JP4943175B2 - 磁束密度の高い方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁束密度の高い方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、軟磁性材料として変圧器、回転機、リアクトルの鉄芯などに用いられる方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
方向性電磁鋼板の製造では、例えば、B8(800A/mの磁場中での磁束密度)が1.90Tを越えるような高い磁束密度を有する鋼板を、コイルの幅方向及び長手方向に磁性のバラツキが少なく確実に安定的に製造できることが望まれる。
従来の方向性電磁鋼板の製造では、前記のような高い磁束密度を得るために、仕上げ焼鈍温度に昇温する際、2次再結晶が進行する温度域はできるだけ遅い加熱速度で昇温することが一般的であり、例えば特許文献1では、700〜900℃の温度区間は平均15〜100℃/hrの加熱速度で加熱し、900〜1000℃の範囲の任意の温度から2次再結晶が少なくとも50%進行する温度までは2〜10℃/hrの遅い加熱速度(徐加熱)で昇温をすることが有効であると記載されている。
この徐加熱に移行する時期は、実際の製造では、あらかじめ実験により求められた温度に基づいて管理されているが、実際に仕上げ焼鈍に供される鋼板は、脱炭焼鈍の際の焼鈍温度や雰囲気のむらなどにより、当初の結晶粒径が予定した値から外れ、2次再結晶が開始する温度が変化することも多く、温度による管理では、徐加熱に移行する時期を二次再結晶の進行にとって最適な時期に合致させることが困難であった。
従来、方向性電磁鋼板用素材の1次再結晶焼鈍では、オンラインで1次再結晶後の素材の鉄損を測定することにより結晶粒径を検出し、その検出結果を1次再結晶焼鈍条件にフィードバックして1次再結晶粒径を目標粒径とし、これによって局部的な2次再結晶不良によるコイル内の磁気特性のばらつきを解決することが特許文献2に記載されている。
しかし、仕上げ焼鈍は、鋼板を積層状態で、密閉した状態でバッチ焼鈍するため、上記のようなオンラインの測定方法を採用することができないという問題がある。
特公昭56−33450号公報 特開平9−20924号公報 特開2006−84392号公報
そこで、本発明は、方向性電磁鋼板の製造において、仕上げ焼鈍工程の2次再結晶が進行する温度域を遅い加熱速度で昇温するにあたり、実際の結晶粒径を直接予測して、遅い加熱速度に移行する時期を再結晶の開始時期に的確に合わせ、その結果として、高い磁束密度をコイル長手方向に安定的に有する方向性電磁鋼板を得ることができるようにすることを課題とするものである。
本発明者は、オンラインで結晶粒径を測定できる手段として、特許文献3に示されているレーザ超音波を利用した結晶粒径測定法に着目した。そして、方向性電磁鋼板の仕上げ焼鈍のような素材を積層した状態で焼鈍する場合でも、素材の端面の結晶粒径を測定することにより、2次再結晶の開始を検知でき、かつ、検出結果から適切な時期に徐加熱に移行すれば、二次再結晶粒径のばらつきを低減できることを見出した。
そのような知見の結果なされた本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)方向性電磁鋼板の製造方法において、冷延後の鋼板に脱炭焼鈍を施し、その後、高温焼鈍炉内で脱炭焼鈍後の鋼板に仕上げ焼鈍を施すにあたり、仕上げ焼鈍の昇温過程において前記鋼板の結晶粒径を測定し、測定した前記粒径の変化から二次再結晶の開始を検知し、二次再結晶の開始を検知した後、加熱速度を20℃/hr以下に変更することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
(2)前記鋼板を積層した状態で仕上げ焼鈍するとともに、積層された鋼板の端面の結晶粒径を測定することを特徴とする(1)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
(3)脱炭焼鈍後の鋼板の一次再結晶粒径をd、昇温過程において測定された結晶粒径をdとするとき、d/d≧1.2となった後に、加熱速度を変更することを特徴とする(1)または(2)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
(4)レーザ超音波法によって結晶粒径の測定を行うことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
(5)前記方向性電磁鋼板が、質量%でC:0.02〜0.10%、Si:2.5〜4.5%、酸可溶性Al:0.010〜0.050%、N:0.003〜0.013%、S:0.015〜0.040%、Mn:0.040〜0.120%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の方向性電磁鋼
板の製造方法。
(6)前記方向性電磁鋼板が、Sに変わり、S+0.405Se:0.005〜0.020質量%の範囲でSeを含有することを特徴とする(5)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
(7)前記方向性電磁鋼板のBi、Sb、Sn、Pb、Te、Tl、In、Gaの一種以上を、総量で0.16質量%以下含有することを特徴とする(5)または(6)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
(8)加熱速度を20℃/hr以下に変更する温度が850℃以上となるように前記方向性電磁鋼板の化学成分が調整されていることを特徴とする(5)〜(7)のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、一バッチあたりの鋼板製品の磁気特性のバラツキが抑えられ、良質な磁気特性を有する方向性電磁鋼板が容易に生産できる方法を提供することができる。
本発明では、方向性電磁鋼板の製造方法において、脱炭焼鈍後の鋼板に仕上げ焼鈍を施すにあたり、仕上げ焼鈍の昇温過程において前記素材の結晶粒径を測定し、測定した前記粒径の変化から二次再結晶の開始を検知する。
結晶粒径の測定には、前記のように特許文献3に記載されているようなレーザ超音波法を利用して行う。以下、レーザ超音波法による結晶粒径の測定について説明する。
この方法は、超音波振動用のパルスレーザ光を鋼板の結晶粒径を検出しようとする位置に照射し、そのときの衝撃で鋼板に超音波振動を発生させ、鋼板中での共鳴によって増幅された反射超音波の振動数を測定することにより結晶粒径を求める方法である。
その際、反射超音波の振動数の測定にはレーザ干渉計を用いる。パルスレーザ光の照射位置に測定用レーザ光を照射すると、測定用レーザ光は鋼板の表面で反射されるが、その際、鋼板の表面の超音波振動に起因するドップラーシフトを受けて周波数が変化する。周波数が変化した反射レーザ光は干渉計に入力され、干渉計によって周波数の変化を透過光強度の変化として検出することにより反射超音波の振動数を測定する。反射超音波の振動数は、結晶粒径と関連しているので、レーザ干渉計の検出値から計算によって結晶粒径が求められる。
方向性電磁鋼板の仕上げ焼鈍では、上記の結晶粒径の測定は次のように実施する。
脱炭焼鈍後の鋼板は、シート状に積層され、またはコイル状に巻かれた状態で積層され箱型の高温焼鈍炉内で仕上げ焼鈍される。焼鈍炉は、保護カバーとインナーカバーよりなり、積層された鋼板はインナーカバー内にセットされる。保護カバーとインナーカバーには、炉内温度などを測定するプルーブをセットするためにプルーブホールが設けられており、振動発生用と測定用のレーザ光を、それぞれプルーブホールを利用して鋼板に照射する。
図1に、ベル形焼鈍炉1で、コイル2に巻かれて積層された鋼板の粒径を測定する場合の例を示す。焼鈍炉のインナーカバー3の上部に連続して形成した首部4の上端のプルーブホールを透明石英ガラス板5にするとともに、外側に配置される保熱カバー6のプルーブホールも同様に透明石英ガラス板7とする。保熱カバー6に設けられた透明石英ガラス板7の上部には、レーザ照射ヘッド8が配置される。
レーザ照射ヘッド8は、振動発生用のパルスレーザ発振器及びレーザ干渉計に光ファイバー9を介してそれぞれ接続されており、照射ヘッド8から、超音波振動を与えるためのパルスレーザ光10と、測定用のレーザ光11を、2枚の透明石英ガラス板5、7を通してコイル内の鋼板2の端面に照射するとともに、鋼板端面で反射された測定用レーザ光11の反射散乱光を捕集する。これにより、鋼板に超音波振動を発生させ、同時に、測定用レーザ光11の反射散乱光を捕集し、捕集された反射光は光ファイバー9を介して干渉計に入射される。
シート状の鋼板を積層して仕上げ焼鈍をする場合で、インナーチューブとして直方体で前面に開閉扉が有るような焼鈍炉を用いる場合は、通常、その扉部に測温用熱電対を取り出すプローブホールが設置してあるので、これにレーザ発振器に接続された光ファイバーを固定するとともに、測定用レーザ光を照射し、その反射散乱光を捕集できる光ファイバーをそれぞれ固定する。
図2に、仕上げ焼鈍の昇温時における結晶粒径の測定結果の一例を示す。
脱炭焼鈍後の鋼板の一次再結晶粒径dに対する仕上げ焼鈍の昇温時に測定された結晶粒径dの比d1/d0は、鋼板温度が770℃に至るまでは殆どその変化が観測されなかったが、その後徐々に増大し850℃において1.2倍に達し、以後急激に増大している。
方向性電磁鋼板における二次再結晶は、一次再結晶粒のうちの{110}〈001〉方位粒が他の粒を蚕食して成長する現象であり、この例では、二次再結晶は、800℃前後から開始していると推測される。
しかし、800℃時点の粒径の測定結果からは、二次再結晶の開始を検出することは困難であり、また、加熱効率の点から、徐加熱の開始時期は、なるべく脱炭焼鈍の保定温度に近いほうが望ましい。
本発明者の検討によれば、結晶粒径が急激に増大する直前の比d1/d0≧1.2となった後に、できるだけすみやかに所定の加熱速度に低下させることにより、二次再結晶粒径のばらつきを低減できることを見出した。
しかし、加熱速度を低下させる時期は遅くなると高磁束密度が得られなくなるので、比d1/d0<1.6の間とする。
また、二次再結晶の開始を検知した後、加熱速度を20℃/hr以下に変更する。
特許文献1では、900℃以上の温度域を2〜10℃/hrとしているが、本発明のように二次再結晶の開始を検知して加熱速度を変更する場合は、20℃/hr以下で十分2次再結晶を起こさせることができる。加熱速度の下限は、特許文献1のように2℃/hrでもよいが、加熱効率の点からは、7℃/hr以上が望ましい。
つぎに、方向性電磁鋼板を製造するにあたり、方向性電磁鋼板用素材及び製造条件について、それぞれ好ましい態様について説明する。
本発明では、方向性電磁鋼板用素材として、一般に方向性電磁鋼板用として知られている鋼が使用できる。
好ましい鋼の化学組成は、質量%でC:0.02〜0.10%、Si:2.5〜4.5%、酸可溶性Al:0.010〜0.050%、N:0.003〜0.013%、S:0.015〜0.040%、Mn:0.040〜0.120%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるもの、あるいは、上記成分のSに代えてS+0.405Se:0.005〜0.020質量%の範囲でSeを含有させたもの、さらには、Bi、Sb、Sn、Pb、Te、Tl、In、Gaの一種以上を総量で0.16質量%以下含有させたものである。
各成分の選定理由は次のとおりである。
Siは電気抵抗を高め、鉄損を下げる上で重要な元素である。含有量が4.5%を超えると冷間圧延時に材料が割れやすくなり、圧延不可能となる。一方、Si量を下げ過ぎると電気抵抗が小さくなり製品における鉄損が増加してしまうため、下限は2.5%とすることが好ましい。この中でさらに好ましい範囲は2.8〜3.5%である。
Cの役割は種々存在するが、少な過ぎるとスラブ加熱時の結晶粒径が大きくなり過ぎ製品の鉄損が増加してしまう。また多過ぎると、中間工程である脱炭焼鈍において長時間の焼鈍を余儀なくされ生産性を低下させる。このため下限は0.02%、上限は0.10%とする。この範囲内でより適正な範囲は0.05〜0.09%である。
酸可溶性AlとNは結合してAlNとなりインヒビターとして機能するため必須の元素である。酸可溶性Alの範囲は0.010〜0.050%、Nの範囲は0.003〜0.013%とする。これらの下限値未満では、AlNのインヒビターとしての機能が弱過ぎて二次再結晶が生じない。また、上限値を超えると二次再結晶温度が高くなり過ぎ二次再結晶不良を生じてしまう。この範囲でより適正な量は、酸可溶性Alは0.020〜0.035%、Nは0.006〜0.010%である。
Mn及びSも結合しMnSとなりインヒビターとして機能するため必須の元素である。Mnの範囲は0.040〜0.120%であり、Sの範囲は0.015〜0.040%である。これらの下限値未満では、MnSのインヒビターとしての機能が弱過ぎ二次再結晶が生じない。また、上限値を超えると完全溶体化のためのスラブ加熱温度を高くあるいは焼鈍時間を長くする必要があるため操業上の負荷が大きくなる。この範囲でより適正な量は、Mnは0.060〜0.090%、Sは0.020〜0.030%である。
MnSの代替として特開平6−192735号公報に記載されている如くMnSeを使用する場合には、S+0.405Seで0.005〜0.020%の範囲とする。このときのSe量は0.010〜0.030%、S量は0.001〜0.010%の範囲とすることが好ましい。これらの下限値未満では、MnSe主体のインヒビターとしての機能が弱過ぎ二次再結晶を生じない。また、上限値を超えると完全溶体化のためのスラブ加熱温度を高くあるいは焼鈍時間を長くする必要があるため操業上の負荷が大きくなる。この範囲でより適正な量は、S+0.405Seで0.007〜0.012%であり、このときのSe量は0.014〜0.022%、S量は0.002〜0.005%がより好ましい。
AlN、MnSあるいはMnSe以外のインヒビター構成元素として、特開平8−269552号公報に記載されている如くBiを添加することにより高磁束密度を達成する技術が存在する。Biの範囲は0.0005〜0.0200%である。下限値未満では高磁束密度化に効果がなく、上限値を超えても磁束密度向上効果は飽和するのみならず皮膜密着性劣化を引き起こしてしまう。この範囲でより適正な量は0.0010〜0.0100%である。
また、Sb、Sn、Pb、Te、Tl、In、Gaも、Biと同様に磁気特性の改善に影響を及ぼすので、これらを含有する場合はBiも含め総量で0.16%以下にすることが望ましい。
なお、方向性電磁鋼板用素材として使用する鋼に、上記成分に加え、さらに必要に応じて、Cr、Cu、P、Niの少なくとも1種類を、Crでは0.3%以下、Cuでは0.4%以下、Pでは0.5%以下、Niでは1%以下の範囲で含有させることもできる。
Crは、脱炭焼鈍の酸化層を改善し、グラス被膜形成に有効な元素であり、0.3%以下の範囲で添加する。
Cuは、比抵抗を高めて鉄損を低減させることに有効な元素である。添加量が0.4%を超えると鉄損低減効果が飽和するとともに、熱延時に「カッパーヘゲ」なる表面疵の原因になる。
Pは、比抵抗を高めて鉄損を低減させることに有効な元素である。添加量が0.5%を超えると圧延性に問題を生じる。
Niは比抵抗を高めて鉄損を低減させることに有効な元素である。また、熱延板の金属組織を制御して磁気特性を向上させるうえで有効な元素である。しかしながら、添加量が1%を超えると二次再結晶が不安定になる。
本発明では、方向性電磁鋼板用素材として以上のような鋼が使用できるが、仕上げ焼鈍の昇温過程の途中で遅い加熱速度に変更する温度は、加熱効率の点からなるべく高い方が望ましく、素材に用いられる鋼の化学成分を調整して、その温度が850℃以上となるようにするのが望ましい。
また、本発明では、方向性電磁鋼板の製造に通常用いられている製造方法が使用できる。すなわち、転炉または電気炉等により上記の成分組成を有する鋼を溶製し、必要に応じて溶鋼を真空脱ガス処理し、ついで連続鋳造もしくは造塊後分塊圧延することによってスラブとする。スラブは、スラブ加熱を経て熱間圧延され所要板厚の熱延板とされ、ついで熱延板焼鈍される。熱延板は、一回もしくは焼鈍を挟んだ二回以上の冷間圧延により最終的な板厚とされる。
冷間圧延後の鋼板は、鋼中に含まれるCを除去するために湿潤雰囲気中で脱炭焼鈍が施される。脱炭焼鈍後の鋼板に窒化処理を行うこともできる。脱炭焼鈍後の鋼板は、焼鈍分離材が塗布され、高温の仕上げ焼鈍がなされる。
本発明では、その仕上げ焼鈍の昇温過程において、前述のように結晶粒径を測定して、加熱速度を変更することにより、磁気特性のバラツキなく、良好な磁気特性の方向性電磁鋼板を得ることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、実施例で採用した条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するための一条件例であり、本発明は、この例に限定されるものではなく、本発明を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
Si:3.25%、C:0.066%、Mn:0.12%、S:0.02%、Al:0.023%、N:0.006%からなる溶鋼を、転炉精錬および真空脱ガスと同時に行う成分添加で成分調整することにより溶製し、これを10トンのインゴットに鋳造した後、分塊圧延し、粗圧延に引き続くタンデム仕上げ熱延を行って熱延板とし、1100℃の熱延板焼鈍を行った後、酸洗法とショットピーニング法を複合させた脱スケールを実施し、幅400mmにスリットして、冷間圧延を実施した。冷間圧延ではゼンジマー法を用いて板厚0.30mmとし、総延長1000mのフープコイルを作成した。
次に、このコイルを脱炭焼鈍し、その過程で1次再結晶させた。これを長さ500mmの鋼板に切断した後、電解脱脂を実施し、焼鈍分離剤を塗布して順次積層し、この積層体を両側から400m×500mmの大きさで、厚みが100mmのレンガ2枚で挾み、箱型高温焼鈍炉に装填した。
箱型高温焼鈍炉のインナーチューブは直方体で、前面に開閉扉が有り、その扉部にプローブホールが設置してある。これにYAGレーザに接続された光ファイバーを取り付け、焼鈍炉内の鋼板の端面にレーザ光が当たるようにした。さらにプローブホールには、レーザ光が当たった衝撃で発生する超音波の反射波を検出できるレーザ干渉計につながる光ファイバーも平行設置した。
検出された反射波の振動数を、鋼板の結晶粒径に換算するためのソフトウエアは、センサーコントローラーとして接続されたパソコンに組み込んでおき、反射波の信号を鋼板の結晶粒径として表示できるアルゴリズムを設定した。なお、焼鈍炉内には水素を導入する必要があるので、プロープホールは雰囲気漏れが無いよう十分にシールした。ここで高温焼鈍前の鋼板にレーザ光を当てて平均結晶粒径を測定したところ13.8μmであった。
まず、室温において炉内大気を窒素ガスでバージし、その後露点−20℃の水素ガスとアルゴンガスを3:1の比率で導入して、昇温速度100℃/hrで加熱を開始した。鋼板温度が700℃に至るまでは結晶粒径の変化は殆ど観測されなかったが、その後徐々に増大し927℃において1.2倍、即ち16.6μmに達したので、昇温速度を15℃/hrに下げ、1200℃まで加熱した。その後雰囲気を水素100%に切り替え、丸1日放置した後、加熱を停止し、鋼板温度が200℃になった時点で雰囲気パージを行って、脱炉した。
仕上がった鋼板に絶縁コーティングを施した後、積層の順に上から100枚毎に1枚抜き出して圧延方向に沿って、両エッジ部およびセンター部の3枚、100mm500mmサイズの単板磁気測定用試料を切り出し、合計60枚の磁気測定を行った。
また、従来技術として、鋼板温度が850℃になった時点で昇温速度を15℃/hrに下げた場合の試料も同様に作成し、磁気測定を行った。
測定された試料の磁束密度を区分に分け、各区分に該当する試料の数を数えた。その結果を表1に示す。
Figure 0004943175
表1から明らかなように、本発明を適用したところ、同一バッチあたりの試料の磁気特性のバラツキが極めて小さくなり、B8値が1.90T以上の良質な方向性電磁鋼板が確実に製造でき、かつ1.94Tにせまるより良質な方向性電磁鋼板も容易に製造できた。
Si:3.12%、C:0.084%、Mn:0.11%、S+0.405Se:0.015%、Al:0.023%、N:0.006%からなる溶鋼から、実施例1と同様にして、幅400mm、長さ500mm、板厚0.30mmの鋼板からなる積層体を作成し、これを両側から400m×500mmの大きさで、厚みが100mmのレンガ2枚で挾み、実施例1と同じ箱型高温焼鈍炉に装填した。ここで高温焼鈍前の鋼板にレーザ光を当てて平均結晶粒径を測定した所、10.8μmであった。
そして、実施例1と同様の手順で加熱を開始し、昇温過途中の鋼板の結晶粒径を測定した。そして、927℃において1.2倍、即ち12.9μmに達したので、昇温速度を17℃/hrに下げ、1200℃まで加熱して実施例1と同様に高温焼鈍した。その後、実施例1と同様の手順で単板磁気測定用試料を切り出し、合計60枚の磁気測定を行った。
また、従来技術として、鋼板温度が860℃になった時点で昇温速度を17℃/hrに下げた場合の試料も同様に作成し、磁気測定を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0004943175
表2から明らかなように、本発明を適用したところ、同一バッチあたりの試料の磁気特性のバラツキが極めて小さくなり、B8値が1.90T以上の良質な方向性電磁鋼板が確実に製造でき、かつ1.94Tにせまるより良質な方向性電磁鋼板も容易に製造できた。
Si:3.75%、C:0.086%、Mn:0.12%、S:0.02%、Al:0.023%、N:0.006%、さらにBi:0.0040%(Biにかわり、Sb、Sn、Pb、Te、Tl、In、Gaを同程度入れても同じ効果が得られた)からなる溶鋼から、実施例1と同様にして、幅400mm、長さ500mm、板厚0.30mmの鋼板からなる積層体を作成し、これを両側から400m×500mmの大きさで、厚みが100mmのレンガ2枚で挾み、実施例1と同じ箱型高温焼鈍炉に装填した。ここで高温焼鈍前の鋼板にレーザ光を当てて平均結晶粒径を測定したところ13.8μmであった。
そして、実施例1と同様の手順で加熱を開始し、昇温過途中の鋼板の結晶粒径を測定した。そして、927℃において1.2倍、即ち16.6μmに達したので、昇温速度を10℃/hrに下げ、1200℃まで加熱して実施例1と同様に高温焼鈍した。その後、実施例1と同様の手順で単板磁気測定用試料を切り出し、合計60枚の磁気測定を行った。
また、従来技術として、鋼板温度が860℃になった時点で昇温速度を10℃/hrに下げた場合の試料も同様に作成し、磁気測定を行った。その結果を表3に示す。
Figure 0004943175
表3から明らかなように、本発明を適用したところ、同一バッチあたりの試料の磁気特性のバラツキが極めて小さくなり、B8値が1.90T以上の良質な方向性電磁鋼板が確実に製造でき、かつ1.94Tにせまるより良質な方向性電磁鋼板も容易に製造できた。
本発明によれば、一バッチあたりの鋼板製品の磁気特性のバラツキが抑えられ、良質な磁気特性を有する方向性電磁鋼板が容易に生産できるので、その産業上の有用性は大きい。
本発明の実施の形態を説明するための図である。 仕上げ焼鈍の昇温時における結晶粒径の変化の測定例を示す図である。
符号の説明
1 ベル形焼鈍炉
2 コイル
3 インナーカバー
4 インナーカバーの首部
5 インナーカバーに設けられた透明石英ガラス板
6 保熱カバー
7 保熱カバーに設けられた透明石英ガラス板
8 照射ヘッド
9 光ファイバー
10 パルスレーザ光
11 超音波測定用レーザ光

Claims (8)

  1. 方向性電磁鋼板の製造方法において、冷延後の鋼板に脱炭焼鈍を施し、その後、高温焼鈍炉内で脱炭焼鈍後の鋼板に仕上げ焼鈍を施すにあたり、仕上げ焼鈍の昇温過程において前記鋼板の結晶粒径を測定し、測定した前記粒径の変化から二次再結晶の開始を検知し、二次再結晶の開始を検知した後、加熱速度を20℃/hr以下に変更することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 前記鋼板を積層した状態で仕上げ焼鈍するとともに、積層された鋼板の端面の結晶粒径を測定することを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 脱炭焼鈍後の鋼板の一次再結晶粒径をd、昇温過程において測定された結晶粒径をdとするとき、d1/d0≧1.2となった後に、加熱速度を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. レーザ超音波法によって結晶粒径の測定を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 前記方向性電磁鋼板が、質量%で、C:0.02〜0.10%、Si:2.5〜4.5%、酸可溶性Al:0.010〜0.050%、N:0.003〜0.013%、S:0.015〜0.040%、Mn:0.040〜0.120%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 前記方向性電磁鋼板が、Sに変わり、S+0.405Se:0.005〜0.020質量%の範囲でSeを含有することを特徴とする請求項5に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  7. 前記方向性電磁鋼板が、Bi、Sb、Sn、Pb、Te、Tl、In、Gaの一種以上を、総量で0.16質量%以下含有することを特徴とする請求項5または6に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  8. 加熱速度を20℃/hr以下に変更する温度が850℃以上となるように前記方向性電磁鋼板の化学成分が調整されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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