JP4966651B2 - 網膜虚血の治療におけるジアゾキシドの使用 - Google Patents

網膜虚血の治療におけるジアゾキシドの使用 Download PDF

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Description

本発明は、網膜虚血の治療におけるジアゾキシド(7−クロロ−3−メチル−2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシド)の使用に関する。本発明は特には、網膜虚血及び網膜虚血に関連した疾患の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するためのジアゾキシドを含む組成物の使用に関する。
網膜の細胞死、及び従って視覚機能の喪失に至らせる現象は、虚血及び光放射と同じほど変化に富んだ過程において現れる現象である。糖尿病性網膜症、放射、及び静脈閉塞のため生じた損傷によって引き起こされる網膜症のような疾患における虚血状態の慢性的発達は、細胞膜脱分極の摂動に至らせ、このことは長期にわたり網膜の不可逆破壊をもたらす。
例えば、網膜虚血は、網膜の動脈又は静脈閉塞、眼挫傷のような急性状況で、及び老化関連黄斑変性(DMLA)、緑内障、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、炎症疾患、及び血液病のような慢性疾患においても臨床上、観察され、それらは場合により網膜の全体的変性という結果にもなる網膜変性に至らせる。緑内障及び老化関連黄斑変性は、平均寿命増加に関連した、西欧諸国における視力不良の主な原因となり、かつそれ故、正真正銘の公衆衛生上の問題となっている。
これらの眼性疾病の頻度及び重症度のために、網膜虚血に関連した疾患を治療及び/又は予防するための有効な治療が本当に必要である。
網膜虚血−再灌流のために生じる損傷を阻止するために、幾つもの薬理学的アプローチが、実験レベルで使用された。遊離基捕捉剤(Celeci et al.、2002;Szabo et al.、2001)、グルタミン酸受容体(Lagreze et al.、2001)及びアドレナリン作動性受容体(Donello et al.、2001;Chao et al.、2001)の拮抗剤、同様に神経栄養因子(Fontaine et al.、2002;Seigel et al.、2000;Cuevas et al.、1998)、カルシウムチャネル遮断薬(Osborne et al.、2002)及びグルタミン酸塩のシナプス放出の阻害物質(Ettaiche et al.、1999)が、網膜虚血の治療用の治療薬として提案された。網膜虚血治療におけるグルタミン酸遊離物質、及び特にはリルゾールの使用は、1999年8月26日に公開された国際公開第99/42103号パンフレットの対象となっている。
眼圧増加によって誘発される虚血は、網膜虚血のメカニズム及び潜在的治療を同時に研究するために最も頻繁に使用されるモデルである。網膜の損傷程度は、動物の種、加えられる眼圧の期間及び強度によって決まる。視神経の結紮による網膜虚血の実験モデルとは反対に、この技術は、一方で再灌流開始のために生じる眼内出血を回避し、かつ他方で完全な眼外構造を保つという利点を与えることを可能にし、このようにして薬理学的物質の局所適用を実施することを可能にする。
動物実験モデルに対して有効と認められた、様々な薬理学的アプローチは、2つの障害にぶつかるが、それは、一方で(リルゾールを除き)これら分子の保護的ではあるが治療的でない側面であり、他方で他の器官に対していかなる副作用もない投与を必要とするその臨床使用である。使用される様々な投与経路は、硝子体内注射、並びに経口、全身及び局所である。成長因子に関して使用される硝子体内注射は、虚血のために生じる炎症反応を悪化させ得るが、注射せずに細胞増殖も誘発し得る。経口は、作用部位のレベルで有効成分の生物学的利用能の問題にぶつかり、全身注射は、他の器官に対して副作用を誘発し得、かつ最後に局所適用は、他の眼組織に対する有害な効果、特に角膜感覚の喪失及び散瞳を同様に誘発し得る。発明者によって実施された研究により、これらの効果が、ジアゾキシドの点滴注入後に観察されないことを証明することが可能になった。
発明者の研究により、網膜は、興奮性細胞の電気特性を新陳代謝に、かつ特にはATP/ADP比(Bernardi et al.、1992)に結び付ける、ある類のカリウムチャネルが豊富である(Ettaiche et al.、2001)ことが証明された。それは、依存性ATPカリウムチャネル又はKATPチャネルである。その上、特異オープナによるKATPチャネルの活性化は、中枢神経系中の海馬を虚血から保護する(Heurteaux et al.、1993)。依存性ATPカリウムチャネルのオープナである(Ashcroft et al.、2000)、ジアゾキシド(7−クロロ−3−メチル−2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシド)が、網膜虚血−再灌流の実験モデルに対してテストされたのは、この視点からである。
ジアゾキシドは、当初、高血圧の治療で開発された医薬物質である。ジアゾキシドは、インシュリン分泌減少及びブドウ糖の末梢使用減少による一過性高血糖の原因となることで同様に知られている(Henquin et al.、1982、Diabetes 31;776−783)。1994年11月10日に公開された国際公開第94/25033号パンフレットは、ジアゾキシドを投与することからなるブドウ糖新陳代謝の不良を治療する方法を記載している。
更に、ジアゾキシドは、脂溶性物質であり、かつ低い分子量を有し、従って動物又はヒト角膜障壁を横断することが可能である。その配合及び洗眼剤への調整は、実施が容易であり、このことは、網膜虚血に関連した疾患の治療及び/又は予防における治療的及び経済的観点から、大きな利点となる。
発明者の作業によって、眼内圧上昇によって実験で誘発された虚血の結果、感覚神経の網膜が受ける有害な作用を予防する方法を特定することが可能になった。治療処置は、有効成分がジアゾキシドである点眼剤の滴の結膜嚢中への局所点滴注入からなる。この治療は、神経細胞層、内網状層及び内核層内で、虚血−再灌流によって誘発される有害な作用を減少させて、視覚機能の喪失を妨げる。
眼内圧の増加によって実験で誘発される網膜虚血は、分子スクリーニング及び虚血に関与するメカニズム研究に最も一般的に使用されるモデルである。網膜の血管新生が、ヒトのそれと同一であるラットに適用されるこのモデルは、第1段階において、神経節細胞層及び内網状層のレベルで局所化病変を発生させる。これらの病変は、神経節細胞の死及び内網状層の厚さの大幅な減少によって現れる。第2段階は、光受容細胞層と同じく、内核層の厚さ減少を特徴とする。虚血終了後又はそれ以後(再灌流開始後、24時間)のジアゾキシドの局所適用は、虚血−再灌流によって発生した病変を目覚しく遮断する。この効果は、網膜の細胞構築を良好に保護した結果である、A及びB波のより良い振幅回復によって視覚機能のレベルで現れる。ここに転記したこれらの結果(局所適用による治療効果)は、網膜虚血及び網膜虚血に関連した疾患に対する高い潜在的治療可能性を有する分子としてジアゾキシドを示している。
従って、本発明は、網膜虚血に関連した疾患の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するためのジアゾキシド(7−クロロ−3−メチル−2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシド)を含む医薬組成物の使用に関する。
好適には、本発明の枠内で使用する医薬組成物は、0.001%〜0.1%のジアゾキシドを含む。この組成物中、ジアゾキシドは、医薬上適用し得るビヒクル中にある。この組成物の眼の適用の枠内で、当業者は、例として、かつ網羅的でなく、滅菌生理血清のような医薬上許容し得る、かかるビヒクルを知っている。
糖尿病性網膜症、又は放射及び虚血によって引き起こされた網膜損傷によって引き起こされる網膜症(多因子現象)は、複雑なメカニズムから生じる。従って、異なる標的及びそれ故に治療効力を有する幾つもの分子の組み合わせにより、網膜機能のより良い回復が可能になるべきである。
この視点から見ると、主な特性が、他のタイプのカリウムチャネル;TREK及びTRAAKチャネル(Duprat et al.、2000)の活性化により、グルタミン酸塩のシナプス前放出を阻止することであり(Ettaiche et al.、1999)、かつ局所適用による治療効果が、実験によって証明された、リルゾール(2−アミノ−6−トリフルオロメトキシベンゾチアゾール)が、網膜虚血によって誘発された疾患においてジアゾキシドに組み合わせるべき選ばれた分子であろう。
従って本発明は、網膜虚血に関連した疾患の治療及び/又は予防のための薬剤を調製するための、ジアゾキシドの他に、リルゾール又はその神経保護に活性である誘導体、又はその医薬上許容し得る塩を含む医薬組成物の使用に関する。
「リルゾールの神経保護に活性である誘導体」及び「リルゾールの医薬上許容し得る塩」とは、1999年8月26日に公開された国際公開第99/42103号パンフレットに記載された分子を意味する。当業者は、必要な場合、本発明による新規の適用に最も適した形状を選択できる。医薬上許容し得る塩として、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩のような無機酸、又は酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、安息香酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩等のような有機酸による添加塩、又はその代替誘導体を特に挙げることができる。
本発明による医薬組成物は、遊離形状又は医薬上許容し得る酸による添加塩形状、純粋状態又はこの有効成分が医薬上適合できるあらゆる他の生成物に組み合わされる組成物形状のジアゾキシドから少なくともからなる。本発明による薬剤は、経口、非経口、直腸又は局所で用いることができる。
経口投与用の固体組成物として、ジアゾキシドが、従来使用される1種以上の不活性希釈剤、及び場合により、例えば潤滑剤、色素、コーティング等のような他の物質に混合される、錠剤、糖衣錠、粉末等を使用することができる。
経口又は点眼投与用の液体組成物として、従来使用される不活性希釈剤、及び場合により、湿化、甘味付け、増粘生成物等のような他の物質を含む、医薬上許容し得る懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップを使用することができる。
非経口投与用の滅菌組成物は、水溶液若しくは非水溶液、懸濁液又はエマルジョンであっても良い。溶剤又はビヒクルとして、水、プロピレングリコール、植物油又は他の適当な有機溶剤を用いることができる。これらの組成物は、湿化剤、等張化(isotonisants)剤、乳化剤等のようなアジュバントを同様に含み得る。
局所投与用の組成物は、例えばクリーム、ローション、口内洗剤、点鼻剤若しくは点眼剤、又はエアロゾルであっても良い。
以下に報告する実験から明らかになるように、本発明の枠内で使用される医薬組成物の好ましい適用形状は、本発明の対象である薬剤の眼内の局所適用である。この眼内適用は、好適には、結膜嚢内への局所点滴注入である。眼内の局所適用が、本発明による適用においてジアゾキシドの好適な実施態様となる。従って、洗眼剤の形状を呈する医薬組成物を特には検討する。
本発明は、ジアゾキシドを、場合によりリルゾール、その神経保護に活性である誘導体、その医薬上許容し得る塩と、適合可能でありかつ医薬上許容し得る1種以上の希釈液及び/又はアジュバントによって混合することからなる本発明による薬剤の調製方法にも関する。
本発明は、網膜虚血に関連した疾患に苦しむ、又は苦しむ可能性のある患者に、十分な量の上記のような医薬組成物を投与することからなる、網膜虚血に関連した疾患の治療及び/又は予防方法にも同様に関する。
本発明の枠内で、「網膜虚血に関連した疾患」とは、網膜の動脈又は静脈閉塞、眼挫傷からなる群、並びに老化関連黄斑変性(DMLA)、緑内障、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、炎症疾患、及び血液病のような慢性疾患からも選択される疾患を意味する。
本発明の他の利点及び特徴は、虚血ラットに対するジアゾキシドでの治療効果の研究に関する、以下に続く実施例を読めば明らかになるであろう。これらの実施例は、例証として示し、かつ本発明の範囲を限定するものとして解釈され得ない。実施例は、添付図面を参照する。
I.材料及び方法
I.1.動物
体重200〜250gのIFFA CREDOの科学飼育に由来するブラウンノルウェーラットを受領し、明暗サイクル(12時間/12時間)で、温度調節をした(18〜20℃の温度)部屋内の個別ケージ内に置く。研究中、動物は、食物及び水に自由に近付くことができる。
I.2.局所投与
ジアゾキシドを、ジメチルスルホキシド(DMSO)を全く有さない溶液中に溶解させる。このようにして得た溶液を、有効成分0.01%及びDMSO0.4%の最終点眼剤を得るために、滅菌生理血清中で希釈する。
局所投与は、第1グループに関して虚血終了後30分に、かつ第2グループに関して再灌流開始後24時間に、次いで4日間毎日、右目の結膜円蓋中の10μlの点眼剤の点滴注入によって実施する。
I.3.網膜虚血の誘発
ペントバルビタールナトリウムの腹腔内注射(60mg/kg)によるラットの全身麻酔後、瞳孔をMydriaticum(登録商標)滴の点滴注入によって拡大させる。オキシブプロカイン滴の点滴注入によって予め麻酔をかけた右目の前房に、ハンクの平衡塩類溶液(Hank’s Balanced Salt Solution)を含むタンクに接続された30Gの針を挿入する。40分間の持続時間の網膜虚血を、130mm Hgの眼内圧を生じさせることを可能にする、185cmの高さへの塩類溶液を含むタンクの上昇によって誘発する。虚血は、眼底の直接検眼法によって決定する、網膜血管中の血流消失を特徴とする。ラットは、7日の再灌流期間後に犠牲にする。白内障又は出血を進展させた全てのラットは、研究から排除した。
II.評価方法
II.1.電気生理学的分析
網膜電図検査法は、網膜の電気活性のための網膜機能の評価を可能にし、かつ治療分野において最も有望な物質を明らかにできる、潜在分子の急速スクリーニング用の特上のツールとなる。
網膜電図検査法は、ラットの全身麻酔下で、かつMydriaticum(登録商標)滴の点滴注入による瞳孔拡大後に実施する。動物は、予め12時間暗さに適応させ、次にファラデーケージ内に横向きに寝かせる。塩化銀(Ag/AgCl)のリングからなる測定電極は、右目の角膜上に置く。塩化銀の針からなる参照電極は、動物の耳に挿入する。これら全ての作業は、赤色光下で実施した。
光刺激は、視軸中で、眼から25cmに置いたストロボスコープによって生成する。持続期間10μsかつ強度2.5×10cd.s.m−2の白色光フラッシュにより、網膜の最大応答が可能になる。電気信号の回復、その増幅、その伝達及びそのマイクロコンピュータ上の視覚化は、コンパクトシステムによって管理する。統合ソフトウェアにより、データ獲得、並びに網膜電図(ERG)の様々な波の振幅及び潜伏時間決定が可能になる。ラットにおけるERGは、2つの波からなる;すなわち光受容体の活性を反映する角膜陰性波又はA波、その後に続く、ミュラー細胞の活性を反映する陽性極性波又はB波である。
グループ全体に関して、ERGは、虚血誘発前の時点t=0で、次に再灌流開始後1、2、3及び7日の時点で記録する。
II.2.組織学的分析
再灌流7日目に、動物を過量のペントバルビタールナトリウムの心臓内注射によって犠牲にする。眼は、摘出し、4%のパラホルムアルデヒド溶液中に2時間固定し、次に20%のショ糖溶液中に一晩、撹拌して移す。次に眼は、ティシュ・テック中に含め、液体窒素で冷却したイソペンタン中で凝固させ、次に−80℃で保存する。網膜の形態変化を分析するために、7μmの切片をクリオスタット(Leica)で作成し、ポリリジン薄片に取り付け、かつトルイジンブルーで着色する。
II.3.統計分析
ERGのA及びB波の虚血前振幅は、グループによって非常に異なるが、同じグループ内部でも非常に異なる。回復は、初期値の百分率で表現し、かつ各治療間の効率差は、マン・ウィットニーU検定を用いて分析する。有意閾値は、0.02である。
III.結果
III.1.網膜電図の分析表
図1は、基準、虚血かつ非治療、及び虚血−治療ラットにおいて虚血終了後7日の時点で記録した網膜電図の分析表を比較する。対照グループの正常ERG(図1A)と比較して、虚血−非治療グループにおいてB波及びA波でも大幅な減少が観察される(図1B)。網膜のこの電気活性減少は、ジアゾキシドで治療したグループにおいて、遥かに強烈でない(図1C−1D)。
III.2.網膜電図のA及びB波の振幅の変化
図2は、24、48、72及び168時間の時点で記録したA及びB波の振幅の変化を示す。非虚血基準ラットにおいて、A及びB波の振幅は、期間中変化しないままである。他の虚血ラットグループにおいて、研究の様々な時点でA及びB波の振幅の変化に気が付く。
これらの変化は、虚血−非治療グループにおいて、網膜の電気活性の重度の変質を特徴とする。再灌流開始後7日で、A及びB波の振幅回復は、それぞれ基準値の40.55±13.50及び31.88±18%に等しい。
逆に、再灌流開始後30分、及び4日間毎日、0.01%のジアゾキシドで治療したグループにおいて、回復は、再灌流開始後3日で事実上、完全である。A及びB波の振幅は、それぞれ初期値の97.01±13及び96.36±11%に等しい。この回復は、僅かに衰え、虚血終了後7日の時点で初期値の88.10±14及び75±14%のそれぞれの値に達する。
再灌流開始後24時間でのジアゾキシド適用は、3日の時点で網膜の視覚機能の完全回復を可能にしない。それでも、虚血かつ非治療グループと比較して、網膜の電気活性のより良い回復が可能になる。A及びB波の振幅値は、それぞれ3日の時点で84.26±10及び88.17±14%に、かつ7日の時点で87.59±16%及び70.59±16%に等しい。
最後に、虚血−非治療グループと比較して、統計分析は、虚血終了後30分又は24時間で点滴注入したジアゾキシドが、網膜機能回復に対して大いに有意な効果を有することを示す。
III.3.網膜の細胞構築
図3は、様々なグループにおける網膜の細胞構築を示す。「対照」グループ(図3A)と比較して、虚血−非治療グループの網膜は、細胞死と関連した神経節細胞層の重度の発作、及び内網状層の厚さの事実上全体的な減少を示している。非常に重度に罹患した内核層は、ピクノティック状態(etat picnotique)で散在する細胞の存在を特徴とする。並行して、光受容体層は、光受容細胞核の列数の減少、並びに内及び外節の厚さ減少を特徴とする(図3B)。
ジアゾキシドで治療したグループの網膜(図3C及び3D)は、内核及び網状層の厚さのより軽症な減少を示すが、神経節細胞及び光受容細胞層のより良好な保護も同様に示す。
(参考文献)
Figure 0004966651
Figure 0004966651
Figure 0004966651
網膜虚血終了後7日に様々なテストグループ(AからD)で記録された網膜電図を表す分析表である。図1Aは、対照グループ(非虚血かつ非治療の基準ラット)に、図1Bは、40分の虚血を被ったが、非治療のラットグループに、図1Cは、虚血終了後30分で適用したジアゾキシドによって治療したラットグループに、かつ図1Dは、虚血終了後24時間で適用したジアゾキシドによって治療したラットグループに対応する。 様々なテストグループに関する、24、48、72及び168時間の時点での網膜電図のA波(図2A)及びB波(図2B)の振幅を表す。様々なテストグループは、以下の通りである:i)非虚血かつ非治療の基準ラットの検査グループ、ii)40分の虚血を被ったが、非治療のラットグループ、iii)虚血終了後30分で適用したジアゾキシドによって治療したラットグループ、及びiv)虚血終了後24時間で適用したジアゾキシドによって治療したラットグループ。 値は、基準値±標準偏差の百分率で表現する(各ヒストグラムに関して、n=7)。★は、虚血−非治療又は虚血−ジアゾキシド治療グループ及び対照グループの間の有意差を示す。★★は、虚血−非治療グループ又は虚血−ジアゾキシド治療グループの間の有意差を示す。 様々なテストグループ(AからD)における虚血終了後7日の時点での網膜の細胞構築を表す顕微鏡写真を表す。図3Aは、対照グループ(非虚血かつ非治療の基準ラット)に、図3Bは、40分の虚血を被ったが、非治療のラットグループに、図3Cは、虚血終了後30分で適用したジアゾキシドによって治療したラットグループに、かつ図3Dは、虚血終了後24時間で適用したジアゾキシドによって治療したラットグループに対応する。使用した略語は、次の通りである:− CCGは、神経節細胞層であり、− CPIは、内網状層であり、− CNIは、内核層であり、− CPEは、外網状層であり、− CNEは、外核層であり、− SIは、内節であり、− SEは、外節であり、− EPRは、網膜色素上皮である。

Claims (5)

  1. 網膜の静脈閉塞又は緑内障である網膜虚血に関連した疾患の治療又は予防のための薬剤を調製するためのジアゾキシド(7−クロロ−3−メチル−2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−1,1−ジオキシド)を含む医薬組成物の使用。
  2. 前記医薬組成物は、0.001%〜0.1%のジアゾキシドを含むことを特徴とする請求項1に記載の使用。
  3. 前記医薬組成物は、リルゾール又はその医薬上許容し得る塩を更に含むことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の使用。
  4. 眼内に局所適用する薬剤を調製するための請求項1から3のいずれかに記載の使用。
  5. 前記医薬組成物は、洗眼剤の形状を呈することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の使用。
JP2006505715A 2003-03-11 2004-03-11 網膜虚血の治療におけるジアゾキシドの使用 Expired - Fee Related JP4966651B2 (ja)

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