JP4938478B2 - 圧電振動子 - Google Patents

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Description

本発明は、電子機器に用いられる圧電振動子に関する。
従来より携帯電話等の電子機器には圧電振動子が用いられている。この圧電振動子は、基板部と枠部とで凹部が形成された基体と圧電振動素子と蓋体とから主に構成されており、凹部内に圧電振動素子を搭載し、その後、凹部を塞ぐように蓋体を基体に接合して製造されている。以下、基体に蓋体を接合したものを容器体という。
このような圧電振動子は、ウェハの状態で製造される。例えば、セラミックからなる基体はマトリックス状に配列されウェハとなっている。複数の基体が設けられたウェハには複数の凹部が形成されており、この凹部内に圧電振動素子を一つずつ搭載していく。その後、凹部を金属製の蓋体で塞ぎ、凹部を気密封止する(例えば、特許文献1参照)。
このように製造される圧電振動子は、電子機器の小型化に伴い、平面形状の小型化や低背化などが求められている。
特開2006−186463号公報(段落0020〜0029、図3)
しかしながら、圧電振動子を小型化する場合、基体及び蓋体を薄くすることが必要となるが、セラミックを主体とした基体では、強度的に限界がある。また、蓋体に金属製のものを用いた場合、基体に用いられるセラミックと蓋体に用いられる金属とで膨張係数が異なるので、蓋体を基体に接合した場合に熱ストレスが接合部に残留し、容器体の強度が保てなくなる恐れがある。
そこで、本発明は、前記した問題を解決し、小型低背化を行っても容器体の強度の低下を防ぎ、歩留まりを向上させる圧電振動子を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、圧電振動子であって、圧電片に励振電極が設けられた圧電振動素子と、ガラスからなる枠体と、ガラスの膨張係数に近い膨張係数を有する樹脂フィルムからなり前記枠体と接合する位置に成膜されるアルミニウム層と前記圧電振動素子の先端部と向かい合う位置に外部から押し込んで形成された先端部接触凸部とを備えた基板体と、ガラスの膨張係数に近い膨張係数を有する樹脂フィルムからなり前記枠体と接合する位置に成膜されるアルミニウム層を備えた蓋体とを備え、前記圧電振動素子が前記枠体に囲まれた状態で前記基板体に搭載され、前記枠体と前記基板体と前記蓋体とが接合されて構成されることを特徴とする。
また、本発明は、前記基板体の前記圧電振動素子を搭載する位置に外部から押し出されて形成された搭載用凸部を備えても良い。
また、本発明は、圧電振動子であって、前記ガラスの膨張係数に近い樹脂フィルムがアラミド基材であることを特徴とする。
また、本発明は、圧電振動子であって、前記基板体と前記アルミニウム層との間及び前記蓋体と前記アルミニウム層との間にNi−Cr合金(ニクロム)、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、Ti(チタン)のいずれか1つの下地層を有することを特徴とする。
また、本発明は、圧電振動子であって、前記下地層が30〜200オングストロームの膜厚となっていることを特徴とする。
このように、枠体をガラスとし、基板体をガラスの膨張係数に近い樹脂フィルムで圧電振動子を構成したので、接合したときに接合部における熱ストレスが少なくなり、容器体の強度の低下を防ぐことができる。
また、基板体の圧電振動素子の先端部と向かい合う位置に先端部接触凸部を設けたので、圧電振動素子の圧電片がベベル加工されていても励振部分となる圧電片の中央部が基板体に接触することがないので、接触による圧電振動素子の励振特性の不具合が生じず、小型化しても歩留の低下を防ぐことができる。また、この先端部接触凸部を基板体の外側から押し込んで形成したので、フォトリソグラフィやマスク印刷等を用いて凸部を形成するよりも容易に先端部接触凸部の形成を行うことができる。また、基板体の圧電振動素子を搭載する位置に搭載用凸部を設けたので、圧電振動素子の支持位置を高くして、さらに圧電片の中央部が基板体に接触するのを防ぐことができる。
また、基板体をアラミド基材にしたことにより、枠体のガラスの膨張係数と近くすることができるので、接合の際の接合部に熱ストレスの影響を軽減することができる。
また、基板体及び蓋体にNi−Cr合金(ニクロム)、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、Ti(チタン)のいずれか1つの下地層を設けたことで、成膜されるアルミニウム層との結合力を強固にすることができる。
また、この下地層の膜厚を30〜200オングストロームで成膜したので、アルミニウム層との接合状態を良好にすることができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という。)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第一の実施形態)
図1は本発明の第一の実施形態に係る圧電振動子の一例を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る圧電振動子10は、圧電振動素子4と枠体2と基板体1と蓋体3とから主に構成されている。この圧電振動子10は、枠体2と基板体1と蓋体3とを接合した状態で容器体となる。
圧電振動素子4は、例えば水晶からなる圧電片4Aの両主面に励振電極4Bが対向して設けられており、所定の周波数で振動するようになっている。この圧電振動素子4は、後述する基板体1に設けられた搭載パッドP上に導電性接着剤Dにより電気的に接合されることで搭載される。このとき、圧電振動素子4は、後述する基板体1と枠体2とを接合したときに、枠体2に囲まれた状態となるように、基板体1に搭載される。
なお、圧電振動素子4は、励振電極4Bの範囲内において振動のエネルギが閉じ込められているものとし、片持ちで用いられた場合に、励振電極4Bが設けられていない先端部にエネルギがもれていないものとする。
枠体2は、ガラスから成り、所定幅、所定厚さで平面視矩形となる環状形状で形成されている。
基板体1は、枠体2のガラスの膨張係数と近い膨張係数を有する樹脂フィルムが用いられる。ここで、この樹脂フィルムをアラミド基材として説明する。
この基板体1はアラミド基材であるので、ガラスの膨張係数と近い膨張係数となっている。ここで、基板体1の一方の主面であって枠体2と接合する部分にアルミニウム層1Aが成膜されおり、アルミニウム層1Aで囲まれた内部には、圧電振動素子4を搭載されるための搭載パッドPが形成され、この搭載パッドPと引き回しパターンと外部接続端子Gとで配線パターンHが形成されている。アルミニウム層1Aが基板体1に成膜されていることにより、後述する枠体2と容易に陽極接合により接合することができる。
なお、引き回しパターンは、アルミニウム層1Aで囲まれた内部に設けられたスルーホールSを介して搭載パッドPと外部接続端子Gとに接続される。
なお、アラミド基材からなる基板体1の厚みは、例えば、10〜20μmとなっている。これにより圧電振動子10の低背化を行うことができる。
また、基板体1は、アルミニウム層1Aで囲まれた内部であって圧電振動素子4を搭載パッドPに搭載した場合に、この圧電振動素子4の固定される先端部とは反対側の先端部、つまり自由端部と向かい合う位置に先端部接触凸部1Cが設けられている。この先端部接触凸部1Cは、基板体1を外部から押し込んで形成される。つまり、アルミニウム層1Aが設けられている面とは反対側の面よりプレス加工により凸状物を押し込んで形成される。
先端部接触凸部1Cは、圧電振動素子4に設けた励振電極4Bが基板体1に接触しない程度の高さで出っ張っている。
蓋体3は、基板体1と同様に、枠体2のガラスの膨張係数と近い膨張係数を有する樹脂フィルムが用いられる。ここで、この樹脂フィルムをアラミド基材として説明する。
この蓋体3はアラミド基材であるので、ガラスの膨張係数と近い膨張係数となっている。ここで、蓋体3の一方の主面にアルミニウム層3Aが成膜されている。アルミニウム層3Aが蓋体3に成膜されていることにより、後述する枠体2と容易に陽極接合により接合することができる。後述するが、この蓋体3は、枠体2に接合されることにより基板体1と枠部2とが接合されて形成された凹部を気密封止する役割を果たす。
なお、アラミド基材からなる蓋体3の厚みは、例えば、10〜20μmとなっている。これにより圧電振動子10の低背化を行うことができる。
この本発明の第一の実施形態に係る圧電振動子10は、基板体1のアルミニウム層1Aを枠体2に向けた状態で陽極接合により接合され、蓋体3のアルミニウム層3Aを枠体2に向けた状態で陽極接合により接合されており、枠体2に囲まれた状態、つまり、枠体2の内部であって基板体1に設けられた搭載パッドPに圧電振動素子4が搭載されている。
このように、本発明の第一の実施形態に係る圧電振動子10を構成したので、基板体1と枠体2の接合の際、および蓋体3と枠体2との接合の際に接合部に熱ストレスが少なくなり、容器体の強度の低下を防ぐことができる。
また、基板体1をアラミド基材にしたことにより、ガラスの膨張係数と近くすることができるので、接合の際の接合部に熱ストレスの影響を軽減することができる。
次に、本発明の第一の実施形態に係る圧電振動子の製造方法について説明する。
図2は配列枠体の一例を示す斜視図である。図3は配列基板体の一例を示す斜視図である。図4は配列枠体と配列基板体とを接合した状態の一例を示す斜視図である。図5は配列基板体に圧電振動素子を搭載する状況を示す模式図である。図6は配列蓋体と圧電振動素子が搭載された配列基板体と配列枠体との一例を示す図である。図7は配列枠体に配列蓋体を接合した状態の一例を示す図である。図8は個片化した状態の一例を示す斜視図である。
まず、本発明の実施形態に係る圧電振動子10を製造するに際し、圧電振動素子4と配列枠体W2と配列基板体W1と配列蓋体W3とを準備する。なお、圧電振動素子4は、水晶などの圧電片4Aの両主面に励振電極4Bが設けられたものとする。
(配列枠体の形成)
図2に示すように、配列枠体W2とは、前記した枠体2がマトリックス状に配列されてウェハの状態となっているものをいう。この配列枠体W2はガラスからなり、平板状のガラス板に矩形形状の開口部Kを所定の間隔を空けてマトリックス状に設け、配列枠体W2を形成する。なお、隣り合う開口部K,Kの間を切断することにより平面視矩形形状で環状形状の枠体2となる。
(配列基板体の形成)
図3に示すように、配列基板体W1とは、前記した基板体1がマトリックス状に配列されてウェハの状態となっているものをいう。
この配列基板体W1は、枠体2に用いられるガラスの膨張係数と近い膨張係数を有する樹脂フィルムが用いられる。ここで、この樹脂フィルムをアラミド基材として説明する。配列基板体W1は配列枠体W2とウェハの状態で接合されるため、配列基板体W1であるこのアラミド基材の配列枠体W2と接合する部分にアルミニウム層1Aを成膜する。つまり、配列枠体W2のパターン(図2参照)に沿って配列基板体W1にアルミニウム層1Aが成膜される。このアルミニウム層1Aの成膜は、配列基板体W1の一方の主面にフォトリソグラフィにより行われる。このようにして配列基板体を形成する。
なお、配列基板体W1の製造においては、アルミニウム層1Aの成膜の前に、外部から圧電振動素子4に電圧を加えるための配線パターンH(図1参照)の形成が行われる。例えば、配列基板体W1のアルミニウム層1Aが形成される面であって、配列枠体W2の開口部K内に位置するように、圧電振動素子4が搭載される搭載パッドPやこの搭載パッドPと接続する引き回しパターン(図示せず)などが金属膜で形成される。また、配列基板体W1のアルミニウム層1Aが形成される面とは反対側の面であって、個片にされたときに四隅に位置するように金属膜からなる外部接続端子G(図1参照)が設けられる。この搭載パッドP又は引き回しパターンと外部接続端子Gとを電気的に接続するために、当該配列基板体W1にサンドブラスト等によりスルーホールS(図1参照)を形成する。そしてこのスルーホールSの表面に金属膜を形成し、搭載パッドP又は引き回しパターンと外部接続端子Gとを電気的に接続する。この状態で、フォトリソグラフィによりアルミニウム層1Aを配列基板体W1の搭載パッドP等が形成された面に成膜して、配列基板体W1を完成させる。
(先端部接触凸部の形成)
先端部接触凸部1Cをアラミド基材からなるウェハ状の配列基板体W1に形成する。この場合、アルミニウム層1Aで囲まれた内部であって圧電振動素子4の先端部と向かい合う位置に、アルミニウム層1Aが設けられる面とは反対側の面、つまり外部から凸状物(図示せず)を押し込んで形成される。なお、凸状物は、ウェハ状の配列基板体W1の外形に合わせた治具(図示せず)が用いられ、その治具に基板体1(図1参照)の先端部接触凸部1Cを形成する位置に対応して複数設けられている。
なお、この先端部接触凸部1Cは、アルミニウム層1Aを設ける前に形成される。
(配列蓋体の形成)
図6に示すように、配列蓋体W3とは、前記した蓋体3がマトリックス状に配列されてウェハの状態となっているものをいう。
この配列蓋体W3は、枠体2に用いられるガラスの膨張係数と近い膨張係数を有する樹脂フィルムが用いられる。ここで、この樹脂フィルムをアラミド基材として説明する。配列蓋体W3は配列枠体W2とウェハの状態で接合されるため、配列蓋体W3の一方の主面にアルミニウム層3Aを成膜する。なお、配列枠体W2のパターン(図2参照)に沿って配列蓋体W3にアルミニウム層3Aが成膜しても良い。このアルミニウム層3Aの成膜は、配列蓋体W3の一方の主面にフォトリソグラフィにより行われる。このようにして配列蓋体W3を形成する。
これら配列枠体W2と配列基板体W1と配列蓋体W3とを、それぞれ、同時に形成しても良いし、別工程で別々に形成しても良いし、配列枠体W2と配列基板体W1と配列蓋体W3を製造する順番は限定されない。
(配列基板体と配列枠体との接合)
図4に示すように、搭載パッドP、引き回しパターン(図示せず)、外部接続端子G(図1参照)などの配線パターンHとアルミニウム層1Aと先端部接触凸部1Cとがそれぞれの基板体1となる位置に形成された配列基板体W1と配列枠体W2とを接合する。
配列基板体W1と配列枠体W2とを接合する際に、配列枠体W2を配列基板体W1に形成、つまり、成膜したアルミニウム層1Aに接触させた状態で陽極接合を行うことにより配列基板体W1と配列枠体W2とを接合する。
(配列基板体に圧電振動素子を搭載)
図5及び図6に示すように、配列基板体W1と配列枠体W2とを接合したことにより、配列枠体W2に形成されている各開口部Kがそれぞれ凹部となる。この凹部内に圧電振動素子4を搭載する。この圧電振動素子4には励振電極4Bから圧電片4Aの固定端となる端部まで引き回された引出しパターンが配列基板体W1に設けられた搭載パッドPと対応して形成されており、圧電振動素子4を先端部接触凸部1Cに接触させた状態で、圧電振動素子4の先端部を基板体1に設けられたこの搭載パッドPと引出しパターンとを導電性接着剤D(図1参照)により接合して搭載される。
(配列蓋体と配列基板体が接合されている配列枠体との接合)
図6及び図7に示すように、圧電振動素子4を搭載した配列基板体W1と接合している配列枠体W2と配列蓋体W3とを接合する。
配列枠体W2と配列蓋体W3とを接合する際に、配列枠体W2を配列蓋体W3に形成、つまり、成膜したアルミニウム層3Aに接触させた状態で陽極接合を行うことにより配列蓋体W3と配列枠体W2とを接合する。
この配列蓋体W3を配列枠体W2に接合することにより、前記各凹部が気密封止される。
ここで、配列基板体W1と配列枠体W2と配列蓋体W3とがそれぞれウェハの状態で接合されており、内部に圧電振動素子4が搭載された圧電振動子10をマトリックス状に配列した状態となっている。
(個片化)
この配列基板体W1と配列枠体W2と配列蓋体W3とが接合されて圧電振動子10をマトリックス状に配列した状態で図8に示すように個片化する。個片化はダイシング等により行われる。この個片化は、図7に示すようなカットラインに沿って切断される。つまり、配列枠体W2の隣り合う開口部K、Kの間を切断することによって個片化が行われる。いうまでもないが、端部側に位置する圧電振動子10となる部分は、配列枠体W2の接合代部分を切断する。これにより個片化が完了し、圧電振動子10を得ることができる。
なお、個片化の前に気密漏れがないかを検査するリーク検査、印字、各種検査を行ってもよい。また、個片化後も検査を行い、良品か否かを出荷前に調べてもよい。
このように、本発明の実施形態に係る圧電振動子10の製造方法を構成したので、配列枠体W2をガラスとし、配列基板体W1をガラスの膨張係数に近い樹脂フィルムとしたことにより、接合したときに接合部における熱ストレスが少なくなり、容器体の強度の低下を防ぐことができる。また、配列基板体W1をアラミド基材にしたことにより、ガラスの膨張係数と近くすることができるので、接合の際の接合部に熱ストレスの影響を軽減することができる。
また、基板体1の圧電振動素子4の自由端となる先端部と向かい合う位置に先端部接触凸部1Cを設けたので、圧電振動素子4の圧電片がベベル加工されていても励振部分となる圧電片の中央部が基板体1に接触することがないので、小型化しても歩留の低下を防ぐことができる。また、この先端部接触凸部1Cを基板体1の外側から一括して押し込んで形成したので、フォトリソグラフィやマスク印刷等を用いて凸部を形成するよりも容易に先端部接触凸部1Cの形成を行うことができる。
また、配列蓋体W3、蓋体3にアルミニウム層3Aの金属を成膜するため、アラミド基材の樹脂フィルムを用いても金属の蓋体と同様の気密性、耐湿性を持たせることができる。また、配列枠体W2、枠体2にガラスを用いたので、セラミックと比較して加工精度を向上させることができる。
ウェハの状態で一括で製造するため、ポケットが無く、接着剤塗布、圧電振動素子の実装にスペースの制約を受けることが無く、設備設計の自由度を向上させることができる。また、ウェハの状態で一括封止が可能となるため生産性が向上し、コストを低くすることができる。
(第二の実施形態)
図9は本発明の第二の実施形態に係る圧電振動子の一例を示す断面図である。
図9に示すように、本発明の第二の実施形態に係る圧電振動子20は、基板体1及び蓋体3にアルミニウム層1A、3Aを成膜する前に下地層1B、3Bを設けた点で第一の実施形態と異なる。
基板体1にアルミニウム層1Aを成膜する際に、予めアルミニウム層1Aを成膜する部分にNi−Cr合金(ニクロム)、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、Ti(チタン)のいずれか1つの下地層1B(図9参照)を設ける。図9に示すように、この場合の圧電振動子20は、基板体1に下地層1Bが設けられていることにより、下地層1Bとアルミニウム層1Aとの結合が強力になり、基板体1と枠体2との接合を強力にすることができる。
また、この下地層1Bは30〜200オングストロームで成膜されている。下地層1Bが30オングストロームを下回る場合は、下地層1Bにムラが生じ、アルミニウム層1Aとの均一な結合が困難になる。また、下地層1Bが200オングストロームを超える場合は、枠体2との接合時に余分となった下地層1Bが圧電振動素子4に付着し、圧電振動素子4の振動特性を変化させてしまう。したがって、下地層1Bは30〜200オングストロームの厚さとなるのが最適である。
蓋体3にアルミニウム層3Aを成膜する際に、予めアルミニウム層3Aを成膜する部分にNi−Cr合金(ニクロム)、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、Ti(チタン)のいずれか1つの下地層3B(図9参照)を設ける。図9に示すように、この場合の圧電振動子20は、蓋体3に下地層3Bが設けられていることにより、下地層3Bとアルミニウム層3Aとの結合が強力になり、蓋体3と枠体2との接合を強力にすることができる。
また、基板体1と同様に、下地層3Bは30〜200オングストロームで成膜されている。下地層3Bが30オングストロームを下回る場合は、下地層3Bにムラが生じ、アルミニウム層3Aとの均一な結合が困難になる。また、下地層3Bが200オングストロームを超える場合は、枠体2との接合時に余分となった下地層3Bが圧電振動素子4に付着し、圧電振動素子4の振動特性を変化させてしまう。したがって、下地層3Bは30〜200オングストロームの厚さとなるのが最適である。
このように本発明の第二の実施形態に係る圧電振動子20を構成しても第一の実施形態と同様の効果を奏する。また、基板体1及び蓋体3にNi−Cr合金(ニクロム)、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、Ti(チタン)のいずれか1つの下地層1B、3Bを設けたことで、成膜されるアルミニウム層1A、3Aとの結合力を強固にすることができる。
また、この下地層1B、3Bの膜厚を30〜200オングストロームで成膜したので、アルミニウム層1A、3Aとの接合状態を良好にすることができる。
このように、本発明の第二の実施形態に係る圧電振動子の製造方法を用いれば、例えば、周波数が24MHz以上のAT水晶振動子の厚さが最大で0.2mmとすることができる。
次に、本発明の第二の実施形態に係る圧電振動子20の製造方法について説明する。
本発明の第二の実施形態に係る圧電振動子20は、基板体1にアルミニウム層1Aの成膜の前に、このアルミニウム層1Aを成膜する位置にNi−Cr合金(ニクロム)、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、Ti(チタン)のいずれか1つの下地層1B(図9参照)を設ける。下地層1Bを配列基板体W1に設けた後にアルミニウム層1Aを成膜し、配列基板体W1を形成する。
また、蓋体3にアルミニウム層3Aの成膜する前に、このアルミニウム層3Aを成膜する位置にNi−Cr合金(ニクロム)、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、Ti(チタン)のいずれか1つの下地層3B(図9参照)を設ける。下地層3Bを配列蓋体W3に設けた後にアルミニウム層3Aを成膜し、配列蓋体を形成する。
このように、配列基板体W1及び配列蓋体W3にNi−Cr合金(ニクロム)、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、Ti(チタン)のいずれか1つの下地層1B、3Bを設けたことで、成膜されるアルミニウム層1A、3Aとの結合力を強固にすることができる。また、この下地層1B、3Bの膜厚を30〜200オングストロームで成膜したので、アルミニウム層1A、3Aとの接合状態を良好にすることができる。
また、アルミニウム層3Aや下地層3Bの金属を成膜する配列蓋体W3、蓋体3に、アラミド基材の樹脂フィルムを用いても金属の蓋体と同様の気密性、耐湿性を持たせることができる。また、配列枠体W2、枠体2にガラスを用いたので、セラミックと比較して加工精度を向上させることができる。
ウェハの状態で一括で製造するため、ポケットが無く、接着剤塗布、圧電振動素子の実装にスペースの制約を受けることが無く、設備設計の自由度を向上させることができる。また、ウェハの状態で一括封止が可能となるため生産性が向上し、コストを低くすることができる。
さらに、本発明の第二の実施形態に係る圧電振動子20の製造方法を用いれば、例えば、周波数が24MHz以上のAT水晶振動子の厚さが最大で0.2mmとすることができる。
(第三の実施形態)
図10は本発明の第三の実施形態に係る圧電振動子の一例を示す断面図である。図11(a)は配列基板体W1の一例を示す斜視図であり、(b)は(a)のA部拡大図である。
図10に示すように、本発明の第三の実施形態に係る圧電振動子30は、基板体1の圧電振動素子4が搭載される位置に搭載用凸部1Dが設けられている点で第一の実施形態と異なる。
この搭載用凸部1Dは、先端部接触凸部1Cと同様に、基板体1の外部から押し込んで、つまり、アルミニウム層1Aが設けられている面とは反対側の面よりプレス加工により凸状物を押し込んで形成される。なお、搭載用凸部1Dの上に搭載パッドPが形成されることとなる。
このように、基板体1の圧電振動素子4を搭載する位置に搭載用凸部1Dを設けたので、圧電振動素子4の圧電片にベベル加工がされている場合、圧電振動素子4の支持位置を高くして、さらに圧電片の中央部が基板体1に接触するのを防ぐことができる。
(搭載用凸部1Dと先端部接触凸部の形成)
搭載用凸部1Dは、先端部接触凸部1Cと同時に形成される。搭載用凸部1Dと先端部接触凸部1Cとは、アラミド基材からなるウェハ状の配列基板体W1にアルミニウム層1Aを設ける前に、アルミニウム層1Aで囲まれた内部であって圧電振動素子4の自由端となる先端部と向かい合う位置及び圧電振動素子4を搭載する位置、つまり、搭載パッドPの内部に位置するように、アルミニウム層1Aが設けられる面とは反対側の面、つまり外部から凸状物(図示せず)を押し込んで形成される。なお、凸状物は、ウェハ状の配列基板体W1の外形に合わせた治具(図示せず)が用いられ、その治具に基板体1(図1参照)の搭載用凸部1Dと先端部接触凸部1Cとを形成する位置に対応して複数設けられている。
これにより、図11(a)及び(b)に示すように、配列基板体W1に、基板体1の位置と対応して搭載用凸部1Dと先端部接触凸部とが形成される。
このように構成しても第一の実施形態と同様の効果を奏し、さらに、圧電片の中央部が基板体1に接触するのを防ぐことができる。
(第四の実施形態)
図12は本発明の第四の実施形態に係る圧電振動子の一例を示す断面図である。
図12に示すように、本発明の第四の実施形態に係る圧電振動子40は、基板体1の圧電振動素子4が搭載される位置に搭載用凸部1Dが設けられている点で第二の実施形態と異なる。
この搭載用凸部1Dは、先端部接触凸部1Cと同様に、外部から押し込んで、つまり、アルミニウム層1Aが設けられている面とは反対側の面よりプレス加工により凸状物を押し込んで形成される。
このように、基板体1の圧電振動素子4を搭載する位置に搭載用凸部1Dを設けたので、圧電振動素子4の圧電片にベベル加工がされている場合、圧電振動素子4の支持位置を高くして、さらに圧電片の中央部が基板体1に接触するのを防ぐことができる。
(搭載用凸部1Dと先端部接触凸部の形成)
搭載用凸部1Dは、先端部接触凸部1Cと同時に形成される。搭載用凸部1Dと先端部接触凸部1Cとは、アラミド基材からなるウェハ状の配列基板体W1にアルミニウム層1A及び下地層1Bを設ける前に、アルミニウム層1Aで囲まれた内部であって圧電振動素子4の自由端となる先端部と向かい合う位置及び圧電振動素子4を搭載する位置、つまり、搭載パッドPの内部に位置するように、アルミニウム層1Aが設けられる面とは反対側の面、つまり外部から凸状物(図示せず)を押し込んで形成される。なお、凸状物は、ウェハ状の配列基板体W1の外形に合わせた治具(図示せず)が用いられ、その治具に基板体1(図1参照)の搭載用凸部1Dと先端部接触凸部1Cとを形成する位置に対応して複数設けられている。
このように構成しても第二の実施形態と同様の効果を奏し、さらに、圧電片の中央部が基板体1に接触するのを防ぐことができる。
(第五の実施形態)
図13は配列基板体に圧電振動素子を搭載する前の状態を示す図である。図14は圧電振動素子が搭載された配列基板体に配列蓋体が接合された配列枠体を接合する前の状態を示す図である。
図13に示すように、本発明の第五の実施形態に係る圧電振動子は、配列基板体W1の搭載パッドPに圧電振動素子4を搭載しておき、この状態の配列基板体W1に配列蓋体W3が接合された配列枠体W2を接合した点で第一の実施形態と異なる。なお、この製造方法を用いても第一の実施形態と同様の圧電振動子10を製造することができる。
図14に示すように、配列枠体W2が配列蓋体W3に接合された状態であって圧電振動素子4が配列基板体W1に接合された状態で本発明の第五の実施形態に係る圧電振動素子を製造しても第一の実施形態と同様の効果を奏する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、配列枠体W2、配列基板体W1、配列蓋体W3は、n行m列(n、mは整数)となっていれば良い。また、円形形状を基本としたウェハとする場合は、直径方向を基準として段階的に個数が減っていく配列としても良い。
また、配列蓋体W3、蓋体3に設けられるアルミニウム層3Aは、蓋体3の一方の主面であって枠体2と接合する部分のみに成膜してもよい。
また、圧電片は、外周がベベル加工されたものであっても良い。
本発明は、圧電振動子の大きさが、特に、2mm×1.6mm以下となる場合に有効である。
本発明の実施形態に係る圧電振動子の一例を示す断面図である。 配列枠体の一例を示す斜視図である。 配列基板体の一例を示す斜視図である。 配列枠体と配列基板体とを接合した状態の一例を示す斜視図である。 配列基板体に圧電振動素子を搭載する状況を示す模式図である。 配列蓋体と圧電振動素子が搭載された配列基板体と配列枠体との一例を示す図である。 配列枠体に配列蓋体を接合した状態の一例を示す図である。 個片化した状態の一例を示す斜視図である。 本発明の第二の実施形態に係る圧電振動子の一例を示す斜視図である。 本発明の第三の実施形態に係る圧電振動子の一例を示す断面図である。 (a)は配列基板体W1の一例を示す斜視図であり、(b)は(a)のA部拡大図である。 本発明の第四の実施形態に係る圧電振動子の一例を示す断面図である。 配列基板体に圧電振動素子を搭載する前の状態を示す図である。 圧電振動素子が搭載された配列基板体に配列蓋体が接合された配列枠体を接合する前の状態を示す図である。
符号の説明
10、20、30、40 圧電振動子
1 基板体
1A、3A アルミニウム層
1B、3B 下地層
1C 先端部接触凸部
1D 搭載用凸部
2 枠体
3 蓋体
4 圧電振動素子
4A 圧電片
4B 励振電極
P 搭載パッド
S スルーホール
G 外部接続端子
H 配線パターン
K 開口部
W1 配列基板体
W2 配列枠部
W3 配列蓋体

Claims (5)

  1. 圧電片に励振電極が設けられた圧電振動素子と、
    ガラスからなる枠体と、
    ガラスの膨張係数に近い膨張係数を有する樹脂フィルムからなり前記枠体と接合する位置に成膜されるアルミニウム層と前記圧電振動素子の先端部と向かい合う位置に外部から押し込んで形成された先端部接触凸部とを備えた基板体と、
    ガラスの膨張係数に近い膨張係数を有する樹脂フィルムからなり前記枠体と接合する位置に成膜されるアルミニウム層を備えた蓋体とを備え、
    前記圧電振動素子が前記枠体に囲まれた状態で前記基板体に搭載され、
    前記枠体と前記基板体と前記蓋体とが接合されて構成されることを特徴とする圧電振動子。
  2. 前記基板体に前記圧電振動素子を搭載する位置に外部から押し出されて形成された搭載用凸部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子。
  3. 前記ガラスの膨張係数に近い樹脂フィルムがアラミド基材であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧電振動子。
  4. 前記基板体と前記アルミニウム層との間及び前記蓋体と前記アルミニウム層との間にNi−Cr合金(ニクロム)、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、Ti(チタン)のいずれか1つの下地層を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の圧電振動子。
  5. 前記下地層が30〜200オングストロームの膜厚となっていることを特徴とする請求項4に記載の圧電振動子。
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