JP4934385B2 - 線状集光レンズ、これを用いた太陽電池素子及び太陽電池モジュール、線状集光レンズの製造方法、太陽電池素子の製造方法及び太陽電池モジュールの製造方法 - Google Patents
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Description
この種の典型的な太陽電池モジュールとして、特許文献1に記載のものがある。
因みに、集光レンズの根元部とは、集光レンズにあって、太陽光等の外部光の照射を受ける側、すなわち光入射側の集光曲面と対向する面に形成された平面を指すものとする。
ところで、太陽電池セルは、通常、支持体を兼ねた基板上に、例えば、p型不純物ドープ非晶質半導体層とn型不純物ドープ非晶質半導体層とで、真性非晶質半導体層であるi層を挟んだpin構造等で構成された光電変換層を有している。
この集光部以外の太陽電池セルは、実質的には発電にあまり寄与しない。そのため起電力の強度差が発生し太陽電池の発電効率を低下せしめ、加えて太陽電池全体の重量を大きくする原因にもなっている。言うまでもなく、この種の太陽電池モジュールは家の屋根の上等に設置されることから、より軽量であることが求められている。
第2の発明は、第1の発明にかかる線状集光レンズと、該線状集光レンズの平面状の根元部に接触配置され、かつ前記線状集光レンズにより前記根元部に形成される集光部の幅と略同じ0.2mm〜5mmの幅を有する太陽電池セルとが一体化されていることを特徴とする太陽電池素子である。
また、前記太陽電池セルの周囲に反射層が設けられてもよい。
第3の発明は、第2の発明にかかる太陽電池素子が、パネル上に複数本隣接して、かつ各太陽電池素子の太陽電池セル同士が間隙を有するように、並行に並べられていることを特徴とする太陽電池モジュールである。
レンズ母材を延伸して線状集光レンズを形成した後、前記線状集光レンズの表面に樹脂を被覆してもよい。
第5の発明は、第4の発明にかかる線状集光レンズの製造方法によって、要部分が切り取られ平面状となった断面略扇型の線状集光レンズを製造後、前記平面状部分に太陽電池セルを接触配置することを特徴とする太陽電池素子の製造方法である。
さらに、前記太陽電池セルの周囲に反射層を形成してもよい。
第6の発明は、第5の発明にかかる陽電池素子の製造方法により製造された太陽電池素子を、パネル上に複数本隣接して、かつ前記太陽電池素子の太陽電池セル同士が間隙を有するように、並行配置することを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法である。
また、この線状集光レンズをガラス製にすれば、例えば、光ファイバ母材の線引き技術を応用して細線化が可能なため、集光レンズを極めて細くすることが可能になる。その結果、この集光レンズを用いた太陽電池モジュールの小型化が可能になる。
図1に示すように、この太陽電池素子1は、長手方向に延びる軸に対する垂直断面が略扇型であって、該扇型の根元部が平面状になっているガラス製の線状集光レンズ2(以下単に集光レンズ2という。)を有している。尚、この集光レンズ2の断面は左右対称の扇型になっている。
そして、この集光レンズ2の扇型の要の部分、すなわち平面状の根元部には、図1及び図2に示すように、集光レンズ2により、この根元部に太陽光等の外部光3を集光して形成される集光領域、すなわち、集光部の幅である集光幅Sと略同じ幅Tの条状発電領域を有する条状の太陽電池セル4が接触配置されている。
このように、太陽電池素子1は、基本的には集光レンズ2とこのレンズの根元部に接触配置された条状の太陽電池セル4とを有している。
ところで、図2は、図1に示す太陽電池素子の下部拡大図である。
尚、条状の石英ガラス製の基板表面に成膜したシリコン膜(光電変換層)を石英ガラス製の基板と一体のまま使用することもできるし、石英ガラスから切り離して使用することもできる。
後者の場合、高濃度のフッ酸液(HF)で基板である石英ガラスを溶解してもよい。このようにすれば、シリコン膜の裏面に別途下部電極を配置することも可能になる。
また、符号6は、太陽電池セル4やこれを支持する支持体5の側面や下面を覆うAl等の金属からなる反射層である。この反射層6は、集光レンズ2で集光され、下方の太陽電池セル4に入射された光が外部に放射されずに、反射層6により多段に反射され、光エネルギーが有効に電気に変換されるような役割を担っている。
この集光ルレンズ2の最適寸法は、例えば、図1における高さHについては、好ましくは2mm〜0.3mm程度であり、図2に示す幅W1の最適値は2mm〜0.3mmである。
尚、H、W1とも上限値は2mmであり、これ以上になると後述するような方法で製造した集光レンズ2を、その剛性が原因でドラムに巻き取り難くなるからである。そのため、高速での巻取りが困難になり、生産性が極端に悪化する。
ここで図3は、集光レンズ2の上方から入射した光量に対して、集光部に集光された光量の割合と、その光の方向から投影した面積に対する集光部に光が届いた面積の割合を、W0/Hに対してプロットしたものである。前者を黒い四角で、後者を白丸で示している。尚、W0は、図1に示すように集光レンズ2の根元部に形成されている平面状部分の幅を示している。
図3から判るように、W0/Hが1程度になると、反射回数が多くなっていって、集光部に届く光量が減衰してしまう。他方、W0/Hが大きければ大きいほど、集光レンズ2の上面と太陽電池セル4の距離が小さくなるので、集光部に届く光量は大きくなるが、、集光部が大きくなると、太陽電池モジュール全体の重量が大きくなってしまう。よってこれらを勘案すると、好適なW0/Hの範囲は1以上、2.5以下である。
そこでこの発明では、太陽電池モジュール全体をより小型にするために、集光レンズ2を石英ガラス製のものにし、かつ図4に示すように円筒状の石英ガラス母材を分割して得たレンズ母材2‘を、図5に示すような、いわゆる光ファイバを線引きする方法で延伸して得ることにした。
このうちの1個のレンズ母材2‘を、図5に示すように、ヒーター10を有する炉温約2000℃の加熱炉11に所定速度で挿入し、加熱して、前述したように、所定の大きさ、例えばH=600μm、W0=900μmの大きさになるように延伸速度を調整して延伸し、線状の集光レンズ2を得た。
ところで用いたレンズ母材2‘の表面の平均表面粗さは0.3μm、側面の平均表面粗さは1.0μmであった
因みに、集光レンズ2の、図1における高さHと幅W0の寸法の微調整は、延伸速度の調整により行うことができる。
また、被覆された被覆層は、実際に集光レンズ2として太陽電池モジュールに使用される段階では、溶剤等を用いて除去される。
尚、太陽電池セル4の前面から電流を取り出し易いように、太陽電池セル4の幅Tは、集光幅Sより大きくする場合もあるが、基本的にはほぼ同一の幅であり、平面状の根元部とほぼ同じ幅であることが望ましい。
また、従来のような平面状の太陽電池モジュールでも集光レンズ2の下部のみに太陽電池セルが形成されてもよい。
尚、前述したように、この実施の形態においては、集光レンズ2の長手方向に対して平行に導光するように、太陽電池セル4はその下部を電極で覆った導波構造にしてもよい。
また、集光レンズ2の長手方向に対して東西に太陽電池素子1を設置することにより、線状レンズ2の入射面に対して太陽光が垂直に入射しない場合、つまり太陽が太陽電池素子1の直上にある場合以外は、ある角度を持ってレンズに入射し、さらに太陽電池セル4に入射して、太陽電池セル4内を集光レンズ2の長手方向に導波することができるようにすることもできる。
それ故、図6に示すように、隣接する集光レンズ2、2間にあって、外部光3が集光されない部分には太陽電池セル4は存在しない。もちろん、必要により太陽電池セル4を支持する支持体5も、集光レンズ2で外部光3が集光されていない部分にあっては、省略されてもよい。
このように、図6に示す如く、隣接配置される集光レンズ2の根元部にあって、各太陽電池セル4同士は、間隙18を有している。
また、従来のように樹脂で集光レンズ2を成形加工した場合には、集光レンズ2の幅を10mm以下にすることは極めて困難であるが、ガラス製にして、図5に示すように延伸すれば、図1における太陽電池素子1の高さHや幅W0が、例えば、0.3mm前後の極めて細いものを容易に得ることができる。
その結果、一定面積のパネル20上に、従来のものより高密度で集光レンズ2を並行配置でき、単位面積当りの発電効率を向上させることができる。そして、太陽電池モジュールの小型化も図れる。
特に、希土類元素をドープした場合は、通常、太陽電池では使用できない波長域の光をも発電可能な波長域の光に変換することが可能となり、好ましい。
またレンズ母材2‘としては、図4に示す装置を採用できるものであればよく、それ故、石英ガラスに限らず多成分系ガラスでもよいことは言うまでもない。
しかしながら、図5に示す方法で延伸した場合には、例えば、通常、レンズ母材2‘の寸法の1/10程度の寸法に延伸するため、またレンズ母材2’は加熱炉11のヒーター10で加熱され、溶融するため、仮に最初レンズ母材2’の表面の表面粗さが大きかったとしても、延伸して得られた集光レンズ2の表面粗さは小さくなる。
もちろん必要なら、加熱延伸する前に、レンズ母材2‘の表面を予めエッチングや研磨等して、表面粗さを小さくしておいてもよい。
さらには、この集光レンズ2を太陽電池素子1に組み立てる際、被覆層の除去をより容易にするために、延伸直後の集光レンズ2の表面に保護テープを貼ったり、保護ラップを巻いたりして被覆層を形成することもできる。
2 線状集光レンズ
3 外部光
4 太陽電池セル
5 支持体
6 反射層
8 接触面
11 加熱炉
12 被覆装置
14 引取装置
17 巻取機
18 間隙
20 パネル
30 太陽電池モジュール
Claims (9)
- 長手方向に延びる軸に対する垂直断面の形状において、その根元部が平面状の略扇型形状をなすガラス製の線状集光レンズであって、さらに、前記垂直断面内における根元部の平面状部分の幅をW0、この垂直断面の高さをHとしたとき、H=2mm〜0.3mm、W0=2mm〜0.3mmで、W0/Hが1以上、2.5以下で、かつ線状集光レンズの幅が0.5mm〜5mmであり、
前記線状集光レンズはその側面に、この線状集光レンズ同士を隣接配置したとき互いに面接触可能な基板に垂直な接触面を有していることを特徴とする線状集光レンズ。 - 請求項1に記載の線状集光レンズと、該線状集光レンズの平面状の根元部に接触配置され、かつ前記線状集光レンズにより前記根元部に形成される集光部の幅と略同じ0.2mm〜5mmの幅を有する太陽電池セルとが一体化されていることを特徴とする太陽電池素子。
- 前記太陽電池セルの周囲に反射層が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池素子。
- 請求項2または請求項3いずれかに記載の太陽電池素子が、パネル上に複数本隣接して、かつ各太陽電池素子の太陽電池セル同士が間隙を有するように、並行に並べられていることを特徴とする太陽電池モジュール。
- 断面円状のガラス母材を分割して断面扇型とし、さらに扇型の要部分を切り取り、かつ扇形の側面にこの線状集光レンズ同士を隣接配置したとき互いに面接触可能な基板に垂直な接触面を設け、長手方向に垂直な方向からの入射に対して集光機能を有し、要部分が切り取られ平面状となった断面略扇型である断面形状のレンズ母材を形成し、この断面における根元部の平面状部分の幅をW 0 、この断面の高さをHとしたとき、H=2mm〜0.3mm、W 0 =2mm〜0.3mmで、W 0 /Hが1以上、2.5以下で、かつ線状集光レンズの幅が0.5mm〜5mmとなるように、ヒーターで加熱しながら延伸して線状の集光レンズを形成することを特徴とする線状集光レンズの製造方法。
- レンズ母材を延伸して線状集光レンズを形成した後、前記線状集光レンズの表面に樹脂を被覆することを特徴とする請求項5記載の線状集光レンズの製造方法。
- 請求項5または請求項6のいずれかに記載された線状集光レンズの製造方法によって、要部分が切り取られ平面状となった断面略扇型の線状集光レンズを製造後、前記平面状部分に太陽電池セルを接触配置することを特徴とする太陽電池素子の製造方法。
- さらに、前記太陽電池セルの周囲に反射層を形成することを特徴とする請求項7に記載の太陽電池素子の製造方法。
- 請求項7または8に記載された太陽電池素子の製造方法により製造された太陽電池素子を、パネル上に複数本隣接して、かつ前記太陽電池素子の太陽電池セル同士が間隙を有するように、並行配置することを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
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