JP4954945B2 - 三次元形状推定装置及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
非特許文献1及び非特許文献2によれば、式(3)に現れるSMのランクが3であることから、Xの特異値分解(Singular Value Decomposition, SVD)により求められる最大の3つの固有値がSM+Uの固有値であり、残りがUだけの固有値である。そこで、該当する3つの固有ベクトルから、SMの因数行列であるSFとF−1M(F∈R3×3)を推定する。
Tomasi, C., Kanade, T.,"Shape and Motion from Image Streams: a Factorization Method.",Carnegie-Mellon Univ. ,(CMU) CS-92-104,1992年 Tomasi, C., Kanade, T. ,"Shape and motion from image streams under orthography: a factorization method",Int. Journal of Computer Vision,vol. 9, no. 2,1992年
例えば、非特許文献1では、遮蔽されている特徴点がある場合、見えている特徴点が共通である一部の動画フレームまたは静止画から始めて上記の様に推定を行ない、その後、残りのフレームまたは静止画まで解を段階的に拡張していく。このような手法を用いた場合、推定の初期に使う一部のデータを選択する方法と、残りのデータに解を拡張する順を決める方法によって解が若干異なってしまう。そのため、よい解を得るには、さらに、後処理により結果を修正する必要がある。
このように、従来の技術では、全ての特徴点が全ての画像において見えていない場合にはよい解を得られず、また、よい解を得るためには修正のための計算がさらに必要となり、計算量が増大してしまうという問題があった。
上記によれば、三次元形状推定装置は、被写体の推定三次元形状モデルを所定のジェネリックモデルにおける各特徴点の三次元座標値により初期化した後、複数の各画像における各特徴点の二次元座標値と、直前に算出された推定三次元形状モデルとから、各画像における形状変換行列の推定値を算出し、複数の各画像における各特徴点の二次元座標値と、直前に算出された形状変換行列の推定値とから、推定三次元形状モデルを算出する、ことを繰り返して被写体の顔の三次元形状モデルを推定する。従って、被写体の顔の三次元モデルを頑健かつ精確に、また、少ない計算処理により推定することができる。
また、各画像別に形状変換部分行列の推定値を算出して形状変換行列の推定値を更新するとともに、各特徴点別に被写体の推定三次元形状モデルの部分行列を算出して推定三次元形状モデルを更新する。従って、被写体の三次元モデルを少ない計算処理により推定することができる。
上記によれば、形状変換部分行列の推定に用いられる、画像別に分割した推定三次元形状モデルに対して、遮蔽されている特徴点の三次元座標の推定値を0に置き換え、推定三次元形状モデルの部分行列の推定に用いられる、特徴点別に分割した形状変換行列の推定値に対して、特徴点が遮蔽されている画像における向きの推定値を0に置き換える。従って、全ての画像に被写体の顔上の全ての特徴点が見えていない場合であっても、被写体の三次元モデルを頑健かつ精確に、また、少ない計算処理により推定することができる。
これによれば、少ない繰り返し回数により、被写体の三次元モデルの解が収束する。
三次元形状推定装置1は、人物不特定(ジェネリック)な三次元の顔モデルにより顔特徴点の三次元形状の推定値を初期化した後、(1)動画を構成する各フレームまたは複数の各静止画における人物の顔の向きの推定値の計算、(2)顔特徴点の三次元形状の推定値の計算、の2つの計算処理を交互に繰り返して修正していくことにより、顔の三次元形状を推定した結果を取得する。この三次元形状推定手順は、被写体、すなわち、三次元形状の推定対象が顔であり、被写体が異なっても特徴点の位置に極端な差がなく、また、同じ被写体についてはどの画像(顔の向き)でも三次元における特徴点間の位置関係がほぼ変化しないことを利用したものである。なお、以下、顔特徴点を単に「特徴点」とも記載する。
本実施形態による三次元形状推定装置1は、動画を構成する各フレームまたは複数の各静止画全てにおいて被写体の顔上の全ての特徴点が見えているときの、当該被写体の顔の三次元モデルを推定する。
図1は、本発明の第1の実施形態による三次元形状推定装置1の内部機能を示すブロック図であり、本発明に関係する機能ブロックのみ抽出してある。同図に示す三次元形状推定装置1は、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータ装置により実現され、入力部2、記憶部3、初期化部4、変換推定部5、形状推定部6、制御部7、及び、出力部8を含む。
図3(a)は、K枚のフレームまたは静止画に写っている被写体の顔上の特徴点を示し、図3(b)は、図3(a)に示されるK枚の各フレームまたは静止画それぞれにおける被写体の顔上のJ個の各特徴点の二次元座標値を示す特徴点観測データの例を示す。
次に、本実施形態の三次元形状推定装置1が実行するアルゴリズムを説明する。
まず、人物不特定(ジェネリック)な三次元の顔特徴点配置モデルであるM(0)により、被写体の顔上の特徴点の三次元位置を示す三次元形状モデルMの推定値を初期化する。この、三次元形状モデルMの推定値を推定三次元形状モデルM^と表す(「^」(ハット)は、推定値であることを示す)。なお、三次元をx軸、y軸、z軸で表し、j番目の特徴点のx座標を座標xj,y座標を座標yj,z座標を座標zjとすると、三次元形状モデルMは、以下の式(4)のような行列である。また、M(0)も三次元形状モデルMと同様の行列であるが、各要素として、ジェネリックな三次元の顔特徴点配置モデルにおける各特徴点のx座標値,y座標値,z座標値が設定される。
次に、現在の推定三次元形状モデルM^が、正しい特徴点の三次元配置(モデル)であると仮定し、この推定三次元形状モデルM^から、各入力画像における特徴点観測データXへの変換を示す形状変換Sを推定する。
次に、手順(b)により推定した推定形状変換S^が正しい変換であると仮定し、推定形状変換S^により変換された三次元形状モデルの特徴点が、各入力画像における特徴点観測データXに成るべく近づく様に、推定三次元形状モデルM^自体を変形させる。特徴点観測データX,推定形状変換S^が与えられた場合、再射影エラー‖X−S^M^‖2を最小とする推定三次元形状モデルM^は、最小自乗法により、以下の式で算出できる。
手順(b)に戻り、手順(b)及び手順(c)を繰り返す。つまり、推定形状変換S^の1、2、…回目の推定値をS^(1)、S^(2)、…と表し、推定三次元形状モデルM^の1、2、…回目の推定値をM^(1)、M^(2)、…と表すと、以下のような順で算出が行なわれる。
次に、上記のアルゴリズムを用いた三次元形状推定装置1の処理手順について説明する。図4は、三次元形状推定装置1の処理手順を示すフローチャートである。
本実施形態による三次元形状推定装置1aは、動画を構成する各フレームまたは複数の各静止画において被写体の顔上の全ての特徴点が見えていない場合が含まれるときの、当該被写体の顔の三次元モデルを推定する。本実施視形態では、特徴点が動画のフレームまたは静止画によっては可視・不可視となっている場合に対応するために、問題を画像ごと、及び、特徴点ごとに分割する。つまり、(1)画像ごとに分割したそれぞれについて、動画を構成する各フレームまたは複数の各静止画における人物の顔の向きの推定値を計算、(2)特徴点毎に分割したそれぞれについて、顔特徴点の三次元形状の推定値を計算、の2つの計算処理を交互に繰り返して推定値を修正していく。これにより、問題を画像ごと、及び、特徴点ごとに分割しても、だんだんと安定した解に近づいていく。
図5は、本発明の第2の実施形態による三次元形状推定装置1aの内部機能を示すブロック図であり、本発明に関係する機能ブロックのみ抽出してある。同図において、図1に示す第1の実施形態の三次元形状推定装置1と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
次に、本実施形態の三次元形状推定装置1aが実行するアルゴリズムを説明する。
まず、画像毎に問題を分割して変換形状を推定する。そこで、k(0≦k<K)枚目の入力動画フレームまたは静止画について、新しい画像別推定三次元形状モデルM^kを定義する。これは元の推定三次元形状モデルM^に、k枚目の画像で遮蔽されている特徴点をゼロに置き換えたものである。
次に、特徴点ごとに問題を分割して、三次元モデルを推定する。そこで、j番目の特徴点について、新しい特徴点別推定直交化形状変換Q^jを定義する。これは、以下の式(17)のように、元の推定直交化形状変換Q^に、j番目の特徴点が遮蔽されている画像kのデータをゼロに置き換えたものである。
手順(a)に戻り、手順(a)及び手順(b)を繰り返し、繰り返しが終了したときの推定三次元形状モデルM^を、被写体における特徴点の三次元位置を示す推定値とする。
次に、上記のアルゴリズムを用いた三次元形状推定装置1aの動作について説明する。図6は、三次元形状推定装置1aの処理手順を示すフローチャートである。
(ステップS24−2)続いて、直交拘束部53は、式(13)に従って、ステップS24−1により算出された画像別推定形状変換S^kを直交拘束し、画像別推定直交化形状変換Q^kを算出する。
上述した実施形態による三次元形状推定装置は、動画または静止画の集合から観測された二次元の特徴点データを示す行列の因数行列を推定することにより、(1)カメラに対する被写体の顔の向きと(変換形状)、(2)当該被写体の顔上の特徴点の三次元位置とを交互に推定する。
従来の技術では、特徴点データ行列の特異値分解(SVD)により(1)と(2)を同時に推定していたが、一部の動画フレームまたは静止画に、一部の特徴点が遮蔽されている(観測データが無い)場合には、SVDをそのまま使えず、同一特徴点が可視であるデータの一部のみからSVDを計算し、残りのデータまで段々解を拡張する必要があったため、画像を選択した順序によって結果が若干異なり、後処理にて修正する必要があった。
一方、本実施形態による三次元形状推定装置では、(1)と(2)を交互に繰り返して推定する。そして、計算を動画フレームまたは静止画ごとに分割して変換形状を、そして特徴点ごとに分割して被写体の顔上の特徴点の三次元位置を算出することにより、毎回すべての入力特徴点データを一括に使用することが出来、唯一の解に収束する。そのため、解を後処理で修正する必要が無い。また、実験の結果、ノイズがある場合でも、少ない繰り返し回数で解が収束することがわかった。
なお、上述の三次元形状推定装置1及び1aは、内部にコンピュータシステムを有している。そして、三次元形状推定装置1の初期化部4、変換推定部5、形状推定部6、及び、制御部7、ならびに、三次元形状推定装置1の初期化部4、変換推定部5a、形状推定部6a、及び、制御部7の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいうコンピュータシステムとは、CPU及び各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものである。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
2…入力部
3…記憶部
31…観測情報記憶部
32…推定三次元形状モデル記憶部
33…推定形状変換行列記憶部
4…初期化部
5、5a…変換推定部
51…画像単位分割部
52…画像別変換推定部
53…直交拘束部
54…形状変換行列統合部
6、6a…形状推定部
61…特徴点単位分割部
62…特徴点別形状推定部
63…三次元形状モデル統合部
7…制御部
8…出力部
Claims (4)
- 複数の画像各々における被写体上の各特徴点の位置を二次元座標値で表わした特徴点観測情報の入力を受け、観測情報記憶部に書き込む入力部と、
前記各特徴点の推定された三次元位置を三次元座標値で表わした推定三次元形状モデルを、予め決められた所定のジェネリックモデルにおける各特徴点の三次元座標値により初期化して推定三次元形状モデル記憶部に書き込む初期化部と、
前記観測情報記憶部から読み出した前記特徴点観測情報と、前記推定三次元形状モデル記憶部から読み出した前記推定三次元形状モデルとに基づき、形状変換行列の推定値を算出し、該算出された推定値により推定形状変換行列記憶部を更新する変換推定部と、
前記観測情報記憶部から読み出した前記特徴点観測情報と、前記推定形状変換行列記憶部から読み出した前記形状変換行列の推定値とに基づき、推定三次元形状モデルを算出し、該算出された推定三次元形状モデルにより前記推定三次元形状モデル記憶部を更新する形状推定部と、
前記変換推定部による前記推定形状変換行列記憶部の更新と、前記形状推定部による前記推定三次元形状モデル記憶部の更新とを交互に繰り返すよう制御する制御部と、
を具備し、
前記変換推定部は、
前記観測情報記憶部から読み出した前記特徴点観測情報、及び、前記推定三次元形状モデル記憶部から読み出した前記推定三次元形状モデルを画像別に分割する画像単位分割部と、
前記画像単位分割部によって画像別に分割された前記特徴点観測情報及び前記推定三次元形状モデルに基づいて、画像ごとの形状変換部分行列の推定値を算出する画像別変換推定部と、
前記画像別変換推定部によって算出された画像ごとの前記形状変換部分行列の推定値を統合して前記形状変換行列の推定値を得て、該得られた推定値により前記推定形状変換行列記憶部を更新する形状変換行列統合部と、
を具備し、
前記形状推定部は、
前記観測情報記憶部から読み出した前記特徴点観測情報、及び、前記推定形状変換行列記憶部から読み出した前記形状変換行列の推定値を特徴点別に分割する特徴点単位分割部と、
前記特徴点単位分割部によって特徴点別に分割された前記特徴点観測情報及び前記形状変換行列の推定値に基づいて、特徴点ごとの推定三次元形状モデルの部分行列を算出する特徴点別形状推定部と、
前記特徴点別形状推定部によって算出された特徴点ごとの前記推定三次元形状モデルの部分行列を統合して前記推定三次元形状モデルを得て、該得られた推定三次元形状モデルにより前記推定三次元形状モデル記憶部を更新する三次元形状モデル統合部と、
を具備する、
ことを特徴とする三次元形状推定装置。 - 前記画像単位分割部は、
前記特徴点観測情報により前記各画像において遮蔽されている前記特徴点を特定し、画像別に分割した前記推定三次元形状モデルそれぞれについて、当該画像において遮蔽されている前記特徴点に対応する行列要素を0に置き換え、
前記特徴点単位分割部は、
前記特徴点観測情報により前記各画像において遮蔽されている前記特徴点を特定し、特徴点別に分割した前記形状変換行列の推定値それぞれについて、当該特徴点が遮蔽されている前記画像に対応する行列要素を0に置き換える、
ことを特徴とする請求項1に記載の三次元形状推定装置。 - 前記変換推定部は、前記画像別変換推定部により算出された画像ごとの形状変換部分行列の推定値を直交拘束する直交拘束部をさらに具備し、
前記形状変換行列統合部は、前記直交拘束部によって直交拘束された後の前記推定値を統合して前記形状変換行列の推定値を得て、該得られた推定値により前記推定形状変換行列記憶部を更新する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の三次元形状推定装置。 - 被写体の顔モデルを推定する三次元形状推定装置として用いられるコンピュータを、
複数の画像各々における被写体上の各特徴点の位置を二次元座標値で表わした特徴点観測情報の入力を受け、観測情報記憶部に書き込む入力部、
前記各特徴点の推定された三次元位置を三次元座標値で表わした推定三次元形状モデルを、予め決められた所定のジェネリックモデルにおける各特徴点の三次元座標値により初期化して推定三次元形状モデル記憶部に書き込む初期化部、
前記観測情報記憶部から読み出した前記特徴点観測情報と、前記推定三次元形状モデル記憶部から読み出した前記推定三次元形状モデルとに基づき、形状変換行列の推定値を算出し、該算出された推定値により推定形状変換行列記憶部を更新する変換推定部、
前記観測情報記憶部から読み出した前記特徴点観測情報と、前記推定形状変換行列記憶部から読み出した前記形状変換行列の推定値とに基づき、推定三次元形状モデルを算出し、該算出された推定三次元形状モデルにより前記推定三次元形状モデル記憶部を更新する形状推定部、
前記変換推定部による前記推定形状変換行列記憶部の更新と、前記形状推定部による前記推定三次元形状モデル記憶部の更新とを交互に繰り返すよう制御する制御部、
として機能させ、
前記変換推定部を、
前記観測情報記憶部から読み出した前記特徴点観測情報、及び、前記推定三次元形状モデル記憶部から読み出した前記推定三次元形状モデルを画像別に分割する画像単位分割部、
前記画像単位分割部によって画像別に分割された前記特徴点観測情報及び前記推定三次元形状モデルに基づいて、画像ごとの形状変換部分行列の推定値を算出する画像別変換推定部、
前記画像別変換推定部によって算出された画像ごとの前記形状変換部分行列の推定値を統合して前記形状変換行列の推定値を得て、該得られた推定値により前記推定形状変換行列記憶部を更新する形状変換行列統合部、
として機能させ、
前記形状推定部を、
前記観測情報記憶部から読み出した前記特徴点観測情報、及び、前記推定形状変換行列記憶部から読み出した前記形状変換行列の推定値を特徴点別に分割する特徴点単位分割部、
前記特徴点単位分割部によって特徴点別に分割された前記特徴点観測情報及び前記形状変換行列の推定値に基づいて、特徴点ごとの推定三次元形状モデルの部分行列を算出する特徴点別形状推定部、
前記特徴点別形状推定部によって算出された特徴点ごとの前記推定三次元形状モデルの部分行列を統合して前記推定三次元形状モデルを得て、該得られた推定三次元形状モデルにより前記推定三次元形状モデル記憶部を更新する三次元形状モデル統合部、
として機能させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
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