JP4931193B2 - 押出機シミュレ−ションシステム - Google Patents

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Description

本発明は押出機溶融シミュレ−ションシステムに関し、さらに詳しくは押出機を開発する際に、樹脂組成物の物性の向上や品質の安定化、生産性の向上や生産技術の開発を短縮化するために、押出機内部の圧力、温度などの定量化計算をシミュレ−トするシステムに関する。
現在、高分子を加熱溶融して紡糸口金の細孔から押出し、冷却固化して繊維とする方法があり、例えばポリエステル繊維などはこのような溶融紡糸法で製造されている。溶融紡糸法によって効率的に繊維を製造するには繊維が高速で巻き取られる必要があり、樹脂に未溶融物などが残らず、かつ均一に溶融して紡糸口金に供給されることが必要であり、原料チップを均一に溶融混練しうる押出機を使用する必要がある。また、溶融樹脂は高分子構造を有するが、熱劣化により重合度が低下すると紡糸口金から吐出される繊維が切れやすくなる。このため原料樹脂の種類や用途に応じて溶融に好適な単軸押出機を使用する必要がある。なお、一般に押出機では、溶融される樹脂ペレットはホッパ口から固体で供給され、押出機内のスクリュによって輸送、溶融、混練され、押出される。フルフライトスクリュの場合、未溶融樹脂はソリッドベッドとバレルとの間に形成される溶融フィルムの剪断発熱により溶融が進む。また、マ−ドックスクリュでは、流入溝に入る際の分配、流出溝を出た後の合流による混合と、溝内の旋回流、流入溝から流出溝へ移動する際の剪断により混練効果を上げる事ができる。
一方、単軸押出機を製造工程で新規に採用する場合、従来は押出機製作メ−カ−にて、小サイズ、或いは本機並のサイズで押出テストを行い、溶融能力の有無を基準に仕様を確定するのが一般的である。また、品質向上或いは能力増の観点から既存の押出機を改良する場合には、スクリュの形状をトライ&エラ−で試作して対応することも行われている。更に、既存の単軸押出機を改良する場合には、単軸押出機の種類や運転条件の変更に基づいて単軸押出機内の樹脂の溶融状態をシミュレ−トする方法もある。
例えば、押出機のシミュレ−ションとして、第一フィ−ドとサイドフィ−ドという2つの樹脂供給口を有する押出機の装置条件と押出運転条件から、押出機内部の樹脂の充満率、圧力、温度、剪断力、混合、トルク、比エネルギ−、平均滞留時間の混練要素の状態を演算する押出機運転シミュレ−ションシステムがある(特許文献1)。該特許文献1は、前記押出機の全長をスクリュ軸の流れ方向(L)に対して垂直方向(D)にL/D=0.01〜0.5の幅で分割するセル分割設定手段と、分割されたセル中の溶融樹脂の混練要素を演算し、かつ混合および剪断力を押出機全長に亘り連続的に演算する樹脂混練要素演算手段とを備えた押出機運転シミュレ−ションシステムである。押出機内部の樹脂の運転条件、スクリュ構成またはバレル構成などの条件を変えた場合、前記混練要素のそれぞれをシミュレ−ションすることができ、また、運転状況を定量化できるので、樹脂組成物の物性の向上、品質の安定化、生産性の向上、生産技術開発の短縮化等が図れる、という。前記特許文献1では、押出機として単軸押出機、二軸同方向回転押出機または二軸異方向回転押出機などを対象とし、スクリュデザインとしてスクリュ構成とバレル構成とを入力し、樹脂の充満率、圧力、温度、剪断力、混合のトルク、比エネルギ−などの混練要素と押出量および回転数との関係を関数化したデ−タベ−スを作成し、これを用いてセル中の混練要素を計算し、計算時間を短縮するというものである。実施例ではサイドフィ−ドセルにおいて充填率が上がり、温度が下がり、剪断力が急激に上がっており、サイドフィ−ド時、サイドフィ−ド量、サイドフィ−ド温度、バレル温度との関係を基に、サイドフィ−ド時の樹脂の未溶解物の検討、混・練の過不足を検討することができる、としている。
特開平9−29819号公報
押出機は必ずしも2種以上の樹脂を混練する場合に限定されず、1種の原料樹脂を供給した場合に、単軸押出機内の樹脂の溶融状態を知りたい場合がある。しかしながら、上記特許文献1の方法は、2種の樹脂を混練することを条件とするものであり、1種の樹脂の溶融状態をシミュレ−トするものではない。また、押出機の中でもマ−ドックスクリュは高混練性能を期待できるが、上記特許文献1に記載されるシミュレ−ションでは、このようなマ−ドックが存在する場合の記載はなく、したがって、マ−ドックが存在する場合の押出機内部の溶融樹脂状態をシミュレ−トすることはできない。
剪断熱が発生し溶融樹脂温度が上昇すると、高分子の主鎖が切断され短鎖となり品質が低下したり、または溶融紡糸法によって効率的に繊維を製造する際に繊維を高速で巻き取ることが困難となり、次工程が円滑に進行しない場合が発生する。押出機内部において溶融樹脂温度が上昇した場合、押出機から排出された後に溶融樹脂を冷却すると、むらが発生して均一な溶融状態が破壊され、品質劣化の原因となり、または生産効率の低下となる。したがって、スクリュのピッチや溝深さを入力し、実機を試作することなく樹脂の特性や運転条件に即したスクリュをデザインすることができれば好適である。
特に、溶融樹脂の重合度を低下させる剪断発熱を抑制しうるスクリュ設計がシミュレ−トできることが好ましく、かつ剪断発熱量を予測でき、剪断発熱量の増加などを考慮し、定量的に混練性を判断しうるシミュレ−ションシステムの開発が望まれる。特に、対象とする樹脂が腐食性であったり、高コストな場合にはテスト自体が不可能となる場合があり、シミュレ−ションによる単軸押出機のスクリュ設計の要求は高い。
上記現状に鑑み、本発明は、単軸押出機の運転条件やスクリュパタ−ンに基づいて単軸押出機内部の溶融状態を正確にシミュレ−トしうる単軸押出機のシミュレ−ションシステムを提供することを目的とする。
本発明者は、単軸押出機について詳細に検討した結果、単軸押出機を粉体供給部、固体移送部、溶融部およびメルト計量部とに区分して、単軸押出機内部の溶融樹脂の温度プロフィ−ルと圧力プロフィ−ルとを予測する際、予め算出して得たポリマ−メルトプ−ルエリアのヒ−タ−伝熱係数(UB)、バレル内壁ポリマ−摩擦係数補正値(CfB)、スクリュ表面ポリマ−摩擦係数補正値(CfS)、ソリッドベッド移動加速度設定値(Sa)、およびポリマ−粘度補正係数(Cμ)を算出式に導入することで、より実際の押出機内部の溶融樹脂状態がシミュレ−トできることなどを見出し、本発明を完成させた。
更に、本発明によれば、流入溝と流出溝とからなるマ−ドックが存在する場合も、該マ−ドックを混練部として溝内のポリマ−流量、圧力変化を算出し、単軸押出機の下流に向かって流入溝、流出溝、流入溝から流出溝への移動流量を基準に圧力を算出することで、マ−ドックを含むスクリュのシミュレ−ションも可能となることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、予め算出して得たポリマ−メルトプ−ルエリアのヒ−タ−伝熱係数(UB)、バレル内壁ポリマ−摩擦係数補正値(CfB)、スクリュ表面ポリマ−摩擦係数補正値(CfS)、ソリッドベッド移動加速度設定値(Sa)、およびポリマ−粘度補正係数(Cμ)を導入することで、押出機内部の樹脂の溶融状態として温度プロフィ−ルおよび圧力プロフィ−ルをより実際の押出機内部の溶融状態に近似してシミュレ−トすることができる。
本発明によれば、定常条件での温度プロフィ−ルを出力し、例えばスクリュ条件を変更した場合の温度プロフィ−ルを出力することでスクリュ条件変更の効果を知ることができる。また、好適な温度プロフィ−ルが得られるスクリュ回転数や溝深さを選択することで、スクリュ設計を行うことができる。
本発明は、単軸押出機の装置条件と押出運転条件とから押出機内部の樹脂温度および樹脂圧力を演算する押出機運転シミュレ−ションシステムにおいて、
前記押出機を、粉体供給部、固体移送部、溶融部およびメルト計量部とに区分し、
各区分毎に樹脂温度および樹脂圧力を、ポリマ−メルトプ−ルエリアのヒ−タ−伝熱係数(UB)、バレル内壁ポリマ−摩擦係数補正値(CfB)、スクリュ表面ポリマ−摩擦係数補正値(CfS)、ソリッドベッド移動加速度設定値(Sa)、およびポリマ−粘度補正係数(Cμ)を導入して算出することを特徴とする、押出機シミュレ−ションシステム、および単軸押出機の装置条件と押出運転条件とから押出機内部の樹脂温度および樹脂圧力を演算する押出機運転シミュレ−ションシステムにおいて、
前記押出機を、粉体供給部、固体移送部、溶融部、流入溝と流出溝とからなる混練部およびメルト計量部とに区分し、
各区分毎に樹脂温度および樹脂圧力を、ポリマ−メルトプ−ルエリアのヒ−タ−伝熱係数(UB)、バレル内壁ポリマ−摩擦係数補正値(CfB)、スクリュ表面ポリマ−摩擦係数補正値(CfS)、ソリッドベッド移動加速度設定値(Sa)、およびポリマ−粘度補正係数(Cμ)を導入し、
かつ、前記混練部の解析は、流入溝のポリマ−流量を算出し、単軸押出機の下流に向かって流入溝、流出溝、流入溝から流出溝への移動流量を基準に圧力を算出することを特徴とする、押出機シミュレ−ションシステムである。
押出機において、溶融される樹脂ペレットはホッパ口から固体で供給され、バレル外周部に配置されたヒ−タ−からの加熱と樹脂ペレットの移動時に発生する摩擦熱によって溶融フィルムを生成する。スクリュフライト間の樹脂ペレット(ソリッドベッド)は、スクリュの回転により押出機出口方向に移行しつつ、その上面に形成された溶融フィルムで剪断発熱を継続して発生させ、溶融を進める。溶融したポリマ−はソリッドベッド後方に押しやられメルトプ−ルを形成し、ソリッドベッドは押出機出口に至るまでに全て溶解し排出される。
そこで本発明では、押出機内部を、粉体供給部、粉体供給部からソリッドベッドの溶融開始位置までの範囲を固体移送部、ソリッドベッドの溶融開始位置から溶融終了位置までを溶融部、メルトプ−ル形成以降押出機出口までをメルト計量部と称し、流入溝と流出溝とからなるマ−ドックが配置される場合には、該マ−ドックを混練部と称する。
押出機内部のスクリュ形状と樹脂温度、樹脂圧力とを算出するに際して、ポリマ−メルトプ−ルエリアのヒ−タ−伝熱係数(UB)、バレル内壁ポリマ−摩擦係数補正値(CfB)、スクリュ表面ポリマ−摩擦係数補正値(CfS)、ソリッドベッド移動加速度設定値(Sa)、およびポリマ−粘度補正係数(Cμ)を演算式に導入する。これらの値は、所定の押出機排出温度および圧力となるように、バレル内壁ポリマ−摩擦係数補正値(CfB)、スクリュ表面ポリマ−摩擦係数補正値(CfS)、ソリッドベッド移動加速度設定値(Sa)、およびポリマ−粘度補正係数(Cμ)を適宜、導入して得ることができる。本発明では、上記ポリマ−メルトプ−ルエリアのヒ−タ−伝熱係数(UB)、バレル内壁ポリマ−摩擦係数補正値(CfB)、スクリュ表面ポリマ−摩擦係数補正値(CfS)、ソリッドベッド移動加速度設定値(Sa)、およびポリマ−粘度補正係数(Cμ)という5因子を特定し、実際の押出機出口の温度や圧力を説明しうるこれら5因子の組合せを見つけることで、より正確に押出機内部の溶融樹脂の状態を把握することができた。なお、押出機における樹脂状況は経時的な変動を発生する事があるが、本発明では安定した定常運転時の押出機内部の樹脂状況を基準とする。本発明によれば、安定状態での温度プロフィ−ルを出力した後、例えばスクリュ溝深さを変えた、異なるスクリュで運転した場合に予想される温度プロフィ−ルを推算することができる。また処理量を変更する場合において、好適な温度プロフィ−ルが得られるスクリュ回転数や溝深さを選択することで、スクリュの設計を行なう事ができる。以下、本発明を詳細に説明する。
(1) 押出機
本発明でシミュレ−ト可能な押出機は単軸押出機である。押出機内に装着されるスクリュとしては、図1(1)に示すフルフライトスクリュ、図1(2)に示すスクリュ途中に流入溝、流出溝が配置されたマ−ドックスクリュ、および図1(3)に示すスクリュ先端に流入溝、流出溝が配置された先端マ−ドックスクリュがある。
前記流入溝、流出溝は、マ−ドックの装着によって形成することができ、ここに先端に装着されるマ−ドックの側面図を図1(4)に示す。マ−ドックは流入溝、流出溝で形成する所定長さのバリアゾ−ンを有し、スクリュの回転に応じてポリマ−はこのバリアゾ−ンを通過する。バリアゾ−ンは、図1(5)に示す様に、クリアランスが少し大きい、流入溝から流出溝へ流れる際に通過するバリアと、クリアランスが小さく、殆どポリマ−の流れが生じないようにしたバリアが設けられている。流入溝に入った樹脂はスクリュの回転によって流出溝へ移動する際、高剪断を受け、混練されて流出溝に移行し排出される。
(2) 微小区間
本発明では、押出機を固体移送部、溶融部、混練部、計量部の各部に区分けし、かつ少なくとも固体移送部、溶融部およびメルト計量部の解析においては、これを微小区間に区分し、各微小区間での演算結果を押出機全長に亘り出力する。ここに微小区間とは、バレル内径(=D)を基準に、0.05D〜0.1Dの範囲で任意に設定できる。0.05Dより微小であれば計算時間が増大する場合がある。一方、0.1Dを超えるとメルト開始位置が不正確になる場合がある。
(3) 5因子
本発明では、ポリマ−メルトプ−ルエリアのヒ−タ−伝熱係数(UB)、バレル内壁ポリマ−摩擦係数補正値(CfB)、スクリュ表面ポリマ−摩擦係数補正値(CfS)、ソリッドベッド移動加速度設定値(Sa)、およびポリマ−粘度補正係数(Cμ)を算出式に導入する点に特徴がある。これにより、より正確に押出機内部の溶融樹脂の状態を把握することができる。
例えば、各部における剪断発熱量を算出するためにポリマ−粘度を使用するが、この値は、事前にキャピラリ−やメルトインデックス計によって得られた樹脂特性デ−タを基にしたものである。本発明では、このポリマ−粘度(η0)に更にポリマ−粘度補正係数(Cμ)を乗じて得られた値をポリマ−粘度(η)として使用する。同様にして、本発明では、ポリマーとバレル材質間の摩擦係数(fB)、ポリマーとスクリュ材質間の摩擦係数(fS)に、上記バレル内壁ポリマ−摩擦係数補正値(CfB)、スクリュ表面ポリマ−摩擦係数補正値(CfS)をそれぞれ乗じて算出式で使用する。
本発明では、実際の運転で得られた押出機出口ポリマ−温度および圧力両方の値を最も近く説明し得る様に、該ヒ−タ−伝熱係数(UB)、バレル内壁ポリマ−摩擦係数補正値(CfB)、スクリュ表面ポリマ−摩擦係数補正値(CfS)、ソリッドベッド移動加速度設定値(Sa)、ポリマ−粘度補正係数(Cμ)を選択してポリマ−メルトプ−ルエリアのヒ−タ−伝熱係数(UB)を決定し、以降スクリュディメンジョンや運転条件の変更に伴い起こり得る現象をシミュレ−とするものである。
このような5因子の決定方法としては、まず、所定の押出機について所定の運転条件によるデ−タを基準とする。例えば、ポリマ−メルトプ−ルエリアのヒ−タ−伝熱係数(UB)に関しては、従来の熱交換器などにおける数値を参照して、その前後を含む数値として5種を設定し、バレル内壁ポリマ−摩擦係数補正値(CfB)およびスクリュ表面ポリマ−摩擦係数補正値(CfS)に関しても、一般に樹脂が有する金属との摩擦係数(スクリュ側:fS、バレル側:fB)を前提に、CfB・fB>CfS・fSとなる12通りの組み合わせを設定する。又、ソリッドベッド移動加速度設定値は、等速度運動状態で計算する数値0から、溝深さに逆比例して加速する数値1.0の中から3種設定し計算を行なう。尚、ポリマ−粘度補正係数(Cμ)に関しては、予め測定器にて得られた粘度デ−タから実験式を作成し、それにより得られる値の前後を含む数値として4種の補正係数を用いて計算を行なう。これにより、5×12×3×4=720通りの組み合わせが成立する。この組み合わせの中で、実際の運転で得られた押出機出口ポリマ−温度および圧力両方の値に最も近い組み合わせとして、最終的に粘度補正係数が最も1.0に近づく値、組合せを採用する。
(4) 設定条件入力
本発明のシステムでは、少なくとも押出機内部の温度プロフィ−ルおよび圧力プロフィ−ルを出力するものであるからこれらの演算に必要な要素を入力し、および、スクリュ形状や押出機条件を変更した場合の温度プロフィ−ルや圧力プロフィ−ルをシミュレ−トするものであるから、条件変更項目を入力する。これらの入力は、予め空欄を設けた設定項目に数値を入力する形式でも、予め選択肢を設けた設定項目の中から解析対象の枝を選択する形式であってもよい。以降は、この設定条件に基づいて演算をおこなう。入力項目は、例えば、押出機によって溶融する樹脂の固、液両相での密度、比熱、熱伝導度、摩擦係数、融解熱、別途測定によって得られる粘度特性式の係数等などの樹脂情報;押出機のスクリュタイプ、全長、配分(山数、溝深さ、条数)、バレルヒ−タ−構成(数、温度センサ−位置);スクリュ回転数、バレルヒ−タ−設定温度、処理量、粉体圧、入口温度などの運転条件などが例示される。
(5) 粉体供給部
本発明において粉体供給部とは、樹脂ペレットをバレル内に導入する部位である。
供給ホッパ出口の樹脂ペレットは上層からの圧力を受ける。本発明では、粉体供給部での圧力の算出に際し、例えばWalkerの関係式を採用することができる。供給ホッパの形状が例えば図2に示すものである場合には、下記式で圧力を算出することができる。
Figure 0004931193
(6) 固体移送部
固体移送部の演算に際し、解析は上記した微小区間に区分して行う。
固体移送部における関係式は、例えばDarnell−Molを参照して算出することができる。ここにDarnell−Molとは、スクリュ溝とシリンダ内面に囲まれる空間内の粉粒体がスクリュの回転により進む際の送り量および圧力上昇を摩擦力のバランスにより算出するものである。本発明において、ソリッドベッドの加熱は、ヒ−タ−からの伝導伝熱と、バレル内壁面で発生するポリマ−摩擦発熱量(ΔQZ)とによるものとする。図3に、ソリッドベッド温度プロフィ−ル解析モデルを示す。ソリッドベッド深さ方向の温度プロフィ−ルは、溝深さ方向をm分割し、その最上部ゾ−ンの平均温度がポリマ−の融点に達し、かつ当該エリアが溶融する為に必要な熱量が供給された地点をメルト開始位置とする。mとしては、10〜50が好ましく、より好ましくは20〜30である。例えば、m=20として算出することができる。摩擦発熱量(ΔQZ)は、以下の算出式で得られる。
Figure 0004931193
なお、図4を参照し、スクリュ回転数をN、体積流量をQとすれば、シリンダ内面とペレットの相対移動角φは、以下の式で示される。
Figure 0004931193
また、溝方向に沿った微小要素について作用する摩擦力の釣り合いから要素前後の圧力比は以下の式で示される。
Figure 0004931193
また、ペレットの見かけ密度は圧力の関数として次式で示される。
Figure 0004931193
上記(5)、(6)、(7)より重量流量QTとスクリュ回転数Nを与えれば、溝方向に沿って圧力分布を求めることができる。
本発明では、樹脂とバレル内壁面の摩擦係数補正係数(fB)と、樹脂とスクリュ表面の摩擦係数補正係数(fS)とが上記式(8)に含まれており、これらの値を変更することで最終的に溶融開始位置を変化させることができる。また、摩擦係数は温度によっても相違するため、スクリュを強制冷却している場合等に、冷却エリアの摩擦係数を入力すれば、スクリュ内部を強制冷却している場合の押出機内部の溶融樹脂の温度分布を正確に予測することができる。
また、固体移送部における微小区間に働くトルクΔTqfは、以下の式で示される。
Figure 0004931193
上記により、固体移送部では、「ソリッドベッドの縦方向温度プロフィ−ル」、「動力」、「粉体圧」が出力される。
(7) 溶融部
溶融部の演算に際し、解析は上記した微小区間に区分して行う。本発明において、溶融部はソリッドベッドの溶融開始位置から溶融終了位置までの範囲であり、その間の温度プロフィ−ル、圧力、動力を出力する。溶融部での最初の微小区間の温度は、ポリマ−融点とし、圧力は固体移送部で算出した粉体圧とする。本発明において、溶融部の解析には、Donovanモデルを採用して算出することができる。この際、ソリッドベッド上部に形成される溶融フィルム内の粘度は、溶融フィルムを非ニュ−トン流体と仮定して、投入するポリマ−の剪断速度及びその際のフィルム温度から求めた値を用いる。図5に示すように、溶融フィルムで発生する剪断発熱によりソリッドベッドの溶融が行なわれ、溶融開始時にはX/W=1、ソリッドベッドは巾方向に減少し、溶融終了時にはX/W=0と考える。ソリッドベッド幅の変化を算出し、ソリッドベッドの融解によって得られたメルトプ−ルでは、前記ソリッドベッド幅変化をメルトプ−ルの流路変化とみなし、溝深さ方向に関する流速分布を求め、この流路分布を溝深さ方向に微分することで剪断速度を求めることができる。なお、メルトプ−ルでは、図6に示す溶融推移モデルに従い、Drag FlowとPressure Flowという2種の溝方向流れと、Turn Flowという溝断面方向流れとに細分しDrag FlowおよびPressure Flowのそれぞれの速度vD(y)およびvP(y)を以下の式に従い算出する。
Figure 0004931193
溝に沿った流れ方向速度(v1(y))は、vD(y)とvP(y)との和であるから、以下の関係式を満たす。
Figure 0004931193
次いで、本発明では、流速を溝深さ方向に微分することによって溝の方向に沿った流れの剪断速度分布γ1(y)を求め、かつ溝方向に沿った流れの平均剪断速度γ1を求める。
Figure 0004931193
同様にして、Turn Flowの溝深さ方向の速度分布vT(y)を求め、更に溝深さ方向に沿って微分することで剪断速度分布γ2(y)、平均剪断速度γ2を算出する。
Figure 0004931193
Figure 0004931193
以上から、微小区間における平均剪断速度γは、以下の式で求められる。
Figure 0004931193
上記剪断速度と温度の条件から、事前にキャピログラフィ−やメルトインデックス計で得られたデ−タを基に得られた下記の実験式にてポリマ−粘度(η)を算出する。
Figure 0004931193
本発明では、上記粘度、剪断速度、メルトプ−ルの容積V、メルトプ−ルの溶融樹脂の溶融流量(m3/hr)Qm、溶融ポリマ−の微小区間での滞留時間RT=V/Qmから溶融ポリマ−が流動により生じさせる剪断発熱量qをq=η・γ2・RTによって算出し、微小区間の出口温度T2aを仮定してこの発熱量とバレルヒ−タ−からの伝導伝熱量Qbを計算し、内部剪断発熱量qと伝導伝熱量Qbとから昇温値ΔTを、ΔT=(Qb+q)/(W・Cp)から算出する。なお、前記式中、Wはメルトプ−ルの溶融ポリマ−の質量流量(kg/hr)であり、Cpはメルトプ−ルの溶融ポリマ−の定圧比熱である。本発明では、バレルヒ−タ−からの伝導伝熱量Qbは、Qb=UB・As[Tb−(T1+T2a)/2]+η・γ2・RT−qとするものであり、ポリマ−メルトプ−ルのヒ−タ−伝熱係数(UB)が加味されることを特徴とする。UBの導入により、より正確に押出機内部の溶融樹脂の状態が把握できることを見出した。なお、上記式中、Tbは、バレル内壁温度(℃)である。
一方、メルトプ−ルの巾Wは、溝幅をW0、ソリッドベッド幅をXとすれば、W0=(1−X/W0)として知ることができ、微小区間の容積Vは、メルトプ−ルの幅Wと任意の位置における溝深さHとの積で得られ、メルトプ−ルを流れる溶融流量Qmは、ソリッドベッド移動速度VSZとソリッドベッド幅Xとの積を処理量Qから引いたものとして算出することができる。本発明では、ソリッドベッド移動速度VSZとして、ソリッドベッド移動加速度設定値(Sa)を用い、下記の式を用いることによって、樹脂によって加速度因子の強弱効果をつけている。
Figure 0004931193
これにより、押出機内部の溶融状態をより正確にシミュレ−トすることができる。また、溶融ポリマ−の微小区間での滞留時間RTは、RT=V/Qmとして算出できるため、溶融ポリマ−が流動により生じさせる剪断発熱量(内部剪断発熱量:q)を以下の式にて計算する。
Figure 0004931193
本発明では、既に算出されている微小区間入口温度T1に対し、当該微小区間での平均温度としてTを仮定し、一旦微小区間出口温度T2aをT2a=2・T−T1で求める。また微小区間での平均粘度η0を仮定し、前記にしたがって内部剪断発熱量qを算出、かつバレルヒ−タ−からの伝導伝熱量を求め、微小区間での昇温値ΔTを算出する。これにより微小区間での出口温度T2bをT1+ΔTを計算することで求め、|T2a−T2b|が許容範囲に属するまで、前記で仮定した微小区間での平均温度Tの値を変更して計算を繰り返す。
なお、圧力は以下の式から昇圧量ΔPを算出することができる。
Figure 0004931193
すなわち、溶融部の解析を要約すれば、本発明では、(a)微小区間での粘度を仮定し、(b)それにより流れの各成分を計算し、(c)微小区間での平均剪断速度を計算し、(d)微小区間での溶融ポリマ−の滞留時間をRT=V/Qmで求める(V;メルトプ−ルの容積、Qm;メルトプ−ルを流れる溶融体積流量)。(e)既知の微小区間入り口温度T1に対し、微小区間の出口温度T2aとすれば、この微小区間の平均温度は(T1+T2a)/2となる。
一方、入り口温度T1に対し、微小区間で発生する剪断発熱量qとバレルヒ−タ−からの伝熱量Qbとが加わると出口温度T2bは、式:W・Cp(T2b−T1)=η・γ2・RT+Qb、で示される。そこで、最初に仮定した出口温度T2aと上式で求められるT2bとの差が、許容範囲に属するまで、前記で仮定した微小区間での平均温度Tの値を変更して計算を繰り返す、というものである。
このように、
(i)前記微小区間での粘度の仮定と該仮定数による流れ成分の算出工程、
(ii)前記微小区間での平均剪断速度の算出工程、
(iii)前記微小区間での溶融ポリマ−の滞留時間の算出工程、
(iv)前記微小区間の平均温度の算出工程、
(v)前記微小区間で発生する剪断発熱量とバレルヒ−タ−からの伝熱量とを加味した出口温度の算出工程、
(vi)前記(iv)で得た平均温度と、前記(v)で得た出口温度との差を算出する工程、
(vii)前記(vi)で得た差が所定範囲となるよう前記平均温度を変更して上記(iv)〜(vi)を繰り返す工程、とによって、より実際の押出機排出温度および圧力に近い押出機シュミレ−ションを行うことができる。
なお、スクリュの途中にマ−ドックがある場合は、粉体供給口からマ−ドック入口までの範囲を上記に従って演算し、またマ−ドックの終点からスクリュ先端までの範囲を第二計量ゾ−ンと称し、この範囲についても、上記に従って演算する。
(8) メルト計量部
本発明において、メルト計量部とはポリマ−が溶融を完了した以降のエリアである。この範囲における演算は、上記溶融部での解析におけるメルトプ−ルの計算と同様にして行うことができる。
(9) 混練部
図1(5)に示すように、マ−ドックは流入溝に入る際の分割と流出溝出口で生じる合流によって混合機能を有する。また、流入溝から流出溝に移る際、狭いクリアランスを通過するために剪断による混練機能を発揮する。混練部の解析では、一対の流入、流出溝あたりのポリマ−流量を算出し、押出機下流に向かって流入溝内、流出溝内、流入溝から流出溝への移動流量それぞれを計算し圧力プロフィ−ルを算出する。
混練部の解析の前提は、マ−ドック配設位置を計算開始位置とし、その温度としては直前のフルフライトスクリュにおけるメルトプ−ルのポリマ−温度を使用し、圧力としてはメルトプ−ルのポリマ−圧力を使用する。マ−ドックの入口でソリッドベッドが残存する場合には、入口温度は上記同様メルトプ−ル温度を使用するが、このエリアでの温度上昇の計算では、ソリッドベッドが完全に溶融するために必要な融解熱が奪われる事を考慮する。なお、この区間における温度、圧力推移の計算では、ポリマ−粘度は一定の値を持つものと仮定する。
(10) 第二計量ゾ−ン
マ−ドックがスクリュ途中に配置されている場合には、マ−ドックの終点から押出機樹脂排出口までを第二計量ゾ−ンと称し、未溶融物なしとして溶融部のメルトプ−ルの計算と同様の計算を行なう。
(11) 演算
本発明では、条件設定入力に基づいて、図7に示す手順で解析が行われる。例えば、フルフライトスクリュの場合には、ホッパ内粉体圧計算工程、固体移送部解析工程、溶融部解析工程、メルト計量部解析工程を経て、溶融樹脂温度および圧力プロフィ−ルがスクリュの溝深さ条件と対応して出力される。また、先端マ−ドックスクリュの場合には、上記溶融部或いはメルト計量部解析工程についで混練部解析工程が行われ、その後に溶融樹脂温度および圧力プロフィ−ルがスクリュの溝深さ条件と対応して出力される。また、マ−ドックスクリュの場合には、先端マ−ドックスクリュの場合における上記混練部解析工程についで、第二計量ゾ−ン解析工程が行われ、その後に溶融樹脂温度および圧力プロフィ−ルがスクリュの溝深さ条件と対応して出力される。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
実施例1
設定条件入力工程およびホッパ内粉体圧計算工程を図8に示す。また、固体移送部解析工程を図9に、溶融部解析工程を図10に、混練部解析工程を図11に、第二計量ゾ−ン解析の結果を図12に示す。以下、各工程について説明する。
(1)設定条件入力工程
図8に示すように、マ−ドックスクリュ、先端マ−ドックスクリュおよびフルフライトスクリュとに選択肢が設けられたスクリュタイプの項目から、解析対象のスクリュタイプを選択する。
ついで、ホッパ形状、スクリュ形状、マ−ドック形状などのディメンジョン情報;スクリュ回転数、粉体圧、入口温度、処理量などの運転条件;ヒ−タ−指示温度、センサ−の位置(粉体供給口からの距離、内壁面からの距離)などのバレルヒ−タ−条件;密度、比熱、熱伝導度、融点、融解熱、粘度特性係数などの樹脂特性情報を入力する。
なお、本発明で使用するポリマ−メルトプ−ルエリアのヒ−タ−伝熱係数(UB)、バレル内壁ポリマ−摩擦係数補正値(CfB)、スクリュ表面ポリマ−摩擦係数補正値(CfS)、ソリッドベッド移動加速度設定値(Sa)、およびポリマ−粘度補正係数(Cμ)の設定方法を記載する。
従来の押出機条件として、例えば、補正を考慮したバレル内壁ポリマ−摩擦係数(CfB・fB)=0.07、補正を考慮したスクリュ表面ポリマ−摩擦係数(CfS・fS)=0.06、ヒ−タ−伝熱係数(UB)=100、ソリッドベッド移動加速度設定値(Sa)=0.98、ポリマ−粘度補正係数(Cμ)=0.98によって得た押出機条件を基準として、この基準値の前後を含む数値を概算で設定する。例えば補正を考慮した摩擦係数について図14では、(CfB・fB、CfS・fS)について12通りの設定を行い、同様にしてポリマ−メルトプ−ルエリアのヒ−タ−伝熱係数(UB)は5通り、ソリッドベッド移動加速度設定値(Sa)は3通り、ポリマ−粘度補正係数(Cμ)は4通りの数値を設定した。これらからなる720通りの組合せの中から、実際の運転で得られた押出機出口ポリマ−温度および圧力両方の値を最も近く説明し得る組合せを選択して使用する。
実施例1では、ポリマ−メルトプ−ルエリアのヒ−タ−伝熱係数(UB)を350、補正を考慮したバレル内壁ポリマ−摩擦係数(CfB・fB)を0.12、補正を考慮したスクリュ表面ポリマ−摩擦係数(CfS・fS)を0.11、ソリッドベッド移動加速度設定値(Sa)を1.00、ポリマ−粘度補正係数(Cμ)を0.78として使用した。
なお、スクリュ−のフィ−ド長は、0.41(m)、コンプレッション長は0.455(m)、メタリング長は0.687(m)、フィ−ド溝深さは0.018(m)、メタリング溝深さは0.00425(m)、スクリュ回転数は21.3、溝対数は3、MDバリアLは0.2159、I/Oバリア周長は0.0127、ダムバリア周長は0.005、I/Oクリアランスは0.001、バリアクリアランスは0.00011、流入溝深さは0、流出溝深さは0.0062、流入溝コ−ナ−Rは0.0062、バレル温度は275(℃)、I/O溝幅比は1、Meter出〜MDバリア入は0.058とした。
(2)ホッパ内粉体圧計算工程
上記設定条件に基づき、下記式(3)から粉体圧を算出し、ホッパ内粉体圧とする。
Figure 0004931193
(3)固体移送部解析工程
粉体圧(PZ)、樹脂とバレル内壁面間の摩擦係数(fB)、バレル内壁ポリマ−摩擦係数補正値(CfB)、スクリュ回転周速(vb)、スクリュ螺旋角(φb)及びペレット相対移動角度(θ)などから、バレル内壁面で発生する摩擦発熱量(ΔQZ)を下記式(4)により算出する。
なお、図9に示すように、スクリュを強制的に冷却できる単軸押出機の場合、シミュレ−ションをより的確におこなうため、スクリュ冷却長(z)、冷却エリアにおける樹脂とバレル内壁面間の摩擦係数(fB’)を設定し、下記式(4)に前記冷却エリアにおける樹脂とバレル内壁面間の摩擦係数(fB’)に対する補正値(CfB’)など加味して、バレル内壁面で発生する摩擦発熱量(ΔQZ)を算出することができる。
Figure 0004931193
また、前進差分による固体温度プロフィ−ルを算出し、微小区間Δzで発生するトルクを下記式(8)で求める。なお、式中の記号は図4参照。
Figure 0004931193
ついでソリッドベッドの上部(予めこの部分が溶融するとフィルムを形成すると想定した厚み)が溶融するのに必要な熱量を計算しておき、スクリュ溝方向に沿って摩擦発熱、ヒ−タ−からの伝導伝熱による溶融率の計算を行い、当該部分での溶融率が99.9%以上となる位置を溶融開始位置とする。上記工程により、溶融開始位置が決定され、粉体供給部から溶融開始位置までの温度プロフィ−ル、圧力プロフィ−ルおよびトルクを出力する。
(4) 溶融部解析工程
図10に示すように、微小区間ごとに解析を連続して行う。
まず、微小区間における樹脂の平均粘度η0を仮定し、下記式(12)から昇圧量ΔPを算出する。
Figure 0004931193
また、溝深さ、メルトプ−ル幅、スクリュ回転数から溝方向流速度vD(y)とvP(y)と、溝断面方向流れ速度vT(y)とを算出し、剪断速度γ1およびγ2を算出し、および平均剪断速度γを下記式(9)から算出する。
Figure 0004931193
ついで、メルトプ−ルの幅、微小区間の流れ方向刻みから容積Vを算出し、全体処理量からソリッドベッド分を除く溶融流量Qmを算出し、上記容積Vを溶融流量Qmで除して溶融ポリマ−の微小区間での滞留時間RTを算出する。これにより、溶融ポリマ−が流動によって生じさせる内部剪断発熱量qを下記式(11)により算出することができる。
Figure 0004931193
次いで、微小区間での出口温度T2aを仮定する一方、バレルヒ−タ−からの伝導伝熱量と前記内部剪断発熱量qとから昇温値ΔTを算出し、微小区間での出口温度T2bをT1+ΔTとし、T2aとT2bとの差が許容範囲に属するまで、前記で仮定した微小区間での出口温度T2aの値を変更して計算を繰り返す。
ついで、該差が許容範囲内となった場合に、微小区間での平均温度Tavを算出し、ついで下記式(10)から粘度を算出する。
Figure 0004931193
この粘度と前記した微小区間における仮定粘度η0との差を算出し、η−η0が許容範囲に属するまで、仮定粘度η0を変更して計算を繰り返し、許容範囲内であれば次の微小区間において上記演算を連続しておこなう。
なお、スクリュがマ−ドックを配設しない場合には、最後の微小区間の温度、圧力、トルクをメルト計量部、すなわち押出機の樹脂排出口の出力とする。
(5) 混練部解析工程
マ−ドックがスクリュ途中に配置される場合には、図11に示すように、流入溝と流出溝の断面積を算出し、混練部でのポリマ−平均温度Tを仮定する。平均温度を仮定することによって、既に計算で求めている入口温度T1からマ−ドック出口温度T2aがT2a=2・T−T1で得られる。一方、溝一対あたりポリマ−流量を算出し、溝内および溝間移動時の剪断速度を求め、各部位の平均粘度を算出する。次いで、流入溝、流出溝の各流量プロフィ−ルを算出し、圧力損失を算出する。これにより、混練部でのトルクおよび発熱量が得られ、温度上昇量ΔTを算出することができる。混練部出口のポリマ−温度T2'をT1+ΔTとし、T2とT2'との差が許容範囲にない場合には、上記で仮定した平均温度Tを変更し、再度マ−ドック各部位の平均粘度を再計算し、上記許容範囲になるまで繰り返す。
先端マ−ドックスクリュの場合には、上記によって算出された温度および圧力をシミュレ−ションの結果とする。
(6) 第二計量ゾ−ン解析工程
スクリュの途中にマ−ドックが配置されている場合には、マ−ドック部出口から押出機排出口の範囲について、上記溶融部のメルトプ−ルと同様に解析する。具体的には、スクリュ溝に沿った微小区間の樹脂の平均粘度η0を仮定し、溝深さ、溝幅、スクリュ回転数から溝方向流れ速度vD(y)、vP(y)と、溝断面方向流れ速度vT(y)とを算出する。次いで、剪断速度分布γ1(y)、γ2(y)を求め、平均剪断速度γ、内部剪断発熱量を算出する。ここで微小区間の出口温度T2aを仮定し、平均温度を算出する。これにより、バレルヒ−タ−からの伝導伝熱量が計算でき、微小区間での内部剪断発熱量、バレルヒ−タ−からの伝熱量が計算でき、出口温度T2bが得られる。先に仮定したT2aとT2bの差が許容範囲に属するまで微小区間の出口温度仮定を繰り返す。出口温度が許容範囲に属した後、微小区間での平均温度を求める。この平均温度と、先に算出した平均剪断速度γから、ポリマ−粘度を特性式により計算し、仮定した粘度との差が許容範囲に属するまで計算を繰り返す。許容範囲内であれば次の微小区間へ移り、上記演算を連続しておこなう。
(7) 出力
計算が終了したら、計算結果をモニタ−画面に表示し、または紙に出力する。また、計算結果をハ−ドディスクやフロッピ−(登録商標)ディスク、光磁気ディスク等の記録媒体に記録してもよい。図12は、実施例による本発明によるシミュレ−ション結果である。図12は、現状安定した運転下において、高温押出しになっている状態を本シミュレ−ションにより解析したもので、マ−ドック部での温度上昇を定量的に示すものである。
実施例2
スクリュ−のフィ−ド長は、0.703(m)、コンプ長は0.46735(m)、メタリング長は0.65585(m)、フィ−ド溝深さは0.013(m)、メタリング溝深さは0.0028(m)、スクリュ回転数は25,27,30、溝対数は0、MDバリアLは0、I/Oバリア周長は0、ダムバリア周長は0、I/Oクリアランスは0、バリアクリアランスは0、流入溝深さは0、流出溝深さは0、流入溝コ−ナ−Rは0、バレル温度は0(℃)、I/O溝幅比は0、Meter出〜MDバリア入は0とした以外は、実施例1と同様にしてシミュレ−ションを行った。結果を図13に示す。
図12と図13とを比較することで、押出機のスクリュ−の形状を変更した場合に押出機内の樹脂温度および圧力がどのように変化するかが、押出機のスクリュ溝と共に出力される。
図1(1)、(2)、(3)は本発明の押出機運転シミュレ−ションシステムで解析しうるスクリュ形状を示す図であり、図1(4)はマ−ドックの側面図であり、図1(5)はマ−ドックの横断面図である。 本発明で解析する押出機のホッパ部の横断面図である。 本発明で採用しうるソリッドベッドの温度プロフィ−ル解析モデルを示す図である。 本発明の演算する際に使用する各符号を記載したスクリュ溝の展開図である。 溶融部におけるソリッドベッドとメルトプ−ルを説明する図である。 溶融部における溶融推移モデルを説明する図である。 本発明の押出機運転シミュレ−ションシステムの動作を示すフロ−チャ−トである。 本発明のシミュレ−ションシステムにおける設定条件入力工程の入力画面である。 本発明のシミュレ−ションシステムにおける固体移動部の入力画面である。 本発明のシミュレ−ションシステムにおける溶融部の入力画面である。 本発明のシミュレ−ションシステムにおける混練部の入力画面である。 本発明の押出機運転シミュレ−ションシステムによってシミュレ−トされた結果を示す表示図面の例である。 図12の結果に対し、入力条件を変更した場合の本発明の押出機運転シミュレ−ションシステムによってシミュレ−トされた結果を示す表示図面の例である。 本発明で使用する、ポリマ−メルトプ−ルエリアのヒ−タ−伝熱係数(UB)、バレル内壁ポリマ−摩擦係数補正値(CfB)、スクリュ表面ポリマ−摩擦係数補正値(CfS)、ソリッドベッド移動加速度設定値(Sa)、およびポリマ−粘度補正係数(Cμ)の設定方法を示す図である。

Claims (1)

  1. 単軸押出機の装置条件と押出運転条件とから押出機内部の樹脂温度および樹脂圧力を演算する押出機運転シミュレーションシステムにおいて、
    前記押出機を、粉体供給部、固体移送部、溶融部およびメルト計量部とに区分し、各区分毎に樹脂温度および樹脂圧力を、ポリマーメルトプールエリアのヒーター伝熱係数(UB)、バレル内壁ポリマー摩擦係数補正値(CfB)、スクリュ表面ポリマー摩擦係数補正値(CfS)、ソリッドベッド移動加速度設定値(Sa)、およびポリマ−粘度補正係数(Cμ)の5因子を導入して算出し、当該5因子は、ポリマー粘度補正係数(Cμ)が最も1.0に近づく組み合わせを採用する、押出機シミュレーションシステム。
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