JP4950013B2 - 板状体に対する長尺部材貫通部の閉塞構造 - Google Patents

板状体に対する長尺部材貫通部の閉塞構造 Download PDF

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本発明は、例えば耐火板や内装板等の板状体に対する配管等の長尺部材が貫通する部分の閉塞構造に関する。更に詳しくは、例えば各種の建築物や構築物等の構造物の内面等に敷設される耐火板や内装板等の板状体に対する配管等の長尺部材の貫通部の閉塞構造に関するものである。
本出願人は先に下記特許文献1において、各種の沈埋トンネル、特にトンネル内面に鋼殻を有する鋼殻沈埋トンネル、あるいは鋼殻を有する地下駐車場等の地下空間構造物、MMST構造体、橋梁等の各種鋼殻構造物への耐火板や化粧板または内装板等の板状体(被覆板)の取付構造として、構造物の内面に、スタッドボルトと間隔保持金具とを介して上記板状体を、鋼殻内面との間に所定の間隔をおいて取付け支持させることを提案した。
ところが、上記のような構造物では、例えばスプリンクラー用の配管やその他各種の配管もしくは配線等の長尺部材を、上記板状体を貫通させて設置しなければならない場合が少なくない。一方、上記のような板状体の施工(敷設)時は、上記の間隔保持金具に対して板状体を上下方向もしくは左右方向に動かしながら位置決め係合させる形で取付けたり、上下または/および左右方向に隣り合う板状体の一部が互いに重なり合うようにずらしながら取付けることが多い。
そのため、上記板状体を取付ける際には、その板状体を、単に構造物の内面側、すなわち板状体の厚さ方向に移動させるだけでなく、構造物の内面と平行な上下または/および左右方向、すなわち板状体の面方向にも移動をできるようにする必要がある。またメンテナンス等の際には、配管等の長尺部材の周囲を目視や計器観測等によって検査しなければならない場合もある。
そこで、上記配管等の長尺部材が貫通する板状体の貫通孔や切り欠き等の開口部は、上記長尺部材の断面積よりも大きくして両者間に比較的大きなクリアランスを設け、それによって上記板状体の移動を許容したり、メンテナンス等の際に長尺部材周囲の目視観測等ができるようにしているが、上記板状体の取付後やメンテナンス後も上記開口部と長尺部材との間に隙間が生じて耐火性能や内装効果等が低下したり、外観体裁を損ねる等の不具合がある。
上記の不具合を解消するには、上記の隙間を何らかの手段で閉塞すればよいが、既に構造物の内面に取付けた板状体の裏側、すなわち構造物側には手が入らないので、板状体の内側のみから施工して閉塞し得るものでなければならない。そのため、閉塞する手段も限られ、作業もしずらく、しかも閉塞状態を長期間安定に維持することのできる閉塞構造はこれまでにはなく、対応に苦慮しているのが実情である。
特開2006−144477号公報
本発明は上記の実情に鑑みて提案されたもので、耐火板等の板状体の施工時の移動やメンテナンス時の配管等の長尺部材の周囲の目視観測等が可能で、しかも上記板状体を貫通する長尺部材貫通部、すなわち長尺部材が貫通する板状体の開口部等を簡単・確実に且つ容易・迅速に閉塞することのできる板状体に対する長尺部材貫通部の閉塞構造を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明による板状体に対する長尺部材貫通部の閉塞構造は以下の構成としたものである。すなわち、耐火板等の板状体に形成した開口部内に配管等の長尺部材を貫通させて設けた上記板状体に対する長尺部材貫通部の閉塞構造であって、上記開口部を上記長尺部材の径よりも大径に形成すると共に、上記板状体の一方の面に、上記長尺部材が通る割穴を有する一対の補助板を配置して上記開口部を閉塞し、その各補助板と上記板状体とに形成したボルト挿通孔に片側施工ボルトを挿通して上記各補助板を上記板状体に取付け支持させたことを特徴とする。
上記のように本発明による板状体に対する長尺部材貫通部の閉塞構造は、配管等の長尺部材が貫通する開口部を長尺部材の径よりも大径に形成したことによって、板状体の施工時の移動やメンテナンス時の長尺部材の周囲の目視観測等が可能とした上で、上記板状体の一方の面に、上記長尺部材が通る割穴を有する一対の補助板を配置することによって、上記開口部を良好に閉塞することができる。さらに上記各補助板と上記板状体とに形成したボルト挿通孔に片側施工ボルトを挿通して上記各補助板を上記板状体に取付け支持させることによって、上記板状体の一方の面からでも上記各補助板を板状体に簡単・確実に且つ容易・迅速に取付け支持させることが可能となる。
以下、本発明による板状体に対する長尺部材貫通部の閉塞構造を図に示す実施形態に基づいて具体的に説明する。図1(a)は本発明を適用した鋼殻沈埋トンネルの縦断面図、同図(b)は(a)におけるb部の拡大図、同図(c)は更にその一部の拡大図である。
図示例の鋼殻沈埋トンネル1は、函状に形成した外側の鋼殻1aと、その内方に設けた複数個の内側の鋼殻1bとの間にコンクリート1cを充填してトンネル構造に形成したもので、図の場合は内部に大小5つのトンネル空間Tが形成されている。そして、その各トンネル空間Tの内面に耐火板等の板状体2を敷設したもので、図の場合は上記鋼殻1bの内面の所定位置に溶接等で取付けたスタッドボルト3に間隔保持金具4をナット5で取付け、その間隔保持金具4を介して上記鋼殻1bの内面に所定の間隔をおいて板状体2を取付け支持させたものである。
上記間隔保持金具4の構成は適宜であるが、本実施形態においては図1〜図4に示すように、所定の幅を有する鋼板等の金属製帯板材が用いられ、その長手方向両端部付近に設けた鋼殻1b側に突出する屈曲部4cに上記スタッドボルト3を挿通し、ナット5をねじ込んで締め付け固定した構成である。上記間隔保持金具4の長手方向略中央上部には、板状体2に取付けた係止金具6を係合保持させる凹溝状の係合部4aが設けられ、その係合部4aの両側縁上部には突出部4bが一体に形成されている。
上記係止金具6は、本実施形態においては図3および図4に示すように、鋼板等よりなる横長の短冊状の金属板よりなり、その長手方向中央部6aを、ボルト7と、上記板状体2に埋設したインサートナット8とで、板状体2の上下両縁部の背面に取付けた構成である。上記係止金具6の長手方向両端部6b・6bは板状体2に対して浮いた状態に屈曲形成され、上記の中央部6aを間隔保持金具4の係合部4aに係合させると共に、上記両端部6b・6bを間隔保持金具4の突出部4b・4bの背面側に位置させることによって、上記板状体2を上記間隔保持金具4に係合保持させる構成である。
なお、上記実施形態は、板状体2を、その背面側に取付けた係止金具6を介して間隔保持金具4に係合保持させるようにしたが、上記のような係止金具6を用いることなく、例えば板状体2
の上下両端部に凹部を形成し、その凹部に係合する突出部等を上記間隔保持金具4に形成することによって、上記のような係止金具6を用いることなく、上記板状体2を上記間隔保持金具4に直接係合保持させることもある。
上記のように構成された耐火板等の板状体2を、鋼殻沈埋トンネルの鋼殻1bの内面に敷設するに当たっては、上記板状体2を鋼殻1bの内面に向かって移動するだけでなく、上記板状体2を直接もしくは係止金具6を介して間隔保持金具4に係合させる際には、上記板状体2を少なくとも上下方向、すなわち板状体2の面方向に移動する必要がある。また図1のように上記板状体2を貫通する配管等の長尺部材9がある場合には、その長尺部材9が貫通する貫通孔や切り欠き等の開口部2aを設ける必要があり、その開口部2aは、上記板状体2の面方向の移動を許容するように、或いはメンテナンス等の際に長尺部材周囲の目視観測等ができるように、長尺部材の径よりも大きく形成する必要がある。
そのため、本実施形態においては図5および図6に示すように上記長尺部材9がある箇所に左右の板状体の突き合わせ部が位置するようにして、その各板状体の突き合わせ部にそれぞれ縦長の長方形状を呈する切り欠き凹部よりなる開口部2aを形成したもので、その開口部2aによって図7に示すように上記板状体2を敷設する際に該板状体2が上下および左右方向等の板状体2の面方向に移動するのを許容する構成である。特に、本実施形態においては上記開口部2aは、上記板状体2を直接もしくは係止金具6を介して間隔保持金具4に係合させる際に上記板状体2が上記長尺部材9と干渉することなく移動し得る大きさに形成されている。それによって、上記板状体2を鋼殻1bの内面に支障なく敷設することができるものである。
ところが、上記板状体2を敷設した後も、上記開口部2aが開口したままであると、上記板状体2が例えば耐火板等である場合には火災発生時に火炎が上記開口部2aから鋼殻1b側に進入して耐火板としての機能を充分に発揮できなくなったり、内装板や化粧板等にあっては上記開口部2aよって見栄えや体裁を損ねる等のおそれがある。
そこで、本発明においては図5および図8に示すように上記板状体2の内面に、上記長尺部材9が通る割穴20a・20aを有する一対の補助板20・20を配置して上記開口部2aを閉塞すると共に、図5に示すように上記各補助板20・20と上記板状体2とに形成したボルト挿通孔20b・2bに片側施工ボルト10を挿通して上記各補助板20・20を上記板状体2に取付け支持させたものである。上記一対の補助板20・20は、図の場合は上記板状体2の内面側に配置され、その各補助板20に形成した割穴20aは、図示例においては断面円形の長尺部材9が丁度通るようにそれぞれ略半円形に形成されている。また上記ボルト挿通孔20b・2bは図の場合はそれぞれ円形に形成されている。
上記各補助板20は、例えば工場等で形成することができ、その際、上記の割穴20aやボルト挿通孔20bも同時に形成することができる。また板状体2の前記開口部2aやボルト挿通孔2bは、通常工場で形成するのが一般的であるが、それらの大きさ・形状や配置位置が特定されていない場合には現場で形成するようにしてもよい。また上記ボルト挿通孔2bを現場で形成する場合には、上記各補助板20を所定位置に配置し、その各補助板20に形成したボルト挿通孔20bに合わせて上記ボルト挿通孔2bを形成するようにしてもよい。
前記片側施工ボルト10は、本実施形態においては図9に示すように一端側に雄ねじ部11aを有するボルト本体11の他端に支軸12を介して抜け止め用の係止アーム13を揺動可能に取付けた構成である。その係止アーム13は、その長手方向中央部よりも一端13a側に僅かに片寄った位置で上記支軸12に連結されており、上記係止アーム13の一端13a側よりも他端13b側の方が重くなるように構成されている。図中、14はナットである。
上記のように構成された片側施工ボルト10で上記各補助板20を板状体2に取付けるに当たっては、先ず図10(a)のようにボルト本体11の雄ねじ部11aと反対側の端部に、上記係止アーム13がボルト本体11と平行に並んだ状態で、上記片側施工ボルト10を補助板20と板状体2とに形成したボルト挿通孔20b・2bに挿通する。
そして上記片側施工ボルト10を、係止アーム13のほぼ全長がボルト挿通孔2bを通り過ぎるまで挿入すると、その係止アーム13の前記他端13b側が自重で下降して該係止アーム13が図10(b)のように上下方向に起立した状態となる。その状態で上記ボルト本体11の雄ねじ部11aにナット14をねじ込んで、そのナット14と係止アーム13との間に各補助板20と板状体2とを挟んだ状態で締め付け固定することによって、前記図1および図2のように上記各補助板20を板状体2に取付け支持させることができるものである。なお、図1(c)および図6(b)において、15は補助板20と長尺部材9との角部に設けたパテ等のシーリング材で必要に応じて設ける。
上記のように本発明による板状体に対する長尺部材貫通部の閉塞構造は、鋼殻沈埋トンネル等の構造体の内面に敷設した耐火板等の板状体2に、配管等の長尺部材9を貫通させて設ける場合に、その長尺部材9が貫通する孔や切り欠き等の開口部2aを長尺部材9径よりも大径に形成したことによって、板状体2の施工(敷設)時に該板状体2をその面方向に移動したり、メンテナンス時に長尺部材9の周囲の目視観測等を行うことを可能とした上で、上記板状体2の一方の面に、一対の補助板20・20を配置することによって、上記開口部2aを良好に閉塞することができる。さらに上記各補助板20と上記板状体2とに形成したボルト挿通孔20b・2bに片側施工ボルト10を挿通して上記各補助板20を上記板状体2に取付け支持させることによって、上記板状体2の一方の面からでも上記各補助板20を板状体2に簡単・確実に且つ容易・迅速に取付け支持させることができるものである。
なお、上記片側施工ボルト10は、図示例の構成に限らず、各種構成のものが適用可能であり、例えばボルト本体の先端部を補助板20の一方の面から上記ボルト挿通孔20b・2b内に挿通したとき上記先端部が放射状に開いて上記ボルト挿通孔2bの端部に抜け止め係止され、その状態で上記ボルト本体の他端部に形成した雄ねじ部にナットをねじ込むことによって、そのナットと上記の放射状に開いた先端部との間に上記補助板20と板状体2とを挟んで締め付け固定するような構成のものであってもよい。
また上記実施形態は、長尺部材9として配管等の管体を例にして説明したが、例えば溝型鋼や他の鋼材もしくはその他の長尺部材が耐火板等の板状体2を貫通する場合にも適用可能である。さらに上記実施形態は、長尺部材9の配置位置に左右方向に隣り合う板状体2の合わせ部を位置させたが、上下方向に隣り合う板状体2の合わせ部を位置させてもよい。また図示例は上記合わせ部にそれぞれ長方形状の切り欠き凹部よりなる開口部2aを形成したが、その開口部2aの形状は適宜変更可能である。さらに上記長尺部材9は板状体2の縁部ではなく中央部を貫通するようにしてもよく、その場合の上記長尺部材9が貫通する開口部2aの形状も適宜変更可能である。
また上記実施形態は、上下一対の補助板20・20で開口部2aを塞ぐようにしたが、例えば図11に示すように左右一対の補助板21・21で開口部2aを塞ぐようにしてもよい。21aは長尺部材9を通す割穴、21bはボルト挿通孔である。他の構成は上記実施形態と同様であり、同様の作用効果が得られる。
さらに上記各実施形態における図5および図11の構成例では、補助板20,21に形成した割穴20a,21aが長尺部材9の周面に密着するようにしたものであるが、必要に応じて上記割穴20a,21aと長尺部材9との間に僅かな隙間を設けるようにしてもよく、又その隙間をパテ等で閉塞するようにしてもよい。
また上記各実施形態は、板状体2として耐火板を鋼殻沈埋トンネルの内面に施工する場合を例にして説明したが、鋼殻沈埋トンネルに限らず、他のトンネルや各種構築物や建築物等の構造体の内面もしくは外面に耐火板を敷設する場合にも適用可能であり、また耐火板に限らず化粧板や内装板その他各種の板状体を敷設する場合、或いは板状体として各種構造体の板状の壁等に配管や配線等の長尺部材を貫通させて設ける場合にも適用することができる。
以上のように本発明による板状体に対する長尺部材貫通部の閉塞構造は、前記の構成であるから、耐火板や内装板等の板状体2に、配管や配線等の長尺部材9を貫通させて設ける場合に、その長尺部材9が貫通する貫通孔や切り欠き部等の開口部が長尺部材の径よりも大径であっても上記補助板20および片側施工ボルト10によって上記板状体2の一面側から上記開口部を容易・迅速に閉塞することが可能となり、上記長尺部材が既にある場所に板状体を敷設する場合、もしくは板状体を敷設した後に上記長尺部材を貫通させて設ける場合のいずれにも適用可能であり、産業上の利用可能性も高い。
(a)は本発明を適用した鋼殻沈埋トンネルの縦断面図、(b)は(a)におけるb部の拡大図、(c)は更にその一部の拡大図。 (a)は図1(c)の一部の拡大図、(b)は(a)の分解図。 図1(b)の拡大平面図。 間隔保持金具と係止金具の分解斜視図。 (a)は図1(c)の一部の拡大図、(b)はその側面図。 (a)は板状体に対する長尺部材貫通部の斜視図、(b)は貫通部を閉塞した状態の斜視図。 板状体と長尺部材との関係を示す説明図。 板状体に対する長尺部材貫通部を閉塞する状態の説明図。 (a)は片側施工ボルトの側面図、(b)はその正面図、(c)は施工状態の側面図、(d)はその正面図。 上記片側施工ボルトの施工プロセスの一例を示す説明図。 上記長尺部材貫通部を閉塞する場合の他の例の説明図。
符号の説明
1 鋼殻沈埋トンネル
2 板状体
2a 開口部
2b ボルト挿通孔
3 スタッドボルト
4 間隔保持金具
5 ナット
6 係止金具
7 ボルト
8 インサートナット
9 長尺部材
10 片側施工ボルト
11 ボルト本体
12 支軸
13 係止アーム
14 ナット
15 シーリング材
20 補助板
20a 割穴
20b ボルト挿通孔
T トンネル

Claims (2)

  1. 耐火板等の板状体に形成した開口部内に配管等の長尺部材を貫通させて設けた上記板状体に対する長尺部材貫通部の閉塞構造であって、上記開口部を上記長尺部材の径よりも大径に形成すると共に、上記板状体の一方の面に、上記長尺部材が通る割穴を有する一対の補助板を配置して上記開口部を閉塞し、その各補助板と上記板状体とに形成したボルト挿通孔に片側施工ボルトを挿通して上記各補助板を上記板状体に取付け支持させたことを特徴とする板状体に対する長尺部材貫通部の閉塞構造。
  2. 上記板状体は、間隔保持金具を介して鋼殻等の構造体の内面に対し所定の間隔をおいて取付ける構成とし、上記開口部は、上記板状体を間隔保持金具に対し位置決め係合させる際に上記板状体が上記長尺部材と干渉することなく移動し得る大きさに形成してなる請求項1に記載の板状体に対する長尺部材貫通部の閉塞構造。
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