JP4963621B2 - 低NOxガスバーナ - Google Patents

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Description

本発明は、ガスバーナに関し、特に燃焼効率を低下させることなく、又、COの発生量を増大させることなく、窒素酸化物の発生を抑制し得る低NOxガスバーナに関する。
本願出願人は、先に特許第2852108号及び特許第3014166号により、低NOxバーナを開示したが、本発明はそれらを改良し、更に低NOx化を図るものである。
本願出願人の特許第2852108号(下記の特許文献1)に係る発明は、円形の火炎放射口を有し、ウインドボックスに連なる円筒状のエアコーンと、内外二重の円筒壁と、内外円筒壁の間をその両端部で閉鎖する環状壁とから成り、外側壁の火炎放射口側には複数のガス噴射ノズルが設けられ、エアコーンの内部に同軸に配置され、その外側壁とエアコーンの内面との間と、内筒内部とにそれぞれ空気供給路を形成すると共に、燃料ガス供給管に接続し、燃料ガス供給管から供給される燃料ガスをガス噴射ノズルから噴射するガスヘッダと、エアコーンの内径より小さい最大径を有し、上記ガスヘッダのガス噴射ノズルより奥側(火炎放射口と反対側)でガスヘッダの外壁に取付けられる保炎板と、ガスヘッダの前面(火炎放射口側)に設けられる制風板と、その他公知の構成要素とから成るガスバーナにおいて、保炎板の周縁に切欠きを設けたり、又は空気流通孔を設けたりして、保炎板の下流に不均一な空燃比分布を生じさせることにより、所謂濃淡燃焼を行わせることを特徴とするものである。
又、その改良として、本願出願人の特許第3014166号(下記の特許文献2)に係る発明にあっては、上記の如きガスバーナにおいて、保炎板に設けられる空気供給路となる複数の孔または切欠きの位置に対応して、ガス噴射ノズルの位置若しくはガス噴射方向を適切に設定すること、具体的には、ガスヘッダのガス噴射ノズルの少なくとも一部、望ましくは半数以上を、保炎板に設けられる空気供給路となる複数の孔または切欠きの存しない方向に向けて開口させること、更には又、保炎板に空気供給路を形成するため設けられる切欠きまたは孔に、それぞれその中心軸側の縁辺から火炎放射口に向かって延びる隔離板を設けること、更に又、保炎板と制風板の位置に対応して、エアコーンの前面開口の位置を適切に選定することによって、燃焼効率を損なうことなく、又、COの発生を増大せしめることなく、窒素酸化物NOxの発生を少なくし、かつ、拡散形あるいは広角形の安定した火炎を発生させることに成功した。
特許第2852108号公報 特許第3014166号公報
然しながら、この先発明バーナ(上記特許第3014166号に係るバーナ。以下、同様。)には更に改良の余地があることが判明した。
即ち、この先発明バーナは、一般にボイラや冷温水発生装置等に使用され、東京都の低NOx基準となっているNOx排出濃度60ppm[O2=0%換算値(以下同じ)]以下を達成すべく発明されたもので、40〜60ppm程度のNOxの排出濃度で燃焼を行うものであるが、近年、大気汚染が問題視される中、大気汚染物質の一つとしてのNOxの排出量の更なる低減が望まれている。
本発明は、この要望に応えるべく、NOxの排出濃度を従来比半減を目標に、先発明バーナに改良を加えた結果、20〜30ppmを達成したものである。
前記特許3014166号で開示したバーナは、4種類の低NOx化技術、即ち、(イ)自己排ガス再循環、(ロ)薄膜火炎、(ハ)分割火炎、(ニ)濃淡燃焼、という4種類の低NOx化技術を組み合わせたものであった。
これに対して本発明は、更に次の2種類、即ち、(ホ)燃料二段燃焼、(ヘ)希薄予混合燃焼、という低NOx化技術を組み合わせたことを特徴としている。
即ち、本発明に係る低NOxガスバーナは、
バーナの中心軸の周りに、下記のa項及びb項に記載の火口、即ち、
a)バーナの中心軸に交差する方向に、ガス濃度の高い低空気比燃焼火炎を発生する第一火口(Rich combustion burner)と、
b)バーナの中心軸に略平行な方向に、ガス濃度の低い高空気比燃焼火炎を発生する第二火口(Lean combustion burner)と、
をそれぞれ複数配置して成ることを特徴とするものである。
尚、本明細書及び特許請求の範囲において、「火口」とは、燃料ガスが自由空間に噴出する開口をいうものとする。
第一火口と第二火口の配置に関してはさまざまな態様のものが可能であり、例えば、第一火口と第二火口を円周方向に交互に配設したり、第一火口と、第二火口を、それぞれバーナ中心軸と同心に設けられる第一ピッチサークルC1上と、第二ピッチサークルC2上に位置するように配設したりすることが可能である。
また、第二火口が、第一火口より前方に、かつ第一ピッチサークルC1の外側に開口するよう配設することが推奨される。
更にまた、第一火口の開口中心線がバーナ中心線と直交するよう構成することも推奨される。
第二火口から噴射するガス量は、全ガス量の25%以上、75%以下とすることが望ましく、最も望ましくは、全ガス量の40%以上、60%以下とすることが好適である。
又、第二火口から噴射する予混合ガスの空気比は、1.5以上、2.0以下とすることが望ましく、最も望ましくは、1.6以上、1.8以下とすることが好適である。
本発明の具体的で好適な一形態に係る低NOxガスバーナは、
前側に円形の火炎放射口を有し、後側はウインドボックスに連なる円筒状のエアコーンと;
内外二重の円筒壁と、内外円筒壁の間をその前後両端部で閉鎖する環状壁とから成り、エアコーンの内部に同軸に配置され、その外側円筒壁とエアコーンの内面との間と、内側円筒壁の内部とにそれぞれ空気供給路を形成すると共に、外側円筒壁の火炎放射口側には上記第一火口のための複数の第一ガス噴射ノズルが設けられ、燃料ガス供給管から供給される燃料ガスを上記第一ガス噴射ノズルから噴射するガスヘッダと;
直径はエアコーンの内径より小さく、上記ガスヘッダが貫通する中心孔と、空気供給路となる複数の孔又は切欠きとを有し、上記ガスヘッダの外側円筒壁の上記第一ガス噴射ノズルより後側に取り付けられる保炎板と;
ガスヘッダの前面に設けられる制風板と;を具備し;
ガスヘッダの第一ガス噴射ノズルの少なくとも一部を、保炎板に設けられる空気供給路となる前記複数の孔又は切欠きの存しない方向に向けて開口させると共に;
上記保炎板に形成した上記空気供給路となる複数の孔又は切欠き部分に、保炎板に対して前後方向に延びる隔離板又は隔離管を取り付け;
当該隔離板又は隔離管の内部で開口するよう、上記第二火口のための第二ガス噴射ノズルを隔離板又は隔離管の後端側から導入し、隔離板又は隔離管の前端側開口部が上記第二火口を形成するよう構成したこと;
を特徴とする。
その場合において、第一ガス噴射ノズルの少なくとも半数以上、若しくは全部を、保炎板に設けられる空気供給路となる複数の孔又は切欠きの存しない方向に向けて開口させることが推奨される。
又、制風板には、その中心軸の回りに複数の空気孔を設けることが望ましく、当該空気孔は、制風板の中心軸を中心として放射状かつ対称に設けられた旋回空気流発生用の切起こしにより形成することが推奨される。
エアコーンの火炎放射口側の開口は、制風板よりエアコーン直径の1/10だけ前方の前方限界から、保炎板と同一平面上の後方限界までの間に位置するよう構成したり、第一ガス噴射ノズルを覆う前方限界から、保炎板と同一平面上の後方限界までの間に位置するよう構成したり、或いはまた、第一ガス噴射ノズルが開口する前方限界から、保炎板と同一平面上の後方限界までの間に位置するよう構成することが望ましい。
以上の本発明に係る低NOxガスバーナの特徴を要約して説明すれば、下記の通りである。
(1)本発明においては、先発明バーナにおけるガス噴射ノズル(以下、「一次ガス噴射ノズル」という。)による火口(本発明において「第一火口」という。)に加えて、第二火口を設けるものであり、そのため、本発明の望ましい形態においては、先発明バーナにおける保炎板の後ろ側に、第二火口用の新たな二次ガス噴射ノズルを設け、これを囲うように保炎板の後ろ側まで延長された隔離板又は隔離管の内部に二次ガスを噴射するように構成する。
(2)上記二次ガスによって、隔離板又は隔離管の内部に希薄予混合ガスを作り、先端の開放部(第二火口)において希薄予混合燃焼させる。
(3)保炎板の前側に配置された第一火口用の一次ガス噴射ノズル(先発明バーナのガス噴射ノズルに相当)から噴射される一次ガスを低空気比(即ち、高いガス濃度)で燃焼させ、保炎板の後ろ側に配置された第二火口用の二次ガス噴射ノズル(本発明において新たに設けられたノズル)から噴射される二次ガスを、高空気比(即ち、低いガス濃度)で燃焼させることで、燃料二段燃焼を行うようにする。
(4)先発明バーナは、前記の如く、自己排ガス再循環、薄膜火炎、分割火炎、濃淡燃焼の組み合わせであるが、本発明は、さらに希薄予混合燃焼、燃料二段燃焼を組み入れたものである。
(5)エアコーンの最も望ましい開口位置は、一次ガス噴射ノズルが全露出する前方限界から、保炎板と同一平面上の後方限界までの間である。
(6)隔離板(隔離管)の先端の位置は、一次ガス噴射ノズルの開口を覆う位置から、制風板よりもやや前方の位置までの間とすることが望ましい。
(7)第二火口の予混合部の二次ガス量は全体の25〜75%とするが、40〜60パーセントが最も望ましい。
(8)第二火口の予混合部の空気比は1.5〜2.0とするが、1.6〜1.8が最も望ましい。
(9)先発明バーナは、NOxの排出濃度60ppm(O2=0%換算値)以下を目的に発明されたもので、40〜60ppm程度のNOx排出濃度で燃焼を行うものであるが、本発明は、そのような先発明バーナに上記第二火口を加えるという改良を施すことにより、従来比にして半減の20〜30ppmを達成したものである。
このように、本発明は前記の如き先発明バーナにおいて、保炎板の後ろ側に配置され、ガスヘッダの外側壁に設けられた、空気供給路となる複数の孔または切欠きと同数の二次ガス噴射ノズルを、保炎板の後ろ側まで延長された隔離板又は隔離管の内部まで導入し、適切にガス量を設定することにより、隔離板内または隔離管内において希薄予混合燃焼を行うことができる。
又、保炎板の前側に配置された一次ガス噴射ノズルから噴射されるガスを低空気比で燃焼させ、保炎板の後ろ側に配置された二次ガス噴射ノズルから噴射されるガスを高空気比で燃焼させることで燃料二段燃焼が達成される。
これらの希薄予混合燃焼、燃料二段燃焼という二つの低NOx化技術を追加して組み合わせることで、本発明においては、NOxの排出濃度を従来比半減の20〜30ppmにすることができる。
以下、図面に示す実施例を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は本発明に係る低NOxガスバーナの一実施例の構成を示す断面図、図2は図1に示した低NOxガスバーナの正面図、図3は本発明に係る低NOxガスバーナのもう一つの実施例の構成を示す断面図、図4は図3に示した低NOxガスバーナの正面図、図5は更に別の実施例における一次ガス噴射ノズル、二次ガス噴射ノズル及び隔離管の配置を示す断面図、図6は本発明に係る低NOxガスバーナの更にもう一つの実施例の構成を示す断面図、図7は図6に示した低NOxガスバーナの正面図、図8は図3に示した実施例における第一火炎(低空気比燃焼火炎)及び第二火炎(高空気比燃焼火炎)の形成状態を示す断面図、図9は図8に示した第一及び第二火炎の形成状態を示す正面図である。
而して、これらの図中、1,11はエアコーン、2は取付フランジ、3はウインドボックス、4は図示されていない送風機に接続する空気供給管、5,15はガスヘッダ、5a,15aは一次ガス噴射ノズル、5b,15bは二次ガス噴射ノズル、6は燃料ガス供給管、7,17は保炎板、7aは切欠き、17aは孔、
8は制風板、8aは切起こし、9は隔離板、20は隔離管、A1〜A4は空気流、f1は第一火口、f2は第二火口、F1は第一火炎(低空気比燃焼火炎)、F2は第二火炎(高空気比燃焼火炎)、G1は一次ガス、G2は二次ガス、W1〜W4は空気供給路である。
まず、図1及び図2に示した実施例について説明する。
エアコーン1とウインドボックス3とは、このガスバーナを所望の場所に取り付けるため設けられる取付フランジ2に溶接される。ガスヘッダ5は、内外二重の円筒壁と、当該内外円筒壁の間をその前後両端部で閉鎖する環状壁とから成り、外側の円筒壁の火炎放射口側端部近くには複数の一次ガス噴射ノズル5aが設けられる。
このガスヘッダ5はエアコーン1の内部に同軸に配置され、その外側円筒壁とエアコーン1の内面の間と、内側円筒壁の内部とには、それぞれ空気供給路が形成される。一方、このガスヘッダ5は、燃料ガス供給管6に接続され、そこから供給される燃料ガスを一次ガス噴射ノズル5aから噴射する。ガスヘッダ5の前面には、制風板8が設けられている。
この制風板8は、略円形の板であり、空気の供給路を開くために、その中心軸の周りに放射状かつ回転対称に、複数の切起こし8a、8aが設けられている。この切起こし8a、8aを設けるのは、切起こし8a、8aによって生じる開口から噴出する空気により、火炎噴射口の中心軸の周りに強い旋回気流を生じさせるためである。
この切起こし8a、8aにより開かれた空気供給路をW1(図2参照)とし、制風板8とガスヘッダ5の端面との間を通り、制風板8の外周縁の外側からその前方に流れる空気供給路をW2とする。
公知の保炎板7は環状の板であり、上記ガスヘッダ5の外側円筒壁の一次ガス噴射ノズル5aより後側、即ち、火炎放射口とは反対側に取り付けられる。又、公知の保炎板は、その外径がエアコーン1の内径より小さく、そのためエアコーン1の内面と保炎板の外周縁との間にも空気の供給路W4が形成されている。
又、この保炎板7には、切欠き7a(図4の実施例の場合は孔17a)を設けて、空気供給路W3を形成する。この切欠き又は孔には、保炎板の後側まで延びる隔離板9(図4の実施例の場合は隔離管20)を設ける。
又、保炎板7の後側に配置され、ガスヘッダ5の外側円筒壁に設けられた、保炎板の複数の切欠き又は孔と同数の二次ガス噴射ノズル5bを、保炎板の後側まで延長された隔離板9又は隔離管の内部まで導入する。
従って、本発明に係る低NOxガスバーナにおいて、燃焼のため供給される空気は、制風板8に設けた切起こし8a、8aにより開かれた第一の空気供給路W1を通る一次空気A1(図1参照)と、制風板8の外周縁を通過する第二の空気供給路W2を経由する二次空気A2と、保炎板7に設けた切欠き又は孔により開かれた第三の空気供給路W3を通る三次空気A3と、エアコーン1と保炎板7との間に設けられた間隙を経由する第四の空気供給路W4を通る四次空気A4とである。
又、燃料ガスは、ガスヘッダ5の保炎板より前側に配置された複数の一次ガス噴射ノズル5aから噴射される一次ガスG1と、保炎板の後側に配置され、保炎板の後側まで延長された隔離板又は隔離管の内部まで導入された複数の2次ガス噴射ノズル5bから噴射される二次ガスG2とである。
上記一次ガス噴射ノズル5aから噴射された一次ガスは空気と混合されて、ガス濃度の高い低空気比ガスとなり、第一火口f1において低空気比燃焼が行われる。
他方、上記二次ガス噴射ノズル5bから噴射された二次ガスは空気と混合されて、ガス濃度の低い高空気比ガスとなり、第二火口f2において高空気比燃焼が行われる。
この実施例において、複数の一次ガス噴射ノズル5a(及びこれによって形成される複数の第一火口f1)は、図2に示すように、バーナ中心軸と同心に設けられる第一ピッチサークルC1上に配置され、又、複数の二次ガス噴射ノズル5b(及びこれによって形成される複数の第二火口f2)は、バーナ中心軸と同心に設けられる第二ピッチサークルC2上に配置されている。
又、図1に示すように、第二火口f2は、第一火口f1より前方に、かつ、図2に示すように、第一ピッチサークルC1の外側に開口するように配置されている。
又、図2に示すように、一次ガス噴射ノズル5a(第一火口f1)の開口中心線は、バーナ中心線と直交するように設けられている。
本発明の特徴の一つは、先発明バーナの場合と同様に、保炎板7に設けた空気供給路とガスヘッダ5に設けた一次ガス噴射ノズル5aの相対位置関係に関するものであり、その特徴とするところは、後者の少なくとも一部を、保炎板7の空気供給路を形成する切欠き7a又は孔の存しない領域に向けて開口させることである。
本発明のもう一つの新たな特徴は、一次ガスG1を燃焼させる空気比と二次ガスG2を燃焼させる空気比との相関関係に関するものであり、その要旨とするところは、一次ガスG1は低空気比で燃焼させ、二次ガスG2は高空気比(1.5〜2.0程度)により希薄予混合燃焼をさせることで、全体としては適正空気比として、完全燃焼させる点にある。
図1及び図2に示された実施例では、保炎板7の外周縁に、6個のV字形の切欠き7a、7aが回転対称に設けられており(図2参照)、かつ、その周縁にはV字形鋼から成る隔離板9、9が設けてあり、一次ガス噴射ノズル5a、5aは相隣る隔離板9、9、即ち、切欠き7a、7aの間に向けて開口させてある。
図1及び図2に示す実施例において、二次ガス噴射ノズル5bは、保炎板の後側まで延長されたV字型鋼から成る隔離板9の内部で開口するよう、隔離板9の内部に導入されている。
このように構成すると、一次ガス噴射ノズル5a、5aから噴出する一次ガスG1は、火炎放射口の近傍では、第二の空気供給路W2を流れる空気A2としか接触せず、特に、第三及び第四の空気供給路W3及びW4を流れる空気A3及びA4と混合する時期が遅れることとなる。
一方、この一次ガスは、第一の空気供給路W1を流れる旋回空気流A1により外方に押し広げられて薄層状となり、空気流A1、A3及びA4に挟まれて、燃焼する。この空気流A1とA4は略均一な気流であるが、A3は不均一な気流である。このため、火炎は薄層状または花弁状となると共に、濃淡燃焼が行われることとなる。
本発明は、更に、第三の空気供給路W3に、二次ガス噴射ノズル5bを導入し、二次ガスG2を高空気比希薄予混合燃焼させることを特徴としている。
希薄予混合燃焼は、空気が燃料に対して過剰に存在している燃焼形態であるため、平均燃焼温度が制御され、更に、燃料と空気が良く混合されているため、局所的な高温領域の形成が排除されると共に、燃焼温度が空間的にほぼ均一であるので、NOxの生成抑制にとってきわめて効果的である。
混合気を希薄にするほどNOxの発生を抑制することが出来るが、反面、燃焼温度が抑制されるので、COの発生の増大、リフト燃焼による不安定燃焼等が生ずる傾向がある。
そこで、本発明バーナにおいては、先発明バーナの基本的な燃焼原理を維持しながら、新たに希薄予混合燃焼を組み入れているため、一次ガス噴射ノズル5aから噴射される一次ガスGlの分割薄膜火炎に希薄予混合火炎が包まれるような状態となり、これによって、希薄予混合燃焼が安定燃焼を維持できる希薄限界となる燃料濃度を十分に低下させても、安定燃焼を継続可能としている。
さらに、前記説明による、二次ガスG2の高空気比希薄燃焼が可能になることにより、一次ガスGlの燃焼は、必然的に低空気比となる。更に、一次ガスGlの燃焼は、前記の通り、薄膜分割火炎、濃淡燃焼であるため、燃焼火炎の大部分において、きわめて低空気比(理論空気量以下)になっている。この結果として、きわめて効果的な燃料二段燃焼が可能となる。
以上の如く、本発明は、多種類の低NOx化原理を複合的に組み合わせた低NOxバーナであり、この実施例装置においては、燃焼効率を損なうことなく、又、COの発生を増大せしめることなく、窒素酸化物NOxの発生を従来比半減の20〜30ppmとすることが可能となった。
次に、図3及び図4に示す実施例について説明する。
上記図1及び図2に示す実施例においては、保炎板7に切欠き7aを形成し、ここに隔離板9を取り付けたのに対して、図3及び図4に示す実施例においては、保炎板7に孔17a)を形成し、ここに隔離管20を取り付けた点が相違している。
図3及び図4に示す実施例においても、ガスヘッダ5の先端外周部に設けた複数の第一ガス噴射ノズル5aによって複数の第一火口f1が形成されると共に、上記隔離管20内でそれぞれ開口する第二ガス噴射ノズル5bによって複数の第二火口f2が形成されるようになっている。
上記第一火口f1においては、低空気比燃焼が行われ、第二火口f2においては、高空気比燃焼が行われる点は、前記図1及び図2に示す実施例の場合と同様である。
図5には、上記図3及び図4に示す実施例における隔離管及びその内部に開口する第二ガス噴射ノズルの数を6個から4個に変更した実施例が示されている。
図5中、11はエアコーン、15はガスヘッダ、15aは一次ガス噴射ノズル、15bは二次ガス噴射ノズル、17は保炎板、17aは保炎板17に明けた丸孔、20は当該丸孔に取り付けた隔離管である。
また、前記同様、複数の一次ガス噴射ノズル15aは、バーナ中心軸と同心に設けられる第一ピッチサークルC1上に配置され、複数の二次ガス噴射ノズル15bは、第二ピッチサークルC2上に配置されている。
この実施例において、第三の空気供給路W13を形成するのは、保炎板17に設けた4個の丸孔17aであり、当該丸孔に挿通した状態で取り付けられた隔離管20は円筒である。
又、一次ガス噴射ノズル15aは合計12個設けられているが、その内8個は相隣る円筒状の隔離管20、20の間にガスを噴出する位置に設けられているが、残りの4個は一つの隔離管の中心に向けて開口せしめられている。このように構成しても、本発明の効果に格段の差異はなく、前記実施例と同様の作用効果を達成することができる。
尚、これらの実施例に示した隔離板9又は隔離管20の先端の位置は、一次ガス噴射ノズル5a又は15aの開口を覆う位置から、制風板8よりもやや前方の位置までの間とすることが望ましい。隔離板9又は隔離管20が短か過ぎて、一次ガス噴射ノズル5a又は15aの開口が露出するようであると、隔離板9又は隔離管20を設けた効果が見られず、又これが長大に過ぎると、空気流A3とガスが混合する時期が遅れ、COの排出量が増加する。
この隔離板9又は隔離管20の長さ、特にその先端の位置により、空気流A3との混合率を制御できるので、この長さはバーナの使用目的に合わせて適宜に設定する。又、この隔離板又は隔離管は、必ずしもバーナの中心軸に完全に平行でなくとも良く、例えば下流へ向けて外側に広がるように幾分傾斜させて設けることもある。
又、本発明においては、エアコーンの火炎放射口側の開口の位置が極めて重要である。この開口は、少なくとも制風板よりエアコーン直径の1/10だけ前方の前方限界から、保炎板と同一平面上の後方限界までの間に位置させることが必要である。この開口の位置が上記の範囲外であると、NOxを低減することができない。
更にCOを低減しつつ、NOxを減少させるには、エアコーンは、一次ガス噴射ノズルを覆う前方限界から、保炎板と同一平面上の後方限界までの間に開口させることが望ましい。エアコーンの最も望ましい開口位置は、一次ガス噴射ノズルが全露出する前方限界から、保炎板と同一平面上の後方限界までの間である。
又、本発明においては、二次ガスG2の量とG2を燃焼させる空気比が極めて重要である。
二次ガスG2の量は全ガス量(G1+G2)の25〜75%とし、空気比を1.5以上とするのが望ましい。最も望ましい二次ガスG2の量は40〜60%、最も望ましい空気比は1.6〜1.8である。
一次ガスG1の量とG1を燃焼させる空気比は、二次ガスG2の量と空気比により必然的に決まる。
この相関関係は極めて重要であり、バーナの使用目的に合わせて適宜に設定する。
図6及び図7には、本発明に係る低NOxガスバーナの更にもう一つの実施例が示されている。
この実施例においては、ガスヘッダ5が、前記実施例の如く内外二重円筒壁から成るものではなく、両端の閉鎖された一枚の円筒缶から成り、その前面に制風板8が設けられていない点が、これまでの実施例のものと異なっている。
他の構成は、これまでの実施例と同様であり、第一ガス噴射ノズル5aによって低空気比燃焼火炎を発生する第一火口f1が形成され、第二ガス噴射ノズル5bによって高空気比燃焼火炎を発生する第二火口f2が形成される点も同様である。
図8及び図9には、図3に示した実施例における第一火炎(低空気比燃焼火炎)及び第二火炎(高空気比燃焼火炎)の形成状態が示されている。
図8及び図9中に示す第一火炎(低空気比燃焼火炎)F1は、第一ガス噴射ノズル5aによる第一火口f1から発生し、第二火炎(高空気比燃焼火炎)F2は、第二ガス噴射ノズル5bによる第二火口f2から発生している状態が示されている。
尚、本発明の構成は叙上の実施例に限定されるものでなく、特に、第三の空気供給路を生成するため保炎板に設ける切欠きまたは孔の形状、数および配置、隔離板又は隔離管の形状、ガス噴射ノズルの数などは自由に選定し得るものであり、又、上記には説明を省略したバーナ自体の形状や上記以外の構成要素に関しても、広く公知のものに利用できるものであって、本発明はそれらの全てを包摂するものである。
本発明は上記の如く構成されるので、本発明によるときは、大気汚染物質の一つとしてのNOxの排出濃度を、従来比半減の20〜30ppmに抑制することが可能となり、産業上多大の利用価値を有するものである。
本発明に係る低NOxガスバーナの一実施例の構成を示す断面図である。 図1に示した低NOxガスバーナの正面図である。 本発明に係る低NOxガスバーナのもう一つの実施例の構成を示す断面図である。 図3に示した低NOxガスバーナの正面図である。 更に別の実施例における一次ガス噴射ノズル、二次ガス噴射ノズル及び隔離管の配置を示す断面図である。 本発明に係る低NOxガスバーナの更にもう一つの実施例の構成を示す断面図である。 図6に示した低NOxガスバーナの正面図である。 図3に示した実施例における第一火炎(低空気比燃焼火炎)及び第二火炎(高空気比燃焼火炎)の形成状態を示す断面図である。 図8に示した第一及び第二火炎の形成状態を示す正面図である。
符号の説明
1,11 エアコーン
2 取付フランジ
3 ウインドボックス
4 空気供給管
5,15 ガスヘッダ
5a,15a 一次ガス噴射ノズル
5b,15b 二次ガス噴射ノズル
6 燃料ガス供給管
7,17 保炎板
7a 切欠き
17a 孔
8 制風板
8a 切起こし
9 隔離板
20 隔離管
A1〜A4 空気流
f1 第一火口
f2 第二火口
F1 第一火炎(低空気比燃焼火炎)
F2 第二火炎(高空気比燃焼火炎)
G1 一次ガス
G2 二次ガス
W1〜W4 空気供給路

Claims (14)

  1. ガスヘッダ(5、15)の先端部がエアコーン(1、11)の開口から外方に突出するよう構成し、更に、バーナ中心軸の周りに、下記のa項及びb項に記載の火口をそれぞれ複数配置して成る低NOxガスバーナ。
    a)ガスヘッダ(5、15)のエアコーン(1、11)の開口部から外方に突出した部分に複数配置され、燃料ガスを噴射し、バーナの中心軸に交差する方向に、ガス濃度の高い低空気比燃焼火炎(F1)を発生する第一火口(f1)。
    b)ガスヘッダ(5,15)の外側で、第一火口(f1)より前寄りに複数配置され、燃料ガスと空気の混合ガスを噴射し、バーナの中心軸に略平行な方向に、ガス濃度の低い高空気比燃焼火炎(F2)を発生する第二火口(f2)。
  2. 第一火口(f1)と第二火口(f2)が円周方向に交互に配設された請求項1に記載の低NOxガスバーナ。
  3. 第一火口(f1)の開口中心線がバーナ中心線と直交する請求項1又は2に記載の低NOxガスバーナ。
  4. 第二火口(f2)から噴射するガス量が、全ガス量の25%以上、75%以下である、請求項1ないし3の何れか一に記載の低NOxガスバーナ。
  5. 第二火口(f2)から噴射するガス量が、全ガス量の40%以上、60%以下である、請求項4に記載の低NOxガスバーナ
  6. 第二火口(f2)から噴射する予混合ガスの空気比が1.5以上、2.0以下である、請求項1ないし5の何れか一に記載の低NOxガスバーナ
  7. 第二火口(f2)から噴射する予混合ガスの空気比が1.6以上、1.8以下である請求項6に記載の低NOxガスバーナ。
  8. 前側に円形の火炎放射口を有し、後側はウインドボックス(3)に連なる円筒状のエアコーン(1)と;
    内外二重の円筒壁と、内外円筒壁の間をその前後両端部で閉鎖する環状壁とから成り、エアコーン(1)の内部に同軸に配置され、その外側円筒壁とエアコーン(1)の内面との間と、内側円筒壁の内部とにそれぞれ空気供給路を形成すると共に、外側円筒壁の火炎放射口側には上記第一火口(f1)のための複数の第一ガス噴射ノズル(5a)が設けられ、燃料ガス供給管(6)から供給される燃料ガスを上記第一ガス噴射ノズル(5a)から噴射するガスヘッダ(5)と;
    直径はエアコーン(1)の内径より小さく、上記ガスヘッダ(5)が貫通する中心孔と、空気供給路となる複数の孔(17a)又は切欠き(7a)とを有し、上記ガスヘッダ(5)の外側円筒壁の上記第一ガス噴射ノズル(5a)より後側に取り付けられる保炎板(7)と;
    ガスヘッダ(5)の前面に設けられる制風板(8)とを具備し;
    ガスヘッダ(5)の第一ガス噴射ノズル(5a)の少なくとも一部を、保炎板(7)に設けられる空気供給路となる前記複数の孔(17a)又は切欠き(7a)の存しない方向に向けて開口させると共に;
    上記保炎板(7)に形成した上記空気供給路となる複数の孔(17a)又は切欠き(7a)部分に、保炎板(7)に対して前後方向に延びる隔離板(9)又は隔離管(20)を取り付け、当該隔離板(9)又は隔離管(20)の内部で開口するよう、上記第二火口(F2)のための第二ガス噴射ノズル(5b)を隔離板(9)又は隔離管(20)の後端側から導入し、隔離板(9)又は隔離管(20)の前端側開口部が上記第二火口(f2)を形成するよう構成したこと;
    を特徴とする請求項1ないし7の何れか一に記載の低NOxガスバーナ。
  9. 第一ガス噴射ノズル(5a)の少なくとも半数以上を、保炎板(7)に設けられる空気供給路となる複数の(17a)又は切欠き(7a)の存しない方向に向けて開口させた請求項8に記載の低NOxガスバーナ。
  10. 第一ガス噴射ノズル(5a)の全部を、保炎板(7)に設けられる空気供給路となる複数の孔(17a)又は切欠き(7a)の存しない方向に向けて開口させた請求項8に記載の低NOxガスバーナ。
  11. 制風板(8)がその中心軸の回りに設けられた複数の空気孔を具備する請求項8ないし10の何れか一に記載の低NOxガスバーナ。
  12. 制風板(8)の中心軸の回りに設けられる上記複数の空気孔が、制風板(8)の中心軸を中心として放射状かつ対称に設けられた旋回空気流発生用の切起こし(8a)により形成された請求項11に記載の低NOxガスバーナ。
  13. エアコーン(1)の火炎放射口側の開口が、制風板(8)よりエアコーン直径の1/10だけ前方の前力限界から、保炎板(7)と同一平面上の後方限界までのに位置する請求項8乃至12の何れか一に記載の低NOxガスバーナ。
  14. エアコーン(1)の火炎放射口側の開口が、第一ガス噴射ノズル(5a)が開口する前方限界から、保炎板(7)と同一平面上の後方限界までの間に位置する請求項13に記載の低NOxガスバーナ。
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