JP4975365B2 - 耐熱性リゾチーム - Google Patents
耐熱性リゾチーム Download PDFInfo
- Publication number
- JP4975365B2 JP4975365B2 JP2006130525A JP2006130525A JP4975365B2 JP 4975365 B2 JP4975365 B2 JP 4975365B2 JP 2006130525 A JP2006130525 A JP 2006130525A JP 2006130525 A JP2006130525 A JP 2006130525A JP 4975365 B2 JP4975365 B2 JP 4975365B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lysozyme
- heat
- resistant
- activity
- amino acid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
Description
ここで、「リゾチーム活性」とは、いずれの公知の測定方法によっても良い測定方法にて測定され得るリゾチーム活性を意味する。
リゾチーム活性測定方法としては、基質液として細菌をクロロホルムで変性させた菌体成分の懸濁液を用い、基質液に酵素を作用させる前後の吸光度により基質である菌体成分の酵素による分解の程度、即ちリゾチーム活性を測定する方法が挙げられる。具体的には例えばJ. Biochem 83, 727-936 (1978)に記載の方法、即ちクロロホルムにて死滅させた細菌(Pseudomonas aeruginosa)を一定濁度となるよう50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0または4.0)中に懸濁して基質液を調製し、この基質液に酵素液を投入し、インキュベートして濁度の変化を分光光度計により測定し、濁度の減少によりリゾチーム活性を測定する方法がある。また、同様の方法において基質としてミクロコッカスを用いる方法もある。さらには、本願実施例に示すように、クロロホルムにより変性したサーマス・アクアチカスTZ2株の菌体成分を用いて、リゾチーム活性を測定してもよい。
本発明の耐熱性リゾチームは、至適温度が非常に高温域であり、従来不可能であった高温域で使用される機器の殺菌消毒等に用いることができる。
本発明は下記実施例によりさらに詳細に説明される。しかしながら、本発明は実施例に限定されるものではない。
1)ファージ液の大量培養
下記に示すA2培地を用いて、70℃の温度で前培養(振とう培養200rpm)した高度好熱菌サーマス・アクアチカスTZ2株(受託番号:FERM P−413713、以下「サーマス菌」)を種菌として、本培養を行った。本培養は、A2培地を75mlずつ分注した三角フラスコに、75μLの種菌を接種し、70℃の温度で振とう培養(200rpm)を行なった。3時間培養後、好熱性ファージφIN93液を75μL添加して感染させ、菌体が破壊されるのを確認(約2.5時間後)した後に培養を止めた。破壊されたサーマス菌の破片を遠心(3500rpm、20分間)により沈殿させて除いた。この上清にファージが存在しているため、アミコンウルトラ50,000MWCO を用いて遠心(3500rpm)して濃縮し、更に10mM リン酸緩衝液pH6.0を加えて、左記緩衝液への置換を行ない6.5mlに調製し、ファージ液とした。
得られたファージ液をカルボキシメチルイオン交換カラム(CM−セファロース ファスト フロー (ファルマシア社製))により精製を行なった。まず、カルボキシメチルイオン交換カラム(直径2cm×高さ6cm 約19ml)に、上記のファージ液6.5mlを添加した。次に、10mM リン酸緩衝液pH6.0 50mlを添加して洗浄し、各画分を回収した。
各画分について、リゾチーム活性及び蛋白質含有量を計測した。リゾチーム活性の測定は、基質としてサーマス・アクアチカスTZ2株(サーマス菌)をクロロホルムにより変性させた菌体成分を用いて行った。ファージを添加しない以外は上記1)と同様にして培養したサーマス菌を遠心(3500rpm、20分間)により集菌し、10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁し、等容量のクロロホルムを添加して振とうした後、遠心(3500rpm、20分間)により得られた中間層を乾燥させ、10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁した。分光光度計U−3310(日立ハイテクノロジーズ)にて波長540nmにおける吸光度を約1.2に調節し、エッペンドルフチューブに各500μlずつ分注したものを基質液として用いた。
NaClの濃度が0.1M及び0.2Mである画分に活性が認められた。(図1)
各画分の蛋白質の含有量を分光光度計にて波長280nmの吸光度を測定することによって計測した。
次に、活性画分をハイドロキシアパタイトカラム(Hydroxyapatite BioRad社製)により精製した。ハイドロキシアパタイトカラム(直径1cm×高さ1.3cm 約1.0ml)に、上記活性画分を合わせた2mlの液を添加した。10mM リン酸緩衝液pH7.0 10mlを添加して洗浄し、各画分は回収した。次に、10mM リン酸緩衝液pH7.0においてNaClの濃度をステップワイズで0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5Mまで上げた溶離液を1mlずつ添加して溶出を行なった。回収した各画分は、アミコンウルトラ10,000MWCOを用いて遠心(3500rpm)して脱塩を行い、更に10mM リン酸緩衝液pH7.0を加えて、左記緩衝液へ置換し各1mlに調製した。上記3)に記載した方法にて酵素活性を測定した結果、NaClの濃度が0.2Mの画分に活性が認められた。(図2)
上記4)で得られた活性画分について、メルカプトエタノールを添加して、95℃5分間反応させた後、12.5% SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を実施した。その結果、分子量33,000に単一バンドが検出され、リゾチームが単離できた。
12.5% SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により検出された単一バンドについて、定法によりN末端アミノ酸配列の10残基(Met−Ser−Val−Arg−Ile−Thr−Asn−Phe−Gly−Leuを決定した。決定したアミノ酸配列を基に、既に塩基配列が決められている好熱性ファージφIN93DNA上の位置を決定した。その結果、ATGから始まる918(終始コドン含めて)の塩基配列のORFがリゾチーム遺伝子であることが確認された。アミノ酸配列を配列表の配列番号1に、塩基配列を配列番号2に示す。
1)公知リゾチームとの塩基配列相同性
本発明の耐熱性リゾチームのアミノ酸配列を、他の常温性のリゾチーム(卵白リゾチーム、T4ファージリゾチーム)と比較した。結果を図3および4に示す。各図から明らかなように、本願発明のリゾチームと、従来知られている常温性のリゾチームとのアミノ酸レベルのホモロジーはそれぞれ15.03%および17.85%と非常に低いものであった。
上記I−4)で得られたリゾチームを用い、pH5〜11までの範囲で酵素反応を行い、反応至適pHを求めた。pH5の緩衝液は10mM クエン酸−リン酸ナトリウムを用いた。pH5〜8の緩衝液は10mM リン酸緩衝液を用いた。PH9〜11の緩衝液は10mMグリシン−水酸化ナトリウムを用いた。
活性測定は基質としてサーマス菌をクロロホルムにより変性させた菌体成分を用いて、上記I−2)と同様の手法により行った。反応は70℃、10分間で行なった。
反応温度37℃〜150℃までの範囲で酵素反応を行い、反応至適温度を求めた。反応はpH7のリン酸緩衝液を用いて、上記I−3)と同じ条件で反応を行なった。
上記I−4)で得られた耐熱性リゾチームをpH7の緩衝液中に投入し、95℃の条件で加温した。加温前(0時間)、加温1時間後、6時間後に70℃にてリゾチーム活性を測定し、0時間の活性に対する相対活性を求めた。
Claims (8)
- 配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する耐熱性リゾチーム、または、配列番号2記載の配列に対し1乃至複数個のアミノ酸が置換、欠失もしくは付加されたアミノ酸配列を有しかつ耐熱性リゾチーム活性を示す耐熱性リゾチームを含有する、殺菌消毒剤。
- 耐熱性リゾチームが、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する、請求項1記載の殺菌消毒剤。
- 耐熱性リゾチームが、当該耐熱性リゾチームを95℃で1時間加熱した後のリゾチーム活性が、加熱前の活性の90%以上を示すものである、請求項1または2に記載の殺菌消毒剤。
- 至適温度が60℃〜120℃である、請求項1〜3いずれかに記載の殺菌消毒剤。
- 配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する耐熱性リゾチーム、または、配列番号2記載の配列に対し1乃至複数個のアミノ酸が置換、欠失もしくは付加されたアミノ酸配列を有しかつ耐熱性リゾチーム活性を示す耐熱性リゾチームを、殺菌消毒する対象に適用する、対象の殺菌消毒方法。
- 耐熱性リゾチームが、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する、請求項5記載の殺菌消毒方法。
- 耐熱性リゾチームが、当該耐熱性リゾチームを95℃で1時間加熱した後のリゾチーム活性が、加熱前の活性の90%以上を示すものである、請求項5または6に記載の殺菌消毒方法。
- 60℃〜120℃にて殺菌消毒を行う、請求項5〜7いずれかに記載の殺菌消毒方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006130525A JP4975365B2 (ja) | 2006-05-09 | 2006-05-09 | 耐熱性リゾチーム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006130525A JP4975365B2 (ja) | 2006-05-09 | 2006-05-09 | 耐熱性リゾチーム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007300831A JP2007300831A (ja) | 2007-11-22 |
JP4975365B2 true JP4975365B2 (ja) | 2012-07-11 |
Family
ID=38835338
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006130525A Expired - Fee Related JP4975365B2 (ja) | 2006-05-09 | 2006-05-09 | 耐熱性リゾチーム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4975365B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5806434B1 (ja) * | 2014-02-21 | 2015-11-10 | 国立大学法人東京海洋大学 | ノロウィルス不活化剤及びその製造方法、ノロウィルス不活化方法、ノロウィルス不活化用リゾチーム類の製造方法、ノロウィルス感染の予防薬又は治療薬、並びにノロウィルス不活化用皮膚外用剤 |
CN112662650B (zh) * | 2020-12-14 | 2022-10-21 | 自然资源部第三海洋研究所 | 一种噬菌体溶菌酶及其基因与应用 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2986338B2 (ja) * | 1993-07-07 | 1999-12-06 | 大阪瓦斯株式会社 | 高度好熱性細菌から誘発されうる二本鎖DNAファージφIN93 |
-
2006
- 2006-05-09 JP JP2006130525A patent/JP4975365B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007300831A (ja) | 2007-11-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Lim et al. | Characterization of endolysin from a Salmonella Typhimurium-infecting bacteriophage SPN1S | |
US7989604B2 (en) | Dispersin B polynucleotides and methods of producing recombinant DspB polypeptides | |
KR101711062B1 (ko) | 항균제 | |
Tamai et al. | X‐ray structure of a novel endolysin encoded by episomal phage phiSM 101 of C lostridium perfringens | |
Plotka et al. | Biochemical characterization and validation of a catalytic site of a highly thermostable Ts2631 endolysin from the Thermus scotoductus phage vB_Tsc2631 | |
WO2012020759A1 (ja) | 変異型逆転写酵素 | |
Ponti et al. | Expression and activity of cyclic and linear analogues of esculentin‐1, an anti‐microbial peptide from amphibian skin | |
CN109337846A (zh) | 深海来源的菌株及其编码的β-半乳糖苷酶基因和应用 | |
JP4975365B2 (ja) | 耐熱性リゾチーム | |
Szweda et al. | New effective sources of the Staphylococcus simulans lysostaphin | |
JP2001501478A (ja) | グリコシルヒドロラーゼ遺伝子、及び、カラゲニン生分解用酵素を生産するためのその使用 | |
Caldentey et al. | Gene XV of bacteriophage PRD1 encodes a lytic enzyme with muramidase activity | |
Lee et al. | A novel lysozyme from Xanthomonas oryzae phage ϕXo411 active against Xanthomonas and Stenotrophomonas | |
Parthiban et al. | Structural and functional analysis of de‐N‐acetylase PgaB from periodontopathogen Aggregatibacter actinomycetemcomitans | |
CN115927270B (zh) | 一种金黄色葡萄球菌噬菌体裂解酶及其变体和应用 | |
CN114107271B (zh) | 具有体外裂解活性的耐热耐富营养沙门氏菌宽谱裂解酶及其制备与应用 | |
US7662606B1 (en) | β-agarase isolated from Thalassomonas agarivorans, preparation process and uses thereof | |
JP3536049B2 (ja) | 変異型カナマイシンヌクレオチジルトランスフェラーゼ及びこれを用いた好熱菌のスクリーニング方法 | |
CN112662650B (zh) | 一种噬菌体溶菌酶及其基因与应用 | |
CN114752586B (zh) | 一种褐藻胶裂解酶ALyI1及其应用 | |
JP4604185B2 (ja) | 耐熱性セルロース結合ドメイン | |
CN110305825A (zh) | 展示有机磷酸酸酐酶的枯草芽胞及其制备方法 | |
CN115948371A (zh) | 具有果胶酶活性的蛋白突变体及其应用 | |
CN112724257B (zh) | 具有强杀菌效果的杂合抗菌蛋白及其应用 | |
CN101892252A (zh) | 一种编码溶菌酶的基因及其应用 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20081216 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110329 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110526 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120124 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120217 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120313 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120411 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150420 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |