JP4967256B2 - 冷凍サイクルシステムおよび当該冷凍サイクルシステムに適した作動流体 - Google Patents

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Description

本発明は、冷凍サイクルシステムおよび当該冷凍サイクルシステムに適した作動流体に関する。
従来、空調装置や冷凍機などのヒートポンプ装置は、圧縮機、凝縮器、蒸発器、四方弁等を配管接続し、その内部に作動流体を循環させることにより、冷却または加熱作用を行っている。これらのヒートポンプ装置においては、作動流体としてクロロジフルオロメタン(R22)が広く用いられていると共に、作動流体に混合される潤滑油として鉱油が広く用いられている。
また、作動流体としてR22に1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)を混合した混合冷媒も知られている(特許文献1参照)。この特許文献1に開示されている作動流体は、R22とR134aの混合比率をそれぞれモル分率で20%以下、80%以上としたものである。また、特許文献1には、当該作動流体に混合される潤滑油としてポリグリコ−ス系冷凍機油またはエステル系冷凍機油と鉱油とを混合した混合潤滑油が開示されている。
特開平5−60406号公報
しかしながら、作動流体としてR22を使用する空調装置や冷凍機などのヒートポンプ装置においては、当該ヒートポンプ装置の圧縮機を駆動させるために多大な電力が必要であるという問題があった。
また、作動流体としてR22を使用し、潤滑油として鉱油を使用するヒートポンプ装置において、作動流体のみをR22から特許文献1に開示されている作動流体に変更した場合、ヒートポンプ装置内における潤滑油循環機能を保つことができず、例えば、圧縮機の摺動部に磨耗や焼損等の損傷が生じるという問題があった。圧縮機損傷回避のために、特許文献1に開示されているポリグリコ−ル系冷凍機油またはエステル系冷凍機油と鉱油とを混合した混合潤滑油を使用することも可能ではあるが、潤滑油は常温において蒸発しにくいため、潤滑油の交換に際しては、ヒートポンプ装置を分解して装置内の作動流体および潤滑油を完全に除去した後、装置を組み立て直して作動流体および混合潤滑油を充填するといった作業を要し、多大な労力が必要になる。さらに、混合潤滑油の各成分の混合比率を誤るとヒートポンプ装置内における潤滑油循環機能を保つことができず、圧縮機が損傷するという問題もあった。
本発明は、このような問題を解決すべくなされたものであって、圧縮機の損傷を防止しつつ、空調装置や冷凍機などのヒートポンプ装置の駆動に要する電力を低減することができる冷凍サイクルシステムおよび当該冷凍サイクルシステムに適した作動流体の提供を目的とする。
本発明の上記目的は、作動流体を圧縮する圧縮機と、圧縮された作動流体を冷却する凝縮器と、冷却された作動流体を蒸発させる蒸発器とを備えた循環路を有する冷凍サイクルシステムに用いられる作動流体であって、クロロジフルオロメタンと1,1,1,2−テトラフルオロエタンとからなり、クロロジフルオロメタンに対する1,1,1,2−テトラフルオロエタンの重量比が、1.5以上3以下である作動流体により達成される。
また、本発明の上記目的は、作動流体を圧縮する圧縮機と、圧縮された前記作動流体を冷却する凝縮器と、冷却された前記作動流体を蒸発させる蒸発器とを備えた循環路を有する冷凍サイクルシステムであって、前記作動流体は、クロロジフルオロメタンと1,1,1,2−テトラフルオロエタンとからなり、クロロジフルオロメタンに対する1,1,1,2−テトラフルオロエタンの重量比が、1.5以上3以下である冷凍サイクルシステムにより達成される。
この冷凍サイクルシステムにおいて、前記循環路は、前記凝縮器で冷却された作動流体を更に冷却する追設コンデンサを備えていることが好ましい。
また、前記循環路に鉱油を主成分とする潤滑油が封入されていることが好ましい。
本発明によれば、圧縮機の損傷を防止しつつ、空調装置や冷凍機などのヒートポンプ装置の駆動に要する電力を低減することができる冷凍サイクルシステムおよび当該冷凍サイクルシステムに適した作動流体を提供することができる。
本発明に係る作動流体は、作動流体を圧縮する圧縮機、圧縮された作動流体を冷却する凝縮器および冷却された作動流体を蒸発させる蒸発器を備えた循環路を有する冷凍サイクルシステムに用いられる作動流体であって、クロロジフルオロメタン(R22)と1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)とからなり、R22に対するR134aの重量比が、1.5以上3以下であることを特徴としている。
本発明に係る作動流体が封入される冷凍サイクルシステムの例について図1および図2を参照して説明する。図1は、冷却運転時における冷凍サイクルシステムの循環路を示す概略構成図である。図2は、加熱運転時における冷凍サイクルシステムの循環路を示す概略構成図である。図1および図2に示すように、冷凍サイクルシステム1は、圧縮機10、第1熱交換器11、第1キャピラリーチューブ12、追設コンデンサ13、第2キャピラリーチューブ14、第2熱交換器15および四方弁16を備える循環路を有しており、当該循環路内に作動流体が封入されている。
圧縮機10は、循環路内に封入された作動流体を当該循環路内において循環させるための装置であり、圧縮機10の高圧側10aと四方弁16の第1ポート16aとが冷媒配管17を介して接続している。また、圧縮機10の低圧側10bと四方弁16の第3ポート16cとが冷媒配管17を介して接続している。
第1熱交換器11は、冷却運転時に凝縮器として作用し、加熱運転時に蒸発器として作用する装置であり、一方の端部と四方弁16の第2ポート16bとが冷媒配管17を介して接続している。また、第1熱交換器の他方の端部には第1キャピラリーチューブ12が接続している。
この第1キャピラリーチューブ12は、複数のチューブが集合したものであって、各チューブの断面積の総和は、第1キャピラリーチューブ12と後述する追設コンデンサ13との間に配置される冷媒配管17aの断面積よりも小さくなるように構成されている。
追設コンデンサ13は、冷却運転時および加熱運転時共に凝縮器として作用する装置であり、第1キャピラリーチューブ12および後述する第2キャピラリーチューブ14と冷媒配管17a,17bを介して接続している。この追設コンデンサ13は、その内部における作動流体の流路の断面積が、冷媒配管17a,17bの断面積に対して35%〜65%となるように構成されている。なお、追設コンデンサ13内部の作動流体の流路は、一本の配管により構成してもよく、また、複数の配管により構成してもよい。複数の配管により流路を構成する場合、流路を流れる作動流体と配管内面との接触面積が増加するため、熱交換を効率的に行うことが可能となる。また、図3に示すように、複数の流路13bを内部に備える配管13aにより構成してもよい。
第2キャピラリーチューブ14は、上述した第1キャピラリーチューブ12と同様な構成を備えており、後述する第2熱交換器15の一方の端部に接続している。各チューブの断面積の総和は、追設コンデンサ13と第2キャピラリーチューブ14との間に配置される冷媒配管17bの断面積よりも小さくなるように構成されている。
第2熱交換器15は、冷却運転時に蒸発器として作用し、加熱運転時に凝縮器として作用する装置であり、他方の端部と四方弁16の第4ポート16dとが冷媒配管17を介して接続している。
四方弁16は、冷却運転時または加熱運転時における冷凍サイクルシステムの循環路を切り替えるための装置であり、冷却運転時においては、図1に示すように、第1ポート16aと第2ポート16bとを連通して圧縮機10の高圧側10aと第1熱交換器とを結ぶ流路を構成すると共に、第3ポート16cと第4ポート16dとを連通して第2熱交換器15と圧縮機10の低圧側10bとを結ぶ流路を構成する。一方、加熱運転時においては、図2に示すように、第1ポート16aと第4ポート16dとを連通して圧縮機10の高圧側10aと第2熱交換器15と結ぶ流路を構成すると共に、第2ポート16bと第3ポート16cとを連通して第1熱交換器と圧縮機10の低圧側10bとを結ぶ流路を構成する。
このように構成された冷凍サイクルシステム1により冷却運転する場合の作動流体の流れおよび作用について以下に説明する。冷却運転に際しては、図1に示すように、四方弁16を操作して、四方弁16の第1ポート16aと第2ポート16bとを連通して圧縮機10の高圧側10aと第1熱交換器11とを結ぶ流路を構成すると共に、第3ポート16cと第4ポート16dとを連通して第2熱交換器15と圧縮機10の低圧側10bとを結ぶ流路を構成する。
まず、圧縮機10に送り込まれた作動流体は、圧縮機10による圧縮作用により高温高圧のガス状作動流体に変換される。この高温高圧のガス状作動流体は、四方弁16を介して凝縮器として作用する第1熱交換器11に送られる。第1熱交換器11に送り込まれた高温高圧のガス状作動流体は、当該第1熱交換器11において冷却されることによって熱を奪われて液体状態およびガス状態が混在する作動流体に変換されて、第1キャピラリーチューブ12を通り追設コンデンサ13に送られる。
第1キャピラリーチューブ12と追設コンデンサ13との間に配置される冷媒配管17aの断面積は、第1キャピラリーチューブ12の各チューブ断面積の総和よりも大きくなるように構成されているため、第1キャピラリーチューブ12を通り追設コンデンサ13に送られる液体状態の作動流体の一部はガス状態となる。
追設コンデンサ13における作動流体の流路の断面積は冷媒配管17aの断面積よりも小さく構成されているため、追設コンデンサ13に送り込まれた液体状態の作動流体は、蒸発せずに液体状態のまま流れる。また、ガス状態のまま追設コンデンサ13内に送り込まれた作動流体は、追設コンデンサ13内において熱交換が行われて放熱し液化する。
このように、凝縮器として作用する追設コンデンサ13において、液体状態およびガス状態が混在した作動流体は、更に冷却されることによって熱を奪われ、略完全な液体状態の作動流体に変換される。
追設コンデンサ13において略完全な液体状態に変換された作動流体は、冷媒配管17bを通過して第2キャピラリーチューブ14に送られる。第2キャピラリーチューブ14の各チューブ断面積の総和は、冷媒配管17bの断面積よりも小さくなるように構成されているため、第2キャピラリーチューブ14を通過する作動流体は凝縮されて第2熱交換器15に送られる。
第2熱交換器15に送られた作動流体は、蒸発器として作用する当該第2熱交換器15内を通過する間に減圧されながら周囲から熱を奪うことによって蒸発し、低圧のガス状作動流体となり、圧縮機10に再び送り込まれる。
以上のサイクルを繰り返すことにより、第2熱交換器15において吸熱による冷却作用が発生する。
また、圧縮機10の摺動部の磨耗や焼損などを防止するために、冷凍サイクルシステム1の循環路を循環する作動流体に潤滑油が混合される。この潤滑油は、圧縮機10により吐出された後、作動流体の流れと共に冷凍サイクルシステム1の循環路を循環して圧縮機10に再び送り込まれる。冷凍サイクルシステムの追設コンデンサ13内部において、作動流体は略完全な液体状態の作動流体に変換されているので、当該作動流体と潤滑油との相溶性が高められる。この結果、圧縮機10により吐出された潤滑油は作動流体の流れに乗って確実に圧縮機10に戻ってくることができる。
潤滑油としては、例えば、鉱油を主成分とする潤滑油や、エステル系冷凍機油などを用いることができる。また、鉱油とエステル系冷凍機油とを混合した潤滑油を用いることもできる。なお、鉱油を主成分とする潤滑油には、鉱油単体により構成される潤滑油を含むものとする。
次に、上述した冷凍サイクルシステム1により加熱運転する場合の作動流体の流れおよび作用について以下に説明する。加熱運転に際しては、図2に示すように、四方弁16を操作して、四方弁16の第1ポート16aと第4ポート16dとを連通して圧縮機10の高圧側10aと第2熱交換器15とを結ぶ流路を構成すると共に、第2ポート16bと第3ポート16cとを連通して第1熱交換器と圧縮機10の低圧側10bとを結ぶ流路を構成する。
まず、圧縮機10に送り込まれた作動流体は、圧縮機10による圧縮作用により高温高圧のガス状作動流体に変換される。この高温高圧のガス状作動流体は、四方弁16を介して凝縮器として作用する第2熱交換器15に送られる。第2熱交換器15に送り込まれた高温高圧のガス状作動流体は、当該第2熱交換器15において放熱し冷却されることによって熱を奪われて液体状態およびガス状態が混在する作動流体に変換されて、第2キャピラリーチューブ14を通り追設コンデンサ13に送られる。
第2キャピラリーチューブ14と追設コンデンサ13との間に配置される冷媒配管17bの断面積は、第2キャピラリーチューブ14の各チューブ断面積の総和よりも大きくなるように構成されているため、第2キャピラリーチューブ14を通り追設コンデンサ13に送られる液体状態の作動流体の一部はガス状態となる。
追設コンデンサ13における作動流体の流路の断面積は冷媒配管17bの断面積よりも小さく構成されているため、追設コンデンサ13に送り込まれた液体状態の作動流体は、蒸発せずに液体状態のまま流れる。また、ガス状態のまま追設コンデンサ13内に送り込まれた作動流体は、追設コンデンサ13内において熱交換が行われて放熱し液化する。
このように、凝縮器として作用する追設コンデンサ13において、液体状態およびガス状態が混在した作動流体は、更に冷却されることによって熱を奪われ、略完全な液体状態の作動流体に変換される。
追設コンデンサ13において略完全な液体状態に変換された作動流体は、冷媒配管17aを通過して第1キャピラリーチューブ12に送られる。第1キャピラリーチューブ12の各チューブ断面積の総和は、冷媒配管17aの断面積より小さくなるように構成されているため、第1キャピラリーチューブ12を通過する作動流体は凝縮されて第1熱交換器に送られる。
第1熱交換器11に送られた作動流体は、蒸発器として作用する当該第1熱交換器11内を通過する間に減圧されながら周囲から熱を奪うことによって蒸発し、低圧のガス状作動流体となり、圧縮機10に再び送り込まれる。
以上のサイクルを繰り返すことにより、第2熱交換器15において放熱による加熱作用が発生する。
本実施形態において、冷凍サイクルシステム1は、凝縮器として作用する追設コンデンサ13を備える構成を採用しているが、例えば、冷却運転時または加熱運転時に凝縮器として作用する第1熱交換器11または第2熱交換器15として、作動流体を略完全な液体状態に変換することが可能な熱交換器を採用する場合には、追設コンデンサ13を省略する構成を採用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本実施例においては、三菱重工業株式会社製の空調機器(型番:FDC−125H8A)にグリーンアース株式会社製の追設コンデンサ(製品名:スパコンR)を接続して空調装置を構成し、当該空調装置に作動流体を充填して性能試験を行った。この空調装置の規定作動流体量は4.9kgである。また、潤滑油として鉱油単体を採用し、作動流体に1.4リットル混合した。
この空調装置の概略構成図を図4に示す。図4に示すように、空調装置20は、空調を施す室内空間に設置される室内ユニット21、空調を施す室内空間の外に設置される室外ユニット22および追設コンデンサ13を備えている。追設コンデンサ13は、室外ユニットに隣接して配置されている。なお、図4に示す冷凍サイクルシステムの循環路は、冷房運転時のものを示している。
室内ユニット21は、第2熱交換器15、第2キャピラリーチューブ14および室内ファン23とを備えている。
室外ユニット22は、圧縮機10、第1熱交換器11、第1キャピラリーチューブ12、四方弁16および室外ファン24を備えている。
圧縮機10、第1熱交換器11、第1キャピラリーチューブ12、追設コンデンサ13、第2キャピラリーチューブ14、第2熱交換器15および四方弁16により構成される冷凍サイクルシステムは、上述した構成と同一である。なお、追設コンデンサ13の内部における作動流体の流路の断面積は、各冷媒配管17a,17bの断面積に対して40%となるように構成している。
室内ファン23は、室内ユニット21内に空気を吸い込んで第2熱交換器15に通風した後、室内空間に当該空気を吹き出す装置である。
室外ファン24は、室外ユニット22内に空気を吸い込むことにより、室外ユニット22に隣接して取り付けられている追設コンデンサ13および室外ユニット22内部に設けられている第1熱交換器11に通風した後、空気を室外ユニット22外に排出する装置である。
このように構成された空調装置20の作動について冷房運転する場合を例にとり以下に説明する。まず、圧縮機10に送り込まれた作動流体は、圧縮機10による圧縮作用により高温高圧のガス状作動流体に変換される。この高温高圧のガス状作動流体は、四方弁16を介して凝縮器として作用する第1熱交換器11に送られる。第1熱交換器11に送り込まれた高温高圧のガス状作動流体は、室外ファン24の通風作用により当該第1熱交換器11において冷却される。その結果、高温高圧のガス状作動流体は、熱を奪われて液体状態およびガス状態が混在する作動流体に変換されて、第1キャピラリーチューブ12を通り追設コンデンサ13に送られる。
第1キャピラリーチューブ12と追設コンデンサ13との間に配置される冷媒配管17aの断面積は、第1キャピラリーチューブ12の各チューブ断面積の総和よりも大きくなるように構成されているため、第1キャピラリーチューブ12を通り追設コンデンサ13に送られる液体状態の作動流体の一部はガス状態となる。
追設コンデンサ13における作動流体の流路の断面積は冷媒配管17aの断面積よりも小さく構成されているため、追設コンデンサ13に送り込まれた液体状態の作動流体は、蒸発せずに液体状態のまま流れる。また、ガス状態のまま追設コンデンサ13内に送り込まれた作動流体は、追設コンデンサ13内において熱交換が行われて放熱し液化する。
このように、凝縮器として作用する追設コンデンサ13において、液体状態およびガス状態が混在した作動流体は、更に冷却されることによって熱を奪われ、略完全な液体状態の作動流体に変換される。
追設コンデンサ13において略完全な液体状態に変換された作動流体は、冷媒配管17bを通過して第2キャピラリーチューブ14に送られる。第2キャピラリーチューブ14の各チューブ断面積の総和は、冷媒配管17bの断面積よりも小さくなるように構成されているため、第2キャピラリーチューブ14を通過する作動流体は凝縮されて第2熱交換器15に送られる。
第2熱交換器15に送られた作動流体は、蒸発器として作用する当該第2熱交換器15内を通過する間に減圧されながら、室内ファン23により室内ユニット21内に吸い込まれた空気から熱を奪うことによって蒸発して低圧のガス状作動流体となり、圧縮機10に再び送り込まれる。
室内ファン23により室内ユニット22内に吸い込まれ第2熱交換器15の吸熱作用により熱を奪われて冷却された空気は、室内ファン23の作用により室内空間に吹き出される。これにより、室内空間の冷房を行うことができる。
このように構成された空調装置20において、R22に対するR134aの重量比を変化させた作動流体についてそれぞれ性能試験を行った。具体的には、R22に対するR134aの重量比を1.22とした作動流体a(R22とR134aとの混合比率が45重量%と55重量%に相当)、同重量比を1.5とした作動流体b(R22とR134aとの混合比率が40重量%と60重量%に相当)、同重量比を1.86とした作動流体c(R22とR134aとの混合比率が35重量%と65重量%に相当)、同重量比を2.33とした作動流体d(R22とR134aとの混合比率が30重量%と70重量%に相当)、同重量比を3とした作動流体e(R22とR134aとの混合比率が25重量%と75重量%に相当)、および同重量比を4とした作動流体f(R22とR134aとの混合比率が20重量%と80重量%に相当)について性能試験を行った。また、比較のため、作動流体としてR22単体を使用した作動流体g(R22に対するR134aの重量比が0、つまりR22とR134aとの混合比率が100重量%と0重量%に相当)の性能試験を行った。性能試験時における空調装置20の室内設定温度は18℃である。
性能試験において測定した項目は、室内ユニット21に吸い込まれた空気の温度と第2熱交換器15により冷却されて室内ユニット21から吹き出された空気の温度との差(温度差ΔT)、圧縮機10を駆動するために必要な電流の値(電流値I)、潤滑油戻り率W、および、圧縮機10から吐出される作動流体の圧力(吐出圧P)である。潤滑油戻り率Wとは、作動流体として上記作動流体g(R22が100重量%である作動流体)を使用した場合における圧縮機10に戻ってくる潤滑油量(潤滑油戻り量)を100とした場合の各作動流体a〜f使用時における潤滑油戻り量の比率のことである。潤滑油戻り量の測定は、測定時に一旦空調装置20の駆動を停止して、圧縮機10の低圧側10bから作動流体と潤滑油との混合液を所定量採取し、その中に含まれる潤滑油の量を計測することにより行う。
測定結果を表1に示す。なお、温度差ΔT、電流値I、潤滑油戻り率Wおよび吐出圧Pの測定に際しては、所定時間間隔で複数回測定を行い、その測定結果の平均値を表1に記載している。また、表1において、電流値Iと吐出圧Pの測定値の下に記載しているカッコ内の数値は、作動流体として作動流体gを使用した場合における電流値または吐出圧に対する各作動流体a〜f使用時における電流値または吐出圧の比率を示している。
Figure 0004967256
表1に示すように、作動流体として作動流体a〜eを用いた場合の温度差ΔTは、作動流体gを用いた場合の温度差ΔTと略同一の値を示している。つまり、作動流体a〜eは、作動流体gと略同一の冷却効果を得ることができたことがわかる。これに対し、作動流体fを用いた場合の温度差ΔTは、作動流体gを用いた場合の温度差ΔTと比べて小さい値となっていることから、作動流体fは、作動流体gよりも冷却効果が小さいことがわかる。
また、作動流体として作動流体a〜fを用いた場合の電流値Iは、作動流体gを用いた場合の電流値Iよりも低い値となっている。したがって、作動流体a〜fは、作動流体gに比べて空調装置20を駆動させるのに必要な電力量が少ないことがわかる。また、電流値Iは、R22に対するR134aの重量比が小さくなるにつれて増加する傾向にある。
また、作動流体として作動流体fを用いた場合の潤滑油戻り率Wは、作動流体gを用いた場合と比較して80%と低く、圧縮機10側への潤滑油の戻り不足が発生している。したがって、作動流体として作動流体fを用いた場合、圧縮機10の摺動部の磨耗や焼損などを引き起こすおそれがある。
これに対し、作動流体として作動流体a〜eを用いた場合の潤滑油戻り率Wは、作動流体gを用いた場合と同等であるため、圧縮機10側への潤滑油の戻り不足が発生することはなく潤滑油循環機能は維持されており、圧縮機10の摺動部の磨耗や焼損などを回避することができる。
以上より、作動流体b〜e、つまり、R22に対するR134aの重量比が、1.5以上3以下である本発明に係る作動流体によれば、圧縮機10の損傷を防止しつつ、作動流体としてR22単体を使用した場合と略同一の冷却効果を維持したまま、空調装置や冷凍機などのヒートポンプ装置を駆動するのに要する電力を低減させることできる。
また、作動流体としてR22単体を使用し、潤滑油として鉱油を使用する既存のヒートポンプ装置において、作動流体をR22から本発明に係る作動流体に変更する場合、潤滑油として既に封入されている鉱油をそのまま使用してもヒートポンプ装置内における潤滑油循環機能を維持することができ、圧縮機10に損傷が発生することを回避することができる。その結果、圧縮機損傷防止のために、ヒートポンプ装置自体を一旦分解して潤滑油を交換するといった多大な労力を必要とする作業が不要になる。
また、本発明に係る作動流体を用いた場合、作動流体としてR22単体(作動流体g)を用いた場合よりも圧縮機の吐出圧Pが低い値となるため、作動流体としてR22単体を使用する既存のヒートポンプ装置において、作動流体として本発明に係る作動流体を用いたとしても、既存のヒートポンプ装置の圧力に対する機械的強度を向上させるような処理を施すことなく、当該装置をそのまま使用することができる。
本発明に係る冷凍サイクルシステムにより冷却運転する場合の循環路の一例を示す概略構成図である。 本発明に係る冷凍サイクルシステムにより加熱運転する場合の循環路の一例を示す概略構成図である。 本発明に係る冷凍サイクルシステムを構成する追設コンデンサの内部流路の変形例を示す断面図である。 本発明に係る作動流体の性能試験に用いた空調装置の概略構成図である。
符号の説明
1 冷凍サイクルシステム
10 圧縮機
11 第1熱交換器
12 第1キャピラリーチューブ
13 追設コンデンサ
14 第2キャピラリーチューブ
15 第2熱交換器
16 四方弁
17 冷媒配管

Claims (2)

  1. 作動流体を圧縮する圧縮機と、
    圧縮された前記作動流体を冷却する凝縮器と、
    前記凝縮器で冷却された前記作動流体を更に冷却する追設コンデンサと、
    冷却された前記作動流体を蒸発させる蒸発器とを備えた循環路を有し、
    前記循環路には潤滑油として鉱油が封入される冷凍サイクルシステムに用いられる作動流体であって、
    クロロジフルオロメタンと1,1,1,2−テトラフルオロエタンとからなり、
    クロロジフルオロメタンに対する1,1,1,2−テトラフルオロエタンの重量比が、1.5以上3以下である作動流体。
  2. 作動流体を圧縮する圧縮機と、
    圧縮された前記作動流体を冷却する凝縮器と、
    前記凝縮器で冷却された前記作動流体を更に冷却する追設コンデンサと、
    冷却された前記作動流体を蒸発させる蒸発器とを備えた循環路を有する冷凍サイクルシステムであって、
    前記循環路には潤滑油として鉱油が封入されており、
    前記作動流体は、クロロジフルオロメタンと1,1,1,2−テトラフルオロエタンとからなり、クロロジフルオロメタンに対する1,1,1,2−テトラフルオロエタンの重量比が、1.5以上3以下である冷凍サイクルシステム。
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