JP4972351B2 - 建物の建て替え方法 - Google Patents

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Description

この発明は、建て替えのために解体撤去を予定する既存建物を、ひとまず空き地となっている場所へ移動させ(曳き家する)、移動後の場所においてそのまま(居ながら)従前の用途に供せしめつつ、既存建物が去った跡地に(同じ場所に)新設建物の建築を行い、もってプレハブ等の仮設建物の建設や仮設建物へ仮住まいすることの不便、或いは二度にわたる引っ越しのための時間的、経済的および労力の負担などを排することが可能な建物の建て替え方法の技術分野に属する。
従来、建物の建て替え計画として、新築建物を既存建物とは別異の場所へ建設できる場合は、プレハブ等の仮設建物の用意(仮設)は無用である。しかし、敷地にそうした余裕がない条件下では様々な工夫が要求され、そのために種々な建て替え方法の提案が行われている。
例えば下記の特許文献1に開示された建物の移動工法は、建物を、日常生活を続ける状態を継続しながら移動させる工法である。日数を要する移動期間中に、傾斜の影響を受けて箪笥など生活に必要な家具が倒れたり、家具の中の食器類が散乱し壊れる対策として、通例は曳き家の前に屋外へ持ち出しておくとかする。そのため建物内での日常生活は営めず、借家住まいを余儀なくされる住人の負担、不便を解消した移動工法と説明されている。建物に負担を与えず、家具などの生活用品を屋外へ運び出すことなく、したがって、通常の生活を営なむことが可能な状態で建物を移動できる工法が開示されている。
下記の特許文献2に開示された建物の建て替え工法は、比較的小規模な工場建屋である既設建物の外側を跨ぐように、より大きな新設建物を先行して施工し、建築の期間中は既設建物を工場として操業を中止することもなく供用を可能ならしめ、新設建物の完成後に既設建物を解体撤去する建て替え工法が開示されている。
下記の特許文献3に開示された免震化方法は、既存建物を免震化するにあたり、法律的な不的確状態の解消、および曳き家を行う場合に適用される方法である。曳き家と免震化という別工程の実施を、作業に要する装置の省力化を図り、施工効率の向上を図り、安全、確実に実施できる方法および機構が開示されている。
下記の特許文献4に開示された建て替え工法は、工場等に使用される平屋の既存建築物を解体し新築建物を建築する場合に、平屋の既存建築物を稼働させつつ、その上を跨ぐ仮設屋根を既存の柱を利用して構築し、更に新設の基礎、柱、梁を構築して増築工事を行った後に、既存建物の無用となった柱や基礎を解体撤去して増改築の目的を達する建て替え工法が提案されている。
下記の特許文献5に開示された建て替え工法は、やはり既存建物を覆う形の新築建物を構築し、この新築建物に既存建物の機能物品を移転させた後に、既存建物を解体撤去し、撤去した建物跡に新築構造を構築し、上階にも新築構造を構築して建て替え建物を完成する方法が開示されている。
下記の特許文献6に開示された曳き家方法は、免震構造物を隣接建物から引き離すための曳き家方法である。複数ある免震用積層ゴムのうちから選択した幾つか積層ゴムの上端を構造物に固定したままその下端を、又は逆に積層ゴムの下端を下部基礎に固定したままその上端を水平方向に移動させ、当該積層ゴムを変形させて移動した位置へ固定し、その間の変形により復元力を発生させる。次には残余の免震用積層ゴムについて同様な操作を行うと、前記の復元力の作用により免震構造物を移動させる方法と説明されている。
特開平6−81489号公報(特許第2044295号) 特開平7−229206号公報 特開2001−123672号公報 特開平3−84168号公報 特開2005−76209号公報 特開2005−290809号公報
上記特許文献1の方法は、いわゆる戸建て住宅の曳き家工法に関する技術を開示した内容でしかない。
上記特許文献2、4、5の建て替え工法は、工場等に使用される比較的小規模な、あるいは平屋の既存建築物を解体して新築建物を建築する場合に、既存建築物を稼働させつつ供用を可能ならしめ、新設建物の完成後に既設建物を解体し撤去する建て替え工法に関するものであるから、既存建築物の規模や構造に制約条件が課されるという問題点がある。
上記特許文献3は、そもそもの目的が曳き家と免震化という別工程の実施に要する装置の省力化を図り、施工効率の向上を図り、安全、確実に実施できる方法および機構を提案するもので、建物の建て替え工法とは縁遠い内容である。
特許文献6に開示された曳き家方法は、免震構造物を隣接建物から引き離すための曳き家方法としては一案と認めるが、そもそも安全、確実に実施できるであろうかとの懸念がある。また、建物を最初の位置から5cm以上、例えば10cm程度の移動(同公報の段落番号[0009]の20行〜23行目)を目的とする曳き家であるから、そもそも本願発明のように、既存建物を、その跡地に新設建物を建設できるほどの距離を移動させる建て替え方法の実施には全く適合しない内容である。
その他の建て替え方法について一般論でいえば、既存建物とは別異の位置へ新設建物の建て替えが行なえる場合を除くと、病院、学校或いは工場のように一時も稼働或いは供用の状態を止めることができない既存建物について、同じ場所に建て替えを行う場合には、通例そうした既存建物に隣接する空き地にプレハブ仮設建物を建設して一時的な仮住まいとし、既存建物からプレハブ仮設建物へ引っ越しを行う。しかる後に既存建物を解体撤去して新築建物の建設を行い、新築建物が完成した後に、再びプレハブ仮設建物から新築建物への引っ越しを行い、その後、用済みとなったプレハブ仮設建物を解体し撤去する手順が一般的に実施されている。そうした手順、工程の一般的な時系列のフローチャートを図8に示した。
したがって、当事者は、不慣れなプレハブ仮設建物での生活、利用を一時的にもせよ余儀なくされることは当然のこと、プレハブ仮設建物とはいえ、その建設と解体撤去及び2度にわたる引っ越しに総事業費の2割〜3割にも及ぶ高額費用がかかり、総工費を押し上げる一大要因になっている。また、当事者の様々な負担、不便と費用を強いる引っ越しを2度行わねばならないし、引っ越しのスケジュール調整も種々な問題点をもたらす。その上、既存建物の解体に加えて、プレハブ仮設建物の解体撤去の際にも基礎、内装材その他の建設資材に起因する大量の産業廃棄物が発生する、という大きな問題点がある。
よって、本発明の目的は、上記の諸問題を全て解決できる建物の建て替え工法を提供することである。具体的には、プレハブ仮設建物の建設、解体の無駄を省き、利用者や設備、機器類、内装や室内環境、設備機能などの2度にわたる引っ越しを1度で済ますことができるほか、産業廃棄物の発生量を最少限度に制限でき、引っ越し費用を含めた建て替え工事費総額を大幅に低減可能な建物の建て替え工法を提供することである。
本発明の究極の目的は、建て替えのために解体撤去を予定する既存建物を、ひとまず空き地となっている場所へ移動させ(曳き家する)、移動後の場所においてそのまま(居ながらにして)従前通りの用途に供せしめて、当事者の負担、不便を極力軽減し、その一方では既存建物が去った跡地に(同じ場所に)新設建物の建築を行い、もってプレハブ等の仮設建物の建設や解体撤去、仮住まいの不便、或いは引っ越しに伴う費用、労力およびスケジュール調整の負担などを大きく軽減できる建物の建て替え方法を提供することにある。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明に係る建物の建て替え方法は、
建て替えのため解体撤去を予定する既存建物1を、横引き移動するレベルにおいて下部構造1b、1d又は地盤と縁切りし、横引き移動の手段・設備として移動目標の場所へ至る移動路盤21を設置し、その上に転動装置16を設置して既存建物1の支持を転動装置16へ盛り替える段階と
空き地となっている横引き移動目標の場所に予め曳き家準備工事を行い、同場所へ向かって既存建物1を、内部の設備構造や機能を従前の供用状態のまま保存ないし固定した居ながら状態にて移動させる段階と
目標の場所へ到達した既存建物1は、前記転動装置16による支持を盛り替えて同転動装置16を回収・撤去し、既存建物1の支持を新設基礎上へ供用可能な状態に据え付けを行う段階と
同既存建物1を従前通りの使用に供しながら、既存建物1が移動し去った跡地に新設建物2の建築を行う段階と
設建物2が完成し使用に供し得る段階に至って、前記既存建物1から新設建物2への引っ越しを行い、その後、空になった既存建物1は解体し撤去する段階とから成ることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載した建物の建て替え方法において、
横引き移動して目標の場所へ到達した既存建物を据え付けて再び使用に供する際には、
構造と外装、および内装等の室内環境、設備機能を移動前と同等の状態に保持してそのまま居ながら使用に供することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1に記載した建物の建て替え方法において、
上記既存建物1が移動し去った跡地へ新設建物の建築を行うにあたり、残存する既存建物の既存杭4その他の基礎構造はそのまま又は可能なかぎり活用し、更に必要となった新設杭8を打設して、その上に新設建物2の建築を行うことを特徴とする。
本発明は、建て替え予定の既存建物1を、ひとまず隣接の空き地となっている場所Qへ移動させ(曳き家する)、移動後の場所Qにおいてそのまま(居ながらにして)従前通りの用途に供せしめつつ、前記既存建物1が去った跡地に(同じ場所Pに)新設建物2の建築を並行して行う建て替え方法であるから、図2と図8のフロー図を対比して明らかなように、プレハブ等の仮設建物の建設や、住人が不慣れな仮住まいをする不便、及び引っ越しの負担を一度で済ませることができ、引っ越しのスケジュール調整も容易ならしめる。そして、プレハブ仮設建物の建設、解体の無駄を省くことができる上に、産業廃棄物の発生量を最少限度に制限でき、建て替え工事費総額を大幅に低減し、工期を短縮することが可能である。
更に具体的に事例を交えて説明する。既存建物1が解体に長時間を要する規模、或いは構造の場合、例えば地上3階以上の鉄筋コンクリート造、又は鉄骨造などであって、解体に使用する重機類を作業レベルまでかさ上げして据え付けたり、盛り替える工程を含む場合には解体の工期が長引くので、その解体工事期間よりも、曳き家工事の期間(ただし、曳き家の準備工事期間を除く期間を指す。曳き家の準備工事は、既存建物1を供用する期間に含められる。)の方が短くて済む。そのため既存建物1の供用を停止してから新設建物2の建設に取りかかるまでの期間を短縮できる。ひいては既存建物1の供用を停止してから新設建物2の竣工までの期間を短縮できる。
一方、通常の曳き家工法と比較すると、次の利点がある。
即ち、通常の曳き家工法を実施する場合、建物の移築はいわゆる「建築物」そのものの扱いであり、日照制限、北側斜線、隣地斜線などの法的制約を受け、曳き家して行く先の場所の選択が制限される。例えば敷地の北側一杯の場所には移動できない。
その点、本願発明の建て替え方法における既存建物1は「仮設建築物」の扱いとなり、前記「建築物」としての法的制限を受けず、曳き家して移動させる先の場所Qが限定されない。例えば敷地の北側一杯の場所へ寄せて据え付けることができ、曳き家して行く先の場所の選択自由度が広い。
建て替えのため解体撤去を予定する既存建物1を、横引き移動するレベルにおいて下部構造又は地盤と縁切りし、横引き移動の手段16・設備3を用意し、目標の場所Qに向かって既存建物1を移動させる。目標の場所Qへ到達した既存建物1の据え付けを行い、同既存建物1をそのまま使用に供しながら、前記既存建物1が移動し去った跡の場所Pに新設建物2の建築を行う。この新設建物2が完成し、使用に供し得る段階に至って、前記既存建物1は解体し撤去する。
以下に、本発明を、図示した実施例に基づいて説明する。
図1A〜Eは、本発明に係る建物の建て替え方法を実施する場合の主要な工程図を概念的な立面図として示し、図2は建て替え工程・手順を時系列に表したフローチャートを示している。
図1を一見すると明らかなように、本発明に係る建物の建て替え方法は、建て替えのため解体撤去を予定する、現在供用中の既存建物1を、一旦供用を中止したままの状態で、横引き移動するレベルにおいて下部構造又は地盤との縁切りを行う(曳き家準備工事)。そして、図1には図示することを省略した横引き移動の手段・設備を用意して、予め確保した敷地内又は敷地外の例えば隣接する直近のグラウンドや緑地、庭園などの目標場所Qに向かって同既存建物1を移動(曳き家移動工事)させる(図1B)。その際、既存建物1の内部の設備構造や機能は、できるだけ従前の供用状態のまま保存ないし固定しておいて、移動後には「居ながら」又は「そのまま」使用を再開できる状態の移動を行う。
こうして図1Cのように目標場所Qへ到達した既存建物1は、そのまま供用ができる程度に据え付けを行う(曳き家据え付け工事)。したがって、同既存建物1の内部の設備構造や機能の保存ないし固定を解くだけで、再び従前通りに使用することができ、同既存建物1は再度の供用期間に移行する。
その一方では、既存建物が移動し去った跡の場所Pに、いわば移動に伴い場所Pが空いていくほどに、順次新設建物2の準備工事、基礎工事を開始する。続いて躯体工事、内・外装工事、仕上げ工事等々の建築を進める(図1D)。この新設建物2が完成し(竣工)、使用に供し得る段階に至り、前記既存建物1からの引っ越しを行う。その後、空になった既存建物1の解体工事を開始し撤去することにより、建て替え工事が完了する(図1E)。
もっとも、上記既存建物1の移動を平面的に見た場合の態様は、たとえば図3A〜Eに示すようなバリエーションが、周辺の環境条件や施工条件に応じて実施される。図3において、符号Kは敷地境界線を例示しているが、敷地境界線Kを越えて敷地外への移動を含むことは上述した通りである。
図3Aは、既存建物1を現在の場所Pから移動目標の場所Qへ単純に直線的な横引き移動Xをさせる実施例を示している。
図3Bは、既存建物1を前記の直線的な横移動Xをさせる工程に加えて、縦移動Yさせる工程を含む横引き移動の実施例を示す。
図3Cは、既存建物1を斜めに平行移動Zさせる実施例を示す。
図3Dは、既存建物1を約90度の回転移動Uをさせる横引き移動の実施例を示す。ただし、回転度は90度のかぎりではない。
図3Eは、既存建物1を上記直線的な横移動Xをさせた後に、更に約90度の回転移動Uをさせる実施例を示す。
いずれの実施例も、既存建物1の近くに隣接するように確保した敷地K内又は敷地外のグラウンドや緑地、庭園などの目標場所Qに向かって、最も効率よく、或いは施工性良く横引き移動させる工夫の例を示すものである。
また、既存建物1の移動を立面的に見た場合の態様は、単純に上記図1A〜Eの例に限るものではない。例えば図4A〜Cに示すように、横引き移動するレベルも様々に異なる態様で実施が行われる。
図4Aは、地面下のいわゆる地下構造を含む既存建物1について、地面レベルG.Lより上方の地上部分1aのみを横引き移動させ、地下構造部分1bは原位置にそのまま残す実施例を示している。移動後の供用に地下構造部分1bを必要としない場合の実施例である。
図4Bは、既存建物1の例えば地上2階レベル(2F)より以下の下階構造1dは原位置に残置させ、2階レベル以上の上階部分1cのみを横引き移動させる実施例を示す。この実施例の場合には、前記地上2階レベル(2F)の高さ位置に、移動の目標場所Qまで水平に連続する構台3を予め設備し、更に移動させたい場所Qには予め、地上2階レベルまでの新設の下階構造体1eを用意しておく。しかる後に、2階レベル以上の上階部分1cを横引き移動させ、新設の下階構造体1eの上へ載置して据え付けを行う。したがって、図4Bの実施例は、移動後の供用に際して至便な新設の下階構造体1eに作り替える必要のある場合に好適である。
図4Cは、既存建物1を、杭基礎4を除く地下構造から地上部分までを全部、地盤から縁切りし、そっくりそのまま横引き移動させる実施例を示している。
図5A〜Eは、上記図4Cに例示した横引き移動の態様、即ち、既存建物1を、杭基礎4を除く地下構造から地上部分までを全部、地盤から縁切りして、そっくりそのまま横引き移動させ、再び従前通りの使用ができる状態に据え付けを行い、同既存建物1を従前通りに使用、供用を再開させる実施例を示している。
先ず図5Aは、建て替えのため解体撤去を予定する既存建物1の移動側隣接地10に、曳き家準備工事として先ず、周囲地盤の崩壊を防ぐため、山留め施工機5を据え付けて例えば山留めH鋼杭6を打設している。また、既存建物1を横引き移動してくる位置に予め新設杭8を打設する杭打ち機7を設置し、新設杭8を打設する準備工の作業状況を示している。もっとも、既存建物1の構造、規模によっては新設杭8を打設しない場合もある。
図5Bは、上記山留めH鋼杭6の打設、および新設杭8の打設工程と相前後する曳き家準備工事として、既存建物1についても1階土間スラブを解体し、梁補強を行って新しく構造スラブ12を新設して横引き移動に耐えられる強固な構造に準備している。しかる後に、移動側隣接地10の地盤掘削を進め、既存建物1を支持させるべき既存杭4が一定の高さ露出するまで掘削を進めている。もっとも、直接基礎の場合には、既存杭4が存在しないので、以下の手順は若干異なるが、それなりの既往技術が適用される。
図5Bの場合、既存建物1の下部の移動部分(基礎梁等の部分)について充分な補強を行い、既存杭4の杭頭部に仮設基礎13を設置し、筋交い22を組み込む等の補強を行っている。地盤は既存杭4および新設杭8の杭頭部が露出するレベルまで掘削した状態を示している。
図5Cは、上記のようにして移動側隣接地10の地盤掘削を必要な深さまで進めた掘削底に、既存杭4の周囲を除く部位に、新設杭8で支持される新設基礎14を構築し、この新設基礎14の上に、既存建物1の基礎構造を支持する仮受け架台15を設置して既存建物1の支持を既存杭4から盛り替えた段階を示している。その後更に、既存杭4を切断して既存建物1との縁を切り、しかる後に既存杭4廻りの新設基礎14と、および山留めH鋼杭6の内側に擁壁17の構築を進めている。
図5Dは、上記新設基礎14の上に、上記横引き移動の手段・設備の一例として移動路盤21を設置し、更にその上に転動装置16(既往の転がり支承又は滑り支承のような装置)を設置して既存建物1の支持を転動装置16に盛り替え、仮受け架台15を撤去した後に、既存建物1の横引き移動を行う段階を示している。横引き移動の推進力としては、図示は省略したが、複数台の大型油圧ジャッキの使用が好ましい。大型油圧ジャッキが一定の推進ストロークを消化するたびに盛り替える手順を繰り返して横引き移動を実施することができる。ただし、前記油圧ジャッキ以外にも、例えば強力なウインチで引っ張る手段なども実施可能である。
また、横引き移動の手段・設備の異なる実施例としては、レール上を転がる車輪方式や、コロ方式、滑り台方式などを実施することが可能である。
図5Eは、既存建物1の横引き移動を目標の場所Qまで到達させた後に、再び新設基礎14の上に既存建物1を支持する仮受け架台を設置して既存建物1の支持を盛り替え、上記の転動装置16を回収・撤去したあと、その部位にコンクリート台30を構築して支持を盛り替え、据え付けを完成した段階を示している。図中左側の擁壁17も構築し、建物廻りの隙間をエキスパンション金物20により閉鎖して、既存建物1の再度の使用、供用が可能な状態とされている。
図6A〜Dは、上記図5A〜Eで説明した曳き家移動の態様を平面的に示したものである。基本的には、上記図3Aに示し説明した直線的な横引き移動と同様の実施例であるが、特にいえば、新設建物2の平面積が大きくなって、規模が拡大していることが認められる。新設建物2の平面形状にも設計の自由度がある。
なお、図7A、Bは、図5Dに示した曳き家移動の工程が終了した後、既存建物1を据え付ける手段として、図5Eのコンクリート台30による据え付け支持に代わる免震化を伴う据え付けの実施例を示している。
先ず、図7Aは、上記図5Dに示した曳き家移動が終了した後に、既存建物1を支持する小型ジャッキ18を設置して既存建物1の支持を盛り替える。そして、上記の転動装置16を撤去し、その跡に例えば積層ゴム支承の如き免震装置19を設置する。更には図示を省略したオイルダンパー等を組み込み免震化工事を行った段階を示している。もっとも、上記の転動装置16が転がり支承又は滑り支承である場合には、これをそのまま免震装置に転用することもできる。前記仮受け架台としての小型ジャッキ18は、用済み後に撤去する。
次に、図7Bは、既存建物1と擁壁17との間の建物廻りの免震ストローク隙間をエキスパンション金物20により閉鎖して、免震化した既存建物1の据え付け工事が完成した段階を示している。
したがって、この既存建物1を移動後に使用を再開するに際しては、同既存建物1の据え付けを行った後、構造と外装、および内装等の室内環境、設備機能を移動前と同等の状態を保持してそのまま使用に供することができる。
その一方で、上記のようにして既存建物1が移動し去った跡の場所Pには、改めて具体的に図示することは省略したが、勿論、目的とする新設建物2の建築を行う。その場合には、場所Pに残存する既存建物1の既存杭4その他の基礎構造(例えば図4Aの地下構造体1b)は、利用できる限りそのまま活用し、建設廃材の発生量を極力低減する。更に必要となった新設杭や基礎を構築して、その上に新設建物の建築を行うことは、既往の建築技術の実施そのものであるから、更なる説明は省く。
もとより、新設建物2の建築が完成(竣工)した後には、上記既存建物1からの引っ越しを行い、その後、必要でなくなった既存建物1は解体撤去し、更地にすることは、図2のフローチャートに示す通りである。
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、もとより本発明は実施例に限定する意味ではない。現在の技術水準を前提として、いわゆる当業者が必要に応じて行う設計変更や応用、利用も含めて広く種々な態様で実施可能であることを、念のために申し添える。
A〜Eは本発明の建て替え方法の枢要な工程を概念的に示した立面図である。 本発明の建て替え方法の枢要な工程フローである。 A〜Eは本発明の建て替え方法における建物の移動態様を平面的に示した説明図である。 A〜Cは本発明の建て替え方法における建物の移動態様を立面的に示した説明図である。 本発明の建て替え方法における既存建物の横引き移動の実施例の工程1、2を示した断面図である。 本発明の建て替え方法における既存建物の横引き移動の実施例の工程3、4を示した断面図である。 本発明の建て替え方法における既存建物の横引き移動の実施例の工程5を示した断面図である。 A〜Dは上記図5の建て替え方法における建物の移動態様を平面的に示した説明図である。 A、Bは上記図5の建て替え方法における図5D以降の据え付け方法の異なる実施例を工程順に示した断面図である。 既往のプレハブ仮設建物の建設を伴う建て替え方法を示す枢要な工程フローである。
符号の説明
1 既存建物
2 新設建物
16、3 横引き移動の手段・設備
Q 目標の場所
P 元の場所
4 既存杭
8 新設杭

Claims (3)

  1. 建て替えのため解体撤去を予定する既存建物を、横引き移動するレベルにおいて下部構造又は地盤と縁切りし、横引き移動の手段・設備として移動目標の場所へ至る移動路盤を設置し、その上に転動装置を設置して既存建物の支持を転動装置へ盛り替える段階と
    空き地となっている横引き移動目標の場所に予め曳き家準備工事を行い、同場所へ向かって既存建物を、内部の設備構造や機能を従前の供用状態のまま保存ないし固定した居ながら状態にて移動させる段階と
    目標の場所へ到達した既存建物は、前記転動装置による支持を盛り替えて同転動装置を回収・撤去し、既存建物の支持を新設基礎上へ供用可能な状態に据え付けを行う段階と
    同既存建物を従前通りの使用に供しながら、同既存建物が移動し去った跡地に新設建物の建築を行う段階と
    設建物が完成し使用に供し得る段階に至って、前記既存建物から新設建物への引っ越しを行い、その後、空になった既存建物は解体し撤去する段階とから成ることを特徴とする、建物の建て替え方法。
  2. 横引き移動して目標の場所へ到達した既存建物を据え付けて再び使用に供する際には、
    構造と外装、および内装等の室内環境、設備機能を移動前と同等の状態に保持してそのまま居ながら使用に供することを特徴とする、請求項1に記載した建物の建て替え方法。
  3. 上記既存建物が移動し去った跡地へ新設建物の建築を行うにあたり、残存する既存建物の既存杭その他の基礎構造はそのまま又は可能なかぎり活用し、更に必要となった新設杭を打設して、その上に新設建物の建築を行うことを特徴とする、請求項1に記載した建物の建て替え方法。
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