JP4972405B2 - 仮想イオントラップ - Google Patents

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Description

本発明は一般に、荷電粒子と、原子、分子、粒子、亜原子粒子、及びイオンに由来する荷電粒子と、の質量対電荷比にしたがって、イオンを貯蔵し、分離し、かつ分析することに関する。さらに詳細には、本発明は、仮想イオントラップを使用して質量分析を実行するための装置であり、その場合に、仮想という態様は、電極を排除し、それによって物理的な障害物を除去して、閉じ込め容積に対するより自由なアクセスをもたらすことを指す。
質量分析法(MS)は、環境試料及び生物試料中の化学元素及び化合物の微量成分水準を同定しかつ定量化するために分析化学者によって使用される最も重要な技法の1つである。したがって、MSは独立した方法として実行可能である。しかし、MSは、ガスクロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ、細管電気泳動、及びイオン移動度分析のような分離技法に結合されるときにより強力になる。
MSでは、イオンが、磁場、電場、及び四重極を含めて、様々な場におけるそれらの質量対電荷比にしたがって分離される。四重極型質量分析器の1つの種類がイオントラップである。イオンを分析するために、イオントラップ質量分析器の幾つかの変型が開発されてきた。これらの装置には、双曲線構成ばかりでなく、ポールトラップ、動的ペニングトラップ、及び動的キンダドントラップが含まれる。これらのすべての装置では、イオンが振動電場によってトラップの中に回収されかつ保持される。振幅、振動数などの振動電場の特性変化、AC又はDC場の重畳、及び他の方法を使用して、イオンの質量対電荷比にしたがってイオンをトラップから検出器に選択的に放出することができる。
質量分析器は主に、使用される質量分析器に基づいて分類される。これらの質量分析器には、扇形磁場及び扇形電場型、イオンサイクロトロン共鳴(ICR)型、四重極型、飛行時間(TOF)型、ならびに高周波(RF)イオントラップ型が含まれる。
これらの質量分析器はそれぞれに、それ自体の利点及び欠点を有する。例えば、扇形計器及びICR計器はそれらの高い質量分解能で知られ、TOFはその速度で知られ、また四重極及びイオントラップはそれらの簡素さ及び小型であることで知られている。ICR計器及び扇形計器は、一般に大型で動作が複雑であり、かつTOFに関する場合と同様に高い真空が必要であり、他方で四重極及びイオントラップはより高い圧力で動作するが、質量解像度の出力はより低い。ほとんどの分析上の問題は比較的低い性能の計器を使用して解消可能である。したがって、かなり低コストの四重極型及びイオントラップ質量分析器が当該産業では広範に使用される。
質量分析器は、分析用のイオンを調製するイオン源、イオンの質量対電荷比にしたがってそれらを分離する分析器、及びデータシステムによって記録しかつ格納するためにイオン信号を増幅する検出器から構成される。
以上で留意したのは、イオントラップ質量分析器の1つの特定的な利点は、一般に他の種類の質量分析器ほど高い真空内部で動作する必要がないことである。実際に、イオントラップ質量分析器の性能は、存在する背景ガスによる衝突減衰効果のために向上し得る。イオントラップ質量分析器は一般に、ミリトールの範囲内にある圧力で最も適切に動作する。
イオントラップが小さくなればなるほど、それだけ実現可能な動作圧が高くなることも分かっている。これは、イオントラップの大きさ、電子機器、及び電力要件が小さくなるばかりでなく、必須の真空ポンプも小型化するので、可搬用及び手持ち用計器には重要な利点である。
可搬及び手持ち用途にイオントラップ質量分析器を小型化することにかなりの関心が向けられたことにも留意することが重要である。都合の悪いことに、イオントラップの小型化に関する大きな問題は、適切なイオントラップ解像度を維持しようとする一方で、小さなサイズでは機械加工の公差が限界に近づくことである。小型のイオントラップの1つの実施形態が、米国オークリッジ国立研究所(Oak Ridge)の研究グループによって報告された。その装置は、基本的には円筒イオントラップを小型化したものであり、実質的な構造は変更されていないが、サイズだけが変更されている。
トラップ内部の粒子の空間電荷斥力の問題のために、小型のイオントラップを扱うとき、イオンを閉じこめる容量がもう1つの問題であることにも留意される。
したがって、要望されているものは、MSの解像度を損なうことなく容易に小型化し、閉込め容積に対するアクセスを容易にし、閉込め容積内部の空間を最大化し、かつ先行技術の機械加工技術よりも容易に製造公差に適合し得るイオントラップである。
本発明の1つの目的は、閉込め容積に対するアクセスを容易にする仮想イオントラップを提供することである。
別の目的は、既存の機械加工技術よりも容易に製造可能な仮想イオントラップを提供することである。
別の目的は、MSの解像度を犠牲にすることなく小型化が可能な仮想イオントラップを提供することである。
1つの好ましい実施形態では、本発明は、閉込め容積を通常包囲する機械加工された金属電極の代わりに収束電場を使用する仮想イオントラップであり、2枚の対向する板が複数の独特に設計されかつ被覆された電極を含み、さらにこれらの電極は、既存の機械加工技術よりも遙かに高い公差に適合させ得る光リソグラフィ技術を使用して2枚の対向する板の上に配置可能である。
本発明の第1の態様では、電場を生成する複数の電極が2枚の対向する板の上に配置され、それによって閉込め容積を創出する。
本発明の第2の態様では、閉込め場が、複数の電極に印加された電圧を変え、電極の数を変え、電極の方向付(配向、オリエンテーション)を変え、かつ電極の形状を変えることによって変更可能である。
本発明の第3の態様では、複数の閉込め容積が、上で説明した複数の電極を使用して単一のイオントラップ内部に創出可能である。
本発明の第4の態様では、大規模並列処理又は直列処理の仮想イオントラップアレイが創出可能である。
本発明の第5の態様では、仮想イオントラップは、閉込め容積を創出するために生成される電位場線における不完全部を電子的に補正可能である。
本発明のこれら及び他の目的、特徴、利点、及び別法による態様は、添付の図面と組み合わせて採用した以下の詳細な説明を検討することによって当業者には明白になろう。
ここで、本発明の様々な要素に参照符号が付けられ、さらに当業者が本発明を作製しかつ使用できるように本発明を論じる図面を参照する。以下の説明は、本発明の原理の例示に過ぎず、添付の特許請求の範囲を狭めるものと見なすべきではないことを理解されたい。
本発明の説明の冒頭で幾つかの重要な問題を理解することが肝要である。最初に、単一の好ましい実施形態が存在するのではなく、異なる利点を有する様々な実施形態が存在することを理解すべきである。それらが説明される順番によって最良の実施形態に関するものであるという想定が示唆されるべきものではない。
第2に、本発明は、荷電粒子と、原子、分子、粒子、亜原子粒子、及びイオンに由来する荷電粒子と、を包含する様々な粒子の閉込め、分離、及び分析を実行するために典型的に用いられる質量分析器と組み合わせて典型的に使用される仮想イオントラップである。簡略にするために、これらの粒子のすべてが本文書を通してイオンと呼ばれる。
本発明は、最初にその機能の観点から説明することができる。特に、本発明は、質量分析器で使用するためのイオントラップであるが、閉じ込められたイオンを包囲する機械加工した金属電極を使用するのではなく、収束電場が、概ね平面的で、平行であり、かつ対向する表面上に配置された電極から生成される。したがって「仮想(バーチャル)」という用語は、電極の閉込め壁が、収束電場によって創出された「仮想」壁によって置き換えられることをいう。
したがって詳細な説明は、当業者には周知のもっとよく知られたイオントラップの幾つかを簡単に説明することから始める。先行技術の典型的なイオントラップの斜視図である図1を検討されたい。この先行技術のイオントラップ10は、金属リング状電極12及び2つの金属エンドキャップ14から構成される。金属リング状電極12は、赤道付近に中心が位置する。イオントラップのより単純化された形状が、中実の平坦な又は格子状のエンドキャップを備え、それによって円筒形のイオントラップを形成する単純な円筒リング状電極のような先行技術において見られる。トラップの別の形態は、線形イオントラップである。この閉込め場は、中心軸回りに配置された4本以上の中実の金属棒を使用し、静電性エンドキャップをこれらの棒のそれぞれの端部に配置して形成される。ドーナツ型イオントラップ及び環状線形トラップは、線形四重極に類似しているが、電極棒が環状に湾曲している。このような構成は、エンドキャップの必要性を排除する。イオンは、4つの環状棒の間の環状空間の内部に閉じ込められる。当業者に知られている他のイオントラップには、とりわけRF及びDCキングドントラップ、DCオービトロン、ならびにDC線形トラップが含まれる。DC場のみに基づくトラップは、イオンが、かなりの運動エネルギー及び確定軌道を有することが必要であることに留意される。DCのみに基づくトラップは、緩衝ガス(すなわち、低い真空)がイオンの軌道を減衰させるので緩衝ガスの存在下では動作しない。
先行技術から理解すべき重要なことは、閉込め容積を創出するために使用された電極が、これらの電極自体によって、イオントラップに流入しかつそこから放出されるイオン、光子、電子、粒子、及び原子又は分子ガスの流れに対する実質的な障壁を創出していることである。
図2は、本発明の原理にしたがって作製される仮想イオントラップ20の典型であるが、必ずしも最も簡素であるとは言えない形態として提示されている。しかし、この第1の実施形態の縁部を示す図は、以下に説明すべき本発明のすべての実施形態に共通する本発明の幾つかの重要な原理を示す。
第1に、線形RF四重極及び他の先行技術によるイオントラップの幾つかの中実の物理的な電極表面が、仮想電極のために排除されている。仮想電極は、これらの対向面22の上に、このような電極が置き換わる中実の物理的表面と同様の定電位表面を作成する一連の1つ又は複数の電極を配置することによって形成される。
第2に、対向面22は、相互に鏡像であるように位置合わせされる。
第3に、対向面22は、相互に実質的に平行である。
第4に、対向面22は、実質的に平面である。しかし、対向面22は幾つかの弓状構造を含むように変更できることに言及しておく。しかし、対向面22が有し得る任意の弓状構造に関しては、これらの対向面を概ね対称的にして対向面が望ましい閉込め容積を創出し易くすることによって、最適な結果が維持されることになる。
ここで、図1の第1の実施形態の具体的な特徴を以下に説明する。内側の対向する面22は、それらに振動電場が印加されている。振動電場の印加は、上述のすべてのイオントラップに共通する。外側面24には、この場合では共通のグラウンド(接地)である共通の電位が印加されている。しかし、図3及び4は他の幾つかの重要な特徴を示す。
図3は、両方の内側面22に、円形模様26の格子が被覆されずに残るように導電材料が独特な模様で被覆されていることを示す。円形模様26のそれぞれの中心は、その模様を貫通して外側面24に達するように配置された孔28を有する。外側面24及び被覆されていない円形模様26の中心を貫通して配置された孔も、内側面22上の導電材料から電気絶縁される導電材料によって被覆されている。
対向面23のそれぞれの上の円形模様26の格子は、相互に対面するように配置されるばかりでなく、円形模様も同心に位置合わせされることにも留意される。
さらには被覆物にも注目する必要がある。本発明で使用される「被覆物」と言う用語は、電極又は基板の選択部分に非常に特有な電気特性を与えるために基板上に配置可能な導電材料、非導電又は絶縁材料、及び半導性材料を指す。例えば、これらの被覆物は、電位場線を創出して閉込め容積を作成するように基板上に配置される電極として実際に機能し得る。
本実施形態では円形模様26の格子が使用されているが、別法として、これらの模様は正方形などの他の望ましい形状であり得る。
交番又は振動電場が仮想イオントラップ20の2つの内側面22に印加され、かつ外側面24及び孔28に定電位が印加されるとき、それぞれの円形模様26及びそれに対向する円形模様26が、イオンを内部に保持できる閉込め電場を創出する。
図2、図3、及び図4に示した実施形態では、閉じ込められたイオンが、対向面22の間で円形模様26のそれぞれの中心に向かって収束される。対向面22間に徐々に増加する電位差を印加し、イオンをそれらの質量対電荷比にしたがってトラップの一方側又は他方側から選択的に放出する動的に変化する電場を創出することができる。
本発明の仮想イオントラップは、イオントラップの最新技術に対して幾つかの際だった重要な優位点を有する。本発明の最も重要な態様の1つは、対向面上に配置される電極を構成するために利用可能な高い精度である。最新技術は機械加工された金属電極に依存する。機械加工された金属部品を使用して実現可能な公差は、光リソグラフィを使用して実現可能な公差よりも実質的に劣る。
光リソグラフィ又は任意の他のめっき技術を使用して、仮想イオントラップの対向面上に導電トレース、すなわち電極を配置することができる。明白なことであるが、光リソグラフィなどのめっき技術は、機械加工された金属部品に較べて非常に高い精度が可能である。例えば、図2、図3、及び図4の対向面22は、チップ製造産業で使用されているようなシリコンウェハ上に構成可能である。明白なことであるが、チップ製造の当業者に知られたトレースのサイズの精度及び微小化における進歩のために非常に高い精度が可能である。
本発明の他の際だった利点には、限定するものではないが、製造の容易さ、低費用、小型化、及び大量再生産性が含まれる。
図5は、本発明の別の実施形態の斜視図である。図5は、仮想イオントラップ20の円形対向面22が、ここでは仮想イオントラップ30において矩形32の形状を有する。ここでは電極34が矩形対向面32の対向縁36及び38に隣接して配置される。矩形対向面32上の電極34間の間隔域40は抵抗材料である。したがって、振動電場が電極34に印加され、他方で一定の又は共通モードの電池電圧が外側の矩形面42に印加される。
別法として、振動電場が外側矩形面42に印加可能であり、その場合には共通モード電位が電極34に印加される。
図6は、仮想イオントラップ30の横から見た側面図である。電極34の位置に留意されたい。電位場線44が、仮想イオントラップ30の中心に示されている。これらの電位場線44は一部が示されているに過ぎず、相互及び矩形対向面32に対する電位場線の方向付を例示する。
本発明の別の重要な利点は、本発明によって生成されている電位場線をさらに整形できることである。シミングとは、本発明の仮想イオントラップを形成している表面、板、円筒、及び他の構造の端部に追加的な電極を巧みに配置する過程である。電位場線を変更するために、追加的な電極が付け加えられる。これらの追加的な電極に電位を印加することによって、このような線を実質的に真っ直ぐにしたり、又は相互に実質的に平行にしたりすることが可能である。このような作用は、電位場線がイオンに対して及ぼす影響のために本発明の性能向上をもたらす。
しかし、シミングの作用は電位場線を真っ直ぐにすることに限定されない。「理想的な」電位場断面が真っ直ぐでもまた平行でもない線を有してもよい場合がある。したがって、シミングは、任意の個別応用例のために、たとえその応用例に弓状の電位場線が必要であっても、「理想的な」電位場断面を創出するように実行可能である。
図5及び図6の実施形態では、シミング電極が2カ所以上に追加可能であることが分かる。例えば、シミング電極は、対向縁36と38との間に延在する垂直の電極として追加可能である。別法として、シミング電極は、閉込め容積を創出する望ましい電位場線を生成する電極34に隣接して配置可能である。他の別法による実施形態では、電極34が、矩形対向面32の端部付近の電極の一部から電気的に絶縁されるように切断されることさえ可能である。
図7は、電位場線44をより完全に例示する1つの実施形態としてのみ提示されている。間隙46が完全に開放されていることに留意されたい。この間隙46は、イオンを放出するために仮想イオントラップ30が完全に透明(透過性)であることを可能にし、それによってより高い検出効率につながる。さらには、仮想イオントラップ30は、光ビームが仮想イオントラップを透過して閉込め容積に達することを可能にし、それによって励起、イオン化、断片化、又は他の光化学的もしくは分光器による過程を可能にする。
図7とは異なり、図8は、最新技術のイオントラップ50の内部で生成可能な電位場線52を全く同じように例示する図である。しかし、閉込め容積に対するアクセスは、電極又は壁構造54によって完全に遮蔽されている。したがって、壁構造54を貫通する幾つかの小さい孔を介して、又はエンドキャップ(図示せず)中の貫通部を介してのみアクセスが可能であるに過ぎない。
図9は、平面開放型の貯蔵リング状イオントラップ60の斜視図である。別法による1つの実施形態では、この貯蔵リング状構成は、中心軸を貫通する孔のない中実の円板によって置き換え可能である。電極は同じ箇所に配置される。
図10は、図9の平面開放型の貯蔵リング状イオントラップ60の斜視断面図である。中心軸68回りに同軸配置された中心孔64に隣接し、かつ外側縁66に隣接して配置される電極62に留意されたい。
図11は、電位場線69の少なくとも一部を例示する、図9及び図10の平面開放型の貯蔵リング状イオントラップ60の断面図の例示である。
図12は、円筒形イオントラップ70の斜視断面図である。電極72が縁76に隣接して配置され、かつ中心軸74回りに同軸配置されていることに留意されたい。
図13は、電位場線78の少なくとも一部を例示する、円筒形イオントラップ70の断面立面図である。
図14は、板82及び円筒84による仮想イオントラップ80の斜視図である。
図15は、図14に示した板及び円筒による仮想イオントラップ80の斜視断面図である。電極86が、円筒84の内側にかつ板82との連結部に隣接して配置されていることに留意されたい。板82の内側でかつその上に配置され、さらに円筒84との連結部に隣接して配置された電極88にも留意されたい。
図16は、板及び円筒による仮想イオントラップ80内部に存在する電位場線90を例示するために提示されている。本発明の別法による1つの実施形態、すなわち図16の図形は、このページから外向きに延長し得ることに留意される。換言すれば、イオントラップは、図示の壁82及び84の線形延長部であり得る。
図17は、円筒形の仮想イオントラップ100を示す斜視透視図であり、この図では外部円筒102及び内部円筒104が、離間されかつそれらの外周回りに配置された複数の電極106を有する。
仮想イオントラップを作製するために使用可能な他の幾つかの材料には鉛ガラス半導体が含まれる。鉛ガラス半導体は、研磨又は処理し、それによって導電領域を創出することが可能であり、かつ研磨又は処理せずに抵抗領域を残すことが可能である。
電子技術分野で一般的に通常使用される回路基板も検討されたい。表面側には、その上に複数の電極が電気トレースとして配置可能である。孔を使用して回路基板の裏側上の抵抗を介して電極を電気的に接続することができる。
以上に説明した配置は、本発明の原理の応用を例示するに過ぎないことを理解すべきである。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、数多くの変型及び別法による配置が当業者によって案出可能である。添付の特許請求の範囲は、このような変型及び配置を網羅しようとするものである。
当業者に知られている先行技術のイオントラップを示す斜視図である。 本発明の原理にしたがって作製される第1の実施形態を示す縁部図である。 第1の実施形態の2つの平行な対向表面の一方の内側面を示す側面図である。 第1の実施形態の2つの平行な対向表面の一方の外側面を示す側面図である。 図2の仮想イオントラップの円形対向面がここでは矩形の形状を成す、本発明の別の実施形態を示す斜視図である。 図5の仮想イオントラップを示す縁を向けた側面図である。 第1の実施形態に存在する電位場線をより完全に例示する一実施形態を示す図である。 最新技術のイオントラップ内部で生成され得る電位場線を全く同様に例示する図である。 平面開放型の貯蔵リング状イオントラップを示す斜視図である。 図9の平面開放型の貯蔵リング状イオントラップを示す斜視断面図である。 電位場線の少なくとも一部を例示する、図9及び10の平面開放型の貯蔵リング状イオントラップを示す断面図である。 円筒形イオントラップを示す斜視断面図である。 電位場線の少なくとも一部を例示する、図12の円筒形イオントラップを示す断面立面図である。 板82及び円筒84による仮想イオントラップを示す斜視図である。 図14に示した板及び円筒による仮想イオントラップを示す斜視断面図である。 図15の板及び円筒による仮想イオントラップ内部に存在する電位場線を例示するために提示されている図である。 円筒形の仮想イオントラップを示す斜視透視図である。

Claims (43)

  1. 仮想イオントラップの少なくとも1つの閉込め容積に対して、イオンのアクセスを提供する方法であって、前記方法は、
    (1)対向面を有するように方向付られる、ほぼ同サイズの少なくとも2つの実質的に平行な表面を設ける工程と、
    (2)前記2つの実質的に平行な表面の前記対向面の上に、複数の電極を配置する工程と、
    (3)前記複数の電極を使用して複数の収束電場を生成する工程であって、それによって前記対向面の間の少なくとも1つの閉込め容積の中に、イオンを閉じ込めており、前記2つの実質的に平行な表面の間に、電極又は他の構造が存在しないことによって、前記少なくとも1つの閉込め容積に対して、イオンのアクセスを可能する、複数の収束電場を生成する工程とを含む、方法。
  2. 前記方法は、めっき技術を使用して、前記2つの実質的に平行な板の上に、前記複数の電極を配置する工程をさらに含み、それによって前記複数の電極を創出する際に高い精度を実現する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記めっき技術は、光リソグラフィ、導電材料のためのめっき技術、絶縁材料のためのめっき技術、及び半導性材料のためのめっき技術、から構成されるめっき技術の群から選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記複数の収束電場を生成する工程は、選択された電圧を前記複数の電極に印加する方法、前記複数の電極の数を変更する方法、前記複数の電極の方向付を変更する方法、前記複数の電極の形状を変更する方法、及び上記の前記方法の任意の組合せから構成される方法、の群から方法を選択することによって実行される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記方法は、前記2つの実質的に平行な板の間に、複数の閉込め容積を創出する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記複数の閉込め容積を創出する工程は、選択された電圧を前記複数の電極に印加する方法、前記複数の電極の数を変更する方法、前記複数の電極の方向付を変更する方法、前記複数の電極の形状を変更する方法、及び前記方法、の任意の組合せから構成される方法の群から方法を選択することによって実行される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記方法は、前記少なくとも2つの実質的に平行な表面に、導電材料、又は絶縁材料、又は半導性材料を被覆することによって、前記複数の電極を前記少なくとも2つの実質的に平行な表面上に配置する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記2つの実質的に平行な表面上に配置される前記複数の電極を有する、前記2つの実質的に平行な表面を設ける工程は、仮想電位表面を生成する工程をさらに含み、それによって物理的表面に取って換わる、請求項1に記載の方法。
  9. 前記2つの実質的に平行な表面を設ける工程は、共通の、点又は線又は面に対して、少なくとも一部が弓状である2つの実質的に平行な板を設ける工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記2つの実質的に平行な表面を設ける工程はさらに、
    (1)前記少なくとも2つの実質的に平行な表面として、2つの対向する円板を設ける工程であって、前記2つの対向する円板のそれぞれがこれらを貫く孔を有し、前記孔は前記円板の中心軸に中心が位置しており、さらに円筒が、それぞれの円板に結合されかつ前記中心軸に中心が同軸で位置しており、さらにそれぞれの孔の縁部が連結継ぎ目でそれぞれの円筒の縁部に接する、2つの対向する円板を設ける工程と、
    (2)前記2つの対向する円板のそれぞれの上で、かつ前記連結継ぎ目に隣接して、第1の円形電極を配置する工程と、
    (3)前記連結継ぎ目に隣接する前記2つの円筒のそれぞれの上に、第2の円形電極を配置する工程であって、前記第1の電極及び前記第2の電極は相互から電気絶縁される、第2の円形電極を配置する工程とを含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記方法はさらに、
    (1)2つの同一の四辺形として、前記2つの実質的に平行な表面を設ける工程であって、第1の直線的な電極が、相互に対向しかつ前記2つの同一の四辺形の第1の縁部に隣接して配置される、前記2つの実質的に平行な表面を設ける工程を含んでおり、
    (2)第2の直線的な電極が、相互に対向しかつ前記2つの同一の四辺形の第2の縁部に隣接して配置される、請求項1に記載の方法。
  12. 前記方法は、前記2つの実質的に平行な板の上に、複数のシミング電極を配置する工程をさらに含み、前記シミング電極は、前記仮想イオントラップの電位場線を変更するために配置される、請求項1に記載の方法。
  13. 前記方法は、前記複数のシミング電極を前記2つの実質的に平行な板の縁部に隣接して配置する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記方法は、前記第1の直線的な電極に使用される前記電極に対して垂直に、前記複数のシミング電極を配置する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
  15. 前記方法は、導電性又は半導性材料から前記シミング電極を創出する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
  16. 前記方法は、
    (1)2つの同一の同軸配置された円板として、前記2つの実質的に平行な表面を設ける工程をさらに含んでおり、
    (2)第1の電極が、相互に対向し、中心軸に隣接しかつ前記中心軸の周りに中心が位置するように配置されており、
    (3)第2の電極が、相互に対向し、前記2つの実質的に平行な円板の外周に隣接し、かつ前記外周の周りに中心が位置する、請求項1に記載の方法。
  17. 前記方法は、前記2つの実質的に平行な表面の中心軸を貫通する孔を配置する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記方法はさらに、
    (1)前記実質的に平行な板として、2つの対向する半円の円板を設ける工程であって、前記2つの対向する円板のそれぞれは、そこから切り取られた半円の孔を有し、当該半円の孔は、前記半円の円板の回転軸の周りに中心が位置しており、さらに半円筒がそれぞれの円板に結合されかつ前記回転軸に中心が同軸で位置しており、さらにそれぞれの半円の孔の縁部が連結箇所でそれぞれの半円筒の縁部に接する、2つの対向する半円の円板を設ける工程と、
    (2)前記2つの対向する半円の円板のそれぞれの上で、かつ前記連結箇所に隣接して、第1の半円電極を配置する工程と、
    (3)前記連結箇所に隣接する前記2つの半円筒のそれぞれの上に、第2の半円電極を配置する工程であって、前記第1電極及び前記第2電極は相互に電気絶縁される、第2の半円電極を配置する工程とを備える、請求項1に記載の方法。
  19. 前記方法はさらに、
    (1)前記対向面の上に、複数の模様を配置する工程であって、前記複数の円形模様は抵抗被覆を有する、複数の模様を配置する工程と、
    (2)前記複数の模様のそれぞれの中心軸を貫通して、孔を配置する工程と、
    (3)前記対向面の前記複数の模様が存在しない箇所をいずれも導電材料によって被覆する工程とを含むが、前記対向面が前記孔から電気絶縁される、請求項1に記載の方法。
  20. 前記方法は、円及び正方形から構成される模様の群から、前記模様を選択する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記方法は、前記2つの実質的に平行な表面のそれぞれの導電性の裏面に、前記孔を電気的に結合する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
  22. 質量分析器中の仮想のイオントラップのサイズを縮小する方法であって、前記方法は、
    (1)少なくとも2つの実質的に平行な表面を設ける工程と、
    (2)めっき技術を使用して、前記少なくとも2つの実質的に平行な表面の上に、複数の電極を配置する工程であって、それによって、機械加工技術によって実現可能であるよりも、前記複数の電極の物理的特徴に対して、高い精度の制御を実現する、複数の電極を配置する工程とを含む、方法。
  23. 前記方法は、前記複数の電極を使用して複数の収束電場を生成する工程であって、それによって少なくとも1つの閉込め容積の中にイオンを閉じ込める、複数の収束電場を生成する工程をさらに含んでおり、前記少なくとも2つの実質的に平行な表面の間に、電極又は他の構造が存在しないことによって、前記少なくとも1つの閉込め容積に対して、イオンのアクセスを可能とする、請求項22に記載の方法。
  24. 少なくとも1つの閉込め容積に対して、イオンのアクセスの増加を提供する仮想イオントラップであって、前記システムは、
    対向面を有するように方向付られる、ほぼ同サイズの少なくとも2つの実質的に平行な表面と、
    前記少なくとも2つの実質的に平行な表面の上に配置される複数の電極であって、複数の収束電場が前記複数の電極によって生成され、それによって少なくとも1つの閉込め容積の中にイオンを閉じ込めており、さらに前記少なくとも2つの実質的に平行な表面の間に、電極又は他の構造が存在しないことによって、前記少なくとも1つの閉込め容積に対して、イオンのアクセスを可能とする、複数の電極とを含む、仮想イオントラップ。
  25. 前記仮想イオントラップは、前記複数の収束電場を生成する手段からさらに構成され、前記収束電場を生成する手段は、選択された電圧を前記複数の電極に印加し、それによって前記少なくとも1つの閉込め容積を創出する、請求項24に記載の仮想イオントラップ。
  26. 前記仮想イオントラップは、前記少なくとも2つの実質的に平行な表面の間に配置された複数の閉込め容積からさらに構成される、請求項24に記載の仮想イオントラップ。
  27. 前記複数の閉込め容積は、前記仮想イオントラップの物理的特徴を変更することによって創出されており、前記物理的特徴は、前記複数の電極の合計数、前記複数の電極の方向付、前記複数の電極の形状、及び上述の前記変更可能な特徴の任意の組合せ、から構成される変更可能な特徴の群から選択される、請求項26に記載の仮想イオントラップ。
  28. 前記仮想イオントラップは、前記少なくとも2つの実質的に平行な表面の上に配置された被覆物からさらに構成されており、前記被覆物は、導電材料又は絶縁材料又は半導性材料である、請求項24に記載の仮想イオントラップ。
  29. 前記仮想イオントラップは仮想電位表面からさらに構成されており、前記仮想電位表面は物理的な表面に取って換わる、請求項24に記載の仮想イオントラップ。
  30. 前記仮想イオントラップは、共通の、点又は線又は面に対して、少なくとも一部が弓状である2つの実質的に平行な板からさらに構成される、請求項24に記載の仮想イオントラップ。
  31. 前記仮想イオントラップはさらに、
    前記少なくとも2つの実質的に平行な表面としての2つの対向する円板であって、前記2つの対向する円板のそれぞれはこれらを貫く孔を有しており、前記孔は前記円板の中心軸に中心が位置しており、さらに円筒がぞれぞれの円板に結合されかつ前記中心軸に中心が同軸で位置しており、さらにそれぞれの孔の縁部が連結継ぎ目でそれぞれの円筒の縁部と接する、2つの対向する円板と、
    前記2つの対向する円板のそれぞれの上で、かつ前記連結継ぎ目に隣接して配置される、第1の円形電極と、
    前記2つの円筒のそれぞれの上で、かつ前記連結継ぎ目に隣接して配置される、第2の円形電極であって、前記第1の電極及び前記第2の電極は相互に電気絶縁される、第2の円形電極とを含む、請求項24に記載の仮想イオントラップ。
  32. 前記仮想イオントラップは、前記少なくとも2つの実質的に平行な表面の上に配置された複数のシミング電極からさらに構成されており、前記シミング電極は、前記仮想イオントラップの電位場線を変更するために、前記少なくとも2つの実質的に平行な表面上に配置される、請求項24に記載の仮想イオントラップ。
  33. 前記複数のシミング電極は、前記少なくとも2つの実質的に平行な表面の縁部に隣接して配置される、請求項32に記載の仮想イオントラップ。
  34. 前記仮想イオントラップは、
    2つの同一の同軸配置された円板であって、それぞれが前記円板の中心軸を貫通して配置された孔を有する、円板と、
    相互に対向し、前記孔に隣接し、かつ前記孔の周りに中心が位置する、2つの第1の電極と、
    相互に対向し、前記2つの実質的に平行な円板の外周に隣接し、かつ前記外周の周りに中心が位置するように配置される、2つの第2の電極とからさらに構成される、請求項24に記載の仮想イオントラップ。
  35. 前記仮想イオントラップはさらに、
    前記実質的に平行な板としての2つの対向する半円の円板であって、前記2つの対向する円板のそれぞれは、そこから切り取られた半円の孔を有し、当該半円の孔は、前記半円の円板の回転軸まわりに中心が位置しており、さらに半円筒がそれぞれの円板に結合されかつ前記回転軸に中心が同軸で位置しており、さらにそれぞれの半円の孔の縁部が連結箇所でそれぞれの半円筒の縁部に接する、2つの対向する半円の円板と、
    前記2つの対向する半円の円板のそれぞれの上にかつ前記結合箇所に隣接して配置される、第1の半円電極と、
    前記結合箇所に隣接する前記2つの半円筒のそれぞれの上に配置される、第2の半円電極であって、前記第1の電極及び前記第2の電極は相互に電気絶縁される、第2の半円電極とを含む、請求項27に記載の仮想イオントラップ。
  36. 質量分析器で使用するための仮想イオントラップであって、前記仮想イオントラップは、
    対向面を有する少なくとも2つの実質的に平行な表面と、
    前記2つの対向面の上に配置される複数の電極であって、めっき技術を使用し、それによって、機械加工技術によって実現可能であるよりも、前記複数の電極の物理的特徴に対して、高い精度の制御を実現する、複数の電極とを含む、仮想イオントラップ。
  37. 前記仮想イオントラップは複数の電極からさらに構成されており、前記複数の電極は複数の収束電場を生成し、それによって少なくとも1つの閉込め容積の中にイオンを閉じ込めており、前記2つの実質的に平行な表面の間に、電極又は他の構造が存在しないことによって、前記少なくとも1つの閉込め容積に対して、イオンのアクセスを可能とする、請求項36に記載の仮想イオントラップ。
  38. 内部に配置された少なくとも1つの閉込め容積に対して、イオンのアクセスを提供する、仮想イオントラップを製造する方法であって、前記方法は、
    (1)対向面を有するように方向付られる、ほぼ同サイズの少なくとも2つの実質的に平行な表面を設ける工程と、
    (2)複数の電極の位置決め及び厚みにおける高い精度を利用可能にする光リソグラフィ技術を使用して、前記2つの実質的に平行な表面の前記対向面の上に、前記複数の電極を配置する工程とを含む、方法。
  39. 前記方法は、前記複数の電極を使用して複数の収束電場を生成する工程をさらに含み、それによって、前記対向面の間の少なくとも1つの閉込め容積の中に、イオンを閉じ込めており、前記2つの実質的に平行な表面の間に、電極又は他の構造が存在しないことによって、前記少なくとも1つの閉込め容積に対して、イオンのアクセスを可能とする、請求項38に記載の方法。
  40. 前記複数の収束電場を生成する工程は、選択された電圧を前記複数の電極に印加する方法、前記複数の電極の数を変更する方法、前記複数の電極の方向付を変更する方法、前記複数の電極の形状を変更する方法、及び上記の前記方法の任意の組合せ、から構成される方法の群から方法を選択することによって実行される、請求項39に記載の方法。
  41. 前記方法は、前記2つの実質的に平行な表面の間に、複数の閉込め容積を創出する工程をさらに含む、請求項38に記載の方法。
  42. 前記複数の閉込め容積を創出する工程は、選択された電圧を前記複数の電極に印加する方法、前記複数の電極の数を変更する方法、前記複数の電極の方向付を変更する方法、前記複数の電極の形状を変更する方法、及び前記方法の任意の組合せから構成される方法、の群から方法を選択することによって実行される、請求項41に記載の方法。
  43. 前記2つの実質的に平行な表面上に前記複数の電極が配置される、前記2つの実質的に平行な表面を設ける工程は、仮想電位表面を生成する工程をさらに含み、それによって物理的な表面に取って換わる、請求項38に記載の方法。
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