本発明に係るレーザ投射装置は、レーザ光源と、レーザ光源からの光束が入射する入射光学系と、入射光学系からの光束を2次元的に走査するための走査装置と、走査装置からの光束をスクリーンに投影するための投影光学系などで構成される。
走査装置は、主走査方向に光束を偏向する機能と、主走査方向に対して交差する副走査方向に光束を偏向する機能を有し、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーで構成することができる。走査装置は、主走査ミラーと副走査ミラーを別個に設けた構成でもよく、単一ミラーに主走査駆動機構および副走査駆動機構を設けた構成でもよい。
走査方向に関して、一般のディスプレイと同様に、主走査方向が水平で、副走査方向が垂直となるように設定してもよく、あるいは主走査方向が垂直で、副走査方向が水平であってもよく、両方とも非水平かつ非垂直であっても構わない。
以下の説明では、理解容易のため、主走査方向をH(水平)方向、副走査方向をV(垂直)方向に設定した場合を例示する。
従来、小型の投射装置としてDMD(Digital Micromirror Device)や液晶素子を用いたプロジェクタが知られている。従来のDMDや液晶画面を拡大投影する、いわゆるマイクロディスプレイ方式だと限界がある。その理由は、2次元の画像を投影する必要があるので、照明光学系や投影光学系が大きくなってしまうからである。
それに対して、MEMS等の小さなミラーを走査して、それに追随してレーザ光源の輝度を変調するいわゆるレーザ走査方式のプロジェクタは小型化が可能である。走査ミラーがDMDなどと比較して小さいこと、光源がレーザであり、照明光学系も走査ミラーに照射するだけなので小さくなること、投影光学系も点を走査するだけなので、2次元投影光学系と比較すると小さくなることが特長である。
上記方式を用いると小型の投射装置は実現できる。さらには、明るく高解像度の高品質の画像を投射することが望まれる。
MEMSミラー等の偏向走査ミラーを2次元に(または2枚のミラーの組み合わせで)走査して、高解像度の画像を出力するには、映像の縦方向を低速駆動させ、横方向を高速駆動させる必要がある。具体的には縦方向は60Hz等の目にちらつきが感じられない程度の速度で駆動させ、横方向はその間早く駆動させる。縦方向と横方向の駆動周波数の比が縦方向の解像度になる。つまり、XGAの解像度(1024×768)を有するためには、縦方向の走査領域を全部使うとした場合には、60×768=46KHz、ただし、横方向は往復走査させて描画するのでその半分の23KHzの周波数が必要である。これはミラーを走査する速度としては非常に高速である。
高速で大きな機械振幅を有するには共振駆動を用いることが好ましい。逆に共振駆動を用いないと、振幅や速度が不足してしまう。従って、H方向駆動は正弦波駆動であることが好ましい。
V方向走査は、60Hz等の周期でよいので比較的走査速度が遅いため、共振を使わない駆動方式を用いることが出来る。V方向駆動は画面切り替わり周期を60Hzとすると、鋸歯形状で60Hzまたは往復を利用して三角波形状で30Hzであればよい。
正弦波駆動させているH方向の被走査面上での等速性を考慮する。H方向は共振を用いているので、中心と周辺での速度差が必ず発生する。最周辺では速度はゼロになってしまうので、全領域を使用するのは難しい。例えば、正弦波の最大ピークから最小ピークまでの走査時間のうち75%を有効走査領域として使用する。即ち、正弦波駆動であるので、Sin(90×0.75)=0.92であるので、有効走査時間75%は有効走査角度の92%であることを意味する。このときの有効領域最周辺の走査速度の中心との比率はCosで計算でき、Cos(90×0.75)=0.38であり38%になってしまう。正弦波駆動方式を用いる限り、機械的にこの量を補正することは困難になる。
仮に、光学補正を行わずに画像補正を行った場合、周辺と中心で1ドットに相当するクロック数を変化させると言うやり方が考えられるが、約4割のクロックの差を出すには、1ドットを例えば、10クロックに分けて、周辺では10クロックで、さらに中心では4クロックで1つのドットを表現するという方法が考えられる。しかし、60HzのXGAの解像度であるので、レーザの変調周波数は60×1024×768×10クロック=470MHzの変調が必要となる。これは1クロックで約2nsのパルス光を出すことになるが、高速変調に追随可能なレーザは高価なものとなる。また、画像処理回路においても、高速処理を行うには限界があり、例えば現在高速とされるFPGA回路は10GHz程度であるが、60HzのXGAの解像度を256階調で表現をするには約12GHzとなる。技術の進歩で回路の高速化は可能ではあるが、画像処理回路も高価になってしまうので好ましくない。また、画像処理を行ったとしても速度差から生じる明るさのムラは補正できないため、周辺の輝度(レーザ強度)を低下させることで均一な明るさを得ることとなるが、結果として全体を暗くする必要があるので好ましくない。
従って、H方向の等速性は光学系で行うことが最も好ましい。等速性の確保の方法としては、いわゆるfアークサイン特性を有することが好ましい。さらには、fアークサイン特性を必要としているのは、H方向の等速性確保のためであるので、直交方向のV方向はf−θ特性やfTanθ特性であればよく、投影光学系にはH方向とV方向で特性の異なることが好ましい。
投影光学系は、通常、カラー表示を行うためにRGBの3つの光源からの光を合成して投影させるために、色収差(倍率・軸上)が発生すると、色にじみとなり、像の性能を劣化させる。そこで、色収差を抑えた光学系である必要がある。特に、fアークサイン特性は、H方向の周辺の光線を大きく偏向させる特性であるために、屈折レンズで投影光学系を構成すると、色収差が大きく発生してしまい、補正することが困難となってしまうので好ましくない。従って、色収差の発生のない反射光学系で投影光学系を構成することが好ましい。但し、反射光学系のみでなくても色収差の発生の小さなノンパワーの透過レンズを光路中に配して、残存収差等を補正することも可能であるが、この考え方を排除するものではない。
投影光学系に必要な要件は、等速性と結像性能の両方を画像領域全てにわたって良好に補正することである。2つの制約を満足することになるので、少なくとも2つの反射ミラーが投影光学系には必要である。従って、投影光学系には少なくとも2枚の反射ミラーを有することが好ましい。
反射光学系の場合は、光線分離を行って光学系(走査ミラー)を配置する必要があるが、光線分離方向はV方向であることが好ましい。通常の表示画面は4:3や16:9といった横長の画面であることが多く、短い辺での分離のほうが分離を行いやすく、全体を小型に出来るので好ましい。また、通常プロジェクタの投射装置はスクリーン等の被投射面に対して、手前下方から投影するが、V方向の分離であると下方からの斜め投影を行いやすい。
さらに、自由曲面を用いた反射光学系で、特にH方向にのみアークサイン特性を持たせることが必要である。
反射光学系は、上述のように光線分離を行って配置する必要がある。走査装置は光源からの光を2次元的に走査するので、走査装置から離れるほど全体の光束幅は大きくなる傾向がある。従って、例えば、特許文献2の実施例のような投影光学系の場合は、全体が大きく肥大化してしまう。反射光学系を用いながら、小型の投影光学系を達成するためには、投影光学系の光路中に光源像を有することが好ましい。光源像が光路中に存在すると、その部分で一旦光束が小さくなるので、走査装置から離れるほど光束が大きくなるという上記の課題を解決し、光源像後の光束(つまり光学素子の大きさ)を小さくすることが出来る。
その際に、光源像は、上記反射光学系の走査装置から数えて1枚目と2枚目の間にあることが好ましい。さらに、光路中に光源像を形成する光学系であっても、光源像が走査装置から離れて形成されている場合は、光源像までの光束が広がってしまい、その結果光学素子ならびに投影光学系が大型化してしまうので好ましくない。逆に、光源像が1枚目と2枚目の間にある場合は、反射光学系における最小の小型化を達成できるので、より好ましい。
さらに、光源像を2枚目以降の反射面で被走査面に投影(再結像)させることで、被走査面において良好な投射像が得られることになる。
上記構成を用いることで、投影光学系の小型化は達成できるが、良好な投射性能を得るためには、H方向においてfアークサイン特性を満たすことが必要となる。そのためには、反射面がH方向の周辺に向かうほど凸のパワー、即ち、正のパワーが強くなるように構成されていることが好ましい。
上記の理由について、図14を用いて説明する。図14は、走査装置30から被走査面(スクリーンSC)までのH方向断面の光路図を模式的に示している。実際は、走査装置30および投影光学系40ともに反射光学系であるが、図14では理解容易のために、透過光学系として示している。
投影光学系40のH方向周辺の正パワーが大きくなる場合は、図14のように、投影光学系で周辺部分の光線ほど大きく偏向させられる。その結果、H方向は正弦波駆動のために、走査装置30による偏向角は時間的には非等間隔となるが、投影光学系40により、被走査面上において等間隔(等速走査)となる。
従って、投影光学系40は、H方向周辺の正パワーが大きくなる上記特性を有する反射面があることが好ましい。更には、1枚目のミラーに上記特性を有していることが好ましい。又は、投影光学系の中で最もH方向の有効領域の大きな反射面に上記特性を有していることが好ましい。
アークサイン特性を出すために、H方向の周辺に凸のパワーを大きくするが、光線が分離されているほうが独自に光線の偏向角度を制御できる。そのためには、光線分離の程度が最も大きくなる面に上記の特性を有していると効率的にアークサイン特性を有することが出来る。
更には、全ての反射ミラーが上記特性を有しており、アークサイン特性の効果を分担して持つように構成されていることが、収差補正と等速性のバランスを良好に保つことが出来るので好ましい。
次に、入射光学系に関して、前述したように、H方向とV方向で適切な投影光学系の特性が異なるため、それぞれの方向に適した特性を持つ光束を入射することにより、各方向の面形状の役割が明確になり、特性の確保が容易になる。
また、入射光学系にも自由度を与えることにより、入射光学系+投影光学系で特性の確保を行うことになるため、従来の投影光学系のみによる場合に比べて投影光学系中の光学面の数を減らすことが可能となり、光学系の肥大化を防止することができる。
方向により特性の異なる光束を実現するため、入射光学系においてはH方向とV方向でパワーの異なる光学系となることが好ましい。そのような光学系を1つの面で実現する手段としては、アナモルフィック面、バイコーニック面、自由曲面などを用いることが挙げられる。
本発明ではH方向の等速性能を改善するため、上記の通りH方向にアークサイン特性を得るべく投影光学系に周辺部で強い正のパワーとなる面を用いている。しかし、そのパワー特性により光源像位置において周辺部でマイナス側への像面の倒れが発生することになり、像性能の劣化を引き起こす場合がある。
この問題を解決するため、H方向は走査装置に対して収束光を入射することが好ましい。その理由については図15と図16を用いて説明する。図15(A)は、物体距離無限遠の光束(コリメート光)をレンズに入射した際の光学系20と像面の状態を示し、図15(B)は、この場合のサジタル面(S)およびタンジェンシャル面(T)の像面湾曲を示すグラフである。また図16は、収束光を入射した際の光学系20と像面の状態を示し、図16(B)は、この場合のサジタル面(S)およびタンジェンシャル面(T)の像面湾曲を示すグラフである。
図15(B)と図16(B)を比較して分かるように、どちらの場合もマイナス側へ像面の倒れが発生しているが、光学系20に対して収束光を入射することにより像面の倒れを改善することができる。
従って、本発明において走査装置のH方向に収束光を入射することで像性能の良好な投影装置を提供することができる。
その際、走査装置の位置に対する入射光学系によるH方向の光源像までの距離をH方向の物体距離Shとし、瞳径をdとしたとき、入射光学系20は、下記の式(11)を満足することが好ましい。
20<Sh/d<80 …(11)
Sh/dが80よりも大きい(物体位置が入射光学系から遠ざかりすぎる)場合には、光束の収束度合いが小さくなり、十分な光源像の像面補正効果を得ることが難しい。
また、Sh/dが20よりも小さい(物体位置が入射光学系に近づきすぎる)場合には、光源像の前の光学系により光束が発散してしまい、光学系の小型化という目的に相反することになる。
V方向に関しても走査装置の位置に対する入射光学系によるV方向の光源像までの距離をV方向の物体距離Svとし、瞳径をdとしたとき、入射光学系は、下記の式(12)を満足することが好ましい。
|0.05|>d/Sv …(12)
V方向に強い収束光を入射した場合、光源像の前の光学系のパワーが非常に小さくなり、逆に光源像の後の光学系はスクリーンに結像させるためのパワーが必要となるため、光源像前後の光学系のパワーバランスに偏りが生じてしまい、収差バランスにも偏りが生じるために、良好な像を得ることができない。
また、V方向に強い発散光を入射した場合には、光源像を形成するために光源像の前の光学系に大きなパワーが必要となり、上記同様光源像前後の光学系のパワーバランスに偏りが生じてしまい、収差バランスにも偏りが生じるために、良好な像を得ることができない。
従って、V方向に関しては、コリメート光もしくは弱い収束光か発散光を入射する必要がある。
さらに、光源像の後ろの光学系からはスクリーンに結像するために弱い収束光が射出されるため、光源像前後の光学系の対称性から光源像の前側の光学系には弱い発散光が入射することが好ましい。具体的には以下の条件式(12a)を満足することが好ましい。
−0.05<d/Sv<0 …(12a)
上記の条件式(12a)を満足する場合、収差補正に有利な対称性のある光学系が実現されるため、良好な像を得ることができるので、より好ましい。
さらに、入射光学系のH方向のパワーとV方向のパワーの比が、以下の式(13)を満たす光学系となることが好ましい。
1.2<PwH/PwV<7.0 …(13)
但し、PwHは、入射光学系のH方向のパワーの絶対値であり、PwVは、入射光学系のV方向のパワーの絶対値である。
パワー比が1.2以下、即ちH方向とV方向のパワー差が小さい場合には、H方向の性能を確保しようとするとV方向も強い収束光となり、これは上記式(12)で説明した通り光学系のパワーバランスの観点から良好な像を得ることができないので好ましくない。
逆にV方向の性能を確保しようとすると、上記式(12)で説明した通りV方向は弱い収束光か発散光が好ましいため、H方向の収束度合いが不足し、十分な光源像の像面補正を行うことができない。
また、パワー比が7.0以上、即ちH方向とV方向のパワー差が大きい場合には、投影光学系におけるH方向とV方向の形状の違いが大きくなり、形状自由度の高い自由曲面等を用いても面形状の自由度は歪曲と等速性の確保に利用されるため、画面四隅で良好な像を得ることが困難となる。
次に、投影光学系における第1ミラーと第2ミラーの間にある光源像に関して、投影光学系の投射性能、小型化等の要件から、第1ミラーは、下記の条件式(1)を満足することが好ましい。
0<(S1H×f1H)/(S1H+f1H)/L12<1.0 …(1)
但し、L12は、第1ミラーと第2ミラーの間の光軸主光線の光路長であり、f1Hは、第1ミラーのH方向の光軸主光線近傍の焦点距離であり、S1Hは、第1ミラーのH方向の入射光学系による光源像の物体距離である。ここで、光軸主光線とは、被走査面に表示される画像表示領域の中心(偏向走査手段の走査角度が0の状態の光線)に向かう光線のうち、光源を出て、瞳の中心を通るものとする。
条件式(1)は、ミラー間の距離と第1ミラーのH方向の焦点距離、さらに第1ミラーに対する光源のH方向の物体とを適切に定める関係式である。上記関係式を満たすことで、H方向の光源像が第1ミラーと第2ミラーの中間に生成される。
逆に、上記関係式の上限を超えたり、下限を下回ると、H方向の光源像が第1ミラーと第2ミラーの中間に生成されないので、再結像されない。
さらに、第1ミラーは、下記の条件式(1a)を満足することがより好ましい。
0.2<(S1H×f1H)/(S1H+f1H)/L12<0.6 …(1a)
この条件式(1a)を満足すると、収差や光学素子のサイズ等のバランスが最もよく、好ましい配置となる。具体的には、H方向の光源像は、第1ミラーと第2ミラーの中間付近または中間よりもやや第1ミラーに近くなり、最もよい配置となって好ましい。
条件式(1a)の上限を超えると、第1ミラーの焦点距離が長くなりすぎるために、光源像を第1ミラーと第2ミラーの間に配置することが困難となる。
逆に、条件式(1a)の下限を下回ると、第1ミラーの近傍に光源像を作るので、第1ミラーのパワーが強くなりすぎて第1ミラーで発生する諸収差を小さく抑えることが困難になり、良好な画像が得られなかったり、光源像と第2ミラーの距離が長くなるので、第2ミラー以降の光学素子の大きさが肥大化し、結果として小型の投影光学系を得ることが困難となったりするので好ましくない。
また、本発明に係る投影光学系は、ミラー2枚のみで構成されることが好ましい。本発明に係る投影光学系には、光路中に光源像を生成する機能を有する第1ミラーとその中間光源像をスクリーン等の被走査面に再結像する光学系の少なくとも2つのミラーが必要となるが、2枚であることは構成要素を最小にすることが出来るので、コストダウンや小型化には非常に好ましい。更には、2枚のミラーはそれぞれ正のパワーを有し、以下の条件式(2)を満足することが好ましい。
0<(S1V×f1V)/(S1V+f1V)/L12<1.0 …(2)
但し、L12は、第1ミラーと第2ミラーの間の光軸主光線の光路長であり、f1Vは、第1ミラーのV方向の光軸主光線近傍の焦点距離であり、S1Vは、第1ミラーのV方向の入射光学系による光源像の物体距離である。
条件式(2)は、ミラー間の距離と第1ミラーのV方向の焦点距離、さらに第1ミラーに対する光源のV方向の物体とを適切に定める関係式である。上記関係式を満たすことで、V方向の光源像が第1ミラーと第2ミラーの中間に生成される。
逆に、上記関係式の上限を超えたり、下限を下回ると、V方向の光源像が第1ミラーと第2ミラーの中間に生成されないので、再結像されない。
さらに、第1ミラーは、下記の条件式(2a)を満足することがより好ましい。
0.4<(S1H×f1H)/(S1H+f1H)/L12<0.8 …(2a)
この条件式(2a)を満足すると、収差や光学素子のサイズ等のバランスが最もよく、好ましい配置となる。具体的には、V方向の光源像は、第1ミラーと第2ミラーの中間付近または中間よりもやや第1ミラーに近くなり、最もよい配置となって好ましい。
条件式(2a)の上限を超えると、第1ミラーの焦点距離が長くなりすぎるために、光源像を第1ミラーと第2ミラーの間に配置することが困難となる。
逆に、条件式(2a)の下限を下回ると、第1ミラーの近傍に光源像を作るので、第1ミラーのパワーが強くなりすぎて第1ミラーで発生する諸収差を小さく抑えることが困難になり、良好な画像が得られなかったり、光源像と第2ミラーの距離が長くなるので、第2ミラー以降の光学素子の大きさが肥大化し、結果として小型の投影光学系を得ることが困難となったりするので好ましくない。
さらに、第1ミラーへの入射光に関して、H方向の光源像は第1ミラーに対して正の位置に結び、V方向の光源像は第1ミラーに対して負の位置に結ぶことが好ましい。このことは、第1ミラーには、H方向について収束光、V方向について発散光を入射させることになる。投影光学系がアークサイン特性を有しながら、その像面湾曲を良好に補正するには、H方向には収束光を入射させることが好ましく、V方向は通常の射影方式であるため、発散光を入射させることが好ましい。
ここで、上記の状態で第1ミラーと第2ミラーの中間においてH方向の光源像およびV方向の光源像の両方を生成するためには、第1ミラーのH方向パワーとV方向パワーが下記の条件式(3)を満足することが好ましい。
0<f1V/f1H<1 …(3)
即ち、第1ミラーのV方向パワーは、H方向パワーよりも強いことが好ましい。収差補正に良好な入射光の状態で、さらに光源像を第1ミラーと第2ミラーの間に生成できることから、条件式(3)が特に好ましい関係となる。
さらに、第1ミラーのH方向パワーとV方向パワーは、下記の条件式(3a)を満足することがより好ましい。理由は、H方向パワーとV方向パワーが適切なパワー差を保ちつつ、極端なアナモルフィック比とならないためである。
0.1<f1V/f1H<0.7 …(3a)
以上の特徴をもつ投射装置を利用することで、高品位で小型の画像出力装置を提供することができる。
次に、本発明の具体的な構成について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態を示す全体図であり、図1(A)は側面図、図1(B)は平面図である。レーザ投射装置PJは、画像信号に基づいて強度変調された光束をV(垂直)方向およびH(水平)方向に走査して、スクリーンSC上においてラスタースキャン画像を形成する。図1(A)に示すように、スクリーンSCに対して斜め下方からの投影により、レーザ投射装置PJが視聴者の視界に入らないようにしている。
図2は、レーザ投射装置PJにおける光源ユニットの一例を示す構成図である。光源ユニット10は、R(赤色)光を発生するレーザ素子11Rと、G(緑色)光を発生するレーザ素子11Gと、B(青色)光を発生するレーザ素子11Bと、レーザ素子11RからのR光を、投影光学系に対して最適な物体距離になるように走査装置に入射させる入射光学系12Rと、レーザ素子11GからのG光を、投影光学系に対して最適な物体距離になるように走査装置に入射させる入射光学系12Gと、レーザ素子11BからのB光を、投影光学系に対して最適な物体距離になるように走査装置に入射させる入射光学系12Bと、R光、G光、B光を共軸に合成する色合成素子13と、折り返しミラー15などで構成される。色合成素子13は、例えば、プリズムやダイクロイックミラーの組み合わせで構成される。
レーザ素子11Rは、例えば、波長630nmの光を発生する半導体レーザで構成される。レーザ素子11Gは、例えば、PPLN導波路による第2高調波発生を用いて、波長532nmの光を発生する半導体励起の固体レーザで構成される。レーザ素子11Bは、例えば、波長445nmの光を発生する半導体レーザで構成される。R光、G光、B光の最大出力をそれぞれ150mW、120mW、83mWまたはこれらの比率で設定すると、綺麗な白色と色再現性の広い非常に鮮やかな画面を得ることができる。例えば、光源ユニット10からの出力値が約100ルーメンである場合、光学系によるロス(面反射ロス、MEMS時間制御によるロス、色合成素子によるロス等)が合計で50%のとき、スクリーンSC上で約50ルーメンの明るさが得られることになる。
レーザ素子11R,11Bは、レーザチップへの注入電流を直接変調してもよく、あるいはAO(音響光学)素子等の光変調器を別途設けても構わない。レーザ素子11Gは、励起用レーザチップへの注入電流を直接変調してもよく、あるいはAO素子等の光変調器を別途設けても構わない。
図3は、第1実施形態に係るレーザ投射装置PJの構成を示し、図3(A)は側面図、図3(B)は平面図である。レーザ投射装置PJは、上述した光源ユニット10と、光源ユニット10からの光束を2次元的に走査するための走査装置30と、走査装置30からの光束をスクリーンに投影するための投影光学系などで構成される。
光源ユニット10は、折り返しミラー15から紙面垂直方向に配置されるが、図3(A)(B)では、理解容易のため、折り返しミラー15を省略した状態で図示している。
各入射光学系12R,12G,12Bは、光源側が平面で、射出側がH方向とV方向に曲率半径の異なるアナモルフィック面からなる光学レンズを含み、H方向のパワーとV方向のパワーが互いに異なっている。
走査装置30は、図4に示すようなMEMSミラーで構成され、H方向の偏向は共振駆動で行われ、V方向の偏向は非共振駆動で行われる。
投影光学系は、2枚の非軸対称形状の反射ミラー41,42で構成される。本実施形態では、図3(A)に示すように、走査装置30に最も近い第1ミラー41と第2ミラー42との間に光源像が存在している。
図4は、走査装置30の構成例を示す正面図である。走査ミラー31は、y方向に沿って両側に延びる一対のトーションバー32によって、所定の捩り弾性係数でy軸回りに角変位可能に支持される。各トーションバー32の根元は、可動枠33に固定されている。可動枠33は、固定枠35に対してX軸回りに角変位可能に支持される。これらの走査ミラー31、トーションバー32、可動枠33および固定枠35は、シリコン基板の微細加工によって一体的に形成することができる。走査ミラー31は、シリコン基板の表面に金属薄膜等の光反射膜が形成されている。走査ミラー31の有効径(瞳径)は、例えば、Φ1mmに設計される。
正方形状の可動枠33および固定枠35の各対向辺には、印加電圧に応じて変形する圧電素子34a〜34dが固定される。例えば、圧電素子34a,34cに正の電圧を加え、圧電素子34b,34dに負の電圧を加え、正負を交互に入れ替えて駆動させた場合、走査ミラー31はX軸を中心として角変位する。
また、圧電素子34a,34bに正の電圧を加え、圧電素子34c,34dに負の電圧を加え、正負を交互に入れ替えて駆動させた場合、走査ミラー31は、Y軸を中心として角変位する。このとき走査ミラー31は、トーションバー32の捩り弾性係数と走査ミラー31の有効質量で決定される共振周波数で往復振動するようになり、走査ミラー31の角度は時間に対して正弦波関数で変化する。
4つの圧電素子34a〜34dにH方向の駆動とV方向の駆動の信号を重畳した電圧を加えることで、内側のトーションバー32を支点にしたH方向の共振駆動および、外側の可動枠33全体を駆動させるV方向駆動を実現することができる。
こうしたMEMSミラーを用いることによって、単一の走査デバイスで2次元走査を行うことができ、部品点数の削減、組み立てや調整コストの低減化が図られる。
次に、投影光学系について説明する。反射ミラー41,42は、面頂点を原点としたローカル座標系(X,Y,Z)を用いたXY多項式で表現される自由曲面ミラーで構成され、両者とも正のパワーを有している。図3(A)に示すように、光源像は第1ミラー41と第2ミラー42の中間に存在し、瞳像(MEMS像)は第2ミラー42射出後に形成されていることが分かる。
第1実施形態では、V方向に光線分離を行っている。横長の表示画面に対してV方向は、画像短辺方向にあたり、長辺方向で分離するのに比べて光線分離のためのスペースが小さくなるので、投影光学系全体を小型化できる。さらに、投影光学系のH方向をX=0断面で左右対称としたので、走査ミラーは左右対称になる。左右対称の形状にすることによって、製造や評価が比較的容易になる。
第1実施形態についての具体的な数値実施例1を下記(表1)に示す。表1(A)は、各レーザ素子11R,11G,11Bの射出位置を物体とし、ここから順に、入射光学系20のレンズ入射面、レンズ射出面、走査装置30の直前での瞳、走査装置30、投影光学系での第1ミラー41、第2ミラー42、およびスクリーンSCの各光学面に関して、それぞれ面タイプ、Y方向曲率半径(mm)、Y方向円錐定数、材料、X方向曲率半径(mm)、X方向円錐定数を示している。
表1(B)は、瞳を基準とした各光学面の面頂点座標をグローバル座標系(x,y,z)で示し、さらに各光学面についてローカル座標系のX軸に対する傾き角度(度)を示している。
表1(C)は、第1ミラー41および第2ミラー42の自由曲面データを示す。自由曲面は、面頂点を原点としたローカル座標系(X,Y,Z)を用いた下記の式で表現できる。
Z=(C0・H2)/[1+√{1−(1+K)C0 2H2}]+Σ{Ajk・XjYk}
ここで、Zは、高さHの位置でのZ軸方向の変位量(面頂点基準)、Hは、Z軸に対して垂直な方向の高さ(H2=X2+Y2)、C0は面頂点での曲率、Kは円錐定数、AjkはXの次数jとYの次数kに対応した自由曲面係数である。表1(C)において、例えば、X2Y0は、Xの次数j=2、Yの次数k=0を表しており、これに対応した係数Ajkは、1.685×10−2となる。他の係数についても同様である。
表1(D)は、走査装置30のH方向およびV方向についての走査角度と時間利用率をを示している。
図5(A)は、第1ミラー41のH方向断面形状を示すグラフであり、図5(B)は、第2ミラー42のH方向断面形状を示すグラフである。縦軸は、走査中心での接線からの規格化距離であり、横軸は、主光線が当たる規格化位置である。投影光学系は、第1ミラー41のパワーと第2ミラー42のパワーの合成で表される。
図5(A)を見ると、第1ミラー41のH方向形状は、球面に比べて曲率が小さいが、図5(B)を見ると、第2ミラー42のH方向形状は、球面に比べて曲率が大きくなっている。両者の合成光学系としては、アークサイン特性を有するとともに、周辺部に行くにつれて球面からの差が大きくなり、正のパワーが強くなるように設計している。
次に、本実施形態における物体距離に関して、レーザ投射装置の瞳径dがφ1.0mm、走査位置から光源像までの距離が、H方向は31.7mm、V方向は−212.9mmである。よって、H方向の物体距離Shは31.7となり、条件式(11)を満たす。また、V方向の物体距離Svは−212.9であることから、1/Svは−0.0047となり条件式(13)を満たす。
さらに、入射光学系のH方向焦点距離は−9.533248mm、そのH方向パワーPwHは−0.105となる。入射光学系のV方向焦点距離は−12.752141mm、そのV方向パワーPwVは−0.078となる。従って、両者のパワーの絶対値の比PwH/PwVは1.36となり、これは条件式(12)を満たす。
以上のことから、本実施形態においては投影光学系により発生する光源像の像面の傾きを良好に補正することができる。
また本実施形態では、第1ミラー41の焦点距離と光源像の位置に関して、第1ミラー41のH方向の入射光学系による光源像の物体距離S1Hは、17.1mm、第1ミラー41のV方向の入射光学系による光源像の物体距離S1Vは、−227.5mm、第1ミラー41と第2ミラー42の間の光軸主光線の光路長L12は、21.34mm、第1ミラー41のH方向の光軸主光線近傍の焦点距離f1Hは、18.74mm、第1ミラー41のV方向の光軸主光線近傍の焦点距離f1Vは、11.02mmである。
従って、上記式(1)の(S1H×f1H)/(S1H+f1H)/L12の値は、0.419と計算され、式(1)および式(1a)を満たす。
また、上記式(2)の(S1V×f1V)/(S1V+f1V)/L12の値は、0.543と計算され、式(2)および式(2a)を満たす。
また、上記式(3)のf1V/f1Hの値は、0.588と計算され、式(3)および式(3a)を満たす。
こうして本実施形態に係る投影光学系は、H方向の光源像およびV方向の光源像を、第1ミラー41と第2ミラー42の中間に生成しているため、第2ミラー42の小型化が図られる。
図6は、スクリーンSC上での走査格子の歪みを示すグラフである。縦軸は、スクリーンSCでの垂直位置であり、横軸は、スクリーンSCでの水平位置である。図7は、スクリーンSC上での走査速度の変化を示すグラフである。縦軸は、スクリーンSCでのH方向の走査速度であり、横軸は、スクリーンSCでの水平位置である。
図6および図7を見ると、H方向の利用効率が75%と非常に大きいにもかかわらず、等速性と歪みが良好に補正されていることが分かる。
なお、本実施形態においては、図6において横線の格子間隔が一定でなく、V方向の等速性が確保されていない。しかしながら、V方向の偏向走査については、直線的な駆動ではなく、V方向の等速性を補正するような駆動で動作することにより、歪みの少ない良好な画像を得ることができる。
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態を示す全体図であり、図8(A)は側面図、図8(B)は平面図である。レーザ投射装置PJは、画像信号に基づいて強度変調された光束をV(垂直)方向およびH(水平)方向に走査して、スクリーンSC上においてラスタースキャン画像を形成する。図8(A)に示すように、スクリーンSCに対して斜め下方からの投影により、レーザ投射装置PJが視聴者の視界に入らないようにしている。
図9は、レーザ投射装置PJにおける光源ユニットの他の例を示す構成図である。光源ユニット10は、R(赤色)光を発生するレーザ素子11Rと、G(緑色)光を発生するレーザ素子11Gと、B(青色)光を発生するレーザ素子11Bと、R光、G光、B光を共軸に合成する色合成素子13と、R光、G光、B光を、投影光学系に対して最適な物体距離になるように走査装置に入射させる入射光学系14と、折り返しミラー15などで構成される。色合成素子13は、例えば、プリズムやダイクロイックミラーの組み合わせで構成される。
各レーザ素子11R,11G,11Bの構成や動作等は、図2で説明したものと同様であるため、重複説明を省く。
図10は、第2実施形態に係るレーザ投射装置PJの構成を示し、図10(A)は側面図、図10(B)は平面図である。レーザ投射装置PJは、上述した光源ユニット10と、光源ユニット10からの光束を2次元的に走査するための走査装置30と、走査装置30からの光束をスクリーンに投影するための投影光学系などで構成される。
光源ユニット10は、折り返しミラー15から紙面垂直方向に配置されるが、図10(A)(B)では、理解容易のため、折り返しミラー15を省略した状態で図示している。
入射光学系14は、光源側が平面で、射出側がH方向とV方向に曲率半径の異なるアナモルフィック面からなる光学レンズを含み、H方向のパワーとV方向のパワーが互いに異なっている。
走査装置30は、図4に示すようなMEMSミラーで構成され、H方向の偏向は共振駆動で行われ、V方向の偏向は非共振駆動で行われる。走査装置30の構成や動作等は、図4で説明したものと同様であるため、重複説明を省く。
投影光学系は、2枚の非軸対称形状の反射ミラー41,42で構成される。本実施形態では、図10(A)に示すように、走査装置30に最も近い第1ミラー41と第2ミラー42との間に光源像が存在している。
次に、投影光学系について説明する。反射ミラー41,42は、面頂点を原点としたローカル座標系(X,Y,Z)を用いたXY多項式で表現される自由曲面ミラーで構成され、両者とも正のパワーを有している。図10(A)に示すように、光源像は第1ミラー41と第2ミラー42の中間に存在し、瞳像(MEMS像)は第2ミラー42射出後に形成されていることが分かる。
第2実施形態では、V方向に光線分離を行っている。V方向は、横長表示画面の短辺方向にあたり、長辺方向で分離するのに比べて分離しやすいので、投影光学系全体を小型化できる。さらに、投影光学系のH方向がX=0断面で左右対称となっているので、製造や評価が比較的容易になる。
本実施形態では、光源ユニット10からの光束を走査装置30によって上向きに偏向させ、さらに第1ミラー41によって下向きに偏向させ、さらに第2ミラー42によって上向きに偏向させており、光束が交差するように構成している。このように光束が交差する構成は、同じ空間領域を2回使用することになるので、体積効率がよく、装置全体の小型化が図られる。
第2実施形態についての具体的な数値実施例2を下記(表2)に示す。表2(A)〜表2(D)での各数値の定義については(表1)と同様である。
図11(A)は、第1ミラー41のH方向断面形状を示すグラフであり、図11(B)は、第2ミラー42のH方向断面形状を示すグラフである。縦軸は、走査中心での接線からの規格化距離であり、横軸は、主光線が当たる規格化位置である。投影光学系は、第1ミラー41のパワーと第2ミラー42のパワーの合成で表される。
図11(A)を見ると、第1ミラー41のH方向形状は、球面に比べて曲率が大きい。図4(B)を見ると、第2ミラー42のH方向形状も、球面に比べて曲率が大きい。両者の合成光学系としては、アークサイン特性を有するとともに、周辺部に行くにつれて球面からの差が大きくなり、正のパワーが強くなるように設計している。
次に、本実施形態における物体距離に関して、レーザ投射装置の瞳径dがφ1.0mm、走査位置から光源像までの距離が、H方向は26.6mm、V方向は−36.5mmである。よって、H方向の物体距離Shは26.6となり、条件式(11)を満たす。また、V方向の物体距離Svは−36.5であることから、1/Svは−0.0274となり条件式(13)を満たす。
さらに、入射光学系のH方向焦点距離は−9.999167mm、そのH方向パワーPwHは−0.100となる。入射光学系のV方向焦点距離は−43.501881mm、そのV方向パワーPwVは−0.023となる。従って、両者のパワーの絶対値の比PwH/PwVは4.35となり、これは条件式(12)を満たす。
以上のことから、本実施形態においては投影光学系により発生する光源像の像面の傾きを良好に補正することができる。
また本実施形態では、第1ミラー41の焦点距離と光源像の位置に関して、第1ミラー41のH方向の入射光学系による光源像の物体距離S1Hは、12.6mm、第1ミラー41のV方向の入射光学系による光源像の物体距離S1Vは、−50.5mm、第1ミラー41と第2ミラー42の間の光軸主光線の光路長L12は、28mm、第1ミラー41のH方向の光軸主光線近傍の焦点距離f1Hは、62.8mm、第1ミラー41のV方向の光軸主光線近傍の焦点距離f1Vは、13.36mmである。
従って、上記式(1)の(S1H×f1H)/(S1H+f1H)/L12の値は、0.375と計算され、式(1)および式(1a)を満たす。
また、上記式(2)の(S1V×f1V)/(S1V+f1V)/L12の値は、0.649と計算され、式(2)および式(2a)を満たす。
また、上記式(3)のf1V/f1Hの値は、0.213と計算され、式(3)および式(3a)を満たす。
こうして本実施形態に係る投影光学系は、H方向の光源像およびV方向の光源像を、第1ミラー41と第2ミラー42の中間に生成しているため、第2ミラー42の小型化が図られる。
図12は、スクリーンSC上での走査格子の歪みを示すグラフである。縦軸は、スクリーンSCでの垂直位置であり、横軸は、スクリーンSCでの水平位置である。図13は、スクリーンSC上での走査速度の変化を示すグラフである。縦軸は、スクリーンSCでのH方向の走査速度であり、横軸は、スクリーンSCでの水平位置である。
図12および図13を見ると、H方向の利用効率が75%と非常に大きいにもかかわらず、等速性と歪みが良好に補正されていることが分かる。