JP4936166B2 - 地質調査に用いるコア用保存ケース - Google Patents
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Description
地質試料等は、古くは金属管内に採取されていたが、重くなり、出し入れに労力を要するので、ほとんど利用されないのが現状である。金属管の代わりに特開2003−161677号公報の如く合成樹脂管を一時用いられていたが、近年、特開平10−19742号公報や実用新案登録第3067622号公報の如く、筒体を長さ方向に開閉可能に分割した断面半円形の樋状体を向い合わせに組合わせ、円筒状と成して地質試料等を採取した後、組合わせ状態にあった樋状体を二分割し、一対の試料採取コアを得るものである。
地質試料等の採取深度が浅い場合、通常、樋長さ10〜100cm程度の樋状体を用い、採取対象物に砂質土を含む場合、樋径10cm程度の樋状体を用いている。一般に、採取深度が深くなるに従って樋径の大きい樋状体を用いるが、樋長さは取扱上、最大250cm程度であるから、採取深度が1000m以上に達する地球深部探査等にあっては、試料採取コアの数量も膨大になる。
また、断面半円形の樋状体を用いた試料採取コアは、二個の樋状体を向い合わせに組合わせ、円筒状と成して地質試料等を採取した後、二分割したものであるから、これを別々に管理保存すると、同じ採取位置の地質試料等が分散し、信頼性が失われる問題もあった。
そこでこの発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とする所は、樋径の異なる樋状体を選択的に収納できて、しかも試料採取コア数が増大しても整然と簡単に保存管理できる保存ケースを提供することにある。
請求項2は、請求項1のコア用保存ケースにおいて、コア保持体は試料採取コアの載置部を2列平行に備えた二列式コア保持体と、試料採取コアの載置部を3列平行に備えた三列式コア保持体との何れか一方であることを特徴とする。
請求項3は、請求項2のコア用保存ケースにおいて、二列式コア保持体と三列式コア保持体の少なくとも一方が、コア保持体の長手方向に対して二分割〜六分割した分割保持体を連結したものであることを特徴とする。
ここで樋状体とは、一定の長さを有する合成樹脂製の断面半円形のもの、及び合成樹脂製の円筒を長手方向に半割りにした断面半円形のものを言い、試料採取コアとは、樋状体の内部に底泥や地質試料等を採取したものを言う。
ここで箱状本体とは、試料採取コアを2〜8本平行に収容し得る大きさの上方開放式の長尺箱を言い、出入口とは、コア保持体を箱状本体の長手方向に沿って出し入れする開口部を言う。
ここでコア保持体とは、試料採取コアを2本平行に保持する二列式コア保持体と、試料採取コアを3本平行に保持する三列式コア保持体とを言い、二列式コア保持体は主に1段式に、三列式コア保持体は上下二段式に用いるものであり、分割保持体とは、二列式コア保持体を長手方向に対して二分割〜六分割した二列式分割保持体と、三列式コア保持体を長手方向に対して二分割〜六分割した三列式分割保持体とを言い、各分割保持体を長手方向に連結したり接着し、二列式コア保持体や三列式コア保持体を構成するものである。
請求項5は、請求項1,2,3,4記載のコア用保存ケースにおいて、間隔適正部が箱状本体と別体に形成した間隔適正材であり、その間隔適正材を本体側壁の出入口側上部に設けた切欠部間に架設していることを特徴とする。
請求項6は、請求項1〜5のうちの1に記載のコア用保存ケースにおいて、間隔適正部より出入口側に、蓋体の嵌合部と着脱手段とを備え、蓋体は嵌合部に対応する遮蔽部と、着脱手段に対応する被着脱手段とを備え、装着状態において外部から箱状本体内部を透視し得るものであることを特徴とする。
ここで間隔適正部とは、本体幅を一定に保つものを言い、箱状本体と一体に形成することも可能であるが、間隔適正材を別体に形成し、これを箱状本体に後から固定または着設することで、箱状本体の生産能率が向上する。
ここで蓋体とは、出入口を塞ぐものであって、しかも着脱自在であり、装着時にロックし得るものを言い、箱状本体内部を透視し得るとは、蓋体を透明材や半透明材にて形成するか、蓋体の一部に透明部や半透明部を設け、外部からの直接透視を可能にすることを言い、着脱手段と被着脱手段とは、蓋体を箱状本体の嵌合部に直接嵌脱し得るもので、且つ、箱状本体の積量ね状態においても嵌脱し得るものであればその構造は自由である。
請求項8は、請求項1〜7のうちの1に記載のコア用保存ケースにおいて、少なくとも箱状本体が二重壁構造を成し、上縁部に鍔部を備え、鍔部に連続する外壁に補強部を適宜間隔で形成し、補強部の形成部を除く鍔部に把持部を備えていることを特徴とする。
請求項9は、請求項1〜8のうちの1に記載のコア用保存ケースにおいて、構成部品の総てを、少なくとも耐水性を備えた非磁性素材にて形成したことを特徴とする。
ここで二重壁構造とは、箱状本体の重さが15Kg以内で、且つ、試料採取コアの積載状態で50Kg以内に収まり、少なくとも5段積みが可能な強度及び構造を有することを言う。
ここで把持部とは、持ち運びを容易にする手段であり、例えば側壁と端壁の上縁に設けた鍔部を把持部とすることが好ましいが、本体幅からはみ出してはならない。
ここで非磁性素材で形成するとは、主たる目的は地質試料等に影響を与えないためであり、更に耐水性、耐有機溶媒性、耐塩素材であり、保存温度(+2℃〜+50℃)に耐える素材が好ましい。
請求項1のコア用保存ケースは、箱状本体の出入口よりコア保持体を挿入し、該コア保持体の載置部に沿って地質試料等を採取した試料採取コアを挿入した後、出入口に蓋体を嵌挿するだけで、複数の試料採取コアを一定間隔に平行して載置保存することができる。その結果、試料採取コアの集積効率が向上し、保存スペースもコンパクトになるし、取出しも簡単容易にもなる。
特に、試料採取コアを採取時のままの姿で安定した状態で保存し得るばかりか、軽くて取扱が簡便であり、簡単に洗浄して反復使用することも可能である。
また、本体開口部に間隔適正部を備えているので、樋状本体が合成樹脂製であっても、本体幅を一定に保つことができる。
請求項2のコア用保存ケースは、請求項1の特徴に加えて、コア保持体として、二列式コア保持体と三列式コア保持体とを備えているので、地質試料等を採取した試料採取コア、即ち、樋径に応じてコア保持体を選択使用し得る。
請求項3のコア用保存ケースは、請求項2の特徴に加えて、コア保持体が長手方向に対して二分割〜六分割された分割保持体を連結したものであるから、使用時を除いて、分割してコンパクトに保管したり移動し得る。
請求項5のコア用保存ケースは、請求項1,2,3,4記載の特徴に加えて、箱状本体と別体に形成した間隔適正材で間隔適正部を形成しているので、間隔適正部を箱状本体と一体成形する場合より、箱状本体の製造能率が飛躍的に向上する。
請求項6のコア用保存ケースは、請求項1〜5のうちの1記載の特徴に加えて、蓋体は着脱手段と被着脱手段によって嵌脱自在となる。しかも同じコア用保存ケースの積重ね状態においても簡単に嵌脱することができる。特に、透視可能であるから、蓋体を開放揺動したり取外すことなく試料採取コアの収容状態を外部から直接透視し得る。
請求項8のコア用保存ケースは、請求項1〜7のうちの1記載の特徴に加えて、箱状本体が二重壁構造を成し、しかも上縁部に鍔部を、外壁に補強部を備えているので、強度と耐久力が向上し、5段以上の積重ねにも耐える。また、把握部を備えているので、持ち運びや移動も容易になる。
請求項9のコア用保存ケースは、請求項1〜8のうちの1記載の特徴に加えて、構成部品の総てを非磁性素材にて形成しているので、保存中に地質試料等に影響を与えることがない。その結果、試料採取コアに対する保存維持の信頼性が著しく向上する。
樋状体Pの樋長さhと樋径φは、地質調査対象によって異なるが、樋長さhとして採用し得る範囲は30〜2500cmであり、樋径φとして採用し得る範囲は40〜150mmである。本発明においては、樋径φ=90mm、樋長さh=1550mmの樋状体Pと、樋径φ=71mm、樋長さh=1550mmの樋状体Pとを用いるものとする。
試料採取コアQは、図10−2の如く樋状体Pに地質試料等Gを採取したものである。
間隔適正材14は図3−1と図3−2の如く、桁部4aの左右に側壁12の切欠部21に載置する重合部4bを備え、該重合部4bに上下方向の貫通孔4cと、下向きに突出する垂下部4dとを備え、軽量化するために全体を略同じ肉厚で形成し、リブ17にて適宜補強するものであり、垂下部4dを切欠部21の位置決め23に合致させ、貫通孔4cより切欠部21の雌ネジ部22にボルトBを螺入することで固定する。
蓋体7の着脱手段8は、間隔適正材重合部4bの出入口3側に設ける係合部8aと、本体底壁11の出入口3側に設ける縦孔8bとから成る。
また、コア保持体5は、長手方向に対して二分割した分割保持体6を連続して構成することも可能であり、即ち、図4−2及び図4−3の如く二列式分割保持体6Aと、図5−2〜図5−4の如く三列式分割保持体6Bとを形成し、各分割保持体6A,6Bの長手方向の一端側に連続手段16として、雄連結部16aと雌連結部16bとを備え、軽量化するために抜き孔5cを設けると共に、全体を略同じ肉厚で形成し、リブ17にて適宜補強するものであり、連続手段16の雄連結部16aと雌連結部16bは、同じ二列式分割保持体6A,6Aの一端側を向かい合せにし、或は分三列式割保持体6B,6Bの一端側を向い合せにし、向かい合った雄連結部16aと雌連結部16bとが相互に噛み合うものである。
特に三列式コア保持体5Bは、載置部5aと境界部5bとを交互に備え、境界部5bより上側に支持手段15として、同じ三列式コア保持体5Bの下部に係合する支持部15aを設け、同じ三列式コア保持体5Bを上下二段に収納し得るようにする。
間隔適正部4として間隔適正材14を用い、蓋体7を透明材にて形成しておく。
コア保持体5として、予め二列式コア保持体5Aを二分割した二列式分割保持体6Aと、三列式コア保持体5Bを二分割した三列式分割保持体6Bとを形成しておく。
構成部品の箱状本体1と間隔適正材14、及びコア保持体5,5A,5Bと分割保持体6,6A,6Bと蓋体7の総てを、少なくとも耐水性を備えた非磁性素材にて形成する。
箱状本体内に二列式コア保持体を収納する場合、二列式コア保持体の載置部を上に向けて出入口の前方に位置し、出入口から端壁に向けて押込めば、二列式コア保持体は本体底壁に沿って挿入し、図7−1と図7−2の如く収納される。
箱状本体内に三列式コア保持体Bを収納する場合、図8−1と図8−2の如く先ず下段の三列式コア保持体Bを二列式コア保持体と同様に本体底壁の上に収納した後、その上に同じ三列式コア保持体Bを上段として収納する。
三列式コア保持体5Bを用いるコア用保存ケースCは、先ず箱状本体1から取出し状態にある三列式コア保持体5Bの載置部5aに試料採取コアQを載置し、これを下段三列式コア保持体5Bとし、次に下段三列式コア保持体5Bの支持部15aを利用して同じ三列式コア保持体5Bを上側係合し、上段三列式コア保持体5Bの載置部5aに試料採取コアQを載置した後、図8−3の如く上下二段に試料採取コアQを載置する状態で本体出入口3から奥に向けて挿入する。このように、二列式コア保持体5Aと三列式コア保持体5Bとに試料採取コアQを載置し、試料採取コアQを載置する状態で箱状本体1に納める場合、試料採取コアQの載置が容易である。
出入口3を塞いでいる蓋体7を取除くには、取付け時と反対の操作をする。
箱状本体1は、二重壁構造に形成することに限定されるものではなく、例えばFRPで一重壁構造に成形することも可能であり、その場合、間隔適正部4も一体形成する。
二列式コア保持体5Aと三列式コア保持体5Bの収納は実施例に限定されるものではなく、例えば二列式コア保持体5Aを本体出入口3の前方から奥に向けて挿入し、二列式コア保持体5Aを先に納めておき、その載置部5aに後から試料採取コアQを挿入することも可能である。
又、三列式コア保持体5Bにあっては、先ず箱状本体1に三列式コア保持体5Bを納め、試料採取コアQを出入口3の前方に位置し、これを出入口3から三列式コア保持体5Bの載置部5aに沿って挿入する。次いで、同じ三列式コア保持体5Bを下段三列式コア保持体5Bの上側に挿入し、下段三列式コア保持体5Bと係合した後、上段三列式コア保持体5Bの載置部5aに試料採取コアQを挿入することも可能である。
樋状体Pは、地質試料等Gを採取するまで、本発明のコア用保存ケースCと別に保管輸送されるが、図9−1の如く二列式コア保持体5Aの載置部5aに載置しておくことも可能であるし、図9−2の如く三列式コア保持体5Bの載置部5aに載置しておくことも可能である。
本発明のコア用保存ケースは、地盤改良後の地質調査等のような試料採取にもきわめて有効である。海洋、河川や湖沼等のような水面下における地質試料G等の採取、南極や氷河における氷質試料の採取にも応用可能であるし、試料採取コアQ以外の管、筒等の保存管理にも利用可能である。
また、本発明構成品の箱状本体1とコア保持体5と蓋体7、及び樋状体Pは繰り返し使用することが可能であるから、設備コストの低減化の上でも有利となる。
実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものである。
10 開口部、11 底壁、12 側壁、13 端壁
20 嵌入部、21 切欠部、22 雌ネジ部、23 位置決め、24 鍔部
25 把握部、26 補強部
3 出入口、30 嵌合部
4 間隔適正部
14 間隔適正材、4a 桁部、4b 重合部、4c 貫通孔、4d 垂下部
5 コア保持体、5A 二列式コア保持体、5B 三列式コア保持体
5a 載置部、5b 境界部、5c 抜き孔
6 分割保持体、6A 二列式分割保持体、6B 三列式分割保持体
16 連続手段、16a 雄連結部、16b 雌連結部
15 支持手段、15a 支持部
7 蓋体、7a 遮蔽部
8 着脱手段、8a 係合部、8b 縦孔
9 被着脱手段、9a 腕部、9b ストッパー
17 リブ
C コア用保存ケース
G 地質試料等
P 樋状体
Q 試料採取コア
H 本体長さ、S 本体幅、T 本体高さ
h 樋長さ、φ 樋径
t 間隔適正材厚さ
Claims (9)
- 断面半円形の樋状体(P)内に地質試料等(G)を収めた試料採取コア(Q)を収納・保管するものであって、
底壁(11)の左右に側壁(12)を相対設し、一端側に端壁(13)を、他端側に出入口(3)を備え、且つ上側に開口部(10)を有する箱状本体(1)と、出入口(3)より箱状本体(1)内に出し入れするコア保持体(5)と、出入口(3)に着脱自在に備える蓋体(7)とから成り、
箱状本体(1)は開口部(10)の少なくとも出入口(3)側に本体幅(S)を整える間隔適正部(4)を備え、コア保持体(5)は試料採取コア(Q)の載置部(5a)を2列又は3列平行に備え、各載置部(5a)に試料採取コア(Q)を保存し得るようにしたことを特徴とするコア用保存ケース。 - コア保持体(5)は、試料採取コア(Q)の載置部(5a)を2列平行に備えた二列式コア保持体(5A)と、試料採取コア(Q)の載置部(5a)を3列平行に備えた三列式コア保持体(5B)との何れか一方であることを特徴とする請求項1記載のコア用保存ケース。
- 二列式コア保持体(5A)と三列式コア保持体(5B)の少なくとも一方が、コア保持体(5)の長手方向に対して二分割〜六分割した分割保持体(6)を連続したものであることを特徴とする請求項2記載のコア用保存ケース。
- 三列式コア保持体(5B)は、支持手段(15)を介して上下に段重ね可能となることを特徴とする請求項2または3記載のコア用保存ケース。
- 間隔適正部(4)が箱状本体(1)と別体に形成した間隔適正材(14)であり、その間隔適正材(14)を本体側壁(12)の出入口(3)側上部に設けた切欠部(21)間に架設していることを特徴とする請求項1,2,3または4記載のコア用保存ケース。
- 間隔適正部(4)より出入口(3)側に、蓋体(7)の嵌合部(30)と着脱手段(8)とを備え、蓋体(7)は嵌合部(30)に対応する遮蔽部(7a)と着脱手段(8)に対応する被着脱手段(9)とを備え、装着状態において外部から箱状本体(1)内部を透視し得るものであることを特徴とする請求項1〜5のうちの1記載のコア用保存ケース。
- 箱状本体(1)の底部に、本体開口部(10)より一回り小さい嵌入部(20)を備え、同じ箱状本体(1)を上下嵌合状態に段重ねし得るようにしたことを特徴とする請求項1〜6のうちの1記載のコア用保存ケース。
- 少なくとも箱状本体(1)が二重壁構造を成し、上縁部に鍔部(24)を備え、鍔部(24)に連続する外壁(1b)に補強部(26)を適宜間隔で形成し、補強部(26)の形成部を除く鍔部(24)に把握部(25)を備えていることを特徴とする請求項1〜7のうちの1記載のコア用保存ケース。
- 構成部品の総てを、少なくとも耐水性を備えた非磁性素材にて形成したことを特徴とする請求項1〜8のうちの1に記載のコア用保存ケース。
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