JP4924569B2 - 燃料ポンプ用モータ及び燃料ポンプ用モータへの印加電圧制御方法 - Google Patents

燃料ポンプ用モータ及び燃料ポンプ用モータへの印加電圧制御方法 Download PDF

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本発明は、モータ及びモータへの印加電圧制御方法に関する。
燃料タンク内の燃料ポンプを制御する燃料ポンプ制御装置として、特許文献1には、燃料ポンプコイル温度センサなどの出力結果に基づいて燃料ポンプの駆動電流を制御し、たとえば、燃料ポンプコイル温度センサの検出値等から算出したブラシ劣化推定量が所定値以上になったときに、警告表示をするものが記載されている。
しかし、特許文献1の構成では、燃料ポンプコイル温度センサによって検出された温度が高い場合には、単に燃料ポンプの駆動電流を制御するのみであるため、ユーザー等はこの温度上昇を知ることができない。また、警告表示も、ブラシ劣化推定量が所定値以上になったときにはじめて行われるものであり、上記の温度が高い場合に、ユーザーがこれを知ることはできない。
特開2007−262935号公報
本発明は上記事実を考慮し、コイル部の発熱をユーザーに報知可能な燃料ポンプ用モータと、この燃料ポンプ用モータへの印加電圧制御方法を得ることを課題とする。
請求項1に記載の発明では、シャフトと、このシャフトの周囲に固定されたコア、及びコアに巻きかけられたコイル部を備え、シャフトの回転により燃料ポンプを回転駆動する回転体と、複数のセグメントを備え前記コイル部への電流の向きを変化させるための整流子と、複数の前記セグメントのそれぞれと前記シャフトとに電気的に接続され前記コイル部の温度変化に応じて電気抵抗を変化させることでシャフトの電位を検知可能な複数のサーミスタと、前記サーミスタの電気抵抗変化によって所定値以上の前記コイル部の温度変化が検知された場合にこれを報知する報知手段と、を有する。
この燃料ポンプ用モータでは、コアに巻きかけられたコイル部に通電され、整流子によってコイル部への電流の向きが変化されることでシャフトが回転する。そして、このシャフトの回転により燃料ポンプが回転駆動される。
また、この燃料ポンプ用モータでは、整流子が複数のセグメントを備え、サーミスタが、複数のセグメントのそれぞれとシャフトとに電気的に接続されている。サーミスタは、コイル部の温度変化に応じて電気抵抗を変化させることでシャフトの電位を検知可能である。そして、このサーミスタの電気抵抗変化によって所定値以上のコイル部の温度変化が検知された場合にこれを報知する報知手段を備えている。したがって、ユーザーは、コイル部の温度変化を報知手段による報知で知ることができる。必要に応じて、対策を講じることも可能となる。
特に、サーミスタは複数のセグメントとシャフトに電気的に接続されているので、セグメントごとに、対応するシャフトの電位変化を読み取ることで、コイル部の温度上昇を検知することが可能になる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記シャフトと前記コアとが接触され、前記サーミスタが、前記コアを介して前記シャフトに接続されている。
シャフトとコアとは接触されており導通があるので、サーミスタをコアを介してシャフトに接続させることで、セグメントとシャフトにサーミスタを接続でき、回路構成を簡素化できる
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の燃料ポンプ用モータへの印加電圧制御方法であって、前記整流子の複数のセグメントごとに前記シャフトの前記電位を検知し、特定のセグメントにおいて前記電位が低い場合に一時的に印加電圧を高くする。
したがって、特定のセグメントにおいてシャフトとの電位(電位差)が低い場合には、この特定のセグメントに対応する部材(たとえばブラシ)との間で、いわゆるフィルミング等により導通不良等が生じていると判断できる。この場合に、一時的に印加電圧を高くすることで整流火花によるクリーニング効果を発揮させ、導通不良を解消することが可能になる。
本発明は上記構成としたので、コイル部の発熱をユーザーに報知可能となる。
図1には、本発明の第1実施形態の燃料ポンプ用モータ14を備えた燃料ポンプ12の概略構成が示されている。燃料ポンプ12は図示しない燃料タンク内に配置されており、燃料タンク内の燃料を外部の装置、たとえばエンジンに送出するために用いられる。
燃料ポンプ12は、略円筒状に形成されたハウジング16を有している。本実施形態では特に、ハウジング16を導電性を有する材料(金属材料)で形成している。
ハウジング16の底部には、ポンプ室ケーシング18が嵌め込まれている。ポンプ室ケーシング18も導電性を有する材料(金属材料)で形成されており、その中央に、スラストベアリング20が備えられている。スラストベアリング20は、後述するシャフト24を回転可能に支持している。また、スラストベアリング20の上方には、樹脂製のタービンポンプ本体22が備えられている。シャフト24の回転に伴って、タービンポンプ本体22が燃料タンク内の燃料を上方へ送る。
ハウジング16の中央部分には、燃料ポンプ用モータ14が収容されている。燃料ポンプ用モータ14は、中央に位置するシャフト24と、シャフト24の周囲に配置されたコア26を有している。コア26は金属製とされ、その中央にシャフト24が圧入されている。したがって、シャフト24とコア26とは電気的に接続されていることになる。
シャフト24の下端は上記したようにスラストベアリング20によって回転可能に支持されているが、シャフト24の上部もベアリング28によって回転可能に保持されている。そして、ベアリング28とコア26の間に、コンミテータ30が配置されている。コンミテータ30の上部には複数のブラシ32が配置されており、直流電源34からの電力供給を受けるようになっている。
コア26の上面には、コンミテータ30の各セグメントに対応する複数のサーミスタ36が取り付けられている。本実施形態では、まず、図2(A)に示すように、コア26に導線58(図2(B)参照)を巻きかける前段階で、サーミスタ36の一端(下面)がコア26に半田付け等によって接続され、他端は導線(被覆線)54によってコンミテータ30(対応するセグメント)に接続される。したがって、サーミスタ36の一端は、コア26を介してシャフト24と電気的に接続されていることになる。そして、図2(B)に示すように、このサーミスタ36とコア26の外側から、これらを覆うよう導線58が巻きかけられてコイル部38とされる。これにより、全体として、シャフト24、コア26及びコイル部38(その内部にサーミスタ36を含む)を備えた回転体40(アーマチャ)が構成されている。
そして、コイル部38への電流の向きがコンミテータ30により変化されることで、シャフト24及びコア26の連続した回転が可能になる。本実施形態では、コンミテータ30の複数のセグメントのそれぞれに対応して、サーミスタ36を設けている。本実施形態では特に、サーミスタ36として、CTR(critical temperature resister)サーミスタを用いている。
なお、ハウジング16の内面側には、コア26に対応する位置にマグネット42が取り付けられている。
ハウジング16の上部は蓋部材44によって覆われている。蓋部材44の下面側には、ベアリング28を収容する収容凹部44Aと、ブラシ32を収容する収容凹部44Bが形成されており、収容凹部44Bからは外部に向けて電力供給線52が延出されている。直流電源34からの電力は、この電力供給線52から燃料ポンプ用モータ14(ブラシ32)に供給される。さらに、電力供給線52の中間部分(直流電源34のプラス側の途中)とハウジング16との間には、導線56により表示メーター46が接続されている。表示メーター46は、たとえば車室内のインストルメントパネル等に取り付けられており、指針をユーザーが視認できるようになっている。
シャフト24、スラストベアリング20、ポンプ室ケーシング18及びハウジング16は、いずれも導電性材料で構成されているので、表示メーター46の指針は、シャフト24の電位に対応して振れることになる。また、サーミスタ36は、温度変化に対する電気抵抗の変化の大きい抵抗体であるため、コイル部38内にサーミスタ36を配置した本実施形態の構成では、コイル部38の温度に応じてサーミスタ36の電気抵抗が変化する。ここで、サーミスタ36は、コンミテータ30のセグメントとシャフト24との間に接続されているので、結果的に、直流電源34のプラス側からサーミスタ36を通過した電流の電圧を、表示メーター46の指針によって知ることができる。
蓋部材44には、上下方向に貫通する送出孔48が形成されており、タービンポンプ本体22によって上方へ送られた燃料が送出孔48から外部に送出されるようになっている。
このような構成とされた本実施形態の燃料ポンプ用モータ14では、コイル部38が発熱して所定値以上の温度になるとサーミスタ36の電気抵抗も大きく変化し、これが表示メーター46の指針の触れとして表示される。したがって、ユーザーは、コイル部38の温度上昇を知ることができ、必要に応じた対策を採ることも可能になる。なお、ここでいう「所定値」はサーミスタ36の特定等に応じてあらかじめ設定できる。
特に本実施形態では、サーミスタ36をコンミテータ30のセグメントとシャフトの間に接続している。したがって、直流電源34のプラス側からサーミスタ36を通過した電流の電圧を、表示メーター46の指針によって知ることができる。しかも、シャフト24はコア26に圧入されており、これらの間には導通がある。したがって、シャフト24の電位を検知するための回路構成を簡易に得ることができる。
しかも、本実施形態では、サーミスタ36は回転体40のコア26に直接的に貼着されている。したがって、コイル部38の熱を直接的にサーミスタ36に作用させることで、より正確な検知が可能になる。
なお、このようにコイル部38の発熱を検知して報知するためには、サーミスタ36は少なくとも1つ配置されていればよいが、本実施形態では、コンミテータ30の各セグメントに対応して複数のサーミスタ36を設けている。したがって、発熱しているコイル部38を特定することも可能である。
サーミスタ36としては、コイル部38の想定される温度変化に対して電気抵抗が確実に変化し、この温度変化を検出可能なものであれば限定されないが、たとえば、上記したCTRサーミスタは、特定の温度(励起温度)を超えたときの電気抵抗の変化が大きく、検出能力が高いので、本実施形態に用いることが好ましい。
また、励起温度の異なる複数のサーミスタを使用し、コイル部38での発熱のレベルに応じた検出ができるようにしてもよい。たとえば、励起温度の低いサーミスタによってコイル部38の発熱の予兆を知ることができるので、早い段階で表示メーター46などによりこれを表示し、早期の対策をユーザーに促すことが可能になる。
さらに、コンミテータ30の各セグメントに、PTC(positive temprerature coefficient)サーミスタ又は、NTC(negative temperature coefficient)サーミスタを接続し、セグメントごとにシャフト24に発生する電位を検出できるようにしてもよい。この構成では、コイル部38の発熱に応じて、PTCサーミスタによる電気抵抗の増大と、NTCサーミスタによる電気抵抗の減少とが、それぞれ異なる励起温度で生じることになるので、発熱状態に応じたこれらサーミスタの電気抵抗の変化の組み合わせを電位として検出でき、各コイル部38の発熱状態をより正確に知ることができるようになる。
上記した各構成では、いすれも、コンミテータ30の各セグメントにサーミスタ36を接続している。したがって、セグメントごと、換言すればコイル部38ごとの相対的な温度変化を検出し、特定のセグメント(コイル部38)の温度が他のセグメントと比較して高い場合に、表示メーター46で表示するようにすれば、コイル部38の温度上昇が小さくても、これを検出することが可能となる。
なお、このように各セグメント(コイル部38)にサーミスタ36を設けた構成では、特定のセグメントの温度が低下している(発熱量が少ない)ことを検出することも可能になる。たとえば、ブラシ32とコンミテータ30との間にいわゆるフィルミングが生じている場合には、導通不良により、上記の温度低下が発生していると判断できる。この場合には、手動により、あるいは、図示しないエンジンコントロールコンピュータからの指示により一時的に印加電圧を高くし、整流火花によるクリーニング効果によってフィルミング等の不具合を除去できる。
上記では、導電性を有するハウジング16を利用して表示メーター46を接続した構成を挙げたが、要するに、サーミスタ36としては、コイル部38の温度上昇(発熱)を検出して、表示メーター46で表示可能とされていればよい。たとえば、図3に示す第2実施形態の燃料ポンプ用モータ64ように、ハウジング16に代えて、ベアリング28に表示メーター46を接続してもよい。
また、サーミスタ36の位置としても、第2実施形態では、コア26の側面としている。このように、表示メーター46の接続部位やサーミスタ36の位置は特に限定されない。ただし、サーミスタ36の一端をコア26に接触させると、コア26を介してシャフト24と導通されることができ、回路構成を簡素化できる。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる点を概略的に示しており、第1実施形態と同一の構成要素については同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、第2実施形態では、燃料ポンプを構成するハウジング等の一部の部材の図示を省略している。
また、本発明の報知手段としても、上記した表示メーター46に限定されず、たとえば、ランプや音声などで報知する構成でもよい。
本発明の第1実施形態の燃料ポンプ用モータが適用された燃料ポンプを部分的に破断して示す概略断面図である。 本発明の第1実施形態の燃料ポンプ用モータを構成するプロセスの一部を(A)〜(B)へと順に示す説明図である。 本発明の第2実施形態の燃料ポンプ用モータを示す概略正面図である。
符号の説明
12 燃料ポンプ
14 燃料ポンプ用モータ
16 ハウジング
18 ポンプ室ケーシング
20 スラストベアリング
22 タービンポンプ本体
24 シャフト
26 コア
28 ベアリング
30 コンミテータ(整流子)
32 ブラシ
34 直流電源
36 サーミスタ
38 コイル部
40 回転体
42 マグネット
46 表示メーター(報知手段)
64 燃料ポンプ用モータ

Claims (3)

  1. シャフトと、このシャフトの周囲に固定されたコア、及びコアに巻きかけられたコイル部を備え、シャフトの回転により燃料ポンプを回転駆動する回転体と、
    複数のセグメントを備え前記コイル部への電流の向きを変化させるための整流子と、
    複数の前記セグメントのそれぞれと前記シャフトとに電気的に接続され前記コイル部の温度変化に応じて電気抵抗を変化させることでシャフトの電位を検知可能な複数のサーミスタと、
    前記サーミスタの電気抵抗変化によって所定値以上の前記コイル部の温度変化が検知された場合にこれを報知する報知手段と、
    を有する燃料ポンプ用モータ。
  2. 前記シャフトと前記コアとが接触され、
    前記サーミスタが、前記コアを介して前記シャフトに接続されている請求項1に記載の燃料ポンプ用モータ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の燃料ポンプ用モータへの印加電圧制御方法であって、
    前記整流子の複数のセグメントごとに前記シャフトの前記電位を検知し、
    特定のセグメントにおいて前記電位が低い場合に一時的に印加電圧を高くする印加電圧制御方法。
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