JP4954615B2 - 走査型レーザ顕微鏡装置 - Google Patents
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本発明の第1の態様は、レーザ光を射出する光源と、該光源から射出されたレーザ光を標本上で走査する走査装置と、前記標本からの光を検出する光検出器と、該光検出器からの信号を前記標本の画像信号に変換して出力する処理装置と、前記光源から射出されるレーザ光の一部を参照光として分離する分離ミラーと、該分離ミラーにより分離された前記参照光を参照光信号として検出する参照光検出器と、前記光源から射出されるレーザ光のパワーを制御するレーザ光制御部とを具備し、前記参照光検出器により検出された参照光信号に基づいて前記標本上の単位面積あたりの照射パワー値を算出する照射パワー算出部と、算出された前記標本上の単位面積あたりの照射パワー値を表示する表示部と、を備え、前記照射パワー算出部が、前記標本と前記参照光検出器との間の光学系の透過率特性データに基づいて、参照光信号を標本上の単位面積あたりの照射パワー値に換算し、該透過率特性データには、前記分離ミラーと前記標本との間の対物レンズを含む光学系の透過率が含まれる走査型レーザ顕微鏡である。
また、上記本発明の第1の態様においては、前記照射パワー算出部が、前記標本と前記参照光検出器との間の光学系の透過率特性データに基づいて、前記参照光信号を標本上の照射パワー値に換算し、前記レーザ光制御部は、この照射パワー値に基づいて前記光源から射出されるレーザ光のパワーを補正することが好ましい。
また、上記本発明の第1の態様においては、前記照射パワー算出部が、参照光信号を前記標本上の単位面積当たりの照射パワー値に換算し、前記表示部は前記単位面積あたりの照射パワー値を表示することが好ましい(この構成を第1の構成とする)。
ここで、上記の単位面積は、標本の走査画像における1画素の大きさとされていてもよい。
この場合には、前記パワー算出部が、前記標本上の照射パワー値を前記標本上の単位面積あたりの照射パワー値に換算し、前記走査型レーザ顕微鏡はこの単位面積あたりの照射パワー値に基づいて、前記標本上の特定領域に対して所望の照射パワー値を達成可能なパワー指令値を特定するパワー指令特定部を備え、前記レーザ光制御部は、前記パワー指令特定部によって特定されたパワー指令値に基づいて光源を制御することが好ましい。
また、前記データ格納部が前記標本上の照射パワー値から換算された前記単位面積あたりの照射パワー値の情報を格納する構成とされていてもよい。
また、上記本発明の第1の構成において、前記単位面積あたりの照射パワー値を、走査の1画素毎に更新して表示することとしてもよい。
また、上記本発明の第1の態様においては、前記表示部は、前記標本上の照射パワー値を、走査の1画素毎に更新して表示することとしてもよい。
また、上記本発明の第2の構成において、前記照射パワー算出部は、前記単位面積あたりの照射パワーを、一回のレーザ走査を行っている間で積算する構成とされていてもよい。
また、上記本発明の第1の態様において、前記照射パワー算出部は、前記標本上の照射パワーの時間的積算値を算出し、前記表示部はこの時間的積算値を表示する構成とされていてもよい。
この場合には、前記照射パワー算出部は、前記標本上の照射パワー値を、一回のレーザ走査を行っている間で積算する構成とすることが好ましい。
本発明の参考例としての発明の一態様は、レーザ光を射出する光源と、該光源から射出されたレーザ光を標本上で走査する走査装置と、前記標本からの光を検出する光検出器と、該光検出器からの信号を前記標本の画像信号に変換する処理装置と、前記光源から射出されるレーザ光の一部を参照光信号として検出する参照光検出器と、前記光源から射出されるレーザ光のパワーを制御するレーザ光制御部と、前記参照光検出器により検出された前記参照光信号に基づいて前記標本上の単位面積あたりの照射パワー値を算出する照射パワー算出部と、算出された前記標本上の単位面積あたりの照射パワー値を表示する表示部と、を備える走査型レーザ顕微鏡である。
また、ズーム等を行って観察する場合にも、画素あたりの照射パワーを把握することが可能になる。
図1は、本実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡の概略構成を示している。
本実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡は、レーザ光を出射する光源部1と、光源部1から出射されたレーザ光を照射光と参照光とに分岐する参照光分離ミラー2と、照射光を反射して標本に指向させるダイクロイックミラー3と、照射光をその光軸に直交するXY2方向に走査する走査装置4と、走査された照射光を標本6に照射し、標本6から発せられる蛍光を集光する対物レンズ5と、該対物レンズ5により集光され、走査装置4およびダイクロイックミラー3を介した蛍光を絞るピンホール部材7と、該ピンホール部材7を通過した蛍光を検出する光検出器8とを備えている。
また、本実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡は、参照光分離ミラー2により分岐された参照光を検出する参照光検出器10と、該参照光検出器10により検出された参照光信号を標本6上での照射パワー値に換算し、光源部1へのパワー指令値を補正し、あるいは、システム制御装置9経由で表示器13に表示させるレーザ光制御器11とを備えている。すなわち、本実施形態では、レーザ光制御器11は、光源部1の動作を制御して光源部1が発するレーザ光のパワーを制御する制御手段(後述するパワー指令を特定するパワー指令特定部)と、照射パワー値を算出する照射パワー算出部とを兼ねている(照射パワー算出部の機能はシステム制御装置9が有していてもよい)。
前記参照光分離ミラー2の透過率はf2(λ)、反射率は1−f2(λ)である。
前記ダイクロイックミラー3の透過率はf3(λ)、反射率は1−f3(λ)である。
対物レンズ5としては、標本6を詳細に観察できるように各種倍率の内で必要な倍率のものが光路上に配置されている。対物レンズ5の透過率はf5(λ)、反射率は1−f5(λ)である。なお、f2(λ)、f3(λ)、f5(λ)はレーザ光の波長λの関数である分光透過率として扱っているが、これらの光学素子の波長特性を無視できる場合には定数として扱ってもよい。
ピンホール部材7は、例えば、複数の異なる開口径のピンホールを適所に設けたプレートからなり、このプレートを電動で回転させることで、いずれかのピンホールを検出光の光路上に配置し、必要なコンフォーカル効果を得ることができるようになっている。
システム制御装置9には操作器12が接続されている。操作器12は、走査装置4の走査範囲や走査速度等を設定したり、標本6に照射するレーザ光の波長やパワー指令を設定したり、蛍光観察の開始や終了等を操作するために使用される。表示器13は、標本6の蛍光画像や、レーザ光制御器11からの標本6上に換算されたレーザ光の照射パワー値等を表示するようになっている。
本実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡を用いて標本を観察するには、まず、操作器12により、走査装置4の走査範囲や走査速度、光源部1から出射すべきレーザ光の波長やパワー指令値等を設定し、蛍光観察の開始操作を行う。設定されたレーザ光の波長とパワー指令値に基づいてレーザ光制御器11が光源部1にパワー指令値を設定する信号を出力し、光源部1は設定された波長とパワー指令値に従うパワーのレーザ光P1を出力する。出力されたレーザ光P1は、参照光分離ミラー2に入射され、その一部が反射率1−f2(λ)で反射して参照光検出器10へ入射され、残りが透過率f2(λ)で透過してダイクロイックミラー3へ入射させられる。
ここで、本実施形態において、レーザ光制御器11は、上記のパワーP6の値を単位面積あたりの照射パワー値に換算し、この単位面積あたりの照射パワー値に基づいて各種の処理を行うようにしてもよい。
なお、本実施形態の説明において、上述した一参考実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡と構成を共通とする箇所には同一符号を付して説明を省略する。
ステップa1は、蛍光観察に用いる対物レンズ5を特定し、その対物レンズの開口数(NA値)から下記の計算式により標本6上でのレーザスポット径を算出する動作である。
ここで、φはレーザスポット径、Kaは定数である。
ここで、Kbは定数、OBxは対物レンズの倍率、Zoomはズーム倍率である。なお、ズーム倍率は、走査の画角(走査装置4における走査ミラーの振動角度の大きさ)を変化させて観察視野の大小を調整する場合の倍率をあらわす。
ステップb2は、レーザ光制御器11経由で、参照光検出器10により参照光のパワーP10を検出する動作である。
=P6×1/(√(2π)×σ)×exp{−(X−μ)2/(2×σ2)}×1/(√(2π)×σ)×exp{−(Y−μ)2/(2×σ2)}
=P6×18/1.222/π×NA2×exp{−18/1.222×NA2×(X2+Y2)}
まず、図3(b)に示すように、照射レーザのスポット径が1画素相当である場合について説明する。
図3(e)に示すように、ズーム1倍の場合に、細胞が約1画素のサイズに相当し、かつ、照射するレーザ光のスポット径が、約3画素のサイズに相当する(すなわちレーザスポット径=3×φ[mm])ようにシステムが設定されているものとする。このとき、レーザスポット全体での光量総量がP[mW]であったと仮定すると、X1画素目・Y1画素目からX10画素目・Y10画素目まで走査する間に、X5画素目・Y4画素目からX7画素目・Y4画素目までにレーザ光を照射しているタイミングで、レーザスポット径の下側部分が細胞へ照射される。また、X5画素目・Y5画素目からX7画素目・Y5画素目までにレーザを照射しているタイミングで、レーザスポット径の中央部分が細胞へ照射される(特に、X6画素目・Y5画素目でレーザスポット径の中心付近が細胞へ照射される)。またX5画素目・Y6画素目からX7画素目・Y6画素目までにレーザを照射しているタイミングで、レーザスポットの上側部分が細胞へ照射される。これらの総和が細胞への照射光量P’[mW]となる。光量P’[mW]は、上述した図2のフローチャートの処理に従って算出される。
本実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡は、蛍光観察に先立って、光量調整プリスキャンを行う方式のもので、図4に蛍光観察前の光量調整プリスキャン時の構成、図5に蛍光観察時の構成を示す。
なお、本実施形態の説明において、図1に示した一参考実施形態および第1の実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡と構成を共通とする箇所には同一符号を付しその説明を省略する。
この状態で走査装置4が走査を行う。
光量検出器19で検出される標本位置でのレーザ光量P19は、システム制御装置9へ送られる。システム制御装置9は、図6のフローチャートに基づいて、各画素座標におけるパワー密度PDc(X,Y)を、第1の実施形態と同じように算出し、表示器13に表示する。ただし、図6では、ステップc1,c2のように光量検出器19の出力値P19をそのまま標本上での照射パワーとして用いる。
また、算出された画素ごとのパワー密度値PDc(X,Y)は、換算パワー密度格納メモリ17に転送されて格納される(ステップc3)。
標本6では細胞の他にスライドガラスやカバーガラスがあったり、対物レンズ5でも油浸対物レンズや水浸対物レンズを用いたりすることがある。この場合には、これら細胞と対物レンズ5との間の物質による屈折率等の値を予め入力しておき、光量検出器19で得られる検出量を補正して、換算パワー密度格納メモリ17へ格納することも可能である。なおこの補正は、一参考実施形態および第1の実施形態における照射光量の算出時に行うことも可能である。
また、指令パワー特定器18は、換算パワー密度格納メモリ17に格納された値を参照することにより、操作器12により設定されたレーザ光のパワー指令値Pcmdを標本6上で実現するのに最適なレーザ光制御器11の出力を特定する。この特定されたレーザ光制御器11の出力を用いて、レーザ出力を制御するようにしてもよい。
ここで、操作器12により設定されたレーザ光の照射領域に含まれる画素座標(X,Y)を抽出し、各画素のパワー密度の値PDc(X,Y)の総和を算出することにより、指定した領域に対する照射パワーの総計を得ることもできる。このパワー総計値を実現するのに最適なパワー指令値を特定し、これに基づいてレーザ出力を制御するようにしてもよい。
さらに、光量検出器19としてCCD(Charge Coupled Devices)のような二次元アレイ素子を用いて、瞬時に全画素座標(X,Y)のパワーやパワー密度を把握することも可能である。
また、各実施形態において図示して説明した機能ブロックの構成は、必ずしもハードウェアの構成と一致している必要はなく、たとえば複数の機能ブロックを一つのハードウェアの構成にまとめて実現することも可能である。
また、各実施例におけるレーザ光制御器11は、光源部1に対して、出射するレーザ光の波長や強度を制御する機能と、参照光検出器10からの参照光信号に基づいて標本上の照射パワーを算出する機能を備えるが、このうちの照射パワー算出機能を、レーザ光制御器11とは別体のハードウェアで構成したり、システム制御装置9内でソフトウェア的に実現してもよい。
また、表示器において照射パワーは表示せずに照射パワー密度のみを表示してもよい。さらに、パワー密度の時間的積算値だけでなく、ビーム全体の照射パワーの積算値を算出して表示するようにしてもよい。積算値の算出を、例えば第2実施形態のように1フレーム毎におこなうことにより、1つの蛍光画像を取得するために照射したレーザ光の総光量を把握することができる。
2 参照光分離ミラー(光学系)
3 ダイクロイックミラー(光学系)
4 走査装置(光学系)
5 対物レンズ(光学系)
6 標本
8 光検出器
9 システム制御装置(処理装置)
10 参照光検出器
11 レーザ光制御器
Claims (14)
- レーザ光を射出する光源と、
該光源から射出されたレーザ光を標本上で走査する走査装置と、
前記標本からの光を検出する光検出器と、
該光検出器からの信号を前記標本の画像信号に変換する処理装置と、
前記光源から射出されるレーザ光の一部を参照光として分離する分離ミラーと、
該分離ミラーにより分離された前記参照光を参照光信号として検出する参照光検出器と、
前記光源から射出されるレーザ光のパワーを制御するレーザ光制御部と、
前記参照光検出器により検出された参照光信号に基づいて前記標本上の単位面積あたりの照射パワー値を算出する照射パワー算出部と、
算出された前記標本上の単位面積あたりの照射パワー値を表示する表示部と、を備え、
前記照射パワー算出部が、前記標本と前記参照光検出器との間の光学系の透過率特性データに基づいて、参照光信号を標本上の単位面積あたりの照射パワー値に換算し、
該透過率特性データには、前記分離ミラーと前記標本との間の対物レンズを含む光学系の透過率が含まれる走査型レーザ顕微鏡。 - 前記照射パワー算出部が、前記標本と前記参照光検出器との間の光学系の透過率特性データに基づいて、前記参照光信号を標本上の照射パワー値に換算し、
前記レーザ光制御部は、この照射パワー値に基づいて前記光源から射出されるレーザ光のパワーを補正する請求項1に記載の走査型レーザ顕微鏡。 - 前記照射パワー算出部が、前記参照光検出器の分光感度特性データおよび前記標本と前記参照光検出器との間の光学系の分光透過率特性データの少なくとも一方に基づいて、前記参照光信号を前記標本上の照射パワー値に換算する請求項1に記載の走査型レーザ顕微鏡。
- 前記単位面積は前記標本の走査画像における1画素の大きさである、請求項1に記載の走査型レーザ顕微鏡。
- 標本の位置に配置される照射光量検出器と、
前記レーザ光制御部のパワー指令値または前記参照光検出器からの参照光信号と前記照射光量検出器によって測定される前記標本上の照射パワー測定値とを対応付けて記憶するデータ格納部とを備え、
前記照射パワー算出部は、前記パワー指令値または前記参照光信号に対応する前記標本上の照射パワー測定値を前記データ格納部から読み出すことによって照射パワーを求める請求項1に記載の走査型レーザ顕微鏡。 - 前記照射パワー算出部が、前記標本上の照射パワー値を前記標本上の単位面積あたりの照射パワー値に換算し、
前記走査型レーザ顕微鏡はこの単位面積あたりの照射パワー値に基づいて、前記標本上の特定領域に対して所望の照射パワー値を達成可能なパワー指令値を特定するパワー指令特定部を備え、
前記レーザ光制御部は、前記パワー指令特定部によって特定されたパワー指令値に基づいて前記光源を制御する請求項5に記載の走査型レーザ顕微鏡。 - 前記データ格納部が前記標本上の照射パワー値から換算された前記単位面積あたりの照射パワー値の情報を格納する請求項5に記載の走査型レーザ顕微鏡。
- 前記照射パワー算出部が、ガウス密度分布に基づいて、前記参照光信号を前記標本上の単位面積当たりの照射パワー値に換算する請求項1に記載の走査型レーザ顕微鏡。
- 前記表示部は、前記単位面積あたりの照射パワー値を、走査の1画素毎に更新して表示する請求項1に記載の走査型レーザ顕微鏡。
- 前記照射パワー算出部は、前記単位面積あたりの照射パワー値に基づいて、前記単位面積あたりの照射パワーの時間的積算値を算出し、
前記表示部は前記照射パワーの時間的積算値を表示する請求項1に記載の走査型レーザ顕微鏡。 - 前記表示部は、前記標本上の照射パワー値を、走査の1画素毎に更新して表示する請求項1に記載の走査型レーザ顕微鏡。
- 前記照射パワー算出部は、前記単位面積あたりの照射パワーを、一回のレーザ走査を行っている間で積算する請求項10に記載の走査型レーザ顕微鏡。
- 前記照射パワー算出部は、前記標本上の照射パワーの時間的積算値を算出し、前記表示部はこの時間的積算値を表示する請求項1に記載の走査型レーザ顕微鏡。
- 前記照射パワー算出部は、前記標本上の照射パワー値を、一回のレーザ走査を行っている間で積算する請求項13に記載の走査型レーザ顕微鏡。
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