JP4931091B2 - 識別情報含有物、情報識別装置及び情報識別方法 - Google Patents

識別情報含有物、情報識別装置及び情報識別方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4931091B2
JP4931091B2 JP2009508023A JP2009508023A JP4931091B2 JP 4931091 B2 JP4931091 B2 JP 4931091B2 JP 2009508023 A JP2009508023 A JP 2009508023A JP 2009508023 A JP2009508023 A JP 2009508023A JP 4931091 B2 JP4931091 B2 JP 4931091B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spectrum
quantum dot
wavelength
width
types
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009508023A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2009147874A1 (ja
Inventor
俊弘 藤田
繁年 藤谷
宏治 稲田
浩志 高見
重雄 前田
朋範 錦
潤 徳田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idec Corp
Original Assignee
Idec Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idec Corp filed Critical Idec Corp
Priority to JP2009508023A priority Critical patent/JP4931091B2/ja
Publication of JPWO2009147874A1 publication Critical patent/JPWO2009147874A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4931091B2 publication Critical patent/JP4931091B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G07CHECKING-DEVICES
    • G07DHANDLING OF COINS OR VALUABLE PAPERS, e.g. TESTING, SORTING BY DENOMINATIONS, COUNTING, DISPENSING, CHANGING OR DEPOSITING
    • G07D7/00Testing specially adapted to determine the identity or genuineness of valuable papers or for segregating those which are unacceptable, e.g. banknotes that are alien to a currency
    • G07D7/06Testing specially adapted to determine the identity or genuineness of valuable papers or for segregating those which are unacceptable, e.g. banknotes that are alien to a currency using wave or particle radiation
    • G07D7/12Visible light, infrared or ultraviolet radiation
    • G07D7/1205Testing spectral properties

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)

Description

本発明は、識別情報を含有する識別情報含有物に関し、具体的には、識別情報を構成する主発光波長の異なる少なくとも1種類の蛍光体を含有する識別情報含有物に関する。また、本発明は、識別情報含有物に含まれる識別情報を識別する情報識別装置に関する。また、本発明は、識別情報含有物に含まれる識別情報を識別する情報識別方法に関する。
蛍光物質はその材料によってピーク波長が異なることが知られており、材料の異なる複数種類の蛍光体を含有させることによって複数種類の蛍光体からの発光パターンを識別情報として付与した識別情報含有物が知られている(下記の特許文献1参照)。従来の典型的な識別情報含有物において、蛍光の強度等の観点から、識別情報を付与するために使用できる蛍光体の材料は極めて少数に限られていた。この限られた材料の元で実効的で汎用的な識別情報(例えば、100種類)を付与するためには、材料の選択によって選択された主発光波長の組合せを識別子とすると共に含有量の調整によって主発光波長の発光強度の組合せをも識別子としなければならなかった。また、蛍光体の製造方法や製造条件によって蛍光物質の発光特性が微少に変化することに着目して、製造方法や製造条件をも識別情報の識別子として利用し、識別情報の種類を増加させた識別情報含有物が提案されている(下記の特許文献2参照)。
WO2003−58549(特願2003−558787号) WO2004−25550(特願2003−535874号)
上記のような典型的な識別情報含有物において、蛍光体として、量子サイズ効果を発現しないバルク結晶(例えば、粒径10nm(ナノメートル)以上)であるバルク蛍光体が用いられていた。バルク蛍光体を用いた従来の典型的な識別情報含有物においては、ピーク波長の組合せの選択幅(材料の選択幅)が狭く、識別情報の情報量の観点から更なる改良の余地があった。また、識別情報含有物における各種のバルク蛍光体の含有量は微量であるために、各種のピーク波長の蛍光の発光強度の識別精度の観点からも更なる改良の余地があった。なお、含有量を大幅に変化させれば、識別の精度は向上することとなるが、一方、識別情報含有物の本来の色が阻害されたり、製品価格が大幅に上昇したりするために実用性の観点からは好ましいとはいえなかった。更に、各種のピーク波長の蛍光を一括して発光させるためには、複数種類のピーク波長の各々に対応する主吸収波長の最短波長から最長波長までを網羅する連続スペクトルの光源、例えば、キセノンランプや水銀ランプ等を用いなければならなかった。
また、近年になり、量子サイズ効果を発現する量子ドット蛍光体が知られるようになってきた。量子ドット蛍光体は、量子サイズ効果によって、その粒径が所定の大きさよりも小さくなると、ピーク波長がバルク結晶の場合よりも短い波長側に連続的にシフトすることが解ってきた。例えば、GaAs材料の量子ドット蛍光体であれば、粒径の変化に応じて可視領域の波長範囲を全て網羅できる。更に、バルク蛍光体は吸収波長の選択性が高いために、つまり、ピーク波長の蛍光を放出させるためにはピーク波長と概ね同一の波長(主吸収波長)の光を照射しなければならなかったが、量子ドット蛍光体はバルク蛍光体よりも吸収波長の選択性が大幅に緩和され、ピーク波長よりも短い波長の光を照射すれば良好にピーク波長の蛍光が放出されることが解ってきた。
そこで、本発明に係る識別情報含有物では、識別情報の情報量を増加させると共に識別が容易となるように識別情報を含有させる。また、本発明に係る情報識別装置及びその情報識別方法では、識別情報含有物に含有された識別情報を簡便にかつ確実に識別する。
上記の課題を解決するために、本発明に係る識別情報含有物は、
所定の励起光の照射により蛍光を発し、所定の波長領域において連続して所定の強度以上となるスペクトルの幅で特定される識別情報を含む識別情報含有物であって、
前記波長領域のスペクトルが前記波長領域において互いに幅の異なる所定の複数種類の候補スペクトルのうちのいずれかとなるように、前記波長領域において互いにピーク波長の異なる所定の複数種類の量子ドット蛍光体のうちの少なくとも2種類の量子ドット蛍光体を含み、
前記複数種類の候補スペクトルの各々が、前記少なくとも2種類の量子ドット蛍光体の各々によるスペクトルが重なる複合スペクトルである、
ことを特徴としている。
また、本発明に係る識別情報含有物は、
所定の励起光の照射により蛍光を発し、互いに重複しない所定の複数の波長領域の各々において連続して所定の強度以上となるスペクトルの幅の前記複数の波長領域に対応する組み合せで特定される識別情報を含む識別情報含有物であって、
前記複数の波長領域の各波長領域におけるスペクトルが前記各波長領域において互いに幅の異なる所定の複数種類の候補スペクトルのうちのいずれかとなるように、前記各波長領域において互いにピーク波長の異なる所定の複数種類の量子ドット蛍光体のうちの少なくとも2種類の量子ドット蛍光体を含み、
前記複数の波長領域の各々に対応する前記複数種類の候補スペクトルの各々が、前記少なくとも2種類の量子ドット蛍光体の各々によるスペクトルが重なる複合スペクトルである、
ことを特徴としている。
また、本発明に係る識別情報含有物は、
所定の励起光の照射により蛍光を発し、互いに重複しない所定の複数の波長領域の各々において連続して所定の強度以上となるスペクトルの幅の前記複数の波長領域に対応する組み合せで特定される識別情報を含む識別情報含有物であって、
前記複数の波長領域の各波長領域におけるスペクトルが前記各波長領域において幅のない候補スペクトルと互いに幅の異なる所定の複数種類の候補スペクトルとのうちのいずれかとなるように、前記幅のない候補スペクトルにあっては前記各波長領域において互いにピーク波長の異なる所定の複数種類の量子ドット蛍光体のいずれも含まず、前記複数種類の候補スペクトルにあっては前記複数種類の量子ドット蛍光体のうちの少なくとも2種類の量子ドット蛍光体を含み、
前記複数の波長領域の各々に対応する前記複数種類の候補スペクトルの各々が、前記少なくとも2種類の量子ドット蛍光体の各々によるスペクトルが重なる複合スペクトルであり、
前記複数の波長領域のうちの少なくとも1つの波長領域におけるスペクトルは、当該波長領域に対応する前記複数種類の候補スペクトルのいずれかである、
ことを特徴としている。
また、本発明に係る識別情報含有物は、
所定の励起光の照射により蛍光を発し、互いに重複しない所定の複数の波長領域の各々において連続して所定の強度以上となるスペクトルの幅の前記複数の波長領域に対応する組み合せで特定される識別情報を含む識別情報含有物であって、
前記複数の波長領域の各波長領域におけるスペクトルが前記各波長領域において第1幅の候補スペクトルと前記第1幅より幅が広く互いに幅の異なる所定の複数種類の候補スペクトルとのうちのいずれかとなるように、前記第1幅の候補スペクトルにあっては前記各波長領域において互いにピーク波長の異なる所定の複数種類の量子ドット蛍光体のうちの1種類の量子ドット蛍光体を含み、前記複数種類の候補スペクトルの各々にあっては前記複数種類の量子ドット蛍光体のうちの少なくとも2種類の量子ドット蛍光体を含み、
前記複数の波長領域の各々に対応する前記複数種類の候補スペクトルの各々が、前記少なくとも2種類の量子ドット蛍光体の各々によるスペクトルが重なる複合スペクトルであり、
前記複数の波長領域のうちの少なくとも1つの波長領域におけるスペクトルは、当該波長領域に対応する前記複数種類の候補スペクトルのいずれかである、
ことを特徴としている。
また、本発明に係る識別情報含有物は、
所定の励起光の照射により蛍光を発し、互いに重複しない所定の複数の波長領域の各々において連続して所定の強度以上となるスペクトルの幅の前記複数の波長領域に対応する組み合せで特定される識別情報を含む識別情報含有物であって、
前記複数の波長領域の各波長領域におけるスペクトルが前記各波長領域において幅のない候補スペクトルと第1幅の候補スペクトルと前記第1幅の候補スペクトルより幅が広く互いに幅の異なる所定の複数種類の候補スペクトルとのうちのいずれかとなるように、前記幅のない候補スペクトルにあっては前記各波長領域において互いにピーク波長の異なる所定の複数種類の量子ドット蛍光体のいずれも含まず、前記第1幅の候補スペクトルにあっては前記複数種類の量子ドット蛍光体のうちの1種類の量子ドット蛍光体を含み、前記複数種類の候補スペクトルの各々にあっては前記複数種類の量子ドット蛍光体のうちの少なくとも2種類の量子ドット蛍光体を含み、
前記複数の波長領域の各々に対応する前記複数種類の候補スペクトルの各々が、前記少なくとも2種類の量子ドット蛍光体の各々によるスペクトルが重なる複合スペクトルであり、
前記複数の波長領域のうちの少なくとも1つの波長領域におけるスペクトルは、当該波長領域に対応する前記複数種類の候補スペクトルのいずれかである、
ことを特徴としている。
また、本発明に係る識別情報含有物は、
所定の励起光の照射により蛍光を発し、互いに重複しない所定の複数の波長領域の各々において連続して所定の強度以上となるスペクトルの幅の前記複数の波長領域に対応する組み合せで特定される識別情報を含む識別情報含有物であって、
前記複数の波長領域の各波長領域におけるスペクトルが前記各波長領域において幅のない候補スペクトルと幅のある候補スペクトルとのいずれかとなるように、前記幅のない候補スペクトルにあっては前記各波長領域において互いにピーク波長の異なる所定の複数種類の量子ドット蛍光体のいずれも含まず、前記幅のある候補スペクトルにあっては前記複数種類の量子ドット蛍光体のうちの少なくとも2種類の量子ドット蛍光体を含み、
前記複数の波長領域の各々に対応する前記幅のある候補スペクトルが、前記少なくとも2種類の量子ドット蛍光体の各々によるスペクトルが重なる複合スペクトルであり、
前記複数の波長領域のうちの少なくとも1つの波長領域におけるスペクトルは、当該波長領域に対応する前記幅のある候補スペクトルである、
ことを特徴としている。
また、本発明に係る識別情報含有物は、
所定の励起光の照射により蛍光を発し、互いに重複しない所定の複数の波長領域の各々において連続して所定の強度以上となるスペクトルの幅の前記複数の波長領域に対応する組み合せで特定される識別情報を含む識別情報含有物であって、
前記複数の波長領域の各波長領域におけるスペクトルが前記各波長領域において第1幅の候補スペクトルと前記第1幅より広い第2幅の候補スペクトルとのうちのいずれかとなるように、前記第1幅の候補スペクトルにあっては前記各波長領域において互いにピーク波長の異なる所定の複数種類の量子ドット蛍光体のうちの1種類の量子ドット蛍光体を含み、前記第2幅の候補スペクトルにあっては前記複数種類の量子ドット蛍光体のうちの少なくとも2種類の量子ドット蛍光体を含み、
前記複数の波長領域の各々に対応する前記第2幅の候補スペクトルが、前記少なくとも2種類の量子ドット蛍光体の各々によるスペクトルが重なる複合スペクトルであり、
前記複数の波長領域のうちの少なくとも1つの波長領域におけるスペクトルは、当該波長領域に対応する前記第2幅の候補スペクトルである、
ことを特徴としている。
また、本発明に係る識別情報含有物は、
所定の励起光の照射により蛍光を発し、互いに重複しない所定の複数の波長領域の各々において連続して所定の強度以上となるスペクトルの幅の前記複数の波長領域に対応する組み合せで特定される識別情報を含む識別情報含有物であって、
前記複数の波長領域の各波長領域におけるスペクトルが前記各波長領域において幅のない候補スペクトルと第1幅の候補スペクトルと前記第1幅の候補スペクトルより幅が広い第2幅の候補スペクトルとのうちのいずれかとなるように、前記幅のない候補スペクトルにあっては前記各波長領域において互いにピーク波長の異なる所定の複数種類の量子ドット蛍光体のいずれも含まず、前記第1幅の候補スペクトルにあっては前記複数種類の量子ドット蛍光体のうちの1種類の量子ドット蛍光体を含み、前記第2幅の候補スペクトルにあっては前記複数種類の量子ドット蛍光体のうちの少なくとも2種類の量子ドット蛍光体を含み、
前記複数の波長領域の各々に対応する前記第2幅の候補スペクトルが、前記少なくとも2種類の量子ドット蛍光体の各々によるスペクトルが重なる複合スペクトルであり、
前記複数の波長領域のうちの少なくとも1つの波長領域におけるスペクトルは、当該波長領域に対応する前記第2幅の候補スペクトルである、
ことを特徴としている。
本発明に係る識別情報含有物であれば、識別情報を構成する蛍光体として粒径の制御によって所定の範囲内で任意にピーク波長を変化させえる量子ドット蛍光体を用いたことによって、バルク蛍光体を用いる場合に比べてピーク波長の選択における自由度が大きくなるために、識別情報の情報量を増加させることができる。また、量子ドット蛍光体を用いたことによって、バルク蛍光体を用いる場合に比べて吸収波長の選択性が緩和されるために、識別情報を構成する各種の蛍光体を簡便にかつ確実に一括して発光させることができ、識別情報を簡便に検知できる。これによって、識別情報に基づく識別情報含有物の真贋判定等が簡便にかつ確実に行えることともなる。
本発明に係る識別情報含有物、情報識別装置及び情報識別方法の最良の形態について説明する。なお、本発明の概念的な構成について説明した後に、具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
本発明に係る識別情報含有物は、ピーク波長の異なる少なくとも1種類の蛍光体を含む識別情報含有物であって、前記少なくとも1種類の蛍光体は、所定の複数種類の量子ドット蛍光体から選択され、前記少なくとも1種類の蛍光体の配合に応じた蛍光のスペクトルの波形を識別情報として含むことを特徴としている。ここで、「ピーク波長」とは、蛍光体から放出される最大遷移強度の蛍光の波長を意味する。また、「少なくとも1種類の蛍光体」とは、蛍光体の種類が複数である場合には、材料及び粒径の少なくとも一方が異なる量子ドット蛍光体を意味する。また、「量子ドット蛍光体」とは、量子サイズ効果を発現する極めて粒径の小さい超微粒子である。量子ドット蛍光体を構成する材料としては、例えば、半導体物質が挙げられる。量子ドット蛍光体の大きさは粒径によって指標するが、量子ドット蛍光体が完全な球体を意味するのではなく、概ね球体である場合や概ね立方体である場合やその他の形状である場合であってもよい。例えば、量子ドット蛍光体の粒径が6nmである場合には、量子ドット蛍光体に対する外接球面の最小直径が6nmであることを意味している。また、粒径には作製誤差δが含まれていてもよいこととする。したがって、粒径が6nmである場合には、量子ドット蛍光体の粒径は、(6±δ)nmの範囲内であることを意味する。また、識別情報含有物に配合される可能性のある「所定の複数種類の量子ドット蛍光体」は、全てが同一物質からなる量子ドット蛍光体のみを含む構成であってもよいし、異なる物質からなる量子ドット蛍光体を含む構成であってもよい。複数種類の量子ドット蛍光体が同一物質からなる量子ドット蛍光体のみを含む構成である場合には、それらの量子ドット蛍光体の粒径は互いに異ならせる。所定の複数種類の量子ドット蛍光体が異なる物質からなる量子ドット蛍光体を含む場合には、同一物質からなる量子ドット蛍光体の粒径は互いに異ならせる。なお、物質が異なれば量子ドット蛍光体の粒径はピーク波長が異なる限りにおいて同一であってもよい。また、「配合」とは、所定の複数種類の量子ドット蛍光体から選択される量子ドット蛍光体の種類やその含有量やそれらの組合せを意味する。具体的には、配合の相違は、選択された量子ドット蛍光体の種類のみの相違で識別されてもよいし、選択された量子ドット蛍光体の種類及び種類別の含有量の組合せの相違で識別されてもよい。
識別情報含有物は、担持体と、担持体で保持された量子ドット蛍光体とを含んでいる。担持体としては、固体や粘性体や液体が挙げられる。具体的には、識別情報含有物としては、例えば、担持体としての固化樹脂やガラスとそれらに分散固定された量子ドット蛍光体とで構成された部品や膜、担持体としての化学繊維と化学繊維に分散固定された量子ドット蛍光体とを含む糸や布や紙、担持体としての複数の繊維と繊維間に分散固定された量子ドット蛍光体とを含む糸や布や紙、及び、担持体としての粘性体や液体とそれらに流動自在に保持された量子ドットとを含むインクや塗料やコーティング剤や薬液や液体燃料が挙げられる。また、識別情報含有物としては、上記の膜に接着層を形成したシールが例示できる。更に、識別情報含有物としては、担持体としての固体と固体に分散固定された量子ドット蛍光体とを含む被膜が形成された任意の部材、具体的には、上記のインクや上記の塗料や上記のコーティング剤の固化膜又は乾燥膜が形成された部材、及び、上記のシールが貼着された任意の部材も例示できる。
識別情報含有物において担持体として機能する樹脂の種類としては、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、アクリロニトリルスチレン(AS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、フッ素(FR)樹脂、ポリエステルエラストマー(TPEE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)樹脂、特殊エンジニアリングプラスチック(SEP)樹脂、及び、それらの共重合体等の複合化合物(アロイ)が挙げられる。
識別情報含有物は、各種の装置等において外形を形成する少なくとも一部の部材であることが好ましい。この場合には、識別情報の識別が簡便に行えるからである。具体的には、装置部品として、例えば、制御機器装置の外形を形成するもの(表示灯の表面カバー、照明装置の表面カバー、押釦スイッチの操作ボタンやボディ、リレーの筐体、タイマの筐体、リレーやタイマ用のソケット、端子台の筐体、光電素子を利用したセンサの筐体、デジタルあるいはアナログの信号を入出力する機器の筐体、配線用遮断機の筐体、電源装置の筐体、プログラマブル表示器の筐体等)、家電製品の筐体、自動車やバイクの照明カバーが挙げられる。また、識別情報含有物は、市場において流通する高級な商品(服飾品、アクセサリー、鞄、靴、装身具、時計、宝石など)に使用されるラベルやタグにも使用できる。
量子ドット蛍光体を構成する半導体物質としては、例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe等のII−VI族化合物半導体物質、GaN、GaP、GaAs、InP、InAs等のIII−V族化合物半導体物質、I−III−VI族の元素からなるカルコパイライト構造の化合物半導体物質、また、これらの混合物である混晶半導体物質が挙げられる。I−III−VI族の元素からなるカルコパイライト構造の化合物半導体物質は、一般に知られているいずれのものでも良いが、特に、I族元素としてはCu、Agからなる群より選択され、III族元素としてはIn、Ga、Alからなる群より選択され、VI族元素としてはS、Se、Teからなる群より選択される、少なくとも1つの種類の元素を含む化合物であることが望ましい。以下において、量子ドット蛍光体という場合には、特に断らない限り、蛍光体の構成物質は半導体物質であるとする。
ここで、量子ドット蛍光体の特性について簡単に説明する。量子ドット蛍光体は、励起光の吸収に応じて、励起光の最短波長よりも波長の長い蛍光を発生させることができる。具体的には、量子ドット蛍光体のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの励起光の吸収に応じて、量子ドット蛍光体のバンドギャップエネルギーに相当する波長をピーク波長とする蛍光を放出する。なお、この蛍光は、スペクトルにおいてピーク波長を中心とする概ねガウス分布形状のピーク波形を形成する。量子ドット蛍光体は、量子サイズ効果を発現する超微粒子であるために、粒径の変化に応じてバンドギャップエネルギー(伝導帯の電子の最小エネルギー準位と価電子帯の電子の最大エネルギー準位とのエネルギー差:禁制帯幅)が変化し、つまり、同一物質からなる場合であっても粒径が変化すれば放出される蛍光のピーク波長は変化する。粒径が大きいほどバンドギャップエネルギーは小さくなるためにピーク波長は長くなり、粒径が小さいほどバンドギャップエネルギーは大きくなるためにピーク波長は短くなる。なお、少なくとも一方向に対して量子化されない蛍光体、例えば、バルク蛍光体の場合には、量子サイズ効果を発現しない粒径の範囲で大きさを変化させたとしてもバンドギャップエネルギーは実質的に変化しない。また、量子ドット蛍光体においては、価電子帯の電子のエネルギー準位及び伝導帯の電子のエネルギー準位は、バルク蛍光体の場合とは異なり、エネルギー準位の縮退が解けて離散的なエネルギー準位をとるために、ピーク波長の蛍光に対応するスペクトルの分散が小さくなる。特に、量子ドット蛍光体の粒径の精度が高ければ高いほどその効果が大きくなる。なお、蛍光の強度は、蛍光体の含有量を変化させることによって制御することができる。更に、量子ドット蛍光体においては、バルク蛍光体の場合のように選択的な吸収特性を示さず、ピーク波長よりも短い波長であれば良好に吸収して、ピーク波長の蛍光を放出する。
高精度に粒径が統制された量子ドット蛍光体を作製する技術としては、例えば、サイズ選択光エッチング法が挙げられる。このサイズ選択光エッチング法を用いた場合には、量子ドット蛍光体から放出される蛍光のピーク波長を数nm単位(1nm以下の誤差)で制御できる。ここで、サイズ選択光エッチング法について簡単に説明する。サイズ選択光エッチングとは、あらかじめ公知の方法で量子ドット蛍光体を作製した後に、溶存酸素雰囲気下において、その作製された広い粒径分布をもつ量子ドット蛍光体群に所定の単色光を照射する。量子ドット蛍光体は自己のバンドギャップエネルギー以上の幅広い波長帯域の光を吸収するために、そのバンドギャップエネルギーが単色光の波長に対応するエネルギーよりも小さい場合には光励起される。そのとき、溶液の条件を適切に制御することで、光励起された量子ドット蛍光体そのものを光溶解させることができる。この光溶解によって量子ドット蛍光体の粒径が減少し、量子ドット蛍光体のバンドギャップエネルギーが大きくなる。この反応は、量子ドット蛍光体のバンドギャップエネルギーが照射光の波長に対応するエネルギーを超えた時点で停止する。これによって、量子ドット蛍光体の粒径を、照射した単色光の波長に依存する所定の粒径に揃えることができる。
識別情報含有物の少なくとも1つの蛍光体として最終的に含まれている量子ドット蛍光体の種類は、1種類の場合もあれば複数種類の場合もあり、また、所定の複数種類の量子ドット蛍光体が異なる物質からなる量子ドット蛍光体を含む場合には、同一物質からなる量子ドット蛍光体のみを含む場合もあれば、異なる物質からなる量子ドット蛍光体を含む場合もある。なお、識別情報含有物には、識別情報を形成する量子ドット蛍光体以外の蛍光体が含まれていてもよい。
識別情報は、蛍光のスペクトルの波形を形成する量子ドット蛍光体の種類に応じた個別のピーク波長の蛍光を単位として認識されてもよいし、複数の個別のピーク波長の蛍光を含む複合波形(部分スペクトル)を単位として識別されてもよいし、全ての個別のピーク波長の蛍光を含む全体波形(全体スペクトル)を単位として識別されてもよい。識別情報を互いに区別するための識別子(識別要素)としては、例えば、所定の複数種類の量子ドット蛍光体の各ピーク波長に対応する強度(2値又は多値判断)、複数種類の量子ドット蛍光体の各ピーク波長に対応する各蛍光の有無(2値判断)、各ピーク波長の蛍光の最近隣のピーク波長の蛍光に対する相対的な強度(2値判断又は3値判断)、所定の波長領域内におけるピーク波長の位置(2値又は多値判断)、所定の波長領域内における各種のピーク波長の蛍光の数(2値又は多値判断)、所定の波長領域内における部分スペクトルの幅(2値又は多値判断)が挙げられる。
前記複数種類の量子ドット蛍光体のうち少なくとも一部の種類の量子ドット蛍光体が、粒径の異なる同一材料の粒子である構成が好ましい。この構成であれば、量子ドット蛍光体を形成する材料物質の種類を低減できると共に、ピーク波長の異なる量子ドット蛍光体を作製できるために、識別情報含有物に識別情報を簡便に含有させることができる。
前記識別情報が、前記複数種類の量子ドット蛍光体の各々のピーク波長における蛍光強度が所定の励起光に対して所定の強度以上であるか否かを識別子として含む構成であることが好ましい。ここで、所定の複数種類の量子ドット蛍光体のうち一部の量子ドット蛍光体が配合され、他の量子ドット蛍光体は配合されていない構成であってもよいし、所定の複数種類の量子ドット蛍光体のうち一部の量子ドット蛍光体が所定の発光強度以上となる含有量で配合され、一部の量子ドット蛍光体が所定の発光強度未満となる含有量で配合されている構成であってもよい。この構成であれば、所定の複数種類の量子ドット蛍光体の各々のピーク波長に対応する発光強度を検知することによって、簡便に識別情報を検知できる。
前記識別情報が、前記複数種類の量子ドット蛍光体の各々のピーク波長における蛍光強度が所定の励起光に対して所定の3つ以上の強度範囲のいずれの強度範囲であるかを識別子として含む構成であることが好ましい。この構成であれば、各ピーク波長による蛍光による識別値が多値となるために、識別情報の情報量を増加させることができる。
前記識別情報が、前記複数種類の量子ドット蛍光体の各々のピーク波長における蛍光強度が所定の励起光に対して0を越えて大きい強度領域における所定の複数の強度範囲のいずれの強度範囲であるかを識別子として含む構成であることが好ましい。この構成であれば、各ピーク波長に蛍光が検出されていることまで確認できることによって、隠しコードの読み出しの信頼性を向上させることができる。また、複数の強度範囲が3つ以上の強度範囲である場合には、各ピーク波長による蛍光による識別値が多値となるために、識別情報の情報量を増加させることもできる。
前記複数種類の量子ドット蛍光体のピーク波長が、所定の波長間隔である構成が好ましい。ここで、所定の波長間隔には、1つの波長範囲、例えば、380nm〜500nmの波長範囲において、複数種類の量子ドット蛍光体のピーク波長の波長間隔が一定である場合や、1つの連続的な波長範囲において、複数種類の量子ドット蛍光体のピーク波長の波長間隔がその波長に応じて長くなる又は短くなる構成や、離隔する複数の波長範囲、例えば、380nm〜500nmの波長範囲及び650nm〜780nmの波長範囲の各波長範囲に含まれる量子ドット蛍光体のピーク波長の波長間隔が一定である構成や、各波長範囲に含まれる量子ドット蛍光体のピーク波長の波長間隔がその波長に応じて長くなる又は短くなる構成等が例示できる。なお、複数の波長範囲に分散させた場合であって各波長範囲において波長間隔が一定である場合において、波長間隔は波長範囲ごとに全て異なっていてもよいし、部分的に同一であってもよいし、全て同一であってもよい。この構成であれば、粒径の制御によって任意にピーク波長を変更できる利点を最大限に利用できる。
前記複数種類の量子ドット蛍光体のピーク波長が、互いに離隔する所定の複数の波長範囲において、前記波長範囲ごとに実質的に一定の波長間隔である構成が好ましい。ここで、「実質的に一定の波長間隔」とは、意図的には波長範囲ごとの波長間隔を異ならせないことを意味し、「実質的に一定」には、完全に一定である場合に限らず、量子ドット蛍光体の作製誤差等によって完全には一定でない場合を含意する。この構成であれば、波長範囲ごとの識別情報の部分情報を更に簡便かつ高精度に検知できる。波長間隔は、波長範囲ごとに全て異なっていてもよいし、部分的に同一であってもよいし、全て同一であってもよい。また、波長間隔は、スペクトルにおいて、隣接する2つのピーク波長の蛍光が1つのピークのみを有する波形を形成する間隔であってよいし、先端部分で2つのピークを有する波形を形成する間隔であってもよいし、更に、実質的に重ならない2つのピークを有する波形を形成する間隔であってもよい。隣接するピーク波長の蛍光が先端部分で2つのピークを有する波形を形成する波長間隔としては、例えば、一方のピーク波長の蛍光の半値幅(FWHM:最大値の2分の1の強度における全幅)よりも広く、ピーク波長の蛍光の1/10幅(FWTM:最大値の10分の1の強度における全幅)よりも狭い間隔が挙げられる。また、隣接するピーク波長の蛍光が実質的に重ならない2つのピークを有する波形を形成する波長間隔としては、例えば、ピーク波長の蛍光の1/10幅よりも広い間隔が挙げられる。
前記複数種類の量子ドット蛍光体のピーク波長が、実質的に一定の波長間隔である構成が好ましい。この構成であれば、識別情報の全体を更に簡便にかつ高精度に検知できるからである。
前記複数種類の量子ドット蛍光体の各々のピーク波長に対応する蛍光が実質的に重ならない構成であることが好ましい。
上記の構成であれば、ピーク波長の異なる蛍光が実質的に重ならないために識別情報を簡便に検知できる。なお、蛍光が「実質的に重ならない」とは、完全に重ならない場合に限らず、蛍光の裾部分で重なる構成、例えば、上述のように、隣接する2つのピーク波長の蛍光の間隔がピーク波長の蛍光の1/10幅よりも広い間隔である構成であってもよいことを意味する。この構成であれば、識別情報を構成する各種の量子ドット蛍光体のピーク波長の蛍光が実質的に重ならないために、識別情報の検知において、スペクトルから各ピーク波長の蛍光を分離する蛍光分離解析(ピーク分離解析)を実行しなくてもよく、極めて簡便に識別情報を検知できるからである。
前記識別情報が、所定の励起光に対する前記少なくとも1種類の蛍光体からの蛍光の所定の複数の波長領域の各々における部分スペクトルの幅が複数の幅範囲のいずれの幅範囲であるかを識別子として含む構成であることが好ましい。ここで、「部分スペクトルの幅」としては、例えば、部分スペクトルの半値幅や所定の強度に対応する幅が挙げられる。この構成であれば、単一の波長領域における識別値の値域を増加させたり、模倣による部分スペクトルの再現性を低下させたりできる。
本発明に係る情報識別装置は、本発明に係る識別情報含有物に含まれる識別情報を識別する装置であり、励起光源と、励起光源からの励起光の照射に応じた識別情報含有物からの放出光を分光する分光装置と、分光装置によって分光された放出光の強度を波長別に測定する光測定装置と、光測定装置による測定結果に基づいて識別情報を検知する識別情報検知手段とを含んでいる。なお、分光装置、光測定装置、及び識別情報検知手段は、公知のいかなる構成と同一であってもよい。
励起光源は、複数種類の量子ドット蛍光体のピーク波長のうちの最も短いピーク波長より短く実質的に単一の波長の光を励起光として射出する。ここで、「実質的に単一の波長の光」とは、その波長をピーク波長とする発光(所定のスペクトル(概ねガウス分布)を有する光)に限らず、ピーク波長と異なる波長の微少な発光を含む場合であってもよいことを意味する。但し、キセノンランプ等の場合のような広範囲の連続的なスペクトルを有する光を含むことを意味するのではない。励起光源としては、例えば、LEDや半導体レーザ等が挙げられる。また、励起光源は、近紫外領域の波長の光を射出することが好ましく、紫外領域の波長の光であることが更に好ましい。この場合には、蛍光体の材料や蛍光体の粒径への依存度が減少し、各種の量子ドット蛍光体からピーク波長の蛍光を放出させることができるからである。
本発明に係る情報識別方法は、本発明に係る識別情報含有物に含まれる識別情報を識別する方法であり、識別情報含有物に含まれる少なくとも1種類の蛍光体の全てを発光させ(発光ステップ)、前記識別情報含有物からの放出光を分光し(分光ステップ)、分光された放出光の強度を波長別に測定し(光測定ステップ)、測定された前記放出光の測定結果に基づいて識別情報を検知する(識別情報検知ステップ)。なお、分光ステップ、光測定ステップ、識別情報検知ステップは、公知のいかなる方法と同一であってもよい。
発光ステップにおいて、複数種類の量子ドット蛍光体のピーク波長のうちの最も短いピーク波長より短く実質的に単一の波長の励起光を識別情報含有物に照射する。なお、識別情報を構成する蛍光体が量子ドット蛍光体であるために、実質的に単一の波長の励起光であっても、励起光の波長より長いピーク波長の蛍光を良好に放出させることができる。これによって、識別情報含有物に含まれる少なくとも1種類の蛍光体の全てが発光することとなる。
前記放出光の波長別の強度の測定において、前記少なくとも1種類の蛍光体の選択対象である複数種類の量子ドット蛍光体の各々のピーク波長に対応する強度を選択的に測定する構成であることが好ましい。この構成であれば、識別情報の検知に必要な波長の強度のみを検出するために、識別情報を簡便に検知できる。
ここで、本発明に係る識別情報含有物、情報識別装置及び情報識別方法について、図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態における部品(〔識別情報含有物〕の一種)は、同一物質で構成され、粒径のみが異なることによってピーク波長の異なる8種類の量子ドット蛍光体から選択される少なくとも1種類の量子ドット蛍光体を含む樹脂組成物であり、部品には8種類の量子ドット蛍光体の配合によって隠しコード(〔識別情報〕の一種)が付与されている。8種類の量子ドット蛍光体の粒径(D1〜D8)は、それらのピーク波長(λ1〜λ8:λ1<λ2<λ3<λ4<λ5<λ6<λ7<λ8)が互いに等間隔となるように、つまり、λ2−λ1=λ3−λ2=λ4−λ3=λ5−λ4=λ6−λ5=λ7−λ6=λ8−λ7=2d(定数)を満たすように調整されている。隠しコードの検知においては、8つの波長領域(R1〜R8:λ1−d≦R1<λ1+d、λ2−d≦R2<λ2+d、λ3−d≦R3<λ3+d、λ4−d≦R4<λ4+d、λ5−d≦R5<λ5+d、λ6−d≦R6<λ6+d、λ7−d≦R7<λ7+d、λ8−d≦R8<λ8+d)における蛍光の強度に基づいて識別情報が判断される。
まず、隠しコードを含む部品について説明する。図1が、隠しコードを含む部品の一例を模式的に表す斜視図であり、図2が、隠しコードと量子ドット蛍光体の種類との対応を示す対応テーブルの一例を表す説明図である。
予め、サイズ選択光エッチング法を適用して、ドーパントを含まない同一の半導体材料からなる粒径D1(ピーク波長λ1)〜粒径D8(ピーク波長λ8)の8種類の量子ドット蛍光体を作製しておく。
(1)部品1に含ませる識別情報としての隠しコードを決定する。
(2)図2に示されたような隠しコードと量子ドット蛍光体の種類との対応を表す対応テーブルを参照して、8種類の量子ドット蛍光体から隠しコードに応じた所定の量子ドット蛍光体を選択する。
(3)選択された量子ドット蛍光体を所定の含有量となるように樹脂材料に混合する。
(4)必要な種類の量子ドット蛍光体の混合された樹脂材料から所望の形状の部品を成型する。これによって、識別情報含有物としての部品1が製造される。
ここで、具体例に基づいて量子ドット蛍光体の配合について説明する。隠しコードが、「01100101」等の8桁のビット情報である場合について説明する。図2に示されたように、対応テーブルにおいて、隠しコードにおける各桁が先頭から順に粒径D1(ピーク波長λ1)〜粒径D8(ピーク波長λ8)の量子ドット蛍光体に対応し、各桁の数値が「1」である場合には対応する量子ドット蛍光体を配合することを表し、「0」である場合には量子ドット蛍光体を配合しないことを表している。隠しコードが「01100101」である場合には、隠しコードに従って、粒径D2(ピーク波長λ2)の量子ドット蛍光体と、粒径D3(ピーク波長λ3)の量子ドット蛍光体と、粒径6(ピーク波長λ6)の量子ドット蛍光体と、粒径D8(ピーク波長λ8)の量子ドット蛍光体とを選択して、それぞれ所定量だけ担持体としての所定量の樹脂材料に混合する。
次に、隠しコードを読み出すコード読み出し装置(〔情報識別装置〕の一種)及びそのコード読出方法(〔情報識別方法〕の一種)について説明する。図3は、コード読み出し装置の一例を模式的に表す説明図である。図4は、コード読み出し装置によって検出されるスペクトルのアナログ情報の一例を模式的に表す波形図である。図5は、コード読み出し装置によってデコードされた隠しコードを模式的に表す波形図である。
コード読み出し装置10は、ピーク波長λ1よりも短い波長λ0をピーク波長とする実質的に単一の波長の励起光を射出するUV光源11と、励起光の照射に応じて部品1から放出される放出光から励起光の成分を除去するフィルタ21、フィルタ21を通過した光をコリメートするコリメートレンズ22、コリメートレンズ22を通過した平行光を回折させる複数のスリットの形成されたグレーティング23及びグレーティング23によって分光された光を波長ごとに結像させる凹面反射鏡24からなる分光機構12(〔分光装置〕の一種)と、分光された放出光を一括して検出するCCDセンサ13(〔光測定装置〕の一種)と、CCDセンサ13を制御して放出光のスペクトルを測定するスペクトル測定手段41及びスペクトル測定手段41において取得されたスペクトルのアナログ情報をデジタル情報に変換(A/D変換)することによって隠しコードをデコードするデコード手段42を含む隠しコード検知手段14(〔識別情報検知手段〕の一種)と、各種の隠しコードに対応する情報をデータベース化して記憶するデータベース記憶手段15と、デコード手段42によってデコードされた隠しコードをデータベースと照合して真贋を判定する真贋判定手段16とを備えている。
コード読み出し装置10によるコード読み出し方法は、ピーク波長λ1よりも短い波長λ0をピーク波長とする実質的に単一の波長の励起光を部品1に照射し、励起光の照射に応じて部品1から放出される放出光から励起光の成分をフィルタ21によって除去し、フィルタ21を通過した光をコリメートレンズ22によってコリメートし、コリメートレンズ22を通過した平行光を複数のスリットの形成されたグレーティング23によって回折させて分光し、分光された光を凹面反射鏡24によって波長ごとに結像させ、CCDセンサ13によって放出光のスペクトルを一括して検出し、検出されたスペクトルのアナログ情報をデジタル情報に変換(A/D変換)することによって隠しコードをデコードし、デコードされた隠しコードをデータベース化された情報と照合して真贋を判定する。
ここで、具体例に基づいて隠しコードの読み出しについて説明する。励起光のピーク波長λ0は隠しコードを構成する粒径D1(ピーク波長λ1)〜粒径D8(ピーク波長λ8)の量子ドット蛍光体の全てのピーク波長より短いために、励起光が照射されるといずれの量子ドット蛍光体も良好に蛍光を放出する。具体的には、部品1に励起光が照射され、励起光が照射に応じてピーク波長λ2の蛍光、ピーク波長λ3の蛍光、ピーク波長λ6の蛍光及びピーク波長λ8の蛍光が放出される。したがって、部品1からの放出光には、ピーク波長λ2の蛍光、ピーク波長λ3の蛍光、ピーク波長λ6の蛍光及びピーク波長λ8の蛍光が含まれている。なお、放出光には励起光の反射光や部品1の組成物質に起因する光がバックグラウンドとして含まれている。放出光はフィルタ21に導光され、フィルタ21を通過することによってバックグラウンドとして含まれていた励起光の反射光が除去される。これによって、バックグラウンドが低減され、隠しコードの検知における検知精度が向上することとなる。フィルタ21を通過した光は、コリメートレンズ22によってコリメートされて平行光となり、グレーティング23に導光される。グレーティング23に導光された光は、グレーティング23の複数のスリットの各々において回折される。回折角度は波長ごとに異なるために実質的な分光が行われる。更に、凹面反射鏡24を介して、異なるスリットで回折された同一波長の光はCCDセンサ13において直線状に結像される。また、異なる波長の光はCCDセンサ13において同一波長の直線状の結像と垂直な方向に空間的にずれて結像する。これによって、CCDセンサ13によって放出光のスペクトルを一括して検出でき、検出されたスペクトルのアナログ情報をデジタル情報に変換(A/D変換)することによって隠しコードをデコードし、デコードされた隠しコードをデータベース化された情報と照合して真贋を判定する。
上記の部品1であれば、識別情報を構成する蛍光体として粒径の制御によって所定の範囲内で任意にピーク波長を変化させえる量子ドット蛍光体を用いたことによって、バルク蛍光体を用いる場合に比べて波長の選択における自由度が大きくなるために、識別情報の情報量を増加させることができる。また、量子ドット蛍光体を用いたことによって、バルク蛍光体を用いる場合に比べて吸収波長の選択性が緩和されるために、識別情報を構成する各種の蛍光体を簡便にかつ確実に一括して発光させることができ、識別情報含有物の真贋判定等が簡便にかつ確実に行えることともなる。
上記のコード読み出し装置10であれば、量子ドット蛍光体の配合に応じた隠しコードを識別すればよいために、バルク蛍光体の配合に応じた隠しコードを識別する場合のように連続スペクトルのスペクトルで発光する光源や各種のバルク蛍光体に対応する複数の励起光源を備える必要がなく、その構成、特に励起光源の構成を簡素化できる。また、量子ドット蛍光体の場合にはバルク蛍光体の場合に比べて蛍光体の吸収波長の選択性が緩和されるために、識別情報を構成する各種の量子ドット蛍光体のうち最短のピーク波長より短い波長であればどのような実質的に単一の波長の光を射出する光源であっても利用できる。また、隠しコードを構成する各種の蛍光体を簡便にかつ確実に一括して発光させることができ、部品1の真贋判定等が簡便にかつ確実に行える。
上記のコード読み出し方法であれば、量子ドット蛍光体の配合に応じた隠しコードを識別すればよいために、バルク蛍光体の場合に比べて蛍光体の吸収波長の選択性が緩和され、バルク蛍光体の配合に応じた隠しコードを識別する場合のように連続スペクトルの励起光や各種のバルク蛍光体に対応する波長の異なる複数種類の励起光を用いる必要がなく、隠しコードを構成する各種の量子ドット蛍光体のうち最短のピーク波長より短い実質的に単一の波長の光を照射することによって簡便にかつ確実に隠しコードを識別できる。
上記の部品1において、隠しコードが、均等に分割された所定の複数の波長領域の各々における蛍光の有無を識別子として含む構成であるために、CCDセンサ13で計測されたスペクトルに基づいて簡便に隠しコードをデコードできる。これによって、コード読み出し方法の構成を簡素化できると共に、コード読み出しを簡便に行える。
上記の部品1において、隠しコードを構成する蛍光体が均等に分割された複数の波長領域の各々における所定の波長をピーク波長(ピーク波長λ1〜ピーク波長λ8)とする所定の8種類の量子ドット蛍光体から選択され、8種類の量子ドット蛍光体の各々のピーク波長(ピーク波長λ1〜ピーク波長λ8)に対応する蛍光が実質的に重ならず、隠しコードは、8種類の量子ドット蛍光体の各々の蛍光の強度が所定の閾値以上であるか否かを識別子として含む構成であるために、隠しコードにおいて蛍光が発生するピーク波長の位置が定まっており、また互いのピーク波長の蛍光が離隔するために蛍光の有無を、蛍光分離解析を行うことなくA/D変換により簡便に検知できる。また、8種類の量子ドット蛍光体のピーク波長の間隔が実質的に等間隔であるために各ピーク波長の蛍光の有無を更に簡便に検知できる。これによって、コード読み出し方法の構成を簡素化できると共に、コード読み出しを更に簡便に行える。
上記のコード読み出しにおいて、フィルタ21を用いて、部品1から放出された放出光から励起光の成分を除去したことによって、CCDセンサ13で検出されるスペクトルに含まれるバックグラウンドを低減できるために、蛍光の有無の検知精度を向上させることができる。
上記の部品1においては、隠しコードの各桁に対応する波長領域R1〜R8の中央の波長をピーク波長λ1〜λ8とする量子ドット蛍光体を用いる構成について説明したが、各波長領域内において中央の波長以外の波長をピーク波長とする量子ドット蛍光体を用いる構成であってもよい。この場合においても、上記と同様の読み出しによって隠しコードをデコードできる。
また、上記の部品1においては、隠しコードの各桁に対応する識別値が「0」である波長領域(上記の波長領域R1、波長領域R4、波長領域R5、波長領域R7)については、蛍光が形成されない構成について説明したが、これらの波長領域(上記の波長領域R1、波長領域R4、波長領域R5、波長領域R7)にも、隠しコードの各桁に対応する識別値が「1」である波長領域(上記の波長領域R2、波長領域R3、波長領域R6、波長領域R8)の蛍光よりも強度の小さい蛍光を形成する構成とすることもできる。この場合には、各波長領域R1〜R8に蛍光が検出されていることを確認することによって、隠しコードの読み出しの信頼性を向上させることができる。
このような隠しコードについて具体的に説明する。図6は、第1変形例の隠しコードの一例を模式的に表す波形図である。なお、図6においては、説明の簡便のために、図4に示された一部の波長領域(波長領域R1〜波長領域R4)についてのみ示されている。図6に示されたように、UV光源11からの励起光の照射に応じてピーク波長λ1で発光する量子ドット蛍光体及びピーク波長λ3で発光する量子ドット蛍光体が、それぞれ、ピーク波長λ1及びピーク波長λ3における強度が閾値th2以上である第2強度範囲S2内となるように樹脂材料に配合されている。一方、ピーク波長λ2及びピーク波長λ4の量子ドット蛍光体が、それぞれ、ピーク波長λ2及びピーク波長λ4における強度が閾値th1以上で閾値th2未満である第1強度範囲S1内となるように樹脂材料に配合されている。隠しコードの読み出しにおいて、各ピーク波長λ1〜λ4における強度が第1強度範囲S1内であるか第2強度範囲S2内であるかに応じて、隠しコードにおける各桁の識別値が「0」又は「1」であると判断される。したがって、図6に示された場合には、隠しコードが「1010」であると判断される。なお、ピーク波長λ1〜λ4のいずれかにおける強度が第1強度範囲S1内でもなく第2強度範囲S2内でもない場合には、偽隠しコードと判断する。
また、上記の部品1においては、隠しコードの各桁に対応する識別値が2値(「0」又は「1」)である構成について説明したが、各波長領域R1〜R8内における蛍光の強度を異ならせることによって隠しコードの各桁を多値とする構成とすることもできる。この場合には、隠しコードの読み出しにおいて各ピーク波長の蛍光の強度を段階的に判断する。例えば、波長領域R1において、強度を4つの強度範囲(S1〜S4)に分割して、測定された強度が、強度範囲S1内である場合に「0」、強度範囲S2内である場合に「1」、強度範囲S3内である場合に「2」、強度範囲S4内である場合に「3」と判断する構成であってもよい。なお、他の波長領域R2〜R8についても同様とする。
このような隠しコードについて具体的に説明する。図7は、第2変形例の隠しコードの一例を模式的に表す波形図である。なお、図7においては、説明の簡便のために、図4に示された一部の波長領域(波長領域R1〜波長領域R4)についてのみ示されている。図7に示されたように、UV光源11からの励起光の照射に応じてピーク波長λ1で発光する量子ドット蛍光体は、ピーク波長λ1における強度が閾値th2以上で閾値th3未満である第3強度範囲S3内となるように樹脂材料に配合され、UV光源11からの励起光の照射に応じてピーク波長λ2で発光する量子ドット蛍光体は樹脂材料に配合されず、UV光源11からの励起光の照射に応じてピーク波長λ3で発光する量子ドット蛍光体は、ピーク波長λ3における強度が閾値th3以上である第4強度範囲S4内となるように樹脂材料に配合され、UV光源11からの励起光の照射に応じてピーク波長λ4で発光する量子ドット蛍光体は、ピーク波長λ4における強度が閾値th1以上で閾値th2未満である第2強度範囲S2内となるように樹脂材料に配合されている。なお、波長λ2における発光強度は、「0」となるめに、閾値th1以下の強度範囲S1内の強度である。隠しコードの読み出しにおいて、各ピーク波長λ1〜λ4における強度が第1強度範囲S1〜第4強度範囲S4のいずれの強度範囲内であるかに応じて、隠しコードにおける各桁の識別値を「0」、「1」、「2」又は「3」であると判断する。したがって、図7に示された場合には、隠しコードが「2031」であると判断される。
また、上記の部品1においては、隠しコードの各桁に対応する識別値が2値(「0」又は「1」)である構成について説明したが、各波長領域R1〜R8内における蛍光のピーク波長を異ならせることによって隠しコードの各桁を多値とする構成とすることもできる。この場合には、隠しコードの読み出しにおいて蛍光分離解析を行って蛍光のピーク波長を判断する。例えば、波長領域R1において、この領域を更に4つの領域(R11〜R14)に分割して、抽出された波長λが、λ1−d≦λ<λ1−d/2を満たす場合に「0」、λ1−d/2≦λ<λ1を満たす場合に「1」、λ1≦λ<λ1+d/2を満たす場合に「2」、λ1+d/2≦λ<λ1+dを満たす場合に「3」と判断する構成であってもよい。なお、他の波長領域R2〜R8についても同様とする。
また、上記の部品1においては、各波長領域R1〜R8に1種類のピーク波長の蛍光が形成される場合について説明したが、各波長領域R1〜R8にピーク波長の異なる複数種類の蛍光を形成して、ピーク波長の異なる蛍光の種類数を識別子とする多値判断を行う構成とすることもできる。この場合には、各波長領域R1〜R8内で蛍光分離解析を行ったり、分光結果の表示を目視で観察したりすることによって、蛍光の種類数を抽出する。この場合には、各波長領域R1〜R8内に形成されるスペクトルが複数のピークを有する波形と判断できる程度に、各ピーク波長の蛍光を離隔させることが好ましい。なお、複数のピークを有する波形と判断できる程度とは、隣接するピーク波長の蛍光がそれらの半値幅を越えて離隔している場合を意味することとする。また、隣接する波長領域R1〜R8におけるピーク波長の蛍光についてもスペクトルにおいて個別のピークを有する波形と判断できる程度に、各ピーク波長の蛍光を離隔させることが好ましい。この場合には、各波長領域R1〜R8内において波長領域別に蛍光分離解析を行え、バックグラウンドの形状が分断化されて簡素化されるために、蛍光分離解析における分離精度を向上させることができる。例えば、波長領域R1について説明すれば、波長領域R1に蛍光を形成する量子ドット蛍光体として、ピーク波長(λ1−d/2)の量子ドット蛍光体、ピーク波長λ1の量子ドット蛍光体、ピーク波長(λ1+d/2)の量子ドット蛍光体から選択し、波長領域R1においていずれのピーク波長の蛍光も形成されない場合には「0」、1種類のピーク波長の蛍光が形成されている場合には「1」、2種類のピーク波長の蛍光が形成されている場合には「2」、3種類のピーク波長の蛍光が形成されている場合には「3」と判断する。更に、そのピーク波長を識別要素として更に多値の判断を行ってもよい。なお、これらの構成の場合には、蛍光分離解析における分離精度を向上させるために、各ピーク波長の蛍光の強度が実質的に同一であるように含有量を調整したり、ピーク波長が均等な間隔となるように粒径を調整したりすることが好ましい。
このような隠しコードについて具体的に説明する。図8は、第3変形例の隠しコードの一例を模式的に表す波形図である。なお、図8においては、説明の簡便のために、図4に示された一部の波長領域(波長領域R1〜波長領域R4)についてのみ示されている。図8に示されたように、UV光源11からの励起光の照射に応じて波長領域R1内の互いに異なるピーク波長で発光する複数種類の量子ドット蛍光体は、それらの量子ドット蛍光体からの発光の合成光が上端部に3つのピーク(先頭形状部)を有するスペクトルを形成するように樹脂材料に配合され、UV光源11からの励起光の照射に応じて波長領域R2内のピーク波長で発光する量子ドット蛍光体は樹脂材料に配合されず、UV光源11からの励起光の照射に応じて波長領域R3内のピーク波長で発光する量子ドット蛍光体は、その量子ドット蛍光体からの発光が上端部で1つのピークを有するスペクトルを形成するように樹脂材料に配合され、UV光源11からの励起光の照射に応じて波長領域R4内の互いに異なるピーク波長で発光する複数種類の量子ドット蛍光体は、それらの量子ドット蛍光体からの発光が上端部で2つのピークを有するスペクトルを形成するように樹脂材料に配合されている。なお、波長領域R2におけるピーク数は「0」とみなす。隠しコードの読み出しにおいて、各波長領域R1〜R4におけるピーク数(波長領域ごとの量子ドット蛍光体の種類数)に応じて、隠しコードにおける各桁の識別値が「0」、「1」、「2」又は「3」であると判断される。したがって、図9に示された場合には、隠しコードが「3012」であると判断される。
更に、上記の各種の変形例においては、各波長領域R1〜R8のスペクトルが複数のピークを有する波形と判断できる程度に離隔させる構成について説明したが、ピーク波長の異なる更に複数種類の量子ドット蛍光体を用いて、これらを隣接させて所定の形状、例えば、通常の蛍光よりも半値幅の広い先頭形状や台形状となるように形成し、その半値幅を識別要素とする構成であってもよい。なお、この場合には、あらかじめ所定の形状に対応する参照関数を保持させておき、その参照関数を利用した幅をパラメータとする最小自乗法等に基づくフィッティング解析によって半値幅を抽出すればよい。この場合、一般的に1種類の量子ドット蛍光体からの蛍光の半値幅よりも大きい形状の波長分布は複数種類の量子ドット蛍光体の種々の組合せによっても合成できるために模倣によって再現することが困難となる。これによって、識別情報の隠蔽性が向上する。更に、強度の相違と半値幅の相違とを複合させて各波長領域R1〜R8における識別値の値域を増加させることによって、隠しコードの情報量を増加させることもできる。このような隠しコードについて具体的に説明する。図9〜11は、第4変形例〜第6変形の隠しコードの一例を模式的に表す波形図である。なお、図9〜11においては、説明の簡便のために、図4に示された一部の波長領域(波長領域R1〜波長領域R4)についてのみ示されている。
図9に示されたように、UV光源11からの励起光の照射に応じて波長領域R1内の互いに異なるピーク波長で発光する複数種類の量子ドット蛍光体は、それらの量子ドット蛍光体からの発光の合成光が1種類の量子ドット蛍光体からの発光の半値幅W1より大きい半値幅W2の先頭形状のスペクトルとなるように樹脂材料に配合され、UV光源11からの励起光の照射に応じて波長領域R2内のピーク波長で発光する量子ドット蛍光体は樹脂材料に配合されず、UV光源11からの励起光の照射に応じて波長領域R3内の互いに異なるピーク波長で発光する複数種類の量子ドット蛍光体は、それらの量子ドット蛍光体からの発光の合成光が半値幅W2より大きい半値幅W3の先頭形状のスペクトルとなるように樹脂材料に配合され、UV光源11からの励起光の照射に応じて波長領域R4内のピーク波長で発光する量子ドット蛍光体は、その量子ドット蛍光体からの発光が半値幅W1の先頭形状のスペクトルとなるように樹脂材料に配合されている。なお、波長領域R2における半値幅は「0」とみなす。隠しコードの読み出しにおいて、各波長領域R1〜R4における半値幅が、第1閾値未満である第1幅範囲、第1閾値以上かつ第2閾値未満であり半値幅W1を含む第2幅範囲、第2閾値以上かつ第3閾値未満であり半値幅W2を含む第3幅範囲、第3閾値以上であり半値幅W3を含む第4幅範囲のいずれの幅範囲内であるかに応じて、隠しコードにおける各桁の識別値が「0」、「1」、「2」又は「3」であると判断される。したがって、図9に示された場合には、隠しコードが「2031」であると判断される。
また、図10に示されたように、UV光源11からの励起光の照射に応じて波長領域R1内の互いに異なるピーク波長で発光する複数種類の量子ドット蛍光体は、それらの量子ドット蛍光体からの発光の合成光が1種類の量子ドット蛍光体からの発光の半値幅W1より大きい半値幅W3の台形状のスペクトルとなるように樹脂材料に配合され、UV光源11からの励起光の照射に応じて波長領域R2内の互いに異なるピーク波長で発光する複数種類の量子ドット蛍光体は、それらの量子ドット蛍光体からの発光の合成光が半値幅W1より大きく半値幅W3より小さい半値幅W2の台形状のスペクトルとなるように樹脂材料に配合され、UV光源11からの励起光の照射に応じて波長領域R3内のピーク波長で発光する量子ドット蛍光体は樹脂材料に配合されず、UV光源11からの励起光の照射に応じて波長領域R4内のピーク波長で発光する量子ドット蛍光体は、その量子ドット蛍光体からの発光が半値幅W1の先頭形状のスペクトルとなるように樹脂材料に配合されている。なお、波長領域R3における半値幅は「0」とみなす。隠しコードの読み出しにおいて、各波長領域R1〜R4における半値幅が、図9を参照して説明した場合と同様に第1幅範囲〜第4幅範囲のいずれの幅範囲内であるかに応じて、隠しコードにおける各桁の識別値が「0」、「1」、「2」又は「3」であると判断される。したがって、図10に示された場合には、隠しコードが「3201」であると判断される。
また、図11に示されたように、UV光源11からの励起光の照射に応じてピーク波長λ1で発光する量子ドット蛍光体として、半値幅W3で発光する第3半導体物質の量子ドット蛍光体が樹脂材料に配合され、UV光源11からの励起光の照射に応じてピーク波長λ2で発光する量子ドット蛍光体として、半値幅W3より小さい半値幅W2で発光する第2半導体物質の量子ドット蛍光体が樹脂材料に配合され、UV光源11からの励起光の照射に応じてピーク波長λ3で発光する量子ドット蛍光体は配合されず、UV光源11からの励起光の照射に応じてピーク波長λ4で発光する量子ドット蛍光体として、半値幅W2より小さい半値幅W1で発光する第1半導体物質の量子ドット蛍光体が樹脂材料に配合されている。第1半導体物質、第2半導体物質及び第3半導体物質は、互いに異なる半導体物質である。なお、波長λ3における半値幅は、「0」とみなす。隠しコードの読み出しにおいて、各波長領域R1〜R4における半値幅が、図9を参照して説明した場合と同様に第1幅範囲〜第4幅範囲のいずれの幅範囲内であるかに応じて、隠しコードにおける各桁の識別値が「0」、「1」、「2」又は「3」であると判断される。したがって、図11に示された場合には、隠しコードが「3201」であると判断される。
上記においては、隠しコードの各桁の識別値の判断において、静的な(固定的な)少なくとも1つの閾値を参照したが、動的な閾値を参照して相対的な強度の相違を識別子とする構成であってもよい。具体的には、隠しコードの任意の桁に対応する識別値は、その前桁を基準桁とし、基準桁に対応する蛍光のピーク波長における強度を基準強度として、ピーク波長における強度が基準強度以上であるか否かによって判断される。なお、先頭桁に対応する識別値は、その桁に対応するピーク波長における発光の有無や所定の閾値以上であるか否か等によって決定する。同様に、隠しコードの任意の桁に対応する識別値が、その後桁を基準桁として判断される構成であってもよい。
上記の部品1においては、各波長領域R1〜R8に形成される蛍光が、隣接する波長領域の蛍光と実質的に重複しない構成について説明したが、ピーク波長の異なる更に多数の量子ドット蛍光体を用いて、これらを隣接させてスペクトルが所定の形状、各波長領域を区別することなく全波長領域(例えば、上記のλ1−d〜λ8+dの領域)にわたりなだらかに凹凸する形状に形成し、蛍光分離解析やパターン認識解析等によって識別情報をデコードする構成とすることもできる。
上記の部品1においては、実質的に隠しコード用の蛍光以外の発光がない構成について説明したが、識別情報含有物が、それ自身又はそれを介して蛍光等の発光を行う場合には、その発光に使用される波長範囲を実質的に避けて隠しコード用の蛍光を発光させてもよい。ここで、このような隠しコードについて説明する。図12〜図15は、隠しコードの変形例を模式的に表す波形図である。なお、図12〜図15には所定の波長範囲を避けて隠しコードを形成する場合が示されている。
表示灯等の光(波長λa)を放出する装置の表示面やそのカバー等に隠しコードを設定する場合には、図12に示されたように、波長λaの近傍を避けて隠しコードを設定する。なお、図12においては、波長間隔が一定の波長間隔であり、隠しコードが「11111111」である場合が示されているが、他の構成であってもよい。
また、図13に示されたように、波長λbの近傍を避けて、波長λbよりも小さい波長範囲に一定の波長間隔d2で隠しコード用の蛍光(ピーク波長λ1〜λ4)を形成し、波長λbよりも大きい波長範囲に一定の波長間隔d3で隠しコード用の蛍光(ピーク波長λ5〜λ8)を形成してもよい。なお、波長間隔d2と波長間隔d3とは同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、図14に示されたように、可視領域を避けて隠しコードを設定してもよい。この場合、隠しコードに基づく蛍光は人間の目には感知されないために、本来の発光色に影響を与えることが無くなる。
また、白色照明装置のように、中心波長λcの半値幅の広い発光及び中心波長λdの半値幅の広い発光等を含む場合には、図15に示されたように、中心波長λcの広い発光及び中心波長λdの発光の近傍を実質的に避けるように隠しコードが設定されることが好ましい。
上記の部品1に対する隠しコードの検知においては、スペクトル測定手段41で測定されたスペクトルを直接にデコード手段42でデコードする場合について説明したが、隠しコードを形成する量子ドット蛍光体からの蛍光以外のバックグラウンド発光が存在する場合には、以下のようにして隠しコードが検知されてもよい。図16は、隠しコードの読み出し方法の他の一例を模式的に表す波形図である。なお、図16においては、説明の簡便のために、図4に示された一部の波長領域(波長領域R1〜波長領域R4)についてのみ示されている。スペクトル測定手段41で測定される放出光が、図16に示されたように、隠しコードを形成する蛍光L1〜L4とバックグラウンド発光Lbgとを含む場合には、その合成光である放出光Ltのアナログ情報から予め隠しコードを含めない同一物に対して計測されたバックグラウンド発光Lbgに対応するバックグラウンド情報(バックグラウンドデータ:図16中の中段の波形)を差し引いて、隠しコードに対応するアナログ情報(図16中の最下段の波形)を抽出する。その後、抽出されたアナログ情報をデジタル情報に変換することによって隠しコードをデコードする。この構成であれば、部品の色、特に部品自体の発色に蛍光材料を用いている場合であっても、高精度で隠しコードを検知できる。なお、この場合には、コード読み出し装置がバックグラウンド情報を記憶するバックグラウンド情報記憶手段を更に備える構成とすることもでき、また、コード読み出し装置が外部装置に記憶されたバックグラウンド情報を読み出す構成とすることもできる。
上記の部品1においては、ドーパントを含まない半導体物質からなる量子ドット蛍光体を用いる構成について説明したが、量子ドット蛍光体の構成物質は発光輝度の増大等の発光特性を向上させるためにドーパントを含ませた半導体物質であってもよい。また、上記においては、部品1に含ませる可能性のある複数種類(8種類)の量子ドット蛍光体が全て同一物質である構成について説明したが、異なる物質からなる量子ドット蛍光体を含む構成とすることもできる。また、半導体物質からなる量子ドット蛍光体を用いる構成について説明したが、半導体物質でない酸化物蛍光体等の他の蛍光体を用いる構成とすることもできる。
上記の部品1においては、ドーパントを含まない半導体物質からなる量子ドット蛍光体を用いる構成について説明したが、量子ドット蛍光体の構成物質は発光輝度の増大等の発光特性を向上させるためにドーパントを含ませた半導体物質であってもよい。
上記においては、コード読み出し装置10が真贋を判定するためのデータベース化された情報を記憶するデータベース記憶手段15を含む構成について説明したが、本発明においては、コード読み出し装置はデータベース記憶手段を備えていない構成であってもよい。この場合には、情報送受信手段を備える構成として、コード読み出し装置の外部のコンピュータ等に記憶されているデータベースにアクセスして真贋判定用の情報を受信し、受信した情報に基づいて真贋を判定する構成とすることが好ましい。更に、真贋判定手段を備えていない構成であってもよい。例えば、外部のコンピュータ等に測定されたスペクトルの情報を送信して、そのコンピュータにおいてデータベースを参照した真贋判定を行わせ、その結果のみをコード読み出し装置へ返信させる構成とすればよい。上記においてはデータベース化された情報に基づいて汎用的に真贋を判定する構成について説明したが、簡単なデータテーブル等を備えた構成として、所定の識別情報含有物に特化して真贋の判定を行う構成とすることもできる。
本発明は、蛍光体によって識別情報を付与する各種の部品や装置に利用できる。また、本発明は、蛍光体によって識別情報を付与した各種の部品や装置から識別情報を検知する情報識別装置一般に利用できる。また、蛍光体によって識別情報を付与した各種の部品や装置から識別情報を検知する情報識別方法一般に利用できる。
隠しコードを含む部品の構成の一例を模式的に表す斜視図。 隠しコードと量子ドット蛍光体の種類との対応を示す対応テーブルの一例を定性的に表す説明図。 コード読み出し装置の一例を模式的に表す説明図。 コード読み出し装置によって検出されるスペクトルのアナログ情報の一例を模式的に表す波形図。 コード読み出し装置によってデコードされた隠しコードを模式的に表す波形図。 第1変形例の隠しコードの一例を模式的に表す波形図。 第2変形例の隠しコードの一例を模式的に表す波形図。 第3変形例の隠しコードの一例を模式的に表す波形図。 第4変形例の隠しコードの一例を模式的に表す波形図。 第5変形例の隠しコードの一例を模式的に表す波形図。 第6変形例の隠しコードの一例を模式的に表す波形図。 第7変形例の隠しコードの一例を模式的に表す波形図。 第8変形例の隠しコードの一例を模式的に表す波形図。 第9変形例の隠しコードの一例を模式的に表す波形図。 第10変形例の隠しコードの一例を模式的に表す波形図。 隠しコードの読み出し方法の他の一例を模式的に表す波形図。
符号の説明
1: 部品(識別情報含有物)
10: コード読み出し装置(情報識別装置)
11: UV光源(励起光源)
12: 分光機構(分光装置)
13: CCDセンサ(光測定装置)
14: 隠しコード検知手段(識別情報検知手段)
15: データベース記憶手段
16: 真贋判定手段
21: フィルタ
22: コリメートレンズ
23: グレーティング
24: 凹面反射鏡
41: スペクトル測定手段
42: デコード手段

Claims (13)

  1. 所定の励起光の照射により蛍光を発し、所定の波長領域において連続して所定の強度以上となるスペクトルの幅で特定される識別情報を含む識別情報含有物であって、
    前記波長領域のスペクトルが前記波長領域において互いに幅の異なる所定の複数種類の候補スペクトルのうちのいずれかとなるように、前記波長領域において互いにピーク波長の異なる所定の複数種類の量子ドット蛍光体のうちの少なくとも2種類の量子ドット蛍光体を含み、
    前記複数種類の候補スペクトルの各々が、前記少なくとも2種類の量子ドット蛍光体の各々によるスペクトルが重なる複合スペクトルである、
    ことを特徴とする識別情報含有物。
  2. 前記複数種類の候補スペクトルの各々が、台形状である、
    請求項1に記載の識別情報含有物。
  3. 前記複数種類の候補スペクトルの各々が、単頭のピーク形状である、
    請求項1に記載の識別情報含有物。
  4. 所定の励起光の照射により蛍光を発し、互いに重複しない所定の複数の波長領域の各々において連続して所定の強度以上となるスペクトルの幅の前記複数の波長領域に対応する組み合せで特定される識別情報を含む識別情報含有物であって、
    前記複数の波長領域の各波長領域におけるスペクトルが前記各波長領域において互いに幅の異なる所定の複数種類の候補スペクトルのうちのいずれかとなるように、前記各波長領域において互いにピーク波長の異なる所定の複数種類の量子ドット蛍光体のうちの少なくとも2種類の量子ドット蛍光体を含み、
    前記複数の波長領域の各々に対応する前記複数種類の候補スペクトルの各々が、前記少なくとも2種類の量子ドット蛍光体の各々によるスペクトルが重なる複合スペクトルである、
    ことを特徴とする識別情報含有物。
  5. 所定の励起光の照射により蛍光を発し、互いに重複しない所定の複数の波長領域の各々において連続して所定の強度以上となるスペクトルの幅の前記複数の波長領域に対応する組み合せで特定される識別情報を含む識別情報含有物であって、
    前記複数の波長領域の各波長領域におけるスペクトルが前記各波長領域において幅のない候補スペクトルと互いに幅の異なる所定の複数種類の候補スペクトルとのうちのいずれかとなるように、前記幅のない候補スペクトルにあっては前記各波長領域において互いにピーク波長の異なる所定の複数種類の量子ドット蛍光体のいずれも含まず、前記複数種類の候補スペクトルにあっては前記複数種類の量子ドット蛍光体のうちの少なくとも2種類の量子ドット蛍光体を含み、
    前記複数の波長領域の各々に対応する前記複数種類の候補スペクトルの各々が、前記少なくとも2種類の量子ドット蛍光体の各々によるスペクトルが重なる複合スペクトルであり、
    前記複数の波長領域のうちの少なくとも1つの波長領域におけるスペクトルは、当該波長領域に対応する前記複数種類の候補スペクトルのいずれかである、
    ことを特徴とする識別情報含有物。
  6. 所定の励起光の照射により蛍光を発し、互いに重複しない所定の複数の波長領域の各々において連続して所定の強度以上となるスペクトルの幅の前記複数の波長領域に対応する組み合せで特定される識別情報を含む識別情報含有物であって、
    前記複数の波長領域の各波長領域におけるスペクトルが前記各波長領域において第1幅の候補スペクトルと前記第1幅より幅が広く互いに幅の異なる所定の複数種類の候補スペクトルとのうちのいずれかとなるように、前記第1幅の候補スペクトルにあっては前記各波長領域において互いにピーク波長の異なる所定の複数種類の量子ドット蛍光体のうちの1種類の量子ドット蛍光体を含み、前記複数種類の候補スペクトルの各々にあっては前記複数種類の量子ドット蛍光体のうちの少なくとも2種類の量子ドット蛍光体を含み、
    前記複数の波長領域の各々に対応する前記複数種類の候補スペクトルの各々が、前記少なくとも2種類の量子ドット蛍光体の各々によるスペクトルが重なる複合スペクトルであり、
    前記複数の波長領域のうちの少なくとも1つの波長領域におけるスペクトルは、当該波長領域に対応する前記複数種類の候補スペクトルのいずれかである、
    ことを特徴とする識別情報含有物。
  7. 所定の励起光の照射により蛍光を発し、互いに重複しない所定の複数の波長領域の各々において連続して所定の強度以上となるスペクトルの幅の前記複数の波長領域に対応する組み合せで特定される識別情報を含む識別情報含有物であって、
    前記複数の波長領域の各波長領域におけるスペクトルが前記各波長領域において幅のない候補スペクトルと第1幅の候補スペクトルと前記第1幅の候補スペクトルより幅が広く互いに幅の異なる所定の複数種類の候補スペクトルとのうちのいずれかとなるように、前記幅のない候補スペクトルにあっては前記各波長領域において互いにピーク波長の異なる所定の複数種類の量子ドット蛍光体のいずれも含まず、前記第1幅の候補スペクトルにあっては前記複数種類の量子ドット蛍光体のうちの1種類の量子ドット蛍光体を含み、前記複数種類の候補スペクトルの各々にあっては前記複数種類の量子ドット蛍光体のうちの少なくとも2種類の量子ドット蛍光体を含み、
    前記複数の波長領域の各々に対応する前記複数種類の候補スペクトルの各々が、前記少なくとも2種類の量子ドット蛍光体の各々によるスペクトルが重なる複合スペクトルであり、
    前記複数の波長領域のうちの少なくとも1つの波長領域におけるスペクトルは、当該波長領域に対応する前記複数種類の候補スペクトルのいずれかである、
    ことを特徴とする識別情報含有物。
  8. 所定の励起光の照射により蛍光を発し、互いに重複しない所定の複数の波長領域の各々において連続して所定の強度以上となるスペクトルの幅の前記複数の波長領域に対応する組み合せで特定される識別情報を含む識別情報含有物であって、
    前記複数の波長領域の各波長領域におけるスペクトルが前記各波長領域において幅のない候補スペクトルと幅のある候補スペクトルとのいずれかとなるように、前記幅のない候補スペクトルにあっては前記各波長領域において互いにピーク波長の異なる所定の複数種類の量子ドット蛍光体のいずれも含まず、前記幅のある候補スペクトルにあっては前記複数種類の量子ドット蛍光体のうちの少なくとも2種類の量子ドット蛍光体を含み、
    前記複数の波長領域の各々に対応する前記幅のある候補スペクトルが、前記少なくとも2種類の量子ドット蛍光体の各々によるスペクトルが重なる複合スペクトルであり、
    前記複数の波長領域のうちの少なくとも1つの波長領域におけるスペクトルは、当該波長領域に対応する前記幅のある候補スペクトルである、
    ことを特徴とする識別情報含有物。
  9. 所定の励起光の照射により蛍光を発し、互いに重複しない所定の複数の波長領域の各々において連続して所定の強度以上となるスペクトルの幅の前記複数の波長領域に対応する組み合せで特定される識別情報を含む識別情報含有物であって、
    前記複数の波長領域の各波長領域におけるスペクトルが前記各波長領域において第1幅の候補スペクトルと前記第1幅より広い第2幅の候補スペクトルとのうちのいずれかとなるように、前記第1幅の候補スペクトルにあっては前記各波長領域において互いにピーク波長の異なる所定の複数種類の量子ドット蛍光体のうちの1種類の量子ドット蛍光体を含み、前記第2幅の候補スペクトルにあっては前記複数種類の量子ドット蛍光体のうちの少なくとも2種類の量子ドット蛍光体を含み、
    前記複数の波長領域の各々に対応する前記第2幅の候補スペクトルが、前記少なくとも2種類の量子ドット蛍光体の各々によるスペクトルが重なる複合スペクトルであり、
    前記複数の波長領域のうちの少なくとも1つの波長領域におけるスペクトルは、当該波長領域に対応する前記第2幅の候補スペクトルである、
    ことを特徴とする識別情報含有物。
  10. 所定の励起光の照射により蛍光を発し、互いに重複しない所定の複数の波長領域の各々において連続して所定の強度以上となるスペクトルの幅の前記複数の波長領域に対応する組み合せで特定される識別情報を含む識別情報含有物であって、
    前記複数の波長領域の各波長領域におけるスペクトルが前記各波長領域において幅のない候補スペクトルと第1幅の候補スペクトルと前記第1幅の候補スペクトルより幅が広い第2幅の候補スペクトルとのうちのいずれかとなるように、前記幅のない候補スペクトルにあっては前記各波長領域において互いにピーク波長の異なる所定の複数種類の量子ドット蛍光体のいずれも含まず、前記第1幅の候補スペクトルにあっては前記複数種類の量子ドット蛍光体のうちの1種類の量子ドット蛍光体を含み、前記第2幅の候補スペクトルにあっては前記複数種類の量子ドット蛍光体のうちの少なくとも2種類の量子ドット蛍光体を含み、
    前記複数の波長領域の各々に対応する前記第2幅の候補スペクトルが、前記少なくとも2種類の量子ドット蛍光体の各々によるスペクトルが重なる複合スペクトルであり、
    前記複数の波長領域のうちの少なくとも1つの波長領域におけるスペクトルは、当該波長領域に対応する前記第2幅の候補スペクトルである、
    ことを特徴とする識別情報含有物。
  11. 前記複数の波長領域のうち隣接する2つの波長領域に対する2つのスペクトルは実質的に重ならない、
    請求項4〜7のいずれか一項に記載の識別情報含有物。
  12. 前記複数種類の候補スペクトルの各々を形成する量子ドット蛍光体の種類は幅の増加に応じて増加する、
    請求項11に記載の識別情報含有物。
  13. 前記複数の波長領域の各々における前記複数種類の候補スペクトルのいずれもが、台形状及び単頭のピーク形状のいずれか一方である、
    請求項12に記載の識別情報含有物。
JP2009508023A 2008-06-06 2009-02-19 識別情報含有物、情報識別装置及び情報識別方法 Expired - Fee Related JP4931091B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009508023A JP4931091B2 (ja) 2008-06-06 2009-02-19 識別情報含有物、情報識別装置及び情報識別方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008149087 2008-06-06
JP2008149087 2008-06-06
JP2009508023A JP4931091B2 (ja) 2008-06-06 2009-02-19 識別情報含有物、情報識別装置及び情報識別方法
PCT/JP2009/052875 WO2009147874A1 (ja) 2008-06-06 2009-02-19 識別情報含有物、情報識別装置及び情報識別方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2009147874A1 JPWO2009147874A1 (ja) 2011-10-27
JP4931091B2 true JP4931091B2 (ja) 2012-05-16

Family

ID=41397953

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009508023A Expired - Fee Related JP4931091B2 (ja) 2008-06-06 2009-02-19 識別情報含有物、情報識別装置及び情報識別方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP4931091B2 (ja)
TW (1) TW200951825A (ja)
WO (1) WO2009147874A1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5339359B2 (ja) * 2008-12-16 2013-11-13 メトロ電気株式会社 光学読取方法
JP4965706B2 (ja) * 2010-02-26 2012-07-04 Idec株式会社 蛍光スペクトルの識別方法
EP2580706A4 (en) 2010-06-14 2014-04-30 Trutag Technologies Inc SYSTEM FOR VERIFYING AN ARTICLE IN A PACKAGING
EP2713306B1 (en) 2012-09-27 2021-06-30 Denso Wave Incorporated Information code medium, and system and apparatus for reading information code provided by the same
JP2014071466A (ja) * 2012-09-27 2014-04-21 Denso Wave Inc 情報コード読取システム及び情報コード読取装置
WO2016026082A1 (en) * 2014-08-19 2016-02-25 Empire Technology Development Llc Machine recognizable pattern generation
JP2015122126A (ja) * 2015-04-02 2015-07-02 オクト産業株式会社 検知装置、情報判定システム、被検知体、識別体および電子機器
US10755060B2 (en) * 2017-06-13 2020-08-25 Nthdegree Technologies Worldwide Inc. Security feature using printed LEDs and wavelength conversion material

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6734420B2 (en) * 2000-04-06 2004-05-11 Quantum Dot Corporation Differentiable spectral bar code methods and systems
JP2007004572A (ja) * 2005-06-24 2007-01-11 Smartwater Ltd スペクトル放出器を使用して対象物に独自にマーク付けする方法
WO2008010822A2 (en) * 2005-09-12 2008-01-24 Ultradots, Inc. Authenticating and identifying objects using nanoparticles
US7549592B2 (en) * 2006-10-31 2009-06-23 Xerox Corporation Method for embedding machine-readable information with fluorescent materials

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2009147874A1 (ja) 2011-10-27
TW200951825A (en) 2009-12-16
WO2009147874A1 (ja) 2009-12-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4931091B2 (ja) 識別情報含有物、情報識別装置及び情報識別方法
JP5134618B2 (ja) 波長変換器及び発光装置
JP5541583B2 (ja) 発光媒体および発光媒体の確認方法
US6354501B1 (en) Composite authentication mark and system and method for reading the same
WO2004114204A1 (en) Spectral coding by fluorescent semiconductor nanocrystals for document identification and security applications
US20070262714A1 (en) Illumination source including photoluminescent material and a filter, and an apparatus including same
DE102014207323B4 (de) Verfahren zur Identifikation eines Gegenstandes
CA2999477C (en) Quantum dot security inks
US20160366745A1 (en) A light emitting module, a lamp, a luminaire and a method of illuminating an object
US20070262294A1 (en) Light source including quantum dot material and apparatus including same
US6967716B1 (en) Apparatus and method for inspecting multi-layer plastic containers
WO2004025563B1 (en) Diffraction grating-based encoded micro-particles for multiplexed experiments
JP2001183304A (ja) 表面品質の定量評価のためのデバイス
Yildirim et al. Bioinspired Optoelectronic Nose with Nanostructured Wavelength‐Scalable Hollow‐Core Infrared Fibers
JP2002520822A (ja) 可視光を発生する光源
JP2000154294A5 (ja)
KR20070007377A (ko) 화학적 마킹 또는 추적에 의해 물체 또는 물질을 안전하게인증하는 방법
US20110232398A1 (en) Method for automatically identifying a material or an object
CN101228435A (zh) 原丝类纺织材料中外来物质的检测和分类
JP2018041856A (ja) 視認対象照明用led
US10067069B2 (en) Machine vision systems incorporating polarized electromagnetic radiation emitters
WO2005029047A3 (en) Diffraction grating-based encoded microparticle assay stick
KR101698886B1 (ko) 광전자 컴포넌트 그리고 광전자 컴포넌트를 제조하기 위한 방법
González-Morales et al. Low-cost spectrophotometer for in-situ detection of mercury in water
JP2009037418A (ja) 鑑別装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110824

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111024

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120201

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120209

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4931091

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150224

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees