従来のフィルムを用いた映画製作では1秒間に24枚の映像を記録し、1秒間に24枚の映像を再生することが行われていた。さらに特殊効果を演出するために、例えば1秒間に12枚の映像を記録し、1秒間に24枚の映像を再生することによって2倍速のクイックモーションを実現していた。また、例えば1秒間に48枚の映像を記録し、1秒間に24枚の映像を再生することによって1/2倍速のスローモーションを実現していた。1秒間の記録枚数を変えることは記録時にフィルムカメラのフィルム回転数を変えることで行っていた。
近年、従来フィルムカメラで行われていた映画製作(フィルムシネマ制作)をビデオカメラで代替する提案(デジタルシネマ制作)がなされた。以下にデジタルシネマ制作機器の例を説明する。従来のビデオカメラでは1秒間に60枚の映像信号をビデオテープに記録する方式が用いられていたが、デジタルシネマ制作機器では撮像は1秒間に24枚で行い、1秒間に60枚の映像信号にフレームレートを変換してビデオテープへの記録を行い、再生時に再び1秒間に24枚の映像信号に変換することによって行う。このようにすることによって、従来のビデオカメラの信号処理回路をそのまま用いて安価に品質のよいシステムを提供することが出来た。さらに特殊効果の撮影では、撮像は1秒間に12枚または48枚などで行い、1秒間に60枚の映像信号にフレームレートを変換してビデオテープへの記録を行い、再生された映像信号の有効フレームを抜き取る装置を用いた後、1秒間に24枚の映像信号に変換することによって行う。このようにすることによって、記録速度を可変とすることが困難であったビデオカメラにおいても特殊効果撮影を実現することが出来た。
次に、従来のデジタルシネマ制作で用いる撮像装置の構成について説明する。図3は従来のデジタルシネマ制作で用いる撮像装置の構成図である。撮像手段31は、システムコントロール部32からのフレームレート変更情報FRp3に応じた撮像フレームレートで撮像を行い、所定のフレームレートへの変換処理を行って出力する。CCD駆動手段35は、システムコントロール部32からのフレームレート変更情報FRp3に従って撮像フレームレートを設定し、その撮像フレームレートでCCDを駆動して映像信号を出力する。フレームレート変換手段36は、CCD駆動手段35から出力された映像信号を入力とし、メモリを使用して、出力フレームレートへのフレームレート変換処理を行い、出力する。操作手段34は、メニュー設定やボタン操作によってユーザーからフレームレートの変更を指示された場合には、フレームレート変更操作情報OP3をシステムコントロール部32に出力する。
次に、本明細書で用いるフレームレート変換、フレームレート変更について説明する。第1のフレームレート映像をフレームレート変換手段で第2のフレームレートに変換することをフレームレート変換といい、フレームレート変換手段に入力する第1のフレームレートを変更することをフレームレート変更という。例えば、CCD駆動手段が出力する24p(1秒間に24枚のプログレッシブ映像を有する)映像信号を60p(1秒間に60枚のプログレッシブ映像を有する)映像信号に変換するのがフレームレート変換であり、CCD駆動手段が出力するフレームレートを24pから20pに変更するのがフレームレート変更である。
次に、従来の撮像装置におけるフレームレート変換の方法について、24p映像信号から60p映像信号への変換を例に挙げて説明する。
図4は、24p映像信号から60p映像信号へのフレームレート変換方法を簡単に示したものである。この方法では、フレームレート変換手段は、映像信号を保存することが出来る3つのメモリを備えると共に、書き込みすべきメモリ番号を示す書き込みメモリ番号と、読み込みすべきメモリ番号を示す読み込みメモリ番号とを保持し、これらを用いてフレームレート変換を実現している。24p映像信号は、例えばCCD駆動手段からフレームレート変換手段に入力される映像信号であり、メモリに格納されている映像信号は、3つのうちいずれかが1/24秒ごとに更新される。
書き込みメモリ番号は、フレームレート変換前の映像信号の更新単位である1/24秒ごとに24p映像信号に同期して循環する値が設定される。この場合は搭載されているメモリの数が3であるため、1−2−3−1−2−3のように値が設定される。メモリ1には、書き込みメモリ番号が値1である場合に入力された24p映像信号が格納される。メモリ2には、書き込みメモリ番号が値2である場合に入力された24p映像信号が格納される。メモリ3には、書き込みメモリ番号が値3である場合に入力された24p映像信号が格納される。
読み出しメモリ番号は、フレームレート変換後の映像信号の更新単位である1/60秒ごとに60p映像信号に同期して循環する値が設定される。ただし、更新してしまうと読み込み対象となるメモリと書き込み対象となるメモリが同一になってしまう場合すなわち書き込みメモリ番号と読み出しメモリ番号が同じとなってしまう場合は更新しないように制御される。読み出しメモリ番号の示すメモリから読み出された映像信号は、60p映像信号としてフレームレート変換手段から出力される。
この場合、例えば変換された60p映像信号VF21とVF22は同じ映像情報を持っている。また、60p映像信号VF23とVF24とVF25は同じ映像情報を持っている。このように24p映像信号から変換された60p映像信号は2枚または3枚が同じ映像情報を持っており、5映像フレームごとに繰り返しとなっている。
また、変換後の60p映像信号を60i(1秒間に60枚のインターレース映像を有する)映像信号に変換した場合は、60p映像信号VF21およびVF22が60i映像信号の第1フィールドVF26および第2フィールドVF27に変換される。このように60p映像信号の2映像フレームが60i映像信号の1映像フレームに変換されるため、60i映像信号の1映像フレームは1/30秒となり、5映像フレームごとに繰り返しとなる。このように、変換前のフレームレートから変換後のフレームレートへフレームレート変換する際の繰り返し単位を1映像シーケンスと呼ぶ。60i映像信号の映像シーケンスの長さは5映像フレームである。また、60p映像信号は60i映像信号に変換されて配信される場合もあるため、互換を得るために、60p映像信号の映像シーケンスの長さは、60i映像信号の5映像フレームと時間的な長さを合わせて10映像フレームとする。
さらに、20p映像信号から60p映像信号へのフレームレート変換の例について、説明する。
図5は、20p映像信号から60p映像信号へのフレームレート変換方法を簡単に示したものである。図4と同様に、変換後の60p映像信号の映像シーケンスの長さは60p映像信号の6映像フレームである。
次に、変換した映像信号を変換前のフレームレートに逆変換する、あるいは他のフレームレートに変換する場合について説明する。編集されて配信可能となった映像信号は、編集時に用いたフレームレートと異なるフレームレートに変換して配信されることもある。例えば、60p映像信号はそのまま配信される場合もあり、映画上映用に24p映像信号に変換して配信される場合もある。また、テレビ放送用に60i映像信号に変換して配信される場合もある。このようにフレームレートの変換を行う場合、タイムコードを利用すると、映像信号のみを用いてフレームレートの変換を行う場合よりも容易に処理を行うことが出来る。
図6は、変換した60p映像信号を24p映像信号に逆変換する場合の説明図である。ここで、通常は60p映像信号においても30フレームシステムのタイムコードを用いるため、その取り得る値は00時00分00秒00フレームから23時59分59秒29フレームである。したがって図のように60p映像信号には、連続する2フレームずつに同じタイムコードが生成される。以下、60p映像信号において同じタイムコードが付与されている2つのフレームを、前半映像フレーム、後半映像フレームと呼ぶこととする。なお、図では便宜上タイムコードのうちフレームの値のみを記載している。また、フレームレート変換時に生じる信号遅延に関しては記載を省略している。
さて、映像信号のみを用いてフレームレートの逆変換、すなわち元の24p映像信号への変換を行う場合、60p映像信号の1映像フレームと、1フレームまたは2フレーム後の1映像フレームが同一か否かを判別するために、1映像フレームを保存するメモリを準備するか、または、少ないメモリを用いて比較演算を繰り返し行う必要がある。
ここで、60p映像信号における映像シーケンスの先頭フレームのタイムコードが5の倍数となるようにタイムコードを付与すると、タイムコードの値を5で除算した剰余が0のフレームについては、前半映像フレームと後半映像フレームは同一である、すなわち、前半映像フレームは変換後に有効とすべきフレーム(有効フレーム)であり後半映像フレームは変換には使用しないフレーム(無効フレーム)であることが複雑な演算なしに判定することが出来る。同様に、剰余が1の場合は前半映像フレームが有効フレームであり後半映像フレームが無効フレーム、剰余が2の場合は前半映像フレームが無効フレームであり後半映像フレームが有効フレーム、剰余が3の場合は前半映像フレームが無効フレームであり後半映像フレームが有効フレーム、剰余が4の場合は前半映像フレーム、後半映像フレームともに無効フレームであることが判定出来る。なお、上記説明では同じ映像情報をもつ映像フレームの最初の映像フレームを有効フレームとしたが、最後の映像フレームを有効フレームとしてもよいし、2番目の映像フレームを有効フレームとしてもよい。
以上のように映像シーケンスを特定出来るように映像信号と関連付けたタイムコードの並びをタイムコードシーケンスという。図6の場合、タイムコードシーケンスは0−1−2−3−4、5−6−7−8−9、(以降、5で除算した剰余が0−1−2−3−4と続く)であり、タイムコードシーケンスの長さは5TCフレームである。なお、映像フレームと区別するためタイムコードのフレームをTCフレームという。例えば、60p映像信号においては上記のようにタイムコードが付与されるため、10映像フレームが5TCフレームに相当する。
以上のようなフレームレート変換を行う従来の撮像装置としては、特許文献1に記載されたものがある。これは、フィルムカメラと同等の撮像効果をビデオカメラで得ようとするものであり、特にフィルムカメラ特有の画作りに関してフレームレートを自由に変換出来る特徴がある。
また、フレームレートを変換する撮像装置であって、フレームレートの変更が可能な撮像装置としては特許文献2に記載されたものがある。これは、あらかじめ設定されたフレームレート変更情報に従って撮影中のフレームレートの変更が出来る特徴がある。
また、フレームレートを変換した映像信号に対してタイムコードを設定する装置としては特許文献3に記載されたものがある。これは、記録時に複数システムのタイムコード、例えば24フレームシステムおよび30フレームシステムおよび25フレームシステムのタイムコードを記録し、再生時に記録されたタイムコードシステムの中から適切なタイムコードシステムを選択出来る特徴がある。
近年のデジタル化に伴い、撮影した映像信号をノンリニアエディタで取り込み編集作業を行うという手法がとられている。タイムコードは撮影時に映像信号と関連付けして記録し、取り込み開始および終了位置指定や編集開始および終了位置指定などに使用される。
タイムコードの歩進方式としては記録中のみ歩進させ記録停止中は歩進させないレックラン方式と、記録中、記録停止中を問わず歩進させるフリーラン方式がある。レックラン方式は複数のシーンを撮影した場合でもシーン途中やシーン切り替わり目を問わず連続したタイムコードが記録される特徴がある。一方、フリーラン方式ではシーン切り替わり目ではタイムコードの連続性は損なわれるがそれぞれのシーンに記録されたタイムコードは記録時刻として使用可能であるという特徴がある。このタイムコードの歩進方式は制作形態によって使い分けされる。
特開2002−152569号公報
特開2005−136754号公報
特開2005−39713号公報
以下に、デジタルシネマでの制作に関して撮像装置に求められる条件を説明する。
第1の条件として、タイムコードの連続性に関して説明する。
映像信号をノンリニアエディタで取り込む場合、映像信号と共に、連続したタイムコードをノンリニアエディタに入力することが求められることがある。ノンリニアエディタは、タイムコードの連続性から同一ファイルへの記録や取り込みの終了を判断することがある。もしタイムコードが不連続となっていると、ノンリニアエディタが不連続なタイムコードの入力を検出し、そこで撮影シーンが変わったと判断し別ファイルとして保存してしまったり、あるいは入力異常と判断して取り込み動作を停止してしまう。つまり、ノンリニアエディタの操作者はあるシーンを撮影した映像信号を一つのファイルとして保存することを意図していたにもかかわらず、複数のファイルとして保存されてしまい後工程である編集作業の効率が低下してしまう。あるいは自動取り込みを意図していたにもかかわらず途中で中断してしまい取り込み作業をやり直さなければならない、などの不具合が発生するからである。
第2の条件として、映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相の一致に関して説明する。
ノンリニアエディタへの取り込み作業および編集作業に関しては映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させて作業することが望ましい。すなわち、撮像装置から出力する映像信号の映像シーケンスと、撮像装置から出力するタイムコードのタイムコードシーケンスの位相は一致していることが求められる。これは、完成させた映像信号を編集時に用いたフレームレートだけでなく任意のフレームレートに再変換して配信する場合、タイムコードを用いることによって容易に変換出来るからである。
第3の条件として、マルチカメラ撮影時のタイムコードの同期に関して説明する。
撮像装置外部で生成されたタイムコードが撮像装置に入力された場合における動作に関して、撮像装置が映像信号と共に出力するタイムコードは、外部から入力されたタイムコードに一致(同期)することが求められる。これは、複数の撮像装置を用いて撮影(以下、マルチカメラ撮影という)を行う場合にそれぞれの撮像装置のタイムコードを一致させておき、編集工程において複数の撮像装置で撮影した複数の素材を時系列に並べることを可能にすることによって、編集作業の効率化を図るためである。
なお、マルチカメラ撮影の場合は撮影された素材のタイムコードはシーンが変わるごとに不連続となるのが一般的である。これは、ノンリニアエディタに取り込む際シーンごとに別ファイルとして保存させ、後工程である編集作業の効率化を図るためである。従って、前記第1の条件と本第3の条件とが同時に求められることはない。
しかしながら、従来の撮像装置では、フレームレートの変更を行う場合、前記第1の条件と前記第2の条件を両立させることが出来ないという課題があった。以下、図7から図9を用いて説明する。
図7は、20p映像信号から60p映像信号へのフレームレート変換中に、20pから24pへのフレームレート変更を行った場合の説明図である。FRP20p24p1のタイミングで20pから24pへのフレームレート変更を行い、FRA20p24p1のタイミングで60p映像信号に反映されている。フレームレート変更前の映像シーケンスはVS20p1であり、タイムコードシーケンスはタイムコードの値を3で除算した剰余が0のフレームから開始するためTS20p1となり、映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相は一致している。一方、フレームレート変更後の映像シーケンスはVS24p1であり、タイムコードシーケンスはタイムコードの値を5で除算した剰余が0のフレームから開始するため映像シーケンスから2TCフレーム遅れたTS24p1となり、映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相は一致していない。このように、映像シーケンスの長さが互いに異なるフレームレート間でフレームレート変更を行った場合、フレームレート変更後に映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させることが出来ない。従って、図7では前記第1の条件は満たすことが出来るが前記第2の条件は満たすことが出来ない。
この場合フレームレート変更後に映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させるようにするには、タイムコードシーケンスの位相をずらす手法がある。図8は、20p映像信号から60p映像信号へのフレームレート変換中に、20pから24pへのフレームレート変更を行った場合に、フレームレート変更後に映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させるようにタイムコードシーケンスの位相をずらす手法の説明図である。図7との相違点は、フレームレート変更後の映像シーケンスVS24p2と位相が一致するように、地点TC24p2のタイムコードを修正している点である。24p映像信号に対するタイムコードシーケンスは5で除算した剰余が0から始まるため、本来は地点TC24p2で値3とすべきタイムコードを値5に修正する。なお、修正するタイムコードは値0としてもよいが最も修正誤差の小さい値5を選択している。このようにすることによって、フレームレート変更後の映像シーケンスVS24p2とタイムコードシーケンスTS24p2の位相を一致させることが出来る。しかしながら、タイムコードは0−1−2−5−6−7と地点TC24p2で不連続となってしまう。従って、図8では前記第2の条件は満たすことが出来るが前記第1の条件は満たすことが出来ない。
次に、フレームレート変更前に映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相が任意であるときにフレームレート変更を行う場合について説明する。
図9は、20p映像信号から60p映像信号へのフレームレート変換中で、フレームレート変更前の映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相が任意であるときに、20pから24pへのフレームレート変更を行った場合の説明図である。なお、フレームレート変換時に生じる信号遅延に関しては記載を省略している。FRP20p24p5のタイミングで20pから24pへのフレームレート変更を行い、FRA20p24p5のタイミングで60p映像信号に反映されている。フレームレート変更前の映像シーケンスはVS20p5でありフレームレート変更後の映像シーケンスはVS24p5である。フレームレート変更前のタイムコードシーケンスの位相は任意であるからフレームレート変更後のタイムコードシーケンスはTS24p51からTS24p55の5通りの位相となることがあり得る。この場合、変換前のタイムコードシーケンスの位相が図中タイムコード(パターン3)であった場合にフレームレート変更後のタイムコードシーケンスは映像シーケンスと一致するが、それ以外の4通りであった場合はフレームレート変更後のタイムコードシーケンスは映像シーケンスと一致しない。従って、図9では前記第1の条件は満たすことが出来るが前記第2の条件は満たせるとは限らない。
図9において、フレームレート変更後に映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させるようにタイムコードシーケンスの位相をずらす手法を実施した場合は、図中タイムコード(パターン3)の場合を除きタイムコードが不連続になってしまうことは図7の説明と同様となることが明白であるので説明は省略する。従って、図9において、フレームレート変更後に映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させるようにタイムコードシーケンスの位相をずらす手法を実施した場合は、前記第2の条件は満たすことが出来るが前記第1の条件は満たせるとは限らない。
また、従来の撮像装置では、フレームレート変換中に前記第2の条件と前記第3の条件を両立させることが出来ないという課題があった。以下、図10から図11を用いて説明する。
図10は、24p映像信号から60p映像信号へのフレームレート変換中に、入力タイムコードによる同期を行った場合の説明図である。フレームレート変換手段で24p映像信号から60p映像信号へのフレームレート変換を行っており、映像シーケンスはVS24p6及びVS24p8である。タイムコード同期処理は地点SLV24p1で行っている。なお、フレームレート変換時に生じる信号遅延に関しては記載を省略している。
下地タイムコードは、入力タイムコードによる同期を行う前のタイムコードであり、タイムコードシーケンスはTS24pbase1である。このとき、映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相は一致している。
入力タイムコードは、撮像装置外部から入力されたタイムコードであり、タイムコードの値およびタイムコードシーケンスは任意である。図では入力タイムコードのタイムコードシーケンスはTS24pin1としている。同期後タイムコードは、撮像装置から出力するタイムコードであり、タイムコード同期処理前は下地タイムコードと一致しており、タイムコード同期処理後はTS24pslave1となり入力タイムコードと一致している。しかしながら、タイムコード同期処理後は映像シーケンスVS24p8とタイムコードシーケンスTS24pslave1の位相は一致しない。以上のように、タイムコード同期処理後のタイムコードシーケンスの位相は入力タイムコードのタイムコードシーケンスの位相と一致するが、映像シーケンスの位相とは一致しない。
図11は、24p映像信号から60p映像信号へのフレームレート変換中に、任意のタイムコードシーケンスを持つ入力タイムコードによる同期を行った場合の説明図である。24p映像シーケンスの位相VS24p7に対して入力タイムコードのタイムコードシーケンスとして取り得る位相は、入力タイムコード(パターン1)の入力24pタイムコードシーケンスTS24pin21から入力タイムコード(パターン5)の入力24pタイムコードシーケンスTS24pin25までの5通りとなる。タイムコード同期処理後のタイムコードシーケンスは入力タイムコードのタイムコードシーケンスと一致することから、入力タイムコード(パターン1)の位相で入力された場合を除いて、タイムコード同期処理後に映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させることが出来ない。なお、前述した、タイムコードを修正することによってタイムコードシーケンスの位相をずらす手法は、タイムコードを同期させる概念と矛盾するため用いることは出来ない。従って、図11において、前記第3の条件は満たすことが出来るが前記第2の条件は満たせるとは限らない。
上記課題に鑑みて本発明は、撮像フレームレートを変更可能な撮像装置において、映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させながら、タイムコードに関する所望の条件を満たすことが可能な構成を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために本発明の撮像装置は、撮像フレームレートを変更可能であり、前記撮像フレームレートで映像を撮像する映像撮像手段と、
ユーザーの操作によって前記撮像フレームレートの変更が指示された場合に撮像フレームレート変更操作情報を出力する操作手段と、
変換の繰り返し単位である映像シーケンスごとに前記撮像フレームレートの映像信号を60pまたは60iの映像信号に変換し、前記60pまたは60iの映像信号を出力するフレームレート変換手段と、
前記映像シーケンスの先頭フレームから終了フレームまでをタイムコードのフレームの値と関連付けたタイムコードを生成するタイムコード生成手段と、
前記映像撮像手段が24pとは異なる撮像フレームレートで撮像している時に、前記操作手段から24pへの変更を指示する撮像フレームレート変更操作情報を受けると、
変更前のフレームレートでの撮像を、前記映像シーケンスの終了フレームとなるまで継続させ、
前記終了フレームの次のフレームから、前記タイムコードのフレームの値が5の倍数であるフレームの直前のフレームまでの期間は、前記変更前のフレームレート及び24p以外の撮像フレームレートで撮像した映像信号を変換した映像信号を出力し、
前記タイムコードのフレームの値が5の倍数となってからは、24pの撮像フレームレートで撮像した映像信号を変換した映像信号を出力するように、
撮像フレームレートの値及び撮像フレームレートの変更タイミングを示すフレームレート変更情報を出力する撮像フレームレートコントロール手段を備えている。
この構成により適切なフレームレートの選択およびフレームレートの変更タイミングの選択を行うことによって、タイムコードの連続性を保持しつつ、フレームレート変更後の映像シーケンスとフレームレート変更後のタイムコードシーケンスの位相を一致させることが出来る。
また、本発明の撮像装置は、撮像フレームレートを変更可能であり、前記撮像フレームレートで映像を撮像する映像撮像手段と、
変換の繰り返し単位である映像シーケンスごとに前記撮像フレームレートの映像信号を60pまたは60iの映像信号に変換し、前記60pまたは60iの映像信号を出力するフレームレート変換手段と、
前記映像シーケンスの先頭フレームから終了フレームまでをタイムコードのフレームの値と関連付けたタイムコードを出力するタイムコード処理手段と、
前記映像撮像手段が24pで撮像し、前記フレームレート変換手段が前記60pまたは60iの映像信号を出力し、前記タイムコード処理手段が前記タイムコードを出力している時に、外部から入力されたタイムコードに同期したタイムコードに切り替えて出力する場合に、
前記24pでの撮像を、前記映像シーケンスの終了フレームとなるまで継続させ、
前記終了フレームの次のフレームから、前記外部から入力されたタイムコードのフレームの値が5の倍数であるフレームの直前のフレームまでの期間は、24p以外の撮像フレームレートで撮像した映像信号を変換した映像信号を出力し、
前記外部から入力されたタイムコードのフレームの値が5の倍数となってからは、24pの撮像フレームレートで撮像した映像信号を変換した映像信号を出力するように、
撮像フレームレートの値及び撮像フレームレートの変更タイミングを示すフレームレート変更情報を出力する撮像フレームレートコントロール手段を備えている。
この構成により適切なフレームレートの選択およびフレームレートの変更タイミングの選択を行うことによって、外部入力されたタイムコードに同期しつつ、映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させることが出来る。
本発明の撮像装置によれば、デジタルシネマでの制作過程において、撮像装置のフレームレートを変更した場合、タイムコードの連続性を保持しつつ映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させることが出来るため、ノンリニアエディタの操作者は一つのファイルとして保存することを意図していたにもかかわらず複数のファイルとして保存されてしまい後工程である編集作業の効率が低下してしまう、あるいは自動取り込みを意図していたにもかかわらず途中で中断してしまい取り込み作業をやり直さなければならない、などの不具合発生を防止することが出来る。なおかつ、完成させた映像信号を編集時に用いたフレームレートだけでなく任意のフレームレートに再変換して配信する場合、タイムコードを用いることによって容易に変換出来る。
また、本発明の撮像装置によれば、デジタルシネマでの制作過程において、マルチカメラ撮影時のタイムコードの同期を行った場合、タイムコードの同期を行った後でも映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させることが出来るため、完成させた映像信号を編集時に用いたフレームレートだけでなく任意のフレームレートに再変換して配信する場合、タイムコードを用いることによって容易に変換出来る。
以下本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における撮像装置の構成図である。図1において、撮像手段1は、システムコントロール部2からのフレームレート変更情報FRpに応じた撮像フレームレートで撮像を行い、所定のフレームレートへの変換処理を行って出力する。また、フレームレート変換処理の映像シーケンス情報FRseqをシステムコントロール部2に出力する。ここで、映像シーケンス情報とは、フレームレート変換中の映像シーケンスの先頭位置を特定するための情報であり、本実施の形態では、読み出しメモリ番号を映像シーケンス情報FRseqとしている。撮像手段1は、CCD駆動手段5及びフレームレート変換手段6を有する。CCD駆動手段5は、システムコントロール部2からのフレームレート変更情報FRpに従って撮像フレームレートを設定し、その撮像フレームレートでCCDを駆動して映像信号を出力する。撮像フレームレートとしては、例えば1p(1秒間に1枚のプログレッシブ映像を有する)から60p(1秒間に60枚のプログレッシブ映像を有する)までの任意の値をとるものとする。フレームレート変換手段6は、CCD駆動手段5から出力された映像信号を入力とし、メモリを使用して、出力フレームレートへのフレームレート変換処理を行い、出力する。本実施の形態では出力フレームレートを60pとする。すなわち、フレームレート変換手段6は、撮像フレームレートで撮像された映像信号をフレームレート変換処理し、Voutとして60p映像信号を撮像装置外部に出力する。
タイムコード生成手段3は、出力される60p映像信号に同期し、TCフレームごとに連続して歩進するようにタイムコードを生成し、これをタイムコード情報TCdetとしてシステムコントロール部2に出力すると共に、TCoutとして撮像装置外部に出力する。ここで用いるタイムコードは、SMPTE(米国映画テレビジョン技術者協会)の定める規格SMPTE12Mに準拠するタイムコードとする。これは、時、分、秒、フレームの要素から成る。本実施の形態では30フレームシステムのタイムコードを用いるため、その取り得る値は00時00分00秒00フレームから23時59分59秒29フレームである。1秒間に30フレームのタイムコードを有するため、1秒間の映像数が30を超える映像信号では、連続する複数の映像に同じタイムコードが生成されることがある。例えば60p映像信号には、連続する2映像フレームずつに同じタイムコードが生成される。なお、各図では便宜上フレームの値のみを記載している。
操作手段4は、ユーザーからの入力を受け付け、その情報をシステムコントロール部2に出力する。操作手段4は、メニュー設定やボタン操作によってユーザーからフレームレートの変更を指示された場合には、フレームレート変更操作情報OPをシステムコントロール部2に出力する。なお、操作手段4はあらかじめユーザーによって設定された自動フレームレート変更情報に従って、ボタン操作等のトリガによりフレームレート変更操作情報OPを出力するようにしても良い。
システムコントロール部2は、操作手段4からフレームレート変更操作情報OPが入力されると、タイムコード情報TCdetおよび映像シーケンス情報FRseqから、フレームレート変更の適切なタイミングおよび変更すべき適切なフレームレートを生成してフレームレート変更情報FRpとし、これを撮像手段1に対して出力する。
次に、映像シーケンス情報FRseqを元に、撮像手段1から出力される映像信号の映像シーケンスの先頭を判別する方法について説明する。図12は、撮像フレームレートを24p、出力フレームレートを60pとし、24p映像信号から60p映像信号へのフレームレート変換の際に、映像シーケンスの先頭を判別する方法に関する説明図である。なお、図4と同じ部分については説明を省略する。撮像手段1は、出力フレームレートである60pに応じて1/60秒ごとに、映像シーケンス情報FRseqとして読み出しメモリ番号を出力する。システムコントロール部2は、1/60秒ごとに映像シーケンス情報FRseqを入力し保存する。また、システムコントロール部2は1/60秒ごとに値を1ずつ更新していくカウンタとして24p映像シーケンス番号を有し、適切なタイミングで0クリアすることによって映像シーケンスの先頭を判別する。図12の場合24p映像シーケンス番号を0クリアするタイミングは次の通りである。すなわち、映像シーケンス情報FRseqが3回連続して同じ値であり、次に異なる値に更新されたとき、タイムコード情報TCdetのタイムコード更新タイミングに一致していれば24p映像シーケンス番号を0クリアする。このようにすれば、システムコントロール部2は、入力される映像シーケンス情報FRseqとタイムコード情報TCdetとから24p映像シーケンス番号を0クリアすることができ、この24p映像シーケンス番号が0のときの映像信号Voutが映像シーケンスの先頭であると判断出来る。例えば図12において映像シーケンス情報FRseqが3回連続して同じ値となり次に異なる値に更新するタイミングはSEQ24pnum11からSEQ24pnum15までの5箇所である。このうちタイムコード情報TCdetの更新タイミングと一致するのはSEQ24pnum12とSEQ24pnum14の2箇所であり、この2箇所のタイミングで24p映像シーケンス番号を0クリアすれば、24p映像シーケンス番号が0のときに映像信号Voutは映像シーケンスの先頭であると判断出来る。なお、フレームレートを変更しない間は毎回映像シーケンスの先頭を判断する必要はなく、一度判断すれば現在のフレームレートが24pであることから映像シーケンスの長さは10映像フレームであることが分かっているので、上記判断をせずに24p映像シーケンス番号が9の次は0に更新するようにしてもよい。
図13は、20p映像信号から60p映像信号へのフレームレート変換の際に映像シーケンスの先頭を判別する方法に関する説明図である。なお、図5と同じ部分については説明を省略する。この場合も図12と同様に、20p映像シーケンス番号を0クリアするタイミングは次の通りである。すなわち、映像シーケンス情報FRseqが3回連続して同じ値であり、次に異なる値に更新されたとき、タイムコード情報TCdetのタイムコード更新タイミングに一致していれば20p映像シーケンス番号を0クリアすることにする。このようにすれば、20p映像シーケンス番号が0のときに映像信号Voutが映像シーケンスの先頭であると判断出来る。例えば図13において映像シーケンス情報FRseqが3回連続して同じ値となり次に異なる値に更新するタイミングはSEQ20pnum11からSEQ20pnum17までの7箇所である。このうちタイムコード情報TCdetの更新タイミングと一致するのはSEQ20pnum12とSEQ20pnum14とSEQ20pnum16の3箇所であり、この3箇所のタイミングで20p映像シーケンス番号を0クリアすれば、20p映像シーケンス番号が0のときに映像信号Voutは映像シーケンスの先頭であると判断出来る。なお、フレームレートを変更しない間は毎回映像シーケンスの先頭を判断する必要はなく、一度判断すれば現在のフレームレートが20pであることから映像シーケンスの長さは6映像フレームであることが分かっているので、上記判断をせずに20p映像シーケンス番号が5の次は0に更新するようにしてもよい。
次に、図14及び図15を用いて、撮像装置のフレームレートを20pから24pに変更した場合、タイムコードの連続性を保持しつつ映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させる方法について具体的に説明する。
図14は、タイムコード情報TCdetが図9におけるタイムコード(パターン1)であるときに、撮像装置のフレームレートを20pから24pに変更した場合、タイムコードの連続性を保持しつつ映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させる方法の説明図である。
撮像手段1で20pから60pへのフレームレート変換が行われているときに、操作手段4からのフレームレート変更操作情報OPにより20pから24pへのフレームレート変更を行うとき、システムコントロール部2は、フレームレートを20pから経由フレームレートとして一旦30pに変更してから24pへ変更する制御を行う。経由フレームレートは、変更前のフレームレート及び変更後のフレームレート以外であれば任意であってよいが本実施の形態では30pを用いる。
経由フレームレートの値はあらかじめ決めておいてもよいし、撮像装置が選択可能な撮像フレームレートのうち、映像シーケンスの最も短いフレームレート値を自動的に選ぶ制御を行ってもよい。また、変更前のフレームレートと変更後のフレームレートとの中間となるようなフレームレート値を自動的に選ぶ制御を行ってもよい。もちろん、メニューなどによってユーザーが選択出来るようにしてもよい。撮像装置が選択可能な撮像フレームレートのうち映像シーケンスの最も短いフレームレート値を用いた場合は、最も短時間にフレームレートの変更を完了することが出来るという利点がある。また、変更前のフレームレートと変更後のフレームレートとの中間となるようなフレームレート値を用いた場合は、フレームレート変更時の映像の見え方として、スムーズな映像効果を得ることが出来るという利点がある。また、本実施の形態では1種類のフレームレートを経由する説明を行うが、複数種類のフレームレートを経由してもよい。その場合は変更前のフレームレートから変更後のフレームレートへ、段階的に経由フレームレートを変更していくことで、よりスムーズな映像効果を得ることが出来るという利点がある。
まず、システムコントロール部2は、撮像手段1が経由フレームレートであるフレームレート30pで撮像する期間、すなわち20pと24pとの間に挿入する挿入フレーム数を求める。図14では、20pから60pへのフレームレート変換後の映像シーケンスのうち、フレームレート変更直前の映像シーケンスの先頭は、映像シーケンス番号が値0に更新されるタイミングVSEQtop20p101であることを判断する。また、このときのタイムコード情報TCdetは20p映像シーケンス先頭タイムコードTCtop20p101である値0であることを検出する。20pから60pへのフレームレート変換時の映像シーケンス(以下、20pの映像シーケンスという。また、他のフレームレートについても同様である。)長さは3TCフレーム(60p映像信号の6映像フレーム)であることから、20pの1映像シーケンスが終了した次のフレームのタイムコードは0+3=3となる。これを24pの映像シーケンスに換算するために、24pの映像シーケンス長さ5TCフレーム(60p映像信号の10映像フレーム)で割った剰余を求めると、3 MOD 5=3となる。これに求めるべき挿入フレーム数を加えたものが24p映像シーケンスの先頭となればよいので、逆に挿入フレーム数は、24pの映像シーケンス長さ5TCフレーム(60p映像信号の10映像フレーム)からこの値を減算して5−3=2となり、フレームレート30pの挿入フレーム数は2TCフレームであることが求まる。
以上を一般化した式で表記すると、経由フレームレートの映像信号の挿入フレーム数は、(LENyptc−(TCxptc+LENxptc)MOD LENyptc)MOD LENyptc (式1)
となる。ただし、LENxptcは変更前のフレームレートのシーケンス長、LENyptcは、変更後のフレームレートのシーケンス長、TCxptcは、変更前のフレームレートのシーケンス先頭のタイムコードのフレーム値、MODは除算の剰余を求める演算子とする。単位はTCフレームである。
さらに汎用化するために式1を、映像フレームを求める式に変換すると、
(LENyp−(TCxp*2+LENxp)MOD LENyp)MOD LENyp (式2)
となる。ただし、LENxpは変更前のフレームレートのシーケンス長、LENypは、変更後のフレームレートのシーケンス長、TCxpは、変更前のフレームレートのシーケンス先頭のタイムコードのフレーム値、MODは除算の剰余を求める演算子とする。単位は映像フレームである。
ここで、タイムコードを2倍している理由はTCフレームを映像フレームに換算しているためである。60p映像の場合、映像フレーム長さは1/60秒であり、30フレームシステムのTCフレーム長さは1/30秒であるため、TCフレーム長さ/映像フレーム長さ=60/30=2を乗算している。
改めて式2を用いて図14におけるフレームレート30pの挿入フレーム数を映像フレームで求めると、
(LENyp−(TCxp*2+LENxp)MOD LENyp)MOD LENyp
=(LEN24p−(TC20p*2+LEN20p)MOD LEN24p)MOD LEN24p
=(10−(0*2+6)MOD 10)MOD 10
=4
となる。単位は60pの映像フレームである。
次に、システムコントロール部2は20p映像シーケンスVS20p101が終了した後のタイミングFRP20p30p101からフレームレートが30pとなるように撮像手段1に対してフレームレート変更情報FRpを出力する。このタイミングは映像シーケンス番号を参照することによって求めることが出来る。本実施の形態では、実際にフレームレートを変更するタイミングよりも60pでの1フレーム前のタイミング、すなわち、20pの映像シーケンス番号が値5に更新されたタイミングFR30p101としている。撮像手段1は、フレームレート変更情報FRpを入力された次のフレームのタイミングからフレームレートを変更する。
次に、システムコントロール部2はフレームレート30pの挿入フレーム数経過後のタイミングFRP30p24p101から、操作手段4からのフレームレート変更操作情報OPで指示されたフレームレートとなるように撮像手段1に対してフレームレート変更情報FRpを出力する。この場合は求めたフレーム数は60pの映像フレームで4フレームのため、30pとなるように指示したタイミングFR30p101の4フレーム後のタイミングFR24p101としている。
以上の制御を行うことによって、タイムコードの連続性を保持しつつ、フレームレート変更後の24p映像シーケンスVS24p101の位相とフレームレート変更後の24pタイムコードシーケンスTS24p101の位相とを一致させることが出来る。
図15は、タイムコード情報TCdetが図9におけるタイムコード(パターン3)であった場合に、撮像装置のフレームレートを20pから24pに変更した場合、タイムコードの連続性を保持しつつ映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させる方法の説明図である。図14の場合と同様に、フレームレート30pの挿入フレーム数を、式2を用いて求めると、
(LENyp−(TCxp*2+LENxp)MOD LENyp)MOD LENyp
=(LEN24p−(TC20p*2+LEN20p)MOD LEN24p)MOD LEN24p
=(10−(2*2+6)MOD 10)MOD 10
=0
となる。単位は60pの映像フレームである。フレームレート30pの挿入フレーム数が0映像フレームなので、フレームレート30pのフレームを挿入しなくてもよいことが分かる。
次に、システムコントロール部2は20p映像シーケンスVS20p103が終了した後のタイミングFRP20p24p103から、操作手段4からのフレームレート変更操作情報OPで指示されたフレームレートとなるように撮像手段1に対してフレームレート変更情報FRpを出力する。このタイミングは映像シーケンス番号を参照することによって求めることが出来、本実施の形態では20pの映像シーケンス番号が値5に更新されたタイミングFR24p103としている。
以上の制御を行うことによって、タイムコードの連続性を保持しつつ、フレームレート変更後の24p映像シーケンスVS24p103とフレームレート変更後の24pタイムコードシーケンスTS24p103の位相を一致させることが出来る。
なお、図15の説明ではフレームレート30pを挿入しない説明をしたが、フレームレート24pの映像シーケンス長さすなわち10映像フレームを挿入することにしてもよい。その場合は、以下の式によって導かれる。
(LENyp−(TCxp*2+LENxp)MOD LENyp) (式3)
=(10−(2*2+6)MOD 10)
=10
単位は60pの映像フレームである。
タイムコード情報TCdetが図9におけるタイムコード(パターン2)または(パターン4)または(パターン5)であった場合も同様である。
以上のように、本発明によれば、撮像装置のフレームレートを20pから24pに変更した場合でも、タイムコードの連続性を保持しつつ映像シーケンスの位相とタイムコードシーケンスの位相とを一致させることが出来る。これにより、撮像した映像をノンリニアエディタシステムに取り込んで容易に編集加工することが可能となる。
なお、出力フレームレートとして、本実施の形態では60p映像信号を用いたが、他のフレームレートを用いても良い。また、プログレッシブ映像信号を用いても良いし、インターレース映像信号を用いても良い。例えば60i映像信号を用いた場合、60i映像信号は2映像フィールドで1映像フレームを構成するので映像フレームとTCフレームの長さは同じになる。従って
(LENyp−(TCxp+LENxp)MOD LENyp)MOD LENyp
が挿入する映像フレーム数でありTCフレーム数となる。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における撮像装置の構成図である。図1と異なる部分のみ説明する。タイムコード処理手段23は、撮像装置外部から入力されたタイムコードTCin2を検出し、入力タイムコード情報TCdet2として出力する。また、タイムコード同期処理前のタイムコード情報としてTCint2を出力する。また、システムコントロール部22からのタイムコード同期指示TCslave2に従ってタイムコードの同期処理を行い、TCout2として撮像装置外部に出力する。システムコントロール部22は、入力タイムコード情報TCdet2および映像シーケンス情報FRseq2から、フレームレート変更の適切なタイミングおよび変更すべき適切なフレームレートを生成してフレームレート変更情報FRp2とし、これを撮像手段21に対して出力するとともに、タイムコード処理手段23に対してタイムコード同期指示TCslave2を出力する。本実施の形態ではユーザー操作によるフレームレート変更を行わないので操作手段は省略している。
次に、図16を用いて、外部入力されたタイムコードに同期しつつ、映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させる方法について具体的に説明する。
図16は、撮像装置で24pから60pへのフレームレート変換中、下地タイムコードが5であるタイミングで撮像装置外部からのタイムコード入力が有効となり、入力タイムコード情報TCdet2が図11におけるタイムコード(パターン2)であるときに、外部入力されたタイムコードに同期しつつ、映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させる方法の説明図である。なお、外部入力されたタイムコードに同期する以前に、内部で生成しているタイムコードを下地タイムコードと呼ぶ。
撮像手段21で24pから60pへのフレームレート変換が行われているときに撮像装置外部からのタイムコード入力TCin2が有効となったとき、システムコントロール部22は、フレームレートを現在の24pから経由フレームレートとして一旦30pに変更してから再び24pへ変更する制御を行う。経由フレームレートは、現在のフレームレート以外であれば任意であってよいが図16の説明では30pを用いる。
まず、システムコントロール部22は、撮像手段21が経由フレームレートであるフレームレート30pで撮像する期間、すなわち24pの間に挿入する挿入フレーム数を求める。図16では、24pから60pへのフレームレート変換後の映像シーケンスのうち、フレームレート変更直前の映像シーケンスの先頭は、映像シーケンス番号が値0に更新されるタイミングVSEQtop24p201であることを判断する。なお、映像シーケンス番号の算出方法は実施の形態1と同様である。また、このときの入力タイムコード情報TCdet2は24p映像シーケンス先頭タイムコードTCtop24p201である値1であることを検出する。24pの映像シーケンスの長さは5TCフレーム(60p映像信号の10映像フレーム)であることから、24pの1映像シーケンスが終了した次のフレームの入力タイムコードは1+5=6となる。これを24pの映像シーケンスに換算するために、24pの映像シーケンス長さ5TCフレームで割った剰余を求めると、6 MOD 5=1となる。これに求めるべき挿入フレーム数を加えたものが24p映像シーケンスの先頭となればよいので、逆に挿入フレーム数は、24pの映像シーケンス長さ5TCフレームからこの値を減算して5−1=4となり、フレームレート30pの挿入フレーム数は4TCフレームであることが求まる。
以上は、実施の形態1で用いた式1で変更前後のフレームレートを同一とすることで求めることが出来る。すなわち、経由フレームレートの映像信号の挿入フレーム数は、
(LENyptc−(TCxptc+LENxptc)MOD LENyptc)MOD LENyptc
=(LEN24ptc−(TC24ptc+LEN24ptc)MOD LEN24ptc)MOD LEN24ptc
=(5−(1+5)MOD 5)MOD 5
=4
となる。単位はTCフレームである。
同様に式2を用いても求めることが出来る。すなわち、経由フレームレートの映像信号の挿入フレーム数は、
(LENyp−(TCxp*2+LENxp)MOD LENyp)MOD LENyp
=(LEN24p−(TC24p*2+LEN24p)MOD LEN24p)MOD LEN24p
=(10−(1*2+10)MOD 10)MOD 10
=8
となる。単位は60pの映像フレームである。
次に、システムコントロール部22は24p映像シーケンスVS24p201が終了した後のタイミングFRP24p30p201からフレームレートが30pとなるように撮像手段21に対してフレームレート変更情報FRp2を出力する。このタイミングは映像シーケンス番号を参照することによって求めることが出来る。本実施の形態では、実際にフレームレートを変更するタイミングよりも60pでの1フレーム前のタイミング、すなわち、24pの映像シーケンス番号が値9に更新されたタイミングFR30p201としている。
次に、システムコントロール部22はフレームレート30pの挿入フレーム数経過後のタイミングFRP30p24p201から、変更前のフレームレートに戻るように撮像手段21に対してフレームレート変更情報FRp2を出力する。この場合は求めたフレーム数は60pの映像フレームで8フレームのため、30pとなるように指示したタイミングFR30p201の8映像フレーム後のタイミングFR24p201としている。
また、システムコントロール部22は、タイムコードの同期処理がタイミングFRP24p30p201またはFRP30p24p201で行われるようにタイムコード処理手段23に対してタイムコード同期指示TCslave2を出力する。そのタイミングは実際に同期処理を行うフレームの1フレーム前となり、フレームレート変更のタイミングと同様にFR30p201、またはFR24p201である。なお、経由フレームレートとして30pを選択した場合はいずれのタイミングでタイムコードの同期処理を行っても、撮像装置から出力する映像信号の映像シーケンスと、撮像装置から出力するタイムコードのタイムコードシーケンスは位相が一致する。
以上の制御を行うことによって、外部入力されたタイムコードに同期しつつ、映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させることが出来る。
入力タイムコード情報TCdet2が図11におけるタイムコード(パターン1)または(パターン3)または(パターン4)または(パターン5)であった場合も同様である。なお、入力タイムコード情報TCdet2が図11におけるタイムコード(パターン1)であった場合はフレームレート30pの挿入フレーム数は0フレームとなるが、この場合はフレームレート30pのフレームを挿入せず、フレームレート変換後の映像シーケンス先頭のタイミングで外部入力されたタイムコードに同期してもよいし、フレームレート24pの映像シーケンスの長さすなわち10映像フレームを挿入することにしてもよい。
次に、図17を用いて、外部入力されたタイムコードがフィールドずれしている場合に関して、外部入力されたタイムコードに同期しつつ、映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させる方法について具体的に説明する。
プログレッシブ映像信号には、インターレース映像信号で取り扱うフィールド情報が規定されていないため、入力されたタイムコードが撮像装置で生成するタイムコードの位相と1フィールドずれている可能性がある。
図17は、撮像装置で24pから60pへのフレームレート変換中に撮像装置外部からのタイムコード入力が有効となり、入力タイムコード情報TCdet2がフィールドずれしているときに、外部入力されたタイムコードに同期しつつ、映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させる方法の説明図である。
撮像手段21で24pから60pへのフレームレート変換が行われているときに撮像装置外部からのタイムコード入力TCin2が有効となったとき、システムコントロール部22は、フレームレートを現在の24pから経由フレームレートとして一旦60pに変更してから再び24pへ変更する制御を行う。経由フレームレートは、映像シーケンスの長さが奇数であれば任意であってもよいが図17の説明では60pを用いる。
まず、システムコントロール部22は経由フレームレートであるフレームレート60pの挿入フレーム数を求める。図17では24pから60pへのフレームレート変換後の映像シーケンス先頭は、映像シーケンス番号が値0に更新されるタイミングVSEQtop24p202であることを判断する。また、このときの入力タイムコード情報TCdet2は24p映像シーケンス先頭タイムコードTCtop24p202であることを検出する。このとき、タイムコード同期処理前のタイムコードである下地タイムコードと更新タイミングがずれていることも同時に検出する。これは、1/60秒ごとに入力タイムコード情報TCdet2とタイムコード同期処理前のタイムコード情報TCint2の更新タイミングを比較することで検出することが出来る。図17の場合はVSEQtop24p202を認識した時には、入力タイムコード情報TCdet2は値4に更新されてから1/60秒だけ時間が経過しているので、24p映像シーケンス先頭タイムコードTCtop24p202はこれに0.5を加えた値4.5であると認識する。なお、経由フレームレートを決定するのは入力タイムコードのフィールドずれの有無を検出してからでもよい。例えば、入力タイムコードがフィールドずれしていなかった場合は経由フレームレートを30pとし、フィールドずれしていた場合は60pとするようにしてもよい。
24pの映像シーケンスの長さは5TCフレーム(60p映像信号の10映像フレーム)であることから、24pの1映像シーケンスが終了した次のフレームの入力タイムコードは4.5+5=9.5となる。これを24pの映像シーケンスに換算するために、24pの映像シーケンス長さ5TCフレームで割った剰余を求めると、9.5 MOD 5=4.5となる。これに求めるべき挿入フレーム数を加えたものが24p映像シーケンスの先頭となればよいので、逆に挿入フレーム数は、24pの映像シーケンス長さ5TCフレームからこの値を減算して5−4.5=0.5となり、フレームレート60pの挿入フレーム数は0.5TCフレームであることが求まる。
以上は、実施の形態1で用いた式1で変更前後のフレームレートを同一とすることで求めることが出来る。すなわち、経由フレームレートの映像信号の挿入フレーム数は、
(LENyptc−(TCxptc+LENxptc)MOD LENyptc)MOD LENyptc
=(LEN24ptc−(TC24ptc+LEN24ptc)MOD LEN24ptc)MOD LEN24ptc
=(5−(4.5+5)MOD 5)MOD 5
=0.5
となる。単位はTCフレームである。
同様に式2を用いても求めることが出来る。すなわち、経由フレームレートの映像信号の挿入フレーム数は、
(LENyp−(TCxp*2+LENxp)MOD LENyp)MOD LENyp
=(LEN24p−(TC24p*2+LEN24p)MOD LEN24p)MOD LEN24p
=(10−(4.5*2+10)MOD 10)MOD 10
=1
となる。単位は60pの映像フレームである。
次に、システムコントロール部22は24p映像シーケンスVS24p202が終了した後のタイミングFRP24p60p202からフレームレートが60pとなるように撮像手段21に対してフレームレート変更情報FRp2を出力する。このタイミングは映像シーケンス番号を参照することによって求めることが出来る。本実施の形態では、実際にフレームレートを変更するタイミングよりも60pでの1フレーム前のタイミング、すなわち、24pの映像シーケンス番号が値9に更新されたタイミングFR60p202としている。
次に、システムコントロール部22はフレームレート60pの挿入フレーム数経過後のタイミングFRP60p24p202から、変更前のフレームレートに戻るように撮像手段21に対してフレームレート変更情報FRp2を出力する。この場合は求めたフレーム数は60pの映像フレームで1フレームのため、60pとなるように指示したタイミングFR60p202の1フレーム後のタイミングFR24p202としている。
また、システムコントロール部22は、タイムコードの同期処理がタイミングFRP60p24p202で行われるようにタイムコード処理手段23に対してタイムコード同期指示TCslave2を出力する。そのタイミングはFR24p202である。
以上の制御を行うことによって、外部入力されたタイムコードに同期しつつ、映像シーケンスとタイムコードシーケンスの位相を一致させることが出来る。