JP4967458B2 - 経路作成装置及び経路作成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ロボットの障害物を回避する動作経路を作成する経路作成装置に関する。
近年、各種産業用ロボットや人型ロボットなどの様々なロボットが開発されている。例えば、ロボットには、多数の関節を有し、関節間がリンクで連結され、各関節の動作によって多数の自由度を持つロボットがある。このようなロボットを動作させる場合、初期位置姿勢と目標位置姿勢が与えられ、初期位置姿勢から目標位置姿勢に至る経路を作成し、その経路に基づいてロボットの各関節を動作させる。さらに、このようなロボット全体を2次元平面内などで移動させるものもある。このようなロボットを動作や移動させる場合、ロボットの周辺に移動する障害物が存在すると、この移動障害物を回避するようにロボットを動作や移動させるための経路の作成は非常に難しくなる。これらロボットの経路の作成方法としては、例えば、3次元空間の中で複数の移動障害物を回避しながら移動する経路の計画方法であって、移動障害物の線形的な移動予測モデルに基づいて複数の移動経路を予め用意し、その複数の移動経路の中から選択することによって移動経路を作成する方法がある(非特許文献1参照)。この方法では、移動障害物とロボットとの衝突を回避するために、移動障害物とロボットを単純形状に近似することによって複数の移動経路について移動障害物とロボットとの干渉確認をそれぞれ行っている。
J.GO T.Vu J.J.Kuffner,Autonomous Behavoir for Interactive Vehicle Animations,ACM SIGGRAPH Symposium on Computer Animation,2004
上記した従来の方法には、複雑な形状のロボットや移動障害物に対して移動経路の干渉確認を行う方法が提示されていない。複雑な形状の物体は、三角形の集まりやボクセルの集まりで近似され、複雑な形状のロボットを近似している三角形群あるいはボクセル群と複雑な形状の移動障害物を近似している三角形群あるいはボクセル群との三角形あるいはボクセルの各組み合わせによる干渉確認は非常に多くなり、処理量が増大する。そのため、ロボットと移動障害物との干渉確認に要する処理時間は、経路作成に要する全処理時間うちの大きなウエートを占める。特に、移動障害物の数が多い場合、干渉確認に要する処理量は更に増大する。したがって、オンラインによりリアルタイムでロボットを動作させる場合、リアルタイムでの経路作成が困難となり、実用上問題である。
そこで、本発明は、ロボットの障害物を回避する動作経路を高効率に作成する経路作成装置及び経路作成方法を提供することを課題とする。
本発明に係る経路作成装置は、ロボットの障害物を回避する動作経路を作成する経路作成装置であって、ロボットと障害物との干渉確認を行うための平面の数を設定する平面数設定手段と、障害物を認識する障害物認識手段と、平面数設定手段で設定した数分の各平面において、ロボットと障害物との干渉を確認する干渉確認手段と、干渉確認手段における確認結果に基づいて動作経路を作成する経路作成手段とを備え、平面数設定手段は、単位時間毎の所定間隔の各平面における障害物の断面形状から算出される障害物の断面形状の平面間の変化率及び/又は各平面における障害物の断面形状の時間の変化率に基づいて、平面の数を設定することを特徴とする。
この経路作成装置では、平面数設定手段により、ロボットと障害物との干渉確認を行うための平面の数を設定する。経路作成装置では、障害物認識手段により、障害物を認識する。そして、経路作成装置では、干渉確認手段により、設定した数分の各平面において、ロボットと認識した障害物との干渉確認を行う。つまり、障害物全体に対して干渉確認を行うのではなく、設定された数だけの平面における障害物の所定間隔毎の各部分に対して干渉確認を行う。さらに、経路作成装置では、経路作成手段により、その平面毎の干渉確認の結果に基づいて、障害物を回避する動作経路を作成する。このように、経路作成装置では、設定した数分の平面についてだけ干渉確認を行うので、干渉確認の処理量を低減することができる。そのため、経路を作成するときの処理量を大幅に低減でき、処理を高速化でき、ロボットの動作経路を高効率に作成することができる。特に、障害物の数が多い場合あるいは障害物の形状が複雑な場合、処理量を大幅に低減することができる。
なお、ロボットには、関節などによって動作する一般的なロボット以外にも、移動体も含むものとする。したがって、動作経路には、移動経路も含むものとする。
この経路作成装置の平面数設定手段では、所定間隔毎の平面毎に、各平面に交わった障害物の形状(平面による断面の形状)の変化に基づいて、平面の数を設定する。障害物の形状の変化としては、ある時間における平面間での形状の変化とある平面における単位時間毎の形状の変化がある。障害物の形状が複雑なほど、障害物における平面間の断面形状の変化が大きくなる。また、障害物の形状が複雑なほど、障害物を回避するためには障害物の多くの部分について干渉確認を行う必要がある。一方、障害物の形状が単純なほど、障害物における平面間の断面形状の変化が小さくなる。また、障害物の形状が単純なほど、障害物を回避するためには障害物の限られた部分での干渉確認でも十分がある。あるいは、障害物の移動や動作が激しいほど、障害物の単位時間毎の断面形状の変化が大きくなる。また、障害物の移動や動作が激しいほど、障害物を回避するためには障害物の多くの部分について干渉確認を行う必要がある。一方、障害物の移動や動作が少ないほど、障害物の単位時間毎の断面形状の変化が小さくなる。また、障害物の移動や動作が少ないほど、障害物を回避するためには障害物の限られた部分での干渉確認でも十分がある。したがって、各平面における障害物の形状の変化から平面の数を設定することができる。
本発明の上記経路作成装置では、平面数設定手段は、障害物の断面の両端間の長さの平面間の変化率又は各平面における障害物の断面の両端間の長さの時間の変化率が大きいほど平面の数を多くする構成としてもよい。
この経路作成装置の平面数設定手段では、所定間隔の平面毎に、各平面に交わった障害物の断面の両端間の長さを求め、その平面間の長さの変化が大きいほど平面の数を多く設定する。このように、経路作成装置では、障害物の断面形状の変化として断面の両端間の長さの変化という簡単に求めることができるパラメータを用いることにより、処理量を更に低減することができ、ロボットの動作経路をより高効率に作成することができる。
本発明に係る経路作成方法は、ロボットの障害物を回避する動作経路を作成する経路作成方法であって、ロボットと障害物との干渉確認を行うための平面の数を設定する平面数設定ステップと、障害物を認識する障害物認識ステップと、平面数設定ステップで設定した数分の各平面において、ロボットと障害物との干渉を確認する干渉確認ステップと、干渉確認ステップにおける確認結果に基づいて動作経路を作成する経路作成ステップとを含み、平面数設定ステップでは、単位時間毎の所定間隔の各平面における障害物の断面形状から算出される障害物の断面形状の平面間の変化率及び/又は各平面における障害物の断面形状の時間の変化率に基づいて、平面の数を設定することを特徴とする。
本発明の上記経路作成方法では、平面数設定ステップでは、障害物の断面の両端間の長さの平面間の変化率又は各平面における障害物の断面の両端間の長さの時間の変化率が大きいほど平面の数を多くする構成としてもよい。
なお、上記した各経路作成装置は、上記した各経路作成装置と同様の作用効果を奏する。
本発明は、設定した数分の各平面においてのみロボットと障害物との干渉確認を行うことにより、干渉確認の処理量を大幅に低減でき、ロボットの障害物を回避する動作経路を高効率に作成することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係る経路作成装置及び経路作成方法の実施の形態を説明する。
本実施の形態では、本発明に係る経路作成装置及び経路作成方法を、多自由度リンク系の2次元平面を移動可能なロボットの動作経路を作成する経路作成装置に適用する。本実施の形態に係る経路作成装置は、ロボットが所定の位置から所定の位置までの動作するときに移動する障害物を回避するような動作経路を作成する。
図1〜図6を参照して、本実施の形態に係る経路作成装置1について説明する。図1は、本実施の形態に係る経路作成装置の構成図である。図2は、本実施の形態で適用されるロボットの一例である。図3は、本実施の形態で適用されるロボットの他の例である。図4は、ロボットと障害物との位置関係の一例を示す平面図である。図5は、ロボットと障害物との位置関係の一例を示す側面図である。図6は、本実施の形態に係る探索平面の数の設定方法の説明図である。
経路作成装置1は、ロボットの行動候補モデルを予め用意し、ロボットと移動障害物との干渉確認の結果に基づいて行動候補モデルを選択的につなげながらロボットが最終位置姿勢に至るまでの動作経路を作成する。特に、経路作成装置1は、処理負荷を軽減するために、ロボットと移動障害物との干渉確認を行うための平面の数を障害物の形状の変化に基づいて最適な数に設定する。そのために、経路作成装置1は、環境認識部2、データベース3、探索情報設定部4、断面算出部5、干渉確認部6、経路選択部7、経路出力部8を備えている。経路作成装置1の主要部はコンピュータ上あるいはロボット内の電子制御ユニットなどに構成され、特に、探索情報設定部4、断面算出部5、干渉確認部6、経路選択部7はハードディスクあるいはROM内に格納された各アプリケーションプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することによって構成される。
なお、本実施の形態では、環境認識部2が特許請求の範囲に記載する障害物認識手段に相当し、探索情報設定部4が特許請求の範囲に記載する平面数設定手段に相当し、干渉確認部6が特許請求の範囲に記載する干渉確認手段に相当し、経路選択部7が特許請求の範囲に記載する経路作成手段に相当する。
まず、本実施の形態に適用されるロボットについて説明しておく。図2にはロボットの一例を示している。ロボットR1は、多数の関節J3,・・・,Jnを備えており、関節間がリンクL3,・・・,Ln+1で接続されている。また、ロボットR1は、末端のリンクL3の一端が台車Cに取り付けられ、先端のリンクLn+1の一端にハンドHが取り付けられている。各関節J3,・・・,Jnは、アクチュエータが内蔵されており、回転動作をそれぞれ行い、接続される2本のリンク間の角度X3,・・・,Xnをそれぞれ変更する。台車Cは、駆動用モータと操舵用モータが設けられており、2次元平面上を移動し、ロボットR1の位置(X1,X2)を変更する。
このように、ロボットR1は、n個の自由度を持つ。この自由度は、n−2個の角度に対して座標軸及び2個の位置に対して座標軸を持つn次元座標空間(コンフィグレーション空間)における一点(X1,・・・,Xn)で表される。ロボットR1の先端部T(リンクLn+1とハンドHとの取付部)の座標系(Y1,Y2,Y3)は、コンフィグレーション空間から実際の3次元空間への非線形写像の値として、Y1=f1(X1,・・・,Xn)、Y2=f2(X1,・・・,Xn)、Y3=f3(X1,・・・,Xn)で定義される。したがって、コンフィグレーション空間の(X1,・・・,Xn)を規定すると、(Y1,Y2,Y3)が決まる。なお、ロボットR1や移動障害物が実際に移動する空間は、2次元空間や3次元空間であり、移動空間と呼ぶ。
また、図3にはロボットの他の例を示している。ロボットR2は、人型のロボットであり、左右一対のアーム部A1,A2とハンドH1,H2を有している。ロボットR2は、台車Cで2次元平面上を移動可能であり、10個の関節J3,・・・,J12を備えており、12個の自由度を持つ。ロボットR2は、自由度がコンフィグレーション空間における座標系(X1,・・・,X12)で表される。ロボットR2の場合、コンフィグレーション空間の(X1,・・・,X12)を規定すると、各先端部T1,T2の座標系(Y11,Y12,Y13)、(Y21,Y22,Y23)が決まる。
それでは、経路作成装置1の各部について説明する。環境認識部2は、ロボットの周辺の環境情報(特に、障害物情報)を認識する手段である。特に、環境認識部2は、図5に示すように、ロボットRの所定箇所から平面間隔角Δa毎の探索平面P1,P2,P3に交わる障害物Oの情報を取得できる手段であればよい。環境認識部2としては、鉛直方向の平面間隔角Δa毎に左右方向にスキャンしながら探索を行うセンサであり、例えば、ミリ波センサ、超音波センサ、レーザセンサ、レンジファインダである。環境認識部2では、探索情報設定部4で設定した平面間隔角Δa毎の探索平面において、探索情報設定部4で設定した探索範囲SA内に存在する障害物の情報を取得する(図4,5参照)。また、環境認識部2では、障害物を認識できた場合、障害物の現在位置、移動速度、移動加速度、進行方向などを算出する。例えば、図3に示す人型ロボットの場合、顔部の目に相当する部分にミリ波センサなどが取り付けされる。
データベース3は、ハードディスクあるいはRAMの所定の領域に構成される。データベース3には、ロボットに関する情報及び経路モデルが記憶される。ロボットに関する情報は、ロボット全体や各部の質量、ロボット全体や各部の形状及びサイズ、ロボットの重心、関節の回転角度範囲、リンク長などである。経路モデルに関する情報は、ロボットの動作特性や移動特性などを考慮して予め用意され、ロボットの自由度の各次元の行動モデルの候補からなる。
行動モデルについて説明する。ロボットのn次元の自由度をコンフィグレーション空間における座標系(X1,X2,・・・・,Xn)とし、そのうち(X1,X2)の2次元の自由度を2次元平面上の移動の自由度とする。行動モデルは、単位時間Δtの間に1次元〜n次元の各次元のコンフィグレーション空間でロボットを動作させた場合の行動の標準となるものである。ここでは、説明を容易するために、2次元平面上を移動する場合の2次元のコンフィグレーション空間での行動モデルについて説明する。この2次元行動モデルは、2次元コンフィグレーション空間の座標系(X1,X2)で表され、n次元の自由度のうち2次元平面上の移動だけでロボットの動作(移動)を規定する行動モデルである。
ロボットは全方向(360°)に移動可能であるので、2次元行動モデルとして各方向に移動するための多数の候補モデルを設定可能である。したがって、データベース3には、2次元行動モデルについては、全方向に分布される所定数の行動候補モデルが記憶される。図4にはロボットRからの各行動候補モデルM1,M2,M3の一例を示しているが、この以外に様々な方向への行動候補モデルがある。なお、関節における回転動作の場合、回転可能な範囲内で多数の候補モデルが設定可能である。
また、ロボットが移動する場合には速度や加速度を変化させることが可能なので、2次元行動モデルとして一定速度での移動、可変速度かつ一定加速度での移動、可変加速度での移動の候補モデルを設定可能である。したがって、データベース3には、2次元行動モデルについては、各方向の行動候補モデルについて3種類のモデル(一定速度のモデル、可変速度かつ一定加速度のモデル、可変加速度のモデル)がそれぞれ記憶される。
したがって、データベース3には、1次元〜n次元の行動モデル毎に、方向の異なる所定数の行動候補モデルがそれぞれ記憶され、さらに、各方向の行動候補モデルについて3種類のモデル(一定速度のモデル、可変速度かつ一定加速度のモデル、可変加速度のモデル)がそれぞれ記憶される。いくつの方向の行動候補モデルを予め用意するかは、ロボットの移動動作や回転動作の特性、単位時間Δt、移動障害物の移動特性などを考慮して設定される。
探索情報設定部4は、環境認識部2で行う障害物の探索を行うために必要な情報を設定する手段である。この設定する情報としては、探索範囲SAと平面間隔角Δaである。探索範囲SAは、ロボットの最終位置の方向に向けて設定され、ロボットからの奥行き方向の範囲x、ロボットを中心とした左右方向の範囲y、高さ方向の範囲zで表される。奥行き方向の範囲xと左右方向の範囲yについては、ロボットRを基準として2次元平面範囲角Δbとその中心角cで表してもよい(図4参照)。高さ方向の範囲zについては、ロボットRにおける環境認識部2の設置される箇所を基準として高さ範囲角Δdとその中心角eで表してもよい(図5参照)。平面間隔角Δaは、高さ範囲z(高さ範囲角Δd)内で障害物探索を行う探索平面の間隔(ひいては、探索平面の数)を規定する角度である。なお、探索平面の数は、ロボットと障害物との干渉確認を行う際の平面の数にも相当する。
探索情報設定部4では、動作開始時に、探索範囲SAを設定するとともに、平面間隔角Δaの初期値を設定する。探索範囲SAについては、オペレータによって入力されたものを設定してもよいし、あるいは、ロボットの位置や移動速度や移動加速度、ロボットの最終位置姿勢などを考慮して装置側で設定してもよい。また、平面間隔角Δaの初期値については、オペレータによって入力されたものを設定してもよいし、あるいは、ロボットの移動速度や移動加速度などを考慮して装置側で設定してもよい。
探索情報設定部4では、単位時間Δt毎に、断面算出部5で既に算出された単位時間Δt毎(・・・,t−Δt,t)の各探索平面(k=1,2,3,・・・)における障害物の断面形状に基づいて、現在の時間tにおける断面形状の探索平面間の変化率と各探索平面における断面形状の時間変化率をそれぞれ算出する。探索平面間変化率は、障害物の形状が複雑さを表し、変化率が大きいほど形状が複雑であることを示す。時間変化率は、障害物の移動や動作(ロボットの場合)が激しいさを表し、変化率が大きいほど移動や動作が激しいことを示す。
変化率を求める場合、障害物の断面における表面形状を表す厳密な形状によって求めてもよいし、あるいは、障害物の断面形状を表す簡易なパラメータによって求めてもよい。簡易なパラメータとしては、例えば、図6に示すように、各探索平面における障害物Oの断面のエッジ間の長さL1,L2,・・・を用いる。このエッジ間の長さを用いる場合、現在の時間tにおけるエッジ間の各長さL1,L2,・・・から探索平面間の変化率を算出するとともに、各探索平面について単位時間毎のエッジ間の各長さL1(t),L1(t−Δt),・・・から時間変化率を算出する。
探索情報設定部4では、探索平面間変化率又は時間変化率が、下限変化率以下か否かを判定するとともに上限変化率以上か否かを判定する。この下限変化率、上限変化率は、予め設定され、探索平面間変化率に対する値と時間変化率に対する値が同一の値でもよいしあるいは異なる値でもよい。
探索平面間変化率又は時間変化率が上限変化率以上の場合、探索情報設定部4では、平面間隔角Δaとして小さい値を設定する。この場合、障害物の形状が複雑又は障害物の移動や動作が激しいので、探索平面数を増加し、障害物の探索や干渉確認をより多くの部分に対して行う。探索平面間変化率及び時間変化率が下限変化率以下の場合、探索情報設定部4では、平面間隔角Δaとして大きい値を設定する。この場合、障害物の形状が単調かつ障害物の移動や動作が少ないので、探索平面数を減少し、障害物の探索や干渉確認をより少なく部分に対して行う。これら以外の場合、探索情報設定部4では、平面間隔角Δaとして初期値を維持する。なお、平面間隔角Δaを小さくする場合あるいは大きくする場合、予め設定した一定の角度だけ変化させるようにしてもよいし、あるいは、変化率の増減量に応じて変化させる角度を可変設定してもよい。
断面算出部5は、各平面における障害物の断面形状と各平面におけるロボットの断面形状を算出する手段である。断面算出部5では、単位時間Δt毎に、環境認識部2で取得した探索平面毎の障害物情報に基づいて、現在の時間tから単位時間Δt経過後までの各探索平面に交わる障害物の断面の表面形状をそれぞれ算出する。この際、障害物の移動速度や移動加速度及び進行方向から予想経路を算出し、予測経路から単位時間Δtを経過する過程の障害物の位置を算出する。また、断面算出部5では、単位時間Δt毎に、データベース3に記憶されているロボットの形状情報に基づいて、データベース3に記憶されている各行動候補モデルについて現在の時間tから各行動候補モデル分動作したときの(現在の時間tから単位時間Δt経過後までの)各平面に交わるロボットの断面の表面形状をそれぞれ算出する。ロボットについては、探索平面に交じる障害物の高さ位置における水平面に交わるロボットの断面である。なお、障害物がロボットであり、関節などが動作する場合、障害物の動作を予想し、動作も考慮して現在の時間tから単位時間Δt経過後までの探索平面に交わる障害物の断面の表面形状を算出する。
干渉確認部6は、データベース3に記憶されている行動候補モデル毎にロボットと障害物との干渉を確認する手段である。干渉確認部6では、行動候補モデル毎に、各平面について、断面算出部5で算出したロボットの現在の時間tから単位時間Δt経過後までの断面形状と断面算出部5で算出した障害物の現在の時間tから単位時間Δt経過後までの断面形状との干渉確認をそれぞれ行う。つまり、各平面(探索平面に交じる障害物の高さ位置における水平面)において、ロボットの現時点位置姿勢から行動候補モデル分動作したときの位置姿勢までの単位時間Δt毎の断面形状と障害物の現在位置から単位時間Δt分移動した位置までの単位時間Δt毎の断面形状とが干渉するか否かを判定する。干渉の確認方法としては、例えば、ロボットの断面形状と移動物体の断面形状との相対距離を算出し、その相対距離が大きいほど干渉する可能性が低く、相対距離が0以下になると干渉状態と判定する。
経路選択部7は、データベース3に記憶されている行動候補モデルの中から最適なモデルを選択し、その選択した行動候補モデルにより動作経路を作成する手段である。経路選択部7では、行動候補モデルの中から、干渉確認部6で干渉確認の結果に基づいて最も干渉する可能性の低いモデルを選択する。相対距離で干渉確認を行う場合、行動候補モデルの中から、全ての平面について相対距離が0より大きく(干渉無し)かつ全ての平面についての相対距離の平均値が最も大きい行動候補モデルを選択する。さらに、経路選択部7では、この選択した行動候補モデルを用いて単位時間Δt後までの動作経路を作成する。経路選択部7では、ロボットの最終位置姿勢に到達するまで、以上の処理を単位時間Δt毎に繰り返し行う。これによって、経路選択部7では、最終位置姿勢までの動作経路を作成する。
経路出力部8は、経路選択部7で作成した動作経路を出力する手段である。経路出力部8は、例えば、モニタ、プリンタ、ロボットを動作させる制御部との通信を行う通信装置である。また、経路出力部8は、ロボットを動作させる制御部としての機能を有する場合、動作経路における各位置姿勢のコンフィグレーション空間の座標系(台車の位置や各関節の角度)に従ってロボットの各関節のアクチュエータを駆動制御する。
なお、行動候補モデルを用いて処理を行う処理部では、データベース3に記憶されている全ての行動候補モデルについて各処理を行うようにしてもよいし、あるいは、データベース3から所定条件を満たす行動候補モデルを抽出し、その抽出した行動候補モデルについて各処理を行うようにしてもよい。所定条件としては、例えば、探索範囲SA内に含まされる行動候補モデル、ロボットの最終位置の方向を中心した所定範囲内に含まれる行動候補モデルである。
図1を参照して、経路作成装置1の動作を説明する。特に、探索平面の数を設定する処理については、図7のフローチャートに沿って説明する。図7は、本実施の形態に係る探索平面の数を設定するための処理の流れを示すフローチャートである。
経路作成装置1には、オペレータによって最終位置姿勢が入力される。動作開始時、探索情報設定部4では、探索範囲SAを設定するとともに(S1)、平面間隔角Δaに初期値を設定する(S2)。また、経路作成装置1では、オペレータによる入力値などによって単位時間Δtを設定する(S3)。
動作開始後、環境認識部2では、探索情報設定部4で設定した探索範囲SAと平面間隔角Δaを用いて、平面間隔角Δa毎の各探索平面において探索範囲SA内に存在する障害物の探索を行い、探索平面毎の障害物の情報を取得する。この環境認識部2で取得した探索平面毎の障害物情報を用いて、断面算出部5では、単位時間Δt毎に、現在の時間tから単位時間Δt経過後までの各探索平面に交わる障害物の断面形状をそれぞれ算出する(S4)。また、データベース3に記憶されているロボットの形状情報を用いて、断面算出部5では、データベース3に記憶されている行動候補モデル毎に、現在の時間tから各行動候補モデル分動作するまでの各平面に交わるロボットの断面形状をそれぞれ算出する。
探索情報設定部4では、単位時間Δt毎に、断面算出部5で既に算出された単位時間Δt毎の各探索平面に交わる障害物の断面形状に基づいて、現在の時間tにおける探索平面間の断面形状の変化率と各探索平面における単位時間Δt間の断面形状の変化率をそれぞれ算出する(S5)。そして、探索情報設定部4では、探索平面間の変化率と単位時間Δt間の変化率が、下限変化率以下か否かを判定するとともに上限変化率以上か否かを判定する(S6)。
S6にて探索平面間の変化率又は各探索平面における単位時間Δt間の変化率が上限変化率以上と判定した場合、探索情報設定部4では、探索平面の数を増加するために、平面間隔角Δaに小さな角度を設定する(S7)。S6にて探索平面間の変化率及び各探索平面における単位時間Δt間の変化率が下限変化率以下と判定した場合、探索情報設定部4では、探索平面の数を減少するために、平面間隔角Δaに大きな角度を設定する(S8)。S6にてそれら以外と判定した場合、探索情報設定部4では、探索平面の数を維持するために、平面間隔角Δaを維持する(S9)。この設定された平面の数により、次回の障害物探索や干渉確認を行う。したがって、平面の数が増加する場合にはより厳密な探索な干渉確認が行われ、平面の数が減少する場合にはより簡単な探索や干渉確認が行われる。
干渉確認部6では、行動候補モデル毎に、断面算出部5で算出したロボットの現在の時間tから単位時間Δt経過後までの断面形状及び障害物の現在の時間tから単位時間Δt経過後までの断面形状に基づいて、各平面についてロボットと障害物とが干渉するか否かの確認を行う。そして、経路選択部7では、干渉確認部6での干渉確認結果に基づいて、データベース3に記憶されている行動候補モデルの中から最も干渉の可能性の低い行動候補モデルを選択する。さらに、経路選択部7では、この選択した行動候補モデルを用いて動作経路を作成する。経路出力部8では、この経路選択部7で作成した動作経路を出力する。
経路作成装置1では、ロボットが最終位置姿勢に到達したか否かを判定する(S10)。S10にて最終位置姿勢に到達していないと判定した場合、経路作成装置1では、S4に戻り、上記の処理を単位時間Δt毎に繰り返し行う。一方、S10にて最終位置姿勢に到達したと判定した場合、経路作成装置1では、処理を終了する。これによって、移動する障害物を回避する最終位置姿勢までの動作経路が作成される。
この経路作成装置1によれば、平面の最適な数を設定し、その数分の平面についてだけ障害物探索や干渉確認を行うので、障害物探索及び干渉確認の処理負荷を軽減することができる。そのため、動作経路を作成するときの処理量を大幅に低減でき、処理を高速化でき、ロボットの動作経路を高効率に作成することができる。特に、障害物の数が多い場合あるいは障害物の形状が複雑な場合、処理量を大幅に低減することができる。
経路作成装置1では、平面の数を設定するために平面間の断面形状の変化率と単位時間Δt間の断面形状の変化率を用いるので、障害物の形状の複雑さ及び障害物の移動や動作の激しさの両面から平面の数を設定することができる。したがって、障害物の形状が単調な場合や障害物の移動や動作が少ない場合には、障害物探索や干渉確認の処理量を低減しつつ障害物を回避する動作経路を確実に作成することができる。また、障害物の形状が複雑な場合や障害物の移動や動作が激しい場合には、障害物探索や干渉確認をより厳密に行うことができ、障害物を回避する動作経路を確実に作成することができる。
経路作成装置1では、断面形状の変化率を求めるために平面における障害物の断面のエッジ間の長さを用いるので、この簡単に求めることができるパラメータを用いることにより、処理量を更に低減することができ、ロボットの動作経路をより高効率に作成することができる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態では多数の関節を有し、関節間がリンクで連結され、各関節の回転動作によって多数の自由度を持ちかつ2次元平面を移動するロボットに適用したが、関節が伸縮動作などの他の動作を行うものでも適用可能であり、1次元的に移動するロボットや3次元空間を移動するロボットでも適用可能であり、ロボット全体が移動しないものでも適用可能であり、あるいは、関節を持たない単純な移動体にも適用可能である。移動体の場合、作成する経路としては移動経路となる。
また、本実施の形態では移動する障害物の場合に適用したが、移動しない障害物の場合にも適用可能である。
また、本実施の形態では障害物認識手段として左右方向にスキャンしながら探索を行うミリ波レーダなどを適用し、障害物の各探索平面に交わる情報を取得し、この探索平面毎に取得した情報により干渉確認を行う構成としたが、カメラなどの手段によって障害物全体の情報を取得し、干渉確認を行う段階で取得した障害物の全体情報から平面毎の情報を抽出し、その抽出した平面毎の情報により干渉確認を行う構成としてもよい。
また、本実施の形態では行動候補モデルを予め用意してデータベースに記憶させ、行動候補モデルの中から選択して経路を作成する構成としたが、確率的手法や計算などによって経路を作成する構成としてもよい。
また、本実施の形態では各探索平面における障害物の断面のエッジ間の長さの変化に基づいて探索平面の数を設定する構成としたが、断面のエッジ間の長さ以外の他の情報を用いて障害物の形状の変化から平面の数を設定してもよいし、あるいは、他の手法によって平面の数を設定してもよい。
また、本実施の形態では障害物の断面形状の探索平面間の変化率と断面形状の時間の変化率を用いて探索平面の数を設定する構成としたが、探索平面間の変化率だけで設定する構成としてもよい(例えば、障害物が移動や動作しないと予め判っている場合)、あるいは、時間の変化率だけで設定する構成としてもよい(例えば、障害物の形状が予め判っている場合)。
本実施の形態に係る経路作成装置の構成図である。 本実施の形態で適用されるロボットの一例である。 本実施の形態で適用されるロボットの他の例である。 ロボットと障害物との位置関係の一例を示す平面図である。 ロボットと障害物との位置関係の一例を示す側面図である。 本実施の形態に係る探索平面の数の設定方法の説明図である。 本実施の形態に係る探索平面の数を設定するための処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1…経路作成装置、2…環境認識部、3…データベース、4…探索情報設定部、5…断面算出部、6…干渉確認部、7…経路選択部、8…経路出力部

Claims (4)

  1. ロボットの障害物を回避する動作経路を作成する経路作成装置であって、
    ロボットと障害物との干渉確認を行うための平面の数を設定する平面数設定手段と、
    障害物を認識する障害物認識手段と、
    前記平面数設定手段で設定した数分の各平面において、ロボットと障害物との干渉を確認する干渉確認手段と、
    前記干渉確認手段における確認結果に基づいて動作経路を作成する経路作成手段と
    を備え
    前記平面数設定手段は、単位時間毎の所定間隔の各平面における障害物の断面形状から算出される障害物の断面形状の平面間の変化率及び/又は各平面における障害物の断面形状の時間の変化率に基づいて、平面の数を設定することを特徴とする経路作成装置。
  2. 前記平面数設定手段は、障害物の断面の両端間の長さの平面間の変化率又は各平面における障害物の断面の両端間の長さの時間の変化率が大きいほど平面の数を多くすることを特徴とする請求項1に記載する経路作成装置。
  3. ロボットの障害物を回避する動作経路を作成する経路作成方法であって、
    ロボットと障害物との干渉確認を行うための平面の数を設定する平面数設定ステップと、
    障害物を認識する障害物認識ステップと、
    前記平面数設定ステップで設定した数分の各平面において、ロボットと障害物との干渉を確認する干渉確認ステップと、
    前記干渉確認ステップにおける確認結果に基づいて動作経路を作成する経路作成ステップと
    を含み、
    前記平面数設定ステップでは、単位時間毎の所定間隔の各平面における障害物の断面形状から算出される障害物の断面形状の平面間の変化率及び/又は各平面における障害物の断面形状の時間の変化率に基づいて、平面の数を設定することを特徴とする経路作成方法。
  4. 前記平面数設定ステップでは、障害物の断面の両端間の長さの平面間の変化率又は各平面における障害物の断面の両端間の長さの時間の変化率が大きいほど平面の数を多くすることを特徴とする請求項3に記載する経路作成方法。
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