JP4973483B2 - バルブ及び当該バルブを備えた送液装置 - Google Patents

バルブ及び当該バルブを備えた送液装置 Download PDF

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Description

本発明は、バルブに関し、さらには、送液装置内の流路の液を排出するバルブを備えた送液装置に関する。
図3は、従来の送液装置の一例を示す流路図である。この送液装置は液体クロマトグラフにおいて移動相溶液を送液するものである。送液装置10は、プランジャ11を後退(図上では左側へ動作)させて移動相溶液をポンプ室12内に吸引し、プランジャ11を前進(図上では右側へ動作)させて吸引した移動相溶液を吐出する。ポンプ室12の上流(吸引口)側および下流(吐出口)側には、吸引/吐出動作において逆流を防ぐための逆止弁13が設けられている。
送液装置10から吐出された移動相溶液は、分析流路を経て下流側に送液される。下流側には、試料導入装置20やカラム30、検出器40が設置される。分析対象とする試料が、試料導入装置20から送液装置10から送液される移動相が流れる分析流路に導入され、カラム30で成分ごとに分離され、成分の特性によって異なる信号を発する検出器40によって検出される。一方で、分析流路から分岐した流路には、送液装置10から分析流路へ送液圧力を監視する圧力センサ14、送液の圧力変動を抑制するダンパ15、さらに、ドレインバルブ16が設けられている。ドレインバルブ16は、移動相溶液を交換するときに送液装置10内の溶液の置換をしたり、圧力センサ14が異常圧力を検知したときに圧力を開放する場合に、送液装置10から送液される移動相溶液を分析流路に導かずに排出するために開けられるものであり、普段は閉じられており、袋小路となっている。この流路構成の詳細には、特許文献1に記載されている。
ここで、ドレインバルブ16は、回転操作によって排出流路への連通を開/閉するバルブである。バルブのシャフトの回転軸に沿って描いた断面図を図2(a)に示す。ドレインバルブ16には、分析流路から分岐された流路に接続されるので、そのボディ51には流入口52iと流出口52oを有している。一方、先端に樹脂製の弁体53を備えたシャフト54は、回転操作によりボディ51内部の空間を進退し、これに伴い、シャフト54先端に設けられた弁体53と流入口52iとが離合する構造となっている。また、ドレインバルブ16が開いた時に、シャフト54とボディ51の隙間から液が漏れないように、シャフト54にはリングシール55が設けられている。また、シャフト54を回転操作するためにツマミ56が設けられており、ツマミ56は、シャフト54に穿設されたネジ孔57とネジ58により固定されている。シャフト54への回転操作により、ボディ51の螺子機構60により支持されたシャフト54は進退する。
特開平7−83400号公報
図2(a)に示した構造では、回転操作によりシャフト54が回転するので、シャフト54の回転に追随して先端の弁体53も回転する。したがって、弁体53が回転しながら流入口52iに押し付けられるため、シール性が劣る。弁体53と流入口52が当接した状態からさらに閉める方向に回転操作を行えば、弁体53を流入口52iに対して押し付ける力がかかり、シール性が向上するが、流入口52iと弁体53が摩擦されて弁体53の劣化が進み、弁体53の寿命を縮めることになる。これに対しては、図2(b)に示すように、シャフト54を弁体53を含めたシール部54aとシャフト部54bを別体に作製し、スリップリング59を挟持して構成することが考えられる。この構成により、シール部54aは、シャフト部54bへの回転操作による回転に追随しなくなるので、流入口52iと弁体53との磨耗を抑えることができる。
しかしながら、図2(b)の構成では、廃液流路への流路を開ける操作を行う場合には、シャフト部54bはシール部54aとは反対側(図上では上側)へ移動することになるので、シール部54aにはなんら力を及ぼすことがなく、シール部54aがボディ51内部の空間に取り残されることになり、取り外しに手間がかかる。仮に、送液装置から液を流しても、流入口52iと流出口52oが空間的に連通する程度に弁体53と流入口52iが離れていれば、流入口52iからの液体はほとんどが流出口52oへ流れるので、シール部54aを押し上げてボディ51内部の空間から外れるようなことを期待できない。公差を厳しく管理された部品から構成されるので、作業には慎重を期す必要がある。装置の操作者は、そういった事態になることを恐れて、ドレインバルブ16の保守作業を怠たり、機器異常の発生を引き起こすこととなりうる。
このような事情に鑑みれば、ドレインバルブは、シャフト部とシール部は別体に設け、互いに回転方向には自由度を確保することが好ましく、回転の軸に沿った方向に対する移動においては一定の位置関係を確保することが好ましい。また、複雑な機構を設けることなく、簡単な加工により構成されることが望まれる。
上記課題を解決するためになされた本発明に係るバルブは、孔に当接して前記孔を閉塞する弁体を有するシール部と、回転を与えることで進退し、前記シール部と前記孔を離合させる機構を有するシャフト部とからなり、前記シール部と前記シャフト部とが互いに回転可能に係合される。この構成により、シャフト部とシール部は、互いに回転方向には自由度を確保しつつ、回転の軸に沿った方向に対する移動においては一定の位置関係を確保する。
具体的には次のような構成が望ましい。シャフト部にはバルブの回転軸に沿って貫通孔を設け、貫通孔に係合部材を嵌挿する。そして、係合部材の一端にシール部を固定し、他端をシャフト部に係合させる。具体的には、係合部材をネジとし、シール部が固定される部分をネジ部、シャフト部に係合される部分をネジ頭とする。シャフト部の軸に沿った貫通孔の穿設は一般的な機械加工により可能であり、シール部とシャフト部を回転可能に連結するネジは一般的に入手容易な部品である。
本願発明のバルブによれば、回転操作を与えても、シールが回転しないのでシールの寿命を短くならず、かつ、シャフトの進退のいずれの動作にも追随するので、シール部がボディ内の空間に残ることがない。保守作業に対して過剰な不安を与えることがなくなり、機器の性能を維持し、機器異常の発生を可能性を低減することにつながる。また、複雑な機構や特殊な加工を必要とせず、安価に実現される。ボディは、従来のものと共通でよく、送液装置が吐出した液を導く主流路から分岐した分岐流路に設けられたドレインバルブに、本発明のバルブを備えることが可能である。
以下、図を参照しつつ、本発明に係るバルブについて、詳細に説明する。
図1(a)に示すように、本発明に係るバルブは、シール部64aとシャフト部64bが別体に構成されている。シール部64aは、シャフト部64bの一端にスリップリング69を挟んで連結される。シャフト64bには、貫通孔67が穿設されており、挿入されたネジ(小)71によって、スリップリング69を挟んでシャフト部64bとシール部64aを連結している。シール部64aが連結される側のシャフト部64bの一端は、シール部64aを緩挿するような凹部が形成されても良い。貫通孔67の中心軸は、シャフト部64bの回転軸に合致している。貫通孔67は、内径が異なる孔から形成されているので、シャフト64b内部に段差を有する。ネジ(小)71は、シール部64aに対してはネジ部分で螺合しており、ネジ(小)71とシール部64aとの関係では回転の自由度はない。これに対して、ネジ(小)71とシャフト部64bとはネジ(小)71のネジ頭の部分で係合しているのみであり、互いの回転の自由度が確保される。
シール部64aから見てシャフト部64b側の反対側の端には、ツマミ66が設けられ、摘まんでひねることで、シャフト部64bを回転させる操作を与えるようになっている。シャフト部64bの貫通孔67の一部に螺子山が設けられ、ツマミ66はシャフト部64bに対して、ネジ(大)68で固定されている。
シール部64aの円周には、リングシール65が設けられ、シール部64aとボディ61の間(特に螺子機構70)からの液漏れを防ぐ。バルブを開いた時、流入口62iからリングシール65までの距離は短いほど流入口62iと流出口62oを連通する空間の体積が小さくなるのでよい。
弁体63は、流入口62iより大径であり、弁体63が流入口62iに当接したときは、シール部64aの回転位置に関わらず流入口62iを覆い、押し付けることで封止しうる。弁体63は、樹脂製(例えば、PEEK;poly ether ether ketone)である。流入口62i、弁体63のいずれの中心もシャフト部64bの回転軸に一致させるのが好適であり、製作する上で容易である。
図1(b)にバルブの全体を示す。ボディ61には、流入口62iと流出口62oが設けられ、バルブを開く(弁体63が流入口62iから離れる)ことで流入口62iからボディ61内部の空間に液体が流入し、流出口62oを経て下流側へ流出する。ボディ61に、シール部64aとシャフト部64bをネジ(小)71で連結したシャフトが嵌挿される。ボディ61は、シャフト部64bを螺子機構70によって支持しており、シャフト部64bに対する回転操作によりシャフト部64bが進退する。ここで、本発明に係るバルブは上述のようにバルブが構成されているので、回転操作によりシャフト部64bが進退するとともに、シール部64aもシャフト部64bに対して同じ一定の関係で進退する。かつ、シャフト部64bに対して、シール部64aは自由に回転できるようになっている。
バルブを閉じる(弁体63が流入口62iを封止する)場合は、シャフト部64bへの回転操作により、シャフト部64b及びシール部64aが図の下方向へ進める。シール部64aの先端の弁体63を流入口62iに当接させて、さらにシール部を流入口62iに押し付けるように回転操作をすると、いずれ弁体63と流入口62i側の接触面での回転による摩擦力がシール部64aとシャフト部64bとの(スリップリング69を介しての)接合面での回転による摩擦力より大きくなり、シール部64aの回転はシャフト部64bの回転に追随しなくなる。弁体63がある程度押し潰されると、流入口62iが封止される。なお、これ以上に回転させることは不要である。
バルブを開く場合は、シャフト部64bへの回転操作(上述とは逆回転)により、シャフト部64b及びシール部64aが図の上方向へ退く。最初は、シール部64aはシャフト部64bの回転に追随せず、徐々に力が解放されて摩擦力が弱まってから追随するようになる。退行の際、ネジ(小)71のネジ頭の部分が貫通孔67の段差に係合してシャフト部64bとシール部64aの位置関係が一定に保たれる。したがって、ボディ61からシャフト部64bを完全に抜き去る場合に、シール部64aがボディ61内部に取り残されることはなく、シャフト部64bに伴って外部に取り出される。
シャフト部64bを支持するボディ61の螺子機構70のネジ山のピッチ、弁体の材質や厚み等を勘案し、ツマミ66を摘まんで約90°の回転で開閉を切り替えられるようにすると良い。操作者の“操作する”という感覚や視覚による状態確認の観点から、約90°の回転操作で開閉が完了する、すなわち、流路の開放/封止の切換が完了するのが好ましい。
このように構成されたバルブを、液体クロマトグラフの送液装置からの分析流路から分岐させた流路の末端にドレインバルブとして設けることで、移動相の交換や保守作業等の操作に臆することなく、所望の分析に従事することができる。
上記実施例は本発明の単に一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変更や修正することも可能である。これら変更や修正したものも本発明に包含されることは明らかである。
本発明は、流路の開閉を行うバルブに使用される。液体クロマトグラフにおける送液装置内の液を排出するためのドレインバルブとして最適である。
本発明に係るバルブの構造を示す概略図である。 従来のバルブの構造を示す概略図である。 液体クロマトグラフにおけるドレインバルブの配置を示す概略図である。
符号の説明
10・・・・・・・・送液装置
11・・・・・・・・プランジャ
12・・・・・・・・ポンプ室
13・・・・・・・・逆止弁
14・・・・・・・・圧力センサ
15・・・・・・・・ダンパ
16・・・・・・・・ドレインバルブ
20・・・・・・・・インジェクタ
30・・・・・・・・カラム
40・・・・・・・・検出器
51,61・・・・・ボディ
52i,62i・・・流入口
52o,62o・・・流出口
53,63・・・・・弁体
54・・・・・・・・シャフト
55,65・・・・・リングシール
56,66・・・・・ツマミ
57・・・・・・・・ネジ穴
58,68,71・・ネジ
59,69・・・・・スリップリング
60,70・・・・・螺子機構
64a・・・・・・・シール部
64b・・・・・・・シャフト部
67・・・・・・・・貫通孔

Claims (3)

  1. 孔に当接して前記孔を閉塞する弁体を有するシール部と、
    回転を与えることで進退し、前記シール部の弁体と前記孔を離合させる機構を有するシャフト部とからなり、
    前記シール部と前記シャフト部とが互いに回転可能に係合されたバルブにおいて、
    前記シャフト部は前記回転の軸を中心軸とする貫通孔を有し、
    前記貫通孔に係合部材を嵌挿し、
    前記係合部材の一端を前記シール部に固定し、他端を前記シャフト部に回転可能に係合させてなるバルブ。
  2. 請求項に記載のバルブにおいて、
    前記係合部材はネジであり、前記シール部に固定される部分がネジ部であり、前記シャフト部に係合される部分がネジ頭であるバルブ。
  3. 吸引と吐出を繰り返すことで送液を行う送液装置であって、
    吐出した液を導く主流路から分岐した分岐流路を設け、
    前記分岐流路の末端に請求項1からいずれか1項に記載のバルブを備えた送液装置。
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