JP4944754B2 - 推進函体、推進工法および大断面トンネルの構築方法 - Google Patents

推進函体、推進工法および大断面トンネルの構築方法 Download PDF

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Description

本発明は、推進函体、推進工法および大断面トンネルの構築方法に関する。
推進工法は、図7(a)に示すように、トンネルの覆工となる筒状の函体101を、坑口Eから順次地中Gに圧入してトンネルを構築する工法である。
推進工法によるトンネル施工は、発進立坑Sに設置された元押しジャッキJ等により、坑口E側から付与される推力を、函体101を介して切羽Kに配置された掘削機Mや刃口等に伝達することにより掘進するのが一般的ある。
そのため、函体101は、推力を切羽Kに伝達するために、その圧縮力に耐え得る圧縮強度を有している必要がある。
例えば、特許文献1には、図7(b)に示すように、土圧や地下水圧に耐え得る強度を発現するためにトンネル軸方向に沿って並設された複数の主桁111,111,…と、後方からの推力を伝達するために主桁111同士の間においてトンネル軸方向に沿って配設された複数の縦リブ112,112,…と、これらの主桁111および縦リブ112の外周囲を覆う外殻110と、を備えた函体101が開示されている。
特開2007−70938号公報
ところが、縦リブ112は、施工時の推力の伝達のみを目的とする仮設部材であるにもかかわらず、施工時の圧縮強度に対して十分な耐力を備えた部材である必要があるため、断面の大きな部材を使用することや多数配設することを必要としていた。そのため、函体101が大規模となることで、函体101のコストが嵩むとともにその取り扱い性の悪化によりトンネル施工の手間もかかるという問題を有していた。
また、複数の函体101,101,…を断面方向に並設して大断面トンネルを構築する場合には、函体101,101,…の一部を撤去する必要があるが、縦リブ112が数多く存在しているのでその撤去の手間や、廃棄物として処分される鋼材量が多くなり、費用や環境面に悪影響を与えていた。
本発明は、前記の問題点を解決するためになされたものであり、トンネル施工を簡易かつ安価に行うことを可能とした推進函体、推進工法および大断面トンネルの構築方法を提案することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明の推進函体は、地中に複数連続して配置されることによりトンネルを形成するものであって、筒状の部材である本体部と、前記本体部の内側空間に設けられ後方から付与された推力を前方へと伝達する推力伝達部とを備え、前記本体部が主桁と該主桁の外面を覆う外殻とからなり、前記推力伝達部が前記主桁の内側に配置されていることを特徴としている。
かかる推進函体によれば、推力の伝達を推力伝達部により行うため、従来の推進函体が備える縦リブを省略あるいは削減することにより、推進函体の製造コストを削減することが可能となる。また、縦リブを省略あるいは削減することで推進函体のスリム化(軽量化)が可能となるため、推進函体の取り扱いが容易になり、施工性の向上が可能となる。
また、前記推進函体において、前記推力伝達部が、トンネル軸方向に伸縮可能であるとともに、前記本体部の内面に沿って複数固定されていれば、曲線区間を有するトンネルの施工について、曲線線形の曲率に対応した部材を別途要することなく、曲線区間の外側に位置する推力伝達部を伸長させることでトンネル線形に応じた施工が可能となるため好適である。
さらに、複数の曲線が点在するトンネルであっても、適宜推力伝達部を伸縮させることで対応することが可能なため、施工性に優れている。
また、前記推力伝達部が、前記本体部に取り外し可能に固定されていれば、他のトンネルに転用することが可能であり、費用の削減が可能である。
また、本発明の推進工法は、推進函体を地中に連続して挿入することによりトンネルを構築する推進工法であって、前記推進函体が、主桁と該主桁の外面を覆う外殻とからなる筒状の部材である本体部と前記主桁内側に設けられた推力伝達部とを備え、前記推進函体は、前後に隣接する他の推進函体と、互いの前記推力伝達部同士を突き合わせた状態で配設されており、後方から作用する推力を、前記推力伝達部に付与することで前方へと伝達し、該推進函体を前方へ推進させることを特徴としている。
かかる推進工法によれば、推力伝達部により元押しジャッキ等の推力を前方へと伝達するため、推進函体への縦リブの配設を省略あるいは削減することが可能となる。そのため、推進函体の軽量化が可能となり、推進函体の取り扱い性が向上するため、施工性が向上する。
また、本発明の第二の推進工法は、推進函体を地中に連続して挿入することにより曲線区間を有するトンネルを構築する推進工法であって、前記推進函体が、主桁と該主桁の外面を覆う外殻とからなる筒状の部材である本体部と、トンネル軸方向に伸長可能であるとともに前記主桁の内面に沿って設けられた複数の推力伝達部とを備え、前記推進函体は、前後に隣接する他の推進函体と、互いの前記推力伝達部同士を突き合わせた状態で配設されており、前記曲線区間において、外側に位置する推力伝達部を伸長させた状態で、後方から作用する推力を、該推力伝達部に付与することで前方へと伝達し、該推進函体を前方へ推進させることを特徴としている。
かかる推進工法によれば、曲線区間を有するトンネル施工において、曲線線形に対応する継手部材等を配設することなく、推力伝達部の伸縮のみで対応することが可能なため、施工性に優れているとともに経済性にも優れている。
また、曲線区間の数、角度、方向等も限定されることなく施工を行うことが可能なため、自由にトンネル線形を設計することが可能となるとともに、立坑の数も削減することが出来るため、好適である。
また、前記推進工法は、前記推力伝達部が、前記本体部に取り外し可能に固定されており、前記本体部は、前記推力により前方へ押し込まれた該推力伝達部により前方へ引き込まれるものであってもよい。
かかる推進工法によれば、本体部には推力が作用しないため、本体部を簡易に構成することが可能となる。また、推力伝達部は、取り外し可能に固定されているため、トンネル構築後は、他のトンネルに転用することが可能となり、経費の大幅な削減が可能となる。
さらに、本発明の大断面トンネルの構築方法は、前記推進工法により複数のトンネルを並設して、該複数のトンネルを連結することにより大断面トンネルを構築する構築方法であって、先行して構築されたトンネルの推進函体の推力伝達部を、後行して構築するトンネルの推進函体に転用することを特徴としている。
かかる大断面トンネルの構築方法によれば、各トンネルの施工時に、推力伝達部を転用して使用することで、材料費の大幅な削減を可能としている。
また、トンネル同士の接合時に発生する廃棄物についても、縦リブを省略した分、大幅に削減することが可能となり、好適である。
本発明の推進函体、推進工法および大断面トンネルの構築方法によれば、簡易かつ安価にトンネルを構築することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
本実施形態に係る推進函体1は、図1に示すように、筒状の部材である本体部10と、本体部10の内側空間に設けられ後方から付与された推力を前方へと伝達する推力伝達部20とを備えて構成されている。
推進函体1は、図2に示すように、地中Gに複数連続して配置されることによりトンネルTを形成するものである。
本実施形態に係る本体部10は、図1に示すように、断面矩形に形成されており、トンネルTの軸方向に所定の間隔をあけて並設された複数の主桁11,11,…とこの主桁11,11,…の外面を一体に覆う外殻12とにより構成されている。
なお、本体部10の断面形状は矩形に限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
主桁11は、図1に示すように、鋼材を矩形状に組み合わせることにより形成されており、地中Gに配置された状態で、トンネルTに作用する外力(土圧、地下水圧等)に対して十分な耐力を有している。本実施形態では、1体の曲線函体10に対して6つの主桁11,11,…を配置するが、主桁11の数は限定されるものではなく、想定される外力や推進函体1の形状寸法等により適宜設定すればよい。
主桁11を形成する鋼材は限定されるものではなく、H形鋼、L形鋼、溝形鋼、鋼管等、あらゆる公知の鋼材を使用することが可能であるが、本実施形態では、鋼板を使用するものとする。主桁11は、鋼板を、外殻12に対して直交するように立設させることで、外力に対して耐力を発現する。
なお、本実施形態では、鋼材を組み合わせることにより矩形状の主桁11を形成するものとしたが、例えば矩形状の鋼板の内側部分を切り取ることにより構成しても良く、その形成方法は限定されるものではない。
外殻12は、図1に示すように、複数の主桁11,11,…を覆うように複数枚のスキンプレートを溶接により接合することで形成されており、全体として、断面矩形を呈している。つまり、同形状の長方形に形成された上下のスキンプレートと、同形状の長方形に形成された左右のスキンプレートと、を組み合わせることにより形成されている。なお、外殻12は、例えば、一枚のスキンプレートを折り曲げることにより筒状に形成することで構成してもよく、その構成は、限定されるものではない。
推力伝達部20は、図1に示すように、柱状の部材であって、トンネルTの軸方向に沿って、主桁11,11,…の内側(内周側)の四隅にそれぞれ配置されている。そして、推力伝達部20の端面は、トンネルTの軸方向に隣接する他の推力伝達部20の端面に当接する。
本実施形態に係る推力伝達部20は、四角柱状に形成された前後の推力受部21,21と、推力受部21,21の間に配設されたジャッキ等の伸縮部22とを備えており、トンネル軸方向に伸長可能に構成されている。
この推力伝達部20は、伸縮部22において、図示しない取付部材を介して、本体部10に取り外し可能に固定されている。そして、推力伝達部20は、伸縮部22により伸長することで、前後の推力受部21,21が、本体部10の前端または後端から突出することが可能に構成されている。
なお、推力伝達部20の形状や構成は、前記のものに限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。また、推力伝達部20の設置箇所や個数も限定されるものではない。
また、本実施形態では、推進函体1として、矩形断面のものについて説明したが、例えば、図3に示す推進函体1’のように円形にする等、推進函体1の形状は矩形に限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
また、伸縮部22の構成は、推力伝達部20の長さを調節することが可能であれば限定されるものではなく、適宜公知の部材の中から選定して構成すればよい。
次に、本実施形態にかかる推進工法について、図面を参照して説明する。
なお、本実施形態では、図4に示すように、曲線区間B1,B2を2箇所有した線形からなるトンネルTについて、本発明に係る推進函体1を利用して構築する場合について説明する。
本実施形態に係る推進工法は、推進函体1を地中Gに連続して挿入することにより複数の曲線区間を有するトンネルTを構築する推進工法であって、図2および図5に示すように、推進函体1は、前後に隣接する他の推進函体1,1と、互いの推力伝達部20同士を突き合わせた状態で地中Gに押し込まれる。
本実施形態の推進工法では、図2に示すように、掘進機Mの切削により地中Gに形成された掘削孔に、発進立坑S内に設置された元押しジャッキJにより、最も発進立坑S側に配設された推進函体1の推力伝達部20を押し込むことにより、この推力が各推進函体1の推力伝達部20を介して掘削機Mに伝達される。
推進函体1は、推力伝達部20が後方から伝達された元押しジャッキJの推力により前方へ押し込まれることにより、本体部10が推力伝達部20に引きずられるように前方へ移動することで、地中に配置される。
ここで、掘進機Mの形式等は限定されるものではなく、地山の状況やトンネルTの断面形状等に応じて適宜公知の掘進機から選定して採用すればよい。また、掘進機Mは、必要に応じて使用するものであり、掘進機Mを要することなく刃口を利用するなど、トンネルTの施工が可能であれば、掘進機Mは使用しなくてもよい。さらに掘進機Mの形式や形状等は限定されないことはいうまでもない。
元押しジャッキは、トンネルTの坑口から、函体10,20を圧入する装置であって、函体10,20の後端面に均等にジャッキ推力が伝達されるように設置される。
元押しジャッキJは、推進函体1に配設された4つの推力伝達部20,20,…に対して、同時に推力を付与し、元押しジャッキJにより付与された推力は、各推進函体1の推力伝達部20を介して前方へと伝達される。
後方から作用する元押しジャッキJの推力により、推力伝達部20が前方へと押し込まれるため、本体部10は、推力伝達部20に引きずられるように前方へ移動する。
直線区間A(図4参照)における施工は、推力伝達部20を収縮させた状態で後方から作用する推力を、前方に配置された推進函体1の推力伝達部20に伝達し、推進函体1を前方へと推進させることにより行う。ここで、推力伝達部20が収縮させた状態とは、推力伝達部20のトンネル軸方向の長さが、本体部10の長さと同程度の状態をいう。
曲線区間B1,B2(図4参照)における施工では、図5に示すように、トンネルTの中心に対して外側に位置する推力伝達部20aが、内側に位置する推力伝達部20bよりも伸長された状態で、後方から作用する推力を、前方に配置された推進函体1の推力伝達部20に伝達し、推進函体1を前方へと推進させることにより行う。
ここで、曲線区間B1,B2では、推力伝達部20の伸縮部22を伸長させることで、前後の推力受部21,21が、本体部10の前後からそれぞれ突出した状態となり、前後に配設された推進函体1,1の推力伝達部20と当接が可能な状態となっている。
なお、直線区間Aと曲線区間B1、B2との切り替えは、推力伝達部20の伸縮させることにより行う。
直線区間Aから曲線区間B1への切り替えは、直線区間Aにおいて収縮させた状態であった外側に位置する推力伝達部20aを、曲線区間B1に差し掛かった時点で伸長させることで、曲線線形に対応する。ここで内側に位置する推力伝達部20bも必要に応じて伸長させるものとする。
次に曲線区間B1から直線区間Aへの切り替えは、推進函体1が直線区間Aに差し掛かった時点で、外側に位置する推力伝達部20aを収縮させることで、全ての推力伝達部20の長さを本体部10の長さと同等にすることにより行う。
直線区間Aから曲線区間B2への切り替えおよび曲線区間B2から直線区間Aへの切り替えも同様に行う。
次に、本実施形態に係るトンネルTを複数本並設し、これらの複数のトンネルT,T,…を連結することにより大断面トンネルを構築する場合について説明する。
大断面トンネルDは、図6に示すように、並設された複数本(本実施形態では6本)のトンネルT,T,…を連結することにより構築される。
各トンネルTは、複数の推進函体1,1,…を推進工法により地中Gに連続して配置することにより形成される。
本実施形態に係る大断面トンネルDは、6本のトンネルT,T,…を左右に3本ずつ上下に2段並設し、連結することで形成されている。つまり、各トンネルTを掘進機M(図2参照)による地山の掘削とともに掘進機Mの後方に推進函体1,1,…を配置することにより形成した後、推進函体1,1,…の不要な部分を撤去することにより大きな空間(大断面トンネルD)を形成する。
なお、本実施形態では、6本のトンネルT,T,…を利用して大断面トンネルDを形成するものとしたが、トンネルTの本数や配置は限定されるものではなく、適宜、地山の状況、大断面トンネルDの形状、トンネルTの形状等に応じて設定すればよい。
6本のトンネルが3本ずつ2段並設される計画に対して、まず、図6(a)に示すように、トンネルT1(図面における右下側のトンネル)の施工を行う。
トンネルT1の施工が完了あるいはトンネルT1の施工が所定延長まで到達したら、トンネルT1に隣接して、トンネルT2(図面における下段中央のトンネル)の施工を開始する。
この時、トンネルT1の推進函体1とトンネルT2の推進函体1に形成された図示しない連結部材を嵌合させた状態で、トンネルT2の推進函体1の配置を行う。この他のトンネルT2の施工方法は、トンネルT1の施工方法と同様なため、詳細な説明は省略する。
トンネルT2の施工が完了あるいはトンネルT2の施工が所定延長まで到達したら、トンネルT2に隣接して、トンネルT3の施工を開始する。
この時、トンネルT2の推進函体1とトンネルT3の推進函体1に形成された図示しない連結部材を嵌合させた状態で、トンネルT3の推進函体1の配置を行う。この他のトンネルT3の施工方法は、トンネルT1の施工方法と同様なため、詳細な説明は省略する。
下段の各トンネルT1、T2T3の施工が完了あるいは所定延長まで完了したら、同様にして、上段のトンネルT4,T5,T6の施工を行う。この時、上段のトンネルT4,T5,T6の施工方法、施工順序等は、前記に示した下段のトンネルT1,T2,T3と同様なため、詳細な説明は省略する。
このとき、先行して構築されたトンネルTの推進函体1の推力伝達部20を、後行して構築するトンネルTの推進函体1に転用する。つまり、トンネルT1の施工が、トンネルT4の施工開始時までに完了している場合は、トンネルT1の施工で使用した推力伝達部20を、トンネルT4の推進函体1に固定して使用する。
トンネルT1〜T6の構築が完了したら、図6に示すように、大断面トンネルDの断面形状に合せて、トンネルT1〜T6の推進函体1の不要な部分を撤去して大きな空間を形成する。この時、各トンネルT同士の間に形成された隙間には、地下水の浸透を防止することを目的として、充填材を充填する。また、必要に応じて、隙間に対応する周辺の地山に止水を目的とした薬液注入や、隙間と地山との境界に止水板を配置してもよい。
そして、地山との境界(すなわち、大断面トンネルDの外縁)に沿って残置されたトンネルT1〜T6の推進函体1,1,…を利用して本設の頂版D1、底版D2および側壁D3,D3を形成すると、大断面トンネル1となる。なお、函体10,20の不要な部分を全部撤去した後に頂版D1、底版D2および側壁D3,D3を形成してもよいし、トンネルT1〜T6の不要な部分の一部を撤去しつつ、大断面トンネルDの頂版D1、底版D2および側壁D3,D3を構築してもよい。
なお、トンネルT1〜T6の施工順序は前記の順序に限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
以上、本発明の推進函体1によれば、推力伝達部20を備えていることで、本体部10に推力を伝達するための部材(縦リブ等)を配置する必要がない。そのため、本体部10は、推力を受け持つ必要がなく、土圧や水圧等に耐え得る強度を備えていればよいため、その構成を簡易にすることが可能となる。故に、推進函体1の製造コストの大幅な削減が可能となる。
推進函体1の本体部10について、縦リブ等の推力を伝達するための部材を省略することで、本体部10の薄肉化が可能となる。そのため、トンネルTの掘削断面積の小断面化が可能となるため、掘削土量の削減が可能となる。故に、施工性が向上するとともに、残土処分等の費用や用地の削減が可能となるため、経済性および環境の面でも優れている。
推力伝達部20は、本体部10に取り外し可能に固定されているため、他のトンネルの施工に転用することができるため、経済性に優れている。
また、推進函体1が縦リブを必要としないため、大断面トンネルDの施工時には、縦リブの撤去に要する作業の手間や処分費等を削減することが可能となり、工事費全体として大幅な削減が可能となる。
推力伝達部20が、伸縮部22を備えていることで、曲線部B1,B2に対応した施工が可能なため、例えば、図8に示す従来の推進工法のように、曲線部に対応した特別な部材(曲線部用ジャッキ102)を特別に配置する必要がないため、好適である。
また、従来の曲線部用ジャッキ102を利用した推進工法では、後方の推進函体101の本体部110に作用する推力を、曲線部用ジャッキ102を介して前方の推進函体101の本体部110に伝達するため、本体部110と曲線部用ジャッキ102との接合は、溶接等により強固に行う必要がある。一方、本実施形態の推進函体1は、推力は推力伝達部20が受け持ち、本体部10は、この推力伝達部20の前進に伴い引き込まれる構成であるため、従来に比べて簡易な固定で施工が可能である。そのため、例えば、ピン等の簡易な取り付け部材(図示省略)を介して本体部10と推力伝達部20との固定を行うことが可能となる。
前後の推進函体1,1に配設された推力伝達部20同士は、互いの端面が突き合わされた状態で、推力を伝達するため、後方から伝達された推力の分散を最小限にして前方へと伝達させることを可能としている。そのため、施工性に優れている。
以上、本発明について、好適な実施形態について説明したが、本発明は前記の実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、曲線区間を有するトンネルの施工について、本発明に係る推進函体および推進工法を採用する場合について説明したが、直線のみあるいは曲線のみからなるトンネルの施工に本発明に係る推進函体および推進工法を採用してもよい。
また、曲線区間の区間長や箇所数も限定されるものではない。
また、前記実施形態では、推力伝達部が伸縮部を有していて伸長可能に構成されているものとしたが、トンネル線形に曲線区間を備えていないような場合には、収縮部を有していない柱状部材により推力伝達部を構成してもよい。この場合には、H形鋼等の公知の型鋼材等が好適に使用可能である。
また、前記実施形態では、推力伝達部を本体部に取り外し可能に固定するものとしたが、推力伝達部の固定方法は限定されるものではない。
また、推力伝達部は、推力を前方の切羽(掘削機や刃口)に伝達することが可能であれば、必ずしも本体部に固定されている必要はない。この場合において本体部は、推力伝達部を介して伝達された推力により押し込まれた掘削機または刃口により、地中に引き込まれることで地中に配設される。
また、推力伝達部の設置箇所は、本体部の内側空間であれば限定されるものではなく、必ずしも四隅に配置されている必要はない。例えば、主桁の4辺に沿って、それぞれ中間付近に配置されていても良いし、内側空間の中央に1本配置されていてもよい。
また、推進函体の本体部の構成は、鋼製の主桁と外殻により構成されたものに限定されるものではなく、例えば、筒状のコンクリート部材であってもよい。この場合、推力伝達部は、コンクリート部材の内周面に沿って配設すればよい。
なお、前記実施形態では、主桁と外殻により本体部を構成するものとしたが、主桁同士の間に、縦リブが配設されていてもよいことはいうまでもない。
本発明の好適な実施形態に係る推進函体を示す斜視図である。 本発明の好適な実施形態に係る推進工法を示す断面図である。 図1に示す推進函体の変形例を示す正面図である。 本発明の好適な実施形態に係る推進工法を示す平面図である。 図4に示す推進工法による曲線部の施工状況を示す平面図である。 本発明の好適な実施形態に係る大断面トンネルを示す断面図である。 (a)は従来の推進工法の施工状況を示す断面図、(b)は従来の推進函体を示す斜視図である。 従来の推進工法による曲線部の施工状況を示す平面図である。
符号の説明
1 推進函体
10 本体部
11 主桁
12 外殻
20 推力伝達部
A 直線区間
B1,B2 曲線区間
T トンネル

Claims (7)

  1. 地中に複数連続して配置されることによりトンネルを形成する推進函体であって、
    筒状の部材である本体部と、
    前記本体部の内側空間に設けられ後方から付与された推力を前方へと伝達する推力伝達部と、を備え
    前記本体部が、主桁と該主桁の外面を覆う外殻とからなり、
    前記推力伝達部が、前記主桁の内側に配置されていることを特徴とする、推進函体。
  2. 前記推力伝達部が、トンネル軸方向に伸長可能であるとともに、前記本体部の内面に沿って複数固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の推進函体。
  3. 前記推力伝達部が、前記本体部に取り外し可能に固定されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の推進函体。
  4. 推進函体を地中に連続して挿入することによりトンネルを構築する推進工法であって、
    前記推進函体が、主桁と該主桁の外面を覆う外殻とからなる筒状の部材である本体部と前記主桁内側に設けられた推力伝達部とを備え、
    前記推進函体は、前後に隣接する他の推進函体と、互いの前記推力伝達部同士を突き合わせた状態で配設されており、
    後方から作用する推力を、前記推力伝達部に付与することで前方へと伝達し、該推進函体を前方へ推進させることを特徴とする、推進工法。
  5. 推進函体を地中に連続して挿入することにより曲線区間を有するトンネルを構築する推進工法であって、
    前記推進函体が、主桁と該主桁の外面を覆う外殻とからなる筒状の部材である本体部と、トンネル軸方向に伸長可能であるとともに前記主桁の内面に沿って設けられた複数の推力伝達部とを備え、
    前記推進函体は、前後に隣接する他の推進函体と、互いの前記推力伝達部同士を突き合わせた状態で配設されており、
    前記曲線区間において、外側に位置する推力伝達部を伸長させた状態で、後方から作用する推力を、該推力伝達部に付与することで前方へと伝達し、該推進函体を前方へ推進させることを特徴とする、推進工法。
  6. 前記推力伝達部が、前記本体部に取り外し可能に固定されており、
    前記本体部は、前記推力により前方へ押し込まれた該推力伝達部により前方へ引き込まれることを特徴とする、請求項または請求項に記載の推進工法。
  7. 請求項に記載の推進工法により複数のトンネルを並設し、該複数のトンネルを連結することにより大断面トンネルを構築する大断面トンネルの構築方法であって、先行して構築されたトンネルの推進函体の推力伝達部を、後行して構築するトンネルの推進函体に転用することを特徴とする、大断面トンネルの構築方法。
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