JP4962868B2 - 遊星歯車式変速機、無段変速装置および遊星歯車式変速機の組立方法 - Google Patents

遊星歯車式変速機、無段変速装置および遊星歯車式変速機の組立方法 Download PDF

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Description

本発明は、車両(自動車)用自動変速装置として、あるいは各種産業機械の運転速度を調節するための変速装置として利用する、遊星歯車式変速機、無段変速装置および遊星歯車式変速機の組立方法に関する。
自動車用自動変速装置としてトロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせて無段変速装置を構成する事が、従来から提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。図5は、このうちの特許文献2に記載された無段変速装置を示している。この無段変速装置は、トロイダル型無段変速機1と遊星歯車式変速機2とを組み合わせて成る。このうちのトロイダル型無段変速機1は、入力軸3と、一対の入力側ディスク4、4と、出力側ディスク5と、複数のパワーローラ6、6とを備えている。
また、遊星歯車式変速機2は、入力軸3および一方(図5の右方)の入力側ディスク4に結合固定されたキャリア7を備えている。このキャリア7の径方向中間部に、その両端部にそれぞれ遊星歯車8、9を固設した第一伝達軸10を、回転自在に支持している。また、キャリア7を挟んで入力軸3と反対側に、その両端部に太陽歯車11、12を固設した第二伝達軸13を、入力軸3と同心に、回転自在に支持している。そして、各遊星歯車8、9と、出力側ディスク5にその基端部(図5の左端部)を結合した中空回転軸14の先端部(図5の右端部)に固設した太陽歯車15または第二伝達軸13の一端部(図5の左端部)に固設した太陽歯車11とを、それぞれ噛合させている。また、一方(図5の左方)の遊星歯車8を、別の遊星歯車16を介して、キャリア7の周囲に回転自在に設けたリング歯車17に噛合させている。
一方、第二伝達軸13の他端部(図5の右端部)に固設した太陽歯車12の周囲に設けた第二キャリア18に遊星歯車19、20を、回転自在に支持している。なお、この第二キャリア18は、入力軸3および第二伝達軸13と同心に配置された、出力軸21の基端部(図5の左端部)に固設されている。また、各遊星歯車19、20は、互いに噛合するとともに、一方の遊星歯車19が太陽歯車12に、他方の遊星歯車20が、第二キャリア18の周囲に回転自在に設けた第二リング歯車22に、それぞれ噛合している。また、リング歯車17と第二キャリア18とを低速用クラッチ23により係脱自在とするとともに、第二リング歯車22とハウジング等の固定の部分とを、高速用クラッチ24により係脱自在としている。
このような無段変速装置の場合、低速用クラッチ23を接続するとともに高速用クラッチ24の接続を断った、所謂低速モード状態では、入力軸3の動力がリング歯車17を介して出力軸21に伝えられる。そして、トロイダル型無段変速機1の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速比、すなわち、入力軸3と出力軸21との間の変速比が変化する。このような低速モード状態では、無段変速装置全体としての変速比は、無限大に変化する。すなわち、トロイダル型無段変速機1の変速比を調節する事により、入力軸3を一方向に回転させた状態のまま出力軸21の回転状態を、停止状態を挟んで、正転、逆転の変換自在となる。
これに対して、低速用クラッチ23の接続を断ち、高速用クラッチ24を接続した、所謂高速モード状態では、入力軸3の動力が第一、第二伝達軸10、13を介して出力軸21に伝えられる。そして、トロイダル型無段変速機1の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速比が変化する。この場合には、トロイダル型無段変速機1の変速比を大きくする程、無段変速装置全体としての変速比が大きくなる。
また、図6に示すような無段変速装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この無段変速装置は、図5に示した従来から知られている無段変速装置と同様の機能を有するものであるが、遊星歯車式変速機2a部分の構造を工夫する事により、この遊星歯車式変速機2a部分の組立性を向上させている。入力軸3および一対の入力側ディスク4a、4bと共に回転するキャリア7aの両側面に、それぞれ一対ずつの遊星歯車25a、25b、26a、26bを、回転自在に支持している。そして、キャリア7aの各側面に支持した各遊星歯車25a、25b同士、各遊星歯車26a、26b同士を、互いに噛合させるとともに、内径側の遊星歯車25a、26aを、出力側ディスク5にその基端部(図6の左端部)を結合した中空回転軸14aの先端部(図6の右端部)および伝達軸27の一端部(図6の左端部)にそれぞれ固設した第一、第二太陽歯車28、29に、外径側の遊星歯車25b、26bをリング歯車30に、それぞれ噛合させている。
一方、伝達軸27の他端部(図6の右端部)に固設した第三太陽歯車31の周囲に設けた第二キャリア18aに遊星歯車32a、32bを、回転自在に支持している。なお、この第二キャリア18aは、入力軸3と同心に配置された出力軸21aの基端部(図6の左端部)に固設されている。また、各遊星歯車32a、32bは、互いに噛合するとともに、内径側の遊星歯車32aを第三太陽歯車31に、外径側の遊星歯車32bを、第二キャリア18aの周囲に回転自在に設けた第二リング歯車22aに、それぞれ噛合させている。また、リング歯車30と第二キャリア18aとを低速用クラッチ23aにより係脱自在とするとともに、第二リング歯車22aとハウジング等の固定の部分とを、高速用クラッチ24aにより係脱自在としている。
このように構成する改良された無段変速装置の場合、低速用クラッチ23aを接続し、高速用クラッチ24aの接続を断った状態では、入力軸3の動力が、リング歯車30を介して出力軸21aに伝えられる。そして、トロイダル型無段変速機1の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速比、すなわち、入力軸3と出力軸21aとの間の変速比が変化する。これに対して、低速用クラッチ23aの接続を断ち、高速用クラッチ24aを接続した状態では、入力軸3の動力が、各遊星歯車25a、25b、リング歯車30、各遊星歯車26a、26b、伝達軸27、各遊星歯車32a、32b、第二キャリア18aを介して、出力軸21aに伝えられる。そして、トロイダル型無段変速機1の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速比が変化する。
なお、次述する図7および図8に示すように、外径側の遊星歯車25として、軸方向寸法が長いものを使用するとともに、この長い遊星歯車25を内径側の遊星歯車25a、26aおよびリング歯車30aに噛合させる構造を採用しても、同様の機能を発揮できる。この場合には、直径の大きなリング歯車30aの軸方向寸法を短縮して、遊星歯車式変速機2bの軽量化を図れる。
前述した図5および図6の構造はともに、原理的なもので、具体的な構造を示したものではない。これに対して図7〜9は、従来の無段変速装置の具体的構造の一例を示している(例えば、特許文献5参照)。なお、この構造では、前述したように、外径側の遊星歯車25として軸方向寸法が長いものを使用するとともに、この長い遊星歯車25を、内径側の遊星歯車25a、26aおよびリング歯車30aに噛合させている。
ハウジング33内の所定位置に一対の支柱34、34を、連結板35とバルブボディー36とを介して支持固定している。このバルブボディー36は、トロイダル型無段変速機1の変速比を制御する為の制御弁装置を内蔵している。また、各支柱34、34の両端部には、パワーローラ6、6(図5参照)を支持するトラニオンの両端部を揺動および軸方向の変位自在に支持する為の支持板37、37を支持している。また、環状に形成した各支柱34、34の中間部同士の間に出力側ディスク5を、一対の転がり軸受38、38により、回転自在に支持している。そして、出力側ディスク5の内径側に中空回転軸14aの基半部(図7の左半部)を、スプライン係合に基づき、回転伝達自在に結合している。
そして、中空回転軸14aの内側に、入力軸3aを挿通している。この入力軸3aの中間部基端寄り部分に一方(図7の左方)の入力側ディスク4aを、ボールスプライン39を介して支持するとともに、油圧式の押圧装置40により入力側ディスク4aを、出力側ディスク5に向け、押圧自在としている。これに対して他方(図7の右方)の入力側ディスク4bは中空回転紬14aの中間部先端寄り(図7の右寄り)部分の周囲に、ラジアルニードル軸受41により、回転および軸方向の変位自在に支持している。そして、他方の入力側ディスク4bと入力軸3aとを、キャリア7aを介して結合している。したがって、出力側ディスク5を軸方向両側から挟む位置に設けた一対の入力側ディスク4a、4bは、入力軸3aとキャリア7aとを介して、同期して回転する。
キャリア7aは、図8および図9に詳示するように、断面L字形で全体を円環状とした中間支持板(板状部)42と、それぞれが円輪状に形成された第一連結板(板状部)43、第二連結板44との間に、それぞれ3本ずつの第一遊星軸(遊星歯車軸)45、第二各遊星軸(遊星歯車軸)46を、第一、第二両連結板43、44同士の間に3本の第三遊星軸(遊星歯車軸)47を、それぞれ掛け渡して成る。また、これら各遊星軸45〜47の周囲に各遊星歯車25a、26a、25を、それぞれラジアルニードル軸受(転がり軸受)48a、48b、48cを介して、回転自在に支持している。そして、外径側の遊星歯車25と内径側の各遊星歯車25a、26aとを互いに噛合させるとともに、内径側の遊星歯車25a、26aを、中空回転軸14aの先端部(図7、図8の右端部)に固設した第一太陽歯車28または伝達軸27の基端部に固設した第二太陽歯車29に、外径側の遊星歯車25をリング歯車30aに、それぞれ噛合させている。
また、中間支持板42の中心に設けた円筒部49は、入力軸3aの中間部先端寄り部分にスプライン係合させ、ローディングナット50により抑え付けている。なお、図9に示すように、中間支持板42の円輪部51と第一、第二各連結板43、44とは、各遊星歯車25a、26a、25から円周方向に外れた位置に設けた柱状の連結部57、57により、互いに連結している。図示の例の場合、キャリア7aを構成する中間支持板42と第一、第二各連結板43、44とを、一体に形成している。そして、この構成により、キャリア7aの、回転伝達方向の力に対する強度および剛性を確保している。また、他方の入力側ディスク4bとキャリア7aとの間での回転伝達を行なわせるべく、この他方の入力側ディスク4bの外側面複数個所に形成した凸部52と、第一連結板43の外周縁部に形成した切り欠き53とを係合させている。また、運転時には、駆動軸54により入力軸3aを回転駆動する。同時に、押圧装置40に油圧を導入して、各入力側ディスク4a、4bおよび出力側ディスク5の凹面と各パワーローラ6、6の周面との転がり接触部(トラクション部)の面圧を確保する。
つまり、図7〜図9に示す無段変速装置の場合、他方の入力側ディスク4bとキャリア7aとの間の回転伝達を、凸部52と切り欠き53との凹凸係合により行なっている。また、トラクション部の面圧を確保する為に押圧装置40の発生する推力は、入力軸3aおよびこの入力軸3aに固定したキャリア7aを構成する中間支持板42、第一連結板43を介して、他方の入力側ディスク4bに加わるようになっている。
以上のようにキャリアは高いトルクを伝達する必要があり、中間支持板42と第一連結板43と第二連結板44とを一体に形成し剛性を高めてはいるものの、走行モード等によっては(ギヤードニュートラルモード等)、さらに高い剛性が必要とされる。しかし、キャリアは、図9などにも示すように、遊星歯車軸(前記第一遊星軸45等)や遊星歯車(前記遊星歯車25a等)を支持するため複雑な構造を有し、加工方法やそのコストを考慮すると制約が多く、キャリアそのものの剛性を向上することは容易ではない。
そこで、キャリアに支持される遊星歯車軸をストレスメンバー(変形補強部材)として用いることで、キャリアとしての剛性を向上させることが考えられる。
なお、キャリアの剛性を高くする利点としては、遊星ギヤの歯当たりが良好となり、動力伝達効率が向上するという点がある。このことは、トロイダル型無段変速機だけでなく、AT(オートマチックトランスミッション)などのその他の機構においても同様である。
ところで、従来、キャリアに遊星歯車軸を取り付ける方法としては、遊星歯車軸をダイス等で変形させてキャリアに固定するかしめがある。遊星歯車軸をかしめるためには、塑性変形を容易にするために遊星歯車軸の端部の硬度を低くしておく必要があるが、一方、遊星歯車軸の中央部分は軸受の軌道面となるため高い硬度が必要である。このことから、遊星歯車軸をかしめ付けるためには、中央部分と端部を異なる硬度に設定する必要があり、遊星歯車軸の製法が複雑になる。他に、遊星歯車軸をキャリアに対してピン等で固定する方法があるがこれも孔の形成を必要とするなどの理由により加工コストが高くなる。これらの問題を解決するために、遊星歯車軸とキャリアとの間に結合部材を設け、結合部材をかしめることで固定することが提案されている(例えば、特許文献6参照)。
特開平6−174033号公報 特開2000−220719号公報 特開2002−139124号公報 特開2004−225888号公報 特開2004−84710号公報 特開2003−227550号公報
しかしながら、遊星歯車軸をストレスメンバーとして考えた場合、従来のピン等で固定する方法もキャリアにかしめ付ける方法も剛性に寄与することはなく、特許文献6に提案されている方法であっても、遊星歯車軸の円周方向に対する剛性が不足する可能性がある。
また、遊星歯車軸の端部を支持板や連結板といった板状部に形成した遊星歯車軸を取り付けるための軸孔に圧入することや、軸孔に挿入した状態で溶接することが考えられる。
この場合に、複数の板状部が互いに間隔をあけて連結部等により一体に接続されていることから、例えば、一対の板状部にそれぞれ設けられた軸孔に遊星歯車軸の両端部を挿入する場合に、一対の板状部にそれぞれ設けられた軸孔のうちの一方の軸孔から遊星歯車軸を挿通し、他方の軸孔に遊星歯車軸の一方の端部を至らせて挿入し、その際に遊星歯車軸の他方の端部を一方の軸孔に挿入することとなる。すなわち、遊星歯車軸のほぼ全体が一方の軸孔を通過することになる。この際に、軸孔の内径と遊星歯車軸の外径とがほぼ等しく、軸孔の内周面に遊星歯車軸の外周面が接触する状態だと、軸孔内を遊星歯車軸が通過する際に遊星歯車軸の外周面が傷つく可能が高い。特に、圧入の場合には、軸孔の内径より遊星歯車軸の外径が大きく設定され、弾性変形等により軸孔内に遊星歯車軸が挿入可能な状態であり、この状態で、遊星歯車軸全体が軸孔内を通過した場合に優勢歯車軸の外周面が全く損傷しない状態とすることは困難である。
そして、上述のように遊星歯車軸の外周面は、遊星歯車を回転自在とするラジアルニードル軸受(転がり軸受)が配置されるが、この際に遊星歯車軸の外周面がニードルの転動面となり、この転動面に傷があると、ラジアルニードル軸受の寿命低下を引き起こす懸念がある。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、遊星歯車軸がストレスメンバーとして機能してキャリアの剛性を向上させることができる遊星歯車式変速機を備える無段変速装置およびその組立方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の無段変速装置は、少なくとも一対の板状部を有し、当該一対の板状部が互いに間隔をあけるとともに当該一対の板状部間に配置される連結部により互いに一体に接合されているキャリアと、前記一対の板状部間にそれぞれ両端部を固定された遊星歯車軸と、当該遊星歯車軸の中央部に回転自在に支持された遊星歯車とを備え、
前記一対の板状部には、それぞれ遊星歯車軸の端部が挿入される軸孔が形成され、前記遊星歯車軸の一方の端部が、前記一対の板状部のうちの一方の板状部の軸孔を挿通してから他方の板状部の軸孔に至って挿入されるとともに、前記遊星歯車の他方の端部が一方の板状部の軸孔に挿入されて固定される遊星歯車式変速機において、
前記一方の板状部に形成された軸孔の内周面と、当該軸孔を挿通する前記遊星歯車軸の中央部の外周面とが接触することがないように、前記一対の板状部に形成された軸孔のうちの少なくとも一方の板状部に形成された軸孔の内径が前記遊星歯車軸の中央部の外径より大きく形成され、
前記遊星歯車軸の少なくとも他方の端部は、前記遊星歯車軸の中央部の外径より内径が大きく形成された前記軸孔の内周面に、外周面が接触するように当該遊星歯車軸の中央部の外径より外径が大きくされた大径部とされ、
前記軸孔に挿入される遊星歯車軸の端部は、前記板状部に対して圧入または溶接により固定され
前記遊星歯車軸と前記遊星歯車との間に保持器に保持された複数の転動体が配置されることにより前記遊星歯車を回転自在に受ける転がり軸受が形成され、
前記一対の板状部のうちの少なくとも一方の板状部に形成された軸孔の内径が当該軸孔内を前記前記保持器および前記転動体が取り付けられた遊星歯車軸が挿通可能な大きさとされていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明においては、少なくとも遊星歯車軸の全体が挿通される側の軸孔の内径が、遊星歯車軸の中央部の外径より大きくなっているので、軸孔を遊星歯車軸が挿通する際に遊星歯車軸の中央部の外周面が傷がつくのを防止することができる。
なお、軸孔の内径が遊星歯車軸の中央部の外径より僅かに大きい状態だと、軸孔の内周面に遊星歯車軸の外周面が摺動する状態となるが、本発明においては、明らかに、軸孔の内周面と遊星歯車軸の外周面との間に全周に渡って間隔があいた状態となるまで、軸孔の内径と遊星歯車軸の中央部の外径との間に差がある必要がある。
そして、遊星歯車を支持する遊星歯車軸がキャリアに対して圧入または溶接により固定されているので、遊星歯車軸がキャリアとほぼ一体であることから、キャリアにかかる応力を遊星歯車軸も受けることができストレスメンバーとして機能し、その結果、キャリア全体の剛性を向上させることができる。
また、一対の板状部のうちの少なくとも一方の板状部に形成された軸孔の内径が当該軸孔内を前記前記保持器および前記転動体が取り付けられた遊星歯車軸が挿通可能な大きさとされているので、遊星歯車式変速機の組立に際して、遊星歯車軸に遊星歯車を回転自在に受ける転がり軸受の転動体(例えば、前記ニードル)とその保持器とを先に取り付けてから、キャリアに固定することが可能となる。
ここで、一対の板状部にそれぞれ設けられる軸孔の両方の内径を、当該軸孔に端部が挿入される遊星歯車軸の中央部の外径より大きくするものとしてもよい。この際には、遊星歯車軸の両端部に大径部を形成することになる。
また、大径部は、遊星歯車軸の一部として遊星歯車軸に一体に形成するものであってもよいし、遊星歯車軸と別体に設けられ、遊星歯車軸に取り付けられるものであってもよいが、遊星歯車に強固に大径部が取り付けられる必要があり、例えば、圧入や溶接により遊星歯車軸に大径部が取り付けられることが好ましい。また、遊星歯車軸の表面をラジアルニードル軸受のニードルが転動する場合に、上述のように遊星歯車軸に高い剛性が求められることから熱の影響を考慮すると、大径部を別体とした場合に遊星歯車軸が大径部に溶接ではなく圧入により固定されることが好ましい。
請求項2に記載の無段変速装置は、請求項1に記載の発明において、前記大径部は、前記遊星歯車軸とは別体で、かつ当該遊星歯車軸の端部が挿入される挿入孔を有する環状に形成され、前記遊星歯車軸の端部を前記大径部の挿入孔に圧入することにより、当該遊星歯車軸に前記大径部が固定され、前記軸孔に挿入される前記大径部が前記板状部に対して圧入もしくは溶接により固定されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明においては、遊星歯車軸に対して大径部が別体に設けられるが、遊星歯車軸と大径部とが圧入によって固定され、大径部とキャリアの板状部とは圧入または溶接によって固定されているので、大径部を介して遊星歯車軸とキャリアはほぼ一体であることから、キャリアにかかる応力を遊星歯車軸も受けることができストレスメンバーとして機能し、その結果、キャリア全体の剛性を向上させることができる。特に、遊星歯車軸と大径部とは圧入で固定されているので、遊星歯車軸として、溶接に適さない表面炭素濃度が高い鋼材(例えば0.5%以上)を用いる場合には、有用である。
請求項3に記載の無段変速装置は、請求項1または請求項2に記載の遊星歯車式変速機と、トロイダル型無段変速機を備えることを特徴とする。
請求項3に記載の発明においては、上述のような遊星歯車式変速機と、トロイダル型無段変速機とを組み合わせた無段変速装置において、高いトルクを伝達する必要があるキャリアの強度をキャリアに接続される遊星歯車軸をキャリアのストレスメンバーとして機能させることで、キャリアの剛性を向上することができる。すなわち、上述のような構造を有する遊星歯車式変速機を、トロイダル型無段変速機との組み合わせで好適に用いることができる。キャリアとディスクが同軸上に配置され、キャリアとディスク間でトルク伝達を行う構造のトロイダル型無段変速機の場合、キャリアの剛性が低いと、キャリアとディスク間のトルク伝達を行わせている部位において、トルク入力に伴う変形により実質的にトルクを伝達する部位の接触面積が減少する場合がある。この接触面積の減少により、当初想定されていた応力よりも高い応力がキャリアやディスクに発生する虞がある。トロイダル型無段変速機の場合、キャリアの剛性を向上させることは、キャリアやディスクの動力伝達部における信頼性の向上に寄与するため、特に重要である。
請求項4に記載の遊星歯車式変速機の組立方法は、少なくとも一対の板状部を有し、当該一対の板状部が互いに間隔をあけるとともに当該一対の板状部間に配置される連結部により互いに一体に接合されているキャリアと、前記一対の板状部間にそれぞれ両端部を固定された遊星歯車軸と、当該遊星歯車軸の中央部に回転自在に支持された遊星歯車とを備える遊星歯車式変速機を組み立てるに際し、
前記一対の板状部に、それぞれ遊星歯車軸の端部が挿入される軸孔を形成し、前記遊星歯車軸の一方の端部を、前記一対の板状部のうちの一方の板状部の軸孔に挿通してから他方の板状部の軸孔に挿入するとともに、前記遊星歯車の他方の端部を一方の板状部の軸孔に挿入して固定する遊星歯車式変速機の組立方法であって、
前記一対の板状部のそれぞれに設けられた軸孔のうちの少なくとも一方の板状部に形成された軸孔の内周面と、当該軸孔を挿通する前記遊星歯車軸の中央部の外周面とが接触することがないように、当該軸孔の内径を前記遊星歯車軸の中央部の外径より大きく形成し、
前記遊星歯車軸の少なくとも他方の端部に、前記遊星歯車軸の中央部の外径より内径が大きく形成された前記軸孔の内周面に、外周面が接触するように当該遊星歯車軸の中央部の外径より外径を大きくした大径部を設け、
前記遊星歯車軸の前記大径部を含む端部を、前記板状部に対して圧入または溶接により固定し、
前記遊星歯車軸と前記遊星歯車との間に保持器に保持された複数の転動体を配置することにより前記遊星歯車を回転自在に受ける転がり軸受を形成するものとし、
前記一対の板状部のうちの少なくとも一方の板状部に形成された軸孔の内径を当該軸孔内を前記前記保持器および前記転動体が取り付けられた遊星歯車軸が挿通可能な大きさとし、
前記遊星歯車軸に前記保持器および転動体を取り付け、
次いで、前記遊星歯車を前記一対の板状部間に配置した後に、当該保持器および転動体が取り付けられた遊星歯車軸を前記軸孔に通すとともに遊星歯車に通して組み立てることを特徴とする。
請求項4に記載の発明においては、請求項1に記載の発明と同様の効果を奏することができる。
また、遊星歯車式変速機の組立を簡素化することができる。
請求項5に記載の遊星歯車式変速機の組立方法は、請求項4に記載の発明において、前記大径部を、前記遊星歯車軸とは別体で、かつ当該遊星歯車軸の端部が挿入される挿入孔を有する環状に形成し、前記遊星歯車軸の端部を前記大径部の挿入孔に圧入することにより、当該遊星歯車軸に前記大径部を固定し、前記軸孔に挿入される前記大径部を前記板状部に対して圧入もしくは溶接により固定することを特徴とする。
請求項5に記載の発明においては、請求項2に記載の発明と同様の効果を奏することができる。
本発明の遊星歯車式変速機、無段変速装置および遊星歯車式変速機の組立方法によれば、遊星歯車を支持する遊星歯車軸がキャリアに対して圧入または溶接により固定されているので、キャリアとほぼ一体であることから、キャリアにかかる応力を遊星歯車軸も受けることができストレスメンバーとして機能する。その結果、キャリア全体の剛性を向上させることができ、特に高いトルクを伝達するような場合でもキャリアの変形を抑えることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴は、無段変速機の遊星歯車式変速機に設けられているキャリアに対する遊星歯車軸の取付構造および取付方法にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図5ないし図9と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
(第一の実施の形態)
図1および図2は本発明の実施形態を示している。
図1に示すように、キャリア7aの中間支持板(板状部)42と第一連結板(板状部)43にはそれぞれ、軸孔42a、43aが形成され、これら軸孔42a、43aに、スペーサ(大径部)70、70を介して第一遊星軸(遊星歯車軸)45が支持されている。スペーサ70は、第一遊星軸45の両端部の外周面に外嵌して取り付けられるもので、第一遊星軸45の端部が挿入される挿入孔を有する短い円筒状(環状)の部材である。なお、符号71は、第一遊星軸45の周面に取り付けられる2つのラジアルニードル軸受(転がり軸受)48a間に設けられる軸受用スペーサである。なお、ラジアルニードル軸受48aでは、転動体であるニードルが保持器に保持された状態となっている。また、ラジアルニードル軸受48aにおいて、第一遊星軸45の外周面が内輪となり、遊星歯車25aの内周面が外輪となり、符号48aで示される部分は、基本的にはラジアルニードル軸受のニードルと保持器とから構成される部分である。
第一遊星軸45としては、軸受鋼等の高炭素鋼または浸炭鋼に浸炭や浸炭窒化が施されて製造された表面の炭素濃度が高いものを用いる。具体的には、転がり疲労寿命を考えた場合、炭素濃度が0.5%以上のものが用いられる。このような高炭素鋼を溶接すると溶接後の焼入れ等により機械的性質の変化が起こるため、好ましくない。そこで、第一遊星軸45とスペーサ70間(固定部Aおよび固定部B)は圧入で固定する。なお、圧入方法については、通常の機械的な力による圧入の他、スペーサ70を高温に加熱した後に第一遊星軸45に嵌め合わせる焼きばめなどでもよい。
一方、スペーサ70とキャリア7a間(固定部Cおよび固定部D)は、第一遊星軸45ほど高い炭素濃度を有する鋼材を用いなくてもよいことから、圧入および溶接のいずれかで固定する。ただし溶接で固定する場合は、溶接による割れ等を防止するため、溶接する際に熱の影響を受ける部位の炭素濃度を0.3%以下とすることが好ましい。
本実施の形態の組立方法では、組立作業を容易にするため、以下のように組立条件が設定される。
まず、圧入する場合の圧入力については、先に圧入した部品が、その後の圧入作業の際に抜け落ちることがないように、先に圧入した部品の圧入力が後から圧入する部品の圧入力より大きい。具体的には、組次のように設定する。
(1)固定部Aの圧入力Aは、固定部Cの圧入力Cよりも大きい(A>C)。
(2)固定部Bの圧入力Bは、固定部Dの圧入力Dよりも大きい(B>D)。
また、図1中の矢印は組立方向を示したもので、この方向に組立易いように各部材の直径の大小関係は以下のように設定されている。
なお、基本的に軸穴42a、43aの内径は、第一遊星軸45の中央部を含む全体の外径より大きくされており、軸穴42aに第一遊星軸45を通して、軸穴43aに第一遊星軸45の一方の端部を挿入し、軸穴42aに第一遊星軸の他方の端部を挿入するために、軸穴42aに第一遊星軸45を通した際に、第一遊星軸45の外周面が軸穴42aの内周面に接触しない状態となっている。また、この例では、第一遊星軸45に上述のスペーサ70,70と、その間にラジアルニードル軸受48aを取り付けた状態で軸穴42aを通すようになっているので、ラジアルニードル軸受46a(ニードルと保持器部分)の外径より軸穴42aの外径が大きくなっている。
さらに、図1において、固定部C側のスペーサ70の外径を「d1s」、遊星歯車25aの内径を「d2p」、固定部D側のキャリア7aの軸孔43aの内径を「d3c」、ラジアルニードル軸受48aの外径およびスペーサ71の外径のうちの大きい方の長さを「d2r」とすると以下の関係が成立するようになっている。
(1)d2p>d1s
組立をスムーズに行うため、固定部C側のスペーサ70の外径は、遊星歯車25aの内径よりも小さいことが好ましい。
(2)d3c>d2r
固定部D側のキャリア7aの軸孔43aの内径は、ラジアルニードル軸受48aの外径およびスペーサ71の外径のうちの大きい方よりも、大きいことが好ましい。これは、組立をスムーズに行うためであることに加えて、ラジアルニードル軸受48aの外周面のニードル軌道面を保護するためである。
(3)d3c>d1s
組立をスムーズに行うため、軸孔43aの内径は、固定部C側のスペーサ70の外径よりも大きいことが好ましい。なお、固定部C側のスペーサ70の外径「d1s」、遊星歯車25aの内径「d2p」、固定部D側のキャリア7aの軸孔43aの内径「d3c」、ラジアルニードル軸受48aの外径およびスペーサ71の外径のうちの大きい方の長さ「d2r」のそれそれの差は僅かなものであり、上述のように各長さに違いがあるものの互いに近接する長さとなっている。
以上の各条件を表1にまとめて示した。
Figure 0004962868
以上の各条件に基づいて、キャリア7aに第一遊星軸45を組み込む際の組立方法を図2にしたがって説明する。
まず、図2(a)に示すように、第一遊星軸45の右端部にスペーサ70を圧入する。次に、第一遊星軸45の軸受取付面に、ラジアルニードル軸受48a、軸受用スペーサ71、ラジアルニードル軸受48aを順に嵌めこむ(図2(b))。さらに、第一遊星軸45の左端部にスペーサ70を圧入する(図2(c))。このように、キャリア7aに組み込む前に、第一遊星軸45にスペーサ70、ラジアルニードル軸受48a、軸受用スペーサ71を取り付け、サブアッシーシャフト(サブユニット)100を製造する。
このサブアッシーシャフト100を、図2(d)に示すように、キャリア7aの第一連結板43の軸孔43a側から挿入し、遊星歯車25aの内側を通し、キャリア7a内に組み込む。そして、第一遊星軸45の右端部に圧入されているスペーサ70を中間支持板42の軸孔42aに対し圧入または溶接により固定するとともに、左端部のスペーサ70を軸孔43aに対し圧入または溶接により固定する。
以上のように、本実施の形態においては、第一遊星軸45とスペーサ70とを圧入により固定し、さらにスペーサ70をキャリア7aに圧入または溶接により固定することから、第一遊星軸45はキャリア7aと実質的に一体化し、応力を受けるストレスメンバーとして機能し、キャリア7a全体の剛性を向上させることができる。したがって、キャリア7aが非常に高いトルクを伝達する場合でもその変形を抑制することができる。
また、サブアッシーシャフト100を組み立て、次いでキャリア7aに圧入することから、第一遊星軸45の軸受取付面を傷つけることがなく、当該軸受取付面やラジアルニードル軸受48a、48aの第一遊星軸45との接触面の寿命が低下することを防ぐことができる。
さらに、固定部A側に固定されたスペーサ70の外径d1sは、遊星歯車45の内径d2pおよび固定部D側の軸孔43aの内径d3cよりも小さく、また、ラジアルニードル軸受48aの外径および軸受用スペーサ71の外径のうちの大きい方の長さd2rも、軸孔43aの内径d3cよりも小さいことから、軸孔43aおよび遊星歯車25aの内側にサブアッシーシャフト100を、互いの表面を傷つけずに容易に通すことができ、組立性が向上する。
加えて、先に圧入した部品の圧入力は後から圧入する部品の圧入力より大きいので、先に圧入した部品が、その後の圧入作業の際に抜け落ちることはない。
(第二の実施の形態)
図3に第二の実施の形態を示す。本実施の形態においては、第一遊星軸45の代わりに、より表面炭素濃度が低い第一遊星軸(遊星歯車軸)45aを用い、溶接も可能となる。そこで、スペーサを用いることなく、第一遊星軸45aを、キャリア7aの軸孔42a、43aに対して直接、圧入または溶接することにより固定する。なお、圧入により固定する場合には、第一の実施の形態の第一遊星軸45と同様の表面炭素濃度のものを用いてもよい。
ここで、第一の実施の形態では、キャリア7aの中間支持板(板状部)42と第一連結板(板状部)43にそれぞれ形成された軸孔42a、43aの内径をその内周面が第一遊星軸(遊星歯車軸)45の中央部の外周面に接触しないように、第一遊星軸45の中央部の外径よりも大きくし、さらに、第一遊星軸45が挿通する第一連結板43側の軸孔43aの内径は、ラジアルニードル軸受48a(転がり軸受の転動体および保持器)が取り付けられた第一遊星軸45の外径より大きくし、中間支持板42の軸孔42aの内径もそれに近づけて大きくしている。また、第一の実施の形態では、上述の二つの軸孔42a、43aの内径が大きくされていることに対応して、大径部を第一遊星軸45の両端部にそれぞれ形成し、かつ、大径部を第一遊星軸45と別体となったスペーサ70とし、圧入により第一遊星軸45に取り付けていた。
それに対して、第二の実施形態では、2つの軸孔42a、43aのうちの一方の軸孔43aだけ内径を第一の実施形態の場合と同様に大きくし、他方の軸孔42aの外径は、第一遊星軸45aの主部(中央部)45eより小さくしている。それに対応して、第一遊星軸45aの一方の軸孔43aに挿入されて固定される左端部45cにだけ大径部を設けるものとするとともに、この大径部を第一遊星軸45aと一体に形成している。
また、第二の実施形態では、拡径部が形成されない第一遊星軸45aの右端部45bの外径を第一遊星軸45aの主部45eの外径より小さくしている。
上述以外の第二の実施形態の構成は、第一の実施形態の構成とほぼ同様であり、説明を省略もしくは簡略化する。
図3中の矢印は組立方向を示す。第一遊星軸45aの左右の端部のうち、先に軸孔43aに通す右端部(小径部)45bは、軸径を主部(遊星歯車軸の中央部)45eより小さく形成し、それにより右端部45bの周囲に段部45dが設けられている。一方、左端部(大径部)45cは、主部45eよりも軸径が大きく、段部45fが形成されている。
組み立てる際には、中間支持板42と第一連結板43との間に、内側に2つのラジアルニードル軸受48aと軸受用スペーサ71を嵌め込んだ状態の遊星歯車25aを予めセットしておき、第一遊星軸45aの右端部45bをキャリア7aの軸孔43aに通す。さらにラジアルニードル軸受48a、軸受用スペーサ71およびラジアルニードル軸受48aを順に通していき、段部45dを中間支持板42の軸孔42aの周囲に突き当てるようにしながら組み入れる。次に、右端部45aをキャリア7aに圧入または溶接で固定する。また、左端部45cも、キャリア7aに圧入または溶接により固定する。ここで、軸孔42a側の固定部E、軸孔43a側の固定部Fそれぞれにおいて、両方をともに溶接あるいは圧入してもよいし、いずれか一方を溶接し他方を圧入で固定してもよい。
なお、左端部45cに段部45fが設けられているので、組立作業中に第一遊星軸45aが図3の右方にずれたとしてもラジアルニードル軸受48aに突き当たることから抜けることはない。
以上のように、本実施の形態においては、第一遊星軸45aを直接キャリア7aに圧入または溶接により固定することから、第一遊星軸45aはキャリア7aと実質的に一体化し、応力を受けるストレスメンバーとして機能し、キャリア7a全体の剛性を向上させることができる。したがって、非常に高いトルクを伝達する場合でもキャリア7aの変形を抑制することができる。また、この場合も、第一遊星軸45aの主部45eより、軸孔43aの径が大きいことから、第一遊星軸45aの取り付けに際し、第一遊星軸45aのラジアルニードル軸受48aが取り付けられる外周面が傷つくようなことがない。
(第三の実施の形態)
図4に第三の実施の形態を示す。本実施の形態では、第一遊星軸45の代わりに、より表面炭素濃度が低い第一遊星軸(遊星歯車軸)45kを用いる。なお、後述のように第一遊星軸45とスペーサ(大径部)72および中間支持板42とを圧入により固定する場合には、第一遊星軸45と同様の表面炭素濃度のものを用いてもよい。
また、第三の実施の形態では、第二の実施形態において、第一遊星軸45aに一体に形成されていた大径部を第一の実施形態とほぼ同様に別体にしている以外は、ほぼ同様の構成となっており、第二の実施の形態と同様の構成については、説明を省略もしくは簡略化している。なお、第三の実施の形態では、第一の実施形態と異なり、拡径部となるスペーサ72の挿入孔に挿入される第一遊星軸45kの左端部45hの外径を第一遊星軸45kの中央部である主部45iの外径より小さくしている。
図4中の矢印は組立方向を示す。第一遊星軸45kの右端部45g、左端部45hのいずれも、軸径を主部45iより小さく形成し、それにより右端部45gの周囲に段部45jが設けられ、左端部45hの周囲に段部45mが形成されている。
組み立てる際には、中間支持板42と第一連結板43との間に、内側に2つのラジアルニードル軸受48aと軸受用スペーサ71を嵌め込んだ状態の遊星歯車25aを予めセットしておく。第一遊星軸45kの左端部45hには、予め、スペーサ72を圧入または溶接で固定しておく(固定部I)。次いで、第一遊星軸45kの右端部45gをキャリア7aの軸孔43aに通し、さらにラジアルニードル軸受48a、軸受用スペーサ71およびラジアルニードル軸受48aの順に通していき、段部45jを中間支持板42の軸孔42aの周囲に突き当てるようにしてキャリア7a内に組み込む。右端部45gをキャリア7aに圧入するか、または溶接で固定する(固定部G)。第一遊星軸45kの左端部45hのスペーサ72についてもキャリア7aに対して圧入または溶接で固定する(固定部H)。
固定部G、固定部I、および固定部Hの固定方法は、いずれも圧入あるいは溶接であってもよいし、どれか1箇所を圧入で他2箇所を溶接で固定してもよい。
以上のように、本実施の形態においては、第一遊星軸45kを、キャリア7aに、直接またはスペーサ72を介して、圧入または溶接により固定することから、第一遊星軸45はキャリア7aに実質的に一体化し、応力を受けるストレスメンバーとして機能し、キャリア7a全体の剛性を向上させることができる。したがって、非常に高いトルクを伝達する場合でもキャリア7aの変形を抑制することができる。
また、第一および第二の実施の形態と同様に、第一遊星軸45kの主部45iの外周面に傷がつくのを防止できる。
また、第三の実施の形態では、第一の実施の形態と同様に大径部としてのスペーサ72を第一遊星軸45kに例えば圧入により取り付ける構造としたので、第一遊星軸45kの製造時に大径部がなく、第一遊星軸45kのラジアルニードル軸受48aの軌道面である主部45iの研磨やその他の加工の際に大径部が邪魔になることがなく、大径部が一体に第一遊星軸45kに形成される第二の実施の形態に比較してこれら研磨等の加工を容易に行うことができる。
上記では第一遊星軸45をキャリア7aへ接合する場合を説明したが、本発明を第二遊星軸46、第三遊星軸47の固定に適用してもよい。
また、上記の各実施の形態では、キャリア7aを中間支持板42、第一連結板43および第二両連結板44を備えた構造とするとともに、遊星歯車として3種類の遊星歯車25a、26a、25を設けたが、これに代えて、本発明では、例えば、キャリアを支持板(板状部)と1つの連結板(板状部)とで構成するとともに、1種類の遊星歯車を備えた遊星歯車式変速機を構成するようにしてもよい。
本発明は、遊星歯車機構を用いた遊星歯車式変速機に適用できるとともに、遊星歯車式変速機とハーフトロイダル型無段変速機を用いた無段変速装置の他、遊星歯車式変速機とトラニオンが無いフルトロイダル型無段変速機を用いた無段変速装置にも適用することができる。
本発明の第一の実施形態を示す図であって、遊星歯車式変速機におけるキャリアに対する遊星歯車軸の取付構造を示す概略断面図である。 図1で示した遊星歯車式変速機の組立方法を示す工程図である。 本発明の第二の実施形態を示す図であって、遊星歯車式変速機におけるキャリアに対する遊星歯車軸の取付構造を示す概略断面図である。 本発明の第三の実施形態を示す図であって、遊星歯車式変速機におけるキャリアに対する遊星歯車軸の取付構造を示す概略断面図である。 従来から知られている無段変速装置の一例を示す概略断面図である。 従来から知られている無段変速装置の他の一例を示す概略断面図である。 従来の無段変速装置の具体的構造の一例を示す断面図である。 図7のB部の拡大図である。 キャリアの斜視図である。
符号の説明
1 トロイダル型無段変速機
2b 遊星歯車式変速機
3a 入力軸
21a 出力軸
4a 入力側ディスク
4b 入力側ディスク
5 出力側ディスク
6 パワーローラ
7a キャリア
25a 遊星歯車
42 中間支持板
43 第一連結板
45 第一遊星軸
48a ラジアルニードル軸受
70、72 スペーサ
71 軸受用スペーサ

Claims (5)

  1. 少なくとも一対の板状部を有し、当該一対の板状部が互いに間隔をあけるとともに当該一対の板状部間に配置される連結部により互いに一体に接合されているキャリアと、前記一対の板状部間にそれぞれ両端部を固定された遊星歯車軸と、当該遊星歯車軸の中央部に回転自在に支持された遊星歯車とを備え、
    前記一対の板状部には、それぞれ遊星歯車軸の端部が挿入される軸孔が形成され、前記遊星歯車軸の一方の端部が、前記一対の板状部のうちの一方の板状部の軸孔を挿通してから他方の板状部の軸孔に至って挿入されるとともに、前記遊星歯車の他方の端部が一方の板状部の軸孔に挿入されて固定される遊星歯車式変速機において、
    前記一方の板状部に形成された軸孔の内周面と、当該軸孔を挿通する前記遊星歯車軸の中央部の外周面とが接触することがないように、前記一対の板状部に形成された軸孔のうちの少なくとも一方の板状部に形成された軸孔の内径が前記遊星歯車軸の中央部の外径より大きく形成され、
    前記遊星歯車軸の少なくとも他方の端部は、前記遊星歯車軸の中央部の外径より内径が大きく形成された前記軸孔の内周面に、外周面が接触するように当該遊星歯車軸の中央部の外径より外径が大きくされた大径部とされ、
    前記軸孔に挿入される遊星歯車軸の端部は、前記板状部に対して圧入または溶接により固定され
    前記遊星歯車軸と前記遊星歯車との間に保持器に保持された複数の転動体が配置されることにより前記遊星歯車を回転自在に受ける転がり軸受が形成され、
    前記一対の板状部のうちの少なくとも一方の板状部に形成された軸孔の内径が当該軸孔内を前記前記保持器および前記転動体が取り付けられた遊星歯車軸が挿通可能な大きさとされていることを特徴とする遊星歯車式変速機。
  2. 前記大径部は、前記遊星歯車軸とは別体で、かつ当該遊星歯車軸の端部が挿入される挿入孔を有する環状に形成され、前記遊星歯車軸の端部を前記大径部の挿入孔に圧入することにより、当該遊星歯車軸に前記大径部が固定され、前記軸孔に挿入される前記大径部が前記板状部に対して圧入もしくは溶接により固定されていることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車式変速機。
  3. 請求項1または請求項2に記載の遊星歯車式変速機と、トロイダル型無段変速機を備えることを特徴とする無段変速装置。
  4. 少なくとも一対の板状部を有し、当該一対の板状部が互いに間隔をあけるとともに当該一対の板状部間に配置される連結部により互いに一体に接合されているキャリアと、前記一対の板状部間にそれぞれ両端部を固定された遊星歯車軸と、当該遊星歯車軸の中央部に回転自在に支持された遊星歯車とを備える遊星歯車式変速機を組み立てるに際し、
    前記一対の板状部に、それぞれ遊星歯車軸の端部が挿入される軸孔を形成し、前記遊星歯車軸の一方の端部を、前記一対の板状部のうちの一方の板状部の軸孔に挿通してから他方の板状部の軸孔に挿入するとともに、前記遊星歯車の他方の端部を一方の板状部の軸孔に挿入して固定する遊星歯車式変速機の組立方法であって、
    前記一対の板状部のそれぞれに設けられた軸孔のうちの少なくとも一方の板状部に形成された軸孔の内周面と、当該軸孔を挿通する前記遊星歯車軸の中央部の外周面とが接触することがないように、当該軸孔の内径を前記遊星歯車軸の中央部の外径より大きく形成し、
    前記遊星歯車軸の少なくとも他方の端部に、前記遊星歯車軸の中央部の外径より内径が大きく形成された前記軸孔の内周面に、外周面が接触するように当該遊星歯車軸の中央部の外径より外径を大きくした大径部を設け、
    前記遊星歯車軸の前記大径部を含む端部を、前記板状部に対して圧入または溶接により固定し、
    前記遊星歯車軸と前記遊星歯車との間に保持器に保持された複数の転動体を配置することにより前記遊星歯車を回転自在に受ける転がり軸受を形成するものとし、
    前記一対の板状部のうちの少なくとも一方の板状部に形成された軸孔の内径を当該軸孔内を前記前記保持器および前記転動体が取り付けられた遊星歯車軸が挿通可能な大きさとし、
    前記遊星歯車軸に前記保持器および転動体を取り付け、
    次いで、前記遊星歯車を前記一対の板状部間に配置した後に、当該保持器および転動体が取り付けられた遊星歯車軸を前記軸孔に通すとともに遊星歯車に通して組み立てることを特徴とする遊星歯車式変速機の組立方法。
  5. 前記大径部を、前記遊星歯車軸とは別体で、かつ当該遊星歯車軸の端部が挿入される挿入孔を有する環状に形成し、前記遊星歯車軸の端部を前記大径部の挿入孔に圧入することにより、当該遊星歯車軸に前記大径部を固定し、前記軸孔に挿入される前記大径部を前記板状部に対して圧入もしくは溶接により固定することを特徴とする請求項4に記載の遊星歯車式変速機の組立方法。
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