JP4933113B2 - 画像加熱装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられ、記録材上の画像を加熱する画像加熱装置に関する。
この画像加熱装置としては、記録材上に未定着画像を定着する画像加熱定着装置、記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢度を増大させる光沢度増大装置を挙げることができる。
複写機、プリンタ等の画像形成装置は、画像形成部と、この画像形成部で記録材上に形成したトナー画像を記録材上に加熱定着する画像加熱定着装置(以下、定着装置と記す)と、を有している。
定着装置としては、例えば互いに圧接・回転している定着ローラと加圧ローラとの圧接部(定着ニップ部)で記録材を挟持搬送しながら熱と圧力を加えることによりトナー画像を記録材上に溶融定着させる熱ローラ定着方式のものが知られている。
この様な熱ローラ定着方式の熱源としては、ハロゲンヒータを使用し、ハロゲンヒータの放射熱によって定着ローラを加熱する構成が広く知られている。
但し、この様な構成ではハロゲンヒータからローラに熱を伝える際の熱伝達効率が悪く、ローラを温める為に長いウエイト時間を要していた。
そこで、ウエイト時間を短くできる他の方式として、高周波を照射して定着させる高周波定着装置が挙げられる。
この中には、高周波発生装置から電磁波を直接トナー像に照射して、トナーを溶融させて定着させるもの(特許文献1)で、特に、高周波を櫛形状導波管によって導き、トナー像に直接照射するもの(特許文献2)が提案されている。
この方式では、ウエイト時間を短くできるものの、電磁波を直接トナー像に照射させてトナー像を発熱させる為に、発熱効率が悪く、非常に強い電界の電磁波を照射させる必要があり、装置が大型化してしまうことを余儀なくされていた。
また、例え、トナーを溶融させて定着させたとしても、溶融したトナーの表面には凹凸が残る為、定着された画像は、むらができ、光沢感のない、品位が劣る画像となってしまう等の問題があった。
この様な問題が解決できる構成としては、直接トナー像に高周波を照射するのではなく、高周波を液体を密封したローラに照射し、液体を発熱させたローラでトナー像を溶融しつつ加圧させて定着させる定着器(特許文献3)が提案されている。
特開2003−280421号公報 特公昭61−6386号公報 特開平3−293691号公報
特許文献3に於いては、発熱体に液体を使用する為、高周波で加熱され易く、液体の対流によって、発熱体の温度が均一になるというメリットがある。その反面、液体が気化してしまう為、液体の沸点以上の温度にする事が出来ず、トナーが十分に溶融することができない場合がある。
また、液体を使用することによって、液体をローラに密封する構成が必要不可欠となり、加熱、冷却を繰り返す事によって、密封する容器に大きなストレスがかかり、容器がひび割れる等、耐久的に十分な性能が得られない問題がある。更には、液体の漏れが発生した場合、定着器だけでなく,周囲の機構や装置に関しても影響を及ぼす可能性がある。
一方、液体ではない発熱体を用いた場合、高周波の発生源に近い場所から高周波を吸収して発熱し、遠い所ほど吸収する高周波が弱くなっているため、発熱体に温度分布ができてしまい、むらのない温度分布で高周波により加熱することが困難である。
また、加熱用途に用いられる代表的な高周波として、2.45GHzのマイクロ波は、規格上、5mW以下に漏洩を抑えなくてはならない。
しかし、前述の特許文献1〜3のいずれの手段にせよ、記録材を搬送するための開口部が必要となるため、高周波の漏洩を防止するための十分なシールド構造をとることが非常に困難である。
そこで、本発明の目的は、上記のような問題を解決するべく、液体や密封の構成を必要としないで、発熱体を温度分布なく加熱し、且つ、シールド構造を容易にとることの出来る、高周波加熱方式の画像加熱装置を提供する事にある。
また、本発明の他の目的は、効率の良い、品位の高い画像の加熱が可能な、小型の、高周波加熱方式の画像加熱装置を提供する事にある。
上記の目的を達成するための本発明に係る画像加熱装置の代表的な構成は、電磁波を発生する電磁波発生手段と、前記電磁波発生手段からの電磁波により発熱して記録材上の画像をニップ部にて加熱する加熱回転体と、を有し、前記加熱回転体は、金属層と、前記金属層より内側にあって電磁波により発熱する発熱層と、を有する円筒部と、前記円筒部の一端側と他端側の開口部とをそれぞれ塞いで円筒部に配設された、金属材料で形成された円盤状の端板と、前記一端側と他端側の一方の端板に設けられていて、前記加熱回転体の回転軸と同軸に配設された筒軸部と、前記加熱回転体の回転中心を含むように前記筒軸部の開口から前記筒軸部が配設された端板を貫通している貫通穴部と、前記筒軸部から前記円筒部の内部に対して前記筒軸部とは非接触に挿入され、前記筒軸部が配設された端板の側から他方の端板の側におよばせて配設された導波管と、を有し、前記電磁波発生手段は、前記筒軸部が配設された端板の側において、前記導波管に挿入して配設されており、前記導波管に電磁波を照射する開口を長手方向に複数設けたことを特徴とする。
本発明によれば、加熱手段は、電磁波発生手段から発生された電磁波を吸収して発熱する発熱体と、発熱体内部に電磁波の導波路を持つことで、電磁波のシールドが容易な構造をとることが可能になる。また、熱効率がよく、しかも、加熱された画像は、むらがなく、光沢感のある、品位の高い画像を得る事ができる画像加熱装置が実現できる。
(1)画像形成部
図1は本発明に従う画像加熱装置を定着装置として搭載した画像形成装置の一例である電子写真フルカラー複写機の概略構成を示す縦断面図である。まず、画像形成部の概略を
説明する。
1は画像読取部(デジタルカラー画像リーダ部)であり、原稿台ガラス1a上に載置したカラー画像原稿Oの画像を移動光学系1bにより走査露光して、フルカラーセンサ(CCD)1cにより色分解画像信号(電気信号)として光電読取りする。色分解画像信号は、画像処理部1dにて所定の画像処理が施された後、画像出力部(デジタルカラー画像プリンタ部)2の制御ユニット100に送出される。1eは原稿押え板あるいは原稿自動給送装置(ADF、RDF)である。
制御ユニット100は、画像形成装置内の各負荷の駆動、センサ類の情報収集解析、そして操作部即ちユーザインターフェースとのデータの交換等の役割を担っており、画像形成装置は全てこの制御ユニット100によって統括的にコントロールされる。
画像出力部2において、UK・UM・UC・UYは第1〜第4の4つの画像形成ユニットであり、画像出力部2内に図面上左から右にタンデム配置してある。各画像形成ユニットはそれぞれレーザー露光方式の電子写真プロセス機構であり、同じ構成とされている。
すなわち、各画像形成ユニットUK・UM・UC・UYにおいて、3はドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)であり、矢印の反時計方向に回転駆動される。4はドラム3の外周面を一様に帯電する一次帯電器、5はドラム3の一様帯電面をレーザー光Lで走査露光して色分解画像信号に基づいた静電潜像を形成するレーザー露光器である。6はドラム面の静電潜像をトナー画像として可視化する現像装置である。第1の画像形成ユニットUKの現像装置6には現像剤としてブラックトナーを収容してある。第2の画像形成ユニットUMの現像装置6にはマゼンタトナーを収容してある。第3の画像形成ユニットUCの現像装置6にはシアントナーを収容してある。第4の画像形成ユニットUYの現像装置6にはイエロートナーを収容してある。
そして、画像読取部1の画像処理部1dからから画像出力部2の制御ユニット100に送出された色分解画像信号に基づいて、第1の画像形成ユニットUKは、ドラム3の面にブラックトナー画像を所定の制御タイミングで形成するように制御される。第2の画像形成ユニットUMは、ドラム3の面にマゼンタトナー画像を所定の制御タイミングで形成するように制御される。第3の画像形成ユニットUCは、ドラム3の面にシアントナー画像を所定の制御タイミングで形成するように制御される。第4の画像形成ユニットUYは、ドラム3の面にイエロートナー画像を所定の制御タイミングで形成するように制御される。
各画像形成ユニットのドラムの面に形成される上記のトナー画像はそれぞれ一次転写部7にて、回転駆動されるエンドレスでフレキシブルな中間転写ベルト(以下、ベルトと記す)8の面に対して順次に重畳転写される。これにより、ベルト8の面に上記4つのトナー画像の重ね合わせによる未定着のフルカラートナー画像が合成形成される。各画像形成ユニットにおいて、ベルト8には転写されずにドラム3上に残されたトナーはクリーニング装置9で除去される。
ベルト8は、駆動ローラ10と、テンションローラを兼用させた従動ローラ11と、二次転写対向ローラ12との間に懸回張設してあり、矢印の時計方向にドラム3の回転速度とほぼ同じ速度で回転駆動される。駆動ローラ10と従動ローラ11の間のベルト部分を各画像形成ユニットのドラム3の下面に対向または接触させて一次転写部7を形成させている。13は各一次転写部7の位置においてベルト8の裏面側に配置した一次転写用帯電器であり、トナー画像の一次転写時には所定の電圧が印加される。
そして、ベルト8の面に合成形成された未定着のフルカラートナー画像は、引き続くベルト8の回転により二次転写部14へ至る。二次転写部14は、二次転写対向ローラ12に対してベルト8を挟ませて二次転写ローラ15を圧接させて形成してある。二次転写ローラ15とベルト8とのニップ部が二次転写部14である。この二次転写部14に対して、所定の制御タイミングにて給紙ユニット16側からシート状の記録材(転写材)Pが給送されることで、記録材Pの面にベルト8面の未定着のフルカラートナー画像が順次に一括して二次転写される。二次転写ローラ15にはトナー画像の二次転写時に所定の電圧が印加される。
給紙ユニット16は、複数段の給紙カセット17・18・19を有し、記録材サイズなどにより選択された段位の給紙カセットからの記録材Pの1枚給紙動作が所定の制御タイミングにて実行される。給紙された記録材Pはシートパス20によりレジストローラ21まで搬送される。その時、レジストローラ21は停止しており、記録材Pの先端はニップ部に突き当たる。その後、画像形成ユニットUK・UM・UC・UYが画像の形成を開始するタイミングに合わせてレジストローラ21の回転駆動が開始される。このレジストローラ21の回転開始のタイミングは、記録材Pと、画像形成ユニットよりベルト8上に一次転写されたトナー画像が、二次転写部14において一致するように設定されている。
二次転写部14を通ってベルト8からトナー画像の二次転写を受けた記録材Pはベルト面から分離されて、搬送ガイド22によって定着装置(定着ユニット)40の定着ニップ部Nまで正確に案内される。記録材Pは定着ニップ部Nで挟持搬送され、その搬送過程で熱と圧力によってトナー画像が記録材Pの表面に定着される。定着装置40の定着ニップ部Nを出た記録材Pは内外排紙ローラ23・24により搬送され、排紙トレイ25上に積載される。
26はベルト8の画像形成面をクリーニングするためのクリーニングユニットである。二次転写部14において、記録材Pに転写されずにベルト8上に残されたトナーはこのクリーニングユニット26で除去される。
(2)定着装置40
図2は、本実施例における画像加熱装置としての定着装置40の概略構成を示す横断側面図、図3は図2の(3)−(3)線に沿う縦断正面図である。この定着装置40は加熱ローラを高周波で加熱する方式の高周波定着装置である。
ここで、定着装置に関して、長手方向とは、加熱ローラまたは加圧ローラの軸線方向である。定着装置に関して、正面とは、記録材搬入口側である。定着装置に関して、左右とは、定着装置を正面から見て左右である。
41は、加熱回転体としての加熱ローラ(定着ローラ)である。42は、上記の加熱ローラとニップ部を形成する加圧回転体としての加圧ローラである。この加圧ローラ42は、中心軸42aに弾性層42bをローラ状に形成した弾性ローラであり、加熱ローラ41と定着ニップ部Nを形成して記録材Pを挟持搬送する。
上記の加熱ローラ41と加圧ローラ42は、前面・後面・上面・下面・左側面・右側面の六面板44a〜44fを有する横長箱型の筐体44内に、上下にほぼ並行に配列して、かつ圧接させて配設してある。筐体44はアルミニウム・銅・ステンレスなどの板金製であり、加熱ローラ41・加圧ローラ42を囲うように構成されている。アルミニウム・銅・ステンレスなどの金属はマイクロ波などの高周波を反射してシールドする性質を有している。板金製前面板44aには、略中央部に長手(左右方向)に沿ってスリット状の記録材搬入口44gを設けてある。後面板44bには、略中央部に長手に沿ってスリット状の
記録材搬出口44hを設けてある。
加熱ローラ41は、円筒状のローラ部と、そのローラ部の左右端部にそれぞれ一体に接合させた円盤状のシールド端板(フランジ円盤:高周波を遮断する手段)41d・41eを有する。
円筒状のローラ部は、内側から外側に順に、発熱層41a、シールド層(高周波を遮断する手段)41b、弾性層41cを密着させて積層した多層構造体である。
内側の発熱層41aは、少なくとも常温からトナー画像を定着させる為の温度範囲内で、流動性の無い固態(固体)であり、電磁波発生手段から発生されたマイクロ波などの高周波を吸収して発熱する高周波吸収体(マイクロ波吸収体)でできている。この発熱層41aは、加熱ローラ内部に照射されたマイクロ波などの高周波wを吸収して発熱する部材である。本実施例では、この発熱層41aとして、SiC(炭化ケイ素)やフェライトと少しのSiN(窒化ケイ素)などの粉粒体を混合させた原料を、加熱ローラの形状に合うように、回転体形状にプレス成形して焼結させたセラミックを使用している。材質としては、誘電損失係数が高いものが都合よく、例えば、SiC(炭化ケイ素)では、0.33以上の誘電体損係数を有している。実際的には、0.2以上の誘電損失係数であれば、定着装置が組み込まれる画像形成装置の記録材搬送速度を落とすことなく、十分にトナー画像を定着させることができるだけの熱量を発生させる事ができる。
高周波を吸収して発熱する材料としては、水やアルコールなどの液体も定着装置として利用可能な発熱特性を有している。しかし、高周波を効率的に吸収するにはある一定値以上の容量が必要で、小型の装置の実現には不向きであったり、液体の沸点以上の温度にする事が出来なかったり、液体を密封する容器の構成が難しい。また、容器が破損等をすると、液体の漏れが発生し、周囲の機構や装置に関しても影響を及ぼす。そのため、発熱体は、少なくとも常温からトナー画像を定着させる為の温度範囲内で、流動性の無い固態(固体)であることが好ましい。
上記の発熱層41aの外側のシールド層41bは、高周波を反射する、例えばアルミニウム・銅・ステンレスなどの金属材層(金属層)である。加熱ローラ内部に照射されたマイクロ波などの高周波wは発熱層41aによりその多くが吸収される。しかし、発熱層41aの厚み、材質、発熱体の配置の方法などにより、発熱層41aを透過して加熱ローラ41の外側に漏洩する場合が考えられる。また、発熱層41aの隙間から加熱ローラ41の外側に漏洩する場合も考えられる。シールド層41bは、上記のように、発熱層41aの内周側から外周側に漏洩した高周波を吸収、軽減、もしくは反射する役目をする。
また、上記のシールド層41bに、アルミニウム・銅・ステンレスなどの金属を用いれば、上記のように高周波を反射してシールドする効果と共に、熱伝導率も高いので、加熱ローラ41の長手方向・周方向の温度分布を均一化することも出来る。これにより、品質の良い定着が実現可能となる。
加熱ローラ41の最外側層である弾性層41cは、記録材Pの凹凸やトナー画像tの凹凸に加熱ローラ41の加熱面をよく追従させて記録材面に密着させて、良好な定着性、画像光沢性等を確保する役目をしている。すなわち、加熱ローラ41は、直接トナーを温める為に表面性、表面硬度等も定着の品質に影響を及ぼす。そのために、弾性層41cは必要に応じて設けられる。
端板41d・41eは、それぞれ、円筒状ローラ部(円筒部)の左右の開口部(一端側と他端側の開口部)を塞いでローラ部端面に取り付けられており(設置されており)、加熱ローラ内部に照射されたマイクロ波などの高周波wを反射し、シールドする効果を有するアルミニム・銅・ステンレスなどの金属製(金属材料で形成される円盤状の端板)である。
左端板41dの外面中央部には左端板と一体に軸部41fを具備させてある。また、右端板41eの外面の中央部には右端板(一方の端板)と一体に筒軸部41gを具備させてある。左端板41d(他方の端板)の軸部41fと右端板41eの筒軸部41gはそれぞれ軸線が円筒状のローラ部の軸線にほぼ一致(加熱ローラ41の回転軸と同軸)している。
加熱ローラ41は上記の左右の軸部41f・41gをそれぞれ筐体44の左右の側板44eと44f間に軸受部材50を介して回転自由に支持させてある。加圧ローラ42も中心軸42aの左右両端部をそれぞれ筐体44の左右の側板44e・44f間に軸受部材51を介して回転自由に支持させてある。そして、この加熱ローラ41と加圧ローラ42を、不図示の付勢手段により、両ローラ41・42の弾性層41c・42bの弾性に抗して圧接させて、記録材搬送方向aにおいて、所定幅の定着ニップ部Nを形成させてある。
加熱ローラ41の左軸部41fは軸受部材50から筐体外に突出させて、その軸端部に加熱ローラギアG1を固着してある。また、加圧ローラ42の中心軸42aの左側端部も軸受部材51から筐体外に突出させて、その軸端部に加圧ローラギアG2を固着してある。ギアG1とギアG2は噛合させてある。ギアG1に定着回転モータMの回転力が不図示のギア列を介して伝達されることで、加熱ローラ41が図2において矢印の時計方向に回転駆動される。これに連動して加圧ローラ42が図2において矢印の時計方向に回転駆動される。加熱ローラ41と加圧ローラ42の定着ニップ部Nにおける回転周速度がほぼ同じになるように、ギアG1とギアG2のギア比が設定されている。
また、加熱ローラ41にはマイクロ波などの高周波を加熱ローラ内に導く導波管45を配設してある。具体的は、加熱ローラ41の右軸部である筒軸部41gの外側開口と内側開口41h(加熱ローラ41の回転中心を含むように筒軸部41gの開口から端板41eを貫通する貫通穴部)から加熱ローラ内部に、長手に沿って複数箇所に開口部45aを有し、終端部(終端側)に高周波反射部材45bを有する導波管(導波路)45を挿入して配設してある。即ち、導波菅45には電磁波を照射する開口部45aを長手方向に複数設けてある。導波管45の始端部45cには、マイクロ波等の高周波を発生させる電磁波発生手段である電磁波発生器43を挿入して配設してある。導波管45は筒軸部41gの内周面に実質的に非接触に挿入し、不図示の支持部材により非回転に保持させて配設してある。導波管45は加熱ローラ41の発熱層41aの長さ以上で、加熱ローラ内部に右端板41e側から左端板41d側におよばせて、また、導波管45の長手軸線を加熱ローラ41の軸線にほぼ一致させて配設してある。上記の導波管45が電磁波発生器43からの高周波を発熱層41aの内周面に照射するための高周波照射手段である。
電磁波発生器43は、国際条約で定められた、工業、科学、及び医療用無線周波数装置、所謂ISM装置に使用できるISM周波数帯のマイクロ波を発生させる事ができる。本実施例では、周波数2.45GHzのマイクロ波を発生させる事ができるマグネトロンを使用している。
電磁波発生器43から発生された高周波wは、加熱ローラ内部に配設されている導波管45内を通って、導波管45の長手に沿って複数形成した各開口部45aから内空部41iに出る。そして、加熱ローラ内空部41iに出た高周波wにより、加熱ローラ41の内側層である発熱層41aが照射され、発熱層41aが高周波wを吸収して発熱する。その発熱が発熱層41aの外側層であるシールド層41b・弾性層に熱伝導して加熱ローラ41の全体が加熱される。
発熱層41aの外側層であるシールド層41bは、発熱層41aで吸収しきれずに透過したマイクロ波を外部へ漏洩させずに加熱ローラ内に閉じ込め働きをしている。また、このシールド層41bは、導波管45の開口部45aから照射されるマイクロ波wを反射さ
せる反射部材の機能も兼ねている。このシールド層41bが発熱層41aの外周を覆うことで、発熱層41aを透過したマイクロ波wを反射させて、再び発熱層41aに送ることができ、より発熱効率を上げている。
加熱ローラ41の左右端部は、それぞれ、マイクロ波等の高周波を反射し、シールドする効果を有するアルミニム・銅・ステンレスなどの金属製の左右の端板41f・41eで塞がれている。これにより、加熱ローラ41の左右端部側は高周波シールド状態が保たれて、加熱ローラ内空部41iに照射された高周波wが加熱ローラ左右端部側から外部に漏洩することが防止される。このシールド部材としての左右の端板41d・41eは、熱容量及び熱伝導率の低いものの方が、加熱ローラ41の熱容量が増加しないので好ましい。
加熱ローラ41の円筒状ローラ部の左右端部に対する端板41d・41eの接合は高周波が漏洩する隙間を軽減することで、加熱ローラ41の左右端部の良好な高周波シールド状態を保つようにする。
上記の定着装置40は、画像形成動作開始信号が発せられると、制御ユニット100によって制御される。図4は定着装置40の動作を示す動作フローである。図5は定着装置40の温調制御系統のブロック図である。
図4を参照して、制御ユニット100は、画像形成装置が起動されると、定着装置40の電磁波発生器43をオンさせて定着装置40の温調をスタートする(S101)。続いて、定着回転モータMの駆動もスタートさせる(S102)。定着装置40の加熱ローラ41の温度が所定温度に達するとプリント動作を行う(S104)。
加熱ローラ41の加熱は、電磁波発生器43から導波管45を介して加熱ローラ41の内空部41iに照射された高周波wを発熱層41aが吸収して発熱することでなされる。この発熱層41aの発熱が、発熱層41aの外側のシールド層41b・弾性層41cに伝導して加熱されて、加熱ローラ41が長手方向・周方向にほぼ均一に迅速に加熱・昇温する。プリント動作中においても定着装置の加熱ローラ41の温度が一定温度(定着温度)となるように温調制御は継続されている。
画像形成装置で設定されたジョブのコピーやプリント動作が終了すると、電磁波発生器43をオフすることで加熱ローラ41の温調を停止させ(S105)、定着回転モータMの駆動も停止させる(S106)。
図5を参照して、制御ユニット100は、CPU100aを搭載している。CPU100aは、同様に制御ユニット100に搭載したROM100bに格納されたプログラムによって、予め決められた画像形成シーケンスに纏わる様々なシーケンスを実行する。またその際、一時的または恒久的に保存することが必要な書き換え可能なデータを格納するために、RAM100cも搭載している。制御ユニット100は、高周波発生器(マグネトロン)43を制御するマイクロ波制御部100dと、定着回転モータMを制御するモータ制御部100eを搭載している。マイクロ波制御部100dには、電磁波発生器43の動作に必要な高圧制御回路やフィラメント電圧制御回路などが含まれる。制御部100d・100eはCPU100aで制御される。
不図示の温度センサにより検知された加熱ローラ41の表面温度に関する電気的情報がA/Dコンバータ100fを介してCPU100aに入力する。すなわち、A/Dコンバータ100fによって、加熱ローラ41の温度変化に応じた温度センサから出力されるアナログ値をデジタル値として制御ユニット100のCPU100aに入力される。CPU100aは、この温度データをもとに、マイクロ波制御部100dを制御し、電磁波発生器43をON/OFFすることで、加熱ローラ41、すなわち定着装置の温調を行う。
加熱ローラ41・加圧ローラ42が回転駆動され、加熱ローラ41が所定の定着表面温度に加熱温調されている状態において、二次転写部14側から、表面に未定着トナー画像tが形成された記録材Pが記録材搬入口41gから定着装置40内に導入される。そして、加熱ローラ41と加圧ローラ42との圧接部である定着ニップ部Nに進入して、定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。記録材Pが定着ニップ部Nを挟持搬送される過程で、記録材P上の未定着トナー画像t(記録材上の画像)が加熱ローラ41の熱と、定着ニップ部Nの圧力で、記録材Pの面に熱圧定着される。加熱されたローラ41でトナーを溶融すると同時に加圧させてトナー画像を定着させることで光沢ある定着ができる。加熱ローラ41の弾性層41cは、耐熱性が有り、定着対象である記録材Pに傷等をつけないことを目的として形成されている。
定着ニップ部Nを出た記録材Pは加熱ローラ41の面から分離されて、記録材搬出口44hから定着装置外に送り出される。WPは定着装置40に対する記録材の最大通紙幅である。
(3)導波管45
加熱ローラ41内に導入される導波管45の部分は、発熱層41aの長手方向長さよりも長く、発熱層41aを発熱させるのに十分な長さを有しており、加熱ローラ内部に右端板41e側から左端板41d側におよばせて配設してある。これにより、電磁波発生器43から遠い発熱層位置にもマイクロ波wを照射して、長手方向・周方向においてむらなく発熱層41aを加熱できるようになっている。
仮に導波管45のない構成だった場合、電磁波発生器43に近い発熱層部分がマイクロ波を吸収してしまい、遠い発熱層部分は十分なマイクロ波を吸収することができず十分な発熱をしない。そのため、発熱層41aは、長手方向・周方向において均一でないむらのある発熱をしてしまう。
さて、マイクロ波は高周波の一種であるので、基本的な特性は高周波のそれと同質である。高周波において、高効率、つまり高い出力を得るためには、高周波の定在波の振幅が最大になる位置から高周波を取り出す必要がある。すなわち、高周波の定在波の振幅が最大となる位置は半波長(=λ/2)間隔で現われ、この位置から取り出すことで最も高い出力を得ることができる。したがって、マイクロ波を導波管45から外部に照射する際に、波長λの1/2にあたる部分に開口部45aを設け、そこからマイクロ波を取り出すと最も効率よく発熱体45に照射することができる。即ち、電磁波の波長をλとしたとき開口45aは導波菅45の導波方向において略λ/2間隔で儲けられている。しかしながら、記録材Pに形成されたトナー像tを定着させるために必要な熱量は、最大効率である必要はなく、必要最低限の効率を得ることができれば、十分である。
図6に、定在波と効率の関係を示す。マイクロ波も高周波であるため、波長はsinカーブで得られる。半波長(=λ/2)間隔で現われる、定在波の振幅がピークとなる部分で高周波を取り出した時に効率は最大となり、その時の効率をM%とした場合、定着に必要な最低限の効率は(M×0.7)%以上である。その出力を得られる位置の範囲は、振幅がピークとなる位置がλ/2の整数nの倍数(=n*λ/2)である時、その前後λ/8の範囲であり、n*(1/2±1/8)λとなる。したがって、導波管45における開口部45aは、n*(1/2±1/8)λとなる位置に設ければよい。
開口部45aの設け方としては、図7の(a)のように、(1/2±1/8)λとなる範囲内に小さな開口部45aを設けてもいいし、(b)のように、(1/2±1/8)λの範囲を全て覆うような開口部45aとしても構わない。
次に、高周波の定在波の最大振幅、もしくは必要最低限の振幅が開口部45aに位置するように調整する方法を説明する
図8に、導波管45と導波管内部における振幅最大となっている高周波の定在波の関係を示す。
定在波は、進行波と反射波の位相関係を合成した波であるため、反射波の発生する位置が定在波の発生する原点となる。したがって、進行波は導波管終端部の反射板45bで反射するため、反射板45bが定在波の原点となる。開口部45aの位置としては、波長の(1/2±1/8)λ毎に設ければよいことは前述のとおりである。マイクロ波の周波数は2.45GHzなので、波長は12.245cmとなるので、開口部45aは6.123±1.531cmの範囲に配置すれば、定在波の最大振幅、あるいは必要最低限の振幅を得ることができる。なお、本実施例では用いる高周波は、2.45GHzのマイクロ波としているが、他の周波数であっても構わない。
周波数により波長も変わってくるので、用いる高周波の波長にあわせて、導波管45の終端部に設けられている反射板45bの位置は調整できる構成となっている。
反射板45bは定着装置の長手方向、即ち、導波管の長さを変えるような方向に移動可能(調整可能)に支持されている。
反射板45bの位置の調整は、本装置の製造工程内において実施され、製造上の調整治具を用いて行なわれる。
この調整治具は、高周波の強度を測定できる高周波測定部を備えており、導波管の開口部45aと発熱体層41aの間に高周波測定部を挿入することにより、導波管45aから照射される高周波の強度を測定する事ができる。
製造工程途中の、加熱ローラ41にマイクロ波発生器43、導波管45が組み付けられた段階で、この加熱ローラ41を調整治具に取り付け、実際に、マイクロ波発生器43に通電して調整を行なう。調整は、この高周波測定部の出力をモニタしながら、導波管45aから照射される高周波の強度が最大となるように、本装置の組立者が、反射板45bの位置を移動させることによって行なわれる。
以上のように、マイクロ波吸収体で発熱体41aを形成し、内部に導波管45を配置することで、マイクロ波の漏洩を防ぐシールド構造を容易にすることが出来る。また、導波管の終端に配置した反射板45bの位置を調整することにより、マイクロ波の定在波が最大振幅、あるいは必要最低限の振幅となる位置を正確に求めることが出来る。そして、その位置にあわせてマイクロ波を照射する開口部45aを配置することで、高い効率を得ることが可能になり、高効率な加熱機構を実現することが出来る。
上述した定着装置40においては、電磁波発生器43として、周波数2.45GHzのマイクロ波を発生することができるマグネトロンを使用しているが、本発明においてはこれに限定されるものではない。たとえば、電磁波発生手段として、ミリ波と呼ばれる周波数30GHz程度の高周波を発生させる事ができる発振器を用いても良い。
加熱ローラ41の弾性層41cは必要に応じて加えればよい。加熱ローラ41や加圧ローラ42には更に最外面層として、フッ素系樹脂等による離型性層を具備させても良い。
加圧手段である加圧ローラ42も、加熱手段である加熱ローラ41と同様に発熱層を含む複合層構造にして、高周波で所定の温度に加熱する装置構成にすることもできる。
実施例1における画像形成装置の概略構成を示す縦断面図 定着装置の概略構成を示す横断側面図 図2の(3)−(3)線に沿う縦断正面図 定着装置の動作を示す動作フロー図 定着装置の温調制御系統のブロック図 定在波と効率の関係を示す図 導波管の開口部位置の説明図 導波管と導波管内部における振幅最大となっている高周波の定在波の関係を示す図
符号の説明
40…定着ユニット(定着装置)、41…加熱ローラ(加熱手段)、41a…発熱層、41b…シールド層、41c…弾性層、42…加圧ローラ(加圧手段)、43…マイクロ波発生器(電磁波発生手段)、44…筐体、45…導波路(導波管)、45a…開口部、45b…導波管終端部の反射板

Claims (4)

  1. 電磁波を発生する電磁波発生手段と、前記電磁波発生手段からの電磁波により発熱して記録材上の画像をニップ部にて加熱する加熱回転体と、を有し、
    前記加熱回転体は、金属層と、前記金属層より内側にあって電磁波により発熱する発熱層と、を有する円筒部と、前記円筒部の一端側と他端側の開口部とをそれぞれ塞いで円筒部に配設された、金属材料で形成された円盤状の端板と、前記一端側と他端側の一方の端板に設けられていて、前記加熱回転体の回転軸と同軸に配設された筒軸部と、前記加熱回転体の回転中心を含むように前記筒軸部の開口から前記筒軸部が配設された端板を貫通している貫通穴部と、前記筒軸部から前記円筒部の内部に対して前記筒軸部とは非接触に挿入され、前記筒軸部が配設された端板の側から他方の端板の側におよばせて配設された導波管と、を有し、
    前記電磁波発生手段は、前記筒軸部が配設された端板の側において、前記導波管に挿入して配設されており、
    前記導波管に電磁波を照射する開口を長手方向に複数設けたことを特徴とする画像加熱装置。
  2. 前記導波管の終端側に設けられ電磁波を反射する反射手段を有し、この反射手段の位置を前記導波管の長さを変えるような方向に調整可能に構成としたことを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
  3. 電磁波の波長をλとしたとき前記開口は前記導波管の導波方向において略λ/2間隔で設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像加熱装置。
  4. 電磁波の波長をλとしたとき前記開口は前記導波管の導波方向において電磁波の強度がピークとなる位置を中心にしてλ/8の範囲内に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像加熱装置。
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