機2及びPC15に対して、メール送受信サービスを提供するものである。なお、詳細は後述するが、メールサーバ11は、利用制限状態とされている携帯電話機2宛てのメールを受信した場合には当該メールを一時的に蓄積し、利用制限状態が解除された後に当該携帯電話機2宛てにメールを送る。この構成であれば、利用制限状態の解除後にメールの送信処理を行うので、蓄積したメールを一定時間で再送する場合に起こり得る不要な送信処理(利用制限状態中の再送信)を発生させることがない。
管理サーバ14は、上述した機能制限システム100における管理サーバ101として機能するものである。管理サーバ14は、携帯電話機2の利用制限サービスの提供を受けるための情報登録用Webページを提供するものであり、情報登録用Webページを構成するWebコンテンツが保存されている。利用制限者となる教師や、携帯電話機2を携帯する生徒は、この情報登録用Webページを介して上述したIDの登録処理(図2参照)を行う。また、この管理サーバ14は、インターネット網を介してPC15に接続されており、PC15に対して利用制限対象端末となる携帯電話機2に対する利用制限情報を設定するためのインターフェースとして機能している。例えば、管理サーバ14は、利用制限者(教師)を認証するための認証画面(図5)、利用制限情報を確認及び設定するための確認・設定画面(図6)、並びに、詳細な利用制限情報を設定するための詳細設定画面(図7)を提供する。以下、これらの認証画面、確認・設定画面及び詳細設定画面の構成について説明する。
管理サーバ14が提供する情報登録用Webページから利用制限情報の設定処理が指示されると、図5に示す認証画面がPC15に表示される。図5に示すように、認証画面においては、事前に行われたIDの登録処理により発行された学校IDの入力欄501、クラスIDの入力欄502及びパスワードの入力欄503が設けられると共に、入力内容を確認するためのOKボタン504及び処理を中断するキャンセルボタン505が設けられている。教師が認証画面に学校ID、クラスID及びパスワードを入力し、OKボタン504を選択することにより、管理サーバ14に対して認証要求が行われる。管理サーバ14においては、事前に登録しておいた学校ID、クラスID及びパスワードと、入力された情報との照合を行うことで利用制限者(教師)の認証を行う。認証処理により適切な利用制限者であると判定された場合には、図6に示す確認・設定画面がPC15に表示される。一方、適切な利用制限者ではないと判定された場合には、その旨がPC15に表示され、利用制限情報の設定処理が中断される。
確認・設定画面においては、図6に示すように、認証画面で入力された学校ID及びクラスIDに対応する利用制限情報の一覧画面が表示される。確認・設定画面においては、図6に示すように、月単位などの表示態様で利用制限情報が表示される。例えば、図6に示す「2008年6月4日」においては、当該クラスIDに対応する携帯電話機2における時間帯「9:00〜17:00」の発着信の利用が制限されると共に、例外的に「A君」が携帯する携帯電話機2における利用制限が解除されている。すなわち、「A君」は、時間帯「9:00〜17:00」であっても携帯電話機2による発着信が許可されている。また、確認・設定画面においては、現在設定されている利用制限情報を繰り返して設定する繰り返し設定ボタン601と、現在設定されている全ての利用制限情報を解除する緊急解除ボタン602とが設けられている。繰り返しボタン601は、例えば、平日の授業時間帯が略同一の時間帯であることを考慮したものであり、これを利用することにより簡単に利用制限情報を設定することが可能となる。緊急解除ボタン602は、例えば、災害などの非常事態の発生時に一括的に利用制限情報を解除することを考慮したものであり、これを用いることにより非常事態の発生時において迅速に携帯電話機2における発着信を許可することが可能となっている。なお、このような緊急解除ボタン602と同様の観点から、学校等に設置されている火災報知機などの非常事態発生時に操作されるスイッチの操作状態に応じて現在設定されている全ての利用制限情報を解除することは実施の形態として好ましい。なお、新たに利用制限情報を設定する場合には、例えば、設定対象となる日をポインタ等により選択する。これにより、図7に示す詳細設定画面がPC15に表示される。
詳細設定画面においては、図7に示すように、利用制限情報の一括設定を行うための一括設定欄701と、利用制限情報の個別設定を行うための個別設定欄702とが設けられている。一括設定欄701においては、利用制限時間の開始時刻の入力欄701a及び終了時刻701bと、利用制限対象端末の利用制限対象機能の入力欄701cと、設定ボタン701dとが設けられている。教師が入力欄701aに「9:00」と入力する一方、入力欄701bに「12:00」と入力し、設定ボタン701cを選択することにより、図6における「2008年6月16日」に示すように、当該クラスIDに対応する携帯電話機2における時間帯「9:00〜12:00」の発着信の利用を制限する利用制限情報が指定され、利用制限情報の一括設定が行われる。利用制限対象機能の入力欄701cは、利用制限対象端末に搭載される機能のうち利用制限対象機能(例えば、カメラ機能、音楽再生機能)を登録するためのものである。教師が、入力欄701cに「カメラ機能」及び「音楽再生機能」と入力して設定ボタン701dを選択することにより、これら「カメラ機能」及び「音楽再生機能」が利用制限対象機能として登録される。
また、個別設定欄702においては、特定の生徒に個別に設定された利用制限情報が表示される個別生徒情報表示欄702aと、利用制限情報を設定する生徒を選択するための生徒選択ボタン702bと、設定ボタン701cとが設けられている。この場合、生徒選択ボタン702bが選択されると、事前に行われたIDの登録処理により発行された、当該クラスIDに対応する生徒IDの一覧が表示される。そして、その生徒IDの一覧から特定の生徒IDを選択すると、その生徒IDに対応する個別生徒情報表示欄702aが設けられると共に、利用制限時間や利用制限場所などの情報が入力可能となる。個別生徒情報表示欄702aに利用制限情報を入力した後、設定ボタン702cが選択されると、利用制限情報の個別設定が行われる。図7においては、生徒IDの一覧から「B君」の生徒IDが選択され、該当する個別生徒情報表示欄702aが設けられ、「B君」が携帯する携帯電話機2における利用制限を解除する内容が設定された場合について示している。
このように管理サーバ14においては、個人情報以外の情報で構成されるID(学校ID、クラスID及び生徒ID)を用いて、利用制限者(教師)からの利用制限情報の登録を受け付けるため、利用制限対象端末となる携帯電話機2のユーザの個人情報を用いることなく、利用制限情報を管理することが可能となっている。特に、利用制限情報を指定するために用いられるIDは、携帯電話機2毎に割り当てられる生徒IDと、利用制限者側に割り当てられる学校ID・クラスIDとが含まれることから、これらの学校ID、クラスID及び生徒IDを組み合わせて柔軟に利用制限対象端末となる携帯電話機2を特定することが可能である。なお、登録された利用制限情報(学校ID、クラスID及び生徒ID等のID情報、利用制限場所及び制限時間情報)は、管理サーバ14からサービス制御局7に受け渡され、サービス制御局7によってHLR71(後述する)に登録される。
PC15は、学校等に設置され、例えば、学級担任の教師により担当クラスの生徒の携帯電話機2に対する利用制限情報を設定するために供される。利用制限情報は、上述したような管理サーバ14により提供される確認・設定画面及び詳細設定画面から設定される。PC15から設定される利用制限情報800は、例えば、図8に示すように、利用制限対象となる携帯電話機2を識別する「ID(学校ID、クラスID、生徒ID)」、携帯電話機2の発着信や搭載機能の利用制限時間(例えば、授業時間帯)を示す「利用制限日時情報」、携帯電話機2の利用制限場所(例えば、学校)を示す「制限場所情報」、携帯電話機2の利用制限対象機能を示す「利用制限対象機能情報」、「許可対象番号情報」及び「許可内容情報」から主に構成される。「利用制限日時情報」は、携帯電話機2の利用制限日を示す「日付」、利用制限開始時刻及び終了時刻を示す「開始時刻」及び「終了時刻」から構成されている。利用制限対象端末に搭載される機能を制限する場合、この「開始時刻」は当該利用制限対象端末の利用制限対象機能をオフする時刻に対応し、「終了時刻」は当該利用制限対象機能をオンする時刻に対応する。「利用制限対象機能情報」は、例えば、カメラ機能、音楽再生機能及び映像再生機能等の複数の利用制限対象機能情報を指定可能であり、例えば、利用制限対象機能に指定された制限対象機能は「○」で示され、利用制限対象機能に指定されない制限対象外機能は「−」で示されている。なお、以下では、「機能A」としてカメラ機能を、「機能B」として音楽再生機能を、「機能C」として映像再生機能を例に説明をする。また、「許可対象番号情報」は、上記利用制限時間帯であっても例外的に発着信を許可する情報を示すものであり、例えば、生徒の保護者の電話番号(自宅の固定電話番号及び親の携帯電話番号)及びメールアドレス、並びに転送先の電話番号及びメールアドレス(保護者の勤務先の電話番号及びメールアドレス)が登録される。「許可内容情報」は、許可対象番号である電話番号に対する許可内容(発信、着信、転送)を示すものである。
例えば、図8に示す利用制限情報801においては、学校ID「001」及びクラスID「302」で識別される携帯電話機2、すなわち、当該クラスID「302」で特定されるクラスに所属する生徒が携帯する携帯電話機2に対して2つの利用制限日時「平日;08:15−12:00,13:00−16:00」と、2つの利用制限対象機能「機能A、機能B」が対応付けられている。また、図8に示す利用制限情報802においては、学校ID「001」、クラスID「302」及び生徒ID「A」で特定される生徒が携帯する携帯電話機2に対して上述した2つの利用制限日時が対応付けられる一方、2つの許可対象番号及び許可内容「123@aaa.ne.jp(発信・着信)」、「090−1234−5678(着信)」と、2つの利用制限対象機能「機能A、機能B」が対応付けられている。このような利用制限情報は、携帯電話機2の利用制限サービスの提供前や、利用制限情報の更新毎(例えば、発着信・機能利用禁止時間の変更)に、管理サーバ14から提供される情報登録用ページを介して設定(更新)されるものとなっている。そして、このように設定された利用制限情報は、管理サーバ14からサービス制御局7に受け渡され、サービス制御局7によってHLR71(後述する)に登録される。なお、サービス制御局7に受け渡す際、管理サーバ14は、設定された利用制限情報に対応する携帯電話機2の電話番号及びメールアドレスも受け渡す。
ホームロケーションレジスタ(HLR:Home Location Register)71は、サービス制御局7が管轄する在圏エリア内の全ての携帯電話機2のユーザ情報(電話番号及びメールアドレス、認証情報等)、契約サービス情報、位置登録情報(位置登録エリア、位置登録エリアの交換機)及び携帯電話機2の通信経路(パス)の設定に必要な情報を記憶する他、携帯電話機2の利用制限サービス内容を示す利用制限情報を記憶するデータベースである。本実施の形態では、HLR71は、サービス制御局7に接続されているが、サービス制御局7がアクセス可能な構成であれば、サービス制御局7の外部又は内部に設けることが可能である。
図9は、HLR71に記憶される利用制限情報の一例を示す図である。この利用制限情報は、上述したようにPC15を介して設定された利用制限情報に基づいて生成されるものであり、実際の利用制限サービスの運用のための情報に変更されている。具体的には、図9に示す利用制限情報900は、携帯電話機2を識別する加入者番号(識別情報)に対して、利用制限日時情報(日付、開始時刻、終了時刻)、制限場所情報としての位置情報(例えば、学校が収容されるセル情報)、許可対象番号及び許可内容情報、ID(学校ID・クラスID・生徒ID)、及び利用制限対象機能情報が登録されている。サービス制御局7は、管理サーバ14から利用制限情報と共に受け取った携帯電話機2の電話番号及びメールアドレスと、HLR71に記憶される携帯電話機2の加入者番号とを対応させ、加入者電話番号毎の利用制限日時、制限場所、ID及び利用制限対象機能が対応付けられた利用制限情報を生成するものとなっている。例えば、管理サーバ14で生徒ID「A」の生徒の利用制限情報802(図8)が登録されると、この生徒ID「A」の携帯電話機2の加入者番号「999@jjj.ne.jp(090−9999−9999)」に対して、生徒IDや学校ID等のID、利用制限日時、利用制限対象機能等の上記利用制限情報802が付加されて利用制限情報901が生成される。なお、詳細は後述するが、この利用制限情報901に基づいて利用制限対象端末の制限対象機能を制限する機能制限情報が生成される。すなわち、HLR71は機能制限情報を保持する機能制限情報保持部として機能する。
サービス制御局(サービス制御装置)7は、全ての携帯電話機2に対して通信・通話サービス、当該通信・通話の利用を制限する利用制限サービス、携帯電話機2に搭載される機能を制限する機能制限サービス及び各携帯電話機2が契約する様々なサービスを提供するサーバ機能を備えるものである。図10は、サービス制御局7の概略構成を示す機能ブロック図である。サービス制御局7は、利用制限情報抽出部72と、利用制限処理部73と、機能制限メッセージ生成部74と、送信時間制御部75と、送信依頼部76と、位置登録処理部77と、制限対象外端末確認部78と、を備えている。なお、図10に示す構成は、本発明を説明するために簡略化したものであり、サービス制御局7本来の機能を実現するその他の構成要素は備えているものとする。
利用制限情報抽出部72は、携帯電話機2の利用制限機能を制限する際に、HLR71に記憶された利用制限情報から機能制限情報(利用制限対象端末の端末識別番号、利用制限日時及び利用制限対象機能)を読み出し、機能制限メッセージ生成部74に送る。また、利用制限情報抽出部72は、携帯電話機2の発着信の規制処理の際に、HLR71に記憶された利用制限情報を抽出して利用制限処理部73に送る。
利用制限処理部73は、利用制限場所及び利用制限時間における携帯電話機2の通話及びメールの発着信規制を行う。具体的には、利用制限処理部73は、在圏エリア内の携帯電話機2から発信要求があった場合、又は在圏エリア内の携帯電話機2への着信要求(接続元である交換機からの在圏確認要求)があった場合、HLR71に記憶される利用制限情報に基づいて当該携帯電話機2の通信規制処理を行う。また、利用制限処理部73は、HLR71に記憶される利用制限情報が更新された場合には、更新後の利用制限情報を加入者交換機5に送信する。
機能制限メッセージ生成部74は、利用制限情報抽出部72から読み出された機能制限情報に基づいて利用制限対象端末に搭載された制限対象機能を制限する機能制限メッセージを生成する。すなわち、機能制限メッセージ生成部74は、制限対象機能情報、制限開始時刻情報及び制限終了時刻情報を制御内容として含む機能制限メッセージを生成し、送信依頼部76に送る。また、制限対象外端末確認部78により利用制限対象外端末が確認された場合、当該利用制限対象外端末の利用制限機能を解除する機能制限解除メッセージを生成し、送信依頼部76に送る。図11は、機能制限メッセージのフォーマットを模式的に示した図である。図11に示す機能制限メッセージ1100は、利用制限対象端末を識別する宛先情報(端末識別番号)1100a、制限対象機能情報1100b、及びタイマ情報1100cから構成されている。タイマ情報1100cは、利用制限対象機能の機能を制限する制限日、制限開始時刻及び制限終了時刻を含む機能制御情報から構成されており、この制限日の制限開始時刻に利用制限対象機能をオフすると共に終了時刻に当該利用制限対象機能を復帰させるものである。すなわち、タイマ情報1100cは、制限開始時刻情報を利用制限対象端末でのオフタイマ情報として機能させると共に、制限終了時刻情報を当該利用制限対象端末でのオンタイマ情報として機能させるものである。
送信時間制御部75は、機能制限メッセージ1100を、制限開始時刻の所定時間前から利用制限対象端末に逐次的に送るように送信依頼部76を制御する。より好ましくは、送信時間制御部75は、ネットワークのトラフィックが所定値以下の場合、又はネットワークの負荷が低い時間帯(例えば、夜間)に利用制限対象端末に対して機能制限メッセージ1100を送るよう送信依頼部76に対して送信制御する。送信依頼部76は、送信時間制御部75の送信タイミングに従って、機能制限メッセージ生成部74で生成された機能制限メッセージ1100を機能制限サーバ16に送り、当該機能制限メッセージを含むSMSメッセージ(後述する)を利用制限対象端末に送信するように依頼する。これにより、制限開始時刻よりも所定時間前から機能制限メッセージを逐次的に送信するので、制限開始時刻を授業開始時刻とした場合でも、機能制限メッセージの送信が授業開始時刻に集中することがないので、各利用制限対象端末に対して確実に機能制限メッセージを送信することができる。特に、ネットワークのトラフィックが所定値以下の場合、又は、ネットワークの負荷が低い時間帯に機能制限メッセージを送信するので、各利用制限対象端末に対してより確実に機能制限メッセージを送信することが可能である。
位置登録処理部77は、在圏エリア内の加入者交換機5から携帯電話機2の位置登録要求があった場合、HLR71に記憶される当該携帯電話機2の位置登録情報を更新し(位置登録処理)、更新後の位置登録情報と共に位置登録要求元の携帯電話機2の利用制限情報を加入者交換機5に送信する。
制限対象外端末確認部78は、機能制限メッセー生成部74で生成された機能制限メッセージ1100の制限開始時刻から所定時間経過した場合でも利用制限対象端末の位置登録処理が行われない場合、つまり、利用制限対象端末が利用制限場所に存在しないことを確認した場合、当該利用制限対象端末を利用制限対象外端末と判断し、機能制限メッセージ生成部74に対して当該利用制限対象外端末に設定された利用制限対象機能を解除するように指示を送る。これにより、利用制限場所(例えば学校)に存在しない利用制限対象外端末の機能は制限されないので、例えば、病気等の理由で学校を欠席した生徒の携帯電話機の機能は利用することが可能となる。
図12は、機能制限サーバ(SMSサーバ)16の機能ブロック図である。図12に示すように、機能制限サーバ16は、機能制限内容受信部161と、SMS(Short Message Service)メッセージ生成部162と、SMSメッセージ送信部163と、SMSメッセージ送達確認部164と、を備えている。
機能制限内容受信部161は、サービス制御局7の送信依頼部76から受信した機能制限メッセージ1100を受信し、SMSメッセージ生成部162に渡す。SMSメッセージ生成部162は、機能制限内容受信部161から受け取った機能制限メッセージ1100にSMSヘッダ及びWAP(Wireless Application Protocol)ヘッダを付加しSMSメッセージを生成する。SMSメッセージ送信部163は、SMSメッセージ生成部162が生成したSMSメッセージを利用制限対象端末である携帯電話機2に送信する。SMSメッセージ生成部164は、SMSメッセージ送信部163が送信したSMSメッセージが利用制限対象端末に送達されたか否かを確認し、送達が確認できない利用制限対象端末に対してSMSメッセージを再送信するようにSMSメッセージ送信部163に指示を送る。これにより、利用制限対象端末へのSMSメッセージ(機能制限メッセージ)の送達確認ができない場合には、当該利用制限対象端末に対して機能制限メッセージを再送するので、利用制限対象端末への機能制限メッセージの未送達を防止して、当該利用制限対象端末の制限機能の利用を確実に制限することができる。
図13は、SMSメッセージ生成部162が生成するSMSメッセージのフォーマットを模式的に示した図である。図13に示すSMSメッセージ1300は、SMSヘッダ1300a、WAPヘッダ1300b及び機能制限内容1300cから構成されている。つまり、サービス制御局7の機能制限メッセージ生成部73が生成した機能制限メッセージ1100からなる機能制限内容1300cに対して、SMSヘッダ1300a及びWAPヘッダ1300bが付加されている。
図14は、携帯電話機2の概略構成を示す機能ブロック図である。図14に示すように、携帯電話機2は、送受信処理部21、アプリ制御部22、SMSメッセージ処理部23、WAPメッセージ処理部24、プログラム制御部25、タイマ部26、デバイスモジュールコントロール部27及びデバイスモジュール28を備えている。なお、図14に示す構成は、本発明を説明するために簡略化したものであり、携帯電話機2本来の機能を実現するその他の構成要素は備えているものとする。
送受信処理部21は、パケット交換機52を介して送信する及び受信するデータ信号に対して所定の信号処理を施す。特に、送受信処理部21は、機能制限サーバ17から受信したSMSメッセージのデータ信号を受信すると、SMSメッセージ処理部23に渡す。アプリ制御部22は、携帯電話機2に搭載されるアプリケーション機能全般を制御するものである。SMSメッセージ処理部23は、SMSヘッダ1300aを解釈し、SMSメッセージ1300からSMSヘッダ1300aを除去したメッセージデータをWAPメッセージ処理部24に送る。WAPメッセージ処理部24は、WAPヘッダ1300bを解釈し、SMSメッセージ処理部23から受け取ったメッセージデータ(WAPヘッダ及び機能制限内容1300cからなるデータ)からWAPヘッダ1300bを除去したメッセージデータ(機能制限内容1300c)をプログラム制御部25に送る。プログラム制御部25は、WAPメッセージ処理部24から受け取った機能制限内容1300cに基づいて機能制限のための処理を実行する。すなわち、制限対象機能のデバイス機能を制限するようにデバイスモジュールのプログラムを変更する。変更後のプログラムは制限開始時刻をデバイス機能オフ開始時刻のオフタイマ情報として管理する。オフタイマ時刻となるまでは制限対象機能のデバイス機能を維持する。変更後のプログラムに従ってデバイスモジュールコントロール部27を制御する。タイマ部26は、制限開始時刻及び制限終了時刻を検知するために、プログラム制御部25に時刻情報を提供する。デバイスモジュールコントロール部27は、プログラム制御部25の制御に基づいてデバイスモジュール28の動作を制御する。デバイスモジュール28は、例えば、カメラモジュール、音楽再生モジュール、映像再生モジュール等のデバイスモジュールである。このように、プログラム制御部25は、制限対象機能情報及びタイマ情報に基づいて、当該制限対象機能であるデバイスモジュールのプログラムを制限開始時刻にデバイス機能をオフし、当該プログラムを制限終了時刻にデバイス機能をオンするように書き換える。よって、ネットワークの負荷の軽い時間帯にメッセージを利用制限対象端末に送信しておき、タイマ情報を用いて制限開始時刻にデバイス機能をオフすることができる。
次に、図15を参照して、通信制御システム1における利用制限対象端末の機能制限処理について説明する。図15は、利用制限対象端末の機能制限処理を示すシーケンス図である。ここでは、図9に示す利用制限情報901に基づいて、携帯電話機2に搭載される機能を制限する場合を例に説明する。なお、図15では、説明を簡単にするために無線基地局装置3、無線ネットワーク制御装置4及び中継用交換機6を省略している。
管理サーバ14に登録された利用制限情報901がHLR71に保存されると、利用制限情報抽出部72はHLR71にアクセスし(ステップS1501)、利用制限情報901から端末識別情報、利用制限日時情報及び利用制限対象機能情報を読み出す(ステップS1502)。機能制限メッセージ生成部74は、利用制限情報抽出部72が読み出した端末識別情報、利用制限日時情報及び利用制限対象情報から利用制限端末毎に機能制限メッセージを生成する(ステップS1503)。具体的には、機能制限メッセージ生成部74は、加入者番号(「090−9999−9999」)で特定される携帯電話機2を宛先情報1100aとし、当該携帯電話機2のカメラ機能(機能A)及び音楽再生機能(機能B)を制限対象機能情報1100bとし、制限日付(平日)、制限開始時刻(8:15、13:00)及び終了時刻(12:00、16:00)からなるタイマ情報1100cとする機能制限メッセージ1100を生成する。そして、送信時間制御部75、機能制限メッセージ1100の制限開始時刻(8:15)の所定時間前(例えば、6時間前)から利用制限対象端末に当該機能制限メッセージ1100を送るように送信依頼部76を制御し、送信依頼部76は当該送信制御タイミングに基づいて機能制限メッセージ1100をSMSサーバ16に送る(ステップS1504)。
SMSサーバ16は、サービス制御局7から機能制限メッセージ1100を受信すると、機能制限メッセージ1100に対してSMSヘッダ及びWAPヘッダを付加したSMSメッセージ1300を生成し(ステップS1505)、利用制限端末である携帯電話機2に対して制限開始時刻の所定時間前から逐次的に送る(ステップS1506)。そして、SMSメッセージ1300を受け取った携帯電話機2は、当該SMSメッセージ1300から機能制限内容を読み出した当該制限対象機能情報及びタイマ情報に基づいて制限対象機能のプログラムを書き換え、当該プログラムに基づいて制限対象機能が制限される(ステップS1507)。具体的には、携帯電話機2に搭載されるカメラ機能及び音楽再生機能が、制限開始時刻(8:15)になるとオフし、制限終了時刻(12:00)になるとオンすると共に、制限開始時刻(13:00)になるとオフし、制限終了時刻(16:00)になるとオンするように制限される。これにより、機能制限メッセージを受信した利用制限対象端末において当該機能制限メッセージに含まれた制限開始時刻情報をオフタイマ情報として機能させるので、ネットワークの負荷を軽減すると共に利用制限対象端末に搭載される機能のみを適切に制限することができる。また、制限開始時刻よりも所定時間前から機能制限メッセージを逐次的に送信するので、制限開始時刻を授業開始時刻とした場合でも、機能制限メッセージの送信が授業開始時刻に集中することがないので、各利用制限対象端末に対して確実に機能制限メッセージを送信することができる。
そして、携帯電話機2が利用制限場所(学校)内に入ると交換機5に位置登録要求が送られ(ステップS1508)、交換機5は携帯電話機2の位置登録要求をサービス制御局7に中継する(ステップS1509)。サービス制御局7は、交換機5から位置登録要求を受け取ると位置登録処理を行い(ステップS1510)、位置登録要求元の携帯電話機2の現在位置情報を更新し(ステップS1511)、機能制限メッセージが送られた利用制限対象端末からの位置登録要求を確認する(ステップS1512)。すなわち、制限対象外端末確認部78は、制限開始時刻になっても利用制限端末からの位置登録要求が無い場合には、当該利用制限対象端末が利用制限場所に居ない(例えば、病気等の理由により学校に登校していない)と判断し、利用制限対象外端末であると確認し、当該利用制限対象外端末の利用制限機能を解除する機能制限解除メッセージを生成して(ステップS1513)、SMSサーバ16に送る(ステップS1514)。SMSサーバ16は、機能制限解除メッセージに基づいてSMSメッセージを生成して(ステップS1515)、利用制限対象外端末である携帯電話機2に送る(ステップS1516)。そして、利用制限対象外端末である携帯電話機2の機能の利用制限が解除される(ステップS1517)。これにより、利用制限場所(例えば学校)に存在しない利用制限対象外端末の機能は制限されないので、例えば、病気等の理由で学校を欠席した生徒の携帯電話機の機能は利用することが可能となる。すなわち、利用制限場所に存在する利用制限対象端末の制限対象機能の利用のみを適切に制限することができる。
次に、図16を参照して、通信制御システム1における加入者交換機5の利用制限情報のダウンロード処理について説明する。図16は、加入者交換機5の利用制限情報のダウンロード処理を示すシーケンス図である。この利用制限情報のダウンロード処理は、加入者交換機5に対して携帯電話機2の位置登録要求があった場合、又はサービス制御局7が制限端末情報の変更を受信した場合(SO:Service Order時)、携帯電話機2の発信制御処理に先立って処理されるものである。なお、図16では、説明を簡単にするために無線基地局装置3、無線ネットワーク制御装置4及び中継用交換機6を省略している。
図16に示すように、加入者交換機5は、無線基地局装置3及び無線ネットワーク制御装置4を介して携帯電話機2から位置登録要求を受信すると(ステップS1601)、サービス制御局7との間で位置登録要求元の携帯電話機2の認証処理を行う(ステップS1602)。認証処理が終了すると、加入者交換機5は、位置登録要求をサービス制御局7に送る(ステップS1603)。サービス制御局7は、位置登録要求元の携帯電話機2の電話番号に基づいて、HLR71に登録される当該携帯電話機2の電話番号に紐づけられた利用制限情報を抽出し(ステップS1604)、位置登録情報と共に当該利用制限情報を加入者交換機5に送る(ステップS1605)。加入者交換機5は、受信した位置登録情報と共に利用制限情報をVLR53に記憶し(ステップS1606)、位置登録応答を携帯電話機2に送信する(ステップS1607)。
また、PC15から利用制限情報が変更されると(ステップS1608)、サービス制御局7は変更された利用制限情報に基づいて、HLR71内の利用制限情報を生成(更新)し(ステップS1609)、更新後の利用制限情報を加入者交換機5に送信する(ステップS1610)。加入者交換機5は、サービス制御局7から受信した更新後の利用制限情報をVLR53に保存し(ステップS1611)、当該更新後の利用制限情報を用いて携帯電話機2の発信可否を判断する。すなわち、加入者交換機5は、位置登録要求の際等に、当該加入者交換機5の管轄する在圏エリア内の携帯電話機2のみの利用制限情報をVLR53に記憶し、この利用制限情報により在圏エリア内の携帯電話機2の発信規制処理を行う。すなわち、加入者交換機5は、携帯電話機2の発信を通信網上で規制する規制装置として機能する。
次に、図17から図19を参照して、通信制御システム1におけるメールの送信制御処理について説明する。図17及び図18は、メールの送信制御処理を示すシーケンス図であり、図17はメールの送信が拒否された場合を示し、図18はメールの送信が許可された場合を示している。図19は、サービス制御局7のメールの送信制御処理を示すフロー図である。ここでは、発信元の携帯電話機2を携帯電話機2aとし、発信先の携帯電話機2を携帯電話機2bとして説明する。なお、図17及び図18では、説明を簡単にするために中継用交換機6を省略している。
図17及び図19に示すように、携帯電話機2aからパケット発信要求があると、パケット交換機52は、携帯電話機2aとサービス制御局7との間でパケット発信処理を行う(ステップS1701)。携帯電話機2aからメールの送信要求があると(ステップS1702,S1901)、サービス制御局7は、HLR71にアクセスし(ステップS1703)、発信元の携帯電話機2aのメールアドレスに対応する加入者番号に基づいて当該携帯電話機2の利用制限情報を読み出し(ステップS1704,S1902)、メールの発信可否を判断する(S1705)。
具体的には、図19に示すように、サービス制御局7は、読み出した制限場所情報及び携帯電話機2aの現在位置情報に基づいて当該携帯電話機2aが利用制限場所内に存在するか否かを判断する(ステップS1903)。携帯電話機2aが利用制限場所内に存在する場合(ステップS1903:Yes)、読み出した発着信禁止時間情報に基づいて発信禁止時間内か否かを判断する(ステップS1904)。発信禁止時間である場合(ステップS1904:Yes)、送信先のメールアドレスが許可対象番号か否かを判断する(ステップS1905)。送信先のメールアドレスが許可対象アドレスである場合(ステップS1905:Yes)、メール発信が許可内容に含まれているか否かを判断する(ステップS1906)。メール発信が許可内容に含まれていない場合(ステップS1906:No)、サービス制御局7は携帯電話機2aのメール送信を拒否する(ステップS1907)。そして、サービス制御局7は、携帯電話機2aに発信失敗/不可メッセージを送り(ステップS1706)、携帯電話機2aとの間のパケット切断処理を行う(ステップS1707)。なお、送信先のメールアドレスが許可対象アドレスでない場合(ステップS1905:No)、ステップS1907に進んでメール送信が拒否される。
一方、携帯電話機2aが利用制限場所内に存在しない場合(ステップS1903:No)、発信禁止時間外である場合(ステップS1904:No)、又は、メール送信が許可内容に含まれている場合(ステップS1906:Yes)、サービス制御局7は、図18に示すように、携帯電話機2aのメール送信を許可し(ステップS1908)、着信先の携帯電話機2bにメールを送信する(ステップS1801)。
次に、図20から図22を参照して、通信制御システム1におけるメールの受信制御処理について説明する。図20及び図21は、メールの受信制御処理を示すシーケンス図であり、図20はメールの受信が拒否された場合を示し、図21はメールの受信が許可された場合を示している。図22は、サービス制御局7のメールの受信制御処理を示すフロー図である。ここでは、送信元の携帯電話機2を携帯電話機2bとし、送信先の携帯電話機2を携帯電話機2aとして説明する。なお、図20及び図21では、説明を簡単にするため中継用交換機6を省略している。
図20及び図22に示すように、携帯電話機2bからメール送信要求を受信すると(ステップS2001,S2201)、サービス制御局7は、HLR71にアクセスし(ステップS2002)、送信先の携帯電話機2aのメールアドレスに対応する加入者番号に基づいて当該携帯電話機2aの利用制限情報を読み出し(ステップS2003,S2202)、メールの着信可否を判断する(S2004)。
具体的には、図22に示すように、サービス制御局7は、読み出した制限場所情報及び携帯電話機2aの現在位置情報に基づいて当該携帯電話機2aが利用制限場所内に存在するか否かを判断する(ステップS2203)。携帯電話機2aが利用制限場所内に存在する場合(ステップS2203:Yes)、読み出した発着信禁止時間情報に基づいて着信禁止時間内か否かを判断する(ステップS2204)。着信禁止時間である場合(ステップS2204:Yes)、送信元の携帯電話機2bのメールアドレスが許可対象番号か否かを判断する(ステップS2205)。携帯電話機2bのメールアドレスが許可対象アドレスである場合(ステップS2205:Yes)、メール着信が許可内容に含まれているか否かを判断する(ステップS2206)。メール着信が許可内容に含まれていない場合(ステップS2206:No)、サービス制御局7は、携帯電話機2a宛てのメールをメールサーバ11に一旦蓄積する(S2005,S2207)。次に、サービス制御局7は、携帯電話機2aの利用制限状態が解除されたか否かを判断する(ステップS2006,S2208)。利用制限状態の解除後、つまり携帯電話機2aが利用制限場所以外の場所に移動した場合、又は着信禁止時間を過ぎた場合(ステップS2208:Yes)、サービス制御局7は、メール送信を許可し(ステップS2209)、一旦蓄積したメールを携帯電話機2aに送信する(ステップS2007)。なお、送信元のメールアドレスが許可対象アドレスでない場合(ステップS2205:No)、ステップS2207に進んでメールが一旦蓄積される。
一方、携帯電話機2aが利用制限場所内に存在しない場合(ステップS2203:No)、着信禁止時間外である場合(ステップS2204:No)、又は、メール着信が許可内容に含まれている場合(ステップS2206:Yes)、サービス制御局7は、図21に示すように、携帯電話機2aのメール送信を許可し(ステップS2209)、携帯電話機2aにメールを送信する(ステップS2101)。
次に、通信制御システム1における携帯電話機2からの通話発信制御処理について説明する。図23は、携帯電話機2aからの通話発信制御処理を示すシーケンス図であり、同図(a)は携帯電話機2aの通話発信が拒否された場合を示し、同図(b)は携帯電話機2aの通話発信が許可された場合を示している。図24は、発信元の携帯電話機2aを収容する加入者交換機5の通話発信制御処理を示すフロー図である。なお、図23では、説明を簡単にするために無線基地局装置3、無線ネットワーク制御装置4及び中継用交換機6を省略している。
図23及び図24に示すように、無線基地局装置3及び無線ネットワーク制御装置4を介して携帯電話機2aから発信要求を受信すると(ステップS2301、ステップS2401)、音声交換機51は、発信元の携帯電話機2aの加入者番号によりVLR53内に事前に記憶された利用制限情報を読み出し、読み出した利用制限情報に基づいて携帯電話機2aの通話発信制御処理を行う(ステップS2302,S2402)。
具体的には、図24に示すように、音声交換機51は、読み出した制限場所情報及び携帯電話機2aの現在位置情報に基づいて当該携帯電話機2aが利用制限場所内に存在するか否かを判断する(ステップS2403)。携帯電話機2aが利用制限場所内に存在する場合(ステップS2403:Yes)、読み出した発着信禁止時間情報に基づいて発信禁止時間内か否かを判断する(ステップS2404)。発信禁止時間である場合(ステップS2404:Yes)、着信先の電話番号が許可対象番号か否かを判断する(ステップS2405)。着信先の電話番号が許可対象番号である場合(ステップS2405:Yes)、発信が許可内容に含まれているか否かを判断する(ステップS2406)。発信が許可内容に含まれていない場合(ステップS2406:No)、音声交換機51は、携帯電話機2aの通話発信を拒否する(ステップS2303,S2407)。なお、着信先の電話番号が許可対象番号でない場合(ステップS2405:No)、ステップS2407に進んで通話発信が拒否される。
一方、携帯電話機2aが利用制限場所内に存在しない場合(ステップS2403:No)、発信禁止時間外である場合(ステップS2404:No)、又は、通話発信が許可内容に含まれている場合(ステップS2406:Yes)、音声交換機51は、携帯電話機2aの通話発信を許可する(ステップS2408)。そして、図23(b)に示すように、音声交換機51は、サービス制御局7との間で在圏確認処理を行い(ステップS2304)、接続先の交換機51に対して接続要求を送る(ステップS2305)。そして、携帯電話機2の通話が可能となる。
次に、通信制御システム1における携帯電話機2への通話着信制御処理について説明する。図25は、携帯電話機2aへの通話着信制御処理を示すシーケンス図であり、同図(a)は携帯電話機2aへの通話着信が拒否された場合を示し、同図(b)は携帯電話機2aへの通話着信が許可された場合を示している。図26は、着信先の携帯電話機2aを収容するサービス制御局7の通話着信制御処理を示すフロー図である。なお、図25では、説明を簡単にするために無線基地局装置3、無線ネットワーク制御装置4及び中継用交換機6を省略している。
図25及び図26に示すように、接続元の音声交換機51から在圏確認要求を受信すると(ステップS2501、ステップS2601)、サービス制御局7は、着信先の携帯電話機2aの加入者番号(「090−1111−1111」)によりHLR71内に事前に記憶された利用制限情報を読み出し、読み出した利用制限情報に基づいて携帯電話機2aの通話着信制御処理を行う(ステップS2502,S2602)。
具体的には、図26に示すように、サービス制御局7は、読み出した制限場所情報及び携帯電話機2aの現在位置情報に基づいて当該携帯電話機2aが利用制限場所内に存在するか否かを判断する(ステップS2603)。携帯電話機2aが利用制限場所内に存在する場合(ステップS2603:Yes)、読み出した発着信禁止時間情報に基づいて着信禁止時間内か否かを判断する(ステップS2604)。着信禁止時間である場合(ステップS2604:Yes)、発信元の携帯電話機2の電話番号が許可対象番号か否かを判断する(ステップS2605)。発信元の携帯電話機の電話番号が許可対象番号でない場合(ステップS2605:No)、サービス制御局7は、携帯電話機2aへの着信を拒否し(ステップS2606)、接続NG応答を接続元の音声交換機51に送信する(ステップS2503)。
一方、発信元の電話番号が許可対象番号である場合(ステップS2605:Yes)、サービス制御局7は、許可内容情報内に着信又は転送先設定があるか否かを判断し(ステップS2607)、転送先設定がある場合には設定された転送先電話番号へ転送を許可する(ステップS2608)。また、携帯電話機2aが利用制限場所に存在しない場合(ステップS2603:No)、着信禁止時間外である場合(ステップS2604:No)、又は、ステップS2607において転送先設定が無く着信先のみが設定されている場合、サービス制御局7は、携帯電話機2aへの着信を許可する(ステップS2609)。そして、図25(b)に示すように、転送先へ着信を転送する場合及び着信を許可する場合、サービス制御局7は、接続元の音声交換機51に対して在圏応答を送り(ステップS2504)、在圏の音声交換機51に対して接続要求を送る(ステップS2505)。そして、音声交換機51は、着信先の携帯電話機2aへ着信通知を送り、通話が可能となる(ステップS2506)。なお、ステップS2607において、許可内容情報に着信先及び転送先の双方が設定されている場合、一方の連絡先を優先する設定にしてもよい。
このように、本実施の形態に係る利用制限対象端末に搭載される機能制限において、各利用制限対象端末の機能制限情報に基づいて制限対象機能情報、制限開始時刻情報及び制限終了時刻情報を制御内容として含む機能制限メッセージを生成し、この機能制限メッセージを制限開始時刻よりも所定時間前から各利用制限対象端末に逐次的に送信し、機能制限メッセージを受信した利用制限対象端末において当該機能制限メッセージに含まれた制限開始時刻情報をオフタイマ情報として機能させるので、ネットワークの負荷を軽減すると共に利用制限対象端末に搭載される機能のみを適切に制限することができる。例えば、生徒の携帯電話機を利用制限端末とし、当該端末に搭載されるカメラ機能及び音楽再生機能を制限対象機能とし、制限開始時刻及び終了時刻を授業時間帯とする機能制限情報を準備すれば、授業時間中における生徒の携帯電話機のカメラ機能及び音楽再生機能の利用を制限することができるので、授業を妨害することがない。また、制限開始時刻よりも所定時間前から機能制限メッセージを逐次的に送信するので、制限開始時刻を授業開始時刻とした場合でも、機能制限メッセージの送信が授業開始時刻に集中することがないので、各利用制限対象端末に対して確実に機能制限メッセージを送信することができる。
また、本実施の形態に係るメール発信制御において、サービス制御局7は、パケット交換機52によるパケット発信処理の際に、HLR71に記憶した利用制限情報に基づいて、送信元の携帯電話機2からのメール送信可否判断を行い、当該携帯電話機2が利用制限状態の場合にはメール送信を拒否し、利用制限状態で無い場合にはメール送信を許容する。一方、メール着信制御において、サービス制御局7は、在圏エリア外の携帯電話機2からのメール送信要求を受信した際に、HLR71に記憶した利用制限情報に基づいて、着信先の携帯電話機2に対するメール着信可否判断を行い、当該着信先の携帯電話機2が利用制限状態の場合にはメール着信を一旦拒否してメールを蓄積し、利用制限状態解除後に蓄積したメール着信を許容する。
また、本実施の形態に係る通話発信制御において、音声交換機51は、位置登録要求又はSO投入の際にVLR53に記憶した利用制限情報に基づいて、在圏エリア内の発信元の携帯電話機2からの通話発信可否判断を行い、当該携帯電話機2が利用制限状態の場合には通話発信を拒否し、利用制限状態で無い場合には通話発信を許容する。一方、通話着信制御において、サービス制御局7は、発信元の携帯電話器2を管理する交換機51からの在圏確認要求の際に、HLR71に記憶した利用制限情報に基づいて、着信先の携帯電話機2の通話着信可否判断を行い、当該携帯電話機2が利用制限状態の場合には在圏応答として通話接続拒否を応答し、利用制限状態で無い場合には通話接続を許容する。
これらの構成により、HLR71又はVLR53に記憶された利用制限情報に基づいて、原則的に任意の場所(学校内)及び時間(授業時間中)での携帯電話機2の利用を制限すると共に、例外的に所定条件下(緊急連絡先等として保護者の電話番号の登録)での携帯電話機2の利用を許容することができる。従って、学校内に携帯電話機2を持ち込んだ場合でも、授業時間帯において授業を阻害することがなく、災害時等の安否確認等の緊急連絡を直接生徒の携帯電話機2に対して取ることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、処理部や処理手順については適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することが可能である。
例えば、上記実施の形態において、音声交換機51が通話発信可否を判断する場合を説明したが、この構成に限定されず、通話着信可否判断の場合と同様にサービス制御局7が行う構成でもよい。この場合には、サービス制御局7は、管轄する在圏エリア内の携帯電話機2から発信要求があった場合に利用制限情報に基づいて上記携帯電話機2の発信可否を判断し、当該携帯電話機2が発信禁止時間の場合又は着信先端末が利用制限対象外端末でない場合に携帯電話機2の発信を拒否し、着信先端末が利用制限対象外端末の場合に携帯電話機2の発信を許可する。