上述のように、本発明の装置は、材料試料の状態又は特性を測定するために使用することができる装置である。本明細書で使用する場合、「特性」という用語は、物理的特性及び機械的特性を含むことを意図する。そのような特性の非限定的な実施例は、以下のもの、すなわち疲労、クリープ特性、割れ発生及び成長(伝播)、電気特性(例えば、電流、電圧、抵抗、抵抗率)、並びにこれらの特性のいずれかの組合せである。材料の「状態」は、所定の時間におけるその状態(例えば、その属性)を意味することを意図している。実施例には、材料の温度並びにその応力及び歪み特性が含まれる。(簡単にするために、本明細書ではしばしば「特性」という用語を、試料の特性及び状態の両方を意味するために使用する)。
材料試料は、いずれかの種類の試験片又はクーポンの形態であることが多く、それらは多種多様な形状及びサイズを有することができ、かつ、例えば金属、合金、セラミック、プラスチック、又はそれらの組合せを含むことができる。装置は、試験片として機能することが多いが、装置はまた、いずれかのタイプの機械、エンジン、又は他のタイプの装置内に組み込まれた材料の特性を測定するために使用することができる。従って、上述の特性の1つ又はそれ以上は、装置が作動しているか或いは非作動モードにある間に測定又は監視することができる。
測定装置は、以下で説明する直接描画法によって堆積された少なくとも1つのセンサ素子を含む。本明細書で使用する場合、「センサ素子」という用語は、物理的刺激に応答しかつその刺激の結果としての測定可能なインパルス又は信号を送信するあらゆる特徴部又は構成要素を意味する。従って、センサ素子は、例えば電気又は熱伝導体のような導体の形態とすることができる。一般的な実施例には、電流を導通する非常に多種多様な電気導線が含まれる。導体として一般的に使用される金属の非限定的な実施例には、銅、アルミニウム、白金、ロジウム、インジウム、及びこれらの金属の1つ又はそれ以上の大きな量を含む合金が含まれる。これらの導線は、装置内のいずれかの特徴部と、例えば電源、電気的検出構成要素、信号プロセッサなどのようないずれかの付属構成要素との間で電流を導通することができる。(これらの付属特徴部は、導線に直接取付けることができ、或いは間接的に取付けることができる)。「センサ素子」という用語はまた、導線の一端部と装置又は付属装置のいずれかの他の部分との間におけるいずれかのタイプの結合部位又は接合部を意味することができる。
センサ素子はまた、様々な電気的に非伝導性の材料の形態とすることができる。実施例には、セラミック又はポリマー材料が含まれる。ポリマー材料の非限定的な実施例には、熱可塑性材料、熱硬化性材料及び弾性材料(例えば、ゴム組成物)、又は上記のいずれかの組合せが含まれる。これらの材料はそれら自体が、例えば歪み及び/又は温度条件下での長さ又は幅の拡大のような物理的刺激に応答することができる。これらの材料はまた、上述の導体の1つと組合せて使用した時に「応答性」を示すことができる。例えば(また、以下にさらに示すように)、非伝導材料の寸法の変化は、1つ又はそれ以上の付着電気導線の電気的特性の変化によって検出することができる。
従って、「センサ材料」という用語は、実際に物理的刺激に応答する他の材料と組合せて使用することができる材料を含むことを意図していることを理解されたい。例えば金属導体は、1つ又はそれ以上のセラミック層の上に堆積させることができ、セラミック層は、次に試料片の表面上に堆積される。セラミック層は、金属導体を支持するために使用することができ、かつ/或いは導体を基体から絶縁するために使用することができる。別の実施例として、それ自体が基体上に付着した導電性の層の上に、断熱皮膜(通常それ自体がセラミックであるTBC)のような電気的に非伝導性の層を堆積させることができる。これらの多層構造もまた、「センサ材料」であると見なす。層の順序における多くの他の変更もまた可能である。例えば、センサ材料は、ボンディング層と続いて形成したTBCとの間に付着させることができる。
本発明の1つの実施形態により作製しかつ使用することができる1つの実施例は、熱電対である。本明細書で使用する場合、「熱電対」という用語は、2つの異なる金属の接合に基づいたあらゆる温度測定装置を定義することを意図する。その作動原理は、一般的に「ゼーベック効果」と呼ばれる。2つの異なる金属(例えば、金属導線)が接合されて接点を形成し、反対側の端部が接合されて別の接点を形成し、かつ1つの接点が加熱されると、測定可能な電圧が接点間に発生することになる。この電圧は、測定接点(「検知接点」)と1つ又はそれ以上の基準接点との間の温度の差に関連している。
当業者には明らかなように、当技術分野においては、多くの異なるタイプの熱電対が利用可能である。各熱電対の重要な特徴は、導線の各対を形成する導体材料のタイプである。典型的な導線「対」には、次のもの(多くの他のものも可能であるが)、すなわち白金と白金−ロジウム合金、銅とコンスタンタン、クロメルとアルメル、及び鉄とコンスタンタンが含まれる。これらの材料の選択は、様々な因子に応じて決まる。その実施例には、熱電対装置の使用温度、材料費用、及び各材料の組によって生じる可能性がある電圧の大きさが含まれる。例えば、白金−ロジウム合金(R型及びS型)は、例えば約1500℃までのような非常に高い温度で使用することができるが、銅−コンスタンタン熱電対(T型)は、例えば約370℃の最高温度のような酸化性雰囲気でのより低い温度に適している。以下に説明するように、これらの材料の全ては、直接描画法によって堆積させることができる。
図1は、熱電対装置10の簡略化した説明図である。装置は、試験片12の表面11に取付けられる。試験片は円柱の形態として示しているが、所望の試験を実施するためのあらゆる適切な形状とすることができる。この場合、試験片12は、加熱炉/オーブン14内に配置される。(試験片のサイズは、様々な特徴をより容易に示すために、図面内では誇張している)。装置10は、一端部で第1の基準接点18に取付けられかつ他端部で電圧計20に取付けされた第1の導線16を含む。第2の導線17は、一端部で第2の基準接点19に取付けられ、かつ他端部で電圧計20に取付けられる。第3の導線26は、一端部で第1の基準接点18に取付けられ、かつ他端部で検知接点24に取付けられる。第4の導線27は、一端部で基準接点19に取付けられ、かつ他端部で検知接点24に取付けられる。
このような熱電対では、導線26及び27は異なる材料で作製される。導線16及び17は通常、基準接点18及び19が同一の温度に維持されている場合には、同じ材料で形成することができる。3つの接点(18、19及び24)は、簡略化した形態で示している。これら接点は、各導線間で簡単に溶接又はロウ付けすることができる。検知接点24は、温度が測定されることになる表面11の一部分上に位置する。(この表面は、測定されている間は、高温に維持される。)基準接点18及び19は、このタイプの装置の通常の作動に従って、一定の低温に維持される。従って、この実施形態では、それらの基準接点は、オーブン14の外側のいずれかの場所に位置する。
本発明の実施形態によると、検知接点24は、以下に説明する直接描画プロセスによって形成することができる。通常(常にとは限らないが)、このタイプの堆積のための直接描画は、室温で行われる。次に、より低温処理(例えば、約250℃〜約350℃)を実施して、より強固な接続を得ることができる。この予備熱処理は通常、直接描画プロセスで使用されるインク又はペースト内のポリマー添加剤を除去するのに十分である。別の実施形態として、又は予備熱処理に加えて、直接描画プロセスの間に又は直接描画プロセスの後に、基体それ自体を加熱して、それらの添加剤の除去を助けることができる。これもまた以下に説明するように、通常引き続いて高温加熱段階を実施して、より良好な硬化及び/又は粉末焼結を得ることができる。熱電対導線のケースでは、金属粉末を焼結することにより、接点における導電性が大きく改善される。
さらに、接点18及び19並びに導線16、17、26及び27の各々(又は、導線の一部分)はまた、直接描画によって形成することができる。試験片表面11上に位置する導線の一部は、該表面上に直接描画することができる。試験片表面からそれぞれの基準接点まで延びる導線26及び27の一部分は、別個の取外し可能な基体上に直接描画することができる。取外し可能な基体(例えば、Mylar(登録商標)フィルムで作製した基体)は次に、所定の位置に所望の接続部を残して分離することができる。同様な方式で、導線16及び17並びに接点18及び19を形成することができる。(幾つかのケースでは、取外し可能な基体は、装置が依然として意図した方式で作動することができる限り、その上に形成された特徴部から分離する必要はない)。
熱電対装置が、導線、接点及び電圧計間の電気回路を含むことを、図1から理解することができる。オーブン14内の試験片の加熱により、接点24と接点18及び19との間に温度差が生じる。当業者には明らかなように、この温度差により次に、接点における温度間の差にほぼ比例した起電力(EMF)が生じる。EMFは、様々な方法によって測定しかつ記録することができ、検知接点における温度は、EMF示度から容易に計算することができる。
図1では、熱電対回路内に、電圧計20及びプロセッサ/コントローラ28を示し(非常に簡略化した形態で)ている。しかしながら、熱電対装置はまた、様々な他の特徴部を含むことができることはよく知られている。その幾つかが、P.Horowitz他による「The Art of Electronics」、Cambridge University Press、1980(例えば、591〜608頁)に記載されており、この文献は、参考文献として本明細書に組み入れる。例えば、それらは、予め設定した基準接点の温度の変動によって引き起こされる差分を自動的に補正する補償回路を組み込むことができる。さらに、様々な作動要件に応じて、装置に対して多くの他の調整を容易に行うことができる。調整の幾つかは、次の観点、すなわち導線サイズ、導線組成、並びに導線及びセンサの固有の場所に関連する。直接描画法は、これらの調整を著しく容易にすることができる。
有線接続の代わりとして、熱電対信号は、接点から電圧計に無線で送信することができる。当業者は、このタイプの無線通信リンクに精通している。一例として、タービンエンジンの構成部品(例えば、タービンブレード)内の状態を遠隔的に監視する無線装置の使用が、2004年5月27日に公開されたC.Hardwicke他による米国特許出願公開第2004/0101022A1号に記載されており、この米国特許出願公開は、参考文献として本明細書に組み入れる。無線通信リンクの信号は、無線周波、マイクロ波などのような様々な形態で伝送することができる。この場合には、図1の熱電対装置内に、例えば電圧計20に直接的又は間接的に取付けたアンテナを組み込むことができる。アンテナもまた、下記のように、直接描画によって形成することができる。アンテナの使用は、導線接続部16、17の必要性を排除することができる。このような無線接続の使用に関連する様々な特徴部はまた、米国特許出願公開第2004/0101022A1号において説明され、かつ他の文献に記載されている。例えば、信号を受信し、その信号をデータに変換しかつそのデータを処理するための付属装置は全て、過度の努力なしに熱電対機器内に組み込むことができる。
本発明の他の実施形態は、試験片の、例えば歪みによって生じる変化のような試験片の寸法変化を測定する装置に関する。本明細書で使用する場合、「歪み」というのは、加わった力による本体の変形の量である。加わった力は、温度又は圧力誘起によるものである場合がある。「歪み」という用語は、引張及び圧縮歪みの両方を含むことを考えており、歪みゲージを使用して、伸長及び収縮を検出することができる。歪みは、多くの場合、試料又はその試料の一部分の長さの変化率として表現される。実験応力解析は、試験片又は構造部分の表面上で測定した歪み値を利用する。このようにして、材料内の応力を測定することができ、それを、部品の健全性の予測として役立てることができる。
このタイプの装置は、比較的簡単なものとすることができる。1つの非限定的な実例を図2に示しており、この図は、試験片42の表面40を示す。例えばポリマー又はセラミック材料で形成されたもののような非導電層44が、直接描画プロセスによって表面40上に堆積される。(層44は、断熱材料とすることができる)。例えば導線のような導体46が、必要に応じてこれもまた直接描画によって層44上に堆積される。導線46は、該導線の抵抗又はその抵抗の変化を測定することができるいずれかの電気的測定手段(図示せず)に取付けることができる。導線は一般的に、図示した形状のようないずれかの種類の波形形状を有し、この波形形状は、歪み測定の分解能を向上させることができる。しかしながら、導線はさらに、直線状とすることもできる。これもまた導電性であるコネクタ(リード線)48及び50が通常、図示していない適切な電源を有する回路(例えば、ホイートストーンブリッジ回路)内に接続される。コネクタ48及び50はまた、導線46をこれもまた図示する必要がない測定手段(例えば、ガルバノメータ、オシロスコープ又は同様なタイプの装置のような信号記録装置)に接続する働きをする。これらのコネクタもまた、直接描画によって形成することができる。さらに、装置は、例えばディスプレイ構成要素のような他の従来型の機構もまた含むことができる。
試験片42に対して荷重が加わると(例えば、温度上昇によって)、その寸法は、試験片内の歪みの結果として変化することになる。例えば、試験片は、図示するように長さ(「L」)方向に伸長する可能性がある。この伸長は、層44もまた伸長させることになる。次に、通電した導線46は、伸長又は破断し、それによってその抵抗が変化するか又は回路が切断されることになる。導線46の状態のあらゆる変化は、信号記録装置によって直ちに検出される。一般的な較正及び/又は変換機構が、これらの変化を試験片42内の歪みの測定値に変換する。(信号記録装置が、例えば電圧、電流、抵抗又は抵抗率のようないずれかの電気特性を検出する様々な測定機構を備えることができることは、当業者には明らかである。従って、この機構は、電圧計、電流計などを含むことができる。)図2に示した装置は、極めて局所的な歪み測定に特に有用であるが、この装置は、多くの異なる状況においても使用することができる。
図3には、歪みを測定するための別の例示的な装置を示している。堆積物又はパッド70及び72は、直接描画プロセスによって試験片76の表面74上に付着させることができる。堆積物は通常、前述のような非導電性材料を含み、かつ様々な形状及びサイズとして形成することができる。堆積物は、表面74上の関心領域を橋絡するか又は関心領域間で「延びる」。これもまた直接描画することができる導線78は、パッド70と72とを接続する。表面74が、金属又はその他の導電性である場合、導線78は、該導線の形成に先立ってこれもまた直接描画することができるいずれかのタイプの下にある絶縁層79によって表面から絶縁されるのが好ましい。表面74が非導電性である場合には、絶縁層は、存在させる必要がない。さらに、他の実施形態として、導線78は、図2におけるような例えば波形のようないずれかの形状とすることができる。
引き続き図3を参照すると、導線80及び82は、それぞれパッド70及び72から延びる。各導線は、電圧計のような適切な測定装置(図示せず)及び前述した他の従来型の装置に直接的又は間接的に取付けることができる。素子80及び82は、従来型の導線とすることができ、或いはそれらは、直接描画プロセスによって全体を又は部分的に形成することができる。例えば、他の実施形態について前述したように、表面74上に位置した導線の一部分は、該表面上に直接描画することができる。導線の独立した部分は、別個の取外し可能な基体上に直接描画し、次に表面74上に位置する導線の端部に融着(例えば、溶接又はロウ付けによって)させ或いはいずれかの他の方法で接続することができる。さらに、図2におけるように、この歪みゲージは、あらゆる従来型の方法によって電気回路内に接続される。例えば、導線80及び82は、従来型の電源に接続することができる。
多くの方法が、導線80及び82を導線78に接続するために利用可能である。各接続部位84及び86は、それぞれパッド70及び72の中央部に位置するものとして示しているが、接続部は、パッドのあらゆる部分に作製することができる。導線端部は、各接続部位で従来と同様に融着させることができる。それに代えて、導線80及び82が直接描画されている場合には、その直接描画堆積物は導線78の各端部との接触が行われるポイントまで簡単に延ばし、その後以下に説明する熱処理を行うことができる。従って、接続部位84及び86は、単に融着接触ポイントとすることができる。幾つかのケースでは、接触部位はまた、パッド70及び72内に、表面74の下にある導電性領域を露出させた開口部を含むことができる。これらの開口部は、強固な電気接続を確立するのを助けることができる。開口部は、穿孔のような従来型の方法によって、或いは各パッドを形成する時に、直接描画パターン内にこのような開口部を単に組み込むことによって形成することができる。
図2の実施形態のケースにおけるのと同様に、図3において試験片76に加わる力により、試験片の長さ(L)の寸法変化が生じることになる。例えば、試験片の伸長は、堆積物70及び72間の間隔を増大させることになる。このことにより次に、導線78の長さ又は状態の変化が生じ、それによって導線の抵抗が変化する。関連する測定装置による抵抗の変化(導線80及び82を介しての)の測定及び解釈により、所望の歪み測定が得られる。応力計算は、フックの法則に基づいてこの歪み値を使用することによって行うことができる。
歪みの電気的測定値を無線手段によって送信する場合には、導線80及び82は不要となることを理解されたい。例えば、装置内に適切なアンテナを組み込んで(例えば、測定装置の一部として)、電気的歪み測定値の通信を受信することができる。アンテナ(図示せず)もまた、直接描画によって形成する(さらに以下で説明するように)ことができ、かつ表面74上の適切な位置に配置することができる。(当業者には明らかなように、信号測定装置に関連した受信機に対して、別のアンテナを取付けることができる)。さらに、導線80及び82が存在しない場合には、歪み装置の電気回路に通電するための他の方法を、容易に案出することができる。図3に示す装置は、図2の装置の場合よりも大きい領域にわたる歪みを測定するのに有用であるが、この装置は、多くの異なる状況においても同様に使用することができる。
図4は、様々な材料で形成することができる試験片100を示している。非限定的な実施例には、ステンレス鋼、チタン又は超合金材料がある。上述のように、そのような材料は、例えば高温及び腐食性環境のような非常に苛酷な条件に曝される構成部品を形成するために使用されることが多い。(この構成要素は、例えば耐酸化性金属皮膜又は断熱皮膜のような1つ又はそれ以上の保護皮膜によって被覆することができる)。試験片の表面104内には、割れ102を示している。この割れは、説明のために適切な寸法で示しているが、割れは極度に小さく、おそらく人の目によっては全く検出することができない可能性があることを理解されたい。例えば、割れは、試験片の高応力領域内の開始傷(starter flaw)の形態である可能性がある。割れは、繰返し又は定常的応力で生じた応力腐食割れ(SCC)である可能性がある。
図3の実施形態におけるのと同様に、パッド又は接触ポイント106、108は、割れの各側部に、或いは割れの発生及び成長が予測される選択領域を横切って、直接描画法によって堆積させることができる。関心領域上の複数の接触ポイントを接続する1つ又はそれ以上の導線/導体110もまた、直接描画法によって堆積させることができる。図4では、導体110を波形として示しているが、導線は、前述のように直線状又は他の形状とすることができる。表面104が導電性である場合には、導線110は通常、いずれかのタイプの下にある絶縁層111によって表面から絶縁される。層111もまた、導線の形成に先立って直接描画することができる。
導線112及び114が、それぞれパッド106及び108から延びる。各導線は、電圧計のような適切な測定装置(図示せず)に対して直接的又は間接的に接続することができる。例えば導線によって形成される回路に通電するための電源のような前述の他の従来型の装置に対してもまた、接続が行われる。図3の場合におけるのと同様に、これらの導線は従来型の導線とすることができ、或いはこれらの導線は、直接描画プロセスによって全体を又は部分的に形成することができる。さらに、パッド106、108と測定装置との間で無線接続を確立する場合には、導線は不要になる。
他の実施形態におけるのと同様に、試験片100に加えた何らかの意図的応力により、割れ102を発生させるか、或いはその部位に既に形成された割れを拡大させる歪みを生じさせることができる。多くの場合、その意図的応力は、試験片の加熱炉サイクルによって誘発させることができる。歪みは通常、接触ポイント106及び108間の間隔を増大させ、それによって、前述のように導線110の抵抗を変化させる。抵抗の変化は、適切な装置によって測定され、得られた値は、たとえ微小な成長であっても割れ成長の極めて正確な測定値を提供することができる。
さらに、直接描画プロセスの融通性により、試験片100のための接触ポイントの位置の急速な変更が可能になる。(それらの位置を調整することにより、より迅速である又はより信頼性がある割れ成長検出のために所定の状況において歪み‐電圧パラメータを調整するのが望ましいことがある)。同様に、直接描画法は、導体110又は接触ポイントの組成を迅速に変更することを、その変更が試験解析をより容易なもの又はより信頼性があるものにする場合には、可能にする。例えば、試験片に対する温度又は環境条件の変化に基づいて、異なる試験片の組に他の組成物を使用することができる。
例えば図2〜図4に示す実施形態のような本発明の多くの実施形態は、例えば超合金又は上述の他の金属材料のような金属試料の特性の測定に関する。しかしながら、特性はまた、非金属材料についても測定することができることを強調しておきたい。実施例には、様々なプラスチック又はセラミック構成部品、或いは様々な構成部品上に施工されたプラスチック又はセラミック皮膜(例えば、断熱皮膜)が含まれる。非限定的な実施例として、上述の方法で、歪み又は他の特性を測定するために直接描画によって非金属表面上に導電性導線を堆積させることができる。これらの場合では、導線と非導電性試験片(すなわち、基体又は皮膜)との間の電気絶縁を形成するベース材料の必要性は、その試験片が例えば非常な高温で導電性となる可能性がない限り、存在しないことになる。
さらに、様々な実施形態では直接描画された導電性導線は通常、金属製である。しかしながら、導線が同様にセラミックベースのものとすることができることは、当業者には明らかである。非限定的な実施例には、高温で電流を導通する能力を有する様々なタイプの炭化ケイ素材料が含まれる。
様々な他のタイプの歪みゲージ装置もまた、直接描画法によって形成されたセンサ素子を含むことができる。ゲージの多くは歪み誘起電気抵抗の測定に基づいているが、キャパシタンス又はインダクタンスに基づいた装置もまた、当技術分野では公知である。これらの歪みゲージタイプの非限定的な実施例には、(1)密着接合金属箔素子、(2)基板内に拡散されかつその上に密着接合した抵抗素子で作製された半導体ウェーハ、(3)試験片上に堆積されたセラミック層に分子結合した薄膜素子、及び(4)拡散半導体素子がある。これらの歪みゲージの各々における導線、接触ポイントなどのような特徴部は、直接描画によって形成することができる利点がある。多くの場合では、装置は、より高い耐久性と再使用のためのより大きな可能性とを有し、これは、直接描画された構成要素の結合力に或程度起因する。これらの属性は、前に述べた苛酷な条件で装置を使用される時に、特に重要である。
1つの通常使用されるタイプの装置は、その全体を図5に示す接合型金属歪みゲージである。通常は非常に細い導線又は金属箔で形成されたグリッドパターン150が、裏当て又は「キャリヤ」152上に配置される。キャリヤ層152は、多くの場合ポリマー材料で形成されるが、ゲージが非常に高い温度で使用されることになる場合には、キャリヤ層はセラミックタイプの材料とすることになるのが好ましい。グリッドパターン150は通常、接着剤(図示せず)でキャリヤ152に接合される。キャリヤは次に、試験片156の表面154に取付けられる。(当業者には明らかなように、キャリヤ及び接着剤は、試験片からグリッドへの歪みの一貫した伝達を可能にする適合性材料で作製される。マトリクスはまた、電気絶縁体及び放熱体としても働くことができる)。
コネクタ162及び164は通常、グリッド組立体を直接的又は間接的に従来型の検知機構及び記録計/ディスプレイ(図示せず)に取付ける。歪みゲージの給電もまた、コネクタ162及び164を経由して行うことができる。はんだタブ158及び160は、対応するコネクタを装置の外部特徴部に取付けるが、他のタイプの接続も可能である。検知機構及び記録計/ディスプレイは、1つ又はそれ以上の従来型のコンピュータプロセッサを含むことができる。
グリッドパターン150は、平行な方向に、すなわちグリッド長さ「L」に沿って歪みを受ける導線又は箔の量を最大にするように設計される。(ここには図示していない位置合せマークが通常、グリッドパターンの位置を適正に位置合せするために、キャリヤの表面上に設けられる)。グリッドの断面積は通常、剪断歪み及びポアソン歪みの影響を低下させるために最小にされる。本発明によると、キャリヤ152は、直接描画プロセスによって形成することができる。さらに、グリッドパターン150全体は直接描画によって形成することができ、任意選択的なはんだタブ158、160及びコネクタ162、164も同様に形成することができる。グリッドをキャリヤに結合するのに使用されることもある接着剤もまた、この直接描画法で形成することができる。直接描画は、グリッドのパターンの最大精度を可能にし、それによって、特定の歪み試験を行う時に、非常に正確な電気的測定を促進する。
図5の歪みゲージの機能に関する他の細部は、当技術分野ではよく知られている。いずれかのタイプの応力(例えば、温度サイクルによる)が試験片156に加えられた時、発生した歪みは、試験片からキャリヤを介して通電グリッドパターン150に伝達される。一般的に、電気抵抗における得られた変化は、コネクタ162及び164に取付けられた検知機構及び記録計/ディスプレイによって測定されかつ記録される。しかしながら、図5の歪みゲージのような歪みゲージは、構造、形状及び機能を広範に変化させることができるが、依然としてこれらの教示の範囲内にあることを今一度強調しておく。
機器設定における直接描画プロセスの融通性は、図5の実施形態の有用な修正を可能にする。図6は、1つのそのような別の実施形態を示す。(図6において特定の符号付けしていない特徴部は、図5のものと同一である)。この実施形態では、コネクタ172及び174は、グリッドパターン170の部分から単に延びる直接描画した導線の形態とすることができる。従って、図5で使用したはんだタブは、必要でない。導線172及び174は、グリッドの組成と同一の組成とすることができる。しかしながら、それらの機能(すなわち、導電性接続)は、グリッドの歪み検知機能とは異なるので、一般的には、導線の組成はまた、異なるものとすることになる。以下でさらに説明するように、グリッド170及び導線172、174は、直接描画装置の供給材料を変化させることによって連続又はほぼ連続プロセスで直接描画することができる。他の実施形態におけるのと同様に、導線は通常、グリッド組立体をいずれかのタイプの検知機構及び記録計/ディスプレイと接続することになる。
材料試験に一般的に使用される他の装置はまた、直接描画法によって形成されたセンサ素子を含むことができる。非限定的な実施例には、様々な機械的試験装置が含まれる。これらの装置の多くは、3つのカテゴリ、すなわち定荷重タイプ、定荷重速度タイプ、及び定変位速度タイプに分類される。当業者は、これらのタイプの装置の構造及び作動に精通している。
さらに、センサ素子を直接描画することによって形成された装置は、監視される環境内の基体に取付ける必要なしにそのような環境内に組み込むことができる。実例として、装置は、タービンエンジンの様々な通路を通って流れる流体の経路内に配置して、ガスの温度、圧力、速度などを測定することができる。1つの非限定的な実施例として、いずれかのタイプの分離した基体上に(すなわち、タービンの表面上ではない)熱電対を形成し、次に分離した基体をタービン内の適切な通路内部に吊り下げることができる。
センサ素子を形成するために本発明で使用する直接描画法は、当技術分野では公知であり、多くの参考文献に記載されている。例としては、米国特許第6,660,680号(Hampden−Smith)があり、この特許は、参考文献として本明細書に組み入れる。A.Pique及びD.B.Chrisey編の「Direct−Write Technologies for Rapid Prototyping Application」、Academic Press、2002のような指示テキストもまた利用可能である。多くの実施形態では、直接描画法は、センサ素子を形成するために使用することができる他の方法に優る大きな利点を有する。例えば、直接描画プロセスは、下にある基体又は皮膜表面内に溝を形成することを必要としない(また、実際には、もはや必要又は所望でない溝内を充填するように使用することができる)。直接描画プロセスはまた、物理的蒸着(PVD)法に優る利点を有する。多くのケースでは、PVDは、例えば真空を維持するために必要なような装置にある程度起因して、時間がかかりかつ費用がかかる可能性がある。さらに、PVD法は、多くの場合、表面への堆積材料の適切な付着を補償するために精密な表面処理を必要とする。
大半の直接描画法は通常、液体溶媒又はいずれかの他のタイプの流体媒体内での堆積材料(又は、その堆積材料の前駆体)の懸濁を必要とする。懸濁材料は通常(必ずではないが)、微細粒子の形態である。幾つかの場合では、懸濁媒体としてエアロゾルが用いられる。描画法は一般的に、適切な直接描画ツールを使用して、オリフィスを介して表面に向かって液体を射出することによって実施される。通常、ツールそれ自体は、表面に実質的に接触しない。直接描画ツールは、プリント表面に対するx−y−z格子全体にわたって、制御可能である(すなわち、基体及び装置のいずれか又は両方が移動することができる)のが好ましい。さらに、直接描画ツールを使用して、湾曲した又は不規則な基体並びに平坦な表面上に容易にセンサ素子を付着させることができる。
一般的に、直接描画法のための堆積材料としては、多種多様の金属、セラミック又はポリマー粉末を含むことができる。本発明の場合では、堆積材料は、言うまでもなくセンサのための所望の材料に応じて決まることになる。多くの場合、粉末は溶剤に均一に分散され、スラリー(直接描画プロセスのための専門語では、「インク」又は「ペースト」と呼ばれることが多い)が形成される。様々な添加剤もまた、存在させることができる。例えば、異なるタイプの界面活性剤を添加して、スラリーに適切な流動特性を与えることができる。さらに、デンプン又はセルロースのようなバインダもまた、その後の熱処理に先だって、堆積材料の健全性を強化するために使用されることが多い。スラリーは、様々な因子に基づいて、例えば水からタールまでのような粘度の範囲を有することができる。それらの因子には、用いる直接描画法のタイプ並びに例えばそれらのサイズ、形状及び必要な結合力のような形成される特徴部のタイプが含まれる。スラリー又はインクは、自動化した方法で、あらゆるタイプの基体上に直接付着させることができる。通常、CAD/CAMインタフェースが、堆積の所望のパターンをプログラムするために使用される。
スラリーの形成に関する一般的な詳細の多くは、当技術分野では公知であり、ここで広範囲に説明する必要はない。「Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第4版5巻610〜613頁」並びに米国特許第6,613,445号及び第5,985,368号(両特許はSangeeta他に付与されたものであり、参考文献として本明細書に組み入れる)のようなセラミック加工に関する様々な情報源を参照されたい。さらに、上述の直接描画のテキスト(Pique及びChrisey)には、直接描画インク及びペースト配合物の望ましい特性の多くのが記載されている。
要するに、スラリーは、良好に分散されかつ気泡及び泡立ちがないのが好ましい。スラリーは、用いる特定の直接描画法の必要条件に従って調整された適切なレオロジー特性を有する。(例えば、セラミックスラリーは、下記のように、様々なペン技法を使用する時に練り歯磨きの軟度を備えることが多い)。好ましくは、スラリー内の固体粒子沈降速度は、可能な限り低くすべきである。スラリーはまた、化学的に安定していなければならない。さらに、乾燥時に、堆積材料は、基体又は基体上に堆積させた層の上でその形状を保持しなければならず、例えば焼成前の仕上げ及び取扱いのようなその後の段階のための十分な強度を有していなければならない。
多種多様の添加剤をスラリー内に存在させて、必要な特性を得ることができる。非限定的な実施例には(上述のバインダ及び界面活性剤に加えて)、増粘剤、分散剤、解膠剤、沈降防止剤、可塑剤、軟化剤、潤滑剤、界面活性剤及び消泡剤が含まれる。当業者は、必要以上の実験なしで、使用するあらゆる添加剤の最も適切なレベルを選定することができるであろう。スラリーは、あらゆる従来型の混合法によって調製することができる。非限定的な実施例には、高速ブレンダ、リボンブレンダ、回転キャニスタ及び例えばロールミルのような剪断混合、並びに超音波攪拌が含まれる。
前に触れたように、本発明に使用することができる直接描画法は、当技術分野では公知である。例えば、セラミック材料の直接描画に使用されることが多い溶射法は、Pique/Chriseyのテキスト(例えば、265〜293頁)に記載されているように従来型のプロセスに由来している。非限定的な実施例には、高速ガスフレーム(HVOF)法、及び真空プラズマ堆積(VPS)のようなプラズマ法が含まれる。HVOFは、非常に高速で溶射ガンのジェット噴流内に粉末を注入する連続燃焼法である。当業者は、一次ガス、二次ガス(使用する場合)及び冷却ガスの選択、ガス流量、出力レベル、皮膜粒径などのような様々なHVOFの詳細に精通している。
典型的なプラズマ法では、汎用DC(直流)熱プラズマトーチを使用して、カソードと環状の水冷式銅アノードとの間に安定した電気アークを形成する。プラズマガス(多くの場合アルゴン又は別の不活性ガス)が、溶射ガン内部の背面に導入される。ガスは、渦流の状態で旋回し、次にアノードノズルの前面から流出する。カソードからアノードへの電気アークにより電気回路が完成され、噴出プラズマフレームが形成される。
プラズマ溶射法に精通した人には解るように、プラズマ温度は、例えば40kWで作動する従来型のDCトーチの場合の15,000Kのように非常に高いものとすることができる。基体に堆積される材料(例えば、セラミック)は通常、粉末の形態で供給される。粉末は、プラズマフレーム内に導入される。粉末粒子は、フレーム内で加速されかつ溶融され、基体への高速経路をたどって、そこで粉末は基体に衝突しかつ急速に凝固する。当業者は、一般的なプラズマ溶射法における変動事項について精通しており、また様々な堆積材料にプラズマ法を適合させる方法を熟知している。本発明の場合では、プラズマ法及び他の溶射方法は、コンピュータインタフェースを備えるように修正されている。このタイプの方法は、例えば米国特許第6,576,861号に全体的に記載されており、この特許は、参考文献として本明細書に組み入れる。
別の適切な直接描画法は、レーザ化学蒸着(LCVD)であり、これもまたPique/Chriseyのテキストに記載されている。LCVDは、膜成長のための熱的方法である。要するに、レーザは、堆積材料の前駆体のアクチベータとして使用され、前駆体は、光分解、熱分解又は振動励起/回転励起される。この方法は、「質量付加」によって基体上に複雑な構造体を形成するために使用することができる。この材料堆積は、他の直接描画プロセスにおけるのと同様に、コンピュータ化動作制御の下で実施することができる。米国特許第5,154,945号及び第5,060,116号でもまた、LCVDの様々な態様が論じられており、これら特許は、参考文献として本明細書に組み入れる。
別の極めて一般的な直接描画プロセスは、インクジェット法に基づいている。この方法は、Pique/Chriseyのテキスト(例えば、第7章)に、また例えば「Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology」、第4版(1996)20巻112〜119頁のような多くの他の参考文献に広範囲に記載されている。例えば、連続モードシステム及びデマンド・モード(例えば、インパルス)システムのような様々なインクジェットシステムを使用することができる。後者のカテゴリ内にも同様に、例えば圧電システム及び熱インパルスシステムのような様々なタイプのインパルスシステムがある。インクジェットシステムのための電子制御機構もまた、当技術分野ではよく理解されている。例えば、堆積の所望のパターンがプログラムされているCAD/CAMインタフェースを用いるなどのような様々なコンピュータ制御システムを使用することができる。
当業者は、通常水性又は溶剤ベースのものとすることができるインク組成物の必要条件に精通している。上述の添加剤の幾つかに加えて、インクジェット組成物は、ある程度この堆積方法に特有な他の成分を含有することができる。例えば、ノズル内でのインクの乾燥を抑制するために、湿潤剤及び選択した助溶剤を使用することができる。本開示に従って使用されるスラリーの組成は、インクジェット堆積に適合するように容易に調整することができる。
本発明に使用することができるさらに別の直接描画プロセスは、レーザ誘導直接描画(LGDW)である。このタイプの典型的なプロセスでは、Pique/Chriseyのテキスト(例えば、10頁及び646〜648頁)に記載されているように、堆積粒子の流れが形成される。粒子は、レーザビームによって拘束され、基体の選択した領域上に導かれる。多くの場合、粒子は、例えば水の懸濁液のような懸濁液として作られる。幾つかの場合では、レーザビームとの接触のために、超音波噴霧を使用して、雰囲気内に粒子が散布される。
レーザ粒子誘導システム及び関連する詳細はまた、米国特許第6,636,676号及び第6,268,584号に記載されており、これら特許は、参考文献として本明細書に組み入れる。後者の特許に記載されているように、レーザ粒子誘導システムは一般的に、堆積のパターンを導くようにコンピュータ作動する様々な位置決め機構を含む。LGDWシステムの幾つかは、ニューメキシコ州アルバカーキ所在のOptomec Design Companyから市販されている。
「MAPLE」法は、本発明に適した直接描画プロセスの別の実施例である。(この頭字語は、「matrix assisted pulsed laser evaporation」に対応する)。MAPLE法は、Pique/Chriseyのテキスト(例えば、138〜139頁、521頁以下参照)にかなり詳細に記載されている。この方法はまた、米国特許第6,660,343号及び第6,025,036号にも記載されており、両特許は、参考文献として本明細書に組み入れる。
要するに、MAPLEは、集束紫外レーザを使用してキャリヤ上の皮膜から基体上に材料を移送する。1つのタイプのMAPLEシステムでは、レーザは、キャリヤ(通常透明である)を通過して、キャリヤ−材料の境界面において背面から移送される材料に衝突する。材料は、レーザエネルギーを吸収するように設計され、境界面での局所的蒸発が発生する。このようにして、堆積材料の離散的「パケット」は、コンピュータ制御したパターンに従って基体に向かって前進する。キャリヤ及び基体の1つ又は両方を移動させながら一連のレーザパルスを使用することによって、所望のパターンが直接描画することができる。
当業者は、本明細書で使用する堆積材料の特性(例えば、粒径及びレオロジー)を、MAPLE法に適合するように調整することができるであろう。MAPLEを熟知した人によって、様々な他のプロセスパラメータもまた調整することができる。パラメータの実施例には、入射ビームエネルギー、パルスレーザ速度などが含まれる。
ペン・ディスペンシングシステムは、別の種類の直接描画法を代表するものである。このシステムは、多くの場合自動化シリンジを使用し、全体として「マイクロペン印刷」法と呼ばれることもある。引用したPique/Chriseyのテキストは、このシステムの一般的な説明(例えば、8章)を記載しており、このシステムはまた、上で引用したHampden−Smith特許にも記載されている。印刷ペースト又はインクのレオロジー並びにその湿潤及び付着特性のような上述のプロセス因子の幾つかは、ここでも同様に関連性がある。市販のペン・ディスペンシングシステムは、様々な供給元から入手可能である。例えば、Micropen(商標)ツールは、ニューヨーク州Honeoye Falls所在のOhmcraft,Inc.から入手可能である。Dotliner(商標)ディスペンスシステムは、ペンシルベニア州ハンティンドン・バレー所在のManncorpから入手可能である。オクラホマ州スティルウォーター所在のSciperio,Inc.が、同様なタイプのシステムを提供している。
例示的なペンタイプの堆積法は、2003年6月30日に出願されたR.Bunker他の同時係属中の米国特許出願第10/611,745号(代理人ドケット番号121278)に記載されている。この特許出願は、参考文献として本明細書に組み入れ、かつ本出願では、1つの非限定的な実施形態を図7に示している。堆積材料の混合物200は、ノズル又は「ペン」202を通して試験片/ワークピース206の表面204上に送給される。混合物の組成は、センサ材料の必要な組成物に応じて決まることになる。従って、幾つかの実施形態では、混合物200は、液体媒体208内に分散したセラミック粉末207を含むセラミックスラリーである。(上述のように、スラリーの粘度は、非常に高いこともある)。
他の実施形態では、混合物は、液体中に懸濁した1つ又はそれ以上の金属粉末を含む。それに代えて、混合物は、例えばポリマー組成物を含むことができる。ポリマー組成物は、高温において実質的に液体の形態を保つ熱可塑性材料とすることができる。別の実施形態として、ポリマー組成物は、熱及び/又は触媒作用によって重合するまでは液体の形態を保つモノマー材料とすることができる。
混合物200は、制御した速度でノズル202を通して強制的に押し出されて、付加的(positive)特徴部210すなわちセンサ素子のための所望の形状及びサイズが得られる。表面上で、ペンによる1回又はそれ以上のパスを行うことができる。各パスにおいて所望の寸法を形成するように、ノズルのオリフィスのサイズ(以下で述べる他の因子と共に)が選択される。
材料の堆積の間に、予め定めた形状を有するセンサ素子210が形成されるように、ノズル202は、表面204に対して移動される。(上で触れたように、この予め定めた形状は、例えばCAD/CAMファイルなどのようなコンピュータで生成されかつ該コンピュータ内に記憶される)。この「移動」は、コンピュータ制御を用いて、ノズル又は試験片表面を移動させ、或いはその両方を移動させることによって実施される。例示的なコントローラは、その全体を要素212として示している。基体表面上に堆積される特徴部の高さ及び形状は、描画操作の間における供給材料流の流量及びペン先端とワークピースとの間の相対移動速度によってある程度決まる。
基板に対してセンサ材料を有効に付着させるための別のペンシステムは、2003年7月17日に出願されたS.Rutkowski他による同時係属中の米国特許出願第10/622,063号(代理人ドケット番号126762)に記載されておりされ、この出願は、参考文献として本明細書に組み入れる。日常会話で「ロボットペン」と呼ばれるこのシステムは、コンピュータ制御される。このシステムは、ワークピースを取付けるための多軸ステージと、ワークピースに垂直運動を与えるための協働するエレベータとを含む。通常、ペン先端はエレベータに回転可能に取付けられる。堆積材料を供給するディスペンサは、ピン先端と流れ連通した状態で接続される。ワークピースがペンに対して移動するにつれて、ディスペンサは、ワークピースの表面に材料流を噴出する。
米国特許出願第10/622,063号に示されているロボットペンシステムは、コアの様々な表面上に正確に描画するための集合装置又はシステムとして適切に修正された主として従来型の構成要素の組立体である。(このようなシステムは、例えば複合多軸コンピュータ数値制御(CNC)機械のような市販のフライス盤を修正することによって取得することができる)。ロボットペンシステムは、大きな曲率を有する基体(例えば、試験片)に対して、或いは複雑な表面輪郭を有する基体に対してセンサ材料を付着させるのに特に有用である。
基体の表面に対してセンサ材料を付着させた後に、熱処理を実施して、あらゆる揮発性物質(バインダ、溶剤などのような)を除去し、かつ材料を圧密化しかつ強化する。幾つか場合では、堆積材料は、単独に或いは基体と共に(例えば、試験片全体)熱処理することができる。例示的な熱処理には、プラズマ、レーザ及び電子ビーム加熱のような集束エネルギー源、或いは何らかの他の局所的供給源による加熱が含まれる。それに代えて、温度が基体に対しての損傷を回避するのに十分なほど低い場合には、熱処理は、加熱炉内で実施することができる。熱処理は、予め設定した「焼成」温度で、或いは何らかの段階的なスケジュールに従って実施することができる。さらに、材料が1つ以上の層として堆積される場合には、熱処理は、各堆積の間に実施することができる。
熱処理の温度及び時間は、堆積させる材料のタイプ及びその寸法、並びに基体の組成のような様々な因子に応じて決まることになる。上述したセラミック材料(例えば、アルミナ又はアルミナ/シリカベースの)と同様なセラミック材料を堆積させるケースでは、熱処理スケジュールは、揮発性成分を燃尽させると同時に圧密化もまた促進するのに十分なものである。後者の現象は、当業者には公知であり、通常はセラミック粉末の粒体又は粒子に、該粒体又は粒子を互いにかつ基板材料に対して接合させる粒子間焼結メカニズムを行わせることを伴う。セラミック材料の加熱温度は一般的に、約1000℃〜約2000℃の範囲内にある。しかしながら、この範囲は、大きく変化させることができ、また主として揮発性材料を除去するためのより低温の温度段階も含むことができる。
金属は通常、それらの融点の約60%〜約70%の温度で焼結されるが、焼結温度は実質的に変化させることができる。ポリマーの熱処理温度は、主として使用する特定のポリマーに応じて決まることになる。通常、ポリマーの熱処理は、約25℃〜約250℃の範囲内にある。
上述のように、センサ材料は、基体上に堆積された多層を含むことができる。それらの層の殆ど又は全ては、直接描画法によって形成することができる。実例として、酸化物材料は、ニッケル超合金基体上に直接堆積させて、物理的支持体として及び/又は電気/熱絶縁体として役立てることができる。よく用いられる酸化物材料の非限定的な実施例には、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素が含まれる。酸化マグネシウムは、それがニッケル基の基体に一致した良好な熱膨張を示すので、特に有用である。
図8は、ニッケル基超合金で形成された基体230の簡略断面図である。酸化マグネシウム層(MgO)232が、基体の一部分上に直接描画された。アルミニウム、銅、パラジウムなどと同様な金属で形成されたセンサ材料234が、直接描画プロセスによってMgO層232の一部分上に付着された。シリカ又は他のガラス形成材料を含むことができるガラス保護膜236がまた、センサ材料234とMgO層232の一部分との上に直接描画される。
上にある皮膜の熱処理が、例えばそのミクロ組織を許容できない程度まで変化させることなどによって基体に悪影響を与えないことが、通常は極めて重要である。炉内加熱又はプラズマトーチ加熱のような従来型のプロセスで利用される必要な熱処理温度は、基体の融点をはるかに超える可能性があるという欠点がある。実例として、ニッケル基の基体の融点は、約1300〜1400℃である可能性がある。しかしながら、堆積させたMgO層232を圧密化させるのに必要な温度は、約2800℃もの高温、すなわちMgOの融点に近い高温になる可能性がある。そのような温度は、基体を補修不能なほど損傷させるおそれがある。
従って、本発明の別の実施形態は、直接描画プロセスによって形成されたセンサ層を、下にある基体或いは形成又は堆積されたあらゆる他の層に実質的な影響を及ぼさずに高温硬化処理する方法に関する。この方法では、集束エネルギー源が、センサ材料に、また焼結、圧密化、又はあらゆる他のタイプの硬化処理を必要とするあらゆる他の層に向けられる。(この方法の対象になるセンサ材料及びあらゆる関連する層は通常、粉末形態で堆積される)。
集束エネルギー源の非限定的な実施例には、プラズマトーチ、レーザシステム、電子ビームシステム及びイオンビームシステムが含まれる。これらのタイプの装置の全ては、当技術分野では公知であり、市販されている。幾つかの実施形態では、レーザシステムが特に好ましい。実施例には、CO2レーザ、Nd:YAGレーザ、Nd:YVO4レーザ及びXeClエキシマレーザが含まれるが、多くの他のレーザシステムも同様に可能である。図8に示すように、ビーム238は、基体230に実質的に影響を及ぼさずに、1つ又はそれ以上の層232、234及び236に向けることができる。
当業者は、レーザ及びレーザ送出システムの様々な特性を極めてよく熟知している。従って、網羅的な説明は、ここでは必要である筈がない。一般的に、レーザは、連続モード又はパルスモードのいずれかで作動させることができる。レーザは、該レーザが材料の特定の層内に或いは例えば特定の深さのようなその層の特定の部分内に非常に大量のエネルギー(これは熱に変わる)を注入することを可能にする。材料の堆積層の組成物とのレーザ光の相互作用は、焼結を開始させる。
レーザ処理の多くの態様は、2002年5月30日に公開されたKenneth H.Church他の米国特許出願公開第2002/0063117号(出願番号第09/837,265号)に記載されており、この米国特許出願公開は、参考文献として本明細書に組み入れる。レーザの作動条件は、ターゲット材料、すなわち熱処理される層の光吸収特性に大きく左右される。主要な特性には、吸光率、温度、光の波長、及び光の時間パルス幅(持続時間)が含まれる。これらの因子は、例えばピーク出力(Pmax)などの出力及び放射波長のようなレーザパラメータを選定するのに重要である。レーザシステムの当業者は、これらのパラメータの一部又は全てが、1つ又はそれ以上の層内部での所望の熱処理深さを得るために調整することができることを理解している。
Church他の参考文献に記載されているように、層の比較的薄い上側部分のみを焼結することが望ましいことがある。例えば、レーザビームは、層をその深さの約1%〜10%まで焼結するように調整することができる。この上側部分が選定した波長で焼結されると、上側部分が、レーザエネルギーをそらす反射ミラーとして作用することもある。このようにして、層の残り部分の焼結を回避することができる。さらに、パラメータは、上層は完全に焼結されるが下層の1つ又はそれ以上がレーザビームによって影響されない状態で残るように、調整することができる。例えば、下層の1つ又はそれ以上は、これ迄は幾つかの他の方法では熱処理されていた可能性があり、或いは熱処理を要しない可能性がある。当業者は、本明細書に記載した集束エネルギー法の全てについて最も適切な作動条件を容易に決定することができるであろう。
本発明の別の一般的な実施形態は、測定装置の補修に関する。前に説明したように、多くの装置は、温度、圧力、物理的応力、雰囲気条件などに関して極度の作動条件に曝される。それらの過酷な条件は、装置を故障させる(時間の経過にわたって正常作動条件とすることができる場合に)おそれがあることが多い。故障の一般的な理由には、例えば導線又はクリップの断線又は脱離のような1つ又はそれ以上のセンサ素子に対する損傷が含まれる。
直接描画プロセスを使用して、装置が適正な状態で機能するようにセンサ素子を容易に補修することができる。例えば、断線した導線は、新しい導線材料を直接描画することによって補修して接続を確立することができる。それに代えて、導線は、直接描画によって完全に交換することができ、或いは交換導線は、別の箇所に直接描画することができる。同様な方式で、上述のパッド、層、絶縁材料、結合部位などの多くは、容易に補修することができる。必要な場合には、交換又は補修材料は、硬化、焼結などのために後で熱処理することができる。この方法は、前述の熱電対装置及び様々な歪み測定装置のような種々の測定機器に対して耐久性のあるセンサ材料を形成する迅速な補修を行うのに特に有用である。
実施例
以下の実施例は、単なる例示的なものであり、特許請求した本発明の技術的範囲に対する何らかの種類の限定であると解釈すべきではない。