以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
<第1の実施形態>
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、インクを貯留するインクカートリッジ10と、インクカートリッジ10から供給されたインクにより用紙Pに画像を形成する本体部20とを備えている。
本体部20は、用紙Pに向けてインクを吐出する複数のノズル(図示せず)が配置されたインク吐出面2aを有するインクジェットヘッド2と、インクジェットヘッド2を一方向に往復移動させるキャリッジ3と、用紙Pをインクジェットヘッド2のインク吐出面2aと対向させつつ搬送する搬送機構4と、インクカートリッジ10が着脱可能に装着される装着部5と、インクジェットヘッド2と装着部5に装着されたインクカートリッジ10とを連通させるチューブ6と、インクジェットプリンタ1に関する情報を表示するディスプレイ7(図2参照)とを備えている。なお、装着部5に装着されたインクカートリッジ10は、図示しないコネクタ及び信号線等によって、本体部20と電気的に接続される。さらに、本体部20は、インクジェットプリンタ1全体の動作を制御する制御装置60を備えている。
なお、図1においては、1つのインクジェットヘッド2のみを描いているが、インクジェットプリンタ1には、4色のインク(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)に対応する4つのインクジェットヘッド2が設けられている。さらに、本体部20には、各インクジェットヘッド2にインクを供給するインクカートリッジ10がそれぞれ装着される4つの装着部5a、5b、5c、5dが設けられている。本実施形態においては、装着部5aにはブラックのインクを貯留するインクカートリッジ10、装着部5bにはイエローのインクを貯留するインクカートリッジ10、装着部5cにはマゼンタのインクを貯留するインクカートリッジ10、装着部5dにはシアンのインクを貯留するインクカートリッジ10が装着される。以降、装着部5a〜5dを区別なく説明する場合には、「装着部5」と称する。
装着部5には、図1中右方に向かって開口した凹部51が形成されている。この凹部51内の空間にインクカートリッジ10が収容される。また、凹部51の開口部と対向する側壁には、貫通孔51aが形成されている。貫通孔51aには、チューブ6の先端に設けられた中空針(図示せず)が凹部51内の空間に配置されるように、チューブ6が挿通されている。凹部51の開口部分は、上端部近傍を支点として回動可能なカバー52によって覆われている。
また、装着部5には、装着部5a〜5dで共有する1つのマイク8が設けられている。マイク8は、図1に示すように、凹部51の開口部と対向する側壁の壁面に配置されており、後述するように4つのインクカートリッジ10にそれぞれ設けられたスピーカ13から発せられた音声を受信する。
用紙Pに対する印刷が行われる際には、インクジェットプリンタ1の4つのインクジェットヘッド2がキャリッジ3により図1の紙面垂直方向に往復移動され、用紙Pが搬送機構4により図1の紙面左右方向に搬送される。各インクジェットヘッド2は用紙Pに対して所定間隔を隔てて対向配置されている。インクジェットヘッド2の往復移動と用紙Pの搬送移動とは、制御装置60により同期して行われ、インクジェットヘッド2が用紙Pを横切るごとにノズルからインクが吐出されて印刷が行われる。インクは、装着部5に装着されたインクカートリッジ10からチューブ6を介してインクジェットヘッド2に供給される。
インクカートリッジ10は、略六面体として構成されている。より詳細には、最大面積となる対向する一対の略矩形面と、この一対の略矩形面を連結する4つの側面との略6つの面で構成されている。そして、最大面積となる一対の略矩形面が垂直となると共にその長辺が水平となるような姿勢で装着部5に装着される。
インクカートリッジ10は、その六面体の最大面積となる一対の矩形面の短辺同士を連結する一対の側面の対向方向(図1中左右方向)が、装着部5への装着方向と略一致している。より詳細には、インクカートリッジ10は、図1中右方から左方に向かって装着される。
インクカートリッジ10の装着部5への装着方向下流側(図1中左側)の面である前面11には、チューブ6の先端に設けられており凹部51内の空間に配置された中空針(図示せず)が接続される供給部12が設けられている。供給部12は、インクカートリッジ10が装着部5に装着されていない状態では、インクカートリッジ10の内部と外部とを連通するインク流路を閉鎖し、装着部5に装着されて中空針が接続されるとインク流路を開放する。したがって、供給部12は、インクカートリッジ10がインクジェットプリンタ1に装着されている際に、インクカートリッジ10の内部に貯留されたインクをインクジェットプリンタ1に供給することができる。
また、インクカートリッジ10の前面11には、スピーカ13が設けられている。スピーカ13は、後述するカートリッジ制御部15の音声信号生成部18(図2参照)から出力された音声信号を受信し、音声に変換して出力する。なお、本実施形態においては、音声信号生成部18は20kHz以上、すなわち可聴域外の周波数の音声信号を出力する。したがって、スピーカ13からは、可聴域外の周波数の音声が発せられる。
ここで、図2を参照しつつ、カートリッジ制御部15について説明する。カートリッジ制御部15は、例えばその内部にCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含むワンチップマイコン等で構成されている。そして、カートリッジ制御部15は、機能部として、カートリッジ情報記憶部16及び音声信号生成部18を有している。
カートリッジ情報記憶部16は、インクカートリッジ10に関する情報を記憶する。カートリッジ10に関する情報とは、例えば、そのインクカートリッジ10が貯留しているインクの色や容量、また仕向け地域等である。なお、仕向け地域は、例えば、気候が異なる地域毎や、好まれる色味が異なる地域毎に分けられる。
音声信号生成部18は、後述する要求信号を受信した際に、カートリッジ情報記憶部16に記憶されている情報を、当該情報に特有の音声信号に変換してスピーカ13に出力する。本実施形態における、インクカートリッジ10に関する情報に特有の音声信号は、図3の表に示す通りである。すなわち、図3(a)に示すように、貯留しているインクの色が、ブラックである場合には20kHz、イエローである場合には30kHz、マゼンタである場合には40kHz、シアンである場合には50kHzの周波数の音声信号に変換する。また、図3(b)に示すように、貯留しているインクの容量が、大である場合には60kHz、中である場合には65kHz、小である場合には70kHzの周波数の音声信号に変換する。さらに、図3(c)に示すように、仕向け地域が、地域Aである場合には80kHz、地域Bである場合には85kHz、地域Cである場合には90kHzの周波数の音声信号に変換する。
なお、インクカートリッジ10には、スピーカ13及びカートリッジ制御部15に電源を供給する電源19が設けられている。電源19は、例えば本体部20を介して供給された商用電源からの電力を充電する充電池であってもよいし、太陽電池や乾電池であってもよい。
次に、制御装置60について説明する。制御装置60は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するプログラム及びプログラムに使用されるデータが記憶されているROM(Read Only Memory)、プログラム実行時にデータを一時記憶するためのRAM(Random Access Memory)等を備えており、これらを一体とし各機能部として機能させることによりインクジェットプリンタ1の制御を行うものである。そして制御装置60は、機能部として駆動部61、発音要求部62、判断情報記憶部63、判断部64、情報取得部65、取得情報記憶部66、及び表示制御部67を備えている。
駆動部61は、インクジェットヘッド2、キャリッジ3、及び搬送機構4を駆動するための図示しないモータ等の駆動を制御するためのものである。発音要求部62は、装着部5に装着されたインクカートリッジ10に対して、そのカートリッジ情報記憶部16に記憶されているインクの色、容量、及び仕向け地域のいずれかの情報を要求する要求信号を電気信号として出力する。より具体的には、カートリッジ情報記憶部16に記憶されているインクの色、容量、及び仕向け地域のいずれかの情報に特有の音声をスピーカ13から発するように要求する要求信号を出力する。なお、本実施形態においては、発音要求部62は、4つの装着部5a〜5dにそれぞれ装着された4つのインクカートリッジ10に対して、要求信号を順番に出力する。かかる要求信号は、上述の図示しないコネクタ及び信号線を介してインクカートリッジ10に伝達される。
判断情報記憶部63は、各装着部5a〜5dに装着すべきインクカートリッジ10のスピーカ13が発する、当該インクカートリッジ10に貯留されているインクの色の情報に特有の音声に関する情報を、装着部5a〜5dに対応付けて記憶する。したがって、図4に示すように、ブラックのインクカートリッジ10が装着されるべき装着部5aには20kHz、イエローのインクカートリッジ10が装着されるべき装着部5bには30kHz、マゼンタのインクカートリッジ10が装着されるべき装着部5cには40kHz、シアンのインクカートリッジ10が装着されるべき装着部5dには50kHzの周波数がそれぞれ対応付けて記憶されている。また、判断情報記憶部63には、インクカートリッジ10のスピーカ13が発する、インクの容量及び仕向け地域の情報に特有の音声に関する情報、すなわち、図3(b)、(c)に示すような表が記憶されている。
判断部64は、発音要求部62が装着部5a〜5dのいずれかに装着されたインクカートリッジ10に対してインクの色の情報を要求する要求信号を出力した際に、マイク8が受信した音声が、図4に示すように、判断情報記憶部63に記憶されている当該装着部5a〜5dに対応するインクの色の情報にかかる音声と一致するか否かを判断する。すなわち、判断部64は、マイク8が受信した音声が、該装着部5a〜5dに装着すべきインクカートリッジ10のスピーカ13が発した音声か否か、換言すると、該装着部5a〜5dに装着すべきインクカートリッジ10が装着されたか否かを判断する。例えば、装着部5aに装着されたインクカートリッジ10に要求信号を出力した際に、マイク8が受信した音声の周波数が20kHzである場合には、図4に示すように装着部5aに対応する音声の周波数と一致する、すなわち、装着部5aに装着すべきインクカートリッジ10が装着されていると判断する。また、このときマイク8が受信した音声の周波数が、図4に示す装着部5a以外の装着部5b〜5dに対応する音声の周波数と一致する場合には、装着部5aに装着すべきインクカートリッジ10が装着されていないと判断する。さらに、マイク8が音声を受信していない場合には、インクカートリッジ10が未装着であると判断する。
また、判断部64は、マイク8が受信したインクの容量及び仕向け地域の情報に特有の音声が、図3(b)、(c)に示すように、判断情報記憶部63に記憶されているいずれかの情報に対応する音声と一致するか否かを判断する。すなわち、インクの容量の情報に特有の音声としてマイク8が受信した音声の周波数が、60kHz、65kHz、又は70kHzである場合には、判断情報記憶部63に記憶されている情報にかかる音声と一致すると判断し、それ以外の周波数である場合には一致していないと判断する。さらに、仕向け地域に特有の音声としてマイク8が受信した音声の周波数が、80kHz、85kHz、又は90kHzである場合には、判断情報記憶部63に記憶されている情報にかかる音声と一致すると判断し、それ以外の周波数である場合には一致していないと判断する。
情報取得部65は、マイク8が受信した音声をインクカートリッジ10に関する情報に変換する。すなわち、例えば、マイク8が60kHzの周波数の音声を受信した場合には、図3に示すように、貯留されているインクの容量が大容量であるという情報に変換する。さらに、マイク8が80kHzの周波数の音声を受信した場合には、仕向けが地域Aであるという情報に変換する。
取得情報記憶部66は、情報取得部65における変換によって生成されたインクカートリッジ10に関する情報を記憶する。具体的には、例えば、発音要求部62が装着部5aに装着されたインクカートリッジ10に対してインクの容量の情報を要求する要求信号を出力した際に、マイク8が受信した音声を情報取得部65で変換することによって生成された情報を、装着部5aに装着されたインクカートリッジ10の容量の情報として記憶する。なお、取得情報記憶部66に記憶された情報は、駆動部61における制御等に用いることができる。
表示制御部67は、ディスプレイ7の表示を制御する。具体的には、表示制御部67は、マイク8が音声を受信しない場合に、ディスプレイ7にインクカートリッジ10が未装着である旨を表示する。また、判断部64において、判断情報記憶部63に記憶されている装着部5a〜5dに対応するインクの色の情報にかかる音声と一致しない、すなわち、装着部5a〜5dに装着すべきインクカートリッジ10が装着されていないと判断された場合に、ディスプレイ7にインクカートリッジ10が誤装着又は未装着である旨を表示する。加えて、判断部64において、判断情報記憶部63に記憶されているインクの容量及び仕向け地域の情報にかかる音声と一致しない場合に、ディスプレイ7にエラーメッセージを表示する。
次に、図5を参照しつつ、カートリッジ10のカートリッジ制御部15で行われる処理について説明する。まず、制御装置60の発音要求部62から出力されたインクの色、容量、及び仕向け地域のいずれかの情報を要求する要求信号を受信したか否かの判断が、要求信号を受信したと判断されるまで繰り返し行われる(S11)。そして、インクの色、容量、及び仕向け地域のいずれかの情報を要求する要求信号を受信したと判断された場合には(S11:YES)、音声信号生成部18が、受信した要求信号が要求する情報を、当該情報に特有の音声信号に変換してスピーカ13に出力する。これにより、スピーカ13から音声が発せられる(S12)。すなわち、例えば、ブラックのインクが貯留されたインクカートリッジ10が、インクの色の情報を要求する要求信号を受信した場合には、図3に示すように、そのインクカートリッジ10に設けられたスピーカ13は、20kHzの周波数の音声を発する。
続いて、図6を参照しつつ、制御装置60で行われる誤装着・未装着検出処理について説明する。まず、発音要求部62が、装着部5a〜5dのいずれかに装着されたインクカートリッジ10に対して、貯留しているインクの色の情報に特有の音声をスピーカ13から発するように要求する要求信号を出力する(S21)。なお、本実施形態においては、最初に装着部5aに装着されたインクカートリッジ10に対して要求信号を出力することとする。このとき、装着部5aに装着されたインクカートリッジ10のカートリッジ制御部15で上述のような制御が行われ、そのインクカートリッジ10のスピーカ13から音声が発せられる。
次に、マイク8が音声を受信したか否かが判断される(S22)。マイク8が音声を受信していない場合には(S22:NO)、表示制御部67の制御により、ディスプレイ7にインクカートリッジ10が未装着である旨を表示し、インクカートリッジ10が装着されるまで待機する(S23)。装着が行われると、上述のステップS21に戻る。また、マイク8が音声を受信した場合には(S22:YES)、判断部64が、マイク8が受信したインクの色の情報に特有の音声の周波数が、図4に示すように判断情報記憶部63に記憶されている装着部5aに装着すべきインクカートリッジ10の色の情報にかかる音声の周波数、すなわち20kHz、と一致するか否かを判断する(S24)。
マイク8が受信した音声が判断情報記憶部63に記憶されている装着部5aに対応する音声と一致する場合には(S24:YES)、すなわち、受信した音声の周波数が20kHzである場合には、後述するステップS27に進む。一方、装着部5aに対応する音声と一致しない場合には(S24:NO)、他の装着部5b〜5dに対応する音声と一致するか否かを判断する(S25)。ここで、他の装着部5b〜5dに対応する音声と一致する場合には(S25:YES)、すなわち、受信した音声の周波数が30kHz、40kHz、又は50kHzである場合には、表示制御部67の制御により、ディスプレイ7にインクカートリッジ10が誤装着である旨を表示し、インクカートリッジ10が交換装着されるまで待機する(S26)。交換装着が行われると、上述のステップS21に戻る。また、他の装着部5b〜5dに対応する音声と一致しない場合には(S25:NO)、上述のステップS23と同様に未装着である旨を表示すると共に待機し、その後装着が行われると、上述のステップS21に戻る。
その後、発音要求部62が、4つの装着部5a〜5dに装着された全てのインクカートリッジ10に対して、貯留しているインクの色の情報を要求する要求信号を出力したか否かが判断される(S27)。まだ全てのインクカートリッジ10に対して要求信号を出力していない判断された場合には(S27:NO)、上述のステップS21に戻り、未だ要求信号を出力していないカートリッジ10、すなわち装着部5b〜5dのいずれかに装着されたインクカートリッジ10に対して要求信号を出力する。一方、全てのインクカートリッジ10に対して要求信号を出力したと判断された場合には(S27:YES)、誤装着・未装着検出処理を終了する。
さらに、図7を参照しつつ、制御装置60で行われるエラー検出処理について説明する。なお、かかるエラー検出処理は、上述の誤装着・未装着検出処理が行われた後に行われる。誤装着・未装着検出処理において全ての装着部5a〜5dに装着すべきインクカートリッジ10が装着されて誤装着・未装着検出処理が終了すると、発音要求部62が、装着部5a〜5dのいずれかに装着されたインクカートリッジ10に対して、貯留しているインクの容量の情報に特有の音声をスピーカ13から発するように要求する要求信号を出力する(S31)。本実施形態においては、最初に装着部5aに装着されたインクカートリッジ10に対して要求信号を出力することとする。
続いて、マイク8が音声を受信したか否かの判断が、マイク8が音声を受信するまで繰り返し行われる(S32)。マイク8が音声を受信した場合には(S32:YES)、判断部64が、マイク8が受信したインクの容量に特有の音声の周波数が、図3(b)に示すように判断情報記憶部63に記憶されているインクの容量の情報にかかる音声の周波数、すなわち60kHz、65kHz、又は70kHzと一致するか否かを判断する(S33)。
マイク8が受信したインクの容量の情報に特有の音声が、判断情報記憶部63に記憶されている情報と一致しない場合には(S33:NO)、表示制御部67の制御によりディスプレイ7にエラーメッセージを表示し、インクカートリッジ10が交換装着されるまで待機する(S34)。一方、判断情報記憶部63に記憶されている情報と一致した場合には(S33:YES)、情報取得部65によってマイク8が受信した音声が、インクカートリッジ10のインクの容量に関する情報に変換される。このインクの容量に関する情報は、装着部5aに装着されたインクカートリッジ10のインクの容量として、取得情報記憶部66に記憶される(S35)。
次に、発音要求部62が、装着部5aに装着されたインクカートリッジ10に対して、仕向け地域の情報に特有の音声をスピーカ13から発するように要求する要求信号を出力する(S36)。続いて、マイク8が音声を受信したか否かの判断が、マイク8が音声を受信するまで繰り返し行われる(S37)。マイク8が音声を受信した場合には(S37:YES)、判断部64が、マイク8が受信した仕向け地域に特有の音声の周波数が、図3(c)に示すように判断情報記憶部63に記憶されている仕向け地域の情報にかかる音声の周波数、すなわち80kHz、85kHz、又は90kHzと一致するか否かを判断する(S38)。
マイク8が受信した仕向け地域の情報に特有の音声が、判断情報記憶部63に記憶されている情報と一致しない場合には(S38:NO)、表示制御部67の制御によりディスプレイ7にエラーメッセージを表示し、インクカートリッジ10が交換装着されるまで待機する(S39)。一方、判断情報記憶部63に記憶されている情報と一致した場合には(S38:YES)、情報取得部65によってマイク8が受信した音声が、インクカートリッジ10の仕向け地域に関する情報に変換される。この仕向け地域に関する情報は、装着部5aに装着されたインクカートリッジ10の仕向け地域として、取得情報記憶部66に記憶される(S40)。
その後、発音要求部62が、4つの装着部5a〜5dに装着された全てのインクカートリッジ10に対して、インクの容量及び仕向け地域の情報を要求する要求信号を出力したか否かが判断される(S41)。まだ全てのインクカートリッジ10に対して要求信号を出力していない判断された場合には(S41:NO)、上述のステップS31に戻り、未だ要求信号を出力していないカートリッジ10、すなわち装着部5b〜5dのいずれかに装着されたインクカートリッジ10に対して要求信号を出力する。一方、全てのインクカートリッジ10に対して要求信号を出力したと判断された場合には(S41:YES)、エラー検出処理を終了する。
以上のように、本実施形態のインクジェットプリンタ1で用いられるインクカートリッジ10は、スピーカ13と、インクカートリッジ10に貯留されているインクの色、容量、及び仕向け地域の情報を記憶するカートリッジ情報記憶部16とを備えている。また、インクジェットプリンタ1の本体部20は、装着部5に装着されたインクカートリッジ10に対して、カートリッジ情報記憶部16に記憶されているインクの色、容量、及び仕向け地域のいずれかの情報に特有の音声を発するように要求する要求信号を出力する発音要求部62と、インクカートリッジ10のスピーカ13から発せられた音声を受信するマイク8とを備えている。さらに、インクジェットプリンタ1は、発音要求部62が要求信号を出力すると、カートリッジ情報記憶部16に記憶されているインクの色、容量、及び仕向け地域のいずれかの情報を、当該情報に特有の音声信号に変換してスピーカ13に出力する音声信号生成部18を備えている。したがって、スピーカ13から出力された音声をマイク8で受信することで、インクカートリッジ10の情報を本体部20に伝達できる。また、インクカートリッジ10に備えられるスピーカ13と、本体部20に備えられるマイク8との配置位置は制限されない。すなわち、スピーカ13とマイク8とは自由に配置できる。よって、設計の自由度が上がる。
また、本実施形態のインクジェットプリンタ1では、本体部20が、各装着部5a〜5dに装着すべきインクカートリッジ10のスピーカ13が発する、当該インクカートリッジ10に貯留されているインクの色の情報に特有の音声に関する情報を、装着部5a〜5dに対応付けて記憶する判断情報記憶部63と、装着部5a〜5dのいずれかに装着されたインクカートリッジ10に対してインクの色の情報を要求する要求信号を出力した際に、マイク8が受信した音声が、判断情報記憶部63に記憶されている当該装着部5a〜5dに対応するインクの色の情報にかかる音声と一致するか否かを判断する判断部64とを備えている。したがって、各装着部5a〜5dに装着すべきインクカートリッジ10が装着されているか否かを判断できる。
さらに、本実施形態のインクジェットプリンタ1は、ディスプレイ7と、判断部64が、マイク8が受信した音声と判断情報記憶部63に記憶されている情報にかかる音声とが一致しないと判断した場合に、インクカートリッジ10が誤装着又は未装着である旨が表示されるようにディスプレイ7の表示を制御する表示制御部67とを備えている。したがって、インクカートリッジ10が誤装着又は未装着である旨を使用者に知らせることができる。
加えて、本実施形態のインクジェットプリンタ1では、本体部20が、4つのインクカートリッジ10がそれぞれ装着される4つの装着部5a〜5dを有しており、発音要求部62は、各装着部5a〜5dに装着されたインクカートリッジ10に対して要求信号を順番に出力する。したがって、マイク8は、各装着部5a〜5dに装着された4つインクカートリッジ10から発せられる音声を順番に受信する。よって、どの装着部5a〜5dに装着されたインクカートリッジ10から発せられた音声なのかを識別できる。
また、本実施形態のインクジェットプリンタ1は、マイク8が受信した音声をインクカートリッジ10に関する情報に変換する情報取得部65と、情報取得部65における変換によって生成されたインクカートリッジ10に関する情報を記憶する取得情報記憶部66とを備えている。したがって、インクカートリッジ10の情報を音声により取得し、記憶することができる。
また、本実施形態のインクジェットプリンタ1では、インクカートリッジ10に備えられたスピーカ13からは、可聴域外の周波数の音声が発せられる。したがって、スピーカ13から発せられる音声を使用者に聞こえないようにすることができる。
(第1の実施形態の第1変形例)
次に、図8、9を参照しつつ、上述の第1の実施形態の第1変形例について説明する。なお、ここでは、第1の実施形態と同一の符号を用いて説明する。本変形例では、制御装置60で行われるエラー検出処理において、発音要求部62が装着部5a〜5dにそれぞれ装着された4つのインクカートリッジ10に対して要求信号を同時に出力する点が、第1の実施形態と主に異なる。
本変形例においては、インクカートリッジ10に備えられたカートリッジ制御部15で、カートリッジ情報記憶部16に記憶されているインクの色に関する情報を音声信号生成部18が変換することで得られる、当該情報に特有の音声信号は、第1の実施形態と同様に、図3(a)に示す通りである。また、本変形例においては、音声信号生成部18は、カートリッジ情報記憶部16に記憶されているインクの容量及び仕向け地域の2つの情報を、これら2つの情報の組合せパターンに一対一に対応する音声信号に変換する。なお、これら2つの情報の組合せパターンに割り振られる音声信号は、貯留されているインクの色毎に異なる。すなわち、例えば、ブラックのインクを貯留するインクカートリッジ10のカートリッジ情報記憶部16に、容量が大容量、仕向け地域が地域Aと記憶されている場合には、図8の表に示すように、20kHzの周波数の音声信号に変換する。また、イエローのインクを貯留するインクカートリッジ10のカートリッジ情報記憶部16に、容量が中容量、仕向け地域が地域Aと記憶されている場合には、44kHzの周波数の音声信号に変換する。
また、本変形例の判断情報記憶部63には、第1の実施形態において、インクカートリッジ10のスピーカ13が発する、インクの容量及び仕向け地域の情報に特有の音声に関する情報が記憶されているのに換えて、インクの容量及び仕向け地域の組合せパターンに特有の音声に関する情報、すなわち、図8に示すような表が記憶されている。
判断部64は、第1の実施形態と同様に、装着部5a〜5dのいずれかに装着されたインクカートリッジ10に対してインクの色の情報を要求する要求信号が出力された際に、マイク8が受信した音声が、判断情報記憶部63に記憶されている当該装着部5a〜5dに対応するインクの色の情報にかかる音声と一致するか否かを判断する。また、本変形例の判断部64は、マイク8が受信したインクの容量及び仕向け地域の組合せパターンに特有の音声が、図8に示すように、判断情報記憶部63に記憶されているいずれかの情報に対応する音声と一致するか否かを判断する。
ここで、図9を参照しつつ、本変形例のエラー検出処理について説明する。なお、かかるエラー検出処理は、第1の実施形態で説明した誤装着・未装着検出処理が行われた後に行われる。誤装着・未装着検出処理において全ての装着部5a〜5dに装着すべきインクカートリッジ10が装着されて誤装着・未装着検出処理が終了すると、発音要求部62が、装着部5a〜5dにそれぞれ装着された4つのインクカートリッジ10に対して、インクの容量及び仕向け地域の組合せパターンに特有の音声をスピーカ13から発するように要求する要求信号を同時に出力する(S41)。このとき、4つのインクカートリッジ10のスピーカ13からほぼ同時に音声が発せられる。
続いて、マイク8が音声を受信したか否かの判断が、マイク8が音声を受信するまで繰り返し行われる(S42)。マイク8が音声を受信した場合には(S42:YES)、判断部64が、マイク8が受信したインクの容量及び仕向け地域の組合せパターンに特有の音声の周波数が、図8に示すように判断情報記憶部63に記憶されている音声の周波数と一致するか否かを判断する(S43)。
なお、このとき、マイク8は、4つのインクカートリッジ10のスピーカ13から発せられた互いに周波数が異なる音声を同時に受信するので、判断部64は、マイク8が受信した音声を4つの周波数成分に分解する。そして、判断部64は、これら4つの成分の周波数が、図8に示すように、装着部5aに装着されたブラックのインクカートリッジ10が発する音声の20kHz〜36kHzの各周波数、装着部5bに装着されたイエローのインクカートリッジ10が発する音声の38kHz〜54kHzの各周波数、装着部5cに装着されたマゼンタのインクカートリッジ10が発する音声の56kHz〜72kHzの各周波数、及び装着部5dに装着されたシアンのインクカートリッジ10が発する音声の74kHz〜90kHzの各周波数に一致するか否かを判断する。
マイク8が受信したインク容量及び仕向け地域の組合せパターンに特有の音声が、判断情報記憶部63に記憶されている情報と一致しない場合には(S43:NO)、表示制御部67の制御によりディスプレイ7にエラーメッセージを表示し、インクカートリッジ10が交換装着されるまで待機する(S44)。一方、判断情報記憶部63に記憶されている情報と一致した場合には(S43:YES)、情報取得部65によってマイク8が受信した音声が、各インクカートリッジ10のインクの容量及び仕向け地域に関する情報に変換される。このインクの容量及び仕向け地域に関する情報は、各装着部5a〜5dにそれぞれ装着された4つのインクカートリッジ10のインクの容量及び仕向け地域として、取得情報記憶部66に記憶される(S45)。
以上のように、本変形例では、音声信号生成部18は、インクカートリッジ10のカートリッジ情報記憶部16に記憶されているインクの容量及び仕向け地域の組合せに基づいて、インクカートリッジ10のスピーカ13に対して、スピーカ13から出力される音声の周波数が、他のインクカートリッジ10のスピーカ13から出力されるものとは異なるものとなるような音声信号を出力する。そして、発音要求部62は、各装着部5a〜5dにそれぞれ装着された4つのインクカートリッジ10に対して、インクの容量及び仕向け地域の組合せパターンに特有の音声を発するように要求する要求信号を同時に出力する。したがって、音声の出力及びその受信の処理を短時間で済ませることができる。また、周波数の違いにより、各インクカートリッジ10から発せられる音声を区別して受信できる。
また、本変形例では、誤装着・未装着検出処理において、発音要求部62が、各装着部5a〜5dに装着されたインクカートリッジ10に対して、インクの色に特有の音声を発することを要求するする要求信号を順番に出力し、その後、エラー検出処理において、発音要求部62が、装着部5a〜5dにそれぞれ装着された4つのインクカートリッジ10に対して、インクの容量及び仕向け地域の組合せパターンに特有の音声を発するように要求する要求信号を同時に出力する。したがって、各インクカートリッジ10から順番に音声を発することで、どの装着部5a〜5dに装着されたインクカートリッジ10から発せられた音声なのかを識別できる。その後同時に音声を発することで、音声の出力及びその受信の処理を短時間で済ませることができる。
(第1の実施形態の第2変形例)
次に、図10、11を参照しつつ、上述の第1の実施形態の第2変形例について説明する。なお、ここでは、第1の実施形態と同一の符号を用いて説明する。本変形例では、制御装置60で行われる誤装着・未装着検出処理において、発音要求部62が装着部5a〜5dにそれぞれ装着された4つのインクカートリッジ10に対して要求信号を同時に出力する点が、第1の実施形態と主に異なる。
本変形例の音声信号生成部18は、後述するように、発音要求部62が出力した所定の音声パターンで音声を発するように要求する要求信号を受信した際に、スピーカ13に対して、カートリッジ情報記憶部16に記憶されているインクの色の情報に特有の周波数で、且つ要求信号の要求にかかる音声パターンを有する音声信号を出力する。
本変形例の発音要求部62は、第1の実施形態において、各装着部5a〜5dに装着されたインクカートリッジ10に対して、そのカートリッジ情報記憶部16に記憶されているインクの色の情報に特有の周波数で音声を発するように要求する要求信号を順番に出力するのに換えて、後述する判断情報記憶部63に記憶された情報に基づいて、装着部5a〜5dにそれぞれ装着された4つのインクカートリッジ10に対して、特定の音声パターンで音声を発するように要求する要求信号を同時に出力する。
本変形例の判断情報記憶部63は、第1の実施形態において、各装着部5a〜5dに装着すべきインクカートリッジ10のスピーカ13が発する、当該インクカートリッジ10に貯留されているインクの色の情報に特有の音声に関する情報を、装着部5a〜5dに対応付けて記憶するのに換えて、図10に示すように、各装着部5a〜5dに関連付けられた4つの音声パターンA〜Dと、各装着部5a〜5dに装着すべきインクカートリッジ10のスピーカ13が発する、当該インクカートリッジ10に貯留されているインクの色の情報に特有の周波数との一対一の組合せにかかる情報を記憶する。
本変形例の判断部64は、第1の実施形態において、インクの色の情報を要求する要求信号が出力された際に、マイク8が受信した音声が、判断情報記憶部63に記憶されている当該装着部5a〜5dに対応するインクの色の情報にかかる音声と一致するか否かを判断するのに換えて、特定の音声パターンで音声を発するように要求する要求信号が出力された際に、マイク8が受信した音声の音声パターンと周波数との組合せが、判断情報記憶部63に記憶されている各装着部5a〜5dに関連付けられた4つの音声パターンA〜Dとインクの色の情報に特有の周波数との組合せに一致するか否かを判断する。
ここで、図11を参照しつつ、本変形例における誤装着・未装着検出処理について説明する。まず、発音要求部62が、装着部5a〜5dにそれぞれ装着された4つのインクカートリッジ10に対して、複数の音声パターンA〜Dのうち各装着部5a〜5dに関連付けられた音声パターンで音声を発するように要求する要求信号を同時に出力する(S51)。このとき、4つのインクカートリッジ10のスピーカ13からほぼ同時に音声が発せられる。なお、図10に示すように、装着部5aに装着されたインクカートリッジ10からはパターンA、装着部5bに装着されたインクカートリッジ10からはパターンB、装着部5cに装着されたインクカートリッジ10からはパターンC、装着部5dに装着されたインクカートリッジ10からはパターンDの音声パターンで音声が発せられる。
次に、マイク8が音声を受信したか否かが判断される(S52)。マイク8が音声を受信していない場合には(S52:NO)、表示制御部67の制御により、ディスプレイ7にインクカートリッジ10が未装着である旨を表示し、インクカートリッジ10が装着されるまで待機する(S53)。装着が行われると、上述のステップS51に戻る。また、マイク8が音声を受信した場合には(S52:YES)、判断部64が、マイク8が受信した音声の音声パターンと周波数との組合せが、判断情報記憶部63に記憶されている各装着部5a〜5dに関連付けられた4つの音声パターンA〜Dとインクの色の情報に特有の周波数との組合せに一致するか否かを判断する(S54)。
なお、このとき、マイク8は、4つのインクカートリッジ10のスピーカ13から発せられた互いに周波数が異なる音声を同時に受信するので、判断部64は、マイク8が受信した音声を4つの周波数成分に分解する。そして、判断部64は、これら4つの成分の周波数及びその周波数の音声の音声パターンの組合せが、判断情報記憶部63に記憶されている組合せと一致するか否かを判断する。
具体的には、図10に示すように、音声パターンAの音声、すなわち装着部5aに装着されたインクカートリッジ10が発した音声の周波数が20kHz、音声パターンBの音声、すなわち装着部5bに装着されたインクカートリッジ10が発した音声の周波数が30kHz、音声パターンCの音声、すなわち装着部5cに装着されたインクカートリッジ10が発した音声の周波数が40kHz、音声パターンDの音声、すなわち装着部5dに装着されたインクカートリッジ10が発した音声の周波数が50kHzである場合には、一致していると判断する。そして、例えば、イエローのインクカートリッジ10が装着されるべき装着部5bにマゼンタのインクカートリッジ10が装着されており、マゼンタのインクカートリッジ10が装着されるべき装着部5cにイエローのインクカートリッジ10が装着されている場合には、ステップS52においてマイク8が受信する音声は、音声パターンBの音声の周波数が40kHz、音声パターンCの音声の周波数が30kHzとなる。このような場合には、ステップS54において、一致していないと判断する。
マイク8が受信した音声の周波数及び音声パターンの組合せが、判断情報記憶部63に記憶されている組合せと一致する場合には(S54:YES)、誤装着・未装着検出処理を終了する。一方、判断情報記憶部63に記憶されている組合せと一致しない場合には(S54:NO)、表示制御部67の制御により、ディスプレイ7にインクカートリッジ10が誤装着である旨を表示し、インクカートリッジ10が交換装着されるまで待機する(S55)。交換装着が行われると、上述のステップS51に戻る。
以上のように、本変形例では、判断情報記憶部63が、各装着部5a〜5dに関連付けられた4つの音声パターンA〜Dと、インクカートリッジ10のスピーカ13が発するインクの情報に特有の音声の周波数との一対一の組合せにかかる情報を記憶する。また、発音要求部62は、判断情報記憶部63に記憶された情報に基づいて、装着部5a〜5dにそれぞれ装着された4つのインクカートリッジ10に対して、音声パターンA〜Dのうち各装着部5a〜5dに関連付けられた音声パターンで音声を発するように要求する要求信号を同時に出力する。さらに、音声信号生成部18は、カートリッジ情報記憶部16に記憶されている情報に基づいて、該インクカートリッジ10のスピーカ13に対して、スピーカ13から出力される音声が他のインクカートリッジ10のスピーカ13から出力されるのとは周波数が異なり、且つ要求信号の要求にかかる音声パターンを有することとなるような音声信号を出力する。したがって、受信した音声の周波数及び音声パターンの組合せにより、どの装着部5a〜5dに装着されたインクカートリッジ10から発せられた音声なのかを識別できる。
また、本変形例では、カートリッジ情報記憶部16が、貯留するインクの色を一項目として含む情報を記憶しており、音声信号生成部18は、カートリッジ情報記憶部16に記憶されているインクの色の情報に基づいて、他のインクカートリッジ10のスピーカ13から出力されるのとは周波数が異なり、且つ要求信号の要求にかかる音声パターンを有することとなるような音声信号を出力する。したがって、各装着部5a〜5dに装着すべき色のインクカートリッジ10が装着されているかを確認できる。
<第2の実施形態>
次に、図12〜図14を参照しつつ、本発明の第2の実施形態にかかるインクジェットプリンタについて説明する。本実施形態のインクジェットプリンタ101は、カートリッジ制御部115及び制御装置160の構成のみが、第1の実施形態の構成と異なる。その他の構成については、第1の実施形態と同様である。以下の説明においては、第1の実施形態と同様の構成に相当するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
図12に示すように、カートリッジ制御部115は、第1の実施形態と同様にカートリッジ110に関する情報を記憶するカートリッジ情報記憶部116、判断部117、及び音声信号生成部118を有している。
判断部117は、後述する確認信号出力部162から出力された、貯留しているインクの色がブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンのいずれであるかを確認する確認信号を受信した際に、確認信号が確認する色と、カートリッジ情報記憶部116に記憶されているインクの色とが一致するか否かを判断する。
音声信号生成部118は、判断部117において、確認信号が確認する色とカートリッジ情報記憶部116に記憶されているインクの色とが一致と判断された場合に、音声信号を生成してスピーカ13に出力する。すなわち、例えば、ブラックのインクを貯留するインクカートリッジ110は、貯留しているインクの色がブラックであるかを確認する確認信号を受信した際に、スピーカ13から音声を発する。なお、音声信号生成部118は、可聴域外の周波数の音声信号を出力する。
また、制御装置160は、第1の実施形態と同様に、インクジェットヘッド2、キャリッジ3、及び搬送機構4の駆動を制御する駆動部161と、確認信号出力部162と、表示制御部163とを有している。
確認信号出力部162は、各装着部5a〜5dに装着されたインクカートリッジ110に対して、貯留しているインクの色がブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンのいずれであるかを確認する確認信号を電気信号として出力する。なお、確認信号出力部162は、装着部5a〜5dに装着すべきインクカートリッジ110に対応する色のインクが貯留されているかを確認する確認信号を最初に出力する。すなわち、装着部5aに装着されたインクカートリッジ110に対しては、ブラックのインクが貯留されているか、装着部5bに装着されたインクカートリッジ110に対しては、イエローのインクが貯留されているか、装着部5cに装着されたインクカートリッジ110に対しては、マゼンタのインクが貯留されているか、装着部5dに装着されたインクカートリッジ110に対しては、シアンのインクが貯留されているか、を確認する確認信号を最初に出力する。かかる確認信号は、本体部20及びインクカートリッジ110を電気的に接続する図示しないコネクタ及び信号線等を介してインクカートリッジ110に伝達される。
表示制御部163は、確認信号出力部162が確認信号を出力した後、マイク8が音声を受信しなかった場合に、ディスプレイ7にインクカートリッジ110が誤装着又は未装着である旨を表示する。
ここで、図13を参照しつつ、カートリッジ制御部115で行われる処理について説明する。まず、確認信号出力部162から出力された確認信号を受信したか否かの判断が、確認信号を受信したと判断されるまで繰り返し行われる(S61)。そして、確認信号を受信したと判断された場合には(S61:YES)、判断部117によって、確認信号が確認する色とカートリッジ情報記憶部116に記憶されているインクの色とが一致するか否かの判断が行われる(S62)。ステップS62において一致しないと判断された場合には(S62:NO)、処理を終了する。一方、ステップS62において一致すると判断された場合には(S62:YES)、音声信号生成部118が、音声信号を生成してスピーカ13に出力する。これにより、スピーカ13から音声が発せられる(S63)。
次に、図14を参照しつつ、制御装置160で行われる誤装着・未装着検出処理について説明する。まず、確認信号出力部162が、装着部5aに装着されたインクカートリッジ110に対して、貯留されているインクの色がブラックであるかを確認する、すなわち装着部5aに装着されるべきインクカートリッジ110が装着されているかを確認する確認信号を出力する(S71)。このとき、上述のように、カートリッジ制御部115の判断部117では、確認信号が確認する色とカートリッジ情報記憶部116に記憶されているインクの色とが一致するか、すなわち、当該インクカートリッジ110が装着されるべき装着部5aに装着されているかの判断が行われる。
続いて、マイク8が音声を受信したか否かの判断が行われる(S72)。ここで、音声を受信したと判断された場合、すなわち装着部5aに装着すべきインクカートリッジ110が装着されている場合には(S72:YES)、後述するステップS77に進む。一方、音声を受信していないと判断された場合には(S72:NO)、確認信号出力部162が、装着部5aに装着されたインクカートリッジ110に対して、貯留されているインクの色がイエロー、マゼンタ、及びシアンであるかを確認する確認信号を順番に出力する(S73)。そして、マイク8が音声を受信したか否かの判断が行われる(S74)。
このとき、音声を受信したと判断された場合、すなわち、装着部5aに装着すべきでないイエロー、マゼンタ、又はシアンのインクを貯留するインクカートリッジ110が装着されている場合には(S74:YES)、表示制御部163の制御により、ディスプレイ7に誤装着である旨を表示し、インクカートリッジ110が交換装着されるまで待機する(S75)。交換装着が行われると、上述のステップS71に戻る。また、音声を受信していないと判断された場合には(S74:NO)、表示制御部163の制御により、ディスプレイ7にインクカートリッジ110が未装着である旨を表示し、インクカートリッジ110が装着されるまで待機する(S76)。装着が行われた後、上述のステップS71に戻る。
次に、確認信号出力部162が、装着部5bに装着されたインクカートリッジ110に対して、貯留されているインクの色がイエローであるかを確認する、すなわち装着部5bに装着されるべきインクカートリッジ110が装着されているかを確認する確認信号を出力する(S77)。続いて、マイク8が音声を受信したか否かの判断が行われる(S78)。ここで、音声を受信したと判断された場合、すなわち装着部5bに装着すべきインクカートリッジ110が装着されている場合には(S78:YES)、後述するステップS83に進む。
一方、音声を受信していないと判断された場合には(S78:NO)、確認信号出力部162が、装着部5bに装着されたインクカートリッジ110に対して、貯留されているインクの色がマゼンタ、及びシアンであるかを確認する確認信号を順番に出力する(S79)。そして、マイク8が音声を受信したか否かの判断が行われる(S80)。このとき、音声を受信したと判断された場合には(S80:YES)、表示制御部163の制御により、ディスプレイ7に誤装着である旨を表示し、インクカートリッジ110が交換装着されるまで待機する(S81)。交換装着が行われた後、上述のステップS77に戻る。また、音声を受信していないと判断された場合には(S80:NO)、表示制御部163の制御により、ディスプレイ7にインクカートリッジ110が未装着である旨を表示し、インクカートリッジ110が装着されるまで待機する(S82)。装着が行われた後、上述のステップS77に戻る。
次に、確認信号出力部162が、装着部5cに装着されたインクカートリッジ110に対して、貯留されているインクの色がマゼンタであるかを確認する、すなわち装着部5cに装着されるべきインクカートリッジ110が装着されているかを確認する確認信号を出力する(S83)。続いて、マイク8が音声を受信したか否かの判断が行われる(S84)。ここで、音声を受信したと判断された場合、すなわち装着部5cに装着すべきインクカートリッジ110が装着されている場合には(S84:YES)、後述するステップS89に進む。
一方、音声を受信していないと判断された場合には(S84:NO)、確認信号出力部162が、装着部5cに装着されたインクカートリッジ110に対して、貯留されているインクの色がシアンであるかを確認する確認信号を出力する(S85)。そして、マイク8が音声を受信したか否かの判断が行われる(S86)。このとき、音声を受信したと判断された場合には(S86:YES)、表示制御部163の制御により、ディスプレイ7に誤装着である旨を表示し、インクカートリッジ110が交換装着されるまで待機する(S87)。交換装着が行われた後、上述のステップS83に戻る。また、音声を受信していないと判断された場合には(S86:NO)、表示制御部163の制御により、ディスプレイ7にインクカートリッジ110が未装着である旨を表示し、インクカートリッジ110が装着されるまで待機する(S88)。装着が行われた後、上述のステップS83に戻る。
次に、確認信号出力部162が、装着部5dに装着されたインクカートリッジ110に対して、貯留されているインクの色がシアンであるかを確認する、すなわち装着部5dに装着されるべきインクカートリッジ110が装着されているかを確認する確認信号を出力する(S89)。続いて、マイク8が音声を受信したか否かの判断が行われる(S90)。ここで、音声を受信したと判断された場合、すなわち装着部5dに装着すべきインクカートリッジ110が装着されている場合には(S90:YES)、誤装着・未装着検出処理を終了する。また、音声を受信していないと判断された場合には(S90:NO)、表示制御部163の制御により、ディスプレイ7にインクカートリッジ110が未装着である旨を表示し、インクカートリッジ110が装着されるまで待機する(S91)。装着が行われると、上述のステップS89に戻る
以上のように、本実施形態では、本体部20が、各装着部5a〜5dに装着されたインクカートリッジ110に対して、貯留しているインクの色を確認する確認信号を出力する確認信号出力部162と、マイク8とを備えている。また、インクカートリッジ110は、確認信号が確認する色と、カートリッジ情報記憶部116に記憶されているインクの色とが一致するか否かを判断する判断部117を備えている。すなわち、確認信号出力部162が、装着部5a〜5dに装着されたインクカートリッジ110に対して、該装着部5a〜5dに装着されるべきインクカートリッジ110に対応する色のインクが貯留されているかを確認する確認信号を出力した際に、この確認信号を受信したインクカートリッジ110の判断部117で、確認信号が確認する色と、カートリッジ情報記憶部116に記憶されているインクの色とが一致するか否かを判断することで、該インクカートリッジ110が装着されるべき装着部5a〜5dに装着されているかを判断することができる。さらに、確認信号が確認する色とカートリッジ情報記憶部116に記憶されているインクの色とが一致すると判断部117が判断した場合に、音声信号を生成して当該インクカートリッジ110のスピーカ13に出力する音声信号生成部118を備えている。したがって、スピーカ13から出力された音声をマイク8で受信することにより、確認信号にかかる色のインクを貯留するインクカートリッジ110が装着されていることを本体部20に伝達できる。すなわち、各装着部5a〜5dに装着すべきインクカートリッジ110が装着されていることを確認できる。また、第1の実施形態と同様に、スピーカ13とマイク8とは自由に配置できるので、設計の自由度が上がる。
さらに、本実施形態では、確認信号出力部162が、装着部5a〜5dに装着すべきインクカートリッジ110に対応する色のインクが貯留されているかを確認する確認信号を出力した後、マイク8が音声を受信しなかった場合に、ディスプレイ7にインクカートリッジ110が誤装着又は未装着である旨を表示する。したがって、インクカートリッジ110が誤装着又は未装着である旨を使用者に知らせることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。
例えば、上述の第1及び第2の実施形態では、スピーカ13が可聴域外の周波数の音声を発する場合について説明したが、可聴域の周波数の音声を発するようにしてもよい。
さらに、上述の第1及び第2の実施形態では、本体部20が、インクカートリッジ10(110)が誤装着又は未装着である旨を表示するディスプレイ7を備えている場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、例えば、誤装着又は未装着を報知する報知手段として、ランプや音声等を用いてもよい。また、ディスプレイ7等の報知手段が、本体部20とは別に独立して設けられていてもよい。さらに、ディスプレイ7等の報知手段はなくてもよい。
また、上述の第1及び第2の実施形態では、音声信号を生成しスピーカ13に出力する音声信号生成部18(118)が、インクカートリッジ10(110)に備えられている場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、音声信号生成部18(118)は、本体部20の制御装置60(160)に備えられていてもよい。
加えて、上述の第1の実施形態では、マイク8が受信した音声をインクカートリッジ10に関する情報に変換する情報取得部65と、情報取得部65における変換によって生成されたインクカートリッジ10に関する情報を記憶する取得情報記憶部66とを備えている場合について説明したが、これら情報取得部65及び取得情報記憶部66はなくてもよい。